(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態によるパターン形成方法を示すフローチャートであり、
図2は、本発明の実施形態によるパターン形成方法により処理される基板(例えば半導体ウエハ)の各ステップにおける断面を示す一部断面図である。
【0015】
ステップS1(
図1)において、
図2(a)に示すように、半導体ウエハW(以下、ウエハWという)にフォトレジストが塗布され、フォトレジスト膜PRが形成される。次に、ステップS2(
図1)において、所定のパターンを有するフォトマスク(不図示)によりフォトレジスト膜PRが露光され、現像されると、
図2(b)に示すように、フォトレジストパターンPが得られる。フォトレジストパターンPは、本実施形態においては、所定の方向に所定の間隔をあけてほぼ平行に延びる複数のラインLを有している。フォトレジストパターンPは、後述するブロック共重合体によるパターンを形成する際のガイドパターンとして機能する。
なお、フォトレジストパターンPの形成には、通常のスピンコータ、加熱装置、露光装置、及び現像装置を使用できる。
【0016】
次に、ステップS3(
図1)において、フォトレジストパターンPが形成されたウエハWの上に、例えばスピン塗布法により、ポリスチレン(PS)−ポリメチルメタクリレート(PMMA)ブロック共重合体(以下、PS−b−PMMA)を有機溶媒に溶解した溶液(以下、塗布液とも言う)が塗布される。これにより、
図2(c)に示すように、PS−b−PMMAの膜21が形成される。この膜21においては、PSポリマーとPMMAポリマーとが互いにランダムに混ざり合っている。
【0017】
次いで、ステップS4(
図1)において、
図2(d)に示すように、PS−b−PMMAの膜21が形成されたウエハWを例えばホットプレートHPにより所定の温度に加熱すると、PS−b−PMMAに相分離が生じる。このとき、フォトレジストパターンPのラインLの側面には、親水性を有するPMMAポリマーが優先的に吸着するため、ラインLから、PMMAポリマーからなるPMMAポリマー領域DMと、PSポリマーからなるPSポリマー領域DSとがこの順で交互に配列した、ポリマーパターンPPが形成される。なお、ラインL間のスペースは、PMMAポリマー領域DMの幅とPSポリマー領域DSの幅との合計の整数倍(図示の例では2倍)と、PMMAポリマー領域DMの幅との和に等しくなるように予め決定されている。
【0018】
次に、ステップS5(
図1)において、PMMAポリマー領域DMとPSポリマー領域DSとからなるポリマーパターンPPの表面が観察される。この観察には、例えば、レーザ光、電子線、X線、紫外線、又は赤外線などのエネルギー線を用いることができる。ポリマーパターンPPの表面にエネルギー線を照射すると、PMMAポリマー領域DM及びPSポリマー領域DSに吸収される(又は反射される)エネルギー線の線量の相違により、PMMAポリマー領域DMとPSポリマー領域DSとの間にコントラストが生じ、これにより、ポリマーパターンPPを観察することが可能となる。
次いで、ステップS6(
図1)において、上記のようにして撮像した画像に基づいて、ポリマーパターンPPが所望のパターンとなっているか(又は適切に相分離しているか)が判定される。所望のパターンとは、本実施形態においては、ガイドパターンのラインLの間において、PMMAポリマー領域DMとPSポリマー領域DSとが交互に配列しているライン・アンド・スペース・パターンである。また、判定は、ポリマーパターンPPについて予め取得しておいた基準データと、エネルギー線のウエハWからの反射線に基づくデータとを比較することにより行うことができる。本実施形態においては、欠陥箇所(又は適切に相分離していない箇所)の数が累計され、欠陥箇所の数が所定の閾値を超えた場合には、ウエハW上のポリマーパターンPPに不良が発生した(又は適切に相分離しなかった)と判定される(
図1のステップS6:NO)。閾値は、例えば1以上の整数であってよい。すなわち、欠陥箇所が1つでもあれば、不良と判定してよい。
【0019】
次に、不良が発生したと判定された場合には、ステップS7(
図1)に進み、
図3A(e)に示すように、PS−b−PMMAの膜21が形成されたウエハWが加熱装置F内へ搬入され、ホットプレートHP上に載置される。溶剤蒸気雰囲気の下でホットプレートHPにより所定の温度にウエハWを加熱する。このとき、溶剤の蒸気がウエハW上の膜21に吸収され、PSポリマーとPMMAポリマーとが再び流動性を有することとなる。このため、特に不良が発生した箇所において、PSポリマーかつ/又はPMMAポリマーが所望のパターンへと再配列され得る。
【0020】
