(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、薄い酸化金属フィルムをはじめ、前駆物質流体の気化を必要とする他のフィルムを堆積するのに有用な流体送出化学気相成長(CVD)装置に向けられている。この装置は、ULSIDRAMだけでなく多数の他の電気デバイスに使用されるコンデンサの製作に有用な金属酸化誘電体の製造に有用な特定用途を有する。通常、現存装置によって製造できるデバイスは、基板上の絶縁材料、誘電材料または電極材料の一つ以上の層を有することを特徴とする。
【0019】
図1は本発明のCVD装置10の斜視図である。装置10は概してチャンバボディ12、加熱リッドアセンブリ14、一体化されたバーポライザ・モジュール16および排気/ポンプ・装置18を含んでいる。この図では省略しているが、本発明の特徴は、流体前駆物質をバーポライザ・モジュールに供給する流体送出装置である。装置の大きさおよび寸法は、本発明のプロセスがそこで実行されるワークピースの大きさと寸法によって決定される。本発明の好ましい実施形態を、200mmシリコン・ウエハのような円形基板を処理するのに適用されるチャンバを参照してここに説明する。
【0020】
本発明者らは、処理化学装置とみなされる装置の要素の実質上すべて(基板および基板ヒーター以外)が、理想的な恒温装置温度(例えば、BSTにおける250℃±5℃)に実質上維持されれば、堆積層の均一性が高められ、装置の保守を減じることができることを認識している。堆積チャンバには、さらに基板および基板支持部材の比較的高温の結果によって発生される温度傾斜を最小にするための特徴を含んだ数個の能動的、かつ、受動的な熱制御装置を組み込む。この堆積チャンバは、さらにこれを理想的な恒温装置温度以下に冷却することによって主チャンバを保護するように作用する熱制御特性をも含んでいる。他の同様の熱制御特性が、チャンバのリッドを収容するカバーを比較的安全な温度に維持して焼損を回避する。冷却は、装置化学装置に露呈された装置要素内における相当な温度変化を誘起させずに、また、過度な冷却および加熱電力損失なしに達成される。
【0021】
堆積チャンバ
図2は加熱リッドアセンブリ14を支持するチャンバボディ12を示す堆積チャンバの一実施形態の断面図である。チャンバボディ12は内壁22によって周囲上に規定された内方環状処理領域20を規定している。基板支持部材24が、チャンバの下方から延長し、処理領域20の下方端を規定している。リッド上にマウントされたガス分配プレート26が処理領域20の上限を形成している。チャンバボディ12とリッドアセンブリ14は、アルミニウム、ステンレス・スチールまたはその組み合わせのような強固な材料から作られるのが好ましい。チャンバボディ12はまた、一度気化物質が基板上方に分配されると、この堆積気化物質の残部を排出するポンピング・ポートを規定する。ガス分配アセンブリを取り巻く、ほぼU字状経路がポンピング・チャネル#を形成し、ここからガスが排気装置内に引き入れられる。
【0022】
基板支持部材24は、例えばアルミニウムのような金属で作ることができ、これに耐熱要素が添着されるか、またはこれに埋設されている。別の方法として、支持部材は、近接電極によって放出されたRFエネルギを受けたときに、熱を発生するセラミック・ブロックと埋設グランド・プレートとで形成することもできる。適切な基板支持部材および関連するリフトアセンブリは、1997年7月14日付け同時係属出願の米国特許願、「自動調心リフト機構」に開示されており、これは本明細書に参照により組む込まれる。この基板支持部材は、アメリカ合衆国、カリフォルニア州、サンタ・クララのアプライド・マテリアルズ・インコーポレイテッドからモデル名、CxZ Heaterで入手可能である。
【0023】
基板支持部材は、通常中央エレベータ・シャフト30を上下移動可能で、ガス分配プレート26近傍の堆積位置と、チャンバボディを通って形成されたスリットバルブより下方の基板挿入/除去位置との間で基板を移動させることができる。シャフトのチャンバへの挿入点が変形可能ベローズ(図示省略)でシールされている。基板は、基板支持部材24を通って延長する組をなす4本の通路(パッセージウエイ)34内に摺動して保持された一連のリフティング・ピン32によってロボット・ブレード上からリフトされ、またはこれに載置される。各ピンの直下に上昇板36があり、チャンバ内でピンを垂直方向に移動させて、基板をロボット・ブレードから上昇、またはこの上に置いて、開いたスリットバルブ(図示省略)を介してチャンバ内に移動させる。
【0024】
チャンバボディ12は、インレット42とアウトレット44を有する加熱ガス送出フィードスルー40を受け入れ、リッドアセンブリ14上にマウントされたガス分配プレート26に前駆物質ガスを送るための一つ以上の経路38を規定する。経路38は、異なる直径の上方および下方端を規定し、これら上方および下方端が一致する個所で肩部58を形成している。ガス・アウトレット44は、少なくとも第1ガス経路48を含む混合ガス・マニホルド46と流体的に連結され一つのガス(または複数のガス)をガス分配プレート26に送出する。ステンレス・スチールc−スプリングを備えた好ましくはテフロン(登録商標)で作られたO−リング・シール50が上方チャンバ壁上にアウトレット44の回りに配置され、ガス送出フィードスルー40とガス・マニホルド46間にシール結合を提供している。
図7は混合ガス・マニホルドを想像線で示すリッドアセンブリの平面図である。経路38と同様の一つ以上の酸化剤ガス経路52が、経路38近傍のチャンバボディ12内に形成され、一つ以上の酸化剤ガスをチャンバ壁を介して混合ガス・マニホルド46に送出したい場合に、加熱が可能な酸化剤ガス分配フィードスルーを受け入れる。ガス経路54が混合ガス・マニホルド46内に形成され酸化剤ガスを、エントリー・ポート近傍のガス・マニホルド内に配置された混合ポイント56からガス分配プレート26に送出する。制限経路37が酸化剤ガス経路54の端部を気化ガス経路48の端部に連結し、高速送出とガス分配プレート26から上流のガス混合物の混合を提供する。
【0025】
図3aはチャンバ壁を通って形成された環状経路38内に配備された加熱気体送出フィードスルー40を示す断面図である。経路には、この経路の上端に配備され、O−リング60を含む肩部58が備えられている。フィードスルーは外方コンジット41とこの外方コンジット内に配備された内方コンジット45を含んでいるのが好ましい。外方コンジットは、経路の肩部58上にマウントされたマウント肩部43を含んでいる。外方コンジットは、またロック・ナットを螺合するねじを有する下方端を含み、フィードスルーを、肩部58とO−リング・シール60に抗して経路38内でシール位置に固定している。内方コンジット45はO−リング・シール50においてリッドアセンブリによりシールを形成するために上方マウント面49を規定するとともに、チャンバボディの下部と一致させるためにその下方端上にフランジ62を含んでいる。ケーブル式ヒーター64、または他の適当なヒーターが、フィードスルーの内方コンジットと密着状態に配備され、フィードスルーが所望の温度に加熱される。放射シールド65がヒーター上方に配備され、熱放射による外方コンジット41の加熱を回避している。電力リード線67がフィードスルーの下方端から延長し、適当な電源に接続されフィードスルーを加熱する。熱電対66が、フィードスルー40に挿入されるか、そうでなければこれに配備され、その温度をモニタしている。このフィードスルーは経路内にマウントされ、ねじ式コネクタかあるいは他の適当なコネクタを使用してこの中に搭置されている。
【0026】
