特許第5759062号(P5759062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5759062アルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物、及び耐スクラッチ性と黄色度が調節された熱可塑性樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5759062
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】アルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物、及び耐スクラッチ性と黄色度が調節された熱可塑性樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/06 20060101AFI20150716BHJP
   C08L 51/04 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   C08L33/06
   C08L51/04
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-503615(P2014-503615)
(86)(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公表番号】特表2014-510181(P2014-510181A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】KR2012006012
(87)【国際公開番号】WO2013022205
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2013年10月8日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0079912
(32)【優先日】2011年8月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0079740
(32)【優先日】2012年7月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヒュン ソク
(72)【発明者】
【氏名】イ、デ ウ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ハン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、チャン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン リョン
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−339418(JP,A)
【文献】 特開平11−140268(JP,A)
【文献】 特表2011−521068(JP,A)
【文献】 特開平04−277547(JP,A)
【文献】 特開2006−002038(JP,A)
【文献】 特開2001−316559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 33/00− 35/08
C08F 20/00− 22/40
C08F120/00−122/40
C08F220/00−222/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊状重合体と、グラフト共重合体と、滑剤とを含むアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物であって、
前記塊状重合体は、反応媒質存在下に、アルキル(メタ)アクリレート系単量体60〜80重量%及び芳香族ビニル単量体20〜40重量%を含み、
前記グラフト共重合体は、平均粒径が250〜500nmであり、ゲル含量が60〜95%である大粒径ゴム質重合体としての共役ジエン系ゴム質重合体20〜50重量%に、アルキル(メタ)アクリレート系単量体30〜60重量%、芳香族ビニル単量体5〜25重量%、及びビニルシアン系単量体1〜9.999重量%を含み、
前記滑剤は、エチレンビスステアロアミド、酸化ポリエチレンワックス、およびステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも一つを含み、
前記組成物は、前記塊状重合体70〜90重量%と前記グラフト共重合体30〜10重量%とを含み、
前記グラフト共重合体がビニルシアン系単量体を、前記組成物の総重量を基準として0.01〜3重量%の量で含み、
前記塊状重合体が、塊状重合用のモノマーの全重量100重量部に対して酸化防止剤を0.01〜1重量部含み、
前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤とを含み、
前記フェノール系酸化防止剤および前記ホスファイト系酸化防止剤の混合比が、フェノール系酸化防止剤:ホスファイト系酸化防止剤=9:1〜1:5の重量比であり、
前記フェノール性酸化防止剤は、テトラキスメチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンからなる群から選択された1つ以上であり、
前記滑剤は、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5重量部の量で含まれる
