(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物体平面(5)の物体視野(4)内の反射物体(12)の像平面(18)の像視野(17)内へのビームスプリッタを用いない結像のための、193nmよりも短い波長を有する結像光(3)の光束を複数のミラー(M1からM6)を用いて誘導するためのリソグラフィ投影露光のための結像光学系(16;31;37)であって、
ミラー(M1からM6)のうちの少なくとも1つが、近視野ミラーとして設計され、
前記物体視野(4)と前記像視野(17)の間の結像ビーム経路内の最初のミラー(M1)が、第1の掩蔽ミラー群の一部であって、ここで、前記第1の掩蔽ミラー群は、照明光を、物体視野点が、3°よりも小さい主光線角度(α)を有するように前記結像光学系に結合するための光学要素を配置することを可能とする、前記結像光(3)が通過するための貫通開口部を有する、
ことを特徴とする結像光学系(16;31;37)。
物体平面(5)の物体視野(4)内の反射物体(12)の像平面(18)の像視野(17)内へのビームスプリッタを用いない結像のための、193nmよりも短い波長を有する結像光(3)の光束を複数のミラー(M1からM6)を用いて誘導するためのリソグラフィ投影露光のための結像光学系(16;31;37)であって、
前記物体視野(4)と前記像視野(17)の間の結像ビーム経路内の最初のミラー(M1)が、前記結像光(3)が通過するための貫通開口部(21,22)を有し、
少なくとも1つのミラー(M3,M4)が、前記物体視野(4)と前記像視野(17)の間の前記結像ビーム経路内の前記最初のミラー(M1)と、該物体視野(4)と該像視野(17)の間の該結像ビーム経路内の最後のミラー(M6)との間に配置され、前記結像光を反射するのに使用される該少なくとも1つのミラー(M3,M4)の反射面は貫通開口部を有さず、
前記最初のミラー(M1)は、第1の掩蔽ミラー群の一部であって、ここで、前記第1の掩蔽ミラー群は、照明光を、物体視野点が、3°よりも小さい主光線角度(α)を有するように前記結像光学系に結合するための光学要素を配置することを可能とする貫通開口部を有する、
ことを特徴とする結像光学系(16;31;37)。
物体平面(5)の物体視野(4)内の反射物体(12)の像平面(18)の像視野(17)内へのビームスプリッタを用いない結像のための、193nmよりも短い波長を有する結像光(3)の光束を複数のミラー(M1からM6)を用いて誘導するためのリソグラフィ投影露光のための結像光学系(16;31;37)であって、
±1次の回折及び/又はより高次の回折のみの結像光(3’)が結像に使用され、
前記物体視野(4)と前記像視野(17)の間の結像ビーム経路内の最初のミラー(M1)が、第1の掩蔽ミラー群の一部であって、ここで、前記第1の掩蔽ミラー群は、照明光を、物体視野点が、3°よりも小さい主光線角度(α)を有するように前記結像光学系に結合するための光学要素を配置することを可能とする、前記結像光(3)が通過するための貫通開口部を有するような設計、
を特徴とする結像光学系(16;31;37)。
前記物体視野(4)と前記像視野(17)の間の前記結像ビーム経路内の最初のミラー(M1)が、凹であり、一方、該物体視野(4)と該像視野(17)の間の該結像ビーム経路内の第2のミラー(M2)が、凸であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の結像光学系。
193nmよりも短い波長を有する照明光(3)の光束の放射線源(2)から該照明光(3)に対して反射性である物体平面(5)の物体視野(4)内の物体(12)へのビームスプリッタを用いない誘導のためのリソグラフィ投影露光のための照明光学系(7;28)であって、
物体視野(4)の少なくとも1つの点に対して、照明光(3)の光束が、物体平面(5)に対する法線(14)との3°よりも小さい角度をなす該物体視野(4)上へのエネルギ重み付き光線入射方向(13)を有するような設計、
を特徴とする照明光学系(7;28)と、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の結像光学系(16;31;37)と、
を含むことを特徴とする光学系。
