(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボロン含有膜の形成と、前記シリコン炭窒化膜の形成と、前記シリコン酸窒化膜の形成とを繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法。
前記シリコン炭窒化膜の形成において、前記シリコン膜の炭化工程および窒化工程を繰り返すことを特徴とする請求項3に記載のボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法。
前記シリコン酸窒化膜の形成において、前記シリコン膜の酸化工程および窒化工程を繰り返すことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法。
前記シリコン炭窒化膜を形成した後、前記シリコン酸窒化膜を形成する前に、シリコン窒化膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法。
前記シリコン炭窒化膜の形成と、前記シリコン窒化膜の形成と、前記シリコン酸窒化膜の形成とを繰り返すことを特徴とする請求項7に記載のシリコン酸炭窒化膜の形成方法。
前記シリコン酸窒化膜の形成において、前記シリコン膜の酸化工程および窒化工程を繰り返すことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のシリコン酸炭窒化膜の形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図にわたり、共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0019】
(第1の実施形態)
図1はこの発明の第1の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法の一例を示す流れ図、
図2A〜
図2Gは第1の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法の一例における主要な工程を示す断面図である。
【0020】
まず、
図2Aに示すように、半導体基板を用意する。本例では、半導体基板としてシリコンウエハ1を用いた。次いで、シリコンウエハ1を成膜装置の処理室に収容する。
【0021】
次に、
図1のステップ1及び
図2Bに示すように、下地上、本例ではシリコンウエハ1の被処理面上に、ボロン窒化膜(BN膜)2−1を形成する。なお、シリコンウエハ1の被処理面はシリコンそのものに限らず、SiO
2のようなシリコン酸化物膜、SiNのようなシリコン窒化物膜などであっても良い。
【0022】
次に、
図1のステップ2及び
図2Cに示すように、ボロン窒化膜2−1上に、シリコン炭窒化膜(SiCN膜)3−1を形成する。
【0023】
次に、
図1のステップ3及び
図2Dに示すように、シリコン炭窒化膜3−1上に、シリコン酸窒化膜4−1を形成し、シリコン炭窒化膜3−1とシリコン酸窒化膜4−1とを積層する。ここまでで、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜の成膜シーケンスの1サイクルが終了する。
【0024】
次に、
図1のステップ4に示すように、積層数が設定回数か否かを判断する。設定回数に達したならば(Yes)、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成を終了する。積層数が“1”ならば、形成されるボロン含有シリコン酸炭窒化膜(SiBOCN膜)は、ボロン窒化膜2−1、シリコン炭窒化膜3−1及びシリコン酸窒化膜4−1を1層ずつ積層することで形成されたものとなる。もしも、積層数を“1”に固定する場合には、ステップ4は省略することができる。
【0025】
設定回数に達していないならば(No)、ステップ1に戻り、
図2Eに示すように、シリコン酸窒化膜4−1上に、第2層目ボロン窒化膜2−2を形成する。
【0026】
次に、
図1のステップ2及び
図2Fに示すように、第2層目シリコン炭窒化膜3−2を形成する。
【0027】
次に、
図1のステップ3及び
図2Gに示すように、第2層目シリコン酸窒化膜4−2を形成する。
【0028】
次に、
図1のステップ4に示すように、積層数が設定回数か否かを再度判断する。設定回数に達したならば(Yes)、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成を終了し、設定回数に達していないならば(No)、設定回数に達するまで
図1に示すステップ1〜ステップ3を繰り返す。このようにして、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜5が形成される。
【0029】
第1の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法は、まず、下地上に、ボロン窒化膜2を形成してから、シリコン炭窒化膜3とシリコン酸窒化膜4とを積層する。このようにしてボロン窒化膜2、シリコン炭窒化膜3及びシリコン酸窒化膜4を積層してボロン含有シリコン酸炭窒化膜5を形成することで、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜5の成長速度を速めることができ、プロセス時間の短縮を図ることができる。
