(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ナノインプリントによるレジストパターンは高さ/直径で示されるアスペクト比が0.01以上のホール、又は高さ/幅で示されるアスペクト比が0.01以上の段差、又はそれらの混在した凹凸を有するレジストパターンである請求項11に記載の形成方法。
前記ナノインプリントによるレジストパターンは高さ/直径で示されるアスペクト比が0.01以上のホール、又は高さ/幅で示されるアスペクト比が0.01以上の段差、又はそれらの混在した凹凸を有するレジストパターンである請求項12に記載の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体装置の製造において、フォトレジストを用いた光リソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウエハ等の半導体基板上にフォトレジストの薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することにより、基板表面に、前記パターンに対応する微細凹凸を形成する加工法である。そのフォトレジストの下層膜を光照射により硬化膜を形成する方法が開示されている。
次世代のパターン形成法として、ナノインプリントリソグラフィーが一つの技術として注目されてきた。ナノインプリントリソグラフィーは、光源を使う従来のリソグラフィーとは全く違った方法である。あらかじめ作製したいパターンと対称のパターンを有した型(テンプレート)を用意し、基板上に塗布したレジストに直接押し込むことでテンプレートのパターンと対称のパターンを基板に作製する方法である。ナノインプリントリソグラフィーの特徴としては、従来のフォトリソグラフィーに比較して解像度が光源波長に依存しないため、エキシマーレーザー露光装置や電子線描画装置などの高価な装置を必要とせず、低コスト化できるのが特徴である(特許文献1参照)。
つまり、ナノインプリントリソグラフィーは、シリコンやガリウム等の無機基板、酸化膜、窒化膜、石英、ガラス、高分子フィルム上にナノインプリント用レジストの組成物をインクジェットにより滴下し、およそ数十nm乃至数μmの膜厚で塗布し、およそ数十nm乃至数十μmのパターンサイズの微細な凹凸を有するテンプレートを押しつけて加圧し、加圧した状態で光照射又は熱焼成して組成物を硬化させた後、塗膜からテンプレートを離型し、転写されたパターンを得るパターン形成法である。そのため、ナノインプリントリソグラフィーの場合、光照射を行う都合上、基板またはテンプレートの少なくとも一方が透明である必要がある。通常はテンプレート側から光照射する場合が一般的であり、テンプレート材料には石英、サファイア等の光を透過する無機材料や光透過性の樹脂などが用いられる。
【0003】
また、ナノインプリントリソグラフィーを適用し、ナノメートルサイズのパターンを大面積にインプリントするには、押し付け圧力の均一性やテンプレートや下地表面の平坦性が要求されるだけでなく、押し付けられて流出するナノインプリント用レジストの挙動をも制御する必要がある。従来の半導体リソグラフィーでは加工基板上には素子として使わない領域を任意に設定できるので、小さなテンプレートを用いてインプリント部の外側にレジスト流出部を設けることができる。また、半導体ではインプリント不良部分は不良素子として使わないようにすればいいが、例えば、ハードディスクなどへの応用では全面がデバイスとして機能するので、インプリント欠陥を発生させないような特殊な工夫が必要である。
ナノインプリントリソグラフィーでは、物理的接触によりパターニングする技術であるため、微細化が進むにつれ、パターンの欠け、剥がれ、又はそれらの再付着による異物等のパターニング欠損の問題が起こりやすい。
テンプレートとナノインプリント用レジストの剥離性、ナノインプリント用レジストと下地加工基板との密着性が重要であり、テンプレートやレジストの表面改質処理によって、ディフェクトや異物の問題を解決する試みなどがこれまでなされている。
【0004】
また、ナノインプリント用レジスト組成物は、光反応機構の違いからラジカル架橋タイプとカチオン架橋タイプ、またはそれらの混合タイプに大別される(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
ラジカル架橋型は、エチレン性不飽和結合を有する化合物誘導体から成り、ラジカル重合可能なメタクリレート、アクリレート、又はビニル基有する重合性化合物と光架橋開始剤を含んだ組成物が一般的に用いられる。一方、カチオン架橋型は、エポキシ、又はオキセタン環を有する化合物誘導体である重合性化合物と光架橋開始剤を含んだ組成物が一般的に用いられる。光照射すると、光架橋開始剤により発生したラジカルがエチレン性不飽和結合を、又はカチオンがエポキシ、又はオキセタン環を攻撃して連鎖重合が進み、架橋反応が進行し、3次元ネットワーク構造を形成する。2官能以上の多官能基モノマーまたはオリゴマーを成分として使用すると架橋構造体が得られる。
【0005】
また、種々のレジストが提案されている(特許文献5参照)。
インプリントリソグラフィーは以前から存在していたが、近年、数十nmといった微細なナノパターン形成に関しても検討されるようになってきた。しかし、ナノインプリントリソグラフィーは直接ナノインプリント用レジストとテンプレートが物理的に接触することによる欠陥が懸念されている(例えば、特許文献6参照)。
【0006】
更に、重ねあわせや大面積を一括で転写する際には、加工基板とナノインプリント用レジストとの密着性不良によるナノインプリント用レジストの剥がれ、面内均一性によるナノインプリント用レジストの膜厚が変化するといった問題が起こっている。
更に、近年、パターンの細線幅の微細化に従い明らかになってきたナノレベルの平滑性や平坦性の不足の問題が起こっている。つまり、微細化に伴い、加工基板上に段差やビアホールが形成され、大きなアスペクト比を有する加工基板に対してナノインプリント用レジストが形成されることになる。そのため、このプロセスに使用されるナノインプリント用レジストに対しては、パターン形成の特性に加え、段差やビアホール周辺部での基板の被覆性を制御できることや、ビアホールを隙間なく充填することができる埋め込み特性、基板表面に平坦な膜が形成されるようになる平坦化特性などが要求されている。しかし、ナノインプリント用レジストを大きなアスペクト比を有する基板に適用することは難しい。
【0007】
更に、半導体リソグラフィーの分野ではレジストパターンの線幅がより微細な場合に有効な方法のひとつとして、半導体基板とフォトレジストとの間の上層膜として、シリコンを含むハ−ドマスクとして知られる膜を使用することが行なわれている。この場合、フォトレジストとハ−ドマスクでは、その構成成分に大きな違いが有るため、それらのドライエッチングによって除去される速度は、ドライエッチングに使用されるガス種に大きく依存する。そして、ガス種を適切に選択することにより、フォトレジストの膜厚の大きな減少を伴うことなく、ハ−ドマスクをドライエッチングによって除去することが可能となる。そのため、フォトレジストとハ−ドマスクとを使用した場合は、フォトレジストが薄膜であっても、半導体基板加工のための保護膜(フォトレジストとハ−ドマスクよりなる)としての十分な膜厚を確保できると考えられている。
これらの問題を解決するために、好適に使えるためのナノインプリント用レジスト上層膜の組成物の詳細な開示はこれまでに無い。
【0008】
また、従来のマクロインプリントリソグラフィーの用途で知られているインプリント用レジスト上層膜は、密着性や平坦性付与を目的とする工程が、材料に共通部分があるものの、ナノメートル幅の微細パターン形状、ナノメートル幅の段差やビアホール上での平坦性の特性と大きく異なる。そのため、ナノインプリントリソグラフィーの用途で適用する上層膜をそのまま適用すると、表面平滑性や平坦性の不良による基板エッチング加工の問題を起こすことが多かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ケイ素原子含有膜形成組成物を提供しようとするものであり、特にパターン形成プロセスのナノインプリントリソグラフィーにおいてナノインプリント用レジストの上層に使用されるレジスト上層膜を光照射又は熱焼成によって硬化させ、形成するためのケイ素原子含有レジスト上層膜形成組成物を提供することである。また、当該組成物を用いたパターン形成プロセスのナノインプリントリソグラフィーにおいてナノインプリント用レジストの上層に使用される上層膜の形成方法、及びナノインプリント用レジストパターンの形成方法を提供することであり、有機ケイ素化合物に由来する無機原子であるケイ素原子を含むことにより、酸素ガスによるプラズマエッチング速度が小さくなり、エッチング耐性のあるハードマスク層を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は第1観点として、下記式(1):
【0012】
【化1】
【0013】
(式(1)中、R
1はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至10のアルキル基又は炭素原子数6乃至20のアリール基を表し、R
2は重合性有機基を表し、n1は1乃至10の整数を表す。)で表される部分構造を有するケイ素化合物(A)を含む膜形成組成物、
第2観点として、上記ケイ素化合物(A)の分子中に含まれる全ケイ素原子数が8乃至40である第1観点に記載の膜形成組成物、
第3観点として、上記ケイ素化合物(A)が、式(2):
【0014】
【化2】
【0015】
(式(2)中、R
1はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至10のアルキル基又は炭素原子数6乃至20のアリール基を表し、R
2はそれぞれ独立して重合性有機基を表し、n2はそれぞれ独立して3乃至5の整数を表す。)で表される第1観点に記載の膜形成組成物、
第4観点として、上記R
1がメチル基を表し、R
2がエポキシ基、オキセタン基、ビニル基、又はそれらから選択された少なくとも1種の基を含む重合性有機基を表す第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第5観点として、更に重合開始剤(C)及び溶剤(D)を含む第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第6観点として、重合開始剤(C)が熱若しくは光カチオン重合開始剤、又は熱若しくは光ラジカル重合開始剤である第5観点に記載の膜形成組成物、
第7観点として、ケイ素化合物(A)の重量平均分子量が900乃至100000である第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第8観点として、更にケイ素化合物(B)として式(3):
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、R
11はエポキシ基、オキセタン基、ビニル基、又はそれらから選択された少なくとも1種の基を含有する重合性有機基で、Si−C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、R
31はアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、又はメルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を有する有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、R
21はハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至20のアルコキシ基若しくはアシルオキシ基を表し、a
1は1の整数を表し、b
1は0、1又は2の整数を表し、a
1+b
1は1、2又は3の整数を表す。)で表されるケイ素化合物及び
式(4):
【0018】
【化4】
【0019】
(式中、R
41はエポキシ基、オキセタン基、ビニル基、又はそれらを含有する重合性有機基で、Si−C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、R
51はハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至20のアルコキシ基若しくはアシルオキシ基を表し、Yは酸素原子、炭素原子数1乃至20のアルキレン基を表し、c
1は1又は2の整数を表す。)で表されるケイ素化合物、それらの加水分解物、式(3)で表されるケイ素化合物の加水分解縮合物、式(4)で表されるケイ素化合物の加水分解縮合物、及び式(3)で表されるケイ素化合物と式(4)で表されるケイ素化合物との加水分解縮合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物(B1)を含む第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第9観点として、更にケイ素化合物(B)として、上記式(3)で表されるケイ素化合物及び式(4)で表されるケイ素化合物、それらの加水分解物、式(3)で表されるケイ素化合物の加水分解縮合物、式(4)で表されるケイ素化合物の加水分解縮合物、及び式(3)で表されるケイ素化合物と式(4)で表されるケイ素化合物との加水分解縮合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物(B1)と、
一般式(5):
【0020】
【化5】
【0021】
(式中、R
12及びR
32は、それぞれアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、又はメルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を有する有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、R
22はハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至20のアルコキシ基若しくはアシルオキシ基を表し、a
2及びb
2はそれぞれ0、1、又は2の整数を表し、a
2+b
2は0、1、又は2の整数を表す。)で表されるケイ素化合物及び、式(6):
【0022】
【化6】
【0023】
(式中、R
42は炭素原子数1乃至5のアルキル基を表し、R
52はハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至20のアルコキシ基若しくはアシルオキシ基を表し、Yは酸素原子、炭素原子数1乃至20のアルキレン基を表し、c
2は0又は1の整数を表す。)で表されるケイ素化合物、その加水分解物、式(5)で表されるケイ素化合物の加水分解縮合物、式(6)で表されるケイ素化合物の加水分解縮合物、及び式(5)で表されるケイ素化合物と式(6)で表されるケイ素化合物との加水分解縮合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物(B2)との組み合わせを含む第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第10観点として、ケイ素化合物(B)が式(3)で表される化合物の加水分解縮合物である第8観点に記載の膜形成組成物、
第11観点として、更に架橋性化合物及び/又は界面活性剤を含む第1観点乃至第10観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第12観点として、膜が、ナノインプリント法で形成されたレジストパターンを被覆する上層膜である第1観点乃至第11観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第13観点として、第1観点乃至第12観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物をレジスト上層膜形成組成物として、ナノインプリントにより形成されたレジストパターン上に塗布してレジスト上層膜を形成する工程、及び前記レジスト上層膜に熱焼成及び/又は光照射することによってレジスト上層膜を硬化する工程を含む、ナノインプリントを用いるパターン形成プロセスにおいて使用される積層構造の形成方法、
第14観点として、第1観点乃至第12観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物をレジスト上層膜形成組成物として、ナノインプリントにより形成されたレジストパターン上に塗布してレジスト上層膜を形成する工程、前記レジスト上層膜に熱焼成及び/又は光照射することによってレジスト上層膜を硬化する工程、該レジスト上層膜をハロゲン系ガスによりエッチングする工程、レジスト膜を酸素系ガスによりエッチングする工程、及び形成されたレジスト上層膜及びレジスト膜のパターンに従い基板を加工する工程を含む基板の製造方法、
第15観点として、前記ナノインプリントによるレジストパターンは高さ/直径で示されるアスペクト比が0.01以上のホール、又は高さ/幅で示されるアスペクト比が0.01以上の段差、又はそれらの混在した凹凸を有するレジストパターンである第13観点に記載の形成方法、
第16観点として、前記ナノインプリントによるレジストパターンは高さ/直径で示されるアスペクト比が0.01以上のホール、又は高さ/幅で示されるアスペクト比が0.01以上の段差、又はそれらの混在した凹凸を有するレジストパターンである第14観点に記載の製造方法、及び
第17観点として、前記光照射が波長250nm乃至650nmの光によって行われる、第13観点乃至第16観点のいずれか一つに記載の方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の目的は、パターン形成プロセスのナノインプリントリソグラフィーにおいてナノインプリント用レジストの上層に使用されるレジスト上層膜を光照射又は熱焼成によって硬化させ、膜形成するためのケイ素原子含有レジスト上層膜形成組成物である。また、当該組成物を用いたパターン形成プロセスのナノインプリントリソグラフィーにおいてナノインプリント用レジストの上層に使用される上層膜の形成方法、及びナノインプリント用レジストパターンの形成方法である。
有機ケイ素化合物に由来する無機原子であるケイ素原子を膜中に例えば5乃至45質量%含むことにより、酸素ガスによるプラズマエッチング速度が小さくなり、エッチング耐性のあるハードマスク層となる。
また、レジストパターンによる本発明のレジスト上層膜のエッチング時に使用されるフッ素系ガス(例えばCF
4)ガス条件で、レジストに比べ充分に高いエッチング速度を有しているため、本発明のレジスト上層膜をエッチングし、続いてレジストパターンをエッチングして、レジストパターンを本発明の上層膜に反転写することが可能であり、形成されたレジスト膜とレジスト上層膜を保護膜として基板の加工ができる。
【0025】
更に、微細な凹凸を有するテンプレートを押しつけて加圧し、加圧した状態で光照射又は熱焼成して組成物を硬化させた後、塗膜からテンプレートを離型する際に、本発明の上層膜とナノインプリント用レジスト間の高い密着性により、エッチング加工時にレジストパターンの欠け、倒れ、剥がれ、又はレジスト小片の再付着による異物等のパターニング欠損の問題が起こりにくい。
また、本発明のレジスト上層膜はレジストパターン倒れを防ぎ、加工マージンを改善し、レジストパターンを反転させ、そして更に、凹凸のあるレジストパターンを平坦にするために優れた平坦性及び表面平滑性を有し、下地となるナノインプリント用レジストパターンの凹凸を平坦にするため、エッチバック後に表面を平滑にすることができ、その結果としてプラズマエッチング工程において下地基板に対して高い加工精度をもたらすことである。
更に、本発明のレジスト上層膜の下層に形成されるレジストとのインターミキシングを起こさず、フォトレジスト溶剤に不溶であり、塗布時または加熱乾燥時に下層膜から上層のレジスト膜に低分子量物質の拡散がなく、レジスト下層膜は良好な矩形のナノパターニング特性を有する。
【0026】
本願発明者は鋭意研究を重ねた結果、低分子量成分の含有量の少ないケイ素原子を含有するケイ素化合物(A)、重合開始剤(C)及び溶剤(D)を構成成分とする組成物がナノインプリント用レジスト上層膜形成のための材料として適していることを見出した。
また、用途により本発明のレジスト上層膜形成組成物として光架橋を用いる場合には、高温での熱焼成を行うことなく、光照射によってレジスト上層膜を形成することができる。そのため、低分子量の成分の揮発または昇華による周辺装置の汚染を防ぐことができる。更に高温での熱焼成を必要としないので、低分子量の成分をレジスト上層膜形成組成物に使用しても昇華等の懸念がなく、比較的多量の低分子量の成分をレジスト上層膜形成組成物に使用することができる。そのため、比較的低粘度のレジスト上層膜形成組成物を用いてレジスト上層膜を形成することができる。そして、ホールの充填性や半導体基板の平坦化性に一層優れたレジスト上層膜を形成することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は式(1)で示される部分構造を有するケイ素化合物(A)を含む膜形成組成物である。ケイ素化合物(A)は分子中にケイ素原子を5乃至40質量%含有することができる。上記ケイ素化合物(A)は分子中の全ケイ素原子数が8乃至40、又は8乃至20とすることができる。
上記膜形成組成物は更に重合開始剤(C)と溶剤(D)を含有することができる。本発明の膜形成組成物における固形分は、例えば0.5乃至99質量%、または3乃至50質量%、または10乃至30質量%とすることができる。固形分は膜形成組成物の全成分から溶剤(D)を除いたものである。
固形分中に占める上記(A)、又は上記(A)と上記(B1)、又は上記(A)と上記(B1)と上記(B2)の割合は1乃至99.5質量%、または7乃至50質量%、または70乃至90質量%とすることができる。
【0029】
ケイ素化合物(A)はブランチ型ケイ素化合物であり、直鎖ポリシロキサンからポリシロキサンが分岐した構造を有していて、その先端に重合性有機基を有している。上記ケイ素化合物(A)の重量平均分子量は900乃至100000、又は900乃至50000、又は900乃至10000とすることができ、溶解性の点から好ましくは900乃至3000とすることができる。
式(1)においてn1は1乃至10の整数である。R
1はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数6乃至20のアリール基、又はそれらの組み合わせである。
【0030】
アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−クロルフェニル基、m−クロルフェニル基、p−クロルフェニル基、o−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−シアノフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基及び9−フェナントリル基が挙げられる。