貫通開口部(22)を通じて前記結像光学系(16;31;37)のミラーのうちの1つ(M2)の中に照明光(3)を結合する前記照明光学系(7;28)の結合ミラー(11)を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の光学系。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、反射物体を高い像品質で結像することを可能にするような方法で、冒頭で挙げた種類の結像光学系を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、この目的は、請求項1に開示する特徴を備えた結像光学系によって達成される。
【0007】
本発明により、物体視野点の3°よりも小さい主光線角度により、反射物体上の遮蔽効果が低減するか又は完全に回避されることが見出されている。物体視野点の主光線は、例えば、瞳掩蔽の結果としていずれの結像光線も主光線に沿って結像光学系を通過することができない場合であっても、それぞれの物体視野点と結像光学系の瞳の中心との間の接続線として定義される。全体の物体視野の広がりの少なくとも半分の位置に置かれた物体視野点の主光線角度は、3°よりも小さいとすることができる。同様に、全ての物体視野点の主光線角度も、3°よりも小さいとすることができる。本発明の主光線角度は、2°よりも小さいとすることができ、1°よりも小さいとすることができ、特に、0°とすることができる。それによって従来のシステムにおいて6°又は8°の主光線角度で発生する可能性がある望ましくない遮蔽問題を回避することができる。その結果は、有利に低いCD(臨界寸法)変化で反射物体を結像することを可能にする結像光学系である。本発明の主光線角度を有する高口径結像光学系における物体側の結像光線の最大反射角は可能な限り小さく、その結果、遮蔽問題が最底限に抑制される。本発明の結像光学系は、ビームスプリッタを用いない結像に向けて設計される。従って、結像ビーム経路には、例えば、US 6,894,834 B2の
図6に記載の照明において特定の従来技術の照明系に使用されるような照明光を結合し、かつ結像光が通過するためのビームスプリッタは全く存在しない。本発明の近視野ミラーMは、以下の条件が満たされる場合に設けられる。
P(M)=D(SA)/(D(SA)+D(CR))≦0.9
【0008】
上述の式では、D(SA)は、物体視野点によって放出された光線束のミラーMの場所における部分開口径であり、それに対してD(CR)は、結像光学系によってミラーMの面上に結像される有効物体視野の主光線の光学系の基準平面内で測定された最大距離である。基準平面は、結像光学系の対称面又は子午面とすることができる。パラメータP(M)の定義は、WO 2009/024 164 A1に述べされているものに対応する。
【0009】
視野平面内では、P(M)は0である。瞳平面内では、P(M)は1である。
【0010】
US 6 894 834 B2の実施形態では、P(M)は、全てのミラーにおいて0.9よりも大きい。
【0011】
結像光学系のミラーのうちの少なくとも1つは、0.8よりも大きくなく、0.7よりも大きくなく、0.65よりも大きくないか、又は更に0.61よりも大きくない値を有することができる。ミラーのうちの一部のものは、0.9よりも小さく、0.8よりも小さく、又は更に0.7よりも小さいP(M)値を有することができる。
【0012】
この種の近視野ミラーは、結像誤差を補正するのに使用することができる。特に、広大な視野では、近視野ミラーは、広大な視野全体にわたって結像誤差を補正することを可能にする。特に、近視野ミラーによってテレセントリック性補正を実施することができる。結像光学系の結像スケール、特に、物体視野から像視野への結像の縮小スケールは、2倍、3倍、又は更に4倍とすることができる。結像スケールは、8倍よりも絶対的に小さいとすることができる。像視野の近くの所定の開口数では、十分に小さい結像スケールは、物体視野の近くで相応に大きい開口数をもたらし、所定の像視野サイズでは相応に小さい物体視野がもたらされる。これは、掩蔽を縮小するために、特に、結像光学系のミラー内の貫通開口部の幅を減幅するために使用することができる。
【0013】
結像光学系は、絶対的に8×よりも小さく、6倍よりも小さく、5倍よりも小さく、4倍よりも小さく、3倍よりも小さく、更に、2倍とすることができる縮小率を有することができる。絶対的に小さい結像スケールは、結像光学系内での光束の誘導を容易にする。結像光学系の像視野のサイズは、1mm
2よりも大きくすることができ、特に、1mm×5mmよりも大きくすることができ、5mm×5mmよりも大きくすることができ、特に、10mm×10mm又は20mm×20mmとすることができる。それによって結像光学系がリソグラフィ目的に使用される場合の高いスループットを保証する。結像光学系が、リソグラフィマスク又は露光済みウェーハの検査に使用される場合には、上に述べた「像視野」は、マスク又はウェーハそれぞれの上で検査される視野として使用される。従って、結像光学系が検査目的に使用されるこの付加的な適用分野では、上に述べた像視野は、逆に検査物体視野である。