ことを特徴とする、アルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記グラフト共重合体は、屈折率1.513〜1.518の範囲を満足することを特徴とする、請求項1に記載のアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記グラフト共重合体は、屈折率1.515〜1.516の範囲を満足することを特徴とする、請求項2に記載のアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記大粒径ゴム質重合体は、平均粒径が100〜200nmであり、ゲル含量が60〜95%である小粒径ゴム質重合体から得られたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記反応媒質は、炭素原子数1〜3のアルキル基またはハロゲンで置換された芳香族炭化水素化合物の中から選択された1種以上であって、塊状重合用の全単量体の総重量の100重量部を基準として20〜30重量部の範囲で含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記塊状重合体は、塊状重合用の全単量体の総重量の100重量部を基準として、フェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤が9:1〜1:5の重量比で配合された酸化防止剤を、0.01〜1重量部の範囲でさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記塊状重合体は、屈折率1.513〜1.518の範囲を満足することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記塊状重合体は、屈折率1.515〜1.516の範囲を満足することを特徴とする、請求項7に記載のアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項による熱可塑性樹脂組成物から製造され、前記熱可塑性樹脂組成物の押出ペレットを射出成形させて製造された熱可塑性樹脂であって、全光線透過率(total transmittance)89以上で、ヘイズ(Haze)3.0以下であり、前記樹脂の鉛筆硬度が、F〜2Hの範囲内であり、電気製品及び電子製品のハウジング用途に適用されることを特徴とする、アルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂。
【請求項10】
ASTM E313に基づいて測定した前記樹脂の黄色度が、8以下であることを特徴とする、請求項9に記載のアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物、及び耐スクラッチ性と黄色度が調節された熱可塑性樹脂に係り、樹脂組成物内に含まれるビニルシアン系単量体の総含量を従来技術で達成できなかった水準まで低めても透明性、流動性、衝撃強度を維持しつつ、改善された耐スクラッチ性と低い黄色度を共に提供することができて、電気電子製品のハウジング用途に使用するのに適したアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンで構成されたABS樹脂は、機能性及び汎用性を備えている代表的な樹脂であって、衝撃強度、引張強度、弾性率、難燃性などの優れた性質を備えており、自動車部品、各種電気/電子部品などの用途に幅広く活用されている。しかし、これは不透明な特性を有するため、透明性の要求される部品に適用が不可能である。
【0003】
ここで、特許文献1では、ポリブタジエンゴム粒子とメチルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂の屈折率を調節して、耐衝撃性及び透明性が良い熱可塑性透明樹脂組成物を開示している。
【0004】
ところが、最近の電気電子製品の開発トレンドは、機能性特性の他にデザインの高級化、差別化も重要視されている。特に、ガラスのような透明できれいな感じの素材が要求されている。
【0005】
しかし、前記特許文献1の場合には、樹脂の中に含まれたビニルシアン系単量体によって樹脂自体が若干黄色を帯びるようになる。これによって、透明ではあるが、ガラスのようにきれいな感じを与えることは難しかった。
【0006】
一方、衝撃強度に優れ、透明で且つ黄色度の低い透明素材としては、ポリカーボネート(PC)樹脂、耐衝撃ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂などを挙げることができる。しかし、ポリカーボネート(PC)樹脂の場合には、たとえ透明性と衝撃強度は優れているが、耐化学性、耐スクラッチ性が低下するという短所があった。
【0007】
また、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂の場合には、透明性は優れているが、衝撃特性、射出成形性が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2001−0044512号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、本発明では、上述した問題点を克服するために、耐衝撃性及び透明性に優れ、黄色度が低いことを特徴とし、より詳細には、高い表面硬度及びガラスのように透明できれいな感じを有して、電気電子製品の透明なハウジング用途に使用するのに適したアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂組成物は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体をそれぞれ含む塊状重合体とグラフト共重合体とからなる組成物であって、前記組成物は、塊状重合体70〜90重量%とグラフト共重合体30〜10重量%とからなり、前記アクリル系グラフト共重合体にビニルシアン系単量体を含み、前記ビニルシアン系単量体を、前記組成物の総重量を基準として0.01〜3重量%となるように含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の熱可塑性樹脂は、上述した熱可塑性樹脂組成物から提供され、前記熱可塑性樹脂組成物の押出ペレットを射出成形させて収得された熱可塑性樹脂であって、全光線透過率(total