式(1)においてR
2は重合性有機基であり、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、又はそれらを含む有機基が挙げられる。R
2としては例えば、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基が挙げられ、それらを含む有機基としてはアクリロイルエチル基、アクリロイロプロピル基、メタクリロイルエチル基、メタクリロイルプロピル基、グリシジルエチル基、グリシジルプロピル基、エポキシシクロヘキシルエチル基、エポキシシクロヘキシルプロピル基等が挙げられる。
【0031】
本発明に用いられるケイ素化合物(A)は式(2)の化合物を例示することができる。式(2)においてR
1はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数6乃至20のアリール基、又はそれらの組み合わせであり、上述の例示を挙げることができる。また、R
2はそれぞれ重合性有機基であり、上述の例示をあげることができる。そして、n2はそれぞれ3乃至5の整数である。
式(1)及び式(2)において、R
1はメチル基を、R
2はエポキシ基、オキセタン基、ビニル基、又はそれらを含む有機基を例示することができる。
式(2)の化合物は以下に例示することができる。
【0034】
本発明の膜形成組成物は更に重合開始剤(C)を含む。重合開始剤(C)は熱若しくは光カチオン重合開始剤、又は熱若しくは光ラジカル重合開始剤である。
ケイ素化合物(A)を含む被膜を加熱することにより熱カチオン重合開始剤の作用により、ケイ素化合物(A)のカチオン重合が進み硬化被膜が形成される。
またケイ素化合物(A)を含む被膜を光照射することにより光カチオン重合開始剤の作用により、ケイ素化合物(A)のカチオン重合が進み硬化被膜が形成される。そして、カチオン重合可能な反応性基はエポキシ基、オキセタン基、又はそれらを含む有機基であることが好ましい。
ケイ素化合物(A)を含む被膜を加熱することにより熱ラジカル重合開始剤の作用により、ケイ素化合物(A)のラジカル重合が進み硬化被膜が形成される。
またケイ素化合物(A)を含む被膜を光照射することにより光ラジカル重合開始剤の作用により、ケイ素化合物(A)のラジカル重合が進み硬化被膜が形成される。そして、ラジカル重合可能な反応性基はビニル基、又はそれらを含む有機基であることが好ましい。
重合性部位であるビニル基は縮合物中に二個以上有することで溶剤に対する耐溶剤溶解性の点で好ましい。
【0035】
本発明に用いられるケイ素化合物(A)は、例えば以下の合成方法で得られる。
上記式(2−1)乃至(2−4)に記載されているケイ素化合物を例とする。
3H,5H−オクタメチルテトラシロキサン(ランカスター/Lancaster社製)3.0g、触媒としてパラジウム活性炭素(5質量%のパラジウムを含有する。アクロスオルガニクス/Acros organics社製)0.07g、水2.6g、テトラヒドロフラン70gを室温で24時間混合撹拌した後に、ろ過して精製する(第一段階)。
【0037】
得られた反応物2.9gを、ジメチルクロロシラン(ゲレスト/Gelest社製)28g、トリエチルアミン53g、ジエチルエーテル100gの混合溶液に氷で冷却しながら滴下し、室温で24時間撹拌した。その後、水400gを混合し、反応液を2層に分離させ、エーテル層を抽出する水洗工程を3回行った後、硫酸マグネシウム(アルドリッチ社製)5gを混合し、脱水させた。その後、硫酸マグネシウムを除くために、ろ過した後、エーテル系溶剤を蒸発により除き、ケイ素化合物(A)の中間体2.9gを得た(第二段階)。
【0039】
第一段階と第二段階を更に3回繰り返しSi原子が12個のブランチ型ケイ素化合物を得る。
【0043】
このSi原子が12個のブランチ型ケイ素化合物(A)の中間体3.3gにトルエン32.5g、4−ビニル−1−シクロヘキサン1,2−エポキシド(アルドリッチ社製)1.2g、及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金(0)錯体キシレン溶液(2質量%、アルドリッチ社製)0.025gを混合し、室温で24時間攪拌し、ろ過を行い、トルエンを蒸留により除き、最終固形物である上記ブランチ型ケイ素化合物((A)、式(2−5))3.5gを得ることができる。これは米国テキサス大学オースチン校による品名Si12−epoxyとして入手することもできる。
【0045】
また、同様にSi原子が12個のブランチ型ケイ素化合物(A)の中間体3.0gにトルエン29.5g、メタクリル酸アリル(東京化成工業製)1.1g、及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金(0)錯体キシレン溶液(2質量%、アルドリッチ社製)0.023gを混合し、室温で24時間攪拌し、ろ過を行い、トルエンを蒸留により除き、最終固形物である上記ブランチ型ケイ素化合物((A)、式(2−6))3.1gを得ることができる。これは米国テキサス大学オースチン校による品名Si12−Methacrylateとして入手することもできる。
【0047】
本発明ではケイ素化合物(A)に加えて更にケイ素化合物(B)を含むことができる。これにより熱又は光硬化特性、膜強度、膜弾性率、平坦性、透明性、収縮性、アウトガス低減、レジストの濡れ性、ガス透過性、保存安定性及び基板とのぬれ性等を改善することができる。
ケイ素化合物(B)は式(3)及び式(4)で表されるケイ素化合物、それらの加水分解物、及びそれらの加水分解縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物(B1)を用いることができる。
また、ケイ素化合物(B)は上記ケイ素化合物(B1)と、式(5)及び式(6)で表されるケイ素化合物、それらの加水分解物、及びそれらの加水分解縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物(B2)との組み合わせを用いることができる。
ケイ素化合物(B)は式(3)のケイ素化合物、それらの加水分解物、又はそれらの加水分解縮合物を用いることが好ましい。そして、ケイ素化合物(B)は、式(3)の加水分解縮合物を用いることが好ましい。
上記ケイ素化合物(B)の重量平均分子量は900乃至100000、又は900乃至50000、又は900乃至10000とすることができ、溶解性の点から好ましくは900乃至3000とすることができる。
ケイ素化合物(A)とケイ素化合物(B)の質量比は100:0乃至30:70の割合で混合して用いることができ、更には100:0乃至70:30のモル比で用いることができる。
【0048】
式(3)のケイ素化合物においてR
11はエポキシ基、オキセタン基、ビニル基、又はそれらを含有する重合性有機基で、Si−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R
31はアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、又はメルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を有する有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R
21はハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至8のアルコキシ基若しくはアシルオキシ基であり、a
1は1の整数であり、b
1は0、1又は2の整数であり、a
1+b
1は1、2又は3の整数である。
【0049】
また、式(4)のケイ素化合物においてR
41はエポキシ基、オキセタン基、ビニル基、又はそれらを含有する重合性有機基で、Si−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R
51はハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至20のアルコキシ基若しくはアシルオキシ基であり、Yは酸素原子、炭素原子数1乃至20のアルキレン基を示し、c
1は1又は2の整数である。
【0050】
式(5)のケイ素化合物においてR
12及びR
32は、それぞれアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、又はメルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を有する有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R
22はハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至8のアルコキシ基若しくはアシルオキシ基であり、a
2及びb
2はそれぞれ0、1、又は2の整数であり、a
2+b
2は0、1、又は2の整数である。
【0051】
式(6)のケイ素化合物においてR
42は炭素原子数1乃至5のアルキル基を示し、R
52はハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至8のアルコキシ基若しくはアシルオキシ基を示し、Yは酸素原子、炭素原子数1乃至20のアルキレン基を示し、c
2は0又は1の整数である。
【0052】
式(3)乃至式(6)のケイ素化合物(B)において、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、又はそれらを含有する重合性有機基は上述の例示を挙げることができる。また、アルキル基、アリール基は上述の例示を挙げることができる。
炭素原子数1乃至20のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、1−3−プロピレン基、2−2’−プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
メルカプト基を有する有機基としては、エチルメルカプト、ブチルメルカプト、ヘキシルメルカプト、オクチルメルカプト等が挙げられる。
アミノ基を有する有機基としては、アミノエチル基、アミノプロピル基等が挙げられる。
シアノ基を有する有機基としては、シアノエチル基、シアノプロピル基等が挙げられる。
【0053】