【0014】
冒頭に挙げた目的は、請求項2に開示する特徴を備えた結像光学系によっても達成される。この結像光学系の最初のミラーは、第1の掩蔽ミラー群の一部とすることができ、照明光を結合するためにこの最初のミラーの貫通開口部を使用することができる。同様に、物体視野と像視野の間の結像ビーム経路内の最後のミラーは、結像光が通過するための貫通開口部を有することができる。結像ビーム経路内の最後のミラーは、別の掩蔽ミラー群の一部とすることができ、その結果、結像光学系の大きい像側開口数をもたらすことができる。連続するか又は閉じた反射面を有し、言い換えれば、いずれの貫通開口部も設けられない結像光学系ミラーは、結像光学系のテレセントリック性誤差を補正することを可能にする。連続した反射面が設けられた少なくとも1つのこの種のミラーは、近視野、特に、結像光学系の中間像平面の領域に配置することができる。結像光学系には、第1の掩蔽ミラー群と、結像光を像視野に結像する第2の非掩蔽ミラー群とをこれらのミラー群の間にいずれかの他の掩蔽ミラー群を配置することなしに設けることができる。結像光の反射のために閉じた反射面が設けられた少なくとも1つのミラーは、0.9よりも大きくなく、0.8よりも大きくなく、0.7よりも大きくなく、0.65よりも大きくなく、更に、僅か0.61とすることさえ可能である上記に定義したパラメータP(M)を有することができる。この種の近視野ミラーの利点は、上述したものに対応する。
【0015】
冒頭に挙げた目的は、請求項3に開示する特徴を備えた結像光学系によって更に達成される。
【0016】
±1次の回折及び/又は高次の回折の結像光しか用いないことにより、照明光を結合するために、ゼロ次の回折が生成される区域を使用することが可能になる。少なくとも±1次の回折及び必要に応じて更に高次の回折を使用することにより、ゼロ次の回折は使用されないので、良好なコントラストを有する像がもたらされる。これは、特に、結像において±1次の回折しか使用されない場合に適用される。
【0017】
特に、瞳掩蔽光学系内に設けられた場合に、本発明の結像光学系は、特に、貫通開口部又は貫通孔を有することができる。この種のミラーを含む結像光学系の瞳平面には、結像光束のうちで結像に使用されない内側区域が存在する。この区域内には、照明光学系の結合ミラーを配置することができる。
【0018】
本発明の結像光学系は、上に述べた結像光学系の特徴の組合せを含むことができる。照明光が反射物体に小さい照明開口数によって小さい入射角でもたらされる照明光学系と協調するこの種の結像光学系では、多重極を配置することを必要とすることなく、及び/又は可能な最大限度に傾いた入射角を使用する照明を必要とすることなく、特に、二重極照明又は四重極照明を必要とすることなく解像度の限界に達する。更に、結像される反射物体上の異なる構造配列に対して異なる多重極照明配列の間で切り換えることが必要とされない。反射物体は、静的な照明にさらされることができ、少なくとも1つの絞りを用いて照明されることができ、及び/又はズーム対物系を用いて照明されることができる。照明光学系は、特定の瞳成形構成要素を用いずに設計することができる。照明光学系は、特に、ファセットミラーを用いずに設計することができる。
【0019】
請求項4に記載のミラー設計は、反射物体に非常に低い入射角でエネルギが重み付けされて入射する照明光の結合を容易にする。
【0020】
本発明の別の目的は、高品質像を得るための反射物体の照明を保証するリソグラフィ投影露光のための照明光学系を提供することである。
【0021】
本発明により、この目的は、請求項5に開示する特徴を有する照明光学系によって達成される。
【0022】
本発明のエネルギ重み付き光線入射方向又は中心光線入射方向は、少なくとも1つの物体視野時点において0°の入射角の前後に集中させることができる。この点では、照明光は、反射物体上に低入射角で入射し、従って、結像中に発生する遮蔽問題が回避される。得られる利点は、本発明の結像光学系を参照して上述したものに対応する。エネルギ重み付き光線入射方向と物体平面に対する法線との間の角度は、2°よりも小さく、1°よりも小さいとすることができ、更に正確に0°とすることができる。照明光束の他のエネルギ重み付き光線は、より大きい入射角を有することができる。照明光束の誘導は、最初に物体視野の下流の結像光の誘導に対してほぼ平行な方向、又は物体視野の下流の結像光の誘導に対してほぼ垂直な方向から始めることができ、結像光が垂直にもたらされる場合に、これらの方向を照明光の「垂直入射」及び「水平入射」と呼ぶ。リソグラフィ投影露光において照明光学系を使用する代わりに、本発明の照明光学系は、欠陥に関して物体を調べるための検査システムに対して使用することができる。この種の検査システムは、特に、レチクル及び/又はウェーハの検査に使用される。
