(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、格別に断らない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0031】
[カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法]
本発明の一実施形態に係るカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸および/またはその塩(本明細書において、単に「修飾ヒアルロン酸類」と記載することもある。)の製造方法は、温度が30℃以下の含水溶媒中で、溶解した原料ヒアルロン酸および/またはその塩をハロ酢酸および/またはその塩と反応させる工程を含む。ここで、前記含水溶媒は、水、または水溶性有機溶媒と水との混合液であり、前記混合液中における水溶性有機溶媒の割合が60v/v%以下である。
【0032】
上記反応させる工程において、反応液(含水溶媒)中にヒアルロン酸および/またはその塩の少なくとも一部(好ましくは、ヒアルロン酸および/またはその塩の全部または大部分)とハロ酢酸および/またはその塩とが溶解した状態で該ヒアルロン酸および/またはその塩と該ハロ酢酸および/またはその塩とを反応させることができる。この場合、ヒアルロン酸および/またはその塩とハロ酢酸および/またはその塩とが溶解している点で、前記反応液は目視にて透明であってもよい。
【0033】
<原料ヒアルロン酸および/またはその塩>
本発明において、「ヒアルロン酸」とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類をいう。また、「ヒアルロン酸の塩」としては、特に限定されないが、食品または薬学上許容しうる塩であることが好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0034】
ヒアルロン酸は、基本的にはβ−D−グルクロン酸の1位とβ−D−N−アセチル−グルコサミンの3位とが結合した2糖単位を少なくとも1個含む2糖以上のものでかつβ−D−グルクロン酸とβ−D−N−アセチル−グルコサミンとから基本的に構成され、2糖単位が複数個結合したものである。該糖は不飽和糖であってもよく、不飽和糖としては、非還元末端糖、通常、グルクロン酸の4,5位炭素間が不飽和のもの等が挙げられる。
【0035】
本実施形態に係る製造方法に用いられる原料である原料ヒアルロン酸および/またはその塩は、動物等の天然物(例えば鶏冠、さい帯、皮膚、関節液などの生体組織など)から抽出されたものでもよく、または、微生物、動物細胞もしくは植物細胞を培養して得られたもの(例えばストレプトコッカス属の細菌等を用いた発酵法)、化学的または酵素的に合成されたものなどを使用することができる。
【0036】
原料ヒアルロン酸および/またはその塩としては、当該粗抽出物および精製物のいずれを用いてもよいが、精製物、具体的には、カルボキシメチル化が円滑に進行できる点で、純度が90%(質量比)以上の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を用いることが好ましい。
【0037】
<原料ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量>
本実施形態に係る製造方法において、前記反応させる工程で溶解させる原料ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は通常、カルボキシメチル化を円滑に行うことができる点で、4,000以上400万以下であることが好ましく、300万以下であることがより好ましい。なお、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は、下記の方法にて測定することができる。
【0038】
<分子量の測定方法>
即ち、約0.05gの(精製)ヒアルロン酸(本品)を精密に量り、0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液に溶かし、正確に100mLとした溶液及びこの溶液8mL、12mL並びに16mLを正確に量り、それぞれに0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液を加えて正確に20mLとした溶液を試料溶液とする。この試料溶液および0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液につき、日本薬局方(第十六改正)一般試験法の粘度測定法(第1法毛細管粘度測定法)により30.0±0.1℃で比粘度を測定し(式(A))、各濃度における還元粘度を算出する(式(B))。還元粘度を縦軸に、本品の換算した乾燥物に対する濃度(g/100mL)を横軸にとってグラフを描き、各点を結ぶ直線と縦軸との交点から極限粘度を求める。ここで求められた極限粘度をLaurentの式(式(C))に代入し、平均分子量を算出する(Torvard C Laurent,Marion Ryan,and Adolph Pietruszkiewicz,”Fractionation of hyaluronic Acid”, Biochemical et Biophysical Acta.,42,476−485(1960)、四方田千佳子、「ヒアルロン酸ナトリウム製剤のSEC−MALLSによる分子量評価」、国立衛研報、第121号,030−033(2003))。
【0039】
(式A)比粘度={試料溶液の所要流下秒数}/(0.2mol/L塩化ナトリウム溶液の所要流下秒数)}−1
(式B)還元粘度(dL/g)=比粘度/(本品の換算した乾燥物に対する濃度g/100mL))
(式C)極限粘度(dL/g)=3.6×10
−4M
0.78
M:平均分子量
【0040】
<原料ヒアルロン酸および/またはその塩の含有量>
原料ヒアルロン酸および/またはその塩において、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の含有量は、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の純度の指標であり、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の含有量が多いほど、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の純度が高いといえる。
【0041】
本発明において、原料ヒアルロン酸および/またはその塩におけるヒアルロン酸の含有量は、カルバゾール硫酸法(例えば日本薬局方)にて測定されたグルクロン酸定量値から算出された値である。
【0042】
カルバゾール硫酸法は、ホウ酸ナトリウム・硫酸溶液中にヒアルロン酸水溶液を加えて混和し、ヒアルロン酸を加熱分解した後冷却し、カルバゾール・エタノール溶液を加えて混和し、加熱後放冷した試料液の吸光度(530nm)を測定する方法である。同様に処理したD−グルクロノラクトンを用いて検量線を作成し、D−グルクロノラクトン換算値を算出した後、1.102を乗じてグルクロン酸定量値を求める。得られたグルクロン酸定量値に(ヒアルロン酸の分子量/グルクロン酸の分子量)を乗じてヒアルロン酸の含有量を算出する。
【0043】
<カルボキシメチル化>
本発明において、「修飾ヒアルロン酸および/またはその塩」とは、少なくとも一部に有機基が導入されているヒアルロン酸および/またはその塩のことをいい、ヒアルロン酸および/またはその塩とは異なる構造を有する。また、本発明において「有機基」とは、炭素原子を有する基のことをいう。
【0044】
また、本発明において、「カルボキシメチル基」とは、「−CH
2−CO
2H」または「−CH
2−CO
2−」で表される基のことをいう。
【0045】
したがって、本発明において、「カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸および/またはその塩」とは、少なくとも一部にカルボキシメチル基が導入されているヒアルロン酸および/またはその塩のことをいう。
【0046】
より具体的には、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類では、例えば、ヒアルロン酸(下記式(1)参照)を構成する水酸基(下記式(1)において、ヒアルロン酸を構成するN−アセチルグルコサミンのC−4位、C−6位、ならびに、ヒアルロン酸を構成するグルクロン酸のC−2位、C−3位)の少なくとも一部の水酸基の水素原子が、−CH
2−CO
2Hおよび/または−CH
2−CO
2−で表される基)に置換されていることができる。すなわち、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類では、これらの位置にある水酸基のうち1または2以上の位置にある水酸基の水素原子が、−CH
2−CO
2Hおよび/または−CH
2−CO
2−で表される基に置換されていてもよい。