炭素原子数1乃至20のアルコキシ基としては、炭素原子数1乃至20の直鎖、分岐、環状のアルキル部分を有するアルコキシ基が挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチロキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシロキシ基、1−メチル−n−ペンチロキシ基、2−メチル−n−ペンチロキシ基、3−メチル−n−ペンチロキシ基、4−メチル−n−ペンチロキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基及び1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が、また環状のアルコキシ基としてはシクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、1−メチル−シクロプロポキシ基、2−メチル−シクロプロポキシ基、シクロペンチロキシ基、1−メチル−シクロブトキシ基、2−メチル−シクロブトキシ基、3−メチル−シクロブトキシ基、1,2−ジメチル−シクロプロポキシ基、2,3−ジメチル−シクロプロポキシ基、1−エチル−シクロプロポキシ基、2−エチル−シクロプロポキシ基、シクロヘキシロキシ基、1−メチル−シクロペンチロキシ基、2−メチル−シクロペンチロキシ基、3−メチル−シクロペンチロキシ基、1−エチル−シクロブトキシ基、2−エチル−シクロブトキシ基、3−エチル−シクロブトキシ基、1,2−ジメチル−シクロブトキシ基、1,3−ジメチル−シクロブトキシ基、2,2−ジメチル−シクロブトキシ基、2,3−ジメチル−シクロブトキシ基、2,4−ジメチル−シクロブトキシ基、3,3−ジメチル−シクロブトキシ基、1−n−プロピル−シクロプロポキシ基、2−n−プロピル−シクロプロポキシ基、1−i−プロピル−シクロプロポキシ基、2−i−プロピル−シクロプロポキシ基、1,2,2−トリメチル−シクロプロポキシ基、1,2,3−トリメチル−シクロプロポキシ基、2,2,3−トリメチル−シクロプロポキシ基、1−エチル−2−メチル−シクロプロポキシ基、2−エチル−1−メチル−シクロプロポキシ基、2−エチル−2−メチル−シクロプロポキシ基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロポキシ基等が挙げられる。
【0054】
炭素原子数1乃至20のアシルオキシ基は、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、i−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、i−ブチルカルボニルオキシ基、s−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、及びトシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0055】
ハロゲン基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
上記式(3)のケイ素化合物はビニル系化合物として例えば、メタクリルアミドトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ビス(トリメチロキシ)メチルシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトシキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエチル)シラン、メタクリロキシトリメトキシシラン、メタクリロキシトリブトキシシラン、メタクリロキシトリイソプロポキシシラン、メタクリロキシトリフェノキシシラン、メタクリロキシフェニルジメトキシシラン、メタクリロキシフェニルメチルメトキシシラン、メタクリロキシフェニルジクロロシラン、メタクリロキシフェニルジメチルシラン、メタクリロキシフェニルジエトキシシラン、メタクリロキシフェニルジクロロシラン、メタクリロキシトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルジエトキシシラン、メタクリロキシメチルジアセトキシシラン、メタクリロキシジフェニルクロロシラン、アクリルアミドトリメトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、(アクリロキシメチル)ビス(トリメチロキシ)メチルシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトシキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリス(メトキシエチル)シラン、アクリロキシトリメトキシシラン、アクリロキシトリブトキシシラン、アクリロキシトリイソプロポキシシラン、アクリロキシトリフェノキシシラン、アクリロキシフェニルジメトキシシラン、アクリロキシフェニルメチルメトキシシラン、アクリロキシフェニルジクロロシラン、アクリロキシフェニルジメチルシラン、アクリロキシフェニルジエトキシシラン、アクリロキシフェニルジクロロシラン、アクリロキシトリメトキシシラン、アクリロキシメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルジエトキシシラン、アクリロキシメチルジアセトキシシラン、アクリロキシジフェニルクロロシラン等のビニル基含有シラン化合物が挙げられる。
【0056】
また式(3)のケイ素化合物のエポキシ系化合物としては例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0057】
式(4)のケイ素化合物としては例えば、ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルジシロキサン、ジ(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、ジ(グリシドキシプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物、ジ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、ジ(3−メタクリロキシプロピル)テトラフェニルジシロキサン、ジ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、ジ(3−アクリロキシプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のビニル基含有シラン化合物などを好ましく例示することができる。
【0058】
式(5)のケイ素化合物として、テトラメトキシシラン、テトラクロルシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、3、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン等が挙げられる。
式(6)のケイ素化合物としては、メチレンビストリメトキシシラン、メチレンビストリクロロシラン、メチレンビストリアセトキシシラン、エチレンビストリエトキシシラン、エチレンビストリクロロシラン、エチレンビストリアセトキシシラン、プロピレンビストリエトキシシラン、ブチレンビストリメトキシシラン等が挙げられる。
【0059】
ケイ素化合物(B)を加水分解し縮合させる際に、ケイ素化合物の加水分解性基(例えば塩素原子やアルコキシ基やアシルオキシ基)の1モル当たり、1モルを越え100モル以下、好ましくは1モル乃至50モルの水を用いる。
本発明のケイ素化合物(B)は、上記化合物から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解、縮合させる時に触媒を用いることができる。この際に用いることの出来る触媒としては、チタンやアルミニウムなどの金属キレート化合物、酸触媒、アルカリ触媒が挙げられる。
上記ケイ素化合物(B)は、上記式(3)、又は上記式(3)と式(5)の組み合わせからなるケイ素化合物中で、(a+b)の値が1となるケイ素化合物が5乃至100モル%、または5乃至75モル%の割合で含有するケイ素化合物を加水分解し、それを縮合した縮合物が好ましい。
【0060】
加水分解に用いられる有機溶剤としては、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶剤;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶剤;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶剤;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶剤等を挙げることができる。
【0061】
特に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートが溶液の保存安定性の点で好ましい。
【0062】
また、ケイ素化合物(B)を加水分解し縮合させる際には、触媒を使用しても良い。この際に使用する触媒としては、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を挙げることができる。
【0063】
金属キレート化合物としては、例えばトリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン、等のチタンキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、等のジルコニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物;などを挙げることができる。
【0064】
有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。
【0065】
無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。有機塩基としては、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等を挙げることができる。
【0066】
無機塩基としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。これら触媒の内、金属キレート化合物、有機酸、無機酸が好ましく、より好ましくはチタンキレート化合物、有機酸を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0067】
更に、レジスト密着性、柔軟性、平坦化性等を向上させるために、必要により下記のケイ素原子を含まない重合性化合物を用い、上記のケイ素原子を含有する重合性化合物と共重合(ハイブリッド化)、又は混合させることができる。
ケイ素原子を含まずエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、3−フェノキシ−2−プロパノイルアクリレート、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテル、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシルエチル)−イソシアヌル酸エステル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ここで、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとはエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジメタクリレートとを意味する。
【0068】
ケイ素原子を含まずエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、また、多価イソシアネート化合物とヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステル化合物との反応によって得ることができるウレタン化合物、多価エポキシ化合物とヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステル化合物との反応によって得ることができる化合物、フタル酸ジアリル等のジアリルエステル化合物、及びジビニルフタレート等のジビニル化合物等を挙げることもできる。
【0069】