【0023】
請求項6に記載の最大入射角は、反射物体上の構造の遮蔽を大きく低減する。更に、反射物体上に反射コーティングが設けられる場合には、それによって反射物体の有利に高い反射率、従って、照明光又は結像光の高い照明収量を保証する。最大入射角は、8°よりも小さく、6°よりも小さいとすることができ、更に、5°よりも小さいとすることができる。
【0024】
請求項7に記載の照明光学系ミラーの設計は、物体視野によって放出され、物体によって反射される結像光を照明光の最後のミラー、言い換えれば、結合ミラーの貫通開口部を通じて誘導することを可能にする。この種の照明を暗視野照明とも呼ぶ。この場合、物体は、結像開口部の外側の光にのみさらされることができる。特に、物体エッジを結像する場合に、暗視野照明は、別の従来の照明に優る利点を有する。更に、照明光の中心入射光線と物体視野に対する法線との間の小さい角度という上述の利点を従来の非掩蔽結像光学系のものと組み合わせることができる。暗視野照明は、特に、照明光学系が検査システムに使用される場合に、この種の照明が物体視野内の不純物、傷、又は粉塵を非常に高いコントラストで結像することを可能にするので、利点をもたらすことができる。
【0025】
請求項8に記載の照明系の利点は、本発明の結像光学系及び本発明の照明光学系を参照して上述したものに対応する。
【0026】
請求項9に記載の照明光学系では、照明光が結合される際に通過する貫通開口部は、同時に結像光学系の瞳掩蔽を定義する。
【0027】
請求項10に記載の代替配列の利点は、請求項7に記載の照明光学系を参照して上述したものに対応する。
【0028】
請求項11に記載の投影露光装置の利点、請求項12に記載の製作方法の利点、及び請求項13に記載の構造化構成要素の利点は、本発明の照明系を参照して上述したものに対応する。光源は、LPP(レーザ生成プラズマ)光源又はGDP(ガス放電生成プラズマ)光源のようなEUV(極紫外)光源とすることができる。本発明の結像光学系は、投影露光装置に対して使用することができるだけではなく、特に、反射リソグラフィマスクの検査又は露光済みウェーハ基板の検査に対して使用することができる。この場合、上に述べた結像光学系の像視野は、検査デバイスの検査物体視野である。
【0029】
以下に図面を用いて本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
微細構造化構成要素又はナノ構造化構成要素の製作のためのリソグラフィ投影露光のための投影露光装置1は、照明光又は結像光3のための光源2を有する。光源2は、例えば、5nmと30nmの間、特に、5nmと10nmの間の波長範囲の光を生成するEUV光源である。光源2は、特に、6.9nm又は13.5nmの波長を有する光源とすることができる。他のEUV波長を考えることができる。投影露光装置1内でもたらされる照明光又は結像光3において、リソグラフィに使用されて適切な光源が利用可能である他の波長を考えることができる。
図1には照明光3のビーム経路を極めて概略的な図に示している。
【0032】
照明光学系7は、照明光3を光源2から物体平面5の物体視野4に誘導するために使用される。光源又は放射線源2によって放出された照明光3は、最初にコレクター6によって集光される。コレクター6の下流の照明ビーム経路には、一般的に中間焦点8が配置される。照明ビーム経路は、照明光3がコレクターを平行な形態で射出するように、中間焦点8なしで設計することができる。コレクター6又は中間焦点8の領域内で照明光3のスペクトルフィルタリングを発生させることができる。中間焦点8の下流の照明ビーム経路には、照明光学系7の最初のミラー9が配置される。この最初の照明光学系ミラー9は、視野ファセットミラーとすることができる。最初の照明光学系ミラー9の下流の照明ビーム経路には、照明光学系7の第2のミラー10が配置される。第2の照明光学系ミラーは、瞳ファセットミラーとすることができる。
【0033】
代替的に、ファセットミラーを持たない照明光学系を使用するように考えることができる。この種の照明光学系は、
図1に記載の照明光学系7のものに対応する照明ビーム経路を有することができる。