transmittance)89以上で、ヘイズ(Haze)3.0以下であるので、電気電子製品のハウジング用途に適用されることを特徴とする。
【0012】
以下、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物について説明したあと、これから収得される熱可塑性樹脂についても具体的に説明する。
【0013】
まず、本発明では、アルキル(メタ)アクリレート系単量体をそれぞれ含む塊状重合体とグラフト共重合体とからなる組成物であって、前記組成物は、塊状重合体70〜90重量%とグラフト共重合体30〜10重量%とからなり、前記グラフト共重合体にビニルシアン系単量体を含み、前記ビニルシアン系単量体を前記組成物の総重量を基準として0.01〜3重量%となるように含むことを技術的特徴とする。
【0014】
このうち、前記ビニルシアン系単量体の含量は、ポリアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのような非結晶性透明熱可塑性樹脂にできるだけ近くなるようにビニルシアン系単量体の含量を低減させたもので、下記の実施例で明らかになったように、極少量を使用しても高い耐スクラッチ性と低い黄色度を達成できる。
【0015】
前記ビニルシアン系単量体は、これに限定するものではないが、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びエタクリロニトリルの中から選択された1種以上であってもよい。
【0016】
このようなビニルシアン系単量体を組成物内に極少量で含ませる技術は、前記グラフト共重合体を構成するビニルシアン系単量体の含量を調節することによって達成できるもので、特に、本発明では、グラフト共重合体を構成する成分のうちビニルシアン系単量体を、グラフト共重合体をなす全体組成総100重量%を基準として1〜9.999重量%の範囲内で含むことに技術的特徴を有する。
【0017】
また、前記グラフト共重合体は、グラフト共重合体をなす全体成分総100重量%を基準として、アルキル(メタ)アクリレート系単量体を30〜60重量%の範囲で含ませることができる。
【0018】
さらに、前記グラフト共重合体は、グラフト共重合体をなす全体成分総100重量%を基準として、芳香族ビニル単量体5〜25重量%及び共役ジエン系ゴム質重合体20〜50重量%をさらに含むことができる。
【0019】
具体的には、前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体、芳香族ビニル単量体、及びビニルシアン系単量体を、共役ジエン系ゴム質重合体にグラフトさせた共重合体であって、組成物の総重量を基準として10〜30重量%の範囲で含むことができる。
【0020】
このうち、前記共役ジエン系ゴム質重合体は、これに限定するものではないが、ブタジエンゴム質重合体、イソプレンゴム質重合体、クロロイソプレンゴム質重合体の中から選択されたものが好ましく、平均粒径が250〜500nmであり、ゲル含量が60〜95%である大粒径ゴム質重合体を使用することができる。
【0021】
このとき、平均粒径が100〜200nmで、ゲル含量が60〜95%である小粒径ゴム質重合体を、酢酸などの酸、塩基あるいはその他の高分子などを用いて、融着などの方法で大粒径化する方式を適用してもよい。
【0022】
このとき、小粒径共役ジエン系ゴム質重合体のための乳化重合用添加剤としては、ロジン酸カリウム塩またはオレイン酸カリウム塩などの乳化剤、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのような電解質、ドデシルメルカプタンなどの分子量調節剤、及び過硫酸カリウムなどの有機過酸化物開始剤を含むことができる。
【0023】
前記共役ジエン系ゴム質重合体の平均粒径、さらに、ゲル含量は、最終生成樹脂の衝撃強度及び加工性などに非常に大きな影響を及ぼすファクターに該当するもので、一般的に、ゴム質重合体の粒径が小さいほど、衝撃強度及び加工性が低下し、粒径が大きいほど、衝撃強度が大きくなり、ゲル含量が小さいほど、ゴム質重合体の内部に単量体が多く膨潤して重合が発生し得るので、見掛け粒径が大きくなり、衝撃強度が向上する。
【0024】
その一方、ゴム質重合体の含量が多く、粒径が大きいほど、グラフト率が低下するという問題を伴う。前記グラフト率は、グラフト共重合体の物性に大きな影響を及ぼす。グラフト率が低下すると、グラフトされないゴム質重合体が多く存在するため、熱安全性が悪くなる。したがって、適切な粒径及びゲル含量を有する共役ジエン系ゴム質重合体を製造するのが重要であり、前記共役ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体及びビニルシアン系単量体をグラフトさせるとき、適切なグラフト率を有するようにすることが重要である。
【0025】