また、ケイ素原子を含まずカチオン重合性の部位を有する重合性化合物としては、エポキシ環及びオキセタン環等の環状エーテル構造、ビニルエーテル構造及びビニルチオエーテル構造等を有する化合物が挙げられる。
【0070】
ケイ素原子を含まずエポキシ環を有する重合性化合物としては、特に制限はないが、一個乃至六個、また二個乃至四個のエポキシ環を有する化合物を使用することができる。上記エポキシ環を有する重合性化合物としては、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物、ジカルボン酸化合物及びトリカルボン酸化合物等の二個以上の水酸基またはカルボキシル基を有する化合物と、エピクロルヒドリン等のグリシジル化合物から製造することができる、二個以上のグリシジルエーテル構造またはグリシジルエステル構造を有する化合物を挙げることができる。
【0071】
ケイ素原子を含まずエポキシ環を有する重合性化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルレゾルシノールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジグリセロールポリジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、及びビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等を挙げることができる。
【0072】
ケイ素原子を含まずオキセタン環を有する重合性化合物としては、特に制限はないが、一個乃至六個、また二個乃至四個のオキセタン環を有する化合物を使用することができる。
ケイ素原子を含まずオキセタン環を有する重合性化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3,3−ジエチルオキセタン、及び3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、1,4−ビス(((3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ)メチル)ベンゼン、ジ((3−エチル−3−オキセタニル)メチル)エーテル、及びペンタエリスリトールテトラキス((3−エチル−3−オキセタニル)メチル)エーテル等を挙げることができる。
【0073】
ケイ素原子を含まずビニルエーテル構造を有する重合性化合物としては、特に制限はないが、一個乃至六個、また二個乃至四個のビニルエーテル構造を有する化合物を使用することができる。
ケイ素原子を含まずビニルエーテル構造を有する重合性化合物としては、例えば、ビニル−2−クロロエチルエーテル、ビニル−ノルマルブチルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、ビス(4−(ビニロキシメチル)シクロヘキシルメチル)グルタレート、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、アジピン酸ジビニルエステル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリス(4−ビニロキシ)ブチルトリメリレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチル)テレフタレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチルイソフタレート、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル及びシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等を挙げることができる。
【0074】
本発明に用いられる重合開始剤(C)は、熱焼成又は光照射によって前記ケイ素化合物の重合を開始することができる作用を有する化合物であれば特に限定はない。光照射又は熱焼成により酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)、塩基、ラジカル、又はカチオンを発生する化合物を使用することができる。
例えば、光照射によって活性ラジカルを生じ前記ケイ素化合物のラジカル重合を起こすことのできる化合物、すなわち光ラジカル重合開始剤、及び光照射によってプロトン酸及び炭素陽イオン等のカチオン種を生じ前記ケイ素化合物のカチオン重合を起こすことのできる化合物、すなわち光カチオン重合開始剤等を挙げることができる。
光照射は、例えば波長が150nm乃至1000nm、または200乃至700nm、または300乃至600nmである光を用いて行うことができる。そして、露光量1乃至2000mJ/cm
2、又は10乃至1500mJ/cm
2、又は50乃至1000mJ/cm
2によって活性ラジカルを生じる光ラジカル重合開始剤、又はカチオン種を生じる光カチオン重合開始剤が光重合開始剤として好ましく使用される。
【0075】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、イミダゾール化合物、ジアゾ化合物、ビスイミダゾール化合物、N−アリールグリシン化合物、有機アジド化合物、チタノセン化合物、アルミナート化合物、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩化合物、及びチオキサントン化合物等が挙げられる。
【0076】
アジド化合物としては、p−アジドベンズアルデヒド、p−アジドアセトフェノン、p−アジド安息香酸、p−アジドベンザルアセトフェノン、4,4’−ジアジドカルコン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフィド、及び2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン等を挙げることができる。
【0077】
ジアゾ化合物としては、1−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−4−p−トリルメルカプトベンゼンボロフルオリド、1−ジアゾ−4−N,N−ジメチルアミノベンゼンクロリド、及び1−ジアゾ−4−N,N−ジエチルアミノベンゼンボロフルオリド等を挙げることができる。
【0078】
ビスイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2’−ビスイミダゾール、及び2,2’−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビスイミダゾール等を挙げることができる。
【0079】
チタノセン化合物としては、ジシクロペンタジエニル−チタン−ジクロリド、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビスフェニル、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,4−ジフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−チタン−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−チタン−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−チタン−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)、及びジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)等を挙げることができる。
【0080】
光カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、スルホンイミド化合物、ジスルホニルジアゾメタン化合物、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が挙げられる。
【0081】
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−ノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド及びN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられる。
【0082】
ジスルホニルジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、及びメチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン等が挙げられる。
【0083】
また、光カチオン重合開始剤としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンを挙げることができる。
また、芳香族ヨードニウム塩化合物、芳香族スルホニウム塩化合物、芳香族ジアゾニウム塩化合物、芳香族ホスホニウム塩化合物、トリアジン化合物及び鉄アレーン錯体化合物等は、光ラジカル重合開始剤としても、光カチオン重合開始剤としても用いることができる。
【0084】
芳香族ヨードニウム塩化合物としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフエート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−ノルマルブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−ノルマルオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート及びビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
【0085】
芳香族スルホニウム塩化合物としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート及びトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。光重合開始剤は、一種のみを使用することができ、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0086】
更に、熱焼成(加熱)によってカチオンやラジカルを発生し前記重合性化合物の熱重合反応を起こすことのできる化合物として、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、などの酸化合物、又は、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシラート、2−ニトロベンジルトシラート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ベンゾイントシレート、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等の酸発生剤を添加する事ができる。焼成する条件としては、焼成温度60℃乃至300℃、焼成時間0.3乃至90分間の中から適宜、選択される。
【0087】
