(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5760197
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】発熱体を埋設した硬質材料とその作製方法
(51)【国際特許分類】
C22C 29/08 20060101AFI20150716BHJP
C22C 29/14 20060101ALI20150716BHJP
C22C 29/16 20060101ALI20150716BHJP
B22F 3/14 20060101ALI20150716BHJP
B22F 7/06 20060101ALN20150716BHJP
【FI】
C22C29/08
C22C29/14 Z
C22C29/16 Z
B22F3/14 101A
!B22F7/06 D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-119679(P2011-119679)
(22)【出願日】2011年5月27日
(65)【公開番号】特開2012-246538(P2012-246538A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2013年12月17日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 経済産業省(戦略的基盤技術高度化支援事業)「高機能難焼結性粉末を低温・短時間でニアネット成形する動的加圧機構を搭載した次世代パルス通電焼結技術の実用化開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】398013532
【氏名又は名称】エス.エス.アロイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102004
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 政彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 博行
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶三
(72)【発明者】
【氏名】菊池 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】野崎 繭花
【審査官】
田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−297302(JP,A)
【文献】
特開2007−039752(JP,A)
【文献】
特開2008−138258(JP,A)
【文献】
特開2012−001755(JP,A)
【文献】
特開2012−077352(JP,A)
【文献】
特開2012−246537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 29/00 − 29/18
B22F 3/14
B22F 7/00 − 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有するセラミックス粒子を、鉄とアルミニウムからなる金属間化合物の結合相で結合させた硬質材料中に、炭素のバルク体を埋設した複合体の焼結体から構成される複合硬質材料であって、
上記導電性を有するセラミックス粒子が、炭化タングステン、窒化チタンまたは硼化チタンからなるセラミックス粒子であることを特徴とする複合硬質材料。
【請求項2】
複合体において、埋設した炭素の体積割合が5%を超える、請求項1に記載の複合硬質材料。
【請求項3】
硬質材料中における鉄とアルミニウムからなる結合相の割合が、40質量%以下である、請求項1に記載の複合硬質材料。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の複合硬質材料から構成されることを特徴とする通電焼結用の金型材料。
【請求項5】
