特許第5759074号(P5759074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5759074遷移金属化合物を含む遷移金属触媒組成物および前記触媒組成物を利用したポリオレフィンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5759074
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】遷移金属化合物を含む遷移金属触媒組成物および前記触媒組成物を利用したポリオレフィンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/645 20060101AFI20150716BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   C08F4/645
   C08F10/00
【請求項の数】10
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-528268(P2014-528268)
(86)(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公表番号】特表2014-523475(P2014-523475A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】KR2012006787
(87)【国際公開番号】WO2014021494
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2013年5月17日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0085343
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウォン‐ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ノ、キョン‐ソプ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ナン‐ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、サン‐ジン
【審査官】 新留 豊
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−530298(JP,A)
【文献】 特開2011−127121(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−1999−0088089(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0009943(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0090749(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0018141(US,A1)
【文献】 KARL SEYFERTH and RUDOLF TAUBE,FORMATION AND STRUCTURE OF THE CATALYTICALLY ACTIVE COMPLEX IN OLEFIN METATHESIS CATALYSTS BASED ON NITROSYLMOLYBDENUM COMPOUNDS,Journal of Molecular Catalysis,1985年,28,pages 53-69
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F4/00−4/82
CA/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属触媒組成物であって、
下記化学式1で表される遷移金属化合物と、
助触媒と、及び、
有機溶媒とを備えてなる、ポリオレフィン合成用遷移金属触媒組成物。
【化1】
〔前記化学式1中、
1は、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数5〜60のシクロアルキル、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数6〜60のアリール、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数5〜60のシクロアルケニル、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数7〜60のアルキルアリールまたはハロゲン基で置換または非置換の炭素数7〜60のアリールアルキルであり、
1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立的に、水素、重水素、ハロゲン基、ニトリル基、アセチレン基、アミン基、アミド基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルカノイル基、シリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロ環基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、前記Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6のうち2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができるものであり、
Cy1およびCy2は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、窒素原子を含んでなり、水素;ハロゲン;炭素数1〜20のアルキル基;炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基および炭素数6〜20のアリール基からなる群より選択された一つ以上の作用基で置換または非置換の炭素数4〜10の脂肪族環であり、前記脂肪族環に置換された作用基が2以上である場合、互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができるものであり、
Mは、ジルコニウム、チタニウムまたはハフニウムであり、
1は、酸素、窒素、硫黄またはリンであり、
前記MとY1は、配位結合されており、
1およびX2は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、炭素数6〜20のアリールアミド基または炭素数1〜20のアルキリデン基である。〕
【請求項2】
前記遷移金属化合物が、下記化学式2で表される遷移金属化合物を含んでなる、請求項1に記載の遷移金属触媒組成物。
【化2】
〔前記化学式2中、