本発明の膜形成組成物におけるケイ素化合物(A)と重合開始剤(C)の含有量としては、ケイ素化合物(A)100質量部に対して、重合開始剤(C)が、例えば1乃至20質量部であり、または3乃至10質量部である。重合開始剤(C)の量がこれより少ないと、重合反応が十分に進行せず、得られた被膜の硬度及び耐摩耗性が不十分なものとなる場合がある。重合開始剤の量がこれより多くなると、被膜の表面近傍のみで硬化が起こり、被膜内部まで完全に硬化し難くなる場合がある。更に、熱焼成を用いる場合、重合開始剤の量がこれより多くなると、重合開始剤の昇華量が増え、焼成炉内を汚染する原因ともなる。
【0088】
本発明の膜形成組成物において、ケイ素化合物(A)としてラジカル重合性の部位であるエチレン性不飽和結合を有する化合物が使用された場合には、重合開始剤としては光ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。ケイ素化合物(A)としてカチオン重合性の部位であるビニルエーテル構造、エポキシ環またはオキセタン環を有する化合物が使用された場合には、重合開始剤としては光カチオン重合開始剤が好ましく用いられる。熱焼成のケイ素化合物(B)としてシラノール基を有する化合物が使用された場合には、重合開始剤としてはトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、及びピリジニウムp−トルエンスルホン酸が好ましく用いられる。
【0089】
本発明の膜形成組成物は、ケイ素化合物(A)、又はケイ素化合物(A)とケイ素化合物(B)の混合物を通常、有機溶剤(D)に溶解または分散してなる。この有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤および非プロトン系溶剤からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。上記ケイ素化合物(B)の加水分解に用いる溶剤を例示することもできる。
また、ケイ素化合物(B)を加水分解し縮合物を得てそれをケイ素化合物(A)と混合して用いる場合に、ケイ素化合物(B)の加水分解に用いる有機溶剤をそのまま膜形成組成物の溶剤(D)として用いることもできる。
【0090】
本発明に用いられる溶剤(D)の例としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N−ジメチルホルムアミド、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド及びN−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0091】
これらの溶剤(D)は単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。溶剤としては、沸点が80乃至250℃、または100乃至200℃、または120乃至180℃である溶剤が好ましく使用される。溶剤の沸点が低い場合には、膜形成組成物の塗布中に溶剤が多く蒸発し、粘度の上昇が生じ、塗布性の低下を招くことがある。溶剤の沸点が高い場合には、膜形成組成物の塗布後の乾燥に時間を要することが考えられる。溶剤は、膜形成組成物の固形分の濃度が、例えば0.5乃至99質量%、または3乃至50質量%、または10乃至30質量%となるような量で使用することができる。
【0092】
本発明の膜形成組成物において、には、上記ケイ素化合物(A)と重合開始剤(C)の他、必要に応じて、架橋性化合物、界面活性剤、増感剤、アミン化合物、ポリマー化合物、酸化防止剤、熱重合禁止剤、表面改質剤及び脱泡剤等を添加することができる。本発明の膜形成組成物には、さらにβ−ジケトン、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤、トリアゼン化合物、アルカリ化合物などの成分を添加してもよい。
【0093】
界面活性剤を添加することによって、ピンホールやストレーション等の発生を抑え、また、膜形成組成物の塗布性を向上させることができる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル化合物、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー化合物、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート及びソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル化合物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル化合物が挙げられる。また、商品名エフトップEF301,EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、商品名メガファックF171、F173、R−08、R−30(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤及びオルガノシロキサンポリマ−KP341(信越化学工業(株)製)等を上げることができる。界面活性剤が使用される場合、その添加量としては、ケイ素化合物(A)100質量部に対して、例えば、0.1乃至5質量部であり、または0.5乃至2質量部である。
【0094】
増感剤は前記光重合開始剤の光に対する感度を増加させるために用いることができる。増感剤としては、例えば、2,6−ジエチル−1,3,5,7,8−ペンタメチルピロメテン−BF
2錯体及び1,3,5,7,8−ペンタメチルピロメテン−BF
2錯体等のピロメテン錯体化合物、エオシン、エチルエオシン、エリスロシン、フルオレセイン及びローズベンガル等のキサンテン系色素、1−(1−メチルナフト〔1,2−d〕チアゾール−2(1H)−イリデン−4−(2,3,6,7)テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)−3−ブテン−2−オン、1−(3−メチルベンゾチアゾール−2(3H)−イリデン−4−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−ブテン−2−オン等のケトチアゾリン化合物、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−ナフト〔1,2−d〕チアゾール、2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕−ナフト〔1,2−d〕チアゾール等のスチリルまたはフェニルブタジエニル複素環化合物等が挙げられる。また、2,4−ジフェニル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−((〔2,3,6,7〕テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)−1−エテン−2−イル)−1,3,5−トリアゾンナンスリル−((〔2,3,6,7〕テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)−1−エテン−2−イル)ケトン及び2,5−ビス(p−ジメチルアミノシンナミリデン)シクロペンタノン、5,10,15,20テトラフェニルポルフィリン等が挙げられる。増感剤が使用される場合、その添加量としては、ケイ素化合物(A)100質量部に対して、例えば、0.1乃至20質量部である。
【0095】
アミン化合物は前記光重合開始剤の酸素阻害による感度の低下を防止するために使用することができる。アミン化合物としては脂肪族アミン化合物及び芳香族アミン化合物等、様々なアミン化合物を使用することができる。アミン化合物が使用される場合、その添加量としてはケイ素化合物100質量部に対して、例えば、0.1乃至10質量部である。
【0096】
また、高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、その種類に特に制限はなく、重量平均分子量が1000乃至1000000程度の種々のポリマー化合物を用いることができる。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環を有するアクリレートポリマー、メタクリレートポリマー、ノボラックポリマー、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリエステル及びポリイミド等を挙げることができる。高分子化合物が使用される場合、その添加量としては、ケイ素化合物100質量部に対して、例えば、0.1乃至50質量部である。
【0097】
本発明では上記膜が基板上にナノインプリント法で形成されたレジストパターンを被覆する上層膜を形成するための膜形成組成物として用いることができる。
本発明は上記膜形成組成物をレジスト上層膜形成組成物として、ナノインプリントにより形成されたレジストパターン上に塗布してレジスト上層膜を形成する工程、及び前記レジスト上層膜に熱焼成及び/又は光照射することによってレジスト上層膜を硬化する工程を含む、ナノインプリントを用いるパターン形成プロセスにおいて使用される積層構造の形成方法である。
また本発明は、上記膜形成組成物をレジスト上層膜形成組成物として、ナノインプリントにより形成されたレジストパターン上に塗布してレジスト上層膜を形成する工程、前記レジスト上層膜に熱焼成及び/又は光照射することによってレジスト上層膜を硬化する工程、レジスト上層膜をハロゲン系ガスによりエッチングする工程、レジスト膜を酸素系ガスによりエッチングする工程、及び形成されたレジスト上層膜及びレジスト膜のパターンに従い基板を加工する工程を含む基板の製造方法である。
【0098】
またレジスト下層膜を用いる場合には、レジスト下層膜を基板上に塗布してレジスト下層膜を形成する工程、及び前記レジスト下層膜に熱焼成及び/又は光照射することによってレジスト下層膜を硬化する工程、及びレジスト下層膜の上にナノインプリント用レジスト組成物を塗布し熱焼成及び/又は光照射することによってナノインプリント用レジストを形成する工程、ステップ・アンド・リピート法によりインプリントする工程、光照射することによってレジストを硬化する工程、本発明のナノインプリント用レジスト上層膜形成組成物をレジストパターン上に塗布してレジスト上層膜を形成する工程、前記レジスト上層膜に熱焼成又は光照射することによってレジスト上層膜を硬化する工程、余分なナノインプリント用レジスト上層膜を除去するために、ハロゲン系ガスによりレジストの表層界面までプラズマエッチングによりエッチバックする工程、酸素系ガスによりレジストを選択的に除去する工程を含む、ナノインプリントを用いるパターン形成プロセスにおいて使用される積層構造を形成することができる。
【0099】
前記ナノインプリントによるレジストパターンが高さ/直径で示されるアスペクト比は0.01以上のホール、例えば60乃至100000nmのホール、溝、及びトレンチ、又は高さ/幅で示されるアスペクト比が0.01以上の段差、例えば60乃至100000nmの段差、又はそれらの混在した凹凸を有するレジストパターン上に用いることができる。また、段差などを有さない基板に対しても使用することができる。
前記光照射は波長250nm乃至650nmの光によって行われる。
これら方法により半導体、発光ダイオード、固体撮像素子、記録装置、及びディスプレイ装置が製造される。
【0100】
以下、本発明のナノインプリント用レジスト上層膜形成組成物の使用について説明する。
半導体、発光ダイオード、固体撮像素子、記録装置、又はディスプレイ装置の製造に使用される加工基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンウエハ基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板、ポリイミド基板、低誘電率材料(low−k材料)被覆基板等)の上に、レジスト下層膜、及びナノインプリント用レジストの順に形成される。