なお、ここで使用する溶剤としては、PSポリマーとPMMAポリマーとが溶解可能なものであれば、特に限定されることなく、例えばトルエン、アセトン、エタノール、メタノール、及びシクロヘキサノンなどを用いることができる。また、例えばアトマイザーを用いて溶剤を噴霧化し、溶剤の噴霧を不活性ガスで加熱装置F内に輸送することにより、加熱装置F内に溶剤蒸気雰囲気を生成できる。
【0021】
また、加熱中の膜21の温度は、PS−b−PMMAのガラス転移温度より高いことが好ましく、例えば約150℃から約350℃までの範囲の温度であってよい。
【0022】
所定の時間経過後、加熱装置F内への溶剤蒸気の供給を停止し、膜21を乾燥させるため、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガスやヘリウムガスなどの希ガス)の雰囲気の下で、PS−b−PMMAの膜21を更に加熱する。これにより、膜21中の溶剤(及び溶媒)が蒸発する。なお、乾燥時の膜21の温度は、乾燥時にPSポリマー及びPMMAポリマーが流動しないように、ガラス転移温度よりも低いと好ましい。
【0023】
続けて、ステップS5が行われ、ステップS6において不良が発生していない(不良箇所の数が所定の閾値以下である)と判定されると(ステップS6:YES)、ステップS8へ進む。ステップS8では、
図3A(f)に模式的に示すように、ウエハW上のPS−b−PMMAの膜21に対して、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)などの希ガスや、窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で紫外光UVが照射される。紫外光は、紫外光領域に属する波長成分を有していれば、特に限定されることはないが、例えば200nm以下の波長成分を有していることが好ましい。また、紫外光が、PMMAに吸収され得る185nm以下の波長成分を含んでいることが更に好ましい。波長200nm以下の波長成分を有する紫外光を使用する場合、光源として、波長172nmの紫外光を発するXeエキシマランプを好適に使用することができる。
【0024】
PS−b−PMMAの膜21に紫外光が照射されると、PSにおいては架橋反応が生じるため、PSが有機溶剤へ溶け難くなる一方、PMMAにおいては主鎖が切断されるため、PMMAが有機溶剤へ溶け易くなると考えられる。なお、波長172nmの紫外光を用いる場合、その照射強度(ドーズ量)は約180mJ以下であることが好ましい。180mJより大きいドーズ量で波長172nmの紫外光をPS−b−PMMAの膜21に照射すると、PS−b−PMMAの膜21に対して後に有機溶剤を供給する際に有機溶剤がPSポリマー領域DSに浸透し易くなり、その結果、PSポリマー領域DSが膨潤し、PMMAポリマー領域DMが除去され難くなるためである。さらに、紫外光のドーズ量が180mJより大きい場合、PMMAポリマー領域DMが、変質し凝固するおそれがあり、有機溶剤に溶解し難くなるおそれがある。
【0025】
なお、不活性ガスによりウエハW周囲の雰囲気中の酸素濃度は低下されるが、具体的には、不活性ガス雰囲気中の酸素濃度は例えば400ppm以下であれば十分である。
【0026】
次に、ステップS9(
図1)において、
図3A(g)に示すように、PS−b−PMMAの膜21に対して有機溶剤OSが供給される。有機溶剤OSにより、膜21中のPMMAポリマー領域DMが溶け、PSポリマー領域DSがウエハWの表面上に残る。ここで、有機溶剤OSとしては、例えばイソプロピルアルコール(IPA)を好適に使用することができる。
【0027】
所定の時間が経過した後、ウエハWの表面を乾燥させると、
図3A(h)に示すように、ウエハWの表面上にPSポリマー領域DSによるパターンが得られる。
【0028】
上述した本実施形態によるパターン形成方法によれば、相分離のための加熱の後、PS−b−PMMAの膜21の表面が観察され、不良の発生の有無が判定される。不良が発生した場合には、PS−b−PMMAの膜21が溶剤蒸気雰囲気の下で加熱されるため、PS−b−PMMAの膜21のPSポリマー及びPMMAポリマーがそれぞれ流動化し、再配列されるため、不良が修復され得る。したがって、リワークをする必要がなくなり、リワークに伴う工程の増加による製造コストの増加や、スループットの低下を避けることが可能となる。リワークを行う場合には、ガイドパターン(ラインL)を完全に残しつつPS−b−PMMAの膜21を除去することが難しいため、ガイドパターンの形成(ステップS1)から始める必要がある。このため、かなりの工程数が必要となる。本発明の実施形態によるパターン形成方法は、そのような工程数の増加を避けることが可能となるため、製造コストの増加や、スループットの低下の回避に大きな効果をもたらす。
【0029】
ここで、欠陥箇所の例について説明する。
図3Bは、ポリマーパターンPP中のPMMAポリマー領域DMを除去した後のPSポリマー領域DSによるパターンを示す表面像である。