1は、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数5〜60のシクロアルキル、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数6〜60のアリール、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数5〜60のシクロアルケニル、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数7〜60のアルキルアリールまたはハロゲン基で置換または非置換の炭素数7〜60のアリールアルキルであり、
1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン基、ニトリル基、アセチレン基、アミン基、アミド基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルカノイル基、シリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロ環基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、前記 Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6のうち2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができるものであり、
2、R3、R4、R5、R6およびR7は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、
Mは、ジルコニウム、チタニウムまたはハフニウムであり、
1は、酸素、窒素、硫黄またはリンであり、
前記MとY1は、配位結合されており、
1およびX2は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、炭素数6〜20のアリールアミド基または炭素数1〜20のアルキリデン基である。〕
【請求項3】
前記遷移金属化合物が、下記化学式3で表される遷移金属化合物を含んでなる、請求項1に記載の遷移金属触媒組成物。
【化3】
〔前記化学式3中、
1は、フェニル基、シクロヘキシル基、メチル、エチル、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基またはtert−ブチル基であり、
1およびX2は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、ハロゲン、フェニル基、炭素数7〜10のアルキルアリール基、シクロヘキシル基、メチル、エチル、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基またはtert−ブチル基である。〕
【請求項4】
前記助触媒が、下記化学式11〜13で表される化合物からなる群より選択された一種以上を含んでなる、請求項1〜3の何れか一項に記載の遷移金属触媒組成物。
【化4】
〔前記化学式11中、
Lは、中性または陽イオン性ルイス塩基であり、
[L−H]+または[L]+は、ブレンステッド酸であり、
Hは、水素原子であり、
Zは、13族元素であり、
Eは、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1〜20のヒドロカルビル、アルコキシ作用基またはフェノキシ作用基で置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアルキル基である。〕
【化5】
〔前記化学式12中、
Dは、アルミニウムまたはホウ素であり、
9は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、ハロゲン;炭素数1〜20の炭化水素基;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の炭化水素基である。〕
【化6】
〔前記化学式13中、
10、R11およびR12は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ、水素;ハロゲン基;炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、
aは、2以上の整数である。〕
【請求項5】
前記化学式1で表される遷移金属化合物のモル数:前記化学式11で表される化合物のモル数が、1:1〜1:10である、請求項1〜4の何れか一項に記載の遷移金属触媒組成物。
【請求項6】
前記化学式1で表される遷移金属化合物のモル数:前記化学式12または13で表される化合物のモル数が、1:1〜1:5,000である、請求項1〜4の何れか一項に記載の遷移金属触媒組成物。
【請求項7】
前記遷移金属化合物100重量部に対して、前記有機溶媒が50〜800重量部で含んでなる、請求項1〜6の何れか一項に記載の遷移金属触媒組成物。
【請求項8】
ポリオレフィンの製造方法であって、
請求項1〜7の何れか一項に記載の遷移金属触媒組成物の存在下に、オレフィン単量体を重合反応させる段階を含んでなる、ポリオレフィンの製造方法。
【請求項9】
前記オレフィン単量体が、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−アイトセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、フェニルノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ブタジエン、1,5−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、スチレン、アルファ−メチルスチレン、ジビニルベンゼンおよび3−クロロメチルスチレンからなる群より選択される1種以上を含んでなる、請求項8に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項10】
前記オレフィン単量体の重合反応が、90℃以上の温度で行われる、請求項8又は9に記載のポリオレフィンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属化合物を含むメタロセン触媒組成物および前記触媒組成物を利用したポリオレフィンの製造方法に関し、より詳しくは、ポリオレフィン重合反応で高い反応性を示すことができるばかりか、合成されるポリオレフィンの化学的構造、分子量分布、機械的物性などの特性を容易に調節することができる遷移金属触媒組成物および前記触媒組成物を利用したポリオレフィンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のポリオレフィンの商業的製造過程には、チタニウムまたはバナジウム化合物のチーグラ−ナッタ触媒が広く使用されてきたが、前記チーグラ−ナッタ触媒は、高い活性を有するが、多活性点触媒であるため、生成高分子の分子量分布が広く、共単量体の組成分布が均一ではないため、所望の物性の確保には限界があった。
【0003】