レジスト下層膜は、スピナー、コーター、スプレー、インクジェット等の適当な塗布方法により塗布膜が形成される。レジスト下層膜は有機系又はポリシロキサン系のレジスト下層膜を用いることができる。そして、塗布膜に光照射又は熱焼成を行う前に、必要に応じて乾燥工程をおくことができる。溶媒を含むレジスト下層膜形成組成物が使用された場合は、乾燥工程をおくことが好ましい。
乾燥工程は、高温での加熱という方法でなければ特に制限はない。高温(例えば300℃、またはそれ以上の温度)で加熱されると、レジスト下層膜に含まれる固形分の昇華等が起こり、装置を汚染することが考えられるからである。乾燥工程は、例えば、ホットプレート上、基板を50乃至100℃で0.1乃至10分間加熱することによって行うことができる。また、例えば、室温(20℃程度)で風乾することで行うことができる。
【0101】
次にレジスト下層膜に対して熱焼成及び/又は光照射が行われる。光照射は例えば、超高圧水銀ランプ、フラッシュUVランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、DEEP−UV(深紫外)ランプ、キセノンショートアークランプ、ショートアークメタルハライドランプ、YAGレーザ励起用ランプ及びキセノンフラッシュランプ等を使用して行うことができる。例えば、超高圧水銀ランプを用い、紫外域の289nm、297nm、303nm、313nm(j線)、334nm、365nm(i線)や、可視光域の405nm(h線)、436nm(g線)、546nm、579nmの波長をピークとした輝線スペクトルを含めた波長250nm程度から650nm程度までの全波長を照射することによって行うことができる。
光照射によってレジスト下層膜中の光重合開始剤よりカチオン種や活性ラジカルが生じ、そして、これらによりレジスト下層膜中の重合性化合物の重合反応が起こる。そして、この重合反応の結果、レジスト下層膜が形成される。
【0102】
このようにして形成されたレジスト下層膜は、その上層に塗布されるナノインプリント用レジスト組成物に使用されている溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ピルビン酸メチル、乳酸エチル及び乳酸ブチル等に対する溶解性が低いものとなる。このため、本発明のレジスト下層膜形成組成物より形成されるレジスト下層膜は、上塗りナノインプリント用レジストとのインターミキシングを起こさないものとなる。
熱焼成(加熱)には、焼成温度80℃乃至300℃、焼成時間0.3乃至90分間の中から適宜、選択される。好ましくは、焼成温度130℃乃至300℃、焼成時間0.5乃至5分間である。
【0103】
次に、レジスト下層膜の上にレジストが形成される。これによって、半導体、発光ダイオード、固体撮像素子、記録装置、又はディスプレイ装置の製造に使用される加工基板上にレジスト下層膜及びレジストの積層構造が形成される。
レジストの形成は、スピナー、コーター、スプレー、インクジェット等の適当な周知の方法、すなわち、レジスト用組成物溶液のレジスト下層膜上への塗布及び、光照射又は熱焼成によって行なうことができる。レジスト下層膜の上に形成されるレジストとしては特に制限はなく、汎用されているアクリレートタイプの有機アクリルレジスト、又は無機レジストのいずれも使用できる。例えば、シロキサンポリマーを主成分とする光硬化無機レジストが開示されており公知である。更に、ポリビニルアルコールを用いた有機レジストが開示されている。光ナノインプリントリソグラフィで用いるフッ素添加剤を含むレジスト材料組成物が開示されている。光硬化性樹脂を用い、光ナノインプリントリソグラフィによりパターンを形成する例が開示されている。また、重合性化合物、光重合開始剤、界面活性重合開始剤を含み、粘度を限定したナノインプリントリソグラフィ用レジスト硬化性組成物が開示されている。
【0104】
インプリントによるパターン形成プロセスは、一括転写法とステップ・アンド・リピート法に分けられる。一括転写法は、レジストを加工全面に成膜した後、基板と同サイズのテンプレートを用いて基板とテンプレートを押しつけ転写する方法である。一方、ステップ・アンド・リピート法はより小さいチップサイズに加工したテンプレートを使用し、フォトリソグラフィによる露光処理と同等に、テンプレートのサイズごと繰り返し転写を行い、最終的に全面にインプリントによるパターン形成を行うものである。一般に基板及びテンプレートには反りや凹凸があり、加工基板が大きくなった場合や微細なパターン形成を必要とする場合、テンプレートが加工基板に平行に均一に押し付けることが難しくなる。以上から、ステップ・アンド・リピート法がより好ましい。
【0105】
また、光インプリントによるパターン形成プロセスは、熱インプリントによるパターン形成プロセスに比べて、テンプレート(モールド)とレジスト間の剥離性に優れ、ディフェクトが少なく、アライメント精度に優れ、レジストの熱膨張や熱収縮によるパターン寸法変化が小さく、処理時間が短く生産性に優れる。以上の光インプリントによるパターン形成プロセスの優位性からより微細な加工が必要である用途に適している。
【0106】
任意のテンプレートを通してインプリントによりパターン形成が行なわれる。インプリントによるパターン形成プロセスでは、加工基板の上にナノインプリント用レジストの下層に使用される下層膜組成物を塗布し、その上層にインプリント用レジスト組成物を塗布し、光透過性テンプレートを押し当て、熱焼成及び/又は光照射を行い、インプリントによりパターン形成を行う。光インプリントによるパターン形成プロセスにおいては、テンプレート又は基板の少なくとも一方は、照射する光を透過する材料を用いる。
【0107】
テンプレートは、インプリントする等倍パターンを有する。テンプレートは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じてパターンが形成できるが、本発明では、テンプレートパターン形成方法は特に制限されない。本発明において使用できるテンプレートは、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであれば良い。具体的には、ガラス、石英、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。特に、透明性と品質の点でパターニングされた石英が好ましい。
【0108】
非光透過型テンプレート(モールド)材としては、特に限定されないが、所定の強度と形状保持性を有するものであればよい。具体的には、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、SiC、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの基板などが例示され、特に制約されない。形状は板状モールド、ロール状モールドのどちらでもよい。ロール状モールドは、特に転写の連続生産性が必要な場合に適用される。
【0109】
上記本発明で用いられるテンプレートは、光ナノインプリントリソグラフィ用レジスト硬化物とテンプレートとの剥離性を向上するためにシリコーン系やフッソ系などのシランカップリング剤による離型処理を行ったものを用いることが好ましい。例えば、特に制限されないが、トリデカフルオロ1,1,2,2−テトラヒドロオクチルジメチルシラン、又はNovec EGC−1720等の市販の離型剤も好適に用いることができる。
【0110】
そして、本発明のレジスト上層膜形成組成物は、そのようなレジストパターンの凹凸を隙間(ボイド)を発生させることなく上層膜で充填するために使用することができる。また、アスペクト比が0.01以上のホールを密疎に有する加工基板(ホールが密に存在する部分と疎に存在する部分とを有するレジストパターン)に本発明の上層膜形成組成物を適用することができる。そして、本発明のレジスト上層膜形成組成物は、そのようなホールが密疎に存在する基板の表面に平坦なレジスト上層膜を形成するために使用することができる。
【0111】
本発明のレジスト上層膜形成組成物より形成されるレジスト上層膜の膜厚としては、レジスト表面上で、例えば10乃至10000nmであり、または50乃至10000nmであり、または100乃至10000nmである。
【0112】
そして、レジスト上層膜からレジスト上部までドライエッチングによりエッチングバックする。このレジストの表面出しの加工はハロゲン系ガス、特にフッ素系ガスによるドライエッチングによって行なわれることが好ましい。フッ素系ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン(CF
4)、パーフルオロシクロブタン(C
4F
8)、パーフルオロプロパン(C
3F
8)、トリフルオロメタン、及びジフルオロメタン(CH
2F
2)等が挙げられる。
【0113】
次に、ケイ素含有のレジスト上層膜を保護膜として、レジストの除去が行われる。レジストは酸素、又は水素、更にそれらと窒素ガスの混合によるドライエッチングによって行なわれることが好ましい。
最後に、加工基板の加工が行なわれる。半導体基板の加工はハロゲン系ガス、特にフッ素、又は塩素系ガスによるドライエッチングによって行なわれることが好ましい。塩素系ガスとしては、例えば、ジクロロボラン、トリクロロボラン、塩素、四塩化炭素、及びクロロホルム等である。
【0114】
本発明のレジスト上層膜形成組成物は、レジストパターンをケイ素含有膜で反転させ、プラズマエッチングによる加工マージンを改善できる。微細加工の進展に伴い、レジスト層の厚さ以上に、加工基板の深彫りエッチングが必要な場合が多くなっている。又は、ナノインプリント時のレジストのパターン倒れを防ぐため配線幅の減少に伴い、レジスト層の厚みが薄くなってきており、プラズマエッチングによる加工マージンが小さくなっている。
特に、パターン倒れを防ぐためにアスペクト比の小さいテンプレートを使用した場合に、本発明によるケイ素含有のレジスト上層膜を追加することにより、レジストパターンを反転でき、ケイ素含有のレジスト上層膜をハードマスクとして下地となる有機レジストをエッチング選択比が大きい酸素、又は水素、更にそれらと窒素ガスの混合によるドライエッチングできる。その後、反転させたレジストパターンを正確に加工基板にフッ素、又は塩素系ガスによるドライエッチングによって転写することができる。
【実施例】
【0115】
実施例1
ケイ素化合物(A)(式(2−5)に相当)1.00g、光カチオン重合開始剤として4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート/4−isopropyl−4’−methyldiphenyliodonium Tetrakis(pentafluorophenyl)borate(東京化成工業株式会社製)0.02g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.76g、シクロヘキサノン7.08g、及び界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名メガファックR30)0.001gを混合し、10質量%の溶液に調整した。そして、その溶液を孔径0.2μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、レジスト上層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0116】