【0034】
第2の照明光学系ミラー10の下流の照明ビーム経路には、照明光学系7の結合ミラー11が配置される。結合ミラー11は、WO 2006/069725 Aの
図1k、
図11、及び
図1mから公知の支持体に対応する支持体によって支持することができる。
【0035】
結合ミラー11は、レチクル又はリソグラフィマスクの形態にある反射物体12が配置された物体視野4に照明光3を誘導する。
【0036】
コレクター6と最初の照明光学系ミラー9の間の部分照明ビーム経路は、第2の照明光学系ミラー10と結合ミラー11の間の部分照明ビーム経路と交わる。
【0037】
レチクル12上に入射する照明光3の光束のエネルギ重み付き光線入射方向又は中心光線入射方向13は、物体平面5に対する法線14と正確に一致する。すなわち、エネルギ重み付き光線入射方向13は、法線14と3°よりも小さい角度を構成し、
図1に記載の実施形態では正確に0°である。照明光学系7の設計が若干修正される場合には、エネルギ重み付き光線入射方向13と法線14の間の他の角度を考えることができ、例えば、エネルギ重み付き光線入射方向13と法線14の間の角度は、2.5°、2°、1.5°、1°、又は0.5°である。レチクル12上に入射する照明光3の光束のエッジ光線15(
図2を参照されたい)は、法線14と3°よりも小さい角度をなす。従って、レチクル12上に入射する照明光3の光束は、物体視野4上で3°よりも小さい最大入射角を有する。
【0038】
物体視野4の下流の投影露光装置1のビーム経路には、結像光3を誘導し、レチクル12を像平面18の像視野17に結像するための投影光学系の形態にある結像光学系16が配置される。結像光学系16内では、像平面18は、物体平面5と約15°の角度をなす。この角度は、結像誤差の補正という観点から、特に、像視野17にわたるテレセントリック性及び収差の補正という観点から結像光学系16の設計を容易にする。
【0039】
結像光学系16を用いた結像は、ウェーハ19の形態にある基板の面上で発生する。レチクル12及びウェーハ19は、支持体(図示せず)によって支持される。投影露光装置1はスキャナである。投影露光装置1が使用状態にある時には、レチクル12とウェーハ19の両方が、一方で物体平面5内、かつ他方で像平面18内で走査される。一方でレチクル12及び他方でウェーハ19が、ウェーハ19の個々の照明の合間に段階的に変位したステッパの形態にある投影露光装置1を使用するように考えることができる。
【0040】
図1は、第1の実施形態の結像光学系16の光学設計を示している。この図は、中心視野点によって放出された結像光3の10個の個々の光線20のビーム経路を示している。
【0041】
図1に記載の結像光学系16は、物体視野4から始まる個々の光線20のビーム経路の順序でM1からM6と番号が振られた合計で6つのミラーを有する。
図1は、結像光学系を設計する際に計算されたミラーM1からM6の反射面を示している。しかし、実際には、
図1に示すように、これらの面、特に、ミラーM3、M4の一区画しか使用されない。
【0042】
ミラーM1は、凹である。ミラーM2は、凸である。ミラーM3は、凹である。ミラーM4は、凸である。ミラーM5は、凸である。ミラーM6は、凹である。
【0043】
ミラーM1及びM2の各々は、結像光3が通過するための貫通開口部21,22を有する。従って、ミラーM1及びM2は掩蔽ミラーである。この掩蔽に起因して、結像光3の光束は、結像光学系16の近瞳領域内でいずれの個々の光線20も存在しない内側区域を有する。法線14及び中心入射光線13が通過するこの種の空き内側区域23は、ミラーM1とM3の間に配置される。この空き区域23内には、結合ミラー11が配置される。結合ミラー11は、結像光学系16のミラーM2内の貫通開口部23を通じて照明光3をシステム内に結合する。
【0044】
掩蔽されるためにビーム経路の一部ではない中心物体視野点の主光線は、結像光学系16内で0°の主光線角度αを有する。これは、中心物体視野点の主光線が、物体平面5に対する法線14と一致することを意味する。主光線角度αの定義は、参照番号20bを有する主光線が物体視野4内で反射レチクル上に入射する時の関係の概略図である
図1内の挿入図によって明らかになる。主光線角度αは、法線14と物体視野4によって反射された主光線20bの間の角度である。
【0045】
ミラーM2の下流の結像ビーム経路に配置された2つのミラーM3及びM4は、結像光3の反射のための連続するか又は閉じた反射面を有し、言い換えれば、これらのミラーはいずれの貫通開口部も持たない。ミラーM3及びM4に近い結像ビーム経路領域内には、結像光学系16の中間像24が配置される。従って、ミラーM3及びM4は、結像光学系16のテレセントリック性補正に適する近視野ミラーである。
