(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
気相冷媒を、下流側熱交換器をバイパスして圧縮機に戻し、且つ冷房、暖房運転に合わせ、気液二相流冷媒の入る、入り口管側が変るようにした気液分離装置を室内熱交換器と室外熱交換器との間に備えた空気調和機に於いて、上記気液分離装置を、横置きされた容器本体と、気液二相流冷媒が通る孔を外周部近くに有し、且つ上記容器本体内を2個の狭小空間と急拡大室との3室に区画する2個の仕切り体と、狭小空間に挟まれた急拡大室に臨む気相冷媒導出管と、急拡大室の両側に位置する狭小空間に臨むように設けられた2本の出入り口管とで構成したことを特徴とする空気調和機等の冷凍装置。
急拡大室に臨む気相冷媒導出管の開口に対向して、液相冷媒が気相冷媒導出管に入るのを防止し且つ気相冷媒導出管より導出される気相冷媒の吸い込み抵抗とならないように保護材を設けた気液分離装置であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空気調和機等の冷凍装置。
【背景技術】
【0002】
従来提案されている気液分離装置は、冷凍サイクル中にあって、入り口管と出口管が特定され、冷媒の流れる方向が限定されていた。
従って、冷凍サイクル中に於いて上記気液分離装置の使い方は限られたものであった。その一例を以下
図27、
図28をもって説明する。
先ず、
図27に示すものは、特許文献1で開示されたものであるが、このものは冷房専用の空気調和機に気液分離装置を採用した例である。
【0003】
即ち、図に於いて、圧縮機27は第一のシリンダ28を有し、圧縮機で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒を先の第一のシリンダ28で圧縮し、高温高圧気相冷媒とし冷媒吐出管30を介し凝縮器31に送り、そこで凝縮用送風機32によって送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。
その液冷媒は減圧器33(膨張弁)で減圧され気液二相流冷媒となり、入り口管5から気液分離装置43に流入し、そこで分離された液相冷媒は液相出口管7から蒸発器35に入り、蒸発用送風機36で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機27に吸い込まれる。
【0004】
一方、気液分離装置で分離された気相冷媒は気相出口管6から蒸発器バイパス管38を経て、圧縮機に吸い込まれる。
この冷房専用の空気調和機であれば、気相冷媒は蒸発器35に流入しないため、蒸発器35での圧力損失を抑えることが出来、圧縮動力が節減でき高効率な運転を可能にすることが出来る。
【0005】
又、
図28に示すものは、冷房、暖房切換可能な空気調和機の冷凍サイクル中に冷蔵要素(例えば冷蔵庫)を組み込んだものである。
即ち、この冷凍サイクルの場合、冷蔵要素29(毛細管12と冷却器13)には冷房、暖房切替に関係なく一定方向より冷媒を流す必要がある。
これを達成する為に流路切換逆止弁ブリッジ50を組み込んだものである。この流路
切換逆止弁ブリッジ50を冷房、暖房切替可能な冷凍サイクルに組み込めば冷媒の流れ方向が特定されるので
図27で説明した気液分離装置の採用も可能となる。
この流路切換逆止弁ブリッジ50と先の気液分離装置43を併用した、空気調和機であれば蒸発に寄与しない気相冷媒は冷房運転時に蒸発器となる室内側熱交換器に流入しないし、暖房運転時に蒸発器となる室外側熱交換器に流入しない為、蒸発器となる側の熱交換器での圧力損失を抑えることが出来、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にすることが出来るものである。
【0006】
また、気液分離装置自体の発明としては特許文献3、4で示すものがある。
以下、これを
図29、
図30をもって説明する。
先ず
図29に於いて、
図29に示されたバルクオイルセパレータは2枚以上のバッフル45a、45b---でシェル内を複数のセクション(44a、44b---)に区画し、ガス及びオイルの混合物をセクション44a内に取り込む入り口管20を設けると共に、セクション内で分離されたオイル及びガスを持ち出す管としてライン21(オイル用)及び出口ガス管31(ガス用)をセクション44dに設け、ガス及びオイルの混合物を各セクションでガスとオイルに分離するようにしたものである。
【0007】
次に
図30に於いて、
図30に示された気液分離装置は室内熱交換器と室外熱交換器との間に配置されたもので、気相冷媒を、下流側熱交換器をバイパスして圧縮機に戻し、冷房、暖房運転に合わせ、気液二相流冷媒の入る入り口管が変るようにしたものであって、冷凍サイクル中に組み込まれた気液分離装置は、筒状容器13底面に遮蔽板16を設け、筒状容器13下部を第1冷媒室17と第2冷媒室18に区画し、この区画された室17、18に第1冷媒管10、第2冷媒管11を設け、一方の冷媒管より冷媒室に入った気液二相流冷媒を密度差により気相と液相に分離し、液相冷媒は他方の冷媒管を通して次の熱交換器側に導出し、気相冷媒は筒状容器13内の上方に臨んで設けられた第3冷媒管12を通して圧縮機側に戻すようにしたものである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0023】