【0030】
図3は、第1の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜(BN有り)と、比較例に係るシリコン酸炭窒化膜(BN無し)との1サイクル当たりの膜厚を示す図である。
【0031】
図3に示すように、第1の実施形態によれば、比較例に比較して、1サイクル当たりの膜厚を約3倍以上に増すことができる。
【0032】
第1の実施形態によれば、シリコン基板1やシリコン酸窒化膜4等の下地上にボロン窒化膜2を形成してから、シリコン炭窒化膜3が形成される。つまり、シリコン炭窒化膜3は、ボロン窒化膜2上に形成されるようになる。このため、ボロン窒化膜2の表面の触媒作用(反応触媒)により、シリコン炭窒化膜3の形成に使用されるシリコン原料ガス、例えば、DCSが、下地がシリコン、シリコン酸化物膜、シリコン窒化物膜やシリコン酸窒化膜4である場合に比較して、下地に吸着しやすくなる。このように、触媒作用を利用し、シリコン原料ガスを下地に吸着させやすくさせることで、特に、シリコン膜の成長速度が上がり、結果として、シリコン炭窒化膜3の成長速度を速めることができる。
【0033】
また、触媒としてボロン窒化膜2を利用することによる利点は、シリコン酸炭窒化膜中にボロン窒化膜2を挟むことで、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜5となることである。ボロン含有シリコン酸炭窒化膜5は、ボロンを含まないシリコン酸炭窒化膜に比較して、比誘電率が低い。このように比誘電率がシリコン酸炭窒化膜よりも低いボロン含有シリコン酸炭窒化膜5は、例えば、半導体集積回路装置の低誘電率材料として、側壁絶縁膜等の低誘電率化に有効な材料として使用することができる。
【0034】
なお、
図3に示す結果は、縦型のバッチ式成膜装置を用いて成膜した際に得られたものであり、図中“TOP”、“CTR”、“BTM”はそれぞれ、ウエハボートの上段、中段、下段に配置されたシリコンウエハ1の膜厚の平均値を示している。縦型のバッチ式成膜装置の一例については後述する。
【0035】
次に、ステップ1、ステップ2及びステップ3における具体的な成膜シーケンスの一例を説明する。
【0036】
(ステップ1:ボロン窒化膜2の形成方法の例)
図4はボロン窒化膜の成膜シーケンスの一例を示す流れ図、
図5はガス吐出のタイミングの一例を示すタイミングチャート、
図6A〜
図6Bはボロン窒化膜の成膜シーケンスの一例における主要な工程を示す断面図である。
【0037】
まず、
図4のステップ11、
図5及び
図6Aに示すように、シリコンウエハ1を収容している成膜装置の処理室の内部にボロン原料ガスを流し、シリコンウエハ1の被処理面上にボロン(B)膜6を成膜する。
【0038】
ボロン膜6を成膜する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
ボロン原料ガス : 三塩化ボロン(BCl
3)
ボロン原料ガス流量: 1.5〜400sccm
処 理 時 間 : 3〜60min
処 理 温 度 : 450〜630℃
処 理 圧 力 : 66.7〜1333Pa(0.5〜10Torr)
上記処理条件では、シリコンウエハ1の被処理面上に、膜厚約0.2〜1.0nmのボロン膜6が形成される。
【0039】
ステップ11が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気に置換する。不活性ガスの一例は窒素(N
2)ガスである。
【0040】
次に、
図4のステップ12、
図5及び
図6Bに示すように、処理室の内部に窒化剤ガスを流し、シリコンウエハ1の被処理面上に形成されたボロン膜6を窒化し、ボロン窒化膜(BN)2とする。
【0041】
ボロン膜6を窒化する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
【0042】
窒化剤ガス : アンモニア(NH
3)
窒化剤ガス流量: 1000〜10000sccm
処 理 時 間: 0.1〜3.0min
処 理 温 度: 450〜630℃
処 理 圧 力: 13.3〜666.5Pa(0.1〜5.0Torr)
ステップ12が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気、本例では窒素ガス雰囲気に置換する。ここまでで、ボロン窒化膜2の成膜シーケンスの1サイクルが終了する。
【0043】
次に、
図4のステップ13に示すように、サイクル数が設定回数か否かを判断する。設定回数に達したならば(Yes)、ボロン窒化膜2の形成を終了する。設定回数に達していないならば(No)、ステップ11に戻り、ステップ11〜ステップ12を繰り返す。なお、サイクル数を“1”に固定する場合には、ステップ13は省略することができる。
【0044】
例えば、このようにして、ボロン窒化膜2は形成される。
【0045】
(ステップ2:シリコン炭窒化膜3の形成方法の例)
図7はシリコン炭窒化膜の成膜シーケンスの一例を示す流れ図、