請求項4に記載の金型材料からなる通電焼結用の金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体を埋設した硬質材料とその作製方法に関するものであり、更に詳しくは、導電性セラミックスを、鉄とアルミニウムからなる金属間化合物で結合した耐酸化性・耐熱性に優れる硬質材料と、バルク状の炭素を複合化させ、通電による発熱特性を向上させた複合硬質材料およびその該複合硬質材料からなる通電焼結用の金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属粉末やセラミックス粉末を固化成形し、バルク体を得るには、高温での焼結が必要となる。これらの材料の中でも、難焼結材では、ホットプレスのように、加熱と加圧を同時に行うことで、バルク材を作製している。近年、このような難焼結材の焼結については、ホットプレスよりもエネルギー効率の高い通電焼結法による焼結が注目を浴びている。
【0003】
通電焼結法は、型および試料粉末に通電することで発生するジュール熱を利用する方法であることから、急速加熱が可能な焼結方法であり、ホットプレス法に比べ、高速加熱が可能となる。このような高速加熱を効率的に行うために、通電焼結法では、高い電気抵抗率を有する黒鉛が主に型材料として用いられている。
【0004】
しかし、黒鉛の強度は、数10MPaと低く、黒鉛を型材料に用いた場合、材料強度が低く、高い圧力を必要とする焼結に用いることができない。また、黒鉛型で作製された焼結体は、炭素との反応の問題や寸法精度の悪さの面からも問題があった。そこで、高圧下での焼結では、超硬合金(導電性セラミックスであるWCをCoで結合した合金)が型材料として用いられている。
【0005】
しかし、この超硬合金は、電気の良導体であり、効率的な加熱ができない。また、超硬合金に黒鉛を複合化することで電気抵抗率の向上を試みても、炭素が超硬合金内に片状に析出し、強度を大幅に低下させることが知られている。
【0006】
しかも、超硬合金は、純金属であるコバルトを用いていることから、耐熱性に劣るという欠点もある。超硬合金は、電気の良導体であり、黒鉛のような効率的な加熱はできない。また、軟化や酸化の問題があり、高温(500℃以上)では使用できない。そのため、高電気抵抗率を有し、高温でも使用可能な高精度を有する金型材料の開発が望まれている。
【0007】
一方、コバルトに比べて、化学的に安定な鉄とアルミニウムからなる金属間化合物を結合相に用いたWC−(Fe−Al)合金がある[特許文献1、非特許文献1、2]。Fe−Al金属間化合物を結合相に用いることで、耐熱性の向上が報告されているが[非特許文献3]、その電気抵抗率は、従来の超硬合金と同程度であり、電気エネルギーを効率的に熱に変換することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2611177号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】粉体および粉末冶金,Vol.49(2002)284−289
【非特許文献2】粉体および粉末冶金,Vol.49(2002)1089−1093
【非特許文献3】粉体および粉末冶金 Vol.48(2001)986−989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、高電気抵抗率を有し、高温でも使用可能な高精度を有する金型材料を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、通電特性を有するセラミックス粒子を耐熱性に優れた鉄とアルミニウムからなる金属間化合物を結合相とした硬質材料中に、良好な発熱体である炭素のバルク体を埋設させることで、耐熱性に優れ、高強度で良好な発熱特性を有する金型材料を作製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑み、通電により加熱を行うための硬質材料として、タングステンおよび/またはチタンを含む導電性セラミックスを鉄とアルミニウムからなる金属間化合物で結合した硬質材料に、炭素のバルク体を複合化させてなる、耐熱性に優れ、局所的な加熱を可能にした硬質材料を提供することを目的とするものである。本発明は、黒鉛型よりも強度が大きく、超硬合金型よりも発熱特性に優れる(電気抵抗率が高い)金型材料およびその作製方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)導電性を有するセラミックス粒子を、鉄とアルミニウムからなる金属間化合物の結合相で結合させた硬質材料中に、炭素のバルク体を埋設した複合体の焼結体から構成される
複合硬質材料であって、