図1〜
図4に於いて、
図1は冷房、暖房切替可能な空気調和機に本発明を備えた気液分離装置を組み込んだ図で、暖房運転状態を示す図であり、
図2は冷房、暖房切替可能な空気調和機に本発明を備えた気液分離装置を組み込んだ図で、冷房運転状態を示す図であり、
図3は本発明を備えた気液分離装置の容器本体一部切り欠き斜視図であり、
図4は
図3の横断面図である。
【0024】
先ず、
図1〜
図2に於いて、1は空調室内に据え付けられる室内ユニットと室外に設置される室外ユニットによって構成され、冷房、暖房運転が出来る空気調和機の冷凍サイクルで、この冷凍サイクル1は圧縮機2と、圧縮機2の吐出口3及び吸入口4との間に接続された四方弁5と、四方弁5に接続された室内熱交換器6及び室外熱交換器7と、室内熱交換器6と室外熱交換器7との間に挿入された膨張弁8a、気液分離装置9、膨張弁8bと、気液分離装置9で分離された気相冷媒を圧縮機2の吸入口4側に戻す気相戻し管11と、この気相戻し管11と圧縮機2間に設けられた冷媒吸入流路10等とで構成されている。12は室内熱交換器6に風を送り、熱交換した暖気若しくは、冷気を室内に吹き出す室内側送風機であり、13は室外熱交換器7の熱交換を促進する室外側送風機である。
【0025】
そして、冷凍サイクル1を暖房運転する場合には
図1に示す如く、四方弁5を実線で示すように切り替えて冷媒を流すことにより、室内熱交換器6が凝縮器として、室外熱交換器7が蒸発器として機能する。
この時、二つある膨張弁8a、8bの内、8aは減圧作用を行なうが8bは減圧作用を行なわないよう予め動作させておくものである。又、気液分離装置9には矢印に示す如く膨張弁8aで減圧された気液二相流冷媒が入り、膨張弁8b側には気液分離装置9で分離された液相冷媒が流れる(通過する)ものである。
尚、気液分離装置9内で分離された気相冷媒は気相戻し管11より冷媒
吸入流路10を経由して、圧縮機2の吸入口4側に戻されるものである。
【0026】
又、冷房運転する場合には
図2に示す如く、四方弁5を実線で示すように切り替えて冷媒を流すことにより、室内熱交換器6が蒸発器として室外熱交換器7が凝縮器として機能する。
この時二つある膨張弁8a、8bの内、8bは減圧作用を行なうが、8aは減圧作用は行なわないよう予め動作させておくものである。
又、気液分離装置9には矢印に示す如く膨張弁8bで減圧された気液二相流冷媒が入り、膨張弁8a側には気液分離装置9で分離された液相冷媒が流れる(通過する)ものである。
尚、気液分離装置9内で分離された気相冷媒は気相戻し管11より冷媒
吸入流路10を経由して、圧縮機2の吸入口4側に戻されるものである。
【0027】
以上の如く、暖房運転の場合には凝縮器となる室内熱交換器6と熱交換した高温高圧気相冷媒は高圧液状冷媒となり膨張弁8aに入り、そこで減圧され気液二相流冷媒となり気液分離装置9内に入る。それが気液分離装置9で気相分が除かれて液相分が多い状態で蒸発器となる室外熱交換器7に入る。これにより、気相分を除かない場合に比べ、蒸発器管内の冷媒の流速が減速され、蒸発器の圧力損失を低減し、圧縮動力を節減でき、冷凍サイクル1の運転効率が向上する。
冷房運転の場合は気液分離装置9内に入る気液二相流冷媒の入口側が逆転し膨張弁8b側となるが、効果は暖房運転時と同じである。
【0028】
また、本発明の冷凍サイクルに於いては暖房運転時には入り口管となった管が、冷房運転時には出口管となっても気液分離作用が行なえる気液分離装置を作り、これに併用して設けた膨張弁8a、8bの一方と協働して、気液二相流冷媒を気相と液相に分離し、気相冷媒は圧縮機2側に戻し、液相冷媒は次の熱交換器側に送り、先に記述した効果を得るものである。
次に、
図3、
図4をもって、気液分離装置9の詳細を説明する。
14は容器本体であり、通常金属管で作られている。この容器本体14の両端には絞り部14aが形成されており、この絞り部14aを利用し、図に示す如く出入り口管15、16が接続されている。
【0029】
而して、上記出入り口管15、16は空気調和機等の運転状態により、一方は気液二相流冷媒の入り口管となり、他方は液相冷媒の出口管となる。17は気液分離装置9内で分離された気相冷媒を気相戻し管11に送り出す気相冷媒導出管で、上記気液分離装置を冷凍サイクルに組み込み、例えば空気調和機本体に対し横置きに取り付けた時、容器本体14の上方壁を貫通して後述する急拡大室に臨むよう設けられている。
18は上記容器本体14の内壁部に取り付けられた溝付き体である。この溝付き体18は通常、薄板金属を波形に折り曲げ、それを
図3にも示す如く略円筒等状に丸めたものである。
【0030】
尚、この溝付き体18は薄板金属に限られるものではなく、樹脂材で型成形等したものであっても良いことは勿論、容器本体14を形成する金属管を厚肉材とし、これの内壁を機械加工して溝を形成したものであっても良い。
要は、容器本体14の内壁部に沿ってある程度の高さを持つ溝を、一方の出入り口管より取り込んだ気液二相流冷媒を表面張力の作用により気相冷媒と液相冷媒に分け、液相冷媒を他方の出入り口管側に誘導するように形成すれば良いものである。
【0031】