外方コンジット41の上壁47が、その外方面とチャンバボディの内壁との間にギャップを規定するような厚みと寸法に形成され、O−リング・シール60近傍で加熱チョークを提供している。O−リング50は約250℃の温度に耐え得るホットO−リングであるのが好ましい。薄い壁が肩部58への熱伝導を最少にしO−リング・シール60を保護している。熱伝導を最少にすることによって、フィードスルーを加熱するのに必要とする電力が少なくなる。さらに、小さい熱質量がより優れた熱制御とフィードバック制御に対する迅速な応答を提供する。さらに、外方コンジット上の熱チョークが、インサートに直接連結され、リッドボディによって加熱される混合ガス・マニホルド46による熱損失を阻止している。これが気化ガスのパスに沿ったコールド・スポットの発生を回避している。
【0027】
図3bは加熱されていないガス・フィードスルーの実施形態を示す。一つ(または複数)の酸化剤ガスがこの非加熱フィードスルーを流通する。しかし、加熱酸化剤ガスフィードスルーが必要とされる適用例においては、
図3aに示したものと同様のフィードスルーを使用することができる。
図3bのフィードスルーは
図3aのものと似ているが、ケーブル・ヒーターと熱電対が外されているところが異なる。さらに、フィードスルーのサイズはプロセスの必要条件に依存して変わる。一実施形態において、非加熱酸化剤ガス・フィードスルーはより小さいガス経路を有しているために、全体の寸法がいくぶん小さくなっている。
【0028】
図4は本装置の他の実施形態の断面図である。バーポライザ・アウトレット・ポートに直接連絡している堆積気化物質インレット通路68が、リッドボディ14を通って軸方向に延長している。インレット通路を取り巻いている環状凹所が主リッドボディの上側上に形成されている。
【0029】
再度
図2を参照して、取り外し可能堆積チャンバ・ライナー(多数の異なる場所で使用可能である)が、堆積チャンバの周期的なクリーニングを容易にしている。本発明の好ましい実施形態によるライナーは、ユニットと一体的ないし機能的に一体形成され(すなわち、ユニットに固定されるか、またはこれと重なった一つ以上の要素から組み立てられる)、基板支持部材24近傍で上方チャンバ面をカバーするほぼ円筒状ライナー28と、基板支持部材の下方で下部チャンバ壁面をカバーする底部ライナー29とを含んでいる。ライナー材料は、例えばステンレス・スチールまたはアルミニウムのような金属、セラミック材料(例えばAl
2O
3)、または石英で作ることができ、また、活性PID制御された加熱要素を備え、これによってライナー壁を実質上適切な恒温装置温度に維持し、ガス蒸気のチャンバ面への凝縮と堆積を回避することができる。ライナーを形成している材料は、ハロゲンおよびハロゲン化された元の場所の洗浄化合物に対して化学的抵抗を示し、また、処理化学剤(装置)によって悪影響を受けたり、悪影響を与えたりしないことが好ましい。
【0030】
図2を再度参照して、チャンバ・ライナー28がチャンバの内壁22近傍に配備され、容易に洗浄および/または交換できるようにチャンバ内で取り外し可能面を提供するのが好ましい。このライナー28は支持部23上でチャンバ内に支持され、好ましくは3個がライナーの下部面の回りに等間隔で設けられている。支持部23はチャンバ・ライナー28とチャンバボディ間の接触面積が最小となるような、また、これによってライナーとチャンバボディ間の熱伝導を最小にする大きさに作られる。一実施形態において、ライナーは加熱リッドと加熱基板支持部材からの放射によって加熱される。本実施形態は受動的フローティング・ライナーと呼ばれている。別の方法として、ライナーは抵抗型ヒーター25(
図5に示す)または、その中に配備された他の適当なヒーターも含めることができ、これによって理想的な恒温で積極的に加熱し、これを維持することができる。この積極的加熱の実施形態は、活性フローティング・ライナーと言われる。
図5は加熱ライナー28の実質上下方向から見た斜視図で、その中に配備された抵抗性コイル25と、コイルへの電気接続部を収容しているライナーの下部面上にマウントされた電気コネクタ27を有している。
【0031】
図6は、電気コネクタ27が配備されているチャンバの下部上にマウントされた外部ハウジングを示す活性フローティング・ライナー28の断面図である。ライナーの熱膨張に起因して、この膨張の調節は、チャンバ上にマウントされた外部ハウジングによって好ましくは提供されるか或いは阻止される。この外部ハウジングは第1コンジット29を含み、チャンバの下部にマウントし、それぞれベローズ35をマウントするために設けられたフランジ31、33を含んでいる。ベローズはその一端でフランジ33の下方端上にマウントされ、その他方端にはフランジ39の設けられた第2コンジット37がマウントされる。このベローズは電気コネクタ27またはライナー28のいかなる熱膨張も受け入れるようにたたみ曲げられる大きさに作られ、適用されている。コイルへの電気接続部が第2コンジット37の端を通って延長し電源への接続を容易にしている。
【0032】
基板支持部材下方の部分が一般的に気化物質流から分離されているので、これらのパーツの温度制御はあまり重大ではない。しかし、基板支持部材下方のライナーの部分は、抵抗式加熱要素、または他の適当な加熱部材を用いて積極的に加熱することもできる。好ましくは、基板支持部材の上方および下方のライナーの温度は適切な恒温装置温度範囲内、例えば約200℃と750℃との間、または所望の堆積材料に適した他の温度範囲に維持できなければならない。
【0033】
シーリング・エッジ・リング160(
図2に示す)が、チャンバ内に配備され、基板支持部材24に支持され、基板支持部材24の周辺エッジと接触、重なっている。リングを一致した位置に維持するために、周辺リブをリングの下側に設けることができる。エッジ・リングは、ライナー28と基板支持部材24との間に環状スペース162を閉封する働きをし、これによって堆積チャンバの下方部へ流れる堆積気化物質量を実質的に減じる。さらに、エッジ・リングは放射シールドとしても作用する。ガス分配プレート26の外方周辺部は、一般的に基板の直径を越えて延長している。エッジ・リング160が、基板支持部材によって直接放射された熱からガス分配プレート26のこの部分を保護する。エッジ・リング160は、堆積材料の熱膨張係数と同じ熱膨張係数を有する材料から作り、熱サイクル中の薄片化による粒体発生の恐れを減じるのが好ましい。BSTの場合、一つのこの種のエッジ・リング材料はチタンである。本発明のエッジ・リングは、同時係属出願である同出願人の**年*月*日出願の米国特許願第#####号に開示されたエッジ・リング形態に従って構成することができるので、これは本明細書に参照により組み込まれる。
【0034】
リッドアセンブリ14は、例えば、アルミニウムのような高い熱伝導性を有する金属を機械仕上げするか、またはこの金属で形成するのが好ましい。主リッドボディ
70はその周辺の回りに形成された環状チャネル
74を規定し、薄い外方環状壁76を規定している。好ましくはステンレス・スチールまたは他の熱絶縁材で作られた支持リング78が、
環状チャネル
74内に配備され、リッドのための構造上の支持部を提供し、外方環状壁76への熱伝導を阻止している。ボディ部材
70の薄い外壁
76がリッドのベース71のための熱チョークを提供し、このリッドはO−リング・シール72における処理中チャンバボディに対してシールされる。O−リング・シール72は、チャンバボディ12とリッドアセンブリの周辺境界に位置付けされ、チャンバのハーメチック・シールと真空耐密シールを維持する。O−リング・シールを積極的に冷却するために、一つ以上の冷却チャネル73が外壁76の下方リップ部に配備されるのが好ましい。熱交換流体(例えば、水、エチレン・グリコール、シリコーン・オイル等々)が、チャネルを通って循環されO−リング・シールにおける熱を除去している。
【0035】
