特許第5757286号(P5757286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5757286フラーレン誘導体を含むレジスト下層膜形成組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757286
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】フラーレン誘導体を含むレジスト下層膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   G03F7/11 503
   G03F7/11 502
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-503058(P2012-503058)
(86)(22)【出願日】2011年2月17日
(86)【国際出願番号】JP2011053386
(87)【国際公開番号】WO2011108365
(87)【国際公開日】20110909
【審査請求日】2014年1月31日
(31)【優先権主張番号】特願2010-44100(P2010-44100)
(32)【優先日】2010年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】新城 徹也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】奥山 博明
(72)【発明者】
【氏名】境田 康志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅一
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−150023(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/126804(WO,A1)
【文献】 特開2006−227391(JP,A)
【文献】 特開2004−264709(JP,A)
【文献】 特開2011−164201(JP,A)
【文献】 特開2006−227389(JP,A)
【文献】 特開2005−266798(JP,A)
【文献】 特表2008−513820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラーレン1分子に対して下記式(1):
【化1】
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)
で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基又はオキシラン環を少なくとも2つ有する化合物、及び溶剤を含む、レジスト下層膜形成組成物であって、
該エポキシ基又はオキシラン環を少なくとも2つ有する化合物が、下記式(3−a)、式(3−b)、式(3−c)又は式(3−d):
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
で表されるエポキシ化合物であり、そして
該エポキシ化合物は、該フラーレン誘導体に対して0.1乃至100質量%の範囲で含まれている、
レジスト下層膜形成組成物。
【請求項2】
さらに酸触媒又は塩基触媒を含む、請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項3】
さらに界面活性剤を含む、請求項1又は請求項2に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布し、180℃乃至400℃の温度で少なくとも1回ベークしてレジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜上に中間層形成組成物を塗布し、ベークすることにより珪素含有中間層を形成する工程と、
前記中間層上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に対し少なくとも露光及び現像する工程を有する、レジストパターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置を製造する際のリソグラフィープロセスにおいて使用される、レジスト下層膜を形成するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、C60フラーレンと比較して有機溶媒への溶解度の高い、フラーレン誘導体が合成されている。そのようなフラーレン誘導体を有機溶媒に溶解させた溶液を用いることで、基板上に容易に薄膜を形成できるようになった。そのため、フラーレン誘導体をn型有機薄膜トランジスタ、太陽電池などへ適用することが研究されている。
【0003】
一方、半導体装置を製造する際のリソグラフィープロセスにおいて、フォトレジスト膜を形成するのに先立ち、レジスト下層膜を設けることによって、所望の形状のレジストパターンを形成する技術が知られている。下記特許文献1には、フラーレン誘導体として、例えばフロンティアカーボン株式会社製のフラーレン誘導体を用いて調製した、レジスト下層膜形成組成物が記載されている。下記特許文献2には、フラーレン誘導体として、マロン酸ジエチル多付加体又はマロン酸−ジ−tert−ブチル多付加体を用いた、フォトレジスト組成物が記載されている。特許文献2に記載されているようなフラーレン誘導体及びその製造方法は、下記特許文献3にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/126804号
【特許文献2】特開2005−266798号公報
【特許文献3】特開2005−263795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レジスト下層膜にとって、ドライエッチング速度の制御は重要である。例えば、酸素含有ガスに対してエッチング速度を高く、逆にCF等のフッ素化合物を含有するガスに対してエッチング耐性を有するためには、炭素含有率の高いレジスト下層膜を採用する必要がある。フラーレン自体は炭素原子のみからなる材料であるため、炭素含有率は100質量%であるが、溶剤に溶けにくいという問題がある。この問題は、溶剤に対する溶解性を備えたフラーレン誘導体を用いることで解決することができる。しかしながら、このようなフラーレン誘導体は通常、修飾基を有さないフラーレンと比較して炭素含有率が低い。
【0006】