19は上記溝付き体18の両端に位置し、先の絞り部14aとの間に狭小空間20を作り、気液二相流冷媒を溝付き体18内に導入或いは送出する仕切り体である。ここで、19aは仕切り体に設けた孔であり、19bは仕切り体に設けたガイドである。
この仕切り体19は容器本体14の内壁との間に狭小空間20を作る他、溝付き体18を容器本体14内に固定する役目を果す。更には出入り口管15(16)から気液分離装置9内に入る気液二相流冷媒を溝付き体18に配分する分配器の役目を果している。また上記仕切り体19にガイド19bを設けることにより、気液二相流冷媒の溝付き体18への分配効果を更に高めることが出来る。
【0032】
また、出口管側に位置する仕切り体19は溝付き体1
8内の液相冷媒を、出入り口管に導出する役目を果たしている。
換言すると、上記仕切り体19が、容器本体14との間に作る狭小空間20はこの空間20に臨むように設けられた出入り口管15(16)から入る気液二相流冷媒を仕切り体19の前面外周方向に導き、孔19aより溝付き体18全体に導入するものである。逆に液相冷媒の出口側に位置する仕切り体19は溝付き体18内の液相冷媒を上記孔19aより出入り口管に導出するものである。
【0033】
これにより入口側の仕切体の孔19aより溝付き体内に取り込まれた気液二相流冷媒は、表面張力の作用により、気相冷媒と液相冷媒とに分けられ、液相冷媒は下流側に位置する出入り口管に向かって流れる。
換言すると溝付き体18は、表面張力の作用により、気液二相流冷媒を気相冷媒と液相冷媒に分け、液相冷媒を重力に打ち勝ち出入り口管15(16)に導くように、溝高さ、溝ピッチ等が設計されている。
【0034】
又、気相冷媒は溝付き体18と仕切り体19で囲まれている急拡大室21側に飛び出し、気相冷媒導出管17より気相戻し管11を経て、冷媒吸入流路10を通リ圧縮機の
吸入口4、圧縮機2に戻されるものである。
尚、22は保護材である。この保護材22は急拡大室21に臨む気相冷媒導出管17が液相冷媒を吸い込むことなく気相冷媒を吸い込むよう設けられている。また、この保護材22は気相冷媒導出管17より導出される気相冷媒の吸い込み抵抗とならないよう、内径の太い導管とされている。
更にこの保護材22は気相冷媒導出管17を急拡大室の中央まで延出することにより省略することも可能である。
【0035】
このように本気液分離装置は溝付き体18の両側に仕切り体19を設けることにより出入り口管15、16の何れの方向から気液分離装置9内に入る気液二相流冷媒であっても溝付き体18を流れる間に気相と液相に分離し、気相は圧縮機2側に戻し、液相は他側の熱交換器で効率の良い蒸発を行なわせる構成としたものである。
【0036】
尚、容器本体14内に溝付き体18、仕切り体19を設け、狭小空間20、急拡大室21を作り、気液二相流冷媒を気相と液相に分離する気液分離装置9自体の機能等は同一出願人が先に出願し、公開した特開2006〜170589並びに特開2009〜174836と同じであるが、本気液分離装置9はどちらの方向からでも気液二相流冷媒が溝付き体18内に入ることが出来、且つそれを気相、液相冷媒に分離可能としたものである。
【0037】
また、上記気液分離装置9は気相冷媒導出管17を容器本体14の途中に設けたものであるから、容器本体14の内壁に設ける溝付き体18を貫通させることとなる。
換言すると、薄板金属を波形に折り曲げそれを円筒管状に丸めて溝付き体18としたものであると溝付き体18が邪魔する為、部分的な加工が必要となる等の課題が出る。これを
図3では溝付き体18を完全な円筒体としないで気相冷媒導出管17を逃げた略円筒体としたものである。
【0038】
ここに於いて、容器本体14内に形成される狭小空間20と急拡大室21の働き及び仕切り体19の配設に付いて説明する。
即ち、狭小空間20に於いては、出入り口管15、16の何れか一方より狭小空間20内に取り込まれる気液二相流冷媒を、密度差により気液に大別し、気相冷媒は仕切り体19外周上方に設けられた孔19aを通し、急拡大室21に送り込む。
【0039】
一方、絞り部14aとガイド19b等を備えた仕切り体19とで構成された狭小空間20内の気液二相流冷媒は容器本体14に設けられた絞り部14aに案内され、下方に設けられた孔19aを通し、急拡大室21に送り込まれる。
上記の如く、この狭小空間20は出入り口管15より導入された気液二相流冷媒の流速を落し密度差を利用し大別するだけの空間で、液相冷媒中に含まれる気液冷媒を主体的に分させるものではないので、その内容積は小さくとも良い。
一方、急拡大室21は狭小空間20側より孔19aを介し送られて来る気液二相流冷媒を、気相冷媒と液相冷媒に分離する室であることより、この室の内容積を大きくし、更に溝付き体18を用いて表面積を大きくする必要がある。
【0040】
内容積及び表面積が十分に確保された急拡大室21に送り込まれた気液二相流冷媒は、溝付き体18で小分けされ、溝付き体18の溝部を流れる。この過程に於いて、気液二相流冷媒中の気相冷媒は表面張力の作用により、急拡大室21に放出され気相冷媒導出管17へと導入される。
そして、急拡大室21を経た液相冷媒は溝内に保持され、他方の狭小空間20に入り他方の出入り口管16側に導出される。
【0041】
尚、出口側に位置する狭小空間20内においても液相冷媒より気相冷媒が分離するが、分離した気相冷媒は仕切り体19の上方孔19aより急拡大室21に戻され気相冷媒導出管17に導出されて行くものである。