薄い外壁76によって提供された熱チョークが、チャンバリッド14とチャンバボディ12間のO−リング・シール72を、リッド内に配備された加熱要素80によって発生された熱から遮断している。この熱チョークは、他の装置要素に対する重大な有害冷却作用を誘起することなく、O−リング72の頂部上のチャネル内での局部化された能動的な冷却を許容することによってO−リング・シール72の熱的保護を提供する。薄い壁76が、その小さい断面積(A)と長い長さ(l)のために、加熱要素(発熱体)とO−リング間の有効な熱バリヤを呈する。
【0036】
主リッドボディ70の上面が、螺旋溝のような複数の環状凹所を規定し、ここに加熱要素80を受承している。好ましい実施形態において、約6200Wの電力を有するヒーターが使用される。しかし、電力量は、リッドの材料要素を含むリッドのデザインと(結合)構造、および処理温度とによって変わることがある。電力はリッドに配備されたフィードスルー85を介して加熱要素に送出される。ヒーターが、リッドに位置付けられるか、そうでなければこれに配備された熱電対82から受信された信号に基づいて、従来のPIDフィードバック制御により制御されるのが好ましい。熱シールドとして作用する環状プレート84が加熱要素の頂部上にマウントされている。好ましくは、このプレート84はリッドボディにろう付けされリッドボディの一体部を形成する。水冷プレート86がプレート84上またはその上方に配備され、積極的フィードバック温度制御のためにリッドから熱を取り去る制御機構を提供している。
【0037】
冷却チャネル100がリッドアセンブリ14の頂部カバー・プレート86内に形成されているのが好ましい。冷却チャネルはリッドから熱を取り除く。さらに、熱チョーク・ギャップ、好ましくは約25ミル(約0.64mm)が、冷却中にリッドから除去される熱量を制御するのに使用される。BSTのような材料の堆積中、基板は基板支持部材によって500℃を超える温度に加熱される。基板および基板支持部材からの熱が、ガス分配プレート26上に放射され、これによってその温度が適切な恒温装置温度以上の温度に高まる傾向にある。リッドとガス分配プレート26間の熱伝導ないし伝達を増大させることにより、基板および基板支持部材に誘起された温度傾斜および変動を減じることができる。リッドとガス分配プレート26間の熱伝導を改善するために、不活性ガス(例えば、ヘリウム、水素等)がこれらの要素の環状境界の回りに循環される。この不活性ガスはチャネル102に導入され、これは、円形、螺旋形、または他の形状にでき、リッドに配備される。チャネルは、ガス分配プレート26と主リッドボディ70および/またはカバー・プレート86との一つ(または複数の)一致環状面内に形成することができる。不活性ガスは冷却プレートを通し、またはガス・マニホルドに連結されたフィードスルーを介してチャンバの下部を通して頂部から導入することができる。チャネル内のガス圧は、約1−100トルの範囲内、好ましくは約1−20トルの範囲内に維持される。その高い熱伝導性のために、循環する不活性ガスはリッドアセンブリ14とガス分配プレート26間の熱移動を改善することができる。
【0038】
加熱要素を含むリッドアセンブリは、気化物質インレット通路およびガス分配プレートを理想的な恒温装置温度、例えば250℃±5℃に維持する構成である。消極的および積極的冷却要素が、リッドのトップ・カバーおよびチャンバボディとリッドアセンブリ間に配置されたO−リング・シール72を、実質上低い温度、例えば100℃またはこれ以下に維持するのに使用される。
【0039】
図2を再度参照して、混合ガス・マニホルド46が中央開口部88を含み、ここからガスがブロッカ・プレート90に導入され、最初にフェイス・プレート(面板)92上方の大きいエリアにわたって一つ(または複数)のガスが分散ないし分配される。各ブロッカ・プレートとフェイス・プレートには、これを通り両プレート90、92のエリアにわたってガスが平均的に分散するように複数のホールが形成され、両者が一緒になってガス分配プレート26を形成している。フェイス・プレート92は、基板支持部材24上に位置付けされた基板のエリアにわたって均一にガスを送出する。ガス分配プレート26および混合ガス・マニホルド46は、アルミニウムで作られるのが好ましく、またガス分配プレートから温度制御リッドアセンブリ14への熱移動を許容するのに十分な厚みである。
【0040】
ガス分配プレートアセンブリに関して、比較的厚いフェイス・プレート92を備えた従来の薄いブロッカ・プレート90が、熱制御装置としても作用する。混合ガス・マニホルド46が、加熱された質量(固体)として作用し、その熱容量および高い熱伝導性がガス分配プレートからその周辺への熱慣性抵抗温度変化源として作用する。ガス混合マニホルド46は、プレートの材料を通るガス「チャネリング」の作用を回避し、基板面にわたるガスボリュームのより均一な分布を提供する。ガス分配プレートはアルミニウムで作られるのが好ましいが、他の熱伝導性材料も使用できる。
【0041】
図9は加熱要素80および混合ガス・マニホルド46を示すチャンバリッドの上面図である。リッドボディの下方面がガス・マニホルド46をモニタするための一つ以上のチャネル104を規定している。
図10はガス・マニホルド46の部分断面図である。ガス・マニホルド46は、一つ以上のガス・チャネル48、54を規定するガス分配ブロック61を含んでいる。これらのチャネル内に、その一端に一つ以上のガス・インレット38、52を、また、その他端にガス・アウトレット56を備えている。ガス・アウトレット56がガス分配プレート26のガス・インレットとして作用する。環状コンダクタンス抵抗プレート63が、ガス分配プレートをマウントするためのガス分配ブロックの下部面上にマウントされ、また、ガス・マニホルドとガス分配プレート間の境界におけるガスの漏洩を阻止している。コンダクタンス抵抗プレート63は、環状マウント凹所65を規定するような大きさに形成され、適用され、ここにガス分配プレートが固定されている。
【0042】
気化ガス経路48および酸化剤ガス経路54がガス・インレットからガス・アウトレットまでガス・マニホルドの長さに沿って少なくとも部分的に延長している。制限ガス経路37が、蒸気ガス経路と酸化剤ガス経路間に配備され、酸化剤ガスを適切に混合してガス・アウトレットに送出し、ブロッカ・プレートとフェイス・プレートに送出する。制限経路37は酸化剤ガスを、比較的高速で気化ガス経路に送出して、ガスの混合を助ける。別の方法、ないし付加的に、第2セットの気化ガス経路と酸化剤ガス経路、キャリア・ガス経路またはクリーニングガス経路(遠隔プラズマ源からのクリーニング・ガス種を送出)もチャンバ壁を通して設けて、第2ガス・マニホルドにこれらのガスを送出することもできる。
【0043】
図4は本発明のポンピング・装置18の部分断面図である。このポンピング・装置18は、排気経路およびチャンバへの関連するポンプに連結するチャンバにマウントされたポンピング・ノーズ106を含んでいる。このポンピング・ノーズ106はその長さに沿ってガス経路110を規定するハウジング108を含んでいる。ハウジングが取り外し可能加熱ライナー112を支持している。ハウジングとライナー両者が一対のポート114、116を規定しており、一つのポート114がコールド・トラップと排気ポンプに連結され、他方のポート116がターボポンプ118、またはこれら両者間に配備されたゲートバルブ120を備えた他の高真空ポンプに連結されている。
【0044】