図3B(a)及び(b)を参照すると、丸印で示す部分において隣接するラインLどうしが繋がっており、ライン・アンド・スペース・パターンに乱れが生じている。この程度の乱れの場合には、ポリマーパターンPPを溶剤雰囲気の下で加熱することにより、PSポリマーかつ/又はPMMAポリマーを再配列させることが可能と考えられる。一方、
図3B(c)及び(d)に示すように指紋状のパターンとなっている場合には、溶剤雰囲気の下での加熱によっても再配列は難しいと考えられる。したがって、表面観察に基づく判定において、画像パターン認識を用いて、ライン・アンド・スペース・パターンからの偏差の程度を判定し、その判定結果に応じて欠陥と判断する閾値を決定することが更に好ましい。
【0030】
なお、溶剤雰囲気中の溶剤の濃度を不良箇所の数に応じて変更しても良い。すなわち、不良箇所の数が第1の閾値以上である場合にポリマーパターンPPを加熱して再配列(ステップS7)させることとし、不良箇所の数が第1の閾値より大きく所定の第2の閾値より小さいときは(不良箇所の数が比較的小さいときは)、雰囲気中の溶剤濃度を第1の濃度とし、第2の閾値より大きいときは(不良箇所の数が比較的大きいときは)、第1の濃度より高い第2の濃度としても良い。これによれば、不良箇所の数が比較的大きい場合であっても、不良箇所の修復に要する時間を短縮することが可能となる。
【0031】
次に、本発明の実施形態によるパターン形成方法を実施するに好適な、本発明の実施形態によるパターン形成装置について説明する。
図4は、本実施形態によるパターン形成装置を示す概略図である。
図4に示すように、パターン形成装置50は、パターン形成装置50により処理されるウエハWが収容されるウエハキャリア(不図示)が載置されるキャリアステーションST1と、ウエハW上にパターンDP(
図3A(h))を形成する処理ステーションST2とを備える。また、処理ステーションST2には露光装置S3が接続されている。
【0032】
処理ステーションST2は、ウエハW上にフォトレジスト膜PR(
図2(a))を形成するフォトレジスト塗布ユニット51と、フォトレジスト膜PRが形成されたウエハWを加熱する加熱ユニット(不図示)や加熱されたウエハWを室温(約23℃)に冷却する冷却ユニット(不図示)などが上下方向に重ねられるユニット群52と、露光装置S3にて露光されたウエハWを現像して、フォトレジストパターンP(
図2(b))を形成する現像ユニット53と、フォトレジストパターンPが形成されたウエハWを加熱する加熱ユニット(不図示)や加熱されたウエハWを室温(約23℃)に冷却する冷却ユニット(不図示)などが上下方向に重ねられるユニット群54と、を有している。
【0033】
また、処理ステーションST2には、フォトレジストパターンPが形成されたウエハW上にPS−b−PMMAの膜21(
図2(c))を形成するブロック共重合体膜形成部310(以下、BCP膜形成部310という)と、PS−b−PMMAの膜21を加熱してポリマーパターンPP(
図2(d))を形成する加熱部10と、ポリマーパターンPPを観察する表面観察部110と、ポリマーパターンPPへ紫外光を照射し、パターンDP(
図3A(h))を形成する紫外光照射部400とが設けられている。また、処理ステーションST2には、その略中央部に長手方向に沿って延びるレール55Rと、レール55Rに沿って移動可能な搬送ロボット55とが配置されている。搬送ロボット55は、例えば多関節型のロボットであってよく、キャリアステーションST1、処理ステーションST2、及び露光装置S3の間でウエハWを搬送することができる。また、搬送ロボット55は、処理ステーションST2において、フォトレジスト塗布ユニット51、ユニット群52、露光装置S3、現像ユニット53、ユニット群54、BCP膜形成部310、加熱部10、表面観察部110、及び紫外光照射部400の間でウエハWを搬送することができる。
【0034】
また、パターン形成装置50は、フォトレジスト塗布ユニット51を始めとする各ユニットや各部、及び搬送ロボット55を制御する制御部56を有している。制御部56は、マイクロプロセッサなどの演算素子や記憶素子などを有するコンピュータであってよく、各ユニットや各部、及び搬送ロボット55を制御して例えば上述のパターン形成方法をパターン形成装置50に実施させるコンピュータプログラムに基づき、パターン形成装置50を動作させる。また、制御部56は、各ユニットや各部などを制御するだけでなく、コンピュータプログラムに基づいて、ポリマーパターンPPの表面観察に基づく判定を行う(ステップS6(
図1))。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体57に格納され、制御部56の記憶素子にインストールされる。コンピュータ可読記憶媒体57は、例えばフレキシブルディスク、CD(Compact Disk)、CD−ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ、又はDVD(Digital Versatile Disk)等であってよい。