上記狭小空間20と急拡大室21は働きの違いにより、急拡大室21の内容積
は狭小空間20の内容積より大きく作
られている。
この為に、容器本体14内を区画する仕切り体19は図にも示す如く容器本体14に作られる絞り部14aに近づけた位置に設け、急拡大室21の内容積を狭小空間20より大きくしている。
【0042】
又、仕切り体19を絞り部14a近くに設ける理由は、狭小空間20内の気液二相流冷媒及び気相冷媒を急拡大室21側に絞り部14aの傾面を利用し送出し易いようにする為でもある。
更に急拡大室21にあって、気液二相流冷媒は表面張力の作用により、溝付き体18の溝内に保持され他方の狭小空間側に向け流れるので、気相冷媒導出管17側に、この溝付き体18を流れる液相冷媒が吸い込まれて行くことはないものである。
【実施例2】
【0043】
図5、
図6は上記気相冷媒導出管17の配設を容易にした実施例である。
尚、
図5は
図3とは異なる実施例の気液分離装置で容器本体一部切り欠き斜視図であり、
図6は
図5の横断面図である。
図に於いて、14は容器本体、14aは絞り部、15、16は出入り口管、17は気相冷媒導出管、19は仕切り体、19aは孔である。
本実施例2と実施例1との違いの一つは、溝付き体18が溝付き体18aと18bに分かれている点であるが、上記構成部材の働きは実施例1と同じである。
即ち、図に示す如く、本実施例2に於ける溝付き体18は気相冷媒導出管17が配設されている所で2つに別れている。
【0044】
換言すると、上記気相冷媒導出管17は溝付き体18aと18bに分かれている所に出来る空間25の上方に位置しているものである。尚、この空間25は急拡大室21と連接している。
而して、溝付き体18の一方より出て、急拡大室21に溜る気相冷媒は空間25の上方に位置する気相冷媒導出管17より容器本体14の外に導出され、溝付き体18より押し出される液相冷媒は空間25底部に溜り、液相出口管23より液相導管26a(26b)を経て出入り口管15、16のどちらか一方に導出される。
即ち、本実施例の場合、使われる溝付き体18は18aか18bのどちらか一方(気液二相流冷媒が入ってくる方)で他側の溝付き体18の作用は休止しているものである。そしてこの溝付き体18を出た液相冷媒は空間25に溜ることとなる。溜った液相冷媒は空間25の底部に設けられた液相出口管23より液相導管26a、26bの何れか一方を通リ出入り口管側に導出される。
【0045】
尚、上記液相導管26a、26bの途中には切替弁24(24a、24b)が設けられている。そして
図6に示すように気液二相流冷媒が出入り口管15側より気液分離装置9に入った時には液相導管26a側の切替弁24aを閉じ切替弁24b側を開し、溝付き体18aが導いた液相冷媒を出入り口管16側に送り出すものである。
また、出入り口管16側より気液二相流冷媒が気液分離装置9内に入った時には切替弁は逆の流れを行なうよう切替弁24bが閉し、切替弁24aが開し、出入り口管15側に液相冷媒を流す。
【0046】
更に、この時出入り口管16側に導出された液相冷媒が出入り口管16より気液分離装置9側に逆流するのを防止する為に出入り口管16には逆流防止の切替弁28(28b)を設けておくものである。
尚、この切替弁28は逆の場合を考慮し、出入り口管15側にも当然、切替弁28aが設けられている。
又、上記溝付き体18a、18bは一方が仕切り体19a、19bで固定され、他側は
図6にも示す如く固着具29等により容器本体14側に固定されている。
【0047】
ここに於いて、上記実施例1、実施例2に使われている溝付き体18、仕切り体19に付いて説明する。
尚、
図7は
図3中に組み込まれる仕切り体の正面図であり、
図8は
図5中に組み込まれる仕切り体の正面図であり、
図9は
図3中に組み込まれる溝付き体の正面図であり、
図10は
図9とは異なる実施例の溝付き体の正面図である。
先ず
図7、
図8に於いて、仕切り体19に付いて説明する。
この仕切り体19は容器本体14との間に狭小空間20を作り、出入り口管16より気液分離装置9内に入る気液二相流冷媒を溝付き体18に導く働きを果す。通常上記気液分離装置9は水平か、わずか傾けた状態(15度位までの傾き)で使われる。
従って出入り口管15より気液分離装置9内に入る気液二相流冷媒は環流とならずかたよって流れる可能性がある。
【0048】
この時、溝付き体18は略円筒管状に作られているので、溝付き体18を効率良く働かせる為には上記仕切り体19にかたよって入る気液二相流冷媒を放射状にしかも均一に分散させる必要がある。
この為の手段として仕切り体19には出入り口管16に対向する中央部から外周に設けた孔19a側に気液二相流冷媒を分散させる多数のガイド19bが設けられている。
尚、上記ガイド19bの入り口部は粗密に作られ、下側が密に上側が粗になるよう作られている。
また、
図7が実施例1に使われる仕切り体19であり、
図8が実施例2に使われる仕切り体19である。
【0049】
本気液分離装置は、容器本体上部で、且つ急拡大室に先端が臨むように気相冷媒導出管17を設けている。
この為、この気相冷媒導出管17を設ける位置には
図3にも示す如く溝付き体18を設けることが出来ない。