そのために、最近はチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属とシクロペンタジエン作用基を含むリガンドとが結合されたメタロセン触媒が開発されて広く使用されている。このようなメタロセン触媒は、一種類の活性点を有する単一活性点触媒であって、生成重合体の分子量分布が狭く、触媒とリガンドの構造により分子量、立体規則度、結晶化度、特に共単量体の反応性を大幅調節することができるという長所がある。しかし、メタロセン触媒で重合したポリオレフィンは、分子量分布が狭くて一部製品に応用する場合、圧出負荷などの影響で生産性が顕著に落ちるなど、現場適用が難しいという問題があり、これを解決するための多様な試みが行われてきた。
【0004】
1990年代初期にDOW社が開発した[MeSi(Me)NtBu]TiCl(Constrained−Geometry Catalyst、CGC)は、エチレンとアルファ−オレフィンの共重合反応において、従来知られたメタロセン触媒に比べて、(1)高い重合温度でも高い活性度を示しながら高分子量の重合体を生成し、(2)1−ヘキセンおよび1−オクテンのような立体的障害が大きいアルファ−オレフィンの合成も容易に行うことができる点で優れている。
【0005】
このようなCGCの多様な特性が漸次に知られながら、その誘導体を合成して重合触媒として使用しようとする多様な試みが活発に行われた。例えば、シリコンブリッジの代わりに他の多様なブリッジおよび窒素(nitrogen)置換体が導入された金属化合物を合成し、これを利用してポリオレフィンの合成が試みられた。最近まで知られた代表的な金属化合物を列挙すると次のとおりである。
【化1】
【0006】
前記に羅列された化合物は、CGC構造のシリコンブリッジの代わりにホスホラス(1)、エチレンまたはプロピレン(2)、メチリデン(3)、およびメチレン(4)ブリッジがそれぞれ導入されているが、エチレン重合またはアルファ−オレフィンとの共重合の適用時、CGCに対比して活性度や共重合性能などの側面で優れた結果を与えなかった。
【0007】
また、前記CGCのアミドリガンドの代わりにオキシドリガンドから構成された化合物が多く合成されており、これを利用したポリオレフィンの合成も一部試みられた。その例を整理すると次のとおりである。
【化2】
【0008】
また、住友(Sumitomo)社により前記化合物と類似する構造の触媒(8)の合成およびこれを利用した高温高圧重合方法が紹介された。
【化3】
【0009】
一方、日本の三井社では、フェノキシイミンを基本骨格とする4族遷移金属化合物(Ti、Zr)を開発して多様な特性を有するポリエチレンおよびポリプロピレンを合成した。前記触媒の特徴は、既存のメタロセン触媒やCGCの重要な骨格になるシクロペンタジエンリガンドを構造上含まないという点である。これによって、このような触媒は、ポストメタロセン、つまり、メタロセン構造を外れる次世代触媒として脚光を浴び始めた。以降、この触媒はFI触媒(10)と命名されて触媒基本骨格を中心に多くの置換体が変わることによって、触媒の活性と効率性などに対して詳しく調査され、これと関連した多様な研究が進行された。
【化4】
【0010】
最近は韓国のLG化学社によりCGCバックボーンでさらに他のブリッジ、つまり、フェニル基を導入したリガンドを有する触媒(11、12)が紹介された(Organometallics、2006、25、5122 and 2008、27、3907)。これら触媒は、エチレン/1−オクテン共重合体を合成するに当たり、既存のCGC対比同等水準以上の活性、1−オクテンの含量および分子量分布などを示すことを特徴とする。
【化5】
【0011】
ただし、実際に商業工程に適用可能なポストメタロセン触媒に対しては多く知られていない状況であり、これによって、より高い重合性能を実現することができ、優れた物性を有するポリオレフィンを提供することができるポストメタロセン触媒に対する研究が依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ポリオレフィン重合反応で高い反応性を示すことができるばかりか、合成されるポリオレフィンの化学的構造、分子量分布、機械的物性などの特性を容易に調節することができる遷移金属触媒組成物を提供することにその目的がある。
【0013】
そして、本発明は、前記触媒組成物を利用したポリオレフィンの製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、特定の遷移金属化合物を含む遷移金属触媒組成物を提供するためのものである。
【0015】
そして、本発明は、前記触媒組成物を利用したポリオレフィンの製造方法を提供するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態による遷移金属触媒組成物およびポリオレフィンの製造方法についてより詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式1の遷移金属化合物;助触媒および有機溶媒を含むポリオレフィン合成用遷移金属触媒組成物が提供され得る。
【0018】
本発明者らは下記化学式1の新規な遷移金属化合物が有する電子的および立体的構造などによりポリオレフィンの化学的構造、分子量分布、機械的物性などの特性を容易に調節し、高い反応効率を実現することができるという点を実験を通じて確認して本発明を完成した。
【化6】
【0019】
前記化学式1中、Rは、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数5〜60のシクロアルキル、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数6〜60のアリール、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数5〜60のシクロアルケニル、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、ハロゲン基で置換または非置換の炭素数7〜60のアルキルアリールまたはハロゲン基で置換または非置換の炭素数7〜60のアリールアルキルであってもよい。
【0020】
前記Q、Q、Q、Q、QおよびQは、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン基、ニトリル基、アセチレン基、アミン基、アミド基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基(alkoxy carbonyl)、炭素数1〜20のアルカノイル基(alkanoyl)、シリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロ環基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であってもよく、前記Q、Q、Q、Q、QおよびQのうち2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができる。
【0021】
