特許第5755883号(P5755883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755883
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】液体特性分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/06 20060101AFI20150709BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20150709BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   G01N27/06 A
   G01N27/46 353G
   G01N27/26 371G
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-549362(P2010-549362)
(86)(22)【出願日】2010年12月15日
(86)【国際出願番号】JP2010072540
(87)【国際公開番号】WO2011078028
(87)【国際公開日】20110630
【審査請求日】2013年8月21日
(31)【優先権主張番号】特願2009-295404(P2009-295404)
(32)【優先日】2009年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(72)【発明者】
【氏名】江原 克信
(72)【発明者】
【氏名】樽井 克泰
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01243315(EP,A1)
【文献】 特表2005−526332(JP,A)
【文献】 特開2009−273893(JP,A)
【文献】 特開平09−079874(JP,A)
【文献】 特表2009−538433(JP,A)
【文献】 Jose L. Gonzalez-Guillaumin, et al.,Ingestible Capsule for Impedance and pH Monitering in the Esophagus,IEEE Trans Biomed Eng,米国,2007年12月,Vol. 54, No. 12,pp.2231-2236
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/49
G01N 33/00−33/46
G08C 17/00−17/06
JSTPlus(JDreamIII)
JMEDPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器中の液体の特性を分析するものであって、
センサ面を有する電極を備え、該センサ面を前記液体に接触させることによって該液体の特性を検出し、その検出値に応じた値の電気信号を出力するセンサ部と、
前記電気信号を電磁波信号又は音波信号に変換して該電磁波信号又は音波信号を無線出力する送信部と、
前記センサ面を表出させて、前記センサ部及び送信部を内部に収容するとともに、該内部への液体浸入を防止する構造を有し、前記容器内に配置されて液体に浸漬される収容体と、
前記収容体における電磁波信号又は音波信号の通過部位を前記容器の内壁に略密接させる密接手段とを具備し、
前記密接手段が、前記収容体に設けられた第1磁性部と前記容器外に配置された第2磁性部とを具備したものであり、
前記収容体の表面に凹部を設け、該凹部に前記センサ面を表出させていることを特徴とする液体特性分析装置。
【請求項2】
前記密接手段が、前記各磁性部間で生じる磁力によって、前記収容体の電磁波信号又は音波信号通過部位を前記容器の内壁に略密接させるものであることを特徴とする請求項1記載の液体特性分析装置。
【請求項3】
前記第2磁性部が前記容器を載置するための載置台に設けられており、前記第2磁性部の磁力変化によって、前記容器内の収容体が回転するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体特性分析装置。
【請求項4】
前記収容体の回転軸上に前記通過部位が設定されていることを特徴とする請求項3記載の液体特性分析装置。
【請求項5】
前記容器外に配置されて前記送信部からの電磁波信号又は音波信号を受信する受信部をさらに具備し、該受信部が、前記載置台における前記通過部位と対向する部位に設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載の液体特性分析装置。
【請求項6】
前記電磁波信号が赤外線信号であることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の液体特性分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器内の液体の特性を検出して、その検出結果を電磁波信号等によって無線通信する液体特性分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体特性分析装置には様々なものがあるが、そのひとつにpH計がある。例えば特許文献1に示すものは、センサ部が取り付けられた柱状の電極を液体に浸してpHを測定し、電極と信号ケーブルを介して接続されたpH計本体が測定結果を表示するものである。