また、前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、これに限定するものではないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート及びエチルエタクリレートの中から選択された1種以上であってもよく、メチルメタクリレートを使用することが反応性を考慮するときに、最も好ましい。
【0026】
前記芳香族ビニル単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ベンジン核の一以上の水素が炭素原子数1〜5のアルキル基またはハロゲンに選択的に置換されたスチレンの中から選択された1種以上であってもよく、スチレンを使用することが反応性を考慮するときに、最も好ましい。
【0027】
さらに、前記グラフト共重合体のための重合添加剤としては、ロジン酸カリウム塩またはオレイン酸カリウム塩、アルキルアリールスルホン酸塩などの乳化剤、ドデシルメルカプタンなどの分子量調節剤、ピロりん酸ナトリウム、硫化第一鉄などのようなレドックス系酸化還元触媒、デキストロースなどの酸化還元開始剤、及びクメンヒドロペルオキシドなどの重合開始剤を含むことができる。本発明において、グラフト共重合体を製造するための乳化重合方式は、これに限定するものではないが、レドックス開始剤を使用して重合することがより好ましい。
【0028】
前記グラフト共重合体は、熱可塑性樹脂組成物に対して10〜30重量%の範囲で使用されることが好ましい。これは、10重量%未満の場合には、衝撃強度が著しく低下し、30重量%を超えると、樹脂の流動性が良くないため、加工性に問題が生じると、着色性及び耐スクラッチ性が低下するためである。
【0029】
このように収得されたグラフト共重合体は、透明性を維持するように、屈折率1.513〜1.518の範囲、一例としては、1.515〜1.516の範囲を満足できる。
【0030】
また、前記塊状重合体は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体60〜80重量%、及び芳香族ビニル単量体20〜40重量%を反応媒質下に塊状重合させて収得されたもので、組成物の総重量を基準として90〜70重量%の範囲で含むことができる。
【0031】
特に、本発明では、塊状重合体を構成する芳香族ビニル単量体を、射出成形性を改善するのに十分な含量に限定し、ビニルシアン系単量体は、射出成形性を低下させるという点を考慮して使用せず、この未使用量だけアルキル(メタ)アクリレート系単量体を過量使用することにより、黄色度を低くし、硬度を上昇させて耐スクラッチ性の改善を達成できることが確認できた。
【0032】
具体的には、前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、これに限定するものではないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート及びエチルエタクリレートの中から選択された1種以上であってもよく、メチルメタクリレートを使用することが反応性を考慮するときに、最も好ましい。
【0033】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、塊状重合体をなす全体組成総100重量%を基準として60〜80重量%であることが好ましい。60重量%未満では屈折率が大きくなるためヘイズ(haze)が増加し、耐スクラッチ性に問題があり、80重量%を超えると、反応物の粘度が急激に増加して重合が一定に進まず、加工性が低下するという問題があるため好ましくない。
【0034】
また、前記芳香族ビニル単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ベンジン核の一以上の水素が炭素原子数1〜5のアルキル基またはハロゲンに選択的に置換されたスチレンの中から選択された1種以上であってもよく、スチレンを使用することが反応性を考慮するときに、最も好ましい。
【0035】
前記芳香族ビニル単量体は、塊状重合体をなす全体組成総100重量%を基準として20〜40重量%であることが好ましい。20重量%未満では、反応物の粘度が高く、生産された製品の加工性と流動性が悪くなるという問題があり、40重量%を超える場合には、屈折率が大きくなるため透明度が低下し、耐スクラッチ特性が低下するという問題があるため好ましくない。
【0036】
特に、本発明では、塊状重合体の製造時にビニルシアン化合物を使用しないので、低い黄色度であり且つ光沢度を付与することに技術的特徴を有する。
【0037】
このとき、前記反応媒質は、炭素原子数1〜3のアルキル基またはハロゲンに置換された芳香族炭化水素化合物の中から選択された1種以上であって、塊状重合体をなす全体組成総100重量部を基準として20〜30重量部の範囲内で含むことができる。
【0038】
前記反応媒質は、反応溶媒としての役割よりは反応潤滑剤としての役割を行うもので、20重量部未満では反応物の粘度が急激に増加するという問題があり、30重量部を超えるときには分子量が低く、生産量が低くなるという問題があるため好ましくない。
【0039】
さらに、酸化防止剤として、高温の揮発槽で黄変を抑制する目的に使用するもので、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を、単独であるいはホスファイト系酸化防止剤との混合物タイプで、塊状重合体をなす全体組成総100重量部を基準として0.01〜1重量部の範囲内で含むことができる。使用量が0.01重量部未満である場合、高温の揮発槽で熱履歴による黄変を抑制する効果が小さく、1重量部を超過する場合には、重合転換率の減少により屈折率が増加するという問題があるため好ましくない。