【0035】
次に、
図5を参照しながら、ポリマーパターンPPの観察(ステップS5(
図1))に好適な表面観察部110を説明する。
図5を参照すると、表面観察部110は、載置されたウエハWをX方向及びY方向へ移動可能なXYテーブル112と、レーザ装置113からのレーザ光を平行光にするコリメータ116と、コリメータ116により平行化されたレーザ光の光路を反射ミラー122に向かう光路とウエハWに向かう光路とに分割するビームスプリッタ117と、ウエハWに向かう光路上においてビームスプリッタ117とウエハWとの間に配置され、ウエハW上の微小位置に平行レーザ光を集光する対物レンズ120と、有している。なお、ビームスプリッタ117は、2つの出射面にそれぞれ対向して配置される1/4波長板117Pを有している。
また、表面観察部110において、ビームスプリッタ117と反射ミラー122との間にハーフミラー119aが配置されている。ハーフミラー119aは、ビームスプリッタ117から出射した平行レーザ光の光路を反射ミラー122へ直進する光路と光電子増倍管115aに向かう光路とに分割する。ハーフミラー119aと光電子増倍管115aとの間には、ハーフミラー119aからの光を光電子増倍管115aに集光するレンズ121bが配置されている。
また、対物レンズ120とビームスプリッタ117との間には、ハーフミラー119bが配置されている。ハーフミラー119bは、対物レンズ120を透過してウエハWに照射されてウエハWで反射し、対物レンズ120を透過した光の光路を、ビームスプリッタ117へ向かう光路と光電子増倍管115bに向かう光路とに分割する。ハーフミラー119bと光電子増倍管115bとの間には、ハーフミラー119bからの光を光電子増倍管115bに集光するレンズ121cが配置されている。
さらに、表面観察部110には、ウエハWで反射し、対物レンズ120、ハーフミラー119b、及びビームスプリッタ117を透過したレーザ光が入射する光電子増倍管114が配置されている。また、ビームスプリッタ117と光電子増倍管114との間には、ビームスプリッタ117からの反射光を光電子増倍管114に集光するレンズ121aが配置されている。
【0036】
以上の構成によれば、レーザ装置113からのレーザ光は、コリメータ116により平行化され、ビームスプリッタ117によって反射ミラー122へ向かう参照レーザ光と、対物レンズ120へ向かう検査レーザ光とに分割される。参照レーザ光及び検査レーザ光は、それぞれ1/4波長板8により偏光面が反転される。
【0037】
検査レーザ光は、対物レンズ120によりウエハW上の微小な検査点に集光され、その検査点で反射される。反射した検査レーザ光の一部は、ハーフミラー119bにより反射され、レンズ121cを透過して光電子増倍管115bに入射し、その強度が測定される。
ハーフミラー119bを透過した検査レーザ光は、ビームスプリッタ117に入射される。ここで、ビームスプリッタ117に入射した検査レーザ光の一部は、ビームスプリッタ117により反射されて、ハーフミラー119aに入射する。ハーフミラー119aを透過して反射ミラー122へ至る検査レーザ光は、レーザ装置113からコリメータ116、ビームスプリッタ117、及びハーフミラー119aを透過して反射ミラー122に至る参照ビーム光と重ね合わされて干渉を生じる。この干渉光は、ビームスプリッタ117により反射されてレンズ121aを透過して光電子増倍管114に入射し、干渉光強度が測定される。また、反射ミラー122で反射した参照レーザ光の一部は、ハーフミラー119aで反射され、レンズ121bを透過して光電子増倍管115aに入射し、ここで参照レーザ光の強度が測定される。
【0038】
ここで、反射ミラー122は、データ記憶部124に格納される所望のパターンに関する基準表面形状情報(基準データ)に従って振動子123により振動している。ここで、干渉光の強度をI、光の波長をλ、検査レーザ光の強度をI
1、参照レーザ光の強度をI
2、ウエハWの表面(検査面)及び反射ミラー122の反射面(参照面)からのビームスプリッタ117との光路差をXとすると、以下の関係が成り立つ。
I=I
1+I
2+2×(I
1×I
2)
1/2×cos(4πX/λ)。
【0039】
ここで、反射ミラー122(参照面)は、基準表面形状情報に従って振動子123により振動しているため、ウエハW上の検査面の形状が基準表面形状と等しい場合には、干渉光の強度Iは変化しない。一方、強度Iが変化した場合は、ウエハW上の検査面の形状が基準表面形状と異なることとなり、これにより欠陥を検出できる。XYステージ112を駆動機構(不図示)によりX方向及びY方向に移動させ、対物レンズ120からの検査レーザ光をウエハW上でスキャンすることにより、ウエハWの表面に形成されるポリマーパターンPP(