【0003】
このpH計を用いて、例えば、調製中のバッファー(緩衝液)のような、ある液体に別の液体を加えることで液量が次第に増加していく液体を測定する場合、液面の上昇に伴って電極の高さを徐々に上げていくようにしている。なぜならば、電極の先端部は測定のため液体に浸す必要がある一方で、電極の基端部は、液体侵入を防止するため、液体に接しないようにする必要があるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−156670号公報
【特許文献2】特開2002−014072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電極の高さ調整には手間が掛かり、迅速な測定を妨げる要因となっている。具体的には、液量が少ない間は電極を液体が入っている容器内に立て掛けておき、液量が一定以上となると、電極をアームに取り付け、さらに液量が増加すると、アームの高さを調整したり、アームを取り替えたりすることで、電極の高さを調整している。
【0006】
一方、特許文献2に示すように、センサ部が取り付けられたセンサチップを気体に接触させて気体の特性変化を検出し、その検出結果を電磁波信号によって外部装置に送信して、気体の特性を計測する装置が開発されている。しかしながら、この装置によって液体の特性を計測しようとすると、送信された電磁波信号が液体中で減衰してしまうので、無線通信できず、結果として液体の特性計測が困難となってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題を一挙に解決すべく、電磁波信号が液体中で減衰することなく確実に無線通信できるとともに、液体の特性を簡便かつ迅速に分析できる液体分析装置を提供することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る液体特性分析装置は、容器中の液体の特性を分析するものであって、センサ面を有する電極を備え、該センサ面を前記液体に接触させることによって該液体の特性を検出し、その検出値に応じた値の電気信号を出力するセンサ部と、前記電気信号を電磁波信号に変換して該電磁波信号を無線出力する送信部と、前記センサ面を表出させて、前記センサ部及び送信部を内部に収容するとともに、該内部への液体浸入を防止する構造を有し、前記容器内に配置されて液体に浸漬される収容体と、前記収容体における電磁波信号の通過部位を、前記容器の内壁に略密接させる密接手段とを具備し、前記密接手段が、前記収容体に設けられた第1磁性部と前記容器外に配置された第2磁性部とを具備したものであり、前記収容体の表面に凹部を設け、該凹部に前記センサ面を表出させていることを特徴とする。なお、液体の特性には、例えば、化学的特性、物理的特性、電気的特性、光学的特性が含まれるものであり、より詳細には、pH、残留塩素濃度、温度、濃度、粘度、流速、圧力、伝導性、吸光度等が含まれる。なお、電磁波信号は音波信号であってもよい。
【0009】
このようなものであれば、収容体が防水構造を有するため、収容体全体を液体に浸すことができ、液面が上昇しても収容体の高さを調整する必要がなく、液体の特性を簡便かつ迅速に分析することができる。さらに、密接手段が、収容体における電磁波信号の通過部位を前記容器の内壁に略密接させるので、電磁波信号が液体中で減衰することなく、確実に無線通信できる。
【0010】
前記密接手段が、前記収容体の電磁波信号通過部位を前記容器の底面内壁に略密接させるものであれば、収容体が容器底部に配置されるので、センサ面の位置を可及的に低くすることができ、液体が少量であっても分析できる。
【0011】
簡易な構造で、収容体を容易に密接させるためには、前記密接手段が、前記収容体に設けられた第1磁性部と前記容器外に配置された第2磁性部とを具備したものであり、前記各磁性部間で生じる磁力によって、前記収容体の電磁波信号通過部位を前記容器の内壁に引き付けて略密接させるものであることが望ましい。
【0012】
前記第2磁性部が前記容器を載置するための載置台に設けられており、前記第2磁性部の磁力変化によって、前記容器内の収容体が回転するように構成されているものであれば、収容体が液体を攪拌する手段を兼ねることができる。
【0013】
収容体の回転中であっても、確実に無線通信するためには、前記収容体の回転軸上に前記通過部位が設定されているものが望ましい。
【0014】
前記容器外に配置されて前記送信部からの電磁波信号を受信する受信部をさらに具備し、該受信部が、前記載置台における前記通過部位と対向する部位に設けられているものであれば、より確実に無線通信できる。
【0015】
コンパクト化を促進するためには、前記載置台に、分析結果を表示する表示部が設けられているものが望ましい。
【0016】