【0040】
このとき、酸化防止剤の混合比は、これに限定するものではないが、フェノール系酸化防止剤:ホスファイト系酸化防止剤が9:1〜1:5、好ましくは、5:1〜1:3、より好ましくは、2:1〜1:2の重量比である。
【0041】
このとき、フェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤の組成比において、ホスファイト系酸化防止剤の使用量が1:5の混合比を超える場合、重合時に受ける熱履歴に脆弱であるという問題があり、9:1の混合比未満では、ホスファイト系酸化防止剤の使用量が少ないと、揮発槽及び加工時に熱履歴に脆弱であるという問題があるため好ましくない。
【0042】
このとき、フェノール性酸化防止剤は、これに限定するものではないが、テトラキスメチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンの中から選択された1種であることが好ましい。
【0043】
また、前記ホスファイト系酸化防止剤は、これに限定するものではないが、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス−(ノニルフェニル)ホスファイトの中から選択された1種であることが好ましい。
【0044】
また、分子量調節剤を添加することができ、分子量調節剤としてはドデシルメルカプタン類などを使用することができる。
【0045】
このような塊状重合体は、全体熱可塑性樹脂に対して90〜70重量%で含むことができる。90重量%を超えると、衝撃強度が低下するという問題があり、70重量%未満では、耐スクラッチ性及び剛性が低下するという問題がある。
【0046】
このように収得された塊状重合体は、透明性を維持するように、屈折率1.513〜1.518の範囲、一例としては、1.515〜1.516の範囲を満足できる。
【0047】
参考に、前記塊状重合体の代わりに、懸濁重合体あるいは乳化重合体などの乳化剤を使用したその他の重合体を使用することになると、乳化剤の残留によって本発明で達成しようとする低い黄色度を達成しにくくなる。
【0048】
また、上述したグラフト共重合体と塊状重合体とからなる熱可塑性樹脂組成物には、さらに、滑剤として、エチレンビスステアロアミド、酸化ポリエチレンワックス、及びステアリン酸マグネシウムの中から選択された1種以上を、組成物総100重量部を基準として0.01〜5重量部の範囲で含むことができる。
【0049】
先に提示したグラフト共重合体と塊状重合体の屈折率から収得された熱可塑性樹脂組成物の全体屈折率も、屈折率1.513〜1.518の範囲、一例としては、1.515〜1.516の範囲を満足できる。
【0050】
このような組成で収得された熱可塑性樹脂組成物からアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂を提供することができる。具体的には、前記熱可塑性樹脂組成物の押出ペレットを射出成形させて収得された熱可塑性樹脂であって、全光線透過率(total transmittance)89以上で、ヘイズ(Haze)3.0以下であるので、電機電子製品のハウジング用途に適用されることができる。
【0051】
特に、下記の実施例でも明らかになったように、収得された前記熱可塑性樹脂の鉛筆硬度が、F〜2Hを満足して、耐スクラッチ性を改善することができる。また、ASTM E313に基づいて測定した黄色度が8以下を満足できる。
【0052】
したがって、本発明によれば、透明性、流動性及び光沢度は維持しながら、高い耐スクラッチ性及び低い黄色度を有するアルキル(メタ)アクリレート系熱可塑性樹脂を提供するようになる。
【0053】
上記のような成分からなる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、用途に応じて、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、離型剤及び紫外線安定剤の中から選択された添加剤を追加して製造できる。
【0054】
このうち、滑剤は、エチレンビスステアロアミド、酸化ポリエチレンワックス、ステアリン酸マグネシウムの中から選択されることができ、その使用量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.1〜5重量部、より好ましくは、0.5〜2重量部の範囲内である。
【0055】
前記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤であるIR1076などが使用されることができ、その使用量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.5〜2重量部の範囲内である。
【0056】
また、前記紫外線安定剤は、紫外線吸収剤であるTINUVIN 326などが使用されることができ、その使用量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.05〜3重量部、より好ましくは、0.2〜1重量部の範囲内である。
【0057】