図2(d))の表面観察を行うことができる。
【0040】
次に、
図6を参照しながら、PS−b−PMMAの膜の形成(ステップS4(
図1))に好適なBCP膜形成部310を説明する。
図6を参照すると、BCP膜形成部310は、筐体310Cを有し、この筐体310C内に、ウエハWを回転可能に保持するスピンチャック2と、スピンチャック2に保持されたウエハWの表面に沿って移動可能で、スピンチャック2に保持されるウエハWにブロック共重合体の塗布液を供給(吐出)する供給ノズル5と、スピンチャック2に保持されるウエハWに有機溶剤(例えばIPA)を供給(吐出)する供給ノズル5Sと、スピンチャック2により保持されるウエハWの外周を取り囲み、供給ノズル5(又は5S)からウエハWの表面に供給され、ウエハWの回転により飛散する塗布液(又は有機溶剤)を受けるカップ6と、を備えている。なお、筐体310Cの一側壁にはウエハWの搬入搬出口(不図示)が設けられており、この搬入搬出口はシャッタ(不図示)によって開閉可能である。
【0041】
カップ6は、例えば下面が閉鎖され上面が開口した円筒状に形成されている。カップ6の底部には、排気口6aと排液口6bが設けられている。排気口6aには排気ポンプ等の排気装置(不図示)に接続される排気管16が接続される。また、排液口6bには例えば工場の排液部(不図示)に接続される排出管170が接続されており、カップ6により回収した塗布液がBCP膜形成部310の外部に排出される。
【0042】
スピンチャック2には例えばサーボモータ12が連結され、サーボモータ12によりスピンチャック2と、スピンチャック2に保持されるウエハWとが所定の回転速度で回転される。
【0043】
また、スピンチャック2を取り囲むように、ウエハWを支持して昇降させる例えば3つの支持ピン14が設けられている(
図6には2つの支持ピン14を図示する)。支持ピン14は、例えばシリンダなどの昇降駆動機構15により、カップ6の底部に形成された貫通孔(不図示)を通して昇降自在である。支持ピン14は、昇降駆動機構15により、スピンチャック2の上面より高い位置まで突出することができ、スピンチャック2に対するウエハWの受け渡しを行うことができる。
【0044】
供給ノズル5は、
図6に示すように、カップ6の外側に配置され水平回動及び昇降機能を有する移動機構20に連結される回動・昇降アーム210によって支持されている。移動機構20により、供給ノズル5は、カップ6の外側位置(点線で示す位置)と、ウエハWの中央上方の位置(実線で示す位置)との間で移動可能である。
また、供給ノズル5は、例えばPS−b−PMMAの溶液(塗布液)を貯留する供給源39に供給管39Lを介して接続されており、供給源39から塗布液をウエハWに対して供給することができる。
【0045】
供給ノズル5は、
図6に示すように、カップ6の外側に配置され水平回動及び昇降機能を有する移動機構20に連結される回動・昇降アーム210によって支持されている。移動機構20により、供給ノズル5は、カップ6の外側位置(点線で示す位置)と、ウエハWの中央上方の位置(実線で示す位置)との間で移動可能である。
また、供給ノズル5は、例えばPS−b−PMMAの溶液(塗布液)を貯留する供給源39に供給管39Lを介して接続されており、供給源39から塗布液をウエハWに対して供給することができる。
【0046】
また、供給ノズル5Sは、供給源に有機溶剤(例えばIPA)が貯留される点を除いて、供給ノズル5と同様に構成されている。これにより、ウエハWに対して有機溶剤を供給することができる。
【0047】
以上のように構成されるBCP膜形成部310によれば、スピンチャック2に保持されるウエハWに対して供給ノズル5から塗布液が供給され、ウエハWを所定の回転数で回転させることにより、ウエハW上にPS−b−PMMAの膜21(
図2(c))が形成される。
【0048】
また、BCP膜形成部310では、紫外光が照射されたポリマーパターンPP(ステップS8(
図1))に対して、供給ノズル5Sから有機溶剤(例えばIPA)を供給することにより、ポリマーパターンPP中のPMMAパリマー領域DMを溶解させ、ポリマーパターンPPをパターニングすることができる(ステップS9(
図1))。
【0049】
次に、
図7を参照しながら、ポリマーパターンPPへの紫外光の照射(ステップS8(
図1))に好適な紫外光照射部400を説明する。
図7に示すように、紫外光照射部400は、ウエハWが収容されるウエハチャンバ510と、ウエハチャンバ510内に収容されたウエハWに対し紫外光を照射する光源チャンバ520とを有している。
【0050】