図8はガス吐出のタイミングの一例を示すタイミングチャート、
図9A〜
図9Cはシリコン炭窒化膜の成膜シーケンスの一例における主要な工程を示す断面図である。
【0046】
まず、
図7のステップ21、
図8及び
図9Aに示すように、シリコンウエハ1を収容している成膜装置の処理室(図示せず)の内部にシリコン原料ガスを流し、ボロン窒化膜2上にシリコン(Si)膜7を成膜する。
【0047】
シリコン膜7を成膜する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
シリコン原料ガス : ジクロロシラン(SiH
2Cl
2:DCS)
シリコン原料ガス流量: 500〜3000sccm
処 理 時 間 : 0.05〜1.0min
処 理 温 度 : 450〜630℃
処 理 圧 力 : 13.3〜1064Pa(0.1〜8.0Torr)
上記処理条件では、ボロン窒化膜2上に、膜厚約0.3〜1.0nmのシリコン膜7が形成される。
【0048】
ステップ21が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気に置換する。不活性ガスの一例は窒素(N
2)ガスである。
【0049】
次に、
図7のステップ22、
図8及び
図9Bに示すように、処理室の内部に炭化剤ガスを流し、ボロン窒化膜2上に形成されたシリコン膜7を炭化し、シリコン炭化膜(SiC)8とする。
【0050】
シリコン膜7を炭化する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
【0051】
炭化剤ガス : エチレン(C
2H
4)
炭化剤ガス流量: 3000sccm
処 理 時 間: 0.5〜1.5min
(炭化剤ガス供給時間:0.05〜0.2min ホールド時間:0.2〜1.3min)
処 理 温 度: 450〜630℃
処 理 圧 力: 133〜665Pa(1.0〜5.0Torr)
ステップ22が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気、本例では窒素ガス雰囲気に置換する。
【0052】
次に、
図7のステップ23、
図8及び
図9Cに示すように、処理室の内部に窒化剤ガスを流し、ボロン窒化膜2上に形成されたシリコン炭化膜8を窒化し、シリコン炭窒化膜(SiCN)3とする。
【0053】
シリコン炭化膜8を窒化する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
【0054】
窒化剤ガス : アンモニア(NH
3)
窒化剤ガス流量: 5000〜10000sccm
処 理 時 間: 0.2〜1.0min
処 理 温 度: 450〜630℃
処 理 圧 力: 13.3〜66.5Pa(0.1〜0.5Torr)
ステップ23が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気、本例では窒素ガス雰囲気に置換する。ここまでで、シリコン炭窒化膜3の成膜シーケンスの1サイクルが終了する。
【0055】
次に、
図7のステップ24に示すように、サイクル数が設定回数か否かを判断する。設定回数に達したならば(Yes)、シリコン炭窒化膜3の形成を終了する。設定回数に達していないならば(No)、ステップ21に戻り、ステップ21〜ステップ23を繰り返す。
【0056】
なお、サイクル数を“1”に固定する場合には、ステップ24は省略することができる。
【0057】
例えば、このようにして、シリコン炭窒化膜3は形成される。
【0058】
(ステップ3:シリコン酸窒化膜4の形成方法の例)
図10はシリコン酸窒化膜の成膜シーケンスの一例を示す流れ図、
図11はガス吐出のタイミングの一例を示すタイミングチャート、
図12A〜
図12Cはシリコン酸窒化膜の成膜シーケンスの一例における主要な工程を示す断面図である。
【0059】
まず、
図10のステップ31、
図11及び
図12Aに示すように、シリコンウエハ1を収容している成膜装置の処理室の内部にシリコン原料ガスを流し、シリコン炭窒化膜3上にシリコン(Si)膜9を成膜する。
【0060】
シリコン膜9を成膜する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
シリコン原料ガス : ジクロロシラン(SiH
2Cl
2:DCS)
シリコン原料ガス流量: 500〜3000sccm
処 理 時 間 : 0.05〜1.0min
処 理 温 度 : 450〜630℃
処 理 圧 力 : 13.3〜1064Pa(0.1〜8.0Torr)
上記処理条件では、シリコン炭窒化膜3上に、膜厚約0.3〜1.0nmのシリコン膜9が形成される。
【0061】
ステップ31が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気、本例では窒素ガス雰囲気に置換する。
【0062】
次に、
図10のステップ32、
図11及び
図12Bに示すように、処理室の内部に酸化剤ガスを流し、シリコン膜9を酸化し、シリコン酸化膜(SiOx)10とする。
【0063】
シリコン膜9を酸化する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