また、前記Cy1およびCy2は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、窒素原子を含み、水素;ハロゲン;炭素数1〜20のアルキル基;炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基および炭素数6〜20のアリール基からなる群より選択された一つ以上の作用基で置換または非置換の炭素数4〜10の脂肪族環であってもよく、前記脂肪族環に置換された作用基が2以上でる場合、互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができる。
【0022】
また、前記Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。そして、前記Y1は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)またはリン(P)である。
【0023】
前記MとYは、配位結合されてもよく、前記「→」は配位結合を意味する。
【0024】
前記XおよびXは、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、炭素数6〜20のアリールアミド基または炭素数1〜20のアルキリデンであってもよい。
【0025】
本発明者らは、以前に知られていない有機リガンドを含む遷移金属化合物を新たに合成するに至り、前記有機リガンド化合物に導入される置換体を適切に調節すれば遷移金属周囲の電子的、立体的環境を容易に制御することができて、ポリオレフィン重合反応で高い反応性を示すばかりか、合成されるポリオレフィンの化学的構造、分子量分布、機械的物性などの特性を容易に調節する遷移金属触媒を提供することができることを実験を通じて確認した。
【0026】
特に、前記化学式1の遷移金属化合物は、原子間の結合および分子間の結合が相対的に強いため、以前のメタロセン触媒またはポストメタロセン触媒(シクロペンタジエニルリガンドがない触媒)に比べて高温活性が高い特性を有することができる。
【0027】
次に、前記化学式における各置換基について詳細に説明する。
【0028】
前記炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖または分枝鎖のアルキル基を含むことができ、前記炭素数2〜20のアルケニル基は、直鎖または分枝鎖のアルケニル基を含むことができる。
【0029】
前記シリル基(Silyl Group)は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキルシリル基などが導入されたシリル作用基を含むことができ、その具体的な例としてトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリブチルシリル、トリヘキシルシリル、トリイソプロピルシリル、トリイソブチルシリル、トリエトキシシリル、トリフェニルシリル、トリス(トリメチルシリル)シリルなどがあるが、これら例に限定されない。
【0030】
前記アリール基(aryl group)は、炭素数6〜20の芳香族環であることが好ましく、具体的にはフェニル、ナフチル、アントラセニル、ピリジル、ジメチルアニリニル、アニソリルなどがあるが、これに限定されない。
【0031】
前記アルキルアリール基は、炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖のアルキル基が1以上導入されたアリール基を意味し、前記アリールアルキル基は、炭素数6〜20のアリール基が1以上導入された直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。
【0032】
前記アルキルアミド基は、炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖のアルキル基が1以上導入されたアミド基を意味し、具体的にはジメチルアミド基、ジエチルアミド基などがあるが、これに限定されない。
【0033】
前記アリールアミド基は、炭素数6〜20のアリール基が1以上導入されたアミド基を意味し、具体的にはジフェニルアミド基などがあるが、これに限定されない。
【0034】
前記アリールオキシ基は、酸素原子が導入されたアリール作用基、つまり、「−O−Ar」で表される作用基を意味する。
【0035】
前記ハロゲン基は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨード(I)、アスタチン(At)を意味する。
【0036】
前記ニトリル基は、[−C≡N]で表すことができ、前記アセチレン基は、[−C≡CH]で表すことができる。
【0037】
また、前記アミド基は、[−C(O)−NH]のように表すことができる。
【0038】
一方、前記化学式1の遷移金属化合物の好ましい例として、下記化学式2の化合物が挙げられる。
【化7】
【0039】
前記化学式2中、前記R、Q、Q、Q、Q、Q、Q、M、Y、XおよびXに関する内容は、前記化学式1の定義と同意義である。
【0040】
前記化学式2中、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であってもよい。
【0041】
そして、前記化学式1のより好ましい例として、下記化学式3の化合物が挙げられる。
【化8】
【0042】
前記化学式3中、Rは、フェニル基、シクロヘキシル基、メチル、エチル、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基またはtert−ブチル基であってもよく、XおよびXは、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、ハロゲン、フェニル基、炭素数7〜10のアルキルアリール基、シクロヘキシル基、メチル、エチル、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基またはtert−ブチル基であってもよい。
【0043】
前記化学式3の具体的な例として、下記化学式31〜36の化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【化9】
【0044】
一方、前記化学式1、2または3の遷移金属化合物は、下記化学式5の有機リガンド化合物にアルキルリチウムを加えた後、遷移金属の塩を添加することによって得られる。
【化10】
【0045】
前記化学式5中、前記R、Q、Q、Q、Q、Q、Q、Y、Cy1およびCy2に関する内容は、前記化学式1の定義と同意義である。
【0046】
一方、前記化学式5の有機リガンド化合物の好ましい例として、下記化学式6の化合物が挙げられる。
【化11】
【0047】
前記化学式6中、R、Q、Q、Q、Q、Q、QおよびYに関する内容は、前記化学式1の定義と同意義であり、前記R、R、R、R、RおよびRに関する内容は、前記化学式2の定義と同意義である。そして、前記化学式5または化学式6に関するより具体的な内容は、化学式1または2の定義と同意義である。