上記導電性を有するセラミックス粒子が、炭化タングステン、窒化チタンまたは硼化チタンからなるセラミックス粒子であることを特徴とする複合硬質材料。
(
2)複合体において、埋設した炭素の体積割合が5%を超える、前記(1)に記載の複合硬質材料。
(
3)硬質材料中における鉄とアルミニウムからなる結合相の割合が、40質量%以下である、前記(1)に記載の複合硬質材料。
(
4)前記(1)から(
3)のいずれかに記載の複合硬質材料から構成されることを特徴とする通電焼結用の金型材料。
(
5)前記(
4)に記載の金型材料からなる通電焼結用の金型。
【0013】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
通電焼結法では、電気抵抗率の大きい(発熱効率の良い)、黒鉛が型材料として用いられている。しかし、黒鉛の強度は、数10MPaと低く、高圧を要する難焼結材料の焼結には使用することができない。また、黒鉛型では、材料との反応や型精度の悪さから、ニアネット成形を行うことは困難である。
【0014】
一方、超硬合金(WC−Co合金)は、数100MPaの高圧で使用することができ、型精度も黒鉛型に比べてはるかに高い。しかし、低電気抵抗のため、通電による発熱特性が悪い。そこで、炭素などの良好な発熱体を合金中に分散させることで、電気抵抗率の向上を試みても、炭素は、WC−Co合金と高温で反応し、片状に分散して、その強度が低下することが知られている。また、超硬合金(WC−Co合金)は、純金属であるコバルトを用いているため、耐熱性に劣ることも欠点として挙げられる。
【0015】
一方、Fe−Al金属間化合物を結合相として用いたWC−(Fe−Al)超硬合金が存在する。この合金に用いられているFe−Al合金は、化学的に安定であり、これを結合相として用いたWC−(Fe−Al)合金は、WC−Co合金に比べて、耐熱性に優れることが知られている。
【0016】
本発明者らは、このようなFe−Al金属間化合物を結合相として用いた硬質材料に、炭素を複合化させることで、炭素の反応を抑制し、通電による発熱効率を向上させることに成功した。一般的に、複合化は、微細な炭素を合金中に均一に分散させることで、強度の低下を抑制した形で行われる。このような場合、通電時に、硬質材料全体を均一に加熱することができる。
【0017】
一方、炭素のバルク材を、WC粒子とFe−Al合金からなる硬質材料中に埋設させることで、強度は、外部の硬質材料で担保し、発熱を、内部の黒鉛に行わせることで、局所的な加熱を行うことが可能となる。
【0018】
また、この際に用いることができる粒子は、導電性を有する硬質粒子(TiB
2やTiNなど)であればWCと同様に用いることができる。更には、黒鉛型は、金型に比べ精度が劣り、黒鉛と金属が反応するといった問題点も存在したが、このような金型材料を用いることで、黒鉛との反応を抑制し、高い寸法精度を有する金型材料を得ることができる。
【0019】
本発明では、炭素のバルク体を、Fe−Al金属間化合物を結合相とした硬質材料に埋設させることで、通電による発熱に意図的な温度分布を持たせることが可能となる。すなわち、炭素近傍では、より高温となり、離れた部分では、低温となる。
【0020】
このような材料を、通電焼結用の金型として用いた場合、黒鉛により近い部分は高温となり、焼結体に温度分布を持たせることができ、その組織を意図的に変化させることができる。また、本発明は、焼結温度が大きく異なる材料を同時に焼結する際にも適用可能であり、傾斜材料の作製にも適用することができる。加えて、局所的な加熱により、試料の部分的な熱処理などが可能となり、傾斜化や部分的な機能化などにも適用できる。
【0021】
低電気抵抗のため、通電による発熱特性が低いWC−Co合金の特性を改善するためには、炭素などの良好な発熱体を合金中に分散させることが有効な手法と考えられる。しかしながら、炭素は、WC−Co合金と高温で反応し、片状に分散し、その強度が低下することが知られている。また、WC−Co合金は、純金属であるコバルトを用いているため、耐熱性に劣る。
【0022】
一方、Fe−Al金属間化合物を結合相として用いたWC−(Fe−Al)超硬合金が存在する。この合金に用いられているFe−Al合金は、化学的に安定であり、これを結合相として用いたWC−(Fe−Al)合金は、WC−Co合金に比べて、耐熱性に優れることが知られている。そこで、本発明者らは、Fe−Al金属間化合物を結合相として用いた硬質材料に、炭素を複合化させることで、通電による発熱効率を向上させることを試みた。