【0064】
酸化剤ガス : 酸素(O
2)
酸化剤ガス流量: 1000〜10000sccm
処 理 時 間: 0.1〜1.0min
処 理 温 度: 450〜630℃
処 理 圧 力: 13.3〜133Pa(0.1〜1.0Torr)
ステップ32が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気、本例では窒素ガス雰囲気に置換する。
【0065】
次に、
図10のステップ33、
図11及び
図12Cに示すように、処理室の内部に窒化剤ガスを流し、シリコン酸化膜10を窒化し、シリコン酸窒化膜4とする。
【0066】
シリコン酸化膜10を窒化する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
【0067】
窒化剤ガス : アンモニア(NH
3)
窒化剤ガス流量: 5000〜10000sccm
処 理 時 間: 0.2〜1.0min
処 理 温 度: 450〜630℃
処 理 圧 力: 133〜665Pa(0.1〜0.5Torr)
ステップ33が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気、本例では窒素ガス雰囲気に置換する。ここまでで、シリコン酸窒化膜4の成膜シーケンスの1サイクルが終了する。
【0068】
次に、
図10のステップ34に示すように、サイクル数が設定回数か否かを判断する。設定回数に達したならば(Yes)、シリコン酸窒化膜3の形成を終了する。設定回数に達していないならば(No)、ステップ31に戻り、ステップ31〜ステップ33を繰り返す。なお、サイクル数を“1”に固定する場合には、ステップ34は省略することができる。
【0069】
例えば、このようにして、シリコン酸窒化膜4は形成される。そして、シリコン炭窒化膜3上にシリコン酸窒化膜4を積層することで、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜5が形成される。
【0070】
(第2の実施形態)
図13はこの発明の第2の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法の一例を示す流れ図、
図14A〜
図14Iは第2の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法の一例における主要な工程を示す断面図である。
【0071】
図13に示すように、第2の実施形態が第1の実施形態と異なるところは、ステップ2(シリコン炭窒化膜3の形成)と、ステップ3(シリコン酸窒化膜4の形成)との間に、シリコン窒化膜を形成するステップ5があること、である。これ以外は、成膜条件等を含め、第1の実施形態とほぼ同様でよい。
【0072】
まず、
図14Aに示すように、半導体基板を用意する。本例では、半導体基板としてシリコンウエハ1を用いた。次いで、シリコンウエハ1を成膜装置の処理室に収容する。
【0073】
次に、
図13のステップ1及び
図14Bに示すように、下地上に、ボロン窒化膜(BN膜)2−1を形成する。
【0074】
次に、
図13のステップ2及び
図14Cに示すように、ボロン窒化膜2−1上に、シリコン炭窒化膜3−1を形成する。
【0075】
次に、
図13のステップ5及び
図14Dに示すように、シリコン炭窒化膜3−1上に、シリコン窒化膜11−1を形成する。
【0076】
次に、
図13のステップ3及び
図14Eに示すように、シリコン窒化膜11−1上に、
シリコン酸窒化膜4−1を形成する。ここまでで、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜の成膜シーケンスの1サイクルが終了する。
【0077】
次に、
図13のステップ4に示すように、積層数が設定回数か否かを判断する。設定回数に達したならば(Yes)、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成を終了する。積層数が“1”ならば、形成されるボロン含有シリコン酸炭窒化膜(SiBOCN膜)は、ボロン窒化膜2−1、シリコン炭窒化膜3−1、シリコン窒化膜11−1及びシリコン酸窒化膜4−1を1層ずつ積層することで形成されたものとなる。もしも、積層数を“1”に固定する場合には、ステップ4は省略することができる。
【0078】
設定回数に達していないならば(No)、ステップ1に戻り、
図14Fに示すように、シリコン酸窒化膜4−1上に、第2層目ボロン窒化膜2−2を形成する。
【0079】
次に、
図13のステップ2及び
図2Gに示すように、第2層目シリコン炭窒化膜3−2を形成する。
【0080】
次に、
図13のステップ5及び
図2Hに示すように、第2層目シリコン窒化膜11−2を形成する。
【0081】
次に、
図13のステップ3及び
図2Iに示すように、第2層目シリコン酸窒化膜4−2を形成する。
【0082】
次に、
図1のステップ4に示すように、積層数が設定回数か否かを再度判断する。設定回数に達したならば(Yes)、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成を終了し、設定回数に達していないならば(No)、設定回数に達するまで