ところで、特許文献2で用いられたフラーレン誘導体であるマロン酸−ジ−tert−ブチル多付加体は、加熱により付加物(修飾基)が分解し、カルボキシル基が生成することが、最近わかってきた。すなわち、前記付加物(修飾基)を有するフラーレン誘導体を含む溶液を塗布し、前記付加物(修飾基)が分解する温度でベークすることによって、形成される膜の炭素含有率を分解前よりも高めることができる。
【0007】
さらにレジスト下層膜は、その上に、塗布法により中間層又はレジスト膜を形成する際、塗布する溶液に含まれる溶剤に溶解しないこと、及びムラなく均一に塗布できることが求められる。
【0008】
そこで、本発明は、高いエッチング耐性(ドライエッチング速度が小さい)を有すると共に、溶剤耐性に優れ、上に塗布する溶液の塗布性に優れたレジスト下層膜を形成できる組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一態様は、
フラーレン1分子に対して下記式(1):
【化1】
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)
で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ化合物、及び溶剤を含む、レジスト下層膜形成組成物である。
【0010】
本発明の第二態様は、
前記レジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布し、180℃乃至400℃の温度で少なくとも1回ベークしてレジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜上に中間層形成組成物を塗布し、ベークすることにより珪素含有中間層を形成する工程と、
前記中間層上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に対し少なくとも露光及び現像する工程を有する、レジストパターンの形成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、加熱により付加物(修飾基)が分解するフラーレン誘導体と共に、エポキシ化合物を含むため、所定の温度でベークすることにより架橋反応が進行する。その結果、形成されるレジスト下層膜は、高いドライエッチング耐性を有すると共に、耐溶剤性を有し、且つ溶液塗布性のよい表面を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に含まれるフラーレン誘導体は、例えば前記式(1)のRが分岐アルキル基(炭素原子数3以上)である、下記式(2):
【化2】
(式中、nは1乃至6の整数を表す。)
で表される。しかし、この式(2)で表されるフラーレン誘導体に特定されるわけではない。
【0013】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に含まれるフラーレン誘導体は、フラーレン1分子に対して前記式(1)で表されるマロン酸ジエステルが4分子付加した、4付加体を主成分として含むことができる。
【0014】
前記マロン酸ジエステルが付加するフラーレンとして、C60に限らず、C70、又はC60とC70の混合物を使用することができ、C60及びC70に加えて高次フラーレンを含む混合物も使用することもできる。高次フラーレンとは、炭素原子数が70を越えるフラーレン(例えば、C76、C82、C84、C90及びC96)の総称である、と本明細書では定義する。前記混合物を使用することによって、C60又はC70を使用する場合と比較してコストを下げることができる。
【0015】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に含まれるエポキシ化合物として、エポキシ基又はオキシラン環を少なくとも2つ有する化合物が好ましい。当該エポキシ化合物は、フラーレン誘導体に対し、例えば、0.1乃至500質量%、好ましくは1乃至100質量%の範囲で含まれる。
【0016】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、酸触媒又は塩基触媒をさらに含むことができる。酸触媒として、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、ビススルホン誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体及びN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体を挙げることができる。塩基触媒として、例えば、イミダゾール化合物、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アミン化合物、アルミニウムキレート化合物、有機ホスフィン化合物等を挙げることができる。具体的には、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール等のアミン化合物及びその塩、テトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエートなどの有機ホスフィン化合物等が挙げられる。これらの酸触媒又は塩基触媒から選択される1種を添加してもよいし、2種以上組合せて添加することもできる。当該酸触媒又は塩基触媒は、フラーレン誘導体に対し、例えば0.1乃至50質量%、好ましくは0.5乃至40質量%の範囲で含まれ、フラーレン誘導体の付加物(修飾基)の分解反応及び架橋反応を促進するものである。
【0017】
オニウム塩を以下に例示する。トリフルオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリエチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ピリジニウム、カンファースルホン酸トリエチルアンモニウム、カンファースルホン酸ジフェニルヨードニウム、カンファースルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、カンファースルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)ヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)ヨードニウム、ノナフルオロブタンスルホン(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、ノナフルオロブタンスルホンビス(p−tert−ブトキシフェニル)ヨードニウム、カンファースルホン酸ピリジニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラn−ブチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラフェニルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート、トリエチルアンモニウムノナフレート、トリブチルアンモニウムノナフレート、テトラエチルアンモニウムノナフレート、テトラブチルアンモニウムノナフレート、トリエチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、及びトリエチルアンモニウムトリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチド。