ウエハチャンバ510は、筐体530と、筐体530の天井部に設けられ紫外光が透過可能な透過窓540と、ウエハWが置かれるサセプタ57とを備える。透過窓540は、例えば石英ガラスにより形成されている。
【0051】
サセプタ57は、円板形状を有し内部にヒータ62を有している。ヒータ62は温度調整器63と接続され、これによりサセプタ57が所定の温度に維持される。また、サセプタ57の上面には、ウエハWを支持する複数の(例えば3個の)支持ピン58が設けられている。サセプタ57は、ウエハWと等しいか又は僅かに大きい直径を有しており、好ましくは、高い熱伝導率を有する熱伝導率、例えば炭化ケイ素(SiC)やアルミニウムにより形成される。
【0052】
複数の支持ピン58は、ウエハWが過度に加熱されるのを抑制し、加熱後のウエハWの冷却を促進する機能を有している。このため、支持ピン58は、例えば100W/(m・k)以上の高い熱伝導率を有する材料、例えば炭化ケイ素(SiC)で形成することが望ましい。なお、ウエハWからサセプタ57への熱伝導を促進するため、3個の支持ピン58に限らず、更に多数の支持ピン58を設けてもよい。
【0053】
また、
図7に示すように、ベースプレート550の内部には、冷却水の流水路55aが形成されている。そして、流水路55aには冷却水供給装置610から冷却水が供給され、ベースプレート550全体が所定の温度に冷却される。また、ベースプレート550上に設けられサセプタ57を支持する支柱560は、例えばアルミニウムで形成されることが好ましい。
【0054】
また、ウエハチャンバ510には、ベースプレート550及びサセプタ57を貫通して昇降動作することにより、ウエハWの搬入出の際にウエハWを下方から支持し昇降させる昇降ピン59と、昇降ピン59を昇降させる昇降機構600とが設けられている。
また、筐体530の一側壁には、ウエハWの搬入出口(不図示)が形成されており、これを通してウエハWがウエハチャンバ510内へ搬入され、ウエハチャンバ510から搬出される。搬入出口にはシャッタ(不図示)が設けられ、シャッタにより搬入出口が開閉される。シャッタは、搬入出口を気密に閉じることができると好ましい。
【0055】
さらに、筐体530の側壁には不活性ガス導入口51Aが設けられ、筐体530の底部には不活性ガス排気口51Bが設けられている。不活性ガス導入口51Aには、不活性ガスが貯留(充填)される不活性ガス供給源81が接続され、不活性ガス供給源81から不活性ガス導入口51Aを通してウエハチャンバ510の内部に不活性ガスが供給される。
【0056】
一方、ウエハチャンバ510の上方に配置される光源チャンバ520は、ウエハチャンバ510内のウエハWに対し紫外光を照射する光源LSと、光源LSに電力を供給する電源72とを備えている。光源LSは筐体730に収容されている。筐体730の底部には光源LSから放射される紫外光をウエハチャンバ510へ透過させるため、例えば石英ガラスにより形成される照射窓740が設けられている。光源LSからの紫外光が、照射窓740を介してウエハチャンバ510に向けて放射され、ウエハチャンバ510の透過窓540を透過した紫外光がウエハWに照射される。
【0057】
上記のように構成される紫外光照射部400においては、BCP膜形成部310にてウエハW上に形成されたPS−b−PMMAの膜が以下のように加熱され、露光される。すなわち、PS−b−PMMAの膜が形成されたウエハWがウエハチャンバ510に搬入され、昇降ピン59により受け取られ、サセプタ57上の支持ピン58に支持される。
シャッタが閉じてウエハチャンバ510内が外部環境から隔離された後、不活性ガス供給源81から例えば窒素ガスなどの不活性ガスをウエハチャンバ510内へ所定の時間供給すると、ウエハチャンバ510内に残留する空気がパージされる。これによりウエハチャンバ510内が不活性ガス雰囲気になる。
【0058】
ウエハチャンバ510内を不活性ガスによりパージしている間に、サセプタ57のヒータ62により、支持ピン58に支持されるウエハWが所定の温度に加熱される。所定の時間経過後、ヒータ62への電力の供給を停止すると、ウエハWの熱が、支持ピン58及びサセプタ57を通してベースプレート550へ伝わり、ウエハWが例えば室温(約23℃)程度まで冷却される。
【0059】
ウエハWが室温程度になった後、電源72から光源LSに電力が供給され、光源LSから紫外光が放射される。紫外光は、光源チャンバ520の照射窓740とウエハチャンバ510の透過窓540とを通して、不活性ガス雰囲気のもとでウエハWの表面に照射される。PS−b−PMMAの膜の露光に必要なドーズ量は「照度×照射時間」で決まるため、例えば予備実験などを通して紫外光の照度に応じた照射時間を決定することが好ましい。
【0060】
所定時間の紫外照射の後、ウエハWは、ウエハWの搬入時と逆の手順により、紫外光照射部400から搬出される。その後、ウエハWは、BCP膜処理装置へ搬送され、ここでPS−b−PMMAの膜に対して有機溶剤(例えばIPA)が供給される。これにより、PMMAポリマー領域が溶解し、PSポリマー領域により構成されるパターンDP(