【0047】
本発明において、「ヒアルロン酸を構成する2糖単位」とは、ヒアルロン酸を構成する、隣り合って結合する2糖(グルクロン酸およびN−アセチルグルコサミン)で構成される1単位をいい、「ヒアルロン酸を構成する2糖単位に対するカルボキシメチル化率」とは、該1単位に対する、該1単位に含まれるカルボキシメチル基の数であり、より具体的には、該1単位を100%とした場合、該1単位に対する、該1単位に含まれるカルボキシメチル基の数の割合(%)をいう。
【0048】
【化1】
(式中、nは1以上7,500以下の数を示す。)
【0049】
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は例えば、下記式(2)で表される化合物であることができる。
【0050】
【化2】
(式中、R
1〜R
5は独立して、水
素原子、−CH
2−CO
2Hで表される基、または−CH
2−CO
2−で表される基を表し(ただし、R
1〜R
5がいずれも水
素原子を表す場合を除く。)nは1以上7,500以下の数を示す。)
【0051】
<pH>
本実施形態に係る製造方法において、水酸基の求核性を高めることができる点で、前記反応に使用する塩基性条件下で行われることが好ましく、反応液(含水溶媒)のpHが9以上(9以上14以下、好ましくは10以上14以下、より好ましくは11以上14以下)であることがより好ましい。
【0052】
なお、反応液を塩基性に調整するために、塩基性電解質を反応液中で使用することができる。塩基性電解質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられる。後述する第1の例および第2の例のいずれの修飾ヒアルロン酸類を効率良く得ることができる点で、反応液中の塩基性電解質の濃度は例えば、0.2モル/L以上10モル/L以下であり、好ましくは、0.5モル/L以上であり、8モル/L以下である。
【0053】
また、後述する第1の例および第2の例のいずれの修飾ヒアルロン酸類を効率良く得ることができる点で、前記含水溶媒における前記ヒアルロン酸の濃度が0.05g/mL以上0.5g/mL以下であることが好ましい。
【0054】
<ハロ酢酸および/またはその塩>
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類の製造方法(以下、単に「本実施形態に係る製造方法」と略することもある。)において、ハロ酢酸および/またはその塩は、カルボキシメチル基を原料ヒアルロン酸および/またはその塩に導入するために使用される。
【0055】
ハロ酢酸は例えば、モノハロ酢酸および/またはその塩であることができ、より具体的には、クロロ酢酸および/またはその塩、または、ブロモ酢酸またはその塩であることが好ましい。ハロ酢酸の塩は例えば、クロロ酢酸のアルカリ金属塩および/またはブロモ酢酸のアルカリ金属塩であることが好ましく、クロロ酢酸ナトリウムおよび/またはブロモ酢酸ナトリウムであることがより好ましい。
【0056】
<ハロ酢酸および/またはその塩の使用量>
ハロ酢酸および/またはその塩の使用量は通常、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の使用量の10%以上500%以下(質量比)であり、50%以上200%以下(質量比)あることが好ましい。
【0057】
<含水溶媒>
本実施形態に係る製造方法において、前記含水溶媒が、水、または水溶性有機溶媒と水との混合液であることにより、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の溶解性に優れている。
【0058】
含水溶媒が水溶性有機溶媒と水との混合液である場合、すなわち、含水溶媒が水および水溶性有機溶媒の両方を含む場合、ヒアルロン酸の溶解性を高めることができる点で、該含水溶媒中における水溶性有機溶媒の割合は通常60v/v%以下(0v/v%を超えて60v/v%以下)であり、40v/v%以下(0v/v%を超えて40v/v%以下)であることが好ましい。
【0059】
水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等を挙げることができ、これらを単独でまたは組み合わせて使用することができる。このうち、イソプロパノール、エタノール等の炭素原子数1、2または3の低級アルコールが好ましい。
【0060】
<反応温度>
前記反応において、カルボキシル化を円滑に進行でき、かつ、分子量の低下を抑制できる点から、反応液の温度は通常30℃以下(好ましくは0℃を超えかつ30℃以下)であることが好ましく、10℃以下(好ましくは0℃を超えかつ30℃以下)であることがより好ましい。特に、反応液の温度を10℃以下とすることにより、高分子量(80万以上)の修飾ヒアルロン酸類を簡便に得ることができる。
【0061】
例えば、ハロ酢酸および/またはその塩としてクロロ酢酸および/またはその塩を使用する場合、カルボキシメチル化が円滑に進行でき、かつ、得られる修飾ヒアルロン酸類の褐変を抑えることができる点で、前記反応における反応液の温度は通常(好ましくは0℃を超えかつ30℃以下)であることができ、1℃以上30℃以下であることが好ましい。
【0062】
また、例えば、ハロ酢酸および/またはその塩としてブロモ酢酸および/またはその塩を使用する場合、カルボキシメチル化が円滑に進行でき、得られる修飾ヒアルロン酸類の褐変および分子量の低下を抑えることができる点で、前記反応における反応液の温度は通常10℃以下(好ましくは0℃を超えかつ10℃以下)であることができ、1℃以上10℃以下であることが好ましい。
【0063】
より具体的には、後述する第1の例である、高分子量(例えば分子量80万以上)であり、かつ、ヒアルロン酸を構成する2糖単位に対するカルボキシメチル化率(以下、単に「カルボキシメチル化率」ともいう。)が高い(例えば50%以上、好ましくは50%以上200%以下))修飾ヒアルロン酸類を製造するためには、ハロ酢酸および/またはその塩として、ブロモ酢酸および/またはその塩を使用して、反応液の温度を10℃以下(例えば、0℃を超えかつ10℃以下)で反応を行うことが好ましい。
【0064】
また、後述する第2の例である、低分子量(例えば分子量80万未満)であり、カルボキシメチル化率が高い(例えば60%以上、好ましくは60%以上200%以下)修飾ヒアルロン酸類を製造するためには、反応液の温度を10℃以上(例えば、10℃以上35℃以下、好ましくは15℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは室温)で反応を行うことが好ましい。
【0065】
<反応時間>
前記反応において、カルボキシル化を円滑に進行でき、かつ、分子量の低下を抑制できる点から、反応時間は通常30分以上100時間以下であることが好ましく、60分以上60時間以下であることがより好ましい。
【0066】
<第1製造例>
本実施形態に係る製造方法によれば、分子量が80万以上である、修飾ヒアルロン酸類を簡便に得ることができる。すなわち、本実施形態に係る製造方法によれば、高分子量であり、かつ、白色度が高い修飾ヒアルロン酸類を簡便に得ることができる。
【0067】
この場合、得られる修飾ヒアルロン酸類のカルボキシメチル化率が5%以上200%以下であることができる。
【0068】
<第2製造例>
本実施形態に係る製造方法において、分子量が4,000以上80万未満である、修飾ヒアルロン酸類を簡便に得ることができる。
【0069】
この場合、得られる修飾ヒアルロン酸類のカルボキシメチル化率が60%以上200%以下であることができる。すなわち、本実施形態に係る製造方法によれば、分子量が4,000以上80万未満と比較的低く、カルボキシメチル基が60%以上200%以下と高く、かつ、白色度が高い修飾ヒアルロン酸類を簡便に得ることができる。
【0070】
[カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸および/またはその塩]
<分子量>
本実施形態に係るカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸および/またはその塩(修飾ヒアルロン酸類)は、分子量が4,000以上200万以下である。本発明において、カルボキシルメチル基含有修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量は、以下の方法にて測定することができる。
【0071】
ゲル濾過カラムを用いて、分子量が既知である複数の(精製)ヒアルロン酸(基準物質)を液体クロマトグラフィー分析することで、それらの保持時間より検量線を作成する。同様に、測定対象である修飾ヒアルロン酸類を液体クロマトグラフィー分析し、前記検量線を用いて分子量を求めることで、修飾ヒアルロン酸類の分子量を求めることができる。
【0072】