【0048】
一方、前記化学式5の有機リガンド化合物のより好ましい例として、下記化学式7の化合物が挙げられる。
【化12】
【0049】
前記化学式7中、Rは、フェニル基、シクロヘキシル基、メチル、エチル、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基またはtert−ブチル基であってもよい。
【0050】
前記化学式7の具体的な例として、下記化学式71〜76の化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【化13】
【0051】
前記化学式5の有機リガンド化合物は、下記化学式51の化合物をアルキルリチウムと反応させた後、二酸化炭素とアルキルリチウムに反応させる段階;および前記段階の結果物を下記化学式52と反応させる段階を通じて得られる。
【化14】
【0052】
前記化学式51中、前記Q、Q、Q、Q、Q、Q、Cy1およびCy2に関する内容は、前記化学式1の定義と同意義である。
【化15】
【0053】
前記化学式52中、前記RおよびYに関する内容は、前記化学式1の定義と同意義である。そして、前記X11およびX12は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれハロゲンであってもよく、好ましくは塩素(Cl)または臭素(Br)であってもよい。
【0054】
一方、前記化学式1の遷移金属化合物は、前記化学式5の有機リガンド化合物に下記化学式53の化合物を反応させることによって得られる。
【化16】
【0055】
前記化学式53中、M、XおよびXに関する内容は、前記化学式1の定義と同意義である。そして、前記X13は、前記XおよびXと同一または異なっていてもよく、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、炭素数6〜20のアリールアミド基または炭素数1〜20のアルキリデンであってもよい。
【0056】
前記化学式1の遷移金属化合物および化学式5の有機リガンド化合物の製造方法の具体的な一例は、下記反応式1のとおりである。ただし、前記製造方法は下記反応式1に限定されない。
【化17】
【0057】
一方、前記遷移金属触媒組成物は、助触媒を含むことができる。このような助触媒の具体的な例として、下記化学式11〜13の化合物およびこれらの2以上の混合物が挙げられる。
【0058】
[L−H][Z(E)または[L][Z(E)[化学式11]
前記化学式11中、Lは、中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L−H]または[L]は、ブレンステッド酸であり、Hは、水素原子であり、Zは、13族元素(好ましくは+3形式酸化状態のホウ素またはアルミニウム)であり、Eは、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1〜20のヒドロカルビル、アルコキシ作用基またはフェノキシ作用基で置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアルキル基である。前記「ヒドロカルビル」は、ヒドロカルボンから水素原子を除去した形態の1価作用基であって、エチル、フェニルなどを含むことができる。
【0059】
D(R[化学式12]
前記化学式12中、Dは、アルミニウムまたはホウ素であり、Rは、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、ハロゲン;炭素数1〜20の炭化水素基;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の炭化水素基である。
【化18】
【0060】
前記化学式13中、R10、R11およびR12は、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれ、水素;ハロゲン基;炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、aは、2以上の整数である。
【0061】
前記化学式11の化合物は、前記化学式1の遷移金属化合物を活性化させる役割を果たすことができ、ブレンステッド酸である陽イオンと両立可能な非配位結合性陰イオンを含むことができる。好ましい陰イオンは、大きさが比較的大きく、半金属を含む単一配位結合性錯化合物を含有するものである。特に、陰イオン部分に単一ホウ素原子を含有する化合物が広く使用されている。このような観点で、単一ホウ素原子を含有する配位結合性錯化合物を含む陰イオンを含有した塩が好ましい。
【0062】
前記遷移金属触媒組成物において、前記化学式1の遷移金属化合物のモル数:前記化学式11の化合物のモル数は、1:1〜1:10、好ましくは1:10〜1:4であってもよい。前記モル比が1:1未満である場合には、助触媒の量が相対的に少なくて金属化合物の活性化が完全に行われないため、遷移金属触媒の活性度が不十分になり得、1:10を超える場合には、遷移金属触媒の活性度は増加し得るが、必要以上の助触媒が使用されて生産費用が大幅増加する問題が発生し得る。
【0063】
前記化学式11の化合物の具体的な例として、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、N,N−ジエチルアミリジウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリジウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、ジエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、ジエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロンなどがあるが、これに限定されない。
【0064】
一方、前記化学式12または13の化合物は、反応物中の触媒に毒で作用する不純物を除去するスカベンジャー(scavenger)の役割を果たすことができる。
【0065】
前記遷移金属触媒組成物において、前記化学式1の遷移金属化合物のモル数:前記化学式12または13の化合物のモル数は、1:1〜1:5,000、好ましくは1:10〜1:1,000、より好ましくは1:20〜1:500であってもよい。前記モル比が1:1未満である場合には、スカベンジャーの添加の効果が微々であり、1:5,000を超える場合には、反応に参加できずに残留する過量のアルキル基などがむしろ触媒反応を阻害して触媒毒で作用し得、これによって、副反応が進行されて過量のアルミニウムまたはホウ素が重合体に残留するようになる問題が発生し得る。
【0066】
前記化学式12の化合物の具体的な例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリブチルホウ素があり、好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムを使用することができる。
【0067】