図13に示すステップ1、ステップ2、ステップ5、及びステップ3を繰り返す。このようにして、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜5aが形成される。
【0083】
第2の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法は、まず、第1の実施形態と同様に、下地上に、ボロン窒化膜2を形成してから、シリコン炭窒化膜3及びシリコン酸窒化膜4を形成する。このようにすることで、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜5の成長速度を速めることができ、プロセス時間の短縮を図ることができる。
【0084】
さらに、第2の実施形態においては、シリコン炭窒化膜3上に、シリコン窒化膜11を形成する。このように、シリコン炭窒化膜3上に、シリコン窒化膜11を形成することで、シリコン酸窒化膜4を形成する際(ステップ3)、シリコン炭窒化膜3から炭素(C)が揮発することを抑制することができる。シリコン炭窒化膜3から炭素(C)が揮発することが抑制されることで、第2の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜5aにおいては、第1の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜5に比較して、内部に炭素をより高濃度に含有させることができる。内部に炭素を高濃度に含有したボロン含有シリコン酸炭窒化膜5aによれば、そのドライエッチング耐性及びウェットエッチング耐性の双方ともを向上させることができる、という利点を得ることができる。
【0085】
図15は、第2の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜(SiCN後SiN有り)と、比較例に係るシリコン酸炭窒化膜(SiCN後SiN無し)とのエッチングレートを示す図である。なお、
図15においては、シリコン窒化膜(SiN)のエッチングレートを“1”とした場合の相対的なエッチングレートを示している。
【0086】
図15に示すように、比較例においては、ドライエッチングによるエッチングレートは、ほぼシリコン窒化膜のエッチングレートと同様なものとなるが、ウェットエッチングによるエッチングレートは1.5〜2倍となり、ウェットエッチング耐性が弱まる、という傾向がある。
【0087】
これに対して、第2の実施形態においては、ドライエッチングによるエッチングレート及びウェットエッチングによるエッチングレートの双方が、シリコン窒化膜のそれらとほぼ同様となる。
【0088】
このように第2の実施形態に係る形成方法により成膜されたボロン含有シリコン酸炭窒化膜5aによれば、比較例に比較して、ウェットエッチング耐性を強めることができる、という利点を得ることができる。
【0089】
なお、第2の実施形態において、ウェットエッチングの条件は次の通りである。
エッチャント : 希フッ酸(H
2O:HF=100:1)
処 理 時 間: 60sec
また、ドライエッチングの条件は次の通りである。
エッチャント : CHF
3、CF
4、O
2の混合ガス
処 理 時 間: 5sec
次に、ステップ5における具体的な成膜シーケンスの一例を説明する。
【0090】
(ステップ5:シリコン窒化膜11の形成方法の例)
図16はシリコン窒化膜の成膜シーケンスの一例を示す流れ図、
図17はガス吐出のタイミングの一例を示すタイミングチャート、
図18A〜
図18Bはシリコン窒化膜の成膜シーケンスの一例における主要な工程を示す断面図である。
【0091】
まず、
図16のステップ51、
図17及び
図18Aに示すように、シリコンウエハ1を収容している成膜装置の処理室の内部にシリコン原料ガスを流し、シリコン炭窒化膜3上にシリコン膜12を成膜する。
【0092】
シリコン膜12を成膜する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
シリコン原料ガス : ジクロロシラン(SiH
2Cl
2:DCS)
シリコン原料ガス流量: 500〜3000sccm
処 理 時 間 : 0.05〜1.0min
処 理 温 度 : 450〜630℃
処 理 圧 力 : 13.3〜1064Pa(0.1〜8.0Torr)
上記処理条件では、シリコン炭窒化膜3上に、膜厚約0.3〜1.0nmのシリコン膜12が形成される。
【0093】
ステップ51が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気に置換する。不活性ガスの一例は窒素(N
2)ガスである。
【0094】
次に、
図16のステップ52、
図17及び
図18Bに示すように、処理室の内部に窒化剤ガスを流し、シリコン膜12を窒化し、シリコン窒化膜(SiN)11とする。
【0095】
シリコン窒化膜11を窒化する際の処理条件の一例は以下のとおりである。
【0096】
窒化剤ガス : アンモニア(NH
3)
窒化剤ガス流量: 1000〜10000sccm
処 理 時 間: 0.1〜3.0min