前記液体クロマトグラフィー分析に使用することができる液体クロマトグラフィー分析装置としては、例えば、Waters Alliance 2690 HPLC Separations Module(Waters社製)、Waters Alliance 2695 HPLC Separations Module(Waters社製)、1200 Series(Agilent社製)が挙げられる。また、液体クロマトグラフィー分析に使用することができるカラムとしては、例えば、shodex社製 配位子交換クロマトグラフィー用カラム(配位子交換モード+サイズ排除モード)、型名「SUGAR KS−801」、「SUGAR KS−802」、「SUGAR KS−803」、「SUGAR KS−804」、「SUGAR KS−805」、「SUGAR KS−806」、「SUGAR KS−807」や、TOSOH製 サイズ排除クロマトグラフィーカラム、型名「TSKgel GMPW」が挙げられる。
【0073】
<カルボキシメチル化率>
本発明において、修飾ヒアルロン酸類のカルボキシメチル化率は、
1H−NMRスペクトルにおいて、ヒアルロン酸骨格中のC−2位に結合するN−アセチル基のメチル基(−CH
3)のプロトンを示すピーク(2ppm付近に発現)の積算値に対する、−CH
2−CO
2Hおよび/または−CH
2−CO
2−で表される基中のメチレン基(−CH
2−)のプロトンを示すピーク(3.8ppm以上4.2ppm以下の範囲に発現)の積算値の割合(%)で表される。
【0074】
また、同程度の分子量を有するヒアルロン酸に対して保水力が高いうえに、粘度が抑えられている点で、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、カルボキシメチル化率が5%以上200%以下であることができ、10%以上200%以下であることが好ましく、50%以上200%以下であることがより好ましく、60%以上200%以下であることがさらに好ましく、70%以上200%以下であることが特に好ましい。
【0075】
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類によれば、カルボキシメチル化率が5%以上200%以下であることにより、同程度の分子量を有するヒアルロン酸と比較して粘度が低い。このため、例えば、医薬品、化粧品、および食品の成分として使用することができる。
【0076】
<動粘度>
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類の動粘度は、動粘度が1mm
2/s以上200mm
2/s以下である。本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類の動粘度は、ウベローデ粘度計(柴田科学器械工業株式会社製)を用いて測定することができる。この際、流下秒数が200秒以上1,000秒になるような係数のウベローデ粘度計を選択する。また、測定は30℃の恒温水槽中で行ない、温度変化のないようにする。ウベローデ粘度計により測定された前記水溶液の流下秒数と、ウベローデ粘度計の係数との積により、動粘度(単位:mm
2/s)を求めることができる。
【0077】
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、同程度の分子量を有するヒアルロン酸および/またはその塩と比較して、動粘度が小さいため、べたつきが少なく、触感が良好(サラサラした触感を有する)であり、かつ、食感が良好である。
【0078】
<色相>
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類を例えば化粧料、食品組成物、および医薬品などに使用する場合、製品の色に影響を及ぼさないという点から、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は色の明度が高く、かつ、黄味が弱いほうが好ましい。
【0079】
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、色の色相を表すb値(以下、単に「b値」ともいう)が5以下であることができ、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、また、0以上であることが好ましい。
【0080】
b値は、物質が有する色の色相(hue)を規定する値であり、b値が大きいほど黄味が強いことを示し、一方、b値が小さいほど青味が強いことを示す。
【0081】
また、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、色の明度を表すL値(以下、単に「L値」ともいう)が90以上(90以上100以下)であることができ、L値が92以上であることが好ましく、L値が93以上であることがより好ましい。
【0082】
L値は、物質が有する色の明度(lightness)を規定する値であり、0〜100の間の数値で表される。L値が100である場合最も明るい状態(完全な白色)を示し、一方、L値が0である場合最も暗い状態(完全な黒色)を示す。
【0083】
b値およびL値は、JIS Z 8730によって規定される色差表示方法によって、Lab系色度座標で表示されることができる。また、b値およびL値は、市販の色差計により測定することができる。なお、本発明においては、固体の修飾ヒアルロン酸類について、b値およびL値を測定するものとする。
【0084】
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類のb値およびL値は、例えば、色差計(商品名「COLOR AND COLOR DIFFERENCE METERMODEL 1001 DP」,日本電色工業株式会社製)に10Φレンズを装着し、ガラスセルに測定試料1g以上を敷き詰めて測定することができる。
【0085】
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類によれば、色差計により測定されたb値が5以下(さらには、L値が90以上)であることにより、さらなる精製工程を必要とせずに、化粧料、食品、および医薬品の原料として使用することができる。
【0086】
<第1の例(高分子量体)>
(分子量および動粘度)
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類の第1の例(本発明において「高分子量体」ともいう。)は、カルボキシメチル化率が5%以上200%以下(好ましくは10%以上、40%以上であってもよく、あるいは50%以上であってもよく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上)であり、かつ、分子量が80万以上(好ましくは80万以上200万以下)である。この場合、第1の例は、動粘度が30mm
2/s以上200mm
2/s以下(好ましくは50mm
2/s以上200mm
2/s以下)であることができる。
【0087】
第1の例である修飾ヒアルロン酸類は、分子量が80万以上であり、カルボキシメチル化率が5%以上200%以下であることにより、高分子量でありながら、同程度の分子量のヒアルロン酸よりも粘度が低いため、例えば医薬品や化粧品の成分として使用した場合、手触りが良好である。
【0088】
分子量が80万以上のヒアルロン酸は、これより低分子のヒアルロン酸と比較して粘度が高いため、例えば医薬品や化粧品の成分として使用した場合、ヒアルロン酸の濃度が高くなると、使用時にべたつきを感じることがある。これに対して、該第1の例である修飾ヒアルロン酸類は、分子量が80万以上であり、かつ、カルボキシメチル化率が5%以上200%以下であることにより、分子量が80万以上と高分子量であるにも関わらず、同程度の分子量のヒアルロン酸よりも粘度が低いため、例えば医薬品や化粧品の成分として使用した場合、べたつきが少なく、手触りが良好であるうえ(サラサラした触感を有する)、優れた食感を有し、かつ、白色度が高い。
【0089】
<第2の例(低分子量体)>
(分子量および動粘度)
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類の第2の例(本発明において「低分子量体」ともいう。)は、カルボキシメチル化率が60%以上200%以下(好ましくは70%以上200%以下)であり、かつ、分子量が4,000以上80万未満である。この場合、第2の例は、動粘度が1mm
2/s以上30mm
2/s以下(好ましくは10mm
2/s以上29mm
2/s以下)であることができる。
【0090】
第2の例である修飾ヒアルロン酸類は、分子量が4,000以上80万未満であり、カルボキシメチル化率が60%以上200%以下であることにより、同程度の分子量のヒアルロン酸よりも粘度が低い。このため、例えば医薬品や化粧品の成分として使用した場合、手触りが良好であるうえ、優れた食感を有し、かつ、白色度が高い。
【0091】
<塩の変換>
本実施形態に係るカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸からその塩へと変換する方法、ならびに、本実施形態に係るカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の塩から該修飾ヒアルロン酸へと変換する方法は、特に限定されるわけではなく、公知の方法を用いて行なうことができる。