実施例2
ケイ素化合物(A)(式(2−6)に相当)1.00g、光ラジカル重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン株式会社製、商品名DAROCUR1173)0.04g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.81g、シクロヘキサノン7.29g、及び界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名メガファックR30)0.001gを混合し、10質量%の溶液に調整した。そして、その溶液を孔径0.2μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、レジスト上層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0117】
実施例3
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名KBM403)72.0g、水16.2g、及びパラトルエンスルホン酸0.552gをプロピレングリコールモノメチルエーテル145.1gに加え、80℃で8時間攪拌し、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加水分解しそれらの縮合物を得た。得られたポリシロキサン樹脂は重量平均分子量が1250であり、数平均分子量が1010であった。
次いで、反応溶液10.0gに、ケイ素化合物(A)(式(2−5)に相当)2.00g、光カチオン重合開始剤としてトリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリ(ペルフルオロメタンスルホニル)メチド(商品名TTBPS−C1、チバ・ジャパン株式会社製)0.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.03g、シクロヘキサノン38.14g、及び界面活性剤(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名メガファックR30)0.006gを混合し、10質量%の溶液に調整した。そして、その溶液を孔径0.2μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、レジスト上層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0118】
実施例4
ケイ素化合物(A)(式(2−5)に相当)1.00g、熱カチオン重合開始剤としてビス(4−tブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート/Bis(4−tert−butylphenyl)iodonium triflate((みどり化学株式会社製、商品名BBI105)0.05g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.84g、シクロヘキサノン7.36g、及び界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名メガファックR30)0.001gを混合し、10質量%の溶液に調整した。そして、その溶液を孔径0.2μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、レジスト上層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0119】
比較例1
式(7−1):
【0120】
【化12】
【0121】
で示される1,3−ジアリルテトラメチルジシロキサン0.95g、熱カチオン開始剤として2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン0.05g、シクロヘキサノン9.00g、及び界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名メガファックR30)0.001gを混合し、10質量%の溶液に調整した。そして、その溶液を孔径0.2μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、レジスト上層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0122】
(レジスト溶剤への溶出試験)
実施例1乃至実施例3で得たレジスト上層膜形成組成物の溶液をスピナーにより、半導体基板(シリコンウエハ基板)上に塗布し塗布膜を形成した。塗布膜を波長380nmの強化ランプ((株)オーク製作所製、メタルハライドランプ)を用い、ランプの全波長を照射した(露光量2J/cm
2)。そして、溶剤を除去して乾燥させるため、ホットプレート上、150℃で1分間加熱し、レジスト上層膜(膜厚150乃至250nm)を形成した。
また、実施例4で得たレジスト上層膜形成組成物の溶液をスピナーにより、半導体基板(シリコンウエハ基板)上に塗布し塗布膜を形成した。ホットプレート上、150℃で1分間加熱した後、250℃で3分間を本焼成してレジスト上層膜(膜厚150乃至250nm)を形成した。
次いで、これらのレジスト上層膜をインプリント用レジストに使用する溶媒である乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬し、実施例1乃至実施例4で得たレジスト上層膜形成組成物より得られたレジスト上層膜は、それらの溶剤に不溶であることを確認した。
【0123】
また、比較例1で得たレジスト上層膜形成組成物の溶液をスピナーにより、半導体基板(シリコンウエハ基板)上に塗布した。その後、ホットプレート上、150℃で1分間加熱した後、200℃で3分間を本焼成した。しかしながら、均質なレジスト上層膜を得ることができなかった。
ひとつの理由として、比較例1の主成分である1,3−ジアリルテトラメチルジシロキサンの分子量が214.45と小さいため、スピンコート後に分子の絡み合いがあまり起こらず、アモルファスな均質な膜が得られなかったと考えられる。
【0124】
(光学パラメータの測定)
前記と同様にして、実施例1乃至実施例4で得たレジスト上層膜形成組成物の溶液よりシリコンウエハー基板上にレジスト上層膜を表1に記載した膜厚で形成した。そして、分光エリプソメーターにより、上層膜の波長633nmでの屈折率(n値)及び減衰係数(k値)を測定し、その値を表1に示した。
表1で実施例1乃至4としているものは、それぞれ実施例1乃至4のレジスト上層膜形成組成物から得られたレジスト上層膜を評価したものである。
【0125】
【表1】
【0126】
(インプリント用光硬化レジストの準備)
アクリル酸ブチル(東京化成工業株式会社製)11.7g、アクリル酸イソボルニル(東京化成工業株式会社製)20.0g、エチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業株式会社製)9.52g、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン株式会社製、商品名DAROCUR1173)0.788gを混合し、室温で5時間攪拌した。アクリル酸ブチル、アクリル酸イソボルニル、エチレングリコールジメタクリレート、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンのモル比は、38%:40%:20%:2%であった。
【0127】
(ドライエッチング速度の試験)
前記と同様にして、実施例1乃至実施例4で得たレジスト上層膜形成組成物の溶液よりそれぞれシリコンウエハー基板上にレジスト上層膜を表2に記載した膜厚で形成した。そして、日本サイエンティフィック製RIEシステムES401を用い、ドライエッチングガスとしてO
2とCF
4を使用した条件下で、その上層膜のドライエッチング速度(単位時間当たりの膜厚の減少量)を測定した。得られた結果は、ドライエッチング速度の選択性として示す。前記インプリント用光硬化レジストの同様の条件下でのドライエッチング速度を1.00とした時の、上層膜のドライエッチング速度の比を示したものが、ドライエッチング速度の選択比である。
表2で実施例1乃至4としているものは実施例1乃至4のレジスト上層膜形成組成物から得られたそれぞれのレジスト上層膜を評価したものである。
【0128】
【表2】
【0129】
本発明による実施例1乃至実施例4で得たレジスト上層膜は、ケイ素を含まないインプリント用光硬化レジストに対して優れたO
2ガス選択比を有する。これは、レジスト上層膜をナノインプリントレジストパターン上に塗布後、CF
4ガスによるエッチバック後に、O
2ガスに切り替えて、レジストを選択的に取り除け、ナノインプリントパターンをこれらのレジスト上層膜によるリバースできることを示している。
【0130】
(光ナノインプリント後のレジスト上層膜の平坦性)
本発明のレジスト上層膜のナノインプリント試験において、光ナノインプリント装置による(モレキュラーインプリント社製、商品名IMPRIO)のステップ・アンド・リピート法を使用した。上記のインプリント用光硬化レジストをドロップ塗布法により1箇所当り0.0092μlの液滴を、2.5×2.5cm
2の面積に7×7の合計49箇所に設けた。レジスト材料の液滴を作成した加工基板を、80nmのライン(高さ120nm)が等間隔で刻まれている石英のテンプレートとの距離を均一になるように水平に設定した。0.4mm/秒から0.003mm/秒の速度で減少させ、テンプレートを加工基板に向かって降下させた。テンプレートがレジスト表面と接し始めた後、18Nの押しつけ圧力で加重をかけて、テンプレートの凹凸部を完全に基板に密着させた。その後、光照射(130秒間)を行い、インプリント用レジストを光硬化された。テンプレートを上昇させ、光ナノインプリントによるレジストパターンの形成プロセスを完了した。その結果、80nmのライン(高さ120nm)のレジストパターンを2.5×2.5cm
2の面積に均一に得た。
次に、前記実施例1乃至4で得たレジスト上層膜形成組成物の溶液よりナノインプリント用レジストパターン上にレジスト上層膜(膜厚190乃至260nm)をそれぞれ形成した。
【0131】
ナノインプリント用レジストパターン(80nmのライン(高さ120nm)、ライン:スペースの比率は1:1)上の実施例1乃至4で得たレジスト上層膜形成組成物の平坦化率の結果を表1に示す。
そして、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて基板の断面形状を観察することにより、下層膜による平坦化率を評価した。平坦化率は、下式に従い求めた。基板上のホールを完全に平坦化できたときの平坦化率は100%である。
図2において平坦化性は以下の方法で求めた。
平坦化率={(パターン有部でのレジスト上層膜の厚さt)/(パターン無し部のレジスト上層膜の厚さh)}×100
また、ホール内部にボイド(隙間)の発生は観察されず、ホール内部が下層膜で充填されていることが観察された。
【0132】
【表3】
【0133】
実施例1乃至4のレジスト上層膜のパターン上の膜厚差(Bias)は小さい。実施例1乃至4の上層膜は、特に膜厚一定が困難である微細なレジストパターン有部での流動性に優れる。これは、ケイ素化合物(A)を含むレジスト上層膜の溶液がスムーズに流れ込み、一定の膜厚が得られるためである。その結果、凹凸のあるナノインプリント用レジストパターン上でレジスト上層膜の膜厚差が小さく、かつ優れた平坦性を得た。