前記電磁波信号が赤外線信号であってもよい。このようなものであれば、例えば、赤外線信号の変調(例えば周波数変調や振幅変調等)によってセンサ部からの測定結果を伝達する一方、赤外線信号の強度の減衰によって温度を測定することができるようになる。そして、仮にこのような構成を採用すれば、温度補償による測定精度の向上を図れるだけでなく、収容体に温度センサを設ける必要がないので、部品削減や収容体の小型化を実現できる。
【0017】
前記収容体の表面に凹部を設け、該凹部に前記センサ面を表出させているものであれば、凹部で液体をすくい取ったり、凹部に液体を滴下したりすることで、液体が微量であっても分析できる。
【0018】
前記収容体が、前記センサ部が設けられた第1ユニットと、前記送信部が設けられた第2ユニットとに分離可能に構成されているものであれば、必要に応じてセンサ部又は送信部のいずれか一方を容易に取り替えることができるとともに、取り替えない部分は継続して使用することができるので、取り替え時の費用を抑えることができる。
【0019】
本発明の別様態としては、容器内で回転して該容器内の液体を攪拌する攪拌子であって、センサ面を前記液体に接触させることによって該液体の特性を検出するセンサ部を具備することを特徴とするものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した本発明によれば、電磁波信号が液体中で減衰することなく確実に無線通信できるともに、液体の特性を簡便かつ迅速に分析できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態における液体特性分析装置を示す全体斜視図。
図2】同実施形態における液体特性分析装置の模式的構成図。
図3】同実施形態における液体特性分析装置の機能構成図。
図4】本発明の第2実施形態における収容体の構成を示す図。
図5】本発明の他の実施形態における液体特性分析装置を示す全体斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
<第1実施形態>
本実施形態に係る液体特性分析装置100は、調製中のバッファー(緩衝液)のpHを測定するものであり、図1に示すように、容器B内に配置されて液体中に浸漬される収容体10と、容器Bを載置するための載置台20とを備えている。以下に各部を詳述する。
【0024】
収容体10は、図2等に示すように、センサ面1c、1dのみを表出させて、センサ面1c、1dを有する電極1a、1bを備えるセンサ部1と、送信部2とを内部に収容するものであり、内部への液体侵入を防止する構造を有し、ここでは、赤外線信号が透過する材料からなる両端が閉じられた円筒形状のものである。なお、収容体10の形状としては、円筒形状の他、カプセル型、直方体型等であってもよく、要は、容器B内で回転して液体を攪拌することができる形状であればよい。
【0025】
センサ部1は、図2等に示すように、センサ面1c、1dを液体に接触させることによって、液体の特性(ここではpH)を検出し、その検出値に応じた値の電気信号を出力するものであり、センサ面1cを有する作用電極1aと、センサ面1dを有する比較電極1bとを備えている。各電極1a、1bは分離可能に構成されており、各電極1a、1bの性能が劣化した時等は交換できる。収容体10の一端には作用電極1aのセンサ面1cが露出しており、他端には比較電極1bのセンサ面1dが露出している。なお、作用電極1aとしては、例えば、ISFET(イオン感応性電界効果型トランジスタ)や、ガラス電極等が挙げられる。
【0026】
送信部2は、図2等に示すように、センサ部1からの電気信号を赤外線信号に変換して、赤外線信号を無線出力するものであり、収容体10における赤外線信号の通過部位11に設けられた光透過性を有する送信窓12(ここでは収容体10の底面中央部に設定されている)を介して赤外線信号を射出する光源2a(ここではLED)と、センサ部1から受信した電気信号に基づいて光源2aを点灯させるものであり、収容体10の各部を動作させるためのエネルギーを供給する電池6が取りつけられた光源制御部2bとを備えている。
【0027】
載置台20は、図1及び図2に示すように、受信部3と、演算部4と、表示部5とを取り付けられており、ここでは、概略直方体形状のものである。
【0028】
受信部3は、図2等に示すように、送信部2から射出された赤外線信号を、載置台20における赤外線信号を通過させる部位に設けられた受信窓21(ここでは、載置台20の天面中央部に設定されている)を介して受信し、赤外線信号を電気信号に変換して出力するものであり、送信窓12と対向する部位に設けられており、ここではフォトダイオードである。受信窓21は、赤外線信号が透過する材料からなるものである。
【0029】
演算部4は、図3等に示すように、受信部3から電気信号を受信して、所定の演算処理に従って、電気信号からセンサ部1の検出結果を示す値である検出値を取り出し、検出値から液体の特性を示す値である液体特性値を算出するものである。
【0030】
表示部5は、図3等に示すように、載置台20に設けられた、分析結果を表示するものであり、ここでは演算部4から受信した液体特性値を表示するものである。