【0092】
本実施形態に係るカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸からその塩へと変換する方法としては、例えば、アルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム等の水溶液)を用いて処理する方法が挙げられる。また、本実施形態に係るカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の塩から該修飾ヒアルロン酸へと変換する方法としては、例えば、酸水溶液(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の水溶液)を用いて処理する方法や、酸性陽イオン交換樹脂を用いる方法が挙げられる。
【0093】
<用途>
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、該カルボキシメチル基を構成するカルボキシル基に起因して、高い保水効果を有する。このため、例えば皮膚等の生体組織において高い保水効果を有する。本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、生体組織の表面に塗布または接触して摂取させてもよいし、特に、顔、腕、手指、足、関節などの皮膚に塗布または接触させるのが好ましい。
【0094】
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、該カルボキシメチル基を構成するカルボキシル基に起因して、同程度の分子量を有するヒアルロン酸と比較して粘度が低い。このため、例えば化粧料に使用した場合、べたつきが少なく、手触りが良好である(サラサラした触感を有する)ため、化粧品の成分として使用することができる。そのうえ、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、水に対する溶解性に優れているため、例えば水を含有する種々の製品に使用できる。
【0095】
あるいは、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、経口摂取することができる。よって、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、例えば医薬品および食品の成分として使用することができる。
【0096】
[作用効果]
<公知技術(カルボキシメチル化セルロースの製造方法)>
本実施形態に係る製造方法の作用効果を説明するにあたり、まず、公知技術である、カルボキシメチル化セルロースの製造方法について説明する。
【0097】
カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」ともいう)は例えば、乳化剤、増粘剤等として幅広く利用されている。このCMCは、工業的には、セルロースを大量のアルカリ水で処理してアルカリセルロースとした後、含水有機溶媒中に分散させてモノハロ酢酸と反応させることにより、製造される(特開2000−34301号公報)。
【0098】
しかしながら、上記の方法を用いてヒアルロン酸をカルボキシメチル化しようとした場合、ヒアルロン酸のカルボキシメチル化が十分に進行しない。その理由として、ヒアルロン酸が含水有機溶媒に十分に溶解しないことが推測される。
【0099】
<作用効果>
(修飾ヒアルロン酸類の製造方法)
(1)褐変の防止
本実施形態に係る製造方法によれば、温度が30℃以下の含水溶媒中で、溶解した原料ヒアルロン酸および/またはその塩をハロ酢酸および/またはその塩と反応させる工程を含むことにより、白色度が高い(例えばb値が5以下)修飾ヒアルロン酸類を簡便に得ることができる。
【0100】
より具体的には、上記本実施形態に係る製造方法によれば、反応液(混合液)中で、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の少なくとも一部とハロ酢酸および/またはその塩とが溶解した状態で該ヒアルロン酸および/またはその塩と該ハロ酢酸および/またはその塩とを反応させることができる。このため、前記反応液中において、該原料ヒアルロン酸および/またはその塩と該ハロ酢酸および/またはその塩との反応性に優れているため、カルボキシメチル化が円滑に進行する。これにより、得られる修飾ヒアルロン酸類の褐変を防止することができるため、白色度が高い修飾ヒアルロン酸を簡便に得ることができる。
【0101】
このため、本実施形態に係る製造方法によれば、活性炭処理等の通常の精製を経なくても、白色度が高い修飾ヒアルロン酸類を簡便に得ることができるため、製造効率が優れている。なお、本実施形態に係る製造方法は、上記反応させる工程の後に、活性炭処理等の通常の精製を行うことを除外するものではない。
【0102】
(2)カルボキシメチル化率の調整
本実施形態に係る製造方法によれば、温度が30℃以下の含水溶媒中で、溶解した原料ヒアルロン酸および/またはその塩をハロ酢酸および/またはその塩と反応させる工程を含むことにより、所定のカルボキシメチル化率を有する修飾ヒアルロン酸を得ることができる。ここで、カルボキシメチル化率は例えば、ハロ酢酸および/またはその塩の濃度および種類、pH、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の濃度および分子量、反応温度および反応時間を適宜選択することにより、調整することができる。
【0103】
(3)高いカルボキシメチル化率
特に、本実施形態に係る製造方法によれば、上述したように、前記反応液中において、該溶解した原料ヒアルロン酸および/またはその塩と該ハロ酢酸および/またはその塩との反応性に優れているため、カルボキシメチル化が円滑に進行することから、白色度が高く、かつカルボキシメチル化率が高い(例えば、50%以上)修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を効率良く得ることができる。
【0104】
(4)後処理の簡便性
本実施形態に係る製造方法では、上記反応させる工程において、生成した修飾ヒアルロン酸類は反応液中で溶解している。このため、該反応液に例えばエタノール等の有機溶媒を添加して、生成した修飾ヒアルロン酸類を沈殿させて回収することにより、生成した修飾ヒアルロン酸類と、反応剤であるハロ酢酸および/またはその塩とを容易に分離することができる。このため、後処理が簡便である。
【0105】
(修飾ヒアルロン酸類の作用効果)
(1)保水効果の向上
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、カルボキシメチル基を有することにより、修飾されていない同程度の分子量のヒアルロン酸および/またはその塩と比較して、カルボキシル基をより多く含むため、保水効果がより優れている。
【0106】
より具体的には、該カルボキシメチル基中のカルボキシル基が水と水素結合を構成するため、該カルボキシル基に起因して保水力がより高くなると推測される。
【0107】
(2)優れた触感および食感
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類に含まれるカルボキシメチル基を構成するカルボキシルイオン(CO
2−)の負電荷同士が反発することによって、該修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の立体構造中のからみが少なくなるため、粘度が低くなると推測される。
【0108】
したがって、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類によれば、分子量が80万以上であり、カルボキシメチル化率が5%以上200%以下であるか、または、分子量が4,000以上80万未満であり、カルボキシメチル化率が60%以上200%以下であることにより、高い保水力を有し、かつ、同程度の分子量のヒアルロン酸と比較して粘度が小さい。これにより、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類はべたつきが少なく、触感が良好(サラサラした触感を有する)であり、かつ、食感が良好であるため、例えば医薬品、化粧品および食品の成分として使用することができる。
【0109】
(3)高い白色度
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、本実施形態に係る製造方法で得られたものであることにより、反応中の褐変が抑えられている。本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は例えば、色の色相を表すb値が5以下であり、白色度が高い。
【0110】
(4)優れた生体適合性