上記のような本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性と透明性に優れ、黄色度が低いことが特徴であり、より詳細には、高い表面硬度、及びガラスのように透明できれいな感じを有して、電気電子製品の透明なハウジング用途に使用するのに適している。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、樹脂組成物内に含まれるビニルシアン系単量体の総含量を従来技術で達成できなかった水準まで低くし、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の含量は高くしても、透明性、流動性、衝撃強度を維持しながら、改善された耐スクラッチ性と低い黄色度を共に提供することができ、特に、耐スクラッチ性及び光沢度に優れるので、塗装を行わずに、製品化することができ、経済的で且つ再生が可能な熱可塑性樹脂を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲を下記実施例に制限するものではない。
【0060】
[実施例1]
(a)グラフト共重合体の製造
(i)小粒径ゴム質重合体の製造
窒素置換された重合反応器(オートクレーブ)に、1,3−ブタジエン45重量部、ロジン酸カリウム塩1.2重量部及びオレイン酸カリウム塩1.5重量部、炭酸ナトリウム(Na2CO3)0.1重量部及び炭酸水素カリウム(KHCO3)0.5重量部、t−ドデシルメルカプタン0.3重量部及びイオン交換水100重量部を一括投与し、反応温度を55℃に上げた後、過硫酸カリウム0.3重量部を一括投与して反応を開始した。
【0061】
10時間間反応させた後、t−ドデシルメルカプタン0.05重量部を追加投与し、65℃で8時間間反応させた後、反応を終了して小粒径ゴム質重合体を製造した。
【0062】
製造された小粒径ゴム質重合体のゲル含量は90%、膨潤指数は18であり、粒径は約100nmであった。
【0063】
(ii)大粒径ゴム質重合体の製造
前記小粒径ゴム質重合体45重量部を反応槽に投入し、攪拌速度を10rpm、温度を30℃に調節した後、7%の酢酸水溶液3重量部を1時間間徐々に投入した後、攪拌を中断させ、30分間放置して小粒径ゴム質重合体を融着させることにより、大粒径ブタジエンゴム質重合体を製造した。
【0064】
前記融着工程により製造された大粒径ゴム質重合体を、小粒径ゴム質重合体と同様の方法で分析した。このとき、得られたゴム質重合体の粒径は310nmで、ゲル含量は90%であった。
【0065】
(iii)グラフト共重合体の製造
窒素置換された重合反応器(オートクレーブ)に、製造された大粒径ゴム質重合体37.5重量%にイオン交換水65重量部、オレイン酸ナトリウム乳化剤0.2重量部を一括投与し、78℃に昇温して2時間間反応させた。
【0066】
その後、前記反応物の残りの単量体として、メチルメタクリレート44.4重量%、スチレン15.6重量%、アクリロニトリル2.5重量%と、イオン交換水80重量部、アルキルアリールスルホン酸塩乳化剤0.4重量部、t−ドデシルメルカプタン0.7重量部、ピロりん酸ナトリウム0.048重量部、デキストロース0.012重量部、硫化第一鉄0.001重量部、クメンヒドロペルオキシド0.1重量部の混合乳化溶液を、4時間間連続して投与した後、再び80℃に昇温し、1時間間熟成させて反応を終了した。
【0067】
このとき、重合転換率は99.5%で、固形凝固分は0.1%であった。
【0068】
前記ラテックスに酸化防止剤及び安定剤を投与して、80℃以上の温度で、塩化カルシウム水溶液で凝集させた後、脱水及び乾燥させて粉末を収得した。このように製造されたグラフト共重合体の屈折率は1.5159であった。
【0069】
(b)塊状重合体の製造
スチレン26重量%及びメチルメタクリレート74重量%を混合した反応混合物100重量部に、トルエン20重量部、1,1−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量部、n−ドデシルメルカプタン0.08重量部及び1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン0.1重量部を添加した重合反応混合物を、14L/hrの速度で26L反応器に投入しながら、1番目の反応器で140℃下で重合し、2番目の反応器で150℃で重合して、重合転換率が約60%に到達するとき、揮発槽で215℃の温度で未反応単量体と反応媒質を除去し、ペレット状の透明共重合体を製造した。
【0070】
このように製造された塊状重合体の屈折率は1.5156であった。
【0071】
<熱可塑性樹脂の製造>
前記グラフト共重合体10重量%と、(b)塊状重合体90重量%、及びこれらの総量100重量部を基準として、滑剤(製品名:EBA)0.2重量部、アクリル系液状滑剤(製品名:ADP1200)1.5重量部、酸化防止剤(製品名:IR1076)0.8重量部を添加して、230℃で、二軸押出機を用いてペレットを製造した。
【0072】
[実施例2]
前記実施例1においてグラフト共重合体は15重量%、塊状重合体は85重量%で添加したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0073】
[実施例3]
前記実施例1においてグラフト共重合体は20重量%、塊状重合体は80重量%で添加したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0074】
[実施例4]
前記実施例1においてグラフト共重合体は25重量%、塊状重合体は85重量%で添加したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0075】
[実施例5]
前記実施例1においてグラフト共重合体は30重量%、塊状重合体は70重量%で添加したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0076】
[実施例6]