排気ライナー112は、ノーズ・ハウジング108内に摺動可能にマウントされる形状と大きさに形成されるとともに、マウントフランジ122を含み、その一端にハウジングの端がマウントされている。第2マウントプレート123が、第1[マウントプレート]にマウントされO−リング・シール125を用いてこれにシールされている。排気ライナーは、チャンバ内の排気マニホルドに開口している中央経路110を規定するボディ124と、二つの出口ポートを含んでおり、これらのポートは高真空ポンプ、排気ポンプおよび関連するコールド・トラップに連結されているのが好ましい。6個のマウントブロック126、128、130(3個のみを示す)が、中央経路の長さに沿って少なくとも一部に延長して4個のカートリッジ・ヒーター132と2個の熱電対134をマウントしている。複数の熱電対が、バックアップするとともに温度の均一性をチェック可能にしている。一実施形態において、熱電対はライナーの下部から延長し、他方でヒーターがライナーの頂部に沿って、また中央部に配備されている。しかし、他の形態、例えばヒーターを頂部と下部に、熱電対を中央に、あるいはヒーターを下部と中央に、熱電対を頂部に配備することを本発明では企図している。ヒーターは平行に、また二つの連結部はライナーのマウントフランジに設けて電源への接続を容易にするのが好ましい。装置から外したときに、マウントプレート上方にキャップをマウントすることができ、これによって排気ライナーが、ヒーターへの電気接続部の危険にさらす恐れをなしに容易に洗浄することができる。このキャップはO−リング・シールまたは他の適当なシールを用いて第2マウントプレート123にシールすることができる。さらに、ハンドルを第2マウントプレートにマウントして、排気ライナーをノーズから容易な取り外しを可能にし、洗浄バス内に浸水できるようにするのが好ましい。第2マウントプレート123は、ヒーターと熱電対のためのクイック・コネクトを含んでいるのが好ましい。
図12はヒーターと熱電対およびその位置を示す第2マウントフランジ(プレート)123の正面図である。
【0045】
図11は排気ライナー112の断面図である。マウントフランジ122近傍のライナーの端部には薄い壁部136を含み、その周縁の回りは熱チョークとして作用する。この熱チョークは、マウントプレート123と排気ハウジング間に配備されたO−リングが上昇した温度にさらされないことを保証している。さらに、この熱チョークはハウジングへ移動される熱量を調節し、これによってライナーを加熱するのに必要とする電力量を最少(すなわち、最適)にしている。チャンバの近端部は、排気マニホルドの内壁の湾曲した外形と一致してカーブしている。テフロン(登録商標)ねじ138が排気ライナーのチャンバに、排気ライナーの少なくとも下部および/または側壁に、好ましくは両者に挿入され、滑らかな表面を提供して、ライナーのハウジングへの挿入またはこれからの取り外しが摺動でき、ノーズ・ライナーおよび/またはハウジングのひっかきを阻止している。250℃の温度に耐え、不要な汚染物を放出せず、また種々のアグレッシブな洗浄溶液と適合することができるので、テフロン(登録商標)が好ましい。しかし、これらの特徴を有するように処理された他の材料で形成されたねじまたはプラグも効果的に使用できる。
【0046】
図1を参照して、ターボポンプ118、または他の高真空ポンプがポンピング・ノーズのアウトレット・ポート116にマウントされている。ゲートバルブ120がターボポンプとノーズ間に配備され、ターボポンプのチャンバとの選択的な連絡を可能にしている。このターボポンプは真空チャンバを非常に低い圧力にすることが可能で、アメリカ合衆国、カリフォルニア州、サンタ・クララのアプライド・マテリアルズ・インコーポレイテッドから入手できるエンデュラ(Endura)(商標名)プラットホームのような処理プラットホームと互換性がある。業界で使用されている荒引きポンプ、ドライ・ポンプまたは他のポンプのような排気ポンプがノーズ内の排気ポート114でチャンバに連結され、処理中チャンバをポンプしている。コールド・トラップ140が、排気ポンプに連結しているコンジット内に配備され、ポンプに有害な堆積材料を濾過している。さらに、第2コールド・トラップ142が第1コールド・トラップの下方に配備されるとともに、バーポライザからのバイパス・ラインに連結されている。このバイパス・ラインおよび関連するコールド・トラップが、ウエハの移送中これへの気化材料の送出を許容することによって形成された連続する流れ内での装置の作動を許容している。
【0047】
図13は本発明のコールド・トラップ・フィルタの斜視図である。このコールド・トラップは管状ハウジング144(
図1に示す)内に収容され、その上に材料を凝縮させるための複数の冷却経路148を含むフィルタ部材146を含んでいる。このフィルタ部材はベース部147とフィルタ部149とを備えている。フィルタ部149は、その中に形成された複数の冷却経路148を有している。水インレット151および水アウトレット153がコンジット155、157内に配備されている。ガスがフィルタ部材を通過し、フィルタ部材の中央部150と連通する配備された排気経路に続く。この構造により、ガスはフィルタ部149を通過し、排気装置を通ることができる。ハウジング144が、中央チャンバ部150に流体連結されたインレットを有する排気ポンプに連結されたコンジットを設け、ガスはコールド・トラップを通過して、コンジットから排出装置に続く。
【0048】
パージ・ガス機構がパージ・ガスをチャンバの下部に提供して、その結果、チャンバの底部から放出されるガスの上方向を向いた流れをガス・シールドする。ガス・シールド強度は質量流量制御器によって調節可能である。適当なパージ・ガスにはヘリウム、アルゴンおよび窒素が含まれ、パージ・ライン31と円形マニホルドを介して導入することができ、シーリング・ベローズ内で基板支持部材とエレベータ・シャフトの回りにガスを均一に分布させることができる。堆積処理との干渉を回避するために、ガス流量は比較的低く、例えば、50sccmに設定しなければならない。さらに、パージ・ガスはライナーに近接し、ウエハのエッジから離れて排気空間に向けられる。
【0049】
バーポライザ
図14はチャンバ12近傍にマウントされた気化モジュール16を示す斜視図である。バーポライザ120が、バーポライザ・キャビネット122内にマウントされ、インレットをチャンバに連結されたアウトレット・ライン124を含んでいる。アウトレット・ライン124に沿って第1バルブが配備され、これにバイパス・ライン(図示省略)が連結されキャビネット122の裏から延長され、コールド・トラップ142(
図1参照)の設けられたコンジットによって排気装置に連結されている。バイパス・ラインが気化ガスと流体溶剤両者をコールド・トラップに送出するように適用されている。このコールド・トラップは気化ガスをチャンバに送出する準備中、または装置のクリーニング中のバルブから下流に配備される。このバルブは気化材料のチャンバへ、または排気装置中のコールド・トラップへの送出をする。第2バルブ128が第1バルブから下流に配備され、気化ガスのチャンバへの送出を選択的に行なう。この第2バルブはロッドとワッシャアセンブリ130を介してチャンバの下方部にマウントされる。このアセンブリは送出ラインと、チャンバに関連するバルブの調節を可能にする。マウント部材は通常第1および第2リング132、134をそれぞれ含み、一つが他方に配備されてアイソバルブ(isovalve)128と送出ラインの回転調節を許容している。アイソバルブ128は、複数のロッド(ここでは4本を示す)を介して外方リング134にマウントされている。ロッドはリングからマウントされ、ロッドとリング134の上部の上方に配備されたばね138を含んでいる。二つのリング132はアセンブリの回転を可能にし、一方、ばねとロッド機構がアセンブリの垂直方向の調整を許容して、ガス供給ライン124のフィードスルー40を通るチャンバへの適切なアライメントを保証している。通常、吊り下げ装置が熱膨張/収縮のための自動補正を提供し、機械的および熱的ストレスなしに真空シールを維持している。
【0050】