従って、上記仕切り体19はこの溝付き体18が、無い所(
図9,10に示すP部)に気液二相流冷媒が流れないようにする必要がある。
この為、上記仕切り体19の気相冷媒導出管17対応部(
図9,10に示すP部)には孔19aを設けないようにしている。
一方、
図8は実施例2に使われる仕切り体19である。この仕切り体19は溝付き体18が容器内周全体にあるので、このものは気液二相流冷媒を溝付き体18に流す為の孔19aが外周部に均一に設けられているものである。
【0050】
次に
図9、
図10に於いて、溝付き体18に付いて説明する。
溝付き体18の内部に流入した気液二相流冷媒の液相は溝の表面と裏面に付着し、液膜となる。また気相に乗って運ばれる液滴は溝付き体18の溝に衝突し液膜となり、下流に流入し、液相出口管から流出する。この間溝付き体18は液滴が自重で溝付き体18より落下しないよう表面張力の作用により保持する様に構成されている。
【0051】
而して上記溝付き体18は薄板金属板を波状に折り曲げ、捕捉した液滴を表面張力の作用により出口管側に運ぶことが出来るように折り曲げピッチを含め構成されている。
そして
図9は等ピッチで薄板金属を波形に折り曲げたものである。また
図10に示すものは、気液分離装置9を機器に組み込んだ時、上方に位置する所の折り曲げピッチを密にしたものである。このように折り曲げピッチを変えることにより表面張力が増し、気液分離装置の上方に位置する液相冷媒であっても自重で溝付き体18より落下することがないものである。
【実施例3】
【0052】
本実施例に示すものは、気液分離装置9の全体形状を、円筒管状でなく箱状にし、それを横置きとしたものである。
図11は
図3、
図5とは異なる実施例の気液分離装置の断面図であり、
図12は
図11のA―A断面図であり、
図13は、
図11のB―B断面図である。
図に於いて、9は気液分離装置、14は箱状の容器本体、14aは
図3、
図4に示す絞り部相当、15、16は出入り口管、17は上記容器本体1
4の底面に設けられた気相冷媒導出管、18は溝付き体、この場合の溝付き体は実施例2で説明した略円筒管状でなく薄板金属板を波状に折り曲げたままで平板状を呈している。19は仕切り体である。この仕切り体19は平板状を呈し容器本体14との間に二つの狭小空間20と急拡大室21を作ると共に出入り口管15、16の一方から気液分離装置9内に入る気液二相流冷媒を平板状溝付き体全体に行きわたらせる役目を果す。
【0053】
上記の如く、本実施例に示す気液分離装置9は外観が筒体でなく箱状を呈する為、溝付き体18、仕切り体19が実施例1、2のものと異なるが各構成部品の働きは、先にも述べた実施例と同じであり、この実施例3に於いても十分に気液分離機能を果す。加えて、容器本体14を箱状にすることにより機器に合せた気液分離装置の形状を選ぶことが出来るようになるものである。
又、この形態の気液分離の原理は、同一出願人が出願し、公開した特開2006〜170589に記載されている通りである。
【実施例4】
【0054】
本実施例に示すものは、実施例3同様気液分離装置9の全体形状を、円筒管状でなく箱状にしたものである。
図14は
図11とは異なる実施例の気液分離装置の断面図であり、
図15は
図14のA―A断面図である。
図に於いて、9は気液分離装置、14は箱状の容器本体、勿論このものにも、図には示してないが、絞り部相当14aはある。15、16は出入り口管、17は気相冷媒導出管で
図14の場合、容器本体14の上面と底面に17a、17bの如く設けられ、それらは配管27を持って連接されている。18は実施例3で説明したものと同じ溝付き体、この溝付き体18は
図15にも示す如く容器本体14の高さ方向を略二分する位置に設けられ、急拡大室21を容器本体14内に二つ形成している。この関係で先の、気相冷媒導出管17は上下に設けられているものである。
【0055】
19は、狭小空間20を作り且つ出入り口管15(16)より入る気液二相流冷媒を溝付き体18に導く仕切り体である。この仕切り体19は平板状を呈し、容器本体14との間に二つの狭小空間20と急拡大室21を作っている。
そして、上記仕切り体19に導びかれ溝付き体18に至った気液二相流冷媒は、表面張力の作用により、気相冷媒と液相冷媒に分かれ、液相冷媒は溝付き体18が形成する上向き、下向きの溝内を流れ、例えば出入り口管15側が入り口管となった場合には溝付き体18の上下面を伝わって出入り口管16側に至るものである。
勿論この時急拡大室21側では気相冷媒導出管17a、17bが気相冷媒を吸い込み、配管27を使って一緒にしたものを、気相冷媒導出管17に導出するものである。
上記構成とすることにより溝付き体18の上下面が有効に活用出来るので気液分離装置の小型化が図れるものである。
上記の如く、本実施例に示す気液分離装置9は外形が筒体でなく、箱状を呈する為、溝付き体18、仕切り体19が実施例1、2のものと異なるが、各構成部品の働きは先に述べた実施例と同じであり、この実施例に於いても十分に気液分離の機能を果たすものである。
【実施例5】
【0056】
本実施例に示すものは、実施例3同様気液分離装置9の全体形状を、円筒管状でなく箱状にしたものである。
尚、
図16は
図14とは異なる実施例の気液分離装置の断面図であり、
図17は
図16のA―A断面図である。