前記実施例1においてグラフト共重合体を構成する単量体として、メチルメタクリレート39.6重量%、スチレン13.0重量%、及びアクリロニトリル9.9重量%に含量を代替したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0077】
[比較例1]
前記実施例1においてグラフト共重合体は35重量%、塊状重合体は65重量%で添加したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0078】
[比較例2]
前記実施例1においてグラフト共重合体は5重量%、塊状重合体は95重量%で添加したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0079】
[比較例3]
LG MMA社の耐衝撃ポリメチルメタクリレート樹脂製品(grade:HI−835M)を精製なしに使用した。
【0080】
[比較例4]
LG化学の透明ポリカーボネート樹脂製品(grade:LUPOY 1300−30)を精製なしに使用した。
【0081】
[比較例5]
前記実施例1においてグラフト共重合体は20重量%を使用し、塊状重合体は、次のように製造された(c−1)塊状重合体80重量%を添加したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0082】
(c−1)塊状重合体
スチレン25重量%、メチルメタクリレート60重量%及びアクリロニトリル15重量%を混合した反応混合物100重量部に、トルエン20重量部、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量部、n−ドデシルメルカプタン0.08重量部及び1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン0.1重量部を添加した重合反応混合物を、14L/hrの速度で26L反応器に投入しながら、1番目の反応器で140℃の温度で重合し、2番目の反応器で150℃で重合して、重合転換率が約60%以上になったとき、揮発槽で215℃の温度で未反応単量体と反応媒質を除去し、ペレット状の透明共重合体を製造した。
【0083】
このように製造された塊状重合体の屈折率は、1.5155であった。
【0084】
[比較例6]
前記実施例1においてグラフト共重合体は20重量%を使用し、(b)塊状重合体は、次のように製造された(c−2)塊状重合体80重量%を添加したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0085】
(c−2)塊状重合体
スチレン25重量%、メチルメタクリレート65重量%及び無水マレイン酸(MAH)10重量%を混合した反応混合物100重量部に、トルエン20重量部、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量部、n−ドデシルメルカプタン0.08重量部及び1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン0.1重量部を添加した重合反応混合物を、14L/hrの速度で26L反応器に投入しながら、1番目の反応器で140℃の温度で重合し、2番目の反応器で150℃で重合して、重合転換率が約60%以上になったとき、揮発槽で215℃の温度で未反応単量体と反応媒質を除去し、ペレット状の透明共重合体を製造した。
【0086】
<性能試験>
上記実施例及び比較例で製造されたペレットを射出し、次のような方法で衝撃強度、流動性、鉛筆硬度、全光線透過率、ヘイズ及び黄色度を測定して、その結果を表1,2に示した。
【0087】
*アイゾッド衝撃強度:ASTM D256に基づいて、1/4インチ厚みの試片を使用して測定した。
【0088】
*流動性(MI):ASTM D1238に基づいて、220℃、10kgの荷重及びg/10minの速度条件で測定した(但し、比較例4のポリカーボネート樹脂は、300℃、2.16kgの荷重で測定する)。
【0089】
*鉛筆硬度(Pencil Hardness):荷重0.5kg、角度45゜で鉛筆を固定させた後、試片の表面を鉛筆硬度別に引っかいて、肉眼で傷がつくか否かを判断した。これは、耐スクラッチ性の判断基準になる。
【0090】
*全光線透過率(Tt)及びヘイズ:JIS K 7105に従って、ヘイズ透過率計(商標名:HR−100、Murakami Color Research Laboratory)を用いて、全光線透過率(total transmittance)とヘイズ(Haze)を測定した。
【0091】
*黄色度:ASTM E313に従って、Color meter(商標名:Color−eye 7000A、Gretamacbeth社)を用いて測定した。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
前記表1、2で見るように、本発明に係る実施例1〜5は、グラフト共重合体の含量が多い比較例1及びポリカーボネート樹脂を単独で使用した比較例4と比較して、耐スクラッチ性に優れることが確認できた。
【0095】
また、比較例2のように、塊状重合体の含量が多い場合、衝撃強度が著しく不良であることが確認できた。比較例3のように、ポリメチルメタクリレート樹脂の含量が高い場合、衝撃強度及び流動性が低下することを確認することができる。
【0096】
さらに、比較例5でのように、ビニルシアン系単量体が、熱可塑性樹脂組成物の全体含量を基準として3重量%を超過して過量含まれた場合、透明性と黄色度面において不良であった。比較例6でのように、塊状重合体としてビニルシアン系単量体を使用しない代わりに、無水マレイン酸化合物(MAH)を追加した場合、黄色度、衝撃強度、ヘイズなどの面において適切でなかった。