図15は本発明のバーポライザ120の一実施形態の断面図である。このバーポライザは通常、バーポライザのインレット・ポート172を貫通する注入ノズル170を含んでいる。同心経路174がガス注入ノズル170の外周縁の回りに配備され、一つ以上のキャリア・ガスをノズルの先端に送出する。好ましくは、同心ガス経路は、低摩擦係数のためPTEFで作られ、詰まりを回避する。キャリア・ガスがノズルの回りを同心的に流れて、ノズル先端における液滴の形成とノズルの外方シリンダの繰上げを阻止している。ノズル170へ送出される流体が、アルゴンのようなキャリア・ガスをバーポライザの中央カップ状部176に送出する。バーポライザのカップ状部が、流体注入ストリームのための中央受け部を形成し、ここで気化が開始される。複数のフィン178が中央カップ状部176の回りに配備され、これに沿って気化が生じる曲がりくねったパスないしラビリンスを規定している。このフィン178はリング内で互いに隔置され、オフセットされてパスを形成し、これに沿ってガス蒸気が拡散され、さらに十分な距離に保たれて詰まりの恐れが減じられている。一つ以上のノッチ180がフィンの上部に形成され、ガス流れを許容するガス流れ経路を規定するが、フィンは気化されない流体は少しもトラップしない。これにより流体のバーポライザとチャンバへの通過が阻止されるとともに、溶剤がチャンバに入る恐れなしに、クリーニングのために溶剤をバーポライザに送出することを可能にしている。
【0051】
フィンの最外方円とバーポライザ部を取り巻く内部円筒状壁との間に規定された円形パスが、複数のポート182(例えば6個)と、主アウトレット184に収斂している関連するガス送出経路に連結されている。角度付き通路(ポート)182の構成が、バーポライザ内の短い共振時間の間に大きいコンダクタンス(伝導性)を提供するとともに、蒸気流パスの検査とクリーニングを容易にしている。全ての経路は下方ブロック186と上方ブロック188の大きい固体によって取り囲まれており、これら両者が一緒に組み立てられてバーポライザを形成し、金属対金属シール187を含んでいる。上方および下方ブロックが溝190を規定し加熱要素をマウントしている。この構成が、蒸気だけでなく気化面が、主気化部の下流まで(その内部においても)最適な恒温に維持されるのを保証することを助けている。
【0052】
気化部のフィン178は、別体の固定パーツではなく、上方および下方ブロックの一体パーツとして形成されるのが好ましい。従って、これまでのデザインとは逆に、加熱面は熱的に「フローティング・ピース」で構成されていない。すなわち、部品の温度が、その部品の固定されている一つ以上の別体の熱的固体(thermal masses)の温度に関連して「フロート」、または変化(ほとんど制御されていない)する。好ましい実施形態において、それぞれのセットをなすフィンは相補形態に上方と下方ブロックの一致面に直接機械仕上げされ、互いにインターリーフないし堅く組み合わされて、
図16に示すようなマルチ・パス、迷路状構造を形成している。その気化機能に加えて、主気化部の経路のツイストおよびターンが前駆物質要素とキャリア・ガスを混合し、キャリア・ガスのラビリンス内で方向変更してぎっしり詰め込まれることにより混入液滴を濾過する。
【0053】
同心状態に配列されたフィン間の半径方向空間は、形成される恐れのある堆積物を最少にするために、約0.5mm(0.002”)であるのが好ましい。好ましい半径方向空間は約1−3mm(0.039−0.118”)、より好ましくは約2mmの範囲内である。好ましい実施形態において、円形フィンは高さが約2−8mmで、1インチ当り(半径方向に測定して)2−6個のフィンの密度である。好ましい主バーポライザ部の全内径は75mm、6個の同心円は約2mmの半径方向空間で設けられている。各円は4個のフィンを有し、フィンの大きさと円周方向(端から端)空間は、円の直径と直接関係して変る。フィンの最大および最小の端から端の空間は、それぞれ30mmと2mmであり、キャリア・ガス流れ、前駆物質の蒸気特性および前駆物質の熱安定性によって決まる。フィン間の空間は、バーポライザの詰まりを阻止するのに重要で、気化(気化)が発生する最大面積を提供する。低揮発性を有する前駆物質は比較的高い伝導性(コンダクタンス)と少ないフィンを必要とする。低い熱安定性を有する前駆物質は比較的短い共振時間、従って、高いキャリア・ガス流れ、短いパスおよび少ないフィンを必要とする。激しい、または液滴を発生する現象を有する前駆物質は比較的多いフィン数を必要とし、液滴の詰め込み濾過を強化する。
【0054】
バーポライザアセンブリの重要な特徴は、流体前駆物質混合物の主気化部へ送出し、前駆物質をキャリア・ガスとの混合を提供する機構である。流体前駆物質要素の混合物は、ノズル170または毛細管(例えば、2−20ミルの内径)を介して主気化部の中央に送出する。流体およびガスが、比較的高い流量、例えば、流体で10ml/min、ガスで100−2000sccmで供給され、これによって流体の毛細管からの放出と、主気化部への流入が高いノズル速度で流体とガスのジェットとなる。重要なのは、流体混合物経路の最終の短い部分の他は全て熱チョーク構造195によって比較的クールに維持され、気化(気化)の前の流体前駆物質要素の熱分解を少なくしている。特に、毛細管が、
図15に示したように上方ブロックのに固定されるか、またはこれの一体部として形成される比較的細い管内またはネック部192内に延長する。このストレッチに沿った毛細管の熱絶縁が、ネック部の比較的薄い壁、例えば10−100ミル厚みによって、さらに毛細管とネック部の周辺内面間の空間、および材料の熱絶縁値によって提供される。このネック部はPTFE、ステンレス・スチールまたは比較的低い熱伝導性を有する他の材料で作られるのが好ましい。冷却ブロック197および冷却チャネル199が、ノズル170の温度制御を可能にしている。
【0055】
流体前駆物質が主気化部の直上で毛細管から射出されるにつれて、前駆物質が、同心的に送出されたキャリア・ガスと混合される。同心的送出キャリア・ガスが、供給ライン193または、例えば標準VCR管継手によりネック部の内部口の上部に流体連結された管によってこの点に送出される。ガスが、毛細管170と内部ネック面との間に規定された環状通路174内を下方向へ流れる。ノズル・アウトレットのレベルにおいて、キャリア・ガスが毛細管の流体前駆物質混合物の射出をピックアップし、混合物を主気化部176に送出し、ここで流体前駆物質が気化される。この初期「フラッシュ」気化を適正にすることを許容するために、毛細管ノズル170と主気化部176間の空間が好適に調節可能である。例えば、この毛細管は中央ネック口内にマウントされたウエブ状中心付けガイド195内を軸方向に移動可能に作られる。液滴の「フライパン上のダンス」作用を回避するようにフラッシュ気化の調整は、ガスと流体前駆物質の混合物の流量を調節することによって得られる。初期「フラッシュ」蒸発後、残留している流体液滴が、混合物が主気化部の曲がりくねったパスを通って進行するにつれて、加熱フィンと接触して気化される。次に、得られた堆積ガスがポートと角度付きフィーダ経路182を通って中央主経路184に送られ、さらにバーポライザ・アウトレット・ポートに送られ、直接堆積チャンバに送出される。混合物は実質上所定の適切な恒温装置温度(例えば、250℃±5℃)に維持される。出口ポートが大きいコンダクタンスに設計されているので、前駆物質蒸気は容易にバーポライザからチャンバに送出される。
【0056】
バーポライザは、BSTおよびキャリア・ガスのような前駆物質要素の混合物を、曲がりくねった経路に沿って提供された増大した表面積を備えた主バーポライザ部を設けることによって気化するように作用する。この経路は混合物を均一に加熱された表面の大きい表面積に露呈し、曲がりくねったパス内をガスの流れ方向の変化中に液滴がぎっしり詰まることによる流れ中に混入した流体液滴をフィルタする。流速、従って、インパクション・フィルタ効果が、補助アルゴンまたは他のキャリア・ガスのバーポライザ注入管への流れによって自主的に制御される。従来の構成とは異なり、加熱量、例えば、気化、混合物へ供給される電力が、完全な気化を達成するのに実際に要する電力レベルより実質的に高く設定される。完全な気化のために必要とされる電力量は、前駆物質要素とキャリア・ガスの化学的性質および混合物の流量の関数である。一例として、10ml/min.のBST流量と、キャリア・ガス例えばアルゴンの200−300sccmの流量に対して、流れを加熱し完全に気化するのに要する電力量は約10Wである。理解できるように、計量バルブが流体前駆物質要素混合物の流量に直接関係するガス流量を制御するのに使用できる。