前記化学式13の化合物の具体的な例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどがあり、好ましくはメチルアルミノキサンが挙げられる。
【0068】
前記触媒組成物は、溶媒としてペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体のような脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;またはジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒などを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではなく、遷移金属触媒に使用可能と知られた溶媒は特に制限なしに使用することができる。前記遷移金属触媒組成物内で有機溶媒の含量は使用される触媒組成物の特性および適用されるポリオレフィン製造工程の条件などによって適切に調節することができる。
【0069】
前記遷移金属化合物と助触媒は、シリカやアルミナなどの担体に固定された状態で使用され得、このような担体は、ポリオレフィン製造用触媒に通常使用されると知られたもの であれば特に制限なしに使用することができ、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシアまたはこれらの混合物などを使用することができる。また、前記担体は、高温で乾燥されたものであってもよく、これらは通常NaO、KCO、BaSOおよびMg(NOなどの酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩成分を含むことができる。
【0070】
前記遷移金属触媒組成物は、前記化学式1の遷移金属化合物と前記化学式11〜13の化合物からなる群より選択された1種以上の助触媒を反応させて製造され得る。例えば、前記化学式1の遷移金属化合物と前記化学式12または13の化合物の助触媒を反応させ、このような反応物と前記化学式11の化合物の助触媒を反応させて遷移金属触媒組成物を形成することができる。
【0071】
一方、本発明の他の一実施形態によれば、前記遷移金属触媒組成物の存在下に、オレフィン単量体を重合反応させる段階を含むポリオレフィンの製造方法が提供され得る。
【0072】
前述のように、前記化学式1の遷移金属化合物は、金属周囲の電子的、立体的環境を容易に制御することができて、重合反応の収率を高めることができ、合成されるポリオレフィンの化学的構造、分子量分布、機械的物性などの特性を容易に調節することができる。また、前記化学式1の遷移金属化合物は、原子間の結合および分子間の結合が相対的に強いため、以前のメタロセン触媒またはポストメタロセン触媒(シクロペンタジエニルリガンドがない触媒)に比べて高温活性の高い特性を有することができ、これによって、以前の触媒に比べて高い温度範囲でポリオレフィンの重合反応を高い効率に進行させることができる。
【0073】
前記オレフィン単量体の重合反応は、90℃以上、好ましくは120〜160℃で行われ得る。前記重合反応温度が過度に低い場合、オレフィン単量体の反応性が高くないため、ポリオレフィンの合成が難しくなり得、重合反応温度が過度に高い場合、オレフィン単量体が熱分解され得る。
【0074】
前記オレフィン単量体の重合反応は、連続式溶解重合工程、バルク重合工程、懸濁重合工程または乳化重合工程で行われ得るが、好ましくは単一反応器で行われる溶液重合(solution polymerization)反応で行われ得る。
【0075】
前記製造方法で使用される反応器には特に制限がないが、連続攪拌式反応器(CSTR)または連続流れ式反応器(PFR)を使用することが好ましい。前記製造方法で反応器は2つ以上直列あるいは並列に配列されることが好ましく、反応混合物から溶媒および未反応単量体を連続的に分離するための分離器を追加的に含むことが好ましい。
【0076】
前記ポリオレフィンの製造方法が連続溶液重合工程で行われる場合、触媒工程、重合工程、溶媒分離工程および回収工程段階から構成され得、より具体的な内容は次のとおりである。
【0077】
a)触媒工程
前記遷移金属触媒組成物は、脂肪族または芳香族溶媒などに溶解したり希釈して注入可能である。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体のような脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;またはジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒などを使用して前記遷移金属触媒組成物を溶解したり希釈することができる。このような溶媒を少量のアルキルアルミニウムなどで処理して触媒毒で作用する少量の水または空気などを除去することができ、助触媒を過量に使用することも可能である。
【0078】
b)重合工程
重合工程は、反応器内で前記遷移金属触媒組成物およびオレフィン単量体を反応させて行われ得る。前記重合工程でそれぞれの反応物が溶液状およびスラリー状で重合反応に参加する場合、前記反応器に溶媒が注入され得る。
【0079】
前記重合反応でオレフィン単量体と溶媒のモル比率は、反応前の原料および反応後に生成される高分子を溶解するのに適した比率にならなければならない。具体的には、オレフィン単量体:溶媒のモル比率は、10:1〜1:10,000、好ましくは5:1〜1:100、最も好ましくは1:1〜1:20であってもよい。前記溶媒のモル比率が10:1未満である場合には、溶媒の量が過度に少なくて流体の粘度が増加して生成された重合体の移送に問題があり、前記溶媒のモル比率が1:10,000を超える場合には、溶媒の量が必要以上に多くて溶媒の精製再循環による設備増加およびエネルギー費用増加などの問題が発生し得る。
【0080】
前記溶媒は、ヒーターまたは冷凍機を使用して−40℃〜150℃の温度で反応器に投入されることが好ましい。前記溶媒の温度が−40℃未満である場合には、反応量により多少の差があるが、普遍的に溶媒の温度が過度に低くて反応温度も共に下降して温度制御が難しい問題があり、150℃を超える場合には、溶媒の温度が過度に高くて反応による反応熱の調節が難しい問題がある。
【0081】
一方、高容量ポンプを使用して圧力を50bar以上に上昇させて反応物(例えば、溶媒、オレフィン単量体、触媒組成物など)を供給することによって、前記反応器配列、圧力降下装置および分離器の間に追加的なポンピング(pumping)なしに前記供給物の混合物を通過させることができる。
【0082】
前記ポリオレフィンの製造方法において、反応器の内部温度、つまり、重合反応温度は−15℃〜300℃、好ましくは90℃以上、最も好ましくは100℃〜200℃であってもよい。前記内部温度が−15℃未満である場合には、反応速度が低くて生産性が低下する問題があり、300℃を超える場合には、副反応による不純物の生成および重合体の炭化などの変色の問題が発生し得る。
【0083】