カルボキシメチル基は生体適合性が高く、抗原性が低い。このため、カルボキシメチル基を有するカルボキシメチル化セルロースは、上述したように、化粧品、医薬品、食品等の幅広い用途に使用されている。さらに、ヒアルロン酸は、化粧品、医薬品、食品等の幅広い用途に使用されている。したがって、ヒアルロン酸の官能基の一部がカルボキシメチル化された、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、生体適合性が高く、抗原性が低い。
【0111】
(5)着想の独創性
なお、ヒアルロン酸は元来、水溶性に優れている点で、元来、難水溶性であるセルロースとは異なる。すなわち、セルロースは、水溶性の向上を目的としてカルボキシメチル化するのに対して、ヒアルロン酸のカルボキシメチル化は、水溶性の向上を目的とするというよりも、保水効果のさらなる向上を目的とするものである点で、セルロースのカルボキシメチル化とは着想および作用効果が全く異なる、新規でかつ独創性を有するものである。
【0112】
[化粧料]
本発明の一実施形態に係る化粧料は、上記実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類を含有する。本実施形態に係る化粧料における、修飾ヒアルロン酸類の含有量は例えば0.001質量%以上5質量%以下であり、使用形態に応じて適宜決定することができる。
【0113】
本実施形態に係る化粧料の態様は特に限定されないが、例えば、皮膚用化粧料が挙げられる。上記実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類を皮膚用化粧料に使用することにより、適度な粘度を有し、かつ、保水効果が高いため、皮膚に潤いを付与し、皮膚のかさつき感を改善することができる。
【0114】
本実施形態に係る皮膚用化粧料の態様としては、例えば、洗顔料、洗浄料、化粧水(例えば、美白化粧水)、クリーム(例えば、バニシングクリーム、コールドクリーム)、乳液、美容液、パック(例えば、ゼリー状ピールオフタイプ、ペースト状拭き取りタイプ、粉末状洗い流しタイプ)、クレンジング、ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、頬紅、シェービングローション、アフターサンローション、デオドラントローション、ボディローション(ハンドケアローション、フットケアローションを含む)、ボディオイル、石鹸、入浴剤が挙げられる。
【0115】
本実施形態に係る化粧料にはさらに、以下の成分が配合されていてもよい。前記成分としては、例えば、カチオン化多糖類(例えば、カチオン化ヒアルロン酸、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化澱粉、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化デキストラン、カチオン化キトサン、カチオン化ハチミツ等)、アニオン界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等)、非イオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等)、陽イオン界面活性剤(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等)、両性界面活性剤(例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、卵黄レシチン、大豆レシチン等)、油分(例えば、シリコーン、シリコーン誘導体、流動パラフィン、スクワラン、ミツロウ、カルナバロウ、オリーブ油、アボガド油、ツバキ油、ホホバ油、馬油等)、保湿剤(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、セラミド、ラウロイルグルタミン酸ジフィトステリルオクチルドデシル、フィトグリコーゲン、加水分解卵殻膜、トレハロース、グリセリン、アテロコラーゲン、ソルビトール、マルチトール、1,3−ブチレングリコール等)、高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ベヘニン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等)、高級アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、バチルアルコール等)、多価アルコール(例えば、グリセリン、ジグリセリン、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール等)、増粘剤(例えば、セルロースエーテル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、パルミチン酸デキストリン等)、両性高分子樹脂化合物(例えば、ベタイン化ジアルキルアミノアルキルアクリレート共重合体等)、カチオン性高分子樹脂化合物(例えば、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体カチオン化物、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド型カチオン性ポリマー等)、防腐剤(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(例えば、トコフェノール、BHT等)、金属封鎖剤(例えば、エデト酸塩、エチドロン酸塩等)、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等)、紫外線反射剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)、タンパク質加水分解物(例えば、ケラチンペプチド、コラーゲンペプチド、大豆ペプチド、コムギペプチド、ミルクペプチド、シルクペプチド、卵白ペプチド等)、アミノ酸(例えば、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ヒドロキシプロリン、システイン、セリン、L−テアニン等)、天然物エキス(クジンエキス、カジルエキス海草エキス、ユーカリエキス、ローヤルゼリーエキス、ローズマリーエキス、ブナの木エキス等)、その他の機能性成分(コエンザイムQ10、アルブチン、ポリクオタニウム51、エラスチン、白金ナノコロイド、パルミチン酸レチノール、パンテノール、アラントイン、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、L−アスコルビン酸2−グルコシド、エラグ酸、コウジ酸、リノール酸、トラネキサム酸等)、リン脂質ポリマー、香料、色素が挙げられる。
【0116】
[食品組成物]
本発明の一実施形態に係る食品組成物は、上記実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類を含有する。本実施形態に係る食品組成物における、修飾ヒアルロン酸類の含有量は例えば0.001質量%以上5質量%以下であり、使用形態に応じて適宜決定することができる。上記実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類を食品組成物に使用することにより、同程度のヒアルロン酸と比較して粘度が抑えられているため、食感に優れている。
【0117】
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類を含有する食品組成物の態様は特に限定されないが、例えば、主食である米飯加工食品、製パン類等、副食であるレトルト缶詰、冷凍食品、惣菜、乾燥食品等、マヨネーズ等調味料、飲料、菓子、デザート類、液状,ゲル状またはソフトカプセル状等のサプリメント類等の一般食品全般のほか、生理機能を表現することを許可された特定保健用食品全般を挙げることができる。
【0118】
[医薬品組成物]
本発明の一実施形態に係る医薬品組成物は、上記実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類を含有する。本実施形態に係る医薬品組成物における、修飾ヒアルロン酸類の含有量は例えば0.001質量%5質量%以下であり、使用形態に応じて適宜決定することができる。上記実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類を医薬品組成物に使用することにより、同程度のヒアルロン酸と比較して粘度が抑えられているため、食感に優れている。
【0119】
本実施形態に係る医薬品組成物の使用形態には、特に制限はなく、粉末状、顆粒状、高濃度液状、低濃度液状等の使用形態とすることができる。上記実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類の分子量の安定性を鑑み、液状より乾燥形態が好ましい。
【0120】