【0018】
ジアゾメタン誘導体を以下に例示する。ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、及び1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン。
【0019】
グリオキシム誘導体を以下に例示する。ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、及びビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム。
【0020】
ビススルホン誘導体を以下に例示する。ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、及びビスベンゼンスルホニルメタン。
【0021】
β−ケトスルホン誘導体を以下に例示する。2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、及び2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン。
【0022】
ジスルホン誘導体を以下に例示する。ジフェニルジスルホン誘導体及びジシクロヘキシルジスルホン誘導体。
【0023】
ニトロベンジルスルホネート誘導体を以下に例示する。p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル及びp−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル。
スルホン酸エステル誘導体を以下に例示する。1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン。
【0024】
N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体を以下に例示する。N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、及びN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル。
【0025】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。界面活性剤として、例えば、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R30(DIC株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。これらの界面活性剤から選択される1種を添加してもよいし、2種以上組合せて添加することもできる。当該界面活性剤は、フラーレン誘導体に対し、例えば、0.01乃至10質量%、好ましくは0.1乃至5質量%の範囲で含まれる。
【0026】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、上記の各成分が溶剤に溶解した、均一な溶液状態で用いられる。そのような溶剤として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、乳酸エチル、o−キシレン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、1−メチル−2−ピロリドン及びγ−ブチロラクトンを用いることができる。これらの溶剤から選択される1種を使用してもよいし、2種以上組合せて使用することもできる。
【0027】
調製されたレジスト下層膜形成組成物は、例えば0.1μm又は0.1μmより小さい孔径のフィルタを用いてろ過した後、使用することが好ましい。ろ過後のレジスト下層膜形成組成物は、室温で長期間の貯蔵安定性に優れる。
【0028】
以下、本発明のレジスト下層膜形成組成物の使用法について説明する。基板〔例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜が形成されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス、結晶化ガラスを含む)、ITO膜が形成されたガラス基板等〕の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のレジスト下層膜形成組成物を塗布し、その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることによりレジスト下層膜が形成される。ベーク条件は、温度:180℃乃至400℃、時間:0.3分乃至10分の範囲から最適値が選択される。180℃乃至250℃の温度でベークした後、当該温度よりも高い温度、例えば300℃乃至400℃で再びベークしてもよい。180℃乃至250℃の温度でのベークにより、塗布した組成物に含まれるフラーレン誘導体の付加物(修飾基)が分解し、カルボキシル基が生成する。その後300℃乃至400℃でのベークにより、前記付加物(修飾基)の分解がさらに進み、架橋反応が進行したフラーレン誘導体になると推定される。形成されるレジスト下層膜の膜厚は、0.01μm乃至3.0μm、例えば0.03μm乃至1.0μm、又は0.05μm乃至0.5μmである。
【0029】
前記レジスト下層膜上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により中間層形成組成物を塗布する。前記中間層形成組成物として、例えば、1種又は2種以上のアルコキシシランの加水分解物及び/又は加水分解縮合物と必要な添加剤を含む溶液、又は市販のポリシラン及び必要な添加剤を含む溶液が挙げられる。その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることにより珪素含有中間層が形成される。ベーク条件は、温度:180℃乃至300℃、時間:0.3分乃至10分の範囲から最適値が選択される。