【0023】
一般的に、上記硬質材料の複合化は、微細な炭素を合金中に均一に分散させることで、強度の低下を抑制した形で行われる。このような場合、通電時に、硬質材料全体を均一に加熱することが可能となる。一方、炭素のバルク材を、セラミックス粒子とFe−Al合金からなる硬質材料中に埋設させることで、強度は、外部の硬質材料で担保し、発熱を、内部の黒鉛に行わせることで、局所的な加熱を行うことが可能となる。
【0024】
当該硬質材料から構成される金型を、例えば、通電焼結用の金型として用いた場合、黒鉛により近い部分は高温となり、焼結体に温度分布を持たせることができ、その組織を意図的に変化させることができる。また、当該硬質材料から構成される金型は、焼結温度が大きく異なる材料を同時に焼結する際にも適用可能であり、傾斜材料の作製にも適用することができる。また、この金型は、局所的な加熱により、試料の部分的な熱処理を行うことが可能となり、傾斜化や部分的な機能化などにも適用することが可能である。
【0025】
本発明における複合硬質材料は、炭素のバルク体が所定の位置となるように硬質材料の原料粉末とともに圧粉したのち、焼結することで作製することができる。この場合、圧粉方法や焼結方法は、特に限定しないが、従来用いられているプレス成型、真空焼結、HIP、ホットプレス、通電焼結などの手段を広く用いることができる。また、作製した複合硬質材料は、従来の超硬合金と同様に、形状加工、仕上げ加工を行うことが可能である。
【0026】
作製した複合硬質材料に、通電を行うと、埋設した炭素が、優先的に発熱する。その際、複合硬質材料は、700℃、100MPaの条件でも、変形することはない。また、結合相中のFe−Al金属間化合物が40質量%を超えると、強度、硬さが低下する。
【0027】
従来の通電焼結に用いられている黒鉛型は、加熱特性に優れるが、高い焼結圧力を要する難焼結材に対する型材料としては、強度不足である。また、黒鉛型を用いて作製した焼結体には、寸法精度や黒鉛との反応の問題が存在する。一方、高精度な焼結体を作製でき、なおかつ高圧力下で使用できるWC−Co超硬合金は、高温での使用が困難であり、電気抵抗が低く、通電時の加熱特性が悪い。
【0028】
このため、高精度、高い焼結圧力および温度を必要とする材料に対して好適な焼結型は、これまで存在しなかった。本発明による複合硬質材料を用いることで、高温で加圧力を上げた焼結が可能になり、これまで焼結が困難であった材料に対する型材料として好適に適用することができ、新規特性を有した材料の焼結が可能となり、また、得られる焼結体の精度も高く、炭素との反応も抑制することができる。
【0029】
加えて、本発明による複合硬質材料を用いることで、通電による局所的な加熱が可能となり、焼結温度に大きな差のある材料の同時焼結や傾斜機能材料の作製、通電加熱による局所的な熱処理などが可能となる。例えば、金属試料を局所的に加熱することで、同一試料内に結晶粒径に差を持たせ、強度、延性バランスに優れた材料を作製することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、以下のような効果が奏される。
(1)通電焼結用の金型材料として有用な複合硬質材料およびその金型を提供することができる。
(2)上記複合硬質材料により、高温で加圧力を上げた焼結が可能になり、これまで焼結が困難であった材料に対する型材料として適用でき、新規特性を有した材料の焼結が可能となる。
(3)得られる焼結体の精度も高く、炭素との反応も抑制することができる。
(4)通電による局所的な加熱が可能となり、焼結温度に大きな差のある材料の同時焼結や傾斜機能材料の作製、通電加熱による局所的な熱処理などが可能となる。
(5)金属試料を局所的に加熱することで、同一試料内に結晶粒径に差を持たせ、強度、延性バランスに優れた材料を作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】カーボンを埋設したWC−10(Fe−Al)合金のXRDを示す。
【
図2】カーボンを埋設したWC−10(Fe−Al)合金の通電時のサーモカメラ像と試験片の模式図を示す。
【
図3】カーボンを埋設したWC−10(Fe−Al)合金の加熱時の試料の膨張と最高温度での外観写真を示す。
【