図3A(h))が得られる。
次に、
図9を参照しながら、ポリマーパターンPPの再配列(ステップS7(
図1))を行うに好適な加熱部10を説明する。
図9を参照すると、加熱部10は、上端が開口した有底の円筒形状を有する容器本体202と、この容器本体202の上端開口を覆う蓋体203とを備えている。容器本体202は、円環形状を有する枠体221と、枠体221の底部から内側に延びる鍔状の底部222と、底部222に支持されるウエハ載置台204とを備えている。ウエハ載置台204の内部には加熱部204hが設けられ、加熱部204hには、電源204Pが接続されている。これによりウエハ載置台204上に載置されるウエハWが加熱される。加熱部204h、電源204P、及び温調器(不図示)により、ウエハ載置台204が加熱され、ウエハ載置台204に載置されるウエハWが加熱される。
【0061】
ウエハ載置台204には、外部の搬送手段(不図示)との間でウエハWの受け渡しを行なうための複数本の昇降ピン241が設けられており、この昇降ピン241は昇降機構242により昇降自在に構成されている。図中の参照符号243は、ウエハ載置台204の裏面に設けられた、この昇降機構242の周囲を囲むカバー体である。容器本体202と蓋体203は、互いに相対的に昇降自在に構成されている。この例では、昇降機構(不図示)により蓋体203が、容器本体202と接続される処理位置と、容器本体202の上方側に位置する基板搬出入位置との間で昇降自在である。
【0062】
一方、蓋体203は、容器本体202の枠体221の上面に蓋体203の周縁部231がOリングなどのシール部材202Sを介して載置されている。これにより、容器本体202の上端開口が蓋体203により閉じられる。そして、容器本体202と蓋体203との間に処理室220が区画されている。
【0063】
蓋体203の中央部には、ウエハ載置台204上に載置されるウエハWに対して溶剤蒸気を含む気体(以下、単に溶剤蒸気という)を供給するためのガス供給路233が貫通している。ガス供給路233には、後述する溶剤蒸気供給機構270と接続される配管261が接続されている。また、配管261には、処理室220をパージする窒素ガス供給源(不図示)が接続され、パージガスとしての窒素ガスを処理室220へ供給することができる。
【0064】
ガス供給路233の下端部の下方に整流板234が配置されている。整流板234には、複数のスリット(又は開口)234Sが形成されている。複数のスリット234Sは、ガス供給路233から流出する溶剤蒸気がウエハ載置台204へ向かって流れるのを許容すると共に、整流板234の上側(ガス供給路233側)の空間と下側(ウエハ載置台204側)の空間との間に大きな圧力損失が生じるように形成されている。このため、ガス供給路233を通して処理室220へ供給された溶剤蒸気は、整流板234の上側で横方向に(蓋体203の外周に向かって)広がると共に、スリット234Sを通してウエハWに向かって流れる。したがって、溶剤蒸気はほぼ均一な濃度でウエハWに対して供給され得る。
【0065】
また、蓋体203の上壁部232の内部には、ガス供給路233が形成された中央領域以外の領域に面状に伸び、例えばリング状の平面形状を有する扁平な空洞部282が形成されている。この空洞部282には、蓋体203の外周側であってウエハ載置台204上のウエハWよりも外側において上下方向に延び、処理室220に開口する排気路281が連結されている。また、空洞部282には、例えば蓋体203の中央近傍領域にて、複数本の(例えば6本の)排気管283が接続されている。排気管283はエジェクタ275に接続され、エジェクタ275はトラップタンク276に接続されている。
【0066】
なお、
図9中の参照符号235はヒータを示し、このヒータ235により蓋体203が所定の温度に加熱される。これにより蓋体203への溶剤蒸気の凝結が抑制される。
【0067】
溶剤蒸気供給機構270は、溶剤タンク271、流量制御器272、及び気化器273を有している。溶剤タンク271の内部には溶剤が貯留され、窒素ガス供給源(不図示)から窒素ガスで内部を加圧することにより、溶剤が配管274へ流出し、流量制御器272によって流量制御されて気化器273へ供給される。気化器273では溶剤が噴霧化され、窒素ガス供給源から供給される窒素ガスとともに配管274を通して配管261へ供給される。なお、気化器273へ供給される窒素ガスの流量により、処理室220内の雰囲気中の溶剤濃度を制御することができる。
【0068】