【0057】
本発明によれば、バーポライザに移送される熱出力は、混合物を完全に気化するために必要とする10Wより1から2倍大きく、すなわち、約100Wと1000Wの間に設定され、好ましくは20−30倍、すなわち、200−300Wである。この方法において、流れている混合物によって吸収された加熱電力は利用可能な加熱電力の小さい端数である。従って、ガス蒸気によって吸収される電力は、利用可能な加熱電力に関してはささいな摂動であって、加熱面の理想的な恒温(例えば、250℃±5℃)を実質上維持することができる。通常、使用される前駆物質要素混合物に依存して、理想の恒温装置温度は約200−300℃の範囲となる。
【0058】
さらに、バーポライザボディは、主気化部の恒温の維持を保証する働きをするような形態に作られている。特に、加熱面は金属、例えばアルミニウムまたはステンレス・スチールからなる上方および下方ブロックの接合面に一体的に形成されるのが好ましい。両ブロックは、これらのブロックを取り巻く一つまたは一対の加熱要素によって発生された熱エネルギの保持と伝導のために比較的大きい熱質量を提供する。好ましい実施形態において、上方および下方ブロックは円筒状ロッドのセグメントとして設けられ、また、一つまたは一対の加熱要素、例えばケーブル・ヒーターが、ロッド・セグメントの円周の回りを螺旋状に、かつ、長さ方向に沿って包まれている。
【0059】
一つの特殊な例として、上部および下部の円筒状ブロックが、各々3.5”の外径を有している。トップ・セグメントは1”の長さで、下方セグメントは2”の長さでる。セグメントは、軸方向に、ブロックの周辺の回りに等間隔で延長する複数の例えば8本のボルトによって互いにボルト付けされている。好ましくは、このセグメントは一つまたは両方のブロック内に設けられた円形溝に嵌合されるとともに主バーポライザ部を取り巻くようにして、公知のタイプの高温金属対金属シールで互いにシールされている。金属対金属シールの一例としてはヘリコフレックス(Helicoflex)社のアルミニウム製デルタ(Delta)がある。
【0060】
加熱要素は、約1000Wと3000Wの間の総加熱電力をブロックに供給するのが好ましい。別体のヒーターが、上方および下方セグメントを加熱するのに使用される場合、1500Wの下方ヒーターと675Wの上方ヒーターが使用され総加熱電力2175Wが供給される。螺旋溝(図示省略)がブロックの外面上に形成され、加熱要素が溝内に例えば溶接によって固定されるのが好ましい。ヒーターは従来のPIDコントローラによって主気化部を適切な恒温に維持するように制御される。このコントローラは、上方セグメントの一方、好ましくは両方内に加熱気化面直近に配置された熱電対に接続される。
【0061】
図17に示した他の実施形態において、上方および下方ブロックは互いに入り込んだフィンを設けておらず、むしろフィン構造178が下方ブロックのみに配備されている。上方ブロックは気化チャンバの上方ルーフ179を規定している。フィン178は互いに隔置され、経路を含み、ここから気化ガスがフィン構造に流れ込み、アウトレットから放出されるようになっている。この構成は気化ガスのコンダクタンスを大きくするとともに、バーポライザの共振時間を減じることができると考えられる。
【0062】
装置の適用
本装置を使用して堆積できる例としての酸化金属層には、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、チタン酸ジルコン酸塩(ZrxTiy Oz)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)、バリウム・チタン酸ストロンチウム(BST)、チタン酸リード・ジルコン酸塩(PZT)、ランタン−ドープPZT、チタン酸ビスマス(Bi
4TiO
12)、チタン酸バリウム(BaTi
3)、BST、PZT、ランタン−ドープPZT、またはこれと同様のものが含まれる。堆積できる他の材料には気化と分解との間の狭い範囲を有するこれらの材料が含まれる。
【0063】
本発明に使用される基板は、主としてPタイプおよびNタイプのシリコンが含まれる。特定する処理化学装置(特性)および所望の最終製品に依存して、他の基板材料も使用可能であって、例えばゲルマニウム、ダイヤモンドのような他の半導体、例えばGaAs,InP,Si/Ge,SiCのような化合物半導体、およびセラミックスなどである。
【0064】
集積回路デバイス内の回路素子上方の層のための材料の選択は、形成されるデバイスと、特定層が目下接触している、あるいは続いて接触する他の層によって決まる。例えば、DRAMは高い誘電率コンデンサを必要とするが、酸化金属誘電体層は強誘電特性を有している必要はない。
【0065】
本装置によって作られるデバイスには、これに限定されるのもではないが、64Mbit,256Mbit,1Gbitおよび4Gbit DRAMが含まれる。
【0066】
この装置は、銅のような材料を初めとし、揮発性のある他の流体前駆物質に対して特別な適用例を有している。
【0067】
流体送出装置
図18は本発明の流体送出装置200を示す斜視図である。この流体送出装置は、流体前駆物質モジュール202、溶剤モジュール204およびバーポライザ・モジュール206を通常含んでいる。一実施形態において、流体前駆物質モジュール202は、二つの加圧アンプル208、210と各アンプルに連結された流体送出ライン212を含んでいる。バルブが流体送出ラインの長さに沿って配備され、アンプルから混合ポート、さらにバーポライザへの流体の流れを制御している。次に説明するようなゼロ死空間バルブが、前駆物質の収束を回避するのに使用され、この収束によるバルブを処理の安定化および/または反復性に対してマイナスな作用を受ける危険にさらされないようにする。ゼロ死空間バルブは溶剤を使用するラインから前駆物質の急速なフラッシングを可能にする。溶剤がライン214による流体分配ラインへ送出され、保守中装置をフラッシュ(洗浄)する。さらに、パージ・ガス・ラインが流体送出ラインに連結され、ラインからの溶剤を急速にパージさせ、これによってアンプル、バルブおよび/またはLFCを含む装置が、10分から30分で保守の準備ができる。バルブ構成は、それが必要なときにデザインされ、溶剤が流体分配ライン上流に導入され混合ポートを形成して、バイパス・ライン218を介してラインをフラッシュするとともに、コールド・トラップおよび排気マニホルドを含む回収装置から放出することができる。
【0068】
アンプルは、高圧ポンプに依存することなしに、すなわち、前駆物質に露呈されるこすりパーツを備えた高サイクル機械ポンプなしに、流体前駆物質を高圧、例えば500psiで送るように設計される。圧力を提供するために、アルゴンのような不活性ガスが、ライン220を介して約90psi圧力でアンプル内に充填される。流体アウトレット・ライン222が、アンプル内に配備され、これによって、例えばアルゴンのような不活性ガスがアンプルに送出され、適切なバルブが開し、流体が強制的に放出され、アウトレットから適当なバルブに、また流体分配ラインに送られる。
【0069】
分配ライン212が各アンプルからバーポライザに連結されている。第1死空間バルブがアンプルのアウトレットに配備され、流体の分配ライン212への分配を制御している。このバルブはバイパス・ライン218と流体分配ライン212に連結された三方バルブであるのが好ましい。バイパス・ライン218は、次にコールド・トラップと排気マニホルド(図示省略)に連結されている。高圧ゲージ224とLFC226が溶剤とパージ・ガスを導入するバルブ228から下流に配備されている。LFCが流体前駆物質分配ライン間に連結された混合ポート230への流体の送出を制御している。低圧ゲージ232がバイパス・ライン218に連結されライン中の圧力をモニタし、これによって保守ルーチンの完全性を決定することができる。