なお、本実施形態に係る医薬品組成物には、必要に応じて、増量剤、結合剤、滑沢剤、保存剤、酸化防止剤、香料、甘味料、酸味料、賦形剤等を配合することができる。また、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンE等のビタミン類、核酸、コンドロイチン硫酸、コラーゲン等の栄養成分、鉄、亜鉛等のミネラル成分等の各種栄養成分を配合することもできる。
【0121】
[実施例]
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【0122】
<実験例1:カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の調製>
30mLのサンプル瓶に水酸化ナトリウム1.04gを秤り取った後、水8mLを添加して溶解させた。次に、ヒアルロン酸2.0gを添加し溶解させた後、モノクロロ酢酸ナトリウム1.52gを添加して溶解させて、室温で48時間静置した。ここで、前記反応液のpHは13であった。その後、200mLビーカーにエタノール80mLを入れ、該反応液を撹拌しながら添加し、カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を沈殿させた。その後、400メッシュのろ布で沈殿を200mLビーカーに回収した後、10%塩化ナトリウム水溶液40mLを添加して沈殿を溶解させた。さらに、8%塩酸水溶液でpHを調製した後、溶解液に撹拌しながらエタノール80mLを入れ、再度カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を沈殿させた。80%含水エタノール100mLで3回洗浄した後、減圧濾過し、55℃で3時間減圧乾燥することにより、実験番号1のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を得た。
【0123】
<実験例2:カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の調製>
水酸化ナトリウムの濃度、含水溶媒の使用量、溶媒の種類、ハロ酢酸および/またはその塩の種類および使用量、反応温度、および反応時間を表1および表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実験番号2ないし36のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を得た。なお、本実施例において、「室温」とは、25℃以上30℃以下の温度を意味する。
【0124】
なお、表1は、ハロ酢酸および/またはその塩としてモノクロロ酢酸ナトリウムを使用した結果を示しており、表2は、ハロ酢酸および/またはその塩としてモノブロモ酢酸を使用した結果を示している。
【0125】
また、実験番号2ないし36の反応液のpHはいずれも、10以上14以下の範囲であった。
【0126】
実験番号1ないし17,19ないし29,31ないし36のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を目視にて確認したところ、白色であった(b値が5以下であった)。一方、上記実験番号18および30のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を目視にて確認したところ、褐変が認められた(b値が5を大きく超えていた)。
【0129】
実験番号1ないし36で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の分子量は、上述の実施形態に記載された方法によって測定された。また、実験番号2,20,21,23,27,36で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の動粘度を、上述の実施形態に記載された方法によって測定したところ、それぞれ、3.49mm
2/s、91.8mm
2/s、54.7mm
2/s、92mm
2/s、9.69mm
2/s、121.10mm
2/sであった。なお、実験番号1ないし36で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸のカルボキシメチル化率は、以下の方法にて
1H−NMRスペクトルの積算値より求めた。
【0130】
(試料調製)
試料7mgと内部標準物質4,4−ジメチル−4−シラペンタンスルホン酸ナトリウム(DSS)1mgを重水0.7mLに溶かし、NMR試料管に移し入れ、キャップした。
【0131】
(測定条件)
装置:Varian NMR system 400NB型(バリアンテクノロジーズジャパンリミテッド)
観測周波数:400MHz
温度:30℃
基準:DSS(0ppm)
積算回数:64回
【0132】
(解析方法)
1H−NMRスペクトルの2.0ppm付近に現れるヒアルロン酸のN−アセチル基(CH
3)のピークと、3.8ppm以上4.2ppm以下の範囲に現れるカルボキシメチル基のメチレン基(−CH
2―)のピークを積分した。積分値から下記の式より、修飾ヒアルロン酸を構成するヒアルロン酸の2糖繰り返し単位毎に結合しているカルボキシメチル基の数を、カルボキシメチル化率(CM化率)を求めた。
CM化率=(3.8ppm以上4.2ppm以下の範囲に現れるピーク積分値/2)/(2.0PPMのピーク積分値/3)
【0133】
表1および表2に示されるように、上記実験番号1ないし15,19ないし29,31ないし36のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸によれば、温度が30℃以下の含水溶媒中で、溶解した原料ヒアルロン酸および/またはその塩をハロ酢酸および/またはその塩と反応させる工程を含み、前記含水溶媒は、水、または水溶性有機溶媒と水との混合液であり、前記混合液中における水溶性有機溶媒の割合が60v/v%以下であることにより、白色度が高く、かつ、カルボキシメチル化率が高い修飾ヒアルロン酸を簡便な方法にて得られることが理解できる。
【0134】
なかでも、上記実験番号20ないし26,31ないし36のように、ハロ酢酸および/またはその塩としてモノブロモ酢酸を使用し、かつ、温度が10℃以下の含水溶媒中で当該反応を行う場合、白色度が高く、かつ、高い分子量(80万以上)かつ高いカルボキシメチル化率(40%以上、好ましくは50%以上)を有する修飾ヒアルロン酸を得られることが理解できる。該修飾ヒアルロン酸は保水力を有し、かつ、同程度の分子量のヒアルロン酸と比較して粘度が小さいことが理解できる。これにより、本発明のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸および/またはその塩はべたつきが少なく、触感が良好でありべたつきが少なく、手触りが良好であり(サラサラした触感を有する)、かつ、食感が良好であるため、例えば医薬品、化粧品および食品の成分として使用することができる。
【0135】
また、上記実験番号27ないし29のように、ハロ酢酸および/またはその塩としてモノブロモ酢酸を使用し、かつ、温度が30℃以下の含水溶媒中で当該反応を行う場合、白色度が高く、4,000以上80万未満の分子量を有し、かつ、高いカルボキシメチル化率(60%以上)を有する修飾ヒアルロン酸を得られることが理解できる。
【0136】
さらに、上記実験番号3,9ないし13,15,19のように、ハロ酢酸および/またはその塩としてモノクロロ酢酸ナトリウムを使用して、温度が30℃以下の含水溶媒中で当該反応を行う場合、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量、反応温度、反応時間、および使用するモノクロロ酢酸ナトリウムや水酸化ナトリウムの量を調整することにより、白色度が高く、高い分子量(80万以上)を有し、かつ、5%以上200%以下のカルボキシメチル化率を有する修飾ヒアルロン酸を得られることが理解できる。
【0137】
さらに、上記実験番号1,2,4ないし8,14のように、ハロ酢酸および/またはその塩としてモノクロロ酢酸ナトリウムを使用して、温度が30℃以下の含水溶媒中で当該反応を行う場合、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量、反応温度、反応時間、および使用するモノクロロ酢酸ナトリウムや水酸化ナトリウムの量を調整することにより、白色度が高く、4,000以上80万未満の分子量を有し、かつ、高いカルボキシメチル化率(60%以上200%以下)のカルボキシメチル化率を有する修飾ヒアルロン酸を得られることが理解できる。
【0138】
これに対して、上記実験番号16および17では、比較的低分子(80万未満)で、かつ、高いカルボキシメチル化率(60%以上200%以下)のカルボキシメチル化率を有する修飾ヒアルロン酸を得ることはできなかった。
【0139】
上記実験番号16および17では、反応に使用する含水溶媒中における水溶性有機溶媒の割合が60v/v%を超えていたため、反応に用いたヒアルロン酸の大部分が該含水溶媒に溶解せず、反応液が2相に分離した。このため、上記実験番号16および17では、反応終了後、反応に用いたモノクロロ酢酸ナトリウムを完全に除去するために、反応生成物を一旦、水に溶解させた後、沈殿して精製しなければならず、後処理が煩雑であった。