また、前記ポリオレフィンの製造方法において、反応器の内部圧力は1bar〜300bar、好ましくは30〜200bar、最も好ましくは50〜100bar程度であってもよい。前記内部圧力が1bar未満である場合には、反応速度が低くて生産性が低下し、使用溶媒の気化などによる問題があり、300barを超える場合には、高圧による装置費用などの設備費増加の問題が発生し得る。
【0084】
反応器内で生成される重合体は、溶媒中で20wt%未満の濃度に維持され、短い滞留時間が過ぎた後に溶媒除去のために1次溶媒分離工程に移送されることが好ましい。生成された重合体の反応器内の滞留時間は1分〜10時間、好ましくは3分〜1時間、最も好ましくは5分〜30分である。前記滞留時間が3分未満である場合には、短い滞留時間による生産性低下および触媒の損失などと、これによる製造費用増加などの問題があり、1時間を超える場合には、触媒の適正活性期間以上の反応により、反応器が大きくなり、これによって設備費増加の問題がある。
【0085】
c)溶媒分離工程
反応器を抜け出た重合体と共に存在している溶媒の除去のために溶液温度と圧力を変化させることによって溶媒分離工程が行われる。例えば反応器から移送された高分子溶液はヒーターを通じて約200℃から230℃まで昇温させた後、圧力降下装置を経ながら圧力が低下され、1次分離器で未反応原料および溶媒を気化させる。
【0086】
この時、分離器内の圧力は、1〜30bar、好ましくは1〜10bar、最も好ましくは3〜8barであってもよく、分離器内の温度は、150℃〜250℃、好ましくは170℃〜230℃、最も好ましくは180℃〜230℃であってもよい。
【0087】
前記分離器内の圧力が1bar未満である場合には、重合物の含量が増加して移送に問題があり、30barを超える場合には、重合過程に使用された溶媒の分離が困難になり得る。そして、前記分離器内の温度が150℃未満である場合には、共重合体およびその混合物の粘度が増加して移送に問題があり、250℃未満である場合には、高温による変性で重合物の炭化などによる変色が発生し得る。
【0088】
分離器で気化した溶媒は、オーバーヘッドシステムで凝縮された反応器に再循環させることができる。初段階の溶媒分離工程を経るようになると、65%まで濃縮された高分子溶液を得ることができ、これはヒーターを通じて移送ポンプにより2次分離器に移送され、2次分離器で残留溶媒に対する分離工程が行われる。ヒーターを通過する間、高温による高分子の変形を防止するために熱安定剤を投入すると共に、高分子溶液中に存在する活性化物の残留活性による高分子の反応を抑制するために反応禁止剤を熱安定剤と共にヒーターに注入する。2次分離器に注入された高分子溶液中の残留溶媒は、最終的に真空ポンプにより完全に除去され、冷却水と切断機を通過すれば粒子化された高分子を得ることができる。2次分離工程で気体化された溶媒およびその他未反応単量体は回収工程に送って精製後に再使用することができる。
【0089】
d)回収工程
重合工程に原料と共に投入された有機溶媒は、1次溶媒分離工程で未反応原料と共に重合工程で再循環使用され得る。しかし、2次溶媒分離工程で回収された溶媒は、触媒活性を停止するための反応禁止剤の混入による汚染および真空ポンプでのスチーム供給で溶媒中に触媒毒で作用する水分が多量含有されて回収工程で精製後に再使用されることが好ましい。
【0090】
前記ポリオレフィンの製造方法では、上述した内容を除き、メタロセン触媒を利用してポリオレフィンを合成することに使用可能と知られた装置、器具、合成方法、反応条件などを特に制限なしに使用することができる。
【0091】
前記ポリオレフィンの製造方法で使用されるオレフィン単量体の具体的な例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−アイトセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、フェニルノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ブタジエン、1,5−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、スチレン、アルファ−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、3−クロロメチルスチレンまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0092】
[発明の効果]
本発明によれば、ポリオレフィン重合反応で高い反応性を示すことができるばかりか、合成されるポリオレフィンの化学的構造、分子量分布、機械的物性などの特性を容易に調節することができる遷移金属触媒組成物および前記触媒組成物を利用したポリオレフィンの製造方法が提供され得る。
【実施例】
【0093】
本発明を下記実施例でより詳細に説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例により限定されない。
【0094】
<合成例:遷移金属化合物の合成>
有機試薬および溶媒は、アルドリッチ(Aldrich)社とメルク(Merck)社で購入して標準方法で精製して使用した。合成のすべての段階で空気と水分の接触を遮断して実験の再現性を高めた。化合物の構造を立証するために400MHz核磁気共鳴器(NMR)を利用してスペクトルを得た。
【0095】
下記実施例で用語「一晩中」はほぼ12〜16時間を意味し、「室温」は20〜25℃の温度をいう。すべての金属化合物の合成および実験の準備は、乾燥箱技術を利用したり乾燥状態維持ガラス器具を使用して乾燥窒素雰囲気下で行われた。
【0096】
〔合成例1:1,2,3,4−tetrahydro−8−(1,2,3,4−tetrahydroquinolin−8−yl)(phenyl)phosphino)quinoline(14)の合成〕
【化19】
【0097】
1,2,3,4−tetrahydroquinoline(13)(1.0g、7.51mmol)を室温でether(20mL)に溶かした後、−40℃でn−BuLi(0.53g、8.26mmol)を添加した。室温で5時間攪拌後、−20℃でCOを注入した。温度を徐々に室温に上げながらCOを排出させ、室温でTHF(0.81g、11.26mmol)を注入した。−40℃でt−BuLi(0.63g、9.76mmol)を注入し、−20℃で5時間攪拌後、−20℃でp,p−Dichlorophenylphosphine(0.67g、3.75mmol)を徐々に注入した。室温で一晩中攪拌した後、溶媒を除去しNHClを添加した。ジクロロメタンと水を利用して有機層を抽出し、MgSO4で水分を除去した後、固体をろ過した。ろ過額を濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーで分離して淡黄色の固体生成物(369mg、26.4%)を得た。
【0098】
1H NMR(500MHz、CDCl):7.45−7.41(m、2H)、7.09−6.93(m、5H)、6.84(d、J=7.5Hz、2H)、6.53(t、2H)、4.71(d、J=6.5Hz、2H)、2.82−2.79(m、4H)、2.51−2.48(m、4H)、1.54−1.49(m、4H)。