図に於いて本実施例に示す気液分離装置9は実施例4に示す溝付き体18を容器本体14内に二個設け、溝付き体18の表面積を拡大し、気液分離装置9自体の効率化を図ると共に、小型軽量化を狙ったものである。図中同一符号は同様の機能を果す部材である。異なる点は急拡大室21が一個増えた為、この急拡大室21にも気相冷媒導出管17cが設けられている点と、仕切り体19、溝付き体18を片側二個とした関係で出入り口管15、16を二又に増した点である。
【0057】
次に上記実施例3、4、5に使われる溝付き体18と仕切り体19の詳細図を
図18〜
図20をもって説明する。
尚、
図18は
図11、
図14、
図16中に組み込まれる仕切り体の正面図であり、
図19、
図20は
図11、
図14、
図16中に組み込まれる溝付き体の断面図である。
先ず
図18に於いて、19は仕切り体である。この仕切り体19は勿論実施例1、2で説明した仕切り体19と異なり、平板状を呈するものである。
【0058】
即ち、この仕切り体19は容器本体14との間に狭小空間20を作ると共に矢印Pの如く流入した気液二相流冷媒をガイド19bに沿って容器本体14が作る狭小空間20の間口一杯に広げ、それを溝付き体18内に導入するものである。
次に
図19、
図20をもって実施例3、4、5に使われる溝付き体18に付いて説明する。
図に於いて、18は溝付き体である。この溝付き体18も薄板金属板を波形に折り曲げたものである。この折り曲げピッチ及び高さは先に、同一出願人が出願し、公開した特開2006〜170589に記載した内容の溝付き体である。
図20に示すものは捕捉した液滴を落下させない為に工夫した事例で、特に下側の表面張力を増す為の形状で、下向きとなる溝内の液滴が自重で表面張力を破り落下しないように、溝を狭めた例を示すものである。
【実施例6】
【0059】
次に、
図21をもって
図3とは異なる気液分離装置を説明する。
本実施例で説明する気液分離装置は、実施例1同様、気液分離装置9の全体形状を円筒状とし且つそれを横置としたものである。
図に於いて、9は気液分離装置、14は円筒状の容器本体で横置きされている。14aは絞り部、15、16は本実施例の出入り口管、17は気相冷媒導出管、18cは本実施例の溝付き体、19は仕切り体、19aは孔、20は狭小空間、21は急拡大室、22aは本実施例の保護材、30は切り欠き窓である。
図に於いて、本実施例の出入り口管15、16の先端は狭小空間20に対し狭小空間20の底部20aに近づけて設置されている。これは一方の出入り口管15側から気液二相流冷媒が狭小空間20に導入される際
、気液二相流冷媒が確実
に狭小空間20に導入されるようにしたもので、他方
の出入り口管16は狭小空間20内の液相冷媒を確実に導出させる為である。
また、本実施例の溝付き体18cは、高さ方向で急拡大室21の略1/2以下の所に設置される半円弧状(
図25に示す)をしている。
換言すると、本気液分離装置9内に導入する気液二相流冷媒量は高さ方向で気液分離装置9の1/2以下に設定されていると言うことでる。尚、この半円弧状の程度は、導入される気液二相流冷媒の量に応じて、変化させることが出来るものである。
【0060】
22aは、本実施例で使用される板状の保護材である。この板状保護材22aは気相冷媒導出管17に対向して設置されている。
また、この板状保護材22aは気相冷媒導出管17の吸い込み面積S1に対し、破線で示す周面積S3がS1≦S3となるような位置に設けられ、気相冷媒導出管17より導出される気相冷媒の抵抗とならないよう考慮されている。
また、30は切り欠き窓である。この切り欠き窓30は溝付き体18cの上方に位置する仕切り体19に設けられている。本実施例では、溝付き体18cは半円弧状であるため、仕切り体19の上部は、溝付き体18cが無く気液二相流冷媒が流れない構造となっており、この溝付き体18cの無い仕切り体19の部分、すなわち溝付き体18cより上方の仕切り体19の部分に切り欠き窓30を設けるものである。尚、この切り欠き窓30は二個ある仕切り体19の両方に設けられている。これにより、狭小空間20内の気相冷媒のみを急拡大室21側に導入する切り欠き窓30が構築される。
換言すると仕切り体19には孔19aとこの切り欠き窓30とが設けられ上記気相冷媒の急拡大室21への導入を行っているものである。
【実施例7】
【0061】
次に
図22で
図21とは異なる気液分離装置を説明する。
本実施例7で説明するものは、実施例1同様、気液分離装置9の全体形状を円筒状とし且つそれを横置としたものである。
図に於いて、9は気液分離装置、14は円筒状の容器本体で横置されている。14aは絞り部、15、16は出入り口管、17は気相冷媒導出管、18cは半円弧状の溝付き体、19は本実施例の仕切り体、19aは孔、20は狭小空間、21は急拡大室、22は実施例1で説明したものと同じ保護材、30は切り欠き窓である。
上記した気液分離装置9の働きは上記実施例と同じであるが、仕切り体19の形状を異にしているので、この点の説明を以下に行う。
即ち、上記してきた気液分離装置9で使われている仕切り体19は円錐形をなし、その頂点が出入り口管15、16側に向くよう配設されたものであるが、
図22に示すものは平板状の仕切り体19cである。
