【実施例】
【0026】
[実施例1]
下記の配合割合に準じ、本発明の乳化調味液を製した。すなわち、二重釜に下記配合割合の原料を入れ、均一になるように混合しながら90℃まで加熱した後冷却することにより、乳化調味液を製した。得られた乳化調味液の水分活性は0.81であった。また、得られた乳化調味液の乳酸含有量は0.25%、卵黄の含有量(固形分換算)は1%、食用油脂含有量は40%、ナトリウム含有量は4%であった。また、乳酸含有量1部に対して、卵黄含有量が4部、食用油脂含有量が160部、ナトリウムが含有量16部であった。
【0027】
<実施例1のソースの配合割合>
キサンタンガム 0.1%
砂糖 3%
グルタミン酸ナトリウム 5%
食塩 10%
サラダ油 40%
発酵乳酸(酸度50%) 0.5%
生卵黄 2%
醸造酢(酸度4%) 10%
清水 残余
――――――――――――――――
合計 100%
【0028】
[比較例1]
実施例1において、乳酸を配合せず、代わりに食酢を配合した以外は同様にして乳化調味液を調製した。
【0029】
[比較例2]
実施例1において、卵黄を配合しなかった以外は同様にして調味液を調製した。
【0030】
[比較例3]
実施例1において、食用油脂を配合しなかった以外は同様にして乳化調味液を調整した。
【0031】
[試験例1]
実施例1、並びに比較例1乃至3の乳化調味液を使用して、下記方法でそれぞれパスタを調製し、パスタの保存後の食味について下記方法で評価した。結果を表2に示す。
【0032】
<パスタの調製方法>
フライパンに得られた乳化調味液50gを入れて加熱し、これに茹でたての温かいスパゲティ300gを加えてよく混ぜてからめパスタを調製した。
【0033】
<保存後の食味の評価方法>
パスタを一食ずつ蓋付きの容器に入れ、20℃の室内に1時間保管した後喫食し、その食味を評価した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1より、乳酸、卵黄及び食用油脂を含有し、ナトリウム含有量、水分活性が上記数値である乳化調味液(実施例1)を用いた料理は、食材とからめて時間が経過した後に喫食しても、食材に爽やかでマイルドな酸味が維持されており大変好ましいことが理解される。これに対して、乳酸を配合せず、酢酸のみを配合した場合(比較例1)、酸味が弱く好ましくなかった。更に、卵黄を配合しない場合(比較例2)、あるいは、食用油脂を配合しない場合(比較例3)は、酸味がたち好ましくなかった。
【0036】
[試験例2]
実施例1において、ナトリウム含有量、及び水分活性が表2に示す割合となるように食塩含有量を変更した以外は、実施例1と同様の方法で4種類の乳化調味液を製した。次いで、実施例1と同様の方法で、得られた各乳化状調味液を用いてパスタを調製し、保存後の食味について、下記評価基準により評価した。結果を表2に示す。
【0037】
パスタの食味の評価基準
A:パスタにマイルドな酸味が感じられ大変好ましいものであった。
B:パスタのマイルドな酸味がやや弱いが問題のない程度であり好ましい。
C:パスタのマイルドな酸味が弱く好ましくない。
D:パスタにマイルドな酸味が感じられず、好ましくない。
【0038】
【表2】
【0039】
表2より、ナトリウム含有量が2〜10%であり、水分活性が0.75〜0.90である乳化調味液(試験例2、No.1〜No.3)は、食材とからめて時間が経過した後に喫食しても、食材の爽やかでマイルドな酸味が維持されており大変好ましいことが理解される。一方、ナトリウム含有量が前記範囲よりも低く、また、水分活性が前記範囲よりも高い場合(試験例2、No.4)は、パスタにマイルドな酸味が感じられず、好ましくなかった。
【0040】
[試験例3]
実施例1において、乳酸及び卵黄の含有量を表3に示す割合となるように、生卵黄の配合量を変更した以外は、実施例1と同様の方法で5種類の乳化調味液を製した。次いで、実施例1と同様の方法で、得られた各乳化状調味液を用いてパスタを調製し、保存後の食味について、下記評価基準により評価した。結果を表3に示す。
【0041】
食材の食味の評価基準
A:爽やかでマイルドな酸味であり大変好ましいものであった。
B:やや刺激的な酸味があるが、全体として爽やかでマイルドな酸味であり好ましい。
C:やや刺激的な酸味があり、好ましくない。
D:刺激的な酸味が強く、好ましくない。
【0042】
【表3】
【0043】
表3より、乳酸1部に対する卵黄含有量(固形分換算)の比率が1〜30部である乳化調味液(試験例3、No.1〜No.4)は、調味液を食材とからめて時間が経過した後に喫食しても、マイルドな酸味が感じられる本発明の効果が特に得られ易く、大変好ましいものとなることが理解される。これに対して、卵黄含有量の比率が0.1〜50部である乳化調味液(試験例3、No.5)は、乳化調味液を食材とからめて時間が経過した後に、やや酸味が弱いが、問題のない範囲であり好ましかった。
【0044】
[実施例2]
<炒め物の調製方法>
実施例1、比較例1〜3で得られた調味液を用いて、それぞれ下記方法により炒め物を調製した。まず、フライパンに乳化調味液30gを入れて加熱し、一口大に切った鶏モモ肉100g、5mm幅に切ったゴーヤ80g、パプリカ50gを順に加えてよく炒めて混ぜ、炒め物を調製した。得られた料理を蓋付きの容器に入れ、20℃の室内に1時間保管した後喫食し、その食味を評価したところ、実施例1の調味液を用いて調理した炒め物は、食材とからめて時間が経過した後に喫食しても、食材に爽やかでマイルドな酸味が維持されており大変好ましいものであった。一方、比較例1〜3は食材へマイルドな酸味を付与して持続させる本発明の効果が得られず、好ましくなかった。
【0045】
[実施例3]
<サラダの調製方法>
実施例1、比較例1〜3で得られた調味液を用いて、それぞれ下記方法によりサラダを調製した。まず、ボウルに乳化調味液30gを入れ、茹でたブロッコリー150g、剥きエビ100gと混合し、ブロッコリーと剥きエビのサラダを調製した。得られた料理を蓋付きの容器に入れ、20℃の室内に1時間保管した後喫食し、その食味を評価したところ、実施例1の調味液を用いて調理したサラダは、食材とからめて時間が経過した後に喫食しても、食材に爽やかでマイルドな酸味が維持されており大変好ましいものであった。一方、比較例1〜3は食材へマイルドな酸味を付与して持続させる本発明の効果が得られず、好ましくなかった。