以上の構成により、溶剤蒸気供給機構270により生成される溶剤蒸気は配管261及びガス供給路233を通して処理室220へ供給され、整流板234により均一に、加熱部204hにより加熱されるウエハWに供給される。その後、溶剤蒸気は、排気路281、空洞部282、及び排気管283を通して、エジェクタ275により排気される。エジェクタ275により排気された気体はトラップタンク276に至り、ここで気体中の溶剤成分が取り除かれ、外部へと排気される。なお、処理室220内の圧力は、供給する溶剤蒸気の供給量とエジェクタ275とにより制御することができ、例えば常圧又は常圧に対して0Paから30kPaの圧力(弱陽圧)に維持することが好ましい。
【0069】
上述の加熱部10によれば、溶剤蒸気雰囲気の下でウエハWを加熱することができるため、PS−b−PMMAの膜21を加熱して相分離を生じさせてポリマーパターンPPを形成した後であっても、ポリマーパターンPPに溶剤を吸収させ、ポリマーパターンPP内のPSポリマー及びPMMAポリマーを流動化させることができる。このため、PSポリマー領域DS及びPMMAポリマー領域DSの再配列を促進することが可能となる。
【0070】
なお、加熱部10は、PS−b−PMMAの膜21を加熱して相分離を生じさせる際に用いてもよい。この場合には、溶剤蒸気を供給する必要はないが、溶剤蒸気を供給すれば、相分離を促進することも可能となる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、添付の特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々に変形し、変更することができる。
【0072】
例えば、ステップS9において、PMMAポリマー領域DMを有機溶剤により除去したが、例えば酸素プラズマによるドライエッチングによりPMMAポリマー領域DMを除去してもよい。この場合、ポリマーパターンPPに対する紫外光の照射(ステップS8(
図1))は行わなくてよい。
【0073】
また、ステップS4においては、ステップS7と同様に溶剤蒸気雰囲気の下で、PS−b−PMMAの膜21が形成されたウエハWを加熱してもよい。
【0074】
また、パターン形成装置50は、BCP膜形成部310、加熱部10、表面観察部110、紫外光照射部400、及び搬送ロボット55を所定の筐体に配置することにより構成されてもよい。この場合、既存のフォトレジスト塗布現像装置に対し所定のインターフェイス部を介してパターン形成装置50を結合することが好ましい。
【0075】
また、ポリマーパターンPPの表面の観察には、レーザ光、電子線、X線、紫外線、又は赤外線などのエネルギー線を用いた観察装置だけでなく、例えば高感度CCD(charge-coupled device)カメラを用いても良い。なお、電子線を用いる場合には、走査型電子顕微鏡を用いることが好ましい。
【0076】
また、所望のパターン(形成されるべきパターン)としてライン・アンド・スペース・パターンを例示したが、これに限らず例えば、ホールが所定の間隔で配列されるパターンを形成する場合にも本発明の実施形態を適用することができる。
【0077】
また、上述の実施形態においては、ブロック共重合体としてPS−b−PMMAを例示したが、これに限定されることなく、例えばポリブタジエン−ポリジメチルシロキサン、ポリブタジエン−4−ビニルピリジン、ポリブタジエン−メチルメタクリレート、ポリブタジエン−ポリ−t−ブチルメタクリレート、ポリブタジエン−t−ブチルアクリレート、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリ−4−ビニルピリジン、ポリエチレン−ポリメチルメタクリレート、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリ−2−ビニルピリジン、ポリエチレン−ポリ−2−ビニルピリジン、ポリエチレン−ポリ−4−ビニルピリジン、ポリイソプレンーポリー2−ビニルピリジン、ポリメチルメタクリレート−ポリスチレン、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリスチレン、ポリメチルアクリレート−ポリスチレン、ポリブタジエンーポリスチレン、ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ−2−ビニルピリジン、ポリスチレン−ポリ−4−ビニルピリジン、ポリスチレン−ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン−ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリブタジエン−ポリアクリル酸ナトリウム、ポリブタジエン−ポリエチレンオキシド、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリエチレンオキシド、ポリスチレン−ポリアクリル酸、ポリスチレン−ポリメタクリル酸等がある。