実施例6と同様に、この平板状の仕切り体19cにも孔19a、切欠き窓30は当然形成されており、また、この仕切り体19cと容器本体14の絞り部14aとは狭小空間20を形成しており、例えば出入り口管15より入る気液二相流冷媒の溝付き体18c(反円弧状)への導入を容易とすると共に、半円弧状溝付き体18cを出た液相冷媒の出入り口管16への導出を、該絞り部14aの斜面を活用し、容易なものとしている。
本実施例7によれば、仕切り体を平板状にすることにより、容器本体14を短く出来、気液分離装置9の小形化が図れる。
【実施例8】
【0062】
次に
図23〜26で
図21、
図22とは異なる気液分離装置を説明する。
本実施例8で説明するものは、実施例1同様、気液分離装置9の全体形状を円筒状とし且つそれを横置としたものである。
図に於いて、9は気液分離装置、14は円筒状の容器本体で横置されている。14aは絞り部、15、16は出入り口管、17は気相冷媒導出管、18cは半円弧状の溝付き体、18dは第2の溝付き体で半円弧状をなし、上記溝付き体18cとの内側円弧内に
図25に示す如く納まるものである。19は仕切り体、19aは孔、20は狭小空間、21は急拡大室、22aは保護材、30は切り欠き窓、31は溝付き体18c、18dの頂部にあけたスリットである。
上記した気液分離装置9の働きは上記実施例と同じであるが、溝付き体18cと構成を異にするので、この点の説明を以下に行なう。
【0063】
即ち、本実施例に示す仕切り体19は外周に孔19aを二段に有している。この孔19aは先の実施例で説明した如く、溝付き体18を急拡大室21内に固定する働きも有している。
また、図に示す気液分離装置9は急拡大室21内での気液分離を更に促進する為に半円弧状溝付き体18cと18dを図に示す如く、二段重ねして設けたものである。
そして、上記仕切り体19に設けられた二段の孔19aはそれぞれの半円弧状の溝付き体18cと18dに対応するよう配置されている。
即ち、狭小空間20に出入り口管15(16)の何れか一方より導入された気液二相流冷媒は狭小空間20に案内され、それぞれの孔19aより半円弧状の溝付き体18cと18dに導出される。
【0064】
勿論狭小空間20内の気相冷媒は仕切り体19の上方に設けた孔19a及び切欠き窓30を介して急拡大室21に入る。
一方急拡大室21内の薄板を折り曲げ形成した半円弧状溝付き体18cと18dに入った気液二相流冷媒は、
図25に示す如く、半円弧状溝付き体18cと18dの表面及び裏面に沿って他側の狭小空間20側に流れる。この過程に於いて半円弧状溝付き体18cと18dに沿って薄膜状に流れる気液二相流冷媒は表面張力の作用により液相冷媒は溝内に保持され気相冷媒は急拡大室側に放出される。
【0065】
本実施例は溝付き体の表面積拡大により更に気液の分離を容易なものとしたものである。
この時にあって、後述するスリット31がないと半円弧状溝付き体18cと18dの裏面で分離した気相冷媒は仕切り体19を通り越して出口側となる狭小空間20まで行かないと、急拡大室21側の気相冷媒導出管17側に戻ることは出来ない。
この点から言うと半円弧状溝付き体18cと18dの裏面18e側を流れる気液二相流冷媒の気相と液相の分離がうまく行なわれていなかったと言うことになる。
これを改善すべく設けたものが
図26に設けたスリット31である。このスリット31を設けることより溝付き体18の裏面18eでの気液分離も効率良く行なわれるものである。
【0066】
即ち、このスリット31付半円弧状溝付き体18cと18dであれば裏面18e側で分離した気相冷媒はスリット31を通り急拡大室21内に入り気相冷媒導出管17側に導出される。
即ち、半円弧状溝付き体18cと18dの裏面を流れる過程で分離した気相冷媒は上記スリット31を通し、急拡大室21側に出て行くので、気液分離が効率良く行なわれるものである。
また、気相冷媒導出管17は急拡大室21内にあるが溝付き体18を流れる液相冷媒は表面張力の作用によりしっかりと溝内に保持されているので、この部分で液相冷媒が、先の気相冷媒導出管17に吸い込まれて行くことはないものである。
以上の如く、本実施例は急拡大室内に設ける半円弧状溝付き体18cと18dにスリット31を設け、溝付き体18cと18dの裏面18e側を流れる冷媒の気液分離を行なうようにしたので、急拡大室内の更なる表面積拡大が図れ、気液分離装置の小形軽量化が図れるものである。
尚、スリットの効果を実施例8で説明したが、実施例1、3、6、7についても同じ効果が得られる。
【0067】
本発明は以上説明した如き構成を有するものであるから、次の効果が得られるものである。
即ち、気相冷媒を、下流側熱交換器をバイパスして圧縮機に戻し、且つ冷房、暖房運転に合わせ、気液二相流冷媒の入る、入り口管側が変るようにした気液分離装置を室内熱交換器と室外熱交換器との間に備えた空気調和機に於いて、上記気液分離装置を、横置きされた容器本体と、気液二相流冷媒が通る孔を外周部近くに有し、且つ上記容器本体内を内容積が小さい2個の狭小空間と内容積が大きい急拡大室との3室に区画する2個の仕切り体と、狭小空間に挟まれた急拡大室に臨む気相冷媒導出管と、急拡大室の両側に位置する狭小空間に臨むように設けられた2本の出入り口パイプと、急拡大室内の表面積を拡大し、且つ上記仕切り体の孔を通る気液二相流冷媒を他側の仕切り体の孔に誘導する溝付き体とで構成した気液分離装置を備えた空気調和機等の冷凍装置である。