処 理 温 度: 450〜630℃
処 理 圧 力: 13.3〜666.5Pa(0.1〜5.0Torr)
ステップ52が終了したら、不活性ガスを用いて処理室内をパージし、処理室の内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気、本例では窒素ガス雰囲気に置換する。ここまでで、シリコン窒化膜11の成膜シーケンスの1サイクルが終了する。
【0097】
次に、
図16のステップ53に示すように、サイクル数が設定回数か否かを判断する。設定回数に達したならば(Yes)、シリコン窒化膜11の形成を終了する。設定回数に達していないならば(No)、ステップ51に戻り、ステップ51〜ステップ52を繰り返す。なお、サイクル数を“1”に固定する場合には、ステップ53は省略することができる。
【0098】
例えば、このようにして、シリコン窒化膜11は形成される。
【0099】
(第3の実施形態)
図19はこの発明の第3の実施形態に係るシリコン酸炭窒化膜の形成方法の一例を示す流れ図である。
【0100】
図19に示すように、第3の実施形態が第2の実施形態と異なるところは、ステップ1(ボロン窒化膜の形成)がないこと、である。これ以外は、成膜条件等を含め、第2の実施形態とほぼ同様でよい。
【0101】
このように、第2の実施形態のように、シリコン炭窒化膜3上にシリコン窒化膜11を形成する場合には、ボロン窒化膜2を成膜するステップ1を省略することも可能である。ステップ1を省略した場合にはボロンは含有されないので、単にシリコン酸炭窒化膜が成膜される。
【0102】
また、ステップ1を省略した場合には成膜速度が向上する、という利点は得られ難くなるが、シリコン炭窒化膜3上にシリコン窒化膜11を形成するので、形成されるシリコン酸炭窒化膜中には炭素が高濃度に含有される。このため、ウェットエッチング耐性及びドライエッチングの双方に優れる、という利点については得ることができる。
【0103】
このように、ステップ1については、要求される仕様に応じて付加することも、省略することも可能である。
【0104】
(第1〜第3の実施形態による更なる利点)
第1の実施形態においては、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜5を、ボロン窒化膜2、シリコン炭窒化膜3、及びシリコン酸窒化膜4を積層することにより形成する。
【0105】
また、第2の実施形態においては、ボロン含有シリコン酸炭窒化膜5を、ボロン窒化膜2、シリコン炭窒化膜3、シリコン窒化膜11、及びシリコン酸窒化膜4を積層することにより形成する。
【0106】
また、第3の実施形態においては、シリコン酸炭窒化膜を、特に、図示はしてはいないが、第2の実施形態におけるシリコン炭窒化膜3、シリコン窒化膜11、及びシリコン酸窒化膜4を積層することにより形成する。
【0107】
このような形成方法による利点としては、形成されるボロン含有シリコン酸炭窒化膜5又は5a、又はシリコン酸炭窒化膜中の酸素(O)濃度、炭素(C)濃度、及び窒素(N)濃度を、被処理面に対して垂直な膜厚方向の全体にわたってそれぞれ精度良く制御できることを挙げることができる。
【0108】
図20は酸素濃度とウェットエッチング量との関係を示す図、
図21は酸素濃度とドライエッチング量との関係を示す図である。
図20及び
図21には、実施形態に係るシリコン酸炭窒化膜の理解を助けるために、シリコン炭窒化膜(意図的な酸素の導入無し。ただし、シリコンウエハ上の自然酸化膜分約8.8%の酸素を含む)を比較例として例示する。
【0109】
ウェットエッチングの条件は次の通りである。
エッチャント : 希フッ酸(H
2O:HF=100:1)
処 理 時 間: 60sec
また、ドライエッチングの条件は次の通りである。
エッチャント : CHF
3、CF
4、O
2の混合ガス
処 理 時 間: 5sec
図20に示すように、シリコン炭窒化膜(SiCN膜)は、上記希フッ酸では、ほとんどエッチングされない。これに対して、上記実施形態のように意図的に酸素を導入してシリコン酸炭窒化膜とし、その酸素濃度を上げていくと、上記希フッ酸によってエッチングされやすくなっていく。つまり、シリコン酸炭窒化膜は、その酸素濃度が低いと、ウェットエッチング耐性が増す傾向が理解できる。
【0110】
そして、第2、第3の実施形態のように、シリコン炭窒化膜3上にシリコン窒化膜11を形成した場合には、シリコン炭窒化膜3から炭素(C)が揮発することを抑制することができるために、
図15にも示したように、酸素濃度が高い場合においても、ウェットエッチング量を、さらに低く抑えることが可能になる。
【0111】
また、
図21に示すように、シリコン炭窒化膜(SiCN膜)は、上記CHF
3、CF
4、O
2の混合ガスでは、大きくエッチングされる。しかし、酸素を含有させてシリコン酸炭窒化膜とし、その酸素濃度を挙げていくと、エッチングされ難くなっていく。つまり、シリコン酸炭窒化膜は、その酸素濃度が高いと、ドライエッチング耐性が増す。
【0112】
このように、シリコン酸炭窒化膜中の酸素濃度は、シリコン酸炭窒化膜のウェットエッチング耐性及びドライエッチング耐性のそれぞれに影響を与える。
【0113】