【0030】
次いで珪素含有中間層上に、レジスト膜が形成される。レジスト膜の形成は一般的な方法、すなわち、レジスト溶液の中間層上への塗布及びベークによって行なうことができる。使用するレジスト溶液としては、特に制限はなく、例えば、ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ社製,商品名:APEX−E、住友化学株式会社製,商品名:PAR710、及び信越化学工業株式会社製,商品名:SEPR430等が挙げられる。
【0031】
さらに、レジスト膜からレジストパターンを形成するために、フォトマスク(レチクル)を通して露光が行なわれる。露光には、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー及びEUV(極端紫外線)を使用することができる。露光後、必要に応じてPEB(Post Exposure Bake)を行った後、現像を行う。
【0032】
ポジ型のレジスト溶液を用いた場合、現像にはアルカリ性現像液が用いられる。アルカリ性現像液として、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリン等の水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミン等のアミン水溶液が挙げられる。さらに、これらの現像液に界面活性剤を加えることもできる。
【0033】
現像の条件としては、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。本発明の場合、フォトレジストの現像に汎用されている2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、室温で容易に現像を行なうことができる。
【0034】
以下、本発明の具体例を下記合成例及び下記実施例にて説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
(合成例1)
反応容器に窒素気流下マロン酸−ジ−tert−ブチル(Aldrich社製)9.80gを入れ、さらに1,2,4−トリメチルベンゼン150cmとジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene、東京化成工業株式会社製)6.50gを加えて撹拌しながら、温度を4℃に調整した。
【0036】
得られた温度調整後の反応液に、ヨウ素(和光純薬工業株式会社製)10.9gを130cmの1,2,4−トリメチルベンゼンに溶解させた黒紫色の溶液をゆっくり滴下した。滴下中は氷浴を用いてフラスコ内温を11℃になるよう制御した。滴下終了後、反応液の温度を室温まで戻した。フラスコ内の反応液は茶色の懸濁液の状態であった。
【0037】
その後、上記反応容器内の反応液に、フラーレン混合物(C60、C70及びその他高次フラーレン類を含む、フロンティアカーボン株式会社製)5.00gを1,2,4−トリメチルベンゼン350cmに溶解させた溶液を撹拌しながら加えた。ここで、高次フラーレンとは、炭素原子数が70を越えるフラーレンの総称と本明細書では定義する。その後、フラスコ内の反応液に、ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene、東京化成工業株式会社製)6.90gを5cmの1,2,4−トリメチルベンゼンで希釈した溶液を撹拌しながらゆっくり滴下した。室温で6.5時間撹拌して反応させた。
【0038】
得られた反応液について、反応層(有機相)を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で4回洗浄した。得られた有機相を、1N硫酸水溶液100cmを用いて2回洗浄した後、純水200cmを用いて3回洗浄した。溶剤(1,2,4−トリメチルベンゼン)を減圧下留去し、赤茶色の固体9.50gを得た。
【0039】
得られた固体をシリカゲルクロマトグラフでn−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒にて分別して、フラーレン誘導体(マロン酸−ジ−tert−ブチルエステル付加体)を得た。
【0040】
(実施例1)
合成例1で得たフラーレン誘導体1.0gに、式(3−a)で表されるエポキシ化合物(東都化成株式会社製、商品名:YH434L)0.15g、界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC株式会社)0.001gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.0gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物溶液を調製した。
【化3】
【0041】
(実施例2)
合成例1で得たフラーレン誘導体1.0gに、実施例1で用いたエポキシ化合物(東都化成株式会社製、商品名:YH434L)0.3g、界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC株式会社製)0.001gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.0gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物溶液を調製した。本実施例は、使用したエポキシ化合物の質量が前述の実施例1と異なる。
【0042】
(実施例3)
合成例1で得たフラーレン誘導体1.0gに、式(3−b)で表されるエポキシ化合物(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:GT401)0.1g、界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC株式会社製)0.001gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.0gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物溶液を調製した。
【化4】
【0043】
(実施例4)