【0099】
〔合成例2:1,2,3,4−tetrahydro−8−(1,2,3,4−tetrahydroquinolin−8−yl)(phenyl)phosphino)quinoline Zirconiumbenzyl(15)の合成
【化20】
【0100】
前記実施例1で製造された化合物(14)(50mg、0.134mmol)とtetrabenzyl zirconium(ZnBn、61mg、0.134mmol)を−30℃でトルエン(5mL)に注入した。前記トルエンに注入された固体を室温で全て溶かし、NMRで構造を確認した。
【0101】
1H NMR(500MHz、CDCl):7.28−6.81(m、12H)、6.61−6.54(m、4H)、6.38−6.25(m、4H)、5.66(t、1H)、4.29−4.25(m、2H)、3.14−3.09(m、2H)、2.78(s、1H)、2.66−2.61(m、2H)、2.51−2.48(m、2H)、2.24(s、1H)、1.80−1.76(m、2H)、1.70−1.67(m、2H)。
【0102】
<実施例および比較例:遷移金属触媒組成物の製造およびポリオレフィンの合成>
〔実施例1〕
2LのAutoclave反応器にトルエン(1.0L)溶媒とトルエンにより0.8Mに稀釈および製造された1−オクテン144mLを加えた後、反応器温度を120℃に予熱した。25mLの触媒貯蔵タンクにトリイソブチルアルミニウム化合物(125mmol)で処理されたジルコニウム化合物(5.0mmol、前記合成例2の化合物(15)およびトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(25mmol)助触媒を順次に添加して満たした。
【0103】
この時、触媒タンク中にエチレンを30barの圧力になるように加え、高圧のアルゴンを使用して触媒を反応器に注入して共重合反応を10分間進行した後、残ったエチレンガスを取り出して得られた高分子溶液を過量のエタノールに加えて沈澱を誘導した。得られた高分子をエタノールおよびアセトンでそれぞれ3回洗浄した後、80℃の真空オーブンで12時間乾燥した。測定された高分子重量および特性評価結果を表1に示した。
【0104】
〔実施例2〕
2LのAutoclave反応器にヘキサン(1.0L)溶媒とヘキサンにより0.8Mに稀釈/製造された1−オクテン144mLを加えた後、反応器温度を100℃に予熱した。25mLの触媒貯蔵タンクにトリイソブチルアルミニウム化合物(125mmol)で処理されたジルコニウム化合物(5.0mmol、前記合成例2の化合物15)およびトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(25mmol)助触媒を順次に添加して満たした。
【0105】
この時、触媒タンク中にエチレンを30barの圧力になるように加え、高圧のアルゴンを使用して触媒を反応器に注入して共重合反応を10分間進行した後、残ったエチレンガスを取り出して得られた高分子溶液を過量のエタノールに加えて沈澱を誘導した。得られた高分子をエタノールおよびアセトンでそれぞれ3回洗浄した後、80℃の真空オーブンで12時間乾燥した。測定された高分子重量および特性評価結果を表1に示した。
【0106】
〔比較例1〕
2LのAutoclave反応器にトルエン(1.0L)溶媒とトルエンにより0.8Mに稀釈および製造された1−オクテン144mLを加えた後、反応器温度を120℃に予熱した。25mLの触媒貯蔵タンクにトリイソブチルアルミニウム化合物(125mmol)で処理されたジルコニウム化合物(5.0mmol、下記一般式16の化合物(Dow Chemical社製))およびトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(25mmol)助触媒を順次に添加して満たした。
【0107】
この時、触媒タンク中にエチレンを30barの圧力になるように加え、高圧のアルゴンを使用して触媒を反応器に注入して共重合反応を10分間進行した後、残ったエチレンガスを取り出して得られた高分子溶液を過量のエタノールに加えて沈澱を誘導した。得られた高分子をエタノールおよびアセトンでそれぞれ3回洗浄した後、80℃の真空オーブンで12時間乾燥した。測定された高分子重量および特性評価結果を表1に示した。
【0108】
〔比較例2〕
2LのAutoclave反応器にヘキサン(1.0L)溶媒とヘキサンにより0.8Mに稀釈および製造された1−オクテン144mLを加えた後、反応器温度を120℃に予熱した。25mLの触媒貯蔵タンクにトリイソブチルアルミニウム化合物(125mmol)で処理されたジルコニウム化合物(5.0mmol、下記一般式16の化合物(Dow Chemical社製))およびトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(25mmol)助触媒を順次に添加して満たした。
【0109】
この時、触媒タンク中にエチレンを30barの圧力になるように加え、高圧のアルゴンを使用して触媒を反応器に注入して共重合反応を10分間進行した後、残ったエチレンガスを取り出して得られた高分子溶液を過量のエタノールに加えて沈澱を誘導した。得られた高分子をエタノールおよびアセトンでそれぞれ3回洗浄した後、80℃の真空オーブンで12時間乾燥した。測定された高分子重量および特性評価結果を表1に示した。
【化21】
【0110】
<実験例>
〔実験例1:反応収率およびポリオレフィンの密度測定〕
(1)実施例および比較例で合成されるポリオレフィンの収率を10分間得られた粒子の重量から計算して求めた。
(2)実施例および比較例で得られるポリオレフィンの密度は、180℃のプレスモールド(Press mold)で厚さ3mm、半径2cmのシートを製作し、10℃/minに冷却してメトラー(mettler)秤で測定した。
【0111】
〔実験例2:分子量および分子量分布測定〕
実施例および比較例で合成されるポリオレフィンの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を高温GPC(PL−GPC220)機器を通じて測定し、これから分子量分布(MWD、Mw/Mn)を求めた。
下記実験例の結果を下記表1に示した。
【表1】
【0112】
前記表1に示されているように、実施例1および2では、合成例の遷移金属触媒を使用する場合、35Kg・PE/mmol・M・hr以上の高い反応性が現れ、比較例に比べて相対的に高い分子量を有する高分子を合成できるという点が確認された。つまり、実施例1および2で使用した触媒は、120℃程度の高温でも高い活性が維持され得、以前に知られた触媒に比べてより高い温度範囲でポリオレフィンの重合反応を高い効率に行うことができる。
【0113】
これに反し、以前に知られた触媒を使用した比較例の場合、18Kg・PE/mmol・M・hr未満の反応性が現れ、実施例に比べて低い分子量を有する高分子が合成されることが確認された。