【0046】
ミラーM4の下流の結像光学系16の結像ビーム経路に配置されたミラーM5及びM6には、ここでもまた、貫通開口部25、26が設けられる。
【0047】
従って、ミラーM5及びM6は、ここでもまた、掩蔽ミラーである。ミラーM5とM6の間には、ここでもまた、照明光3の光束内に空き領域27が存在し、空き領域27は、空き領域23の像である。
【0048】
ミラーM1及びM2は、結像光学系16の第1の掩蔽ミラー群を形成する。ミラーM3及びM4は、結像光学系16の非掩蔽ミラー群を形成する。ミラーM1及びM2は、結像光学系16の第2の掩蔽ミラー群を形成する。
【0049】
図2は、レチクル12において反射される前の照明及び結像光3と、反射された後の照明及び結像光3とのビーム経路関係の略拡大図である。照明光学系7の最初のミラー9は、中間焦点8と最初の照明光学系ミラー9の間の照明光3のビーム経路が、物体視野4の下流の照明光3のビーム経路に対して実質的に平行であるように、中間焦点8に対して配置される。従って、照明光束の誘導は、物体視野4の下流の照明光3の誘導に対して最初はほぼ平行である方向から始まる。従って、中間焦点8と照明光学系7の最初の照明光学系ミラー9との間では、部分照明ビームは、法線14に対して小さい角度で物体平面5に向けて延びている。法線14が垂直に延びる場合には、これを照明光学系7の垂直入射と呼ぶ。
【0050】
図3は、照明光3を誘導するミラーの配列の変形、言い換えれば、別の実施形態の照明光学系28を示している。
図1及び
図2を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度述べることはしない。
【0051】
図3に記載の実施形態では、照明光学系28の最初のミラー29は、中間焦点8と照明光学系ミラー29の間の照明光3のビーム経路が、物体視野4の下流の結像光3の光束誘導に対して垂直であるように、中間焦点8に対して配置される。従って、中間焦点8と最初の照明光学系ミラー29の間の部分結像ビームは、結像光3の光束を横切る。照明光3の光束の誘導は、物体視野4の下流の結像光の誘導に対して最初はほぼ垂直である方向から始まる。照明光学系28では、中間焦点8と最初の照明光学系ミラー29の間の部分照明ビームは、法線14に対してほぼ直角に物体平面5に向けて延びている。法線14が垂直である場合には、これを照明光学系28の水平入射と呼ぶ。
【0052】
照明光3の光束に対して、照明光学系28の第2のミラー30は、中間焦点と同じ側に配置される。従って、最初の照明光学系ミラー29と第2の照明光学系ミラー30の間の部分照明ビームは、ミラーM1とM2の間の結像光3の光束を再度横切る。結合ミラー11は、ここでもまた、第2の照明光学系ミラー30の下流のビーム経路に配置される。
【0053】
図3に従って照明光学系ミラー29、30を配置することにより、これらの照明光学系ミラー29、30上への照明光3の小さい入射角がもたらされ、それによって照明光学系ミラー29、30の高い反射性が可能になる。最初の照明光学系ミラー29は、視野ファセットミラーとすることができる。第2の照明光学系ミラー30は、瞳ファセットミラーとすることができる。
【0054】
以下は、投影露光装置1において結像光学系16の代わりに使用することができる別の実施形態の結像光学系31の
図4を用いた説明である。
図1及び
図2を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度述べることはしない。
図4は、図内で互いから垂直に離間された3つの物体視野点によって放出された3つの個々の光線20a、20b、20cのそれぞれのビーム経路を示している。これらの3つの物体視野点のうちの1つに属する3つの個々の光線20a、20b、20cは、各場合にこれらの3つの物体視野点に対する3つの異なる照明方向に関連付けられる。個々の光線20a及び20cは、エッジにおける2つのコマ光線であり、それに対して個々の光線20bは、それぞれの物体視野点によって放出された主光線である。
図4では、単に例示目的でこれらの主光線を結像光学系31の瞳の中心を通って延びるように示しており、これらの主光線は、結像光学系31の中心掩蔽に起因して結像光学系31の実結像ビーム経路ではない。
【0055】