上記実施形態に係る形成方法によれば、上述の通り、特に、シリコン炭窒化膜3とシリコン酸窒化膜4とを積層してシリコン酸炭窒化膜を形成する工程を含むので、シリコン酸炭窒化膜中の酸素濃度、炭素濃度、及び窒素濃度を、膜厚方向の全体にわたって精度良く制御できる。酸素濃度の制御はシリコン酸窒化膜4の成膜量を調整すること、炭素濃度の制御はシリコン炭窒化膜3の成膜量を調整すること、窒素濃度の制御はシリコン酸窒化膜4の成膜量及びシリコン炭窒化膜3の成膜量の双方を調整することでできる。
【0114】
また、第1、第2の実施形態のように、下地上、又はシリコン酸窒化膜4上にボロン窒化膜2をさらに形成する場合には、ボロン窒化膜2の成膜量をさらに調整することで、窒素濃度を制御することができる。
【0115】
また、第2、第3の実施形態のように、シリコン炭窒化膜3上にシリコン窒化膜11をさらに形成する場合には、シリコン窒化膜11の成膜量をさらに調整することで、窒素濃度、及び炭素濃度を制御することができる。
【0116】
したがって、上記実施形態によれば、例えば、酸素濃度や炭素濃度を制御することで、
(1) 特に、ウェットエッチング耐性に優れたボロン含有シリコン酸炭窒化膜又はシリコン酸炭窒化膜
(2) 特に、ドライエッチング耐性に優れたシリコン酸炭窒化膜
(3) ウェットエッチング耐性およびドライエッチング耐性の双方ともが優れたシリコン酸炭窒化膜
を、それぞれ精度良く作り分けることができる、という利点も得ることができる。
【0117】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、上記第1、第2の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法、又は第3の実施形態に係るシリコン酸炭窒化膜の形成方法を実施することが可能な成膜装置の一例に関する。
【0118】
図22は第1、第2の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法、又は第3の実施形態に係るシリコン酸炭窒化膜の形成方法を実施することが可能な成膜装置の一例を概略的に示す断面図である。
【0119】
図22に示すように、成膜装置100は、下端が開口された有天井の円筒体状の処理室101を有している。処理室101の全体は、例えば、石英により形成されている。処理室101内の天井には、石英製の天井板102が設けられている。処理室101の下端開口部には、例えば、ステンレススチールにより円筒体状に成形されたマニホールド103がOリング等のシール部材104を介して連結されている。
【0120】
マニホールド103は処理室101の下端を支持している。マニホールド103の下方からは、被処理体として複数枚、例えば、50〜100枚の半導体基板、本例では、シリコンウエハ1を多段に載置可能な石英製のウエハボート105が処理室101内に挿入可能となっている。これにより、処理室101内にシリコンウエハ1が収容される。ウエハボート105は複数本の支柱106を有し、支柱106に形成された溝により複数枚のシリコンウエハ1が支持されるようになっている。
【0121】
ウエハボート105は、石英製の保温筒107を介してテーブル108上に載置されている。テーブル108は、マニホールド103の下端開口部を開閉する、例えば、ステンレススチール製の蓋部109を貫通する回転軸110上に支持される。回転軸110の貫通部には、例えば、磁性流体シール111が設けられ、回転軸110を気密にシールしつつ回転可能に支持している。蓋部109の周辺部とマニホールド103の下端部との間には、例えば、Oリングよりなるシール部材112が介設されている。これにより処理室101内のシール性が保持されている。回転軸110は、例えば、ボートエレベータ等の昇降機構(図示せず)に支持されたアーム113の先端に取り付けられている。これにより、ウエハボート105および蓋部109等は、一体的に昇降されて処理室101内に対して挿脱される。
【0122】
成膜装置100は、処理室101内に、処理に使用するガスを供給する処理ガス供給機構114、及び処理室101内に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構115を有している。本例の処理ガス供給機構114は、シリコン原料ガス供給源117a、炭化剤ガス供給源117b、窒化剤ガス供給源117c、酸化剤ガス供給源117d、及びボロン原料ガス供給源117eを含んでいる。不活性ガス供給機構115は、不活性ガス供給源120を含んでいる。
【0123】
シリコン原料ガスの一例はジクロロシラン、炭化剤ガスの一例はエチレン、窒化剤ガスの一例はアンモニア、酸化剤ガスの一例は酸素、ボロン原料ガスの一例は三塩化ボロン、不活性ガスの一例は窒素ガスである。不活性ガスは、パージガス等に利用される。
【0124】
シリコン原料ガス供給源117aは、流量制御器121a及び開閉弁122aを介して、分散ノズル123aに接続されている。同様に、炭化剤ガス供給源117b、窒化剤ガス供給源117c、酸化剤ガス供給源117d及びボロン原料ガス供給源117eは、流量制御器121b〜121e及び開閉弁122b〜122eを介して、分散ノズル123b〜123eにそれぞれ接続されている。