【0070】
流体前駆物質分配ライン212が、流体前駆物質をバーポライザ120から上流の混合ポート230に送出する。溶剤送出ライン234も溶剤を、混合ポートから下流の流体送出ラインに送出する。混合ポートにおいて、前駆物質と溶剤が混合され、バーポライザに送出される。バーポライザにおいて、キャリア・ガス・ライン236がキャリア・ガスを送出ラインに送出し、流体前駆物質および溶剤が毛細管またはノズルを介してバーポライザに送出される。さらに、中央キャリア・ガス・ライン238がノズルまたは注入チップの回りにキャリア・ガスを送出して、たとえ少量の流体でも気化面への送出を保証している。混合ポートから、またバーポライザへの送出ラインは、テフロン(登録商標)PTFEのような低摩擦係数を有する材料で作られ、ライン内のハングアップ(立ち往生)がないのが好ましい。この特徴が少量の流体前駆物質の送出を助けている。
【0071】
溶剤モジュール204が、流体前駆物質アンプルと同様の一つ以上の充填可能アンプルを含んでいる。二つの溶剤アンプル240、242および二つの流体前駆物質アンプル208、210がるのが好ましい。流体前駆物質アンプルは、二つの別々の前駆物質を送出でき、混合ポートで混合され、あるいは同じ前駆物質を一緒にまたは別々に送出することができる。
【0072】
流体前駆物質アンプルはスロット付き/彫刻された底部に設計され、アンプル内に下方向に流体が引き入れられ、これによって流体は(1)非常に低いレベルで検出でき、また(2)低いレベルにおいてもアンプルから引き出すことができる。これは排気することが好ましくない高価な流体を処理する場合に特に重要である。さらに、アンプルはたとえ低いレベルにあるアンプル内の流体のボリュームを識別するための超音波検出器を含んでおり、これによって連続処理が達成できる。
【0073】
図19はゼロ死空間バルブの斜視図である。このバルブは流体前駆物質インレット252と溶剤インレット254、さらに単一アウトレット256を含んでいる。溶剤が溶剤制御アクチュエータ258を通って溶剤インレットを介して流体前駆物質制御アクチュエータ260に送出される。プランジャ262が、
図20に示した溶剤制御アクチュエータへの流入、従ってここからの流出を制御する。アクチュエータ内のプランジャ264が開位置にあるとき、流体前駆物質が前駆物質インレット252を通り、前駆物質制御アクチュエータ260に送出される。プランジャが閉位置にあるとき、前駆物質のアクチュエータへの流入が阻止され、プランジャによる、また溶剤がバルブへ流れることによってバルブの洗浄(フラッシュ・アウト)がなされる。溶剤はまた前駆物質制御アクチュエータ260にも流入して、ここでプランジャが開位置または閉位置にあって
図20に示すようにバルブの溶剤パージを可能にする。プランジャは、溶剤のアクチュエータへの流れを可能にしながら流体前駆物質インレットをシールする形状に形成される。流体前駆物質がシャットオフされているときに、連続する溶剤流れが装置への連続するパージを許容する。
【0074】
さらに、単一アクチュエータバルブがアンプルのアウトレット上に配備され流体前駆物質の送出を制御するとともに、アクチュエータ内の詰まりを阻止している。また、二方バルブがバーポライザ・パネル内の流体流れコントローラの下流側に配備されているのが好ましい。
【0075】
送出管はテフロン(登録商標)のような材料で作られるのが好ましく、管内の摩擦のない流体流れを促進し、管のパスに沿った詰まりと堆積を回避する。テフロン(登録商標)は、BSTの堆積に使用されるバリウム、ストロンチウムおよびチタン前駆物質流体のような材料のためのより優れたコンジットを提供することが分かっている。
【0076】
プランミング・装置は、ルーチンの保守中、ラインやバルブの急速フラッシングが可能なように設計される。さらに、これは各バルブのシーケンス的遮断を可能にするように適用されるとともに、停電の場合にバーポライザと送出ラインを介する溶剤の制御された量の自動的フラッシュを送出する。この安全特性は、制御できない停電中、装置が詰まることのないことを保証する。
【0077】
送出装置は、また気泡装置を備え、ここでアルゴンのようなキャリア・ガスが溶剤によって泡立て、前駆物質からの早期溶剤蒸発を抑制することができ、これによって前駆物質流体がバーポライザへの途中で乾燥されないことを保証する。
【0078】
元の位置の流体流れコントローラと圧電制御バルブが、装置にわたる高い制御を維持するのに使用される。高圧ゲージが前駆物質と溶媒ライン上に設けられ、真空マニホルド上の真空ゲージも使用される。これらのゲージは広範囲の漏洩完全性測定のためにも使用される。
【0079】
本発明の好ましい実施形態は、流体CVD要素と、ニードルバルブのような関連するLFCの二つの加圧アンプルとを有する流体CVD要素送出装置を含んでいる。このバルブは摺動シールなしで作動し、250psi以下の圧力で使用することができる。二つの溶剤アンプルが、洗浄と保守のために、さらに処理中には混合ポートにも溶剤を流体送出ラインに送出する。
【0080】
BST処理
堆積処理に使用するために所望の蒸気が、所定の質量とモル比で混合された第1および第2気化流体前駆物質の混合体として示される。BSTの堆積に使用するために、第1流体前駆物質は酢酸ブチルのような適当な溶剤中のBaとSrポリアミン要素の混合物の一つであるのが好ましい。好ましい混合物は、一般的にBaPMDET(tmhd)
2として知られているビス(テトラ・メチル・ヘプタンジオネート)バリウム・ペンタ・メチル・ジエチレン・トリアミンと一般的にSrPMDET(tmhd)
2として知られているビス(テトラ・メチル・ヘプタンジオネート)ストロンチウム・ペンタ・メチル・ジエチレン・トリアミンの化合、または別のものとして、一般的にBa(tmhd)
2テトラグリムとして知られているビス(テトラ・メチル・ヘプタンジオネート)バリウム・テトラグリムと一般的にSr(tmhd)
2テトラグリムとして知られているビス(テトラ・メチル・ヘプタンジオネート)ストロンチウム・テトラグリムとを合わせたものである。第2流体前駆物質は、一般的にTi(I-pr-o)(tmhd)
2として知られているビス(テトラ・メチル・ヘプタンジオネート)ビス・イソプロパナイド・チタニウムまたはTi(tBuO)
2(tmhd)
2のような他のチタン金属酸化物ソースが好ましい。第1流体前駆物質と第2流体前駆物質中の混合金属間のモル比は、約2:1:4Ba:Sr:Tiであるのが好ましい。モル比は約2:1:2から約2:1:8まで変わってもよい。
【0081】
BST処理は、第1および第2流体前駆物質を、酸素、N
2O、O
3のような酸化ガスまたはこれらの混合物を用い、前駆物質の気化温度より高い温度と要素の質を低下させる温度以下で混合する。この処理は基板の温度、流体前駆物質の溶剤含有量、混合ガス内の酸化剤の濃度に対して非常に敏感である。ウエハ温度が高くなると堆積速度が高くなり、流体前駆物質の溶剤含有率が低下すると、フィルムのヘーズ(曇り)が少なくなり、酸化剤の流量を制御するとフィルムと結晶層の粗さが制御される。
【0082】
図21は、本発明の好ましい実施形態のCVDBST200mm基板処理におけるヒーター温度に対する堆積速度のグラフである。600℃のヒーター温度が、前駆物質の実質的な劣化を見ることなしに高い堆積速度を提供する。ヒーター温度は約300℃から約800℃で変化してもよい。
図21に示した例として、第1前駆物質は、モル比が2:1のBa:Srを有する酢酸ブチル中BaPMDET(tmhd)
2とSrPMDET(tmhd)
2の混合物である。第2前駆物質は、酢酸ブチル中Ti(I-pr-o)(tmhd)