結像光学系31の結像ビーム経路には、物体視野4の隣に結像光学系31の第1の瞳平面32が配置される。ミラーM2は、物体視野4と物体平面32の間に配置される。ミラーM1内の貫通開口部21と同じ高さに第1の中間像平面33が配置される。ミラーM2とM3の間のビーム経路内では、中間像平面33の下流に別の瞳平面34が配置される。ミラーM4とM5の間の照明ビーム経路には、別の中間像平面35が配置される。中間像平面35は、ミラーM4とミラーM6の間に配置される。
【0056】
結像光学系31の照明ビーム経路には、別の瞳平面36が配置され、瞳平面36は、ミラーM6とほぼ同じ高さにある。
【0057】
ミラーM1とM4は、背中合わせに配置される。ミラーM3とM6も同様に背中合わせに配置される。
【0058】
結像光学系31もまた、ミラーM1及びM2を含む第1の掩蔽ミラー群、それに続くミラーM3及びM4を含む非掩蔽ミラー群、及びそれに続くミラーM5及びM6を含む掩蔽ミラー群を有する。
【0059】
結像光学系31では、ミラーM1、M2、M3、及びM4は、近視野ミラーであり、言い換えれば、これらのミラーは、次式のパラメータを有する。
P(M)=D(SA)/(D(SA)+D(CR))
このパラメータは、0.9よりも大きくない値を有する。
【0060】
D(SA)は、ミラーMの場所における物体視野点の部分開口径である。D(CR)は、基準平面内、すなわち、同時に結像光学系31の鏡面対称面である
図4の作図面内でミラーMの面上の有効物体視野の主光線20bの最大距離である。
【0061】
以下の表は、結像光学系31の6つ全てのミラーM1からM6のパラメータP(M)に対する値を含む。
【0063】
結像光学系31では、物体平面5と像平面18は、互いと平行である。
【0064】
以下は、光学設計プログラム「Code V(登録商標)」を用いて得られた結像光学系31に関する光学設計データを含む表である。
【0065】
結像光学系31のミラーM1からM6は、回転対称関数によって説明することができない自由曲面である。ミラーM1からM6のうちの少なくとも1つがこの種の反射自由曲面を備えた結像光学系31の他の設計を考えることができる。
【0066】
この種の自由曲面は、回転対称基準面から得ることができる。マイクロリソグラフィ投影露光装置の投影光学系のミラーの反射面におけるこの種の自由曲面は、US 2007/0058269 A1に開示されている。
【0067】
自由曲面は、次式によって数学的に表すことができる。
ここで、
Zは、点xにおける自由曲面のサジタル高さy(x
2+y
2=r
2)である。
【0068】
cは、対応する非球面の頂点曲率に対応する定数である。kは、対応する非球面の円錐定数に対応する。C
jは、単項式X
mY
nの係数である。一般的にc、k及びC
jの値は、投影光学系7におけるミラーの望ましい光学特性に基づいて判断される。単項式の次数m+nは、ランダムに選択することができる。より高次の単項式は、より優れた像誤差補正を可能にする投影光学系をもたらすが、その計算は一層複雑である。m+nは、3と20超の間の値を取ることができる。
【0069】
また、例えば、光学設計プログラム「Code V(登録商標)」のマニュアルに説明されているゼルニケ多項式によって自由曲面を数学的に表すように考えることができる。代替的に、自由曲面は、ベジェ曲線又は不均一有理基底スプライン(NURBS)のような2次元スプライン面を用いて表すことができる。2次元スプライン面は、例えば、xy平面内の点格子及びそれに付随するz値により、又はこれらの点及びそれに付随する傾きによって表すことができる。スプライン面の種類に基づいて、全体の面は、例えば、連続性及び微分可能性に関して特定の特性を有する多項式又は関数を使用することによる格子点の間の内挿によって得られる。その例は解析関数である。
【0070】
ミラーM1からM6は、入射EUV照明光3の反射を最適化する複数の反射層を有する。個々の光線20の入射角が、ミラー面上に入射する時に垂直入射に近づく程、反射はより良好になる。
【0071】
以下に続く表の最初のものは、光学構成要素及び開口絞りの光学面の各々の頂点曲率の逆数(半径)、並びに物体平面から始まるビーム経路内の隣接要素のz距離に対応する距離値(厚み)を含む。第2の表は、ミラーM1からM6に対して上述の自由曲面式における単項式X
mY
nの係数C
jを含み、Nradiusは正規化係数である。第3の表は、それぞれのミラーがミラー基準設計から偏心(Y偏心)及び回転(X回転)した距離(単位mm)を含む。この距離は、自由曲面が設計される時に行われるy方向の平行移動及びx軸の回りの傾斜に対応する。傾斜角は度を単位とする。
【0075】