【0068】
このことにより次の効果がえられる。
1.気液二相流冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離する急拡大室の容積が狭小空間の容積より大きくなるように仕切り体を配設し、且つ溝付き体をもって表面積の拡大を図った為、気液分離装置自体の小形軽量化が図れ、且つ性能向上が図れる気液分離装置が得られるものである。
2.仕切り体で仕切られる急拡大室に気相冷媒導出管を設けるようにしたので、気液二相流冷媒が導入される狭小空間の内容積を拡大することなく、急拡大室の内容積を大きくとることが出来る。
3.気液二相流冷媒を導入する出入り口パイプと、気相冷媒の導出管となる気相冷媒導出管を別の室に設けるようにしたので、気相冷媒導出管に入る液相分を大幅に低減出来る気液分離装置が得られ、蒸発器となる側の熱交換器での圧力損失を抑えることが出来、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にすることが出来るものである。
【0069】
また、狭小空間は容器本体に設けた絞り部と、ガイド等を備えた仕切り体とで構成され、出入り口パイプの一方より入った気液二相流冷媒を絞り部と仕切り体に設けたガイド等を利用して仕切り体の孔に導くようにした気液分離装置を備えた空気調和機等の冷凍装置である。
【0070】
このことにより次の効果がえられる。
1.狭小空間内に入った気液二相流冷媒は容器本体側に設けた絞り部に案内されスムーズに、且つ仕切り体のガイドに沿って放射状に分散し、溝付き体に均一に分配されるので、効率の良い気液分離装置を得ることができる。
【0071】
また、容器本体と一体又は別体に構成された溝付き体は、仕切り体によって仕切られた急拡大室内に設けられ、仕切り体の孔より溝付き体内に取り込まれた気液二相流冷媒を表面張力の作用により気相冷媒と液相冷媒とに分け、液相冷媒を出口となる出入り口パイプ側に導出するようにした気液分離装置を備えた空気調和機等の冷凍装置である。
【0072】
このことにより次の効果がえられる。
1.溝付き体により急拡大室の表面積を拡大し、気液二相流冷媒の接触する表面積を大きくしたので、気液二相流冷媒中に含まれる気相冷媒はほとんどが、この急拡大室で液相冷媒と分離される気液分離装置が得られる。
【0073】
また、溝付き体を高さ方向で急拡大室の略1/2以下の所に設置すると共に、狭小空間内に臨む2本の出入り口パイプ先端を、容器本体の底面に近づけて配設するようにした気液分離装置を備えた空気調和機等の冷凍装置である。
【0074】
このことにより次の効果がえられる。
1.急拡大室に入る気液二相流冷媒の量に合わせた溝付き体とすることにより効率の良い気液分離装置を得ることが出来る。
2.また、液相冷媒の出口側に位置する狭小空間に於いても、わずかではあるが気、液の分離が行なわれ、気相冷媒は仕切り体の孔を通し急拡大室側に導入される。
3.更に、液相冷媒を次の工程である熱交換器側に送る出入り口パイプ先端を容器本体底部に近づけていることより液相冷媒の導出が容易になるので、上記熱交換器には液相が多い冷媒が導出される気液分離装置となる。
【0075】
また、溝付き体の上方に位置する仕切り体に、気相冷媒が狭小空間内より急拡大室側に入る切り欠き窓を設けた気液分離装置を備えた空気調和機等の冷凍装置である。
【0076】
このことにより次の効果がえられる。
1.切り欠き窓を設け、気相冷媒の通路を拡大することで、入口側狭小空間、出口側狭小空間で発生した気相冷媒を、仕切り体の孔のみの場合に比べより一層抵抗無く急拡大室に送る事の出来る気液分離装置が得られる。
【0077】
また、急拡大室に臨む気相冷媒導出管の開口に対向して、液相冷媒が気相冷媒導出管に入るのを防止し且つ気相冷媒導出管より導出される気相冷媒の吸い込み抵抗とならないように保護材を設けた気液分離装置を備えた空気調和機等の冷凍装置である。
【0078】
このことにより次の効果がえられる。
1.溝付き体を流れる気液二相流冷媒及び狭小空間より急拡大室に入る気相冷媒中に含まれる液相冷媒が直接気相冷媒導出管に吸い込まれないように該気相冷媒導出管の吸い込み口近くに保護材を設けたものであるから気相冷媒導出管より多量の液相冷媒が吸い込まれることがない気液分離装置が得られる。
【0079】
また、急拡大室内に配設される溝付き体の頂部に気相冷媒が通過するスリットを設けた気液分離装置を備えた空気調和機等の冷凍装置である。
【0080】
このことにより次の効果がえられる。
1.溝付き体の裏面を流れる気液二相流冷媒から分離した気相冷媒を出口側狭小空間を経ないでスリットを介し直接急拡大部に放出し、気相冷媒導出管側に戻す構成としているので、溝付き体の裏面に於いても表面同様の気液分離が可能となるので、分離効率が良くなり気液分離装置自体の性能向上及び小形化、軽量化が更に図れるものである。
【0081】
また、容器本体と別体に作った溝付き体を急拡大室に2段重ねして設けた気液分離装置を備えた空気調和機等の冷凍装置である。
【0082】
このことにより次の効果がえられる。
1.急拡大室内の溝付き体の表面積を大きくできるので分離効率が良くなり気液分離装置自体の性能向上及び小形化、軽量化が更に図れるものである。