【0140】
これに対して、上記実験番号1ないし15,18,20ないし29,31ないし36では、生成したカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸が反応液中で溶解していた。このため、該反応液にエタノールを添加して、生成したカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を沈殿させて回収することにより、生成したカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸と、反応剤であるハロ酢酸および/またはその塩とを容易に分離することができ、後処理が簡便であった。
【0141】
<試験例1:保水力試験>
秤量瓶を酸化リン(V)10gと一緒に真空乾燥機に入れ、減圧下、60℃で30分間乾燥させた。乾燥させた秤量瓶をデシケーター中で冷ました後、空の秤量瓶の重量を測定し、上記実験番号6,12および23のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の1.0%液を1.0g秤量した。また、上記実験番号6,12および23で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸と同じかまたは近似する分子量(20万,90万,120万)を有する3種類のヒアルロン酸(いずれもキユーピー株式会社製)も同様の処理にて、秤量瓶に秤量した。次に、これらの秤量瓶を、シリカゲルを同封したデシケーターに入れて、35℃の恒温機に入れて22.5時間保持した後に質量を測定した。以下の式に基づいて、保水率(%)を算出した。
保水率(%)={(恒温機に入れる前のサンプルの質量)−(22.5時間後のサンプルの質量)}/(恒温機に入れる前のサンプルの質量)×100(%)
【0142】
上記修飾ヒアルロン酸および上記ヒアルロン酸の保水率の測定結果を
図1に示す。
図1のグラフにおいて、左側はヒアルロン酸(未修飾)の保水率、右側はカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の保水率であり、分子量ごとにペアにして示す。
【0143】
図1によれば、本発明のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸は、同程度の分子量のヒアルロン酸と比較して保水率が高いことが理解できる。
【0144】
<試験例2:官能試験>
上記実験番号21の修飾ヒアルロン酸の粘度(目視)および感触について、官能評価を行った。官能評価においては、コントロール(対照)として、それぞれ分子量80万および分子量117万のヒアルロン酸(いずれもキユーピー株式会社製)を使用した。
【0145】
評価は、パネラーとして成人男女6名(男性5名、女性1名)が行い、分子量80万の粘度(目視)および感触を3点として、以下の評価基準により行った。6名の評価結果の平均を
図2および
図3にそれぞれ示す。
【0146】
なお、評価試料は、各試料の濃度が1%の水溶液を用いた。また、感触については、該水溶液を上腕に塗布したときの感触を評価した。
【0147】
(評価基準)
粘度(目視)…5点(粘度が高い)、4点(粘度がやや高い)、3点(粘度が普通)、2点(粘度がやや低い)、1点(粘度が低い)
感触…5点(さらっとしている)、4点(べたつきが少なく、どちらかといえばさらっとしている)、3点(べたつきがある)、2点(べたつきがやや大きい)、1点(べたつきが大きい)
【0148】
図2および
図3によれば、本発明のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸は、同程度の分子量を有するヒアルロン酸と比較して、べたつきが少なくてさらっとしており、かつ、粘度が低い外観を有することが理解できる。
【0149】
<試験例3:白色度>
上記実験番号の18,21および30のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸のb値およびL値を、色差計(商品名「COLOR AND COLOR DIFFERENCE METERMODEL 1001 DP」,日本電色工業株式会社製)に10Φレンズを装着し、ガラスセルに測定試料1g以上を敷き詰めて測定した。その結果を表3に示す。
【0151】
上記実験番号21のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸は、30℃以下の温度で反応を行って得られたものであるため、目視で白色であることが認められ、かつ、色の色相を表すb値が5以下であることから、白色度が高いことが理解できる。
【0152】
これに対して、上記実験番号18,30のカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸は、30℃を超える温度で反応を行って得られたため、目視で褐変が認められ、かつ、色の色相を表すb値が5を大幅に超えていたことから、白色度が低いことが理解できる。
【0153】
<配合例1:化粧水>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合した化粧水を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 0.2%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1%
加水分解ヒアルロン酸 0.1%
加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12−13)グリセリル 0.1%
コラーゲンペプチド 0.1%
1,3−ブチレングリコール 5.0%
グリセリン 3.0%
イソステアリルアルコール 0.1%
酢酸トコフェロール 0.1%
POE(20)ソルビタンモノラウリル酸エステル 0.5%
POE(15)ラウリルアルコールエーテル 0.5%
ピロリドンカルボン酸亜鉛 0.1%
エチルパラベン 0.1%
メチルパラベン 0.15%
エタノール 5.0%
香料 適量
精製水 残量
【0154】
<配合例2:乳液>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合した乳液を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 0.3%
ペンチレングリコール 5.0%
グリセリン 3.0%
スクワラン 5.0%
ステアリン酸 0.5%
ステアリルアルコール 2.0%
ワセリン 4.0%
ステアリン酸ソルビタン 1.0%
POE(10)モノステアリン酸エステル 1.0%
カルボキシビニルポリマー 0.5%
ポリクオタニウム−51 0.1%
メチルパラベン 0.15%
プロピルパラベン 0.1%
水酸化カリウム 0.1%
BHT 0.02%
EDTA−2ナトリウム 0.02%
香料 適量
精製水 残量
【0155】
<配合例3:クリーム>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例2で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合したクリーム(エモリエントクリーム)を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例2) 0.5%
ポリエチレングリコール 4.0%
1,3−プロパンジオール 6.0%
スクワラン 11.0%
ジメチコン 1.0%
セタノール 6.0%
ステアリン酸 2.0%
水添ココグリセリル 4.0%
トリカプリリン 8.0%
モノステアリン酸グリセリン 3.0%
POE(20)セチルアルコールエーテル 2.0%
コエンザイムQ10 0.03%
セラミド 0.1%
ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム 0.1%
EDTA−2ナトリウム 0.02%
プロピルパラベン 0.1%
メチルパラベン 0.15%
香料 適量
精製水 残量
【0156】
<配合例4:美容液>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例2で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合した美容液(美白保湿エッセンス)を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例2) 0.8%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.2%
加水分解ヒアルロン酸 0.1%
1,3−ブチレングリコール 5.0%
グリセリン 1.5%
POEソルビタンモノステアリン酸エステル 1.0%
ソルビタンモノステアリン酸エステル 0.5%