結像光学系は、物体視野4と像視野17の間で2倍の縮小倍率を有する。結像光学系31の物体側の開口数は、0.15である。物体視野4は、20mm×20mmのサイズを有する。結像光学系31の像側の開口数は、0.3である。結像光学系31の像視野17は、10mm×10mmのサイズを有する。
【0076】
以下は、投影露光装置1において結像光学系16の代わりに使用することができる別の実施形態の結像光学系37の
図5に基づく説明である。
図1及び
図2を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度述べることはしない。
【0077】
個々の光線20a、20b、20cを含む結像ビーム経路の図は、
図4に対応する図に対応する。
【0078】
結像光学系37では、物体平面5と像平面18とは互いと平行である。
【0079】
図6及び
図7は、照明光3の中心光線入射方向13が、レチクル12上に入射する時に物体平面5に対する法線14との事実上無視することができる角度をなす照明光3を結合する2つの基本的な可能性を略示している。
図6及び
図7の結像光を3と記し、結像光3を照明光3から区別することを可能にする。
【0080】
図6及び
図7に記載の照明例では、物体平面5に対する法線14は、照明光3の光束の結合ミラー11によって反射される時及びレチクル12上に入射する時の中心光線入射方向13と一致する。
【0081】
図6は、照明光3がレチクル12上への入射に向けて結合される時の関係を示しており、これらの関係は、
図1から
図5を参照して上述したものに対応する。この場合、結合ミラー11は、結像光3の光束の内側の空き区域23に配置される。空き区域23内の結像光3の放射フラックスの内側開口数は、結合ミラー11において反射された後にレチクル12上に入射する照明光3の光束の開口数よりも若干大きい。
図6に記載の結像光学系は、像側で開口数NA
Abbを有する。
図6に記載の照明例では、結合ミラー11において反射された後にレチクル12上に入射する照明光3の光束は、例えば、5°よりも小さく、4°よりも小さく、3°よりも小さく、2°よりも小さく、又は1°よりも小さいとすることができる小さい最大入射角を有する。最大入射角は、照明光3の光束の個々の光線のうちの1つと物体平面5に対する法線14とで作られる最大角度である。照明光3の光束は、事実上平行な個々の光線を伴ってレチクル12上に入射することができる。
【0082】
図7は、
図6に記載の照明とは逆のレチクル12の別の照明を示している。他の点では上に述べた実施形態の結合ミラー11に対応する
図7に記載の結合光学系の結合ミラー38は、
図7の挿入図によって略平面図に示すリング形の反射面39を有する。リング形の反射面39は、結合ミラー38の内側貫通開口部40を取り囲む。
【0083】
図7に記載の照明例では、レチクル12は、照明光3のリング形の光束、言い換えれば、環状の光束にさらされる。結合ミラー38上に入射する照明光3の光束の内側空き区域41は、照明光3のこの入射光束から見た貫通開口部40の投影部よりも若干大きい幅を有し、その結果、照明光3の光束は、結合ミラー38によってレチクル12に向けて完全に反射される。
【0084】
投影露光装置1において上述の結像光学系の代わりに使用することができる
図7に示していない結像光学系は、照明光3の光束の空き区域41の内側境界を定義するエッジ光線の物体側開口数よりも若干小さい物体側開口数を有する。結像光3の物体側開口数は非常に小さいので、結像光3は貫通開口部40を完全に通過することができ、言い換えれば、結合ミラー38の貫通開口部40を通過する時に、結像光3の損失は全くない。
【0085】
像側では、
図7に記載の結像光学系は、ここでもまた、NA
Abbという開口数を有する。
【0086】
例えば、
図6に記載の照明例では、結像は、レチクル12において、言い換えれば、結像される構造において少なくとも±1次の回折によって生成される結像光3によってのみ行うことができる。従って、この場合、ゼロ次の回折は結像に使用されない。
【0087】
上述の全ての実施形態の結像光学系は、各場合に次式を満たす少なくとも1つのミラーMを有する。
P(M)≦0.9
【0088】
微細構造化構成要素又はナノ構造化構成要素は、投影露光装置1を用いて次のように製作される。最初の段階では、レチクル12及びウェーハ19が準備される。その後に、レチクル12上の構造が、投影露光装置1を用いてウェーハ19上の感光層上に投影される。次に、感光層は現像されてウェーハ19上に微細構造又はナノ構造が形成され、その結果、微細構造化構成要素、例えば、高度に集積された回路の形態にある半導体構成要素が得られる。