2であり、モル比が2:1:4のBa:Sr:Tiである。基板はPt/SiO2/Si基板である。220Å/分の堆積速度が、200mg/mの前駆物質の総流体流量と1500sccm処理ガス流量(すなわち、酸素、窒素の組み合わせで、各々500sccmの流量)を用いて600℃のヒーター温度で達成された。本発明によるバーポライザも使用し、前駆物質のためのバーポライザ・ラインは240℃に維持された。
【0083】
図21に示したように、堆積速度はヒーター温度の各1℃上昇につき1.3Å/分の平均で高くなり、これは温度に対して強い感度を示している。200Å/分より高い堆積速度が、高いバーポライザ効率を示している。
【0084】
150Å/分の高い堆積速度処理がウエハ内およびウエハからウエハの優れたた均一性を有する高品質フィルムを提供できる。550℃のヒーター温度が470℃のウエハ温度と160Å/分の堆積速度を提供する。満足できる電気特性が169Å/分程度の高さの堆積速度で得られた。
【0085】
図22は1000Kのウエハ・ヒーターの温度分の1に対する
図21に示した堆積速度のログ(対数)グラフである。
図22に示したように、堆積速度に関する二つの区別されたレジメ(regimes)がある。前駆物質の質量移送が堆積処理を制限し、その堆積速度のログは約5またはそれより大きい。堆積処理は、堆積速度のログが約4またはそれより小さく制限された表面反応である。これらの二つのレジメ間の遷移は約550℃または約470℃のウエハ温度で発生する。500−550℃のレジメがステップの適用範囲の適正化のために優れた均一性を提供する。結果は温度を単に変化させ、堆積速度を監視することによって得られた。重要なのは、PMDETA前駆物質が高い分解率と470℃ウエハ温度における定格制御反応中で簡単な単一遷移で、優れた特性の反応機構を許容することである。
【0086】
図23は
図21につき説明した処理条件を用いて本発明によって製造された高品質フィルムを説明する。三つの堆積操作が二日周期にわたって実行され、1150Å、550Åおよび550Åの厚みを有するフィルムを堆積した。ウエハの均一性を、ウエハ番号対測定されたチタン濃度のグラフとウエハ番号対測定された堆積速度(Å/min)のグラフで示す。このグラフは、ウェハごとの堆積速度が均一であり、望ましいターゲットレートを達成することを示す。このグラフはまた、処理の改善の機会を表す各操作における最初の数個のウエハのためのTi濃度中の急速な変化も示す。このグラフは、さらに組成物が期待された堆積時間に対してそう敏感でないことを示す。
図23は、3パーツ、バリウム、ストロンチウムおよびチタン混合物の使用と連続流れモードでバーポライザを操作することによってさらに改善できる合理的なタイト・プロセス・コントロールを示す。
【0087】
図24は堆積中プラス・マイナス0.5℃のウエハ・ヒーター温度でTi感度試験の表である。この図は二つの分離したウエハに対するTi,BaおよびSrのモル%を示す。SiPrimeはこれまでに使用されていないシリコンを意味する。Si Reclは他の処理からの再使用シリコンを意味する。Pt/ox 1は、物理気相成長を用いてその上にプラチナがスパッタされている酸化シリコン基板である。Pt/ox 2は、電子ビーム・プラチナとしてさらに特徴付けられた酸化プラチナ基板である。マトリックスは、堆積が6個のケースの内5個で優れた反復性を生じる間にプラスまたはマイナス0.5℃を示す結果となった。さらに、マトリックスは、基板がPt対Siに対して約8−10モル%を超えるTiでコーティングされ、また20%Ti(I-pr-O)に対して約2モル%Tiの基板感度を示す。
【0088】
図25は
図21で説明したCVDBST処理中の温度に対するTi,BaおよびSrの組生物感度のグラフで、Ti,BaおよびSrの濃度(モル%)を、ウエハ・ヒーター温度に対してそれぞれプロットしたものである。約600℃において、堆積フィルムのTi濃度は、ヒーター温度が2℃上昇する毎に1モル%増える。約600℃において、堆積フィルムのBa濃度は、ヒーター温度が2.5℃上昇する毎に1モル%減る。約600℃において、堆積フィルムのSr濃度はヒーター温度が10℃上昇する毎に1モル%減るという強い温度依存性を呈する。この温度依存性は680℃のヒーター温度において実質上低下する。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、600−750℃範囲にヒーターを維持して電気特性と最適段階の適用範囲を最適にする。ある一定温度範囲で使用されたある種の化学物質が優れた結果をもたらすことが分かった。特に、ポリアミンをベースとしたBaおよびSr前駆物質およびTi(I-pr-O)が、本発明において最高の働きをすると考えられる前駆物質である。プラス・マイナス0.50℃のウエハ・コントロールが、上述した前駆物質に好ましい。
【0090】
実施例1
本発明に基づく好ましいプロセスは、BSTフィルムを、ガス分配シャワヘッドまたはフェイス・プレートから550ミル隔置された加熱基板ホルダー上にマウントされた200mmウエハウ上に堆積する。堆積は、ウエハ温度600℃と次の流量により1.7トルで生じる。第1前駆物質は、酢酸ブチル中33mg/minから200mg/minのBaPMDET(tmhd)
2とSrPMDET(tmhd)
2の混合物でモル比が2:1のBa:Srである。第2前駆物質は、酢酸ブチル中17mg/minから77mg/minのTi(I-pr-O)(tmhd)
2で、モル比が2:1:4のBa:Sr:Tiで提供される。40から160Å/分の堆積速度が2900sccmの処理ガス流量(すなわち、500sccmのO
2、500sccmのN
2O、1500sccmのAr
A、約900sccmのAr
Bの組み合わせ)を用いて達成される。本発明に基づくバーポライザも使用し、その前駆物質のためのバーポライザ・ラインは240℃に維持された。
【0091】
実施例2
他の実施例において、本発明に基づくプロセスが、BSTフィルムを、ガス分配シャワヘッドまたはフェイス・プレートから550ミル隔置された加熱基板ホルダー上にマウントされた200mmウエハウ上に堆積する。堆積は、ヒーター温度約680℃と次の流量により7トルで生じる。第1前駆物質は、酢酸ブチル中33mg/minから200mg/minのBaPMDET(tmhd)
2とSrPMDET(tmhd)
2の混合物でモル比が2:1のBa:Srである。第2前駆物質は、酢酸ブチル中17mg/minから77mg/minのTi(I-pr-O)(tmhd)
2で、モル比が2:1:4のBa:Sr:Tiで提供される。151Å/分の堆積速度が1300sccmの処理ガス流量(すなわち、250sccmのO
2、250sccmのN
2O、500sccmのAr
A、約300sccmのAr
Bの組み合わせ)を用いて達成される。本発明に基づくバーポライザも使用し、その前駆物質のためのバーポライザ・ラインは240℃に維持された。
図26と
図27に示したように、二つの混合処理は、25のウエハ・ランに対して反復可能な結果を示した。
【0092】
実施例3
他の実施例において、装置が溶剤としてアセトンを使用して洗浄した。使用されたアセトンは乾燥されていない。実施例1で説明したプロセスに基づく堆積プロセスを実行した。堆積速度において2x(2倍)の増大が観察された、これは残留アセトン溶媒が、前駆物質の基板への分配を安定させ、結果としてより高い堆積速度を呈したことを示している。アセトンが水素結合により前駆物質を安定化させ、これによってより前駆物質が反応のために基板面に分配されたと考えられる。
【0093】
実施例4
堆積プロセス中にアセトンのような溶剤の使用が前駆物質を安定化させ、より高い堆積速度の結果となったと考えられる。
【0094】
これまでの説明は、本発明の好ましい実施形態に向けられており、本発明の他のおよびさらなる実施形態はその基本範囲から外れることなしに案出され、またその範囲は特許請求の範囲によって決定される。