キサンタンガム 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.2%
カルボキシビニルポリマー 0.2%
水酸化カリウム 0.1%
オリーブ油 0.2%
トコフェロール 0.1%
EDTA−2ナトリウム 0.02%
アルギニン 0.15%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05%
アルブチン 0.2%
パルミチン酸レチノール 0.2%
クジンエキス 0.2%
海藻エキス 0.2%
トラネキサム酸 0.1%
エラスチン 0.1%
コラーゲン 0.1%
リン酸アスコルビン酸マグネシウム 0.1%
クエン酸ナトリウム 1.0%
クエン酸 0.1%
プロピルパラベン 0.1%
メチルパラベン 0.15%
香料 適量
精製水 残量
【0157】
<配合例5:美容液パック>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合した美容液パック(ペースト状ピールオフタイプ)を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 0.5%
ポリ酢酸ビニルエマルジョン 17.0%
ポリビニルアルコール 11.0%
ソルビトール 5.0%
ポリエチレングリコール400 5.0%
スクワラン 2.5%
POEソルビタンモノステアリン酸エステル 1.0%
酸化チタン 4.0%
タルク 8.0%
エタノール 8.0%
メチルパラベン 0.15%
香料 適量
精製水 残量
【0158】
<配合例6:洗顔料>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合した洗顔料(クレンジングフォーム)を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 0.2%
カチオン化ヒアルロン酸 0.1%
(キユーピー株式会社製、ヒアロベール)
グリセリン 10.0%
ポリエチレングリコール400 15.0%
ジプロピレングリコール 10.0%
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 20.0%
POE(2)モノステアリン酸エステル 5.0%
パーム脂肪酸グルタミン酸ナトリウム 8.0%
アルキルベタイン 2.0%
EDTA−2ナトリウム 0.02%
プロピルパラベン 0.1%
メチルパラベン 0.15%
香料 適量
精製水 残量
【0159】
<配合例7:サンスクリーン>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合したサンスクリーン(乳液)を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 0.2%
1,3−ブチレングリコール 3.0%
ジプロピレングリコール 3.0%
シクロメチコン 5.0%
ジメチコン 5.0%
セタノール 1.0%
ワセリン 1.0%
メトキシケイヒ酸オクチル 5.0%
酸化チタン 2.0%
酸化亜鉛 2.0%
ステアリン酸ソルビタン 1.0%
POE(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.0%
フェノキシエタノール 0.8%
メチルパラベン 0.1%
香料 適量
精製水 残量
【0160】
<配合例8:リップクリーム>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合したリップクリームを調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 0.1%
マイクロクリスタリンワックス 1.5%
セレシン 12.0%
スクワラン 10.0%
デカメチルテトラシロキサン 10.0%
リンゴ酸ジイソステアリル 5.0%
キャンデリラロウ 2.0%
ワセリン 8.0%
ヒドロキシステアリン酸グリセリル 2.0%
メントール 0.05%
流動パラフィン 1.0%
酢酸トコフェロール 0.1%
トコフェロール 0.05%
プロピルパラベン 0.1%
香料 適量
精製水 残量
【0161】
<配合例9:シャンプー>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合したシャンプーを調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 0.2%
カチオン化ヒアルロン酸 0.1%
(キユーピー株式会社製、ヒアロベール)
POE(20)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 11.0%
ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム 10.0%
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 4.0%
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 2.0%
EDTA−2ナトリウム 0.1%
安息香酸ナトリウム 0.2%
フェノキシエタノール 0.8%
メチルパラベン 0.1%
香料 適量
精製水 残量
【0162】
<配合例10:ヘアコンディショナー>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合したヘアコンディショナーを調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 0.3%
カチオン化ヒアルロン酸 0.2%
(キユーピー株式会社製、ヒアロベール)
ステアリルアルコール 4.0%
セタノール 1.5%
ヒドロキシエチルウレア 1.0%
アミノプロピルジメチコン 1.5%
ジメチコン 0.5%
加水分解シルク 1.0%
1,3−ブチレングリコール 1.0%
グリセリン 3.0%
2−エチルヘキサン酸セチル 2.0%
ミリスチン酸イソセチル 0.4%
L−アルギニン 0.1%
トレハロース 0.1%
ソルビトール 0.1%
ケラチンペプチド 0.1%
POE(4)ステアリルエーテル 1.0%
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド 3.0%
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 0.2%
安息香酸ナトリウム 0.3%
フェノキシエタノール 0.8%
メチルパラベン 0.1%
香料 適量
精製水 残量
【0163】
<配合例11:ソフトカプセル>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合したソフトカプセルを調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 20%
オリーブ油 35%
ミツロウ 5%
中鎖脂肪酸トリグリセリド 5%
ゼラチン 25%
グリセリン 10%
【0164】
<配合例12:散剤>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合した散剤(顆粒剤)を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 10%
乳糖 60%
トウモロコシデンプン 25%
ヒプロメロース 5%
【0165】
<配合例13:ソフトカプセル>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合した錠剤を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 25%
乳糖 24%
結晶セルロース 20%
トウモロコシデンプン 15%
デキストリン 15%
二酸化ケイ素 1%
【0166】
<配合例14:ゼリー飲料>
本配合例では、以下に記す処方にて、実験例1で得られたカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸を配合したスパウトパウチ入り白桃ゼリー飲料を調製した。
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(実験例1) 0.20%
キサンタンガム 1.00%
カラギーナン 0.5%
デキストリンアルコール 3.0%
スクラロース 1%
4倍濃縮白桃果汁 5.00%
クエン酸 0.60%
クエン酸ナトリウム 0.20%
L−アスコルビン酸 0.10%
ピーチ香料 0.20%
精製水 残量
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法は、温度が30℃以下の含水溶媒中で、溶解した原料ヒアルロン酸および/またはその塩をハロ酢酸および/またはその塩と反応させる工程を含み、前記含水溶媒は、水、または水溶性有機溶媒と水との混合液であり、前記混合液中における水溶性有機溶媒の割合が60v/v%以下である。