【0031】
本実施例では、さらに、密接手段30を設けている。密接手段30は、図2に示すように、収容体10に設けられた第1磁性部31と、載置台20に設けられた第2磁性部32とを具備したものであり、各磁性部31、32間で生じる磁力によって、収容体10の赤外線信号通過部位11に設けられた送信窓12を容器Bの内壁に引き付けて略密接させるものである。
【0032】
第1磁性部31は、図2に示すように、第2磁性部32との間で生じる磁力によって、収容体10における赤外線信号の送信窓12を、容器Bの底面内壁に引き付けて略密接させるものであり、ここでは、光源2a及び光源2aから射出される赤外線信号の光軸を挟んで、収容体10内の下部に取り付けられた1又は複数(ここでは2つ)の磁性体31a、31bを用いて構成されている。第1磁性部31は、この配置に限られるものではなく、要は、収容体10の重心よりも送信窓12に近い位置に取り付けられていればよい。
【0033】
第2磁性部32は、図2に示すように、第1磁性部31との間で磁力を生じさせ、第2磁性部32の磁力変化によって、容器B内の収容体10を回転させるものであり、載置台20における第1磁性部31と対向する位置にそれぞれ配置された1又は複数の(ここでは2つ)磁石32a、32bと、磁石32a、32bが取り付けられたロータ(図示しない)とを備えるものである。ロータが回転駆動されると、各磁石32a、32bが回転し、第2磁性部32から第1磁性部31へ及ぼす磁力が変化する。この第2磁性部32の磁力変化によって、収容体10が、送信窓12を容器Bの底面内壁に略密接させた状態で回転して、容器B内の液体を攪拌する。収容体10の回転軸上には送信窓12及び受信窓21が配置され、ここでは、収容体10の回転軸上と光源2aから射出される赤外線信号の光軸とは略一致するように構成されている。
【0034】
以下に、本実施形態に係る液体特性分析装置100を用いて、液体を攪拌させながら、液体のpHを測定する手順を説明する。オペレータが攪拌開始スイッチを押すと、ロータが回転駆動されて、第2磁性部32の磁石32a、32bが回転する。そして、第2磁性部32の磁力変化によって、収容体10が回転し、液体が攪拌される。
【0035】
液体の攪拌と並行して、液体のpHが測定される。センサ部1は液体のpHを測定して、測定値に応じた値の電気信号を出力する。送信部2が電気信号を赤外線信号に変換して、送信窓12を介して赤外線信号を射出する。この時、収容体10は回転しており、この回転の回転軸上に収容体10の送信窓12と、載置台20の受信窓21とが設けられている。従って、射出された赤外線信号は受信窓21を介して受信部3に到達する。受信部3は赤外線信号を電気信号に変換し、演算部4が電気信号から検出値を取り出して、液体特性値を算出し、表示部5が液体特性値を表示する。
【0036】
なお、液体を攪拌させることなく、つまり、収容体10を回転させることなく、液体のpHを測定することもできる。また、液体の攪拌前及び攪拌後に液体のpHを測定することもできる。
【0037】
かかる構成の液体分析装置によれば、収容体10において、実質的にセンサ面1c、1dのみが液体に触れるようにその表面に露出させてあり、その他の部材は、全て防水構造を有する収容体10内に収容してあるため、収容体10全体を液体に浸すことができ、液面が上昇しても収容体10の高さを調整する必要がなく、液体の特性を簡便かつ迅速に分析することができる。さらに、密接手段30が、収容体10における電磁波信号の通過部位11に設けられた送信窓12を前記容器Bの内壁に略密接させるので、電磁波信号が液体中で減衰することなく、確実に無線通信できる。
【0038】
また、第1磁性部31が、収容体10の重心よりも送信窓12に近い位置に取り付けられているので、各磁性部31、32間で生じる磁力によって、収容体10の送信窓12と、受信部3とを確実に対向させることができる。さらに、収容体10は円筒形状なので、容易に回転し、より確実に送信窓12と受信部とを対向させることができる。
【0039】
<第2実施形態>
本実施形態に係る液体特性分析装置100は、図4に示すように、センサ部1が設けられた第1ユニット13と、送信部2及び第1磁性部31が設けられた第2ユニット14とに分離可能に構成され、各ユニット13、14が接続されると概略カプセル形状をなす収容体10を備えている。第1ユニット13の表面には凹部15が設けられ、凹部15にセンサ部1のセンサ面1c、1dを表出させている。
【0040】
第1ユニット13は、一端面が平面で、他端面が半球面でそれぞれ閉じられた円筒形状となっている。一端面の中央にはコネクタ13aが設けられ、他端面には凹部15が設けられている。凹部15にはセンサ部1のセンサ面1c、1dが隣り合って表出している。
【0041】
第2ユニット14は、一端面が平面で、他端面が半球面でそれぞれ閉じられた円筒形状となっている。一端面の中央にはコネクタ13aが接続される孔14aが設けられている。なお、本実施形態では、第1磁性部31は第2ユニット14に設けられるものとしたが、第1ユニット13に設けられるものとしてもよいし、各ユニット13、14に設けられるものとしてもよい。また、収容体10は2つのユニット13、14からなるものとしたが、複数のユニットからなるものとしてもよい。