合成例1で得たフラーレン誘導体1.0gに、式(3−c)で表されるエポキシ化合物(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD−C)0.2g、界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC株式会社製)0.001gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.0gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物溶液を調製した。
【化5】
【0044】
(実施例5)
合成例1で得たフラーレン誘導体1.0gに、式(3−d)で表されるエポキシ化合物(DIC株式会社製、商品名:HP−4700)0.3g、界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC株式会社製)0.001gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.0gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物溶液を調製した。
【化6】
【0045】
(実施例6)
合成例1で得たフラーレン誘導体1.0gに、前記式(3−a)で表されるエポキシ化合物(東都化成株式会社製、商品名:YH434L)0.15g、界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC株式会社)0.001g、触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.05gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.0gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物溶液を調製した。
【0046】
(比較例1)
合成例1で得たフラーレン誘導体1.0gに、界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC株式会社製)0.001gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.0gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物溶液を調製した。本比較例は、前述の実施例1乃至実施例6とは異なり、エポキシ化合物を含まない例である。
【0047】
〔フォトレジスト溶剤への溶出試験〕
実施例1乃至実施例6で調製した各レジスト下層膜形成組成物溶液(エポキシ化合物を含む)を、スピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で240℃の温度で1分間加熱し、レジスト下層膜(膜厚0.2μm)を形成した。そして、これらのレジスト下層膜を、フォトレジストに使用する溶剤である、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬し、その溶剤に不溶であることを確認した。
【0048】
次に、比較例1で調製したレジスト下層膜形成組成物溶液を、スピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で240℃の温度で1分間加熱し、レジスト下層膜(膜厚0.2μm)を形成した。このレジスト下層膜を、フォトレジストに使用する溶剤である、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬したところ、その溶剤に溶解することを確認した。比較例1で調製したレジスト下層膜形成組成物を塗布した膜は、上記加熱により耐溶剤性が発現しないため、形成されたレジスト下層膜の上層へ、塗布法により中間層形成材料(例えば、ポリシロキサン又はポリシランを含有する組成物)を成膜することが困難である。
【0049】
〔光学パラメーターの試験〕
実施例1乃至実施例6及び比較例1で調製した各レジスト下層膜形成組成物を、スピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で240℃の温度で1分間加熱し、レジスト下層膜(膜厚0.2μm)を形成した。そして、これらのレジスト下層膜を分光エリプソメーター(J.A. Woollam社製、VUV−VASE VU−302)を用い、波長193nmでの屈折率(n値)及び光学吸光係数(k値、減衰係数とも称する)を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示す結果は、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物より得られたレジスト下層膜を、珪素含有中間層と組み合わせて用いる際に、基板からの波長193nmの光の反射を低減することができるn値及びk値を有していることを示している。
【0052】
〔ドライエッチング速度の測定〕
ドライエッチング速度の測定には、下記のエッチング装置及びエッチングガスを用いた。
エッチング装置:RIE−10NR(サムコ株式会社製)
エッチングガス:CF
実施例1乃至実施例6及び比較例1で調製した各レジスト下層膜形成組成物溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で240℃の温度で1分間加熱し、レジスト下層膜(膜厚0.2μm)を形成した。そのレジスト下層膜に対し、エッチングガスとしてCFガスを使用してドライエッチング速度を測定した。さらに、フェノールノボラック樹脂0.7gをプロピレングリコールモノメチルエーテル10gに溶解させた溶液を、スピナーにより、シリコンウェハー上に塗布し、240℃の温度で1分間加熱してフェノールノボラック樹脂膜を形成した。その樹脂膜に対し、エッチングガスとしてCFガスを使用してドライエッチング速度を測定し、実施例1乃至実施例6及び比較例1のレジスト下層膜形成組成物から形成された各レジスト下層膜のドライエッチング速度との比較を行った。その結果を下記表2に示す。表2のドライエッチング速度比は、上記フェノールノボラック樹脂膜のドライエッチング速度に対する各レジスト下層膜のドライエッチング速度(レジスト下層膜)/(フェノールノボラック樹脂膜)である。
【0053】
【表2】
【0054】
上記表2の結果から、実施例6で調製した、触媒を含むレジスト下層膜形成組成物より得られたレジスト下層膜は、他の実施例で調製したレジスト下層膜形成組成物より得られたレジスト下層膜と比較して、ドライエッチング速度比が小さい結果となった。この結果は、レジスト下層膜形成組成物が触媒を含有することにより、形成される膜のドライエッチング耐性が向上することを示している。