図4】カーボンを埋設したTiN−10(Fe−Al)合金の加熱時の試料断面の温度分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。すなわち、本発明は、その技術思想の範囲において、本実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
【実施例1】
【0033】
炭化タングステン粉末、鉄粉末、アルミニウム粉末を、WC−10mass%(Fe−Al)の組成になるように秤量し、アルゴン雰囲気化でメカニカルミリングを行ったのち、内径10mm、外径20mm、高さ50mmの黒鉛型に充填して、焼結することにより、φ10mm×15mmの焼結体を作製した。焼結は、真空中で行い、30MPaの加圧下にて加熱し、1200℃で3分間保持した。
【0034】
この際、直径3.5mm、高さ9mmの炭素棒を上記材料の中心に埋設させ、焼結を行った。得られた焼結体の構成相を、X線回折にて調べた。その結果を、
図1に示す。この
図1より、作製した硬質材料からは、炭化タングステンとFe−Al金属間化合物のピークが確認できる。また、埋設した炭素(黒鉛)のピークも確認できる。
【実施例2】
【0035】
実施例1で作製した焼結体を、縦方向に半分に切断し、上下面を電極で挟み通電させた際の温度変化を、サーモカメラで観察した様子を、
図2の左図に示す。また、右図には、作製した複合体の模式図を併せて示す。この図より、中心部の炭素が優先的に発熱している様子がわかる。(白色部分の温度が高い。)
【実施例3】
【0036】
実施例1で作製した複合体の上下面を、加圧力100MPaで挟んだのち、真空で700℃まで昇温を行った。その際の温度変化、焼結体の膨張および最高温度での試料の外観写真を、
図3に示す。この図より、加熱に伴い、試料は、熱膨張により直線的に膨張していることがわかる。また、最高到達温度に達した時点においても、変形はしていない。
【実施例4】
【0037】
窒化チタン粉末、鉄粉末、アルミニウム粉末を、TiN−10mass%(Fe−Al)の組成になるように秤量し、アルゴン雰囲気化でメカニカルミリングを行ったのち、内径10mm、外径20mm、高さ50mmの黒鉛型に充填して、焼結することにより、φ10mm×15mmの焼結体を作製した。焼結は、真空中で行い、30MPaの加圧下にて加熱し、1300℃で3分間保持した。
【0038】
この際、直径3.5mm、高さ9mmの炭素棒を上記材料の中心に埋設させ、焼結を行った。この複合体の上下面を100MPaの圧力で挟みこんだのち、通電を行い、700℃まで加熱した。その際、複合体の変形や座屈は、認められなかった。
【実施例5】
【0039】
実施例4で作製した複合体を、縦方向に切断し、上下面を電極で挟み通電を行った。その際の加熱挙動を、サーモカメラで撮影した結果を、
図4に示す。通電により、中心部の黒鉛が優先的に加熱されることがわかる。
【実施例6】
【0040】
硼化チタン粉末、鉄粉末、アルミニウム粉末を、TiB
2−10mass%(Fe−Al)の組成になるように秤量し、アルゴン雰囲気化でメカニカルミリングを行ったのち、内径10mm、外径20mm、高さ50mmの黒鉛型に充填して、焼結することにより、φ10mm×15mmの焼結体を作製した。焼結は、真空中で行い、30MPaの加圧下にて加熱し、1300℃で3分間保持した。
【0041】
この際、直径3.5mm、高さ9mmの炭素棒を上記材料の中心に埋設させ、焼結を行った。作製した焼結体を、縦方向に切断し、上下間を電極で挟み通電を行った。その際の温度を熱電対にて測定したところ、中心部の黒鉛は、350℃に加熱されているのに対し、焼結体の外部は、150℃以下であった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上詳述したとおり、本発明は、発熱体を埋設した硬質材料とその作製方法に係るものであり、本発明により、高温で加圧力を上げた焼結が可能になり、これまで焼結が困難であった材料に対する型材料として適用でき、新規特性を有した材料の焼結が可能となる。また、それにより、得られる焼結体の精度も高く、炭素との反応も抑制することができる。また、本発明により、通電による局所的な加熱が可能となり、焼結温度に大きな差のある材料の同時焼結や傾斜機能材料の作製、通電加熱による局所的な熱処理などが可能となる。本発明は、高温で加圧力を上げた焼結を可能とし、また、金属試料を局所的に加熱することで、同一試料内に結晶粒径に差を持たせ、強度、延性バランスに優れた材料を作製することを可能とするものとして有用である。