【0042】
かかる構成の液体特性分析装置100によれば、収容体10が複数のユニット13、14として分離可能に構成されているので、必要に応じてセンサ部1又は送信部2のいずれか一方を容易に交換できるとともに、取り替えない部分は継続して使用することができるので、取り替え時の費用を抑えることができる。
また、収容体10の表面に凹部15が設けられているので、凹部15で液体をすくい取ったり、凹部15に液体を滴下したりすることができ、液体が微量であっても分析できる。
さらに、各センサ面1c、1dが同一の凹部15に近接して表出しているので、別々に液体を接触させる必要がなく、微量な液体であっても簡便で迅速に分析できる。
【0043】
なお、本発明は上述した各実施形態に限られるものではない。例えば、第1磁性部と、第2磁性部とは、少なくとも一方が磁石であればよく、他方は磁石又は磁性体のいずれかであればよい。また、第1磁性部が磁石又は磁性体のいずれかで、第2磁性部が電磁石であってもよいし、その逆であってもよい。
【0044】
加えて言えば、収容体は電磁波信号を透過させる材料からなるものとしたが、少なくとも通過部位が電磁波信号を透過させるものであればよく、収容体は複数の材料からなるものであってもよい。また、収容体が、収容体本体と、開閉可能な開閉蓋とを備えるものであってもよい。このようなものであれば、収容体を動作させるためのエネルギーを供給する電池やセンサ部等を容易に交換できる。
【0045】
本実施形態では電磁波信号として赤外線信号を用いたが、これに限られるものではなく、電波、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線等を用いてもよい。また電磁波のみならず、音波を用いることもできる。
【0046】
なお、センサ部が液体のpHを測定するものであり、電磁波信号が赤外線信号であってもよい。このようなものであれば、赤外線信号の変調(例えば周波数変調や振幅変調等)によってセンサ部からの測定結果を伝達する一方、赤外線信号の強度の減衰によって温度を測定したりすることも可能である。さらに、収容体に温度センサを設ける必要がないので、収容体の大型化を招くことがないとともに、pHの測定結果を温度で補正することで、高精度にpHを測定できる。
【0047】
受信部は、受信器に接続された光伝達手段の先端部であってもよい。
【0048】
さらに、容器外に設けられた制御信号(例えば、分析開始信号及び分析終了信号)を送信する制御信号送信部と、収容体に設けられた各信号を受信する制御信号受信部とを備えるものであってもよい。制御信号は、収容体を動作させるためのエネルギーを含んでいてもよい。
【0049】
容器B内に配置され液体に浸漬される攪拌子(図示しない)と、容器Bを載置するとともに、前記攪拌子を回転駆動する載置台40とを備える既存の液体攪拌装置のうち、載置台40を用いることもできる。この時、載置台40には受信部3等が設けられていないので、例えば、図5に示すような構成とすればよい。この図5では、載置台40と容器Bとの間に配置される中間体41と、前記中間体41に電気的に接続された表示器42とを設けている。
【0050】
中間体41は、受信部3と、第1演算部(図示しない)とを備え、磁力を遮断しないように構成されているものである。中間体41は、これに限られず、要は、各磁性部31、32間で生じた磁力による収容体10の密接又は回転に対して妨げにならないものであればよい。第1演算部は、所定の演算処理に従って、受信部3から受信した電気信号からセンサ部1の検出結果を示す値である検出値を取り出すものである。
【0051】
表示器42は、第2演算部(図示しない)と、表示部5とを備えるものである。第2演算部は、検出値から液体の特性を示す値である液体特性値を算出するものである。第2演算部及び表示部5は、ここでは表示器42に備えられるものとしたが、中間体41に備えられるものであってもよい。このとき、表示器42は設けなくともよい。
【0052】
また、容器内で回転して該容器内の液体を攪拌する攪拌子に、センサ面を前記液体に接触させることによって該液体の特性を検出するセンサ部を設けるようにしてもよい。
【0053】
前記攪拌子又は前記収容体に、検出結果を表示する表示部を設けてもよいし、検出結果を記憶する記憶部(例えばメモリ)を設け、前記記憶部を汎用又は専用のコンピュータと電気的に接続して該検出結果を取り出すようにしてもよい。
【0054】
その他、本発明は各構成を組み合わせてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0055】
100・・・液体特性分析装置
1・・・センサ部
1c、1d・・・センサ面
2・・・送信部
3・・・受信部
5・・・表示部
10・・・収容体
11・・・通過部位
12・・・送信窓
13・・・第1ユニット
14・・・第2ユニット
15・・・凹部
20・・・載置台
30・・・密接手段
31・・・第1磁性部
32・・・第2磁性部
B・・・容器
図1
図2
図3
図4
図5