【0125】
分散ノズル123a〜123eは石英管よりなり、マニホールド103の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて垂直に延びる。分散ノズル123a〜123eの垂直部分には、複数のガス吐出孔124が所定の間隔を隔てて形成されている。これにより、各ガスは、ガス吐出孔124から水平方向に処理室101内に向けて略均一に吐出される。
【0126】
不活性ガス供給源120は、流量制御器121f及び開閉弁122fを介して、ノズル128に接続されている。ノズル128は、マニホールド103の側壁を貫通し、その先端から不活性ガスを、水平方向に処理室101内に向けて吐出させる。
【0127】
処理室101内の、分散ノズル123a〜123eと反対側の部分には、処理室101内を排気するための排気口129が設けられている。排気口129は処理室101の側壁を上下方向へ削りとることによって細長く形成されている。処理室101の排気口129に対応する部分には、排気口129を覆うように断面がコの字状に成形された排気口カバー部材130が溶接により取り付けられている。排気口カバー部材130は、処理室101の側壁に沿って上方に延びており、処理室101の上方にガス出口131を規定している。ガス出口131には、真空ポンプ等を含む排気機構132が接続される。排気機構132は、処理室101内を排気することで処理に使用した処理ガスの排気、及び処理室101内の圧力を処理に応じた処理圧力とする。
【0128】
処理室101の外周には筒体状の加熱装置133が設けられている。加熱装置133は、処理室101内に供給されたガスを活性化するとともに、処理室101内に収容された被処理体、本例ではシリコンウエハ1を加熱する。
【0129】
成膜装置100の各部の制御は、例えばマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるコントローラ150により行われる。コントローラ150には、オペレータが成膜装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うタッチパネルや、成膜装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース151が接続されている。
【0130】
コントローラ150には記憶部152が接続されている。記憶部152は、成膜装置100で実行される各種処理をコントローラ150の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて成膜装置100の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわちレシピが格納される。レシピは、例えば、記憶部152の中の記憶媒体に記憶される。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。レシピは、必要に応じて、ユーザーインターフェース151からの指示等にて記憶部152から読み出され、読み出されたレシピに従った処理をコントローラ150が実行することで、成膜装置100は、コントローラ150の制御のもと、所望の処理が実施される。
【0131】
本例では、コントローラ150の制御のもと、上記第1〜第3の実施形態に係るシリコン酸炭窒化膜の形成方法にしたがった処理が順次実施される。
【0132】
上記第1、第2の実施形態に係るボロン含有シリコン酸炭窒化膜の形成方法、及び第3の実施形態に係るシリコン酸炭窒化膜の形成方法は、
図22に示すような成膜装置100を用いることによって、1台の成膜装置で形成することができる。
【0133】
また、成膜装置としては
図22に示すようなバッチ式に限らず、枚葉式の成膜装置であっても良い。
【0134】
以上、この発明をいくつかの実施形態に従って説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0135】
例えば、上記実施形態においては、処理条件を具体的に例示したが、処理条件は、上記具体的な例示に限られるものではない。
【0136】
また、
図1及び
図13においては、シリコン酸窒化膜を形成する工程(ステップ3)が最終の処理となっているが、ステップ3の後にシリコン炭窒化膜を形成する工程を入れて、シリコン炭窒化膜を形成する工程を最終の処理としても良い。
【0137】
また、
図7においては、窒化工程(ステップ23)が最終の処理となっているが、ステップ24の後に炭化工程を入れて、炭化工程を最終の処理としても良い。同様に、
図10においては酸化工程(ステップ33)が最終の処理となっているが、ステップ34の後に酸化工程を入れて、酸化工程を最終の処理としても良い。
【0138】
また、酸化工程における酸化は、酸素ガスによる酸化の他、オゾンガスによるオゾン酸化、酸素ラジカルを用いたラジカル酸化のいずれでも用いることができる。同様に、窒化工程における窒化は、アンモニアガスによる窒化の他、アンモニアラジカルを用いたラジカル窒化を用いることができる。
その他、この発明はその要旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。