(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の方法は、元画像の鮮明度とは無関係に、印刷サイズに応じて鮮明化を行うものである。したがって、十分な鮮明度を有する画像にも鮮明化を行うこととなる。十分に鮮明な画像に対する鮮明化は、無駄な時間および電力を浪費するばかりか、不要な鮮明化による不自然なエッジ強調やノイズの増加などの画像劣化が起きる可能性もある。
【0005】
本発明は、印刷に最適な鮮明度を有する画像を作成可能な画像鮮明化装置、画像出力装置
、画像鮮明化プログラム
、画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する
。
【0007】
本発明の一実施形態は、印刷を行う画像を取得する画像入力
部と、前記画像入力
部により取得された画像のボケ度合いを判定するボケ度合い判定
部と、前記画像を印刷する際の出力サイズを取得する出力サイズ取得
部と、前記ボケ度合い判定部により判定されたボケ度合をもとに、前記出力サイズ取得
部により取得された出力サイズでの印刷に適した鮮明度から不足している不足鮮明度を算出する不足鮮明度算出
部と、前記不足鮮明度算出
部によって求められた前記不足鮮明度に基づいて前記画像に対して鮮明化を行い、印刷に適した鮮明化画像を取得する鮮明化
部と、を備えること、を特徴とする画像鮮明化装
置である。
また、本発明の一実施形態は、コンピュータを、印刷を行う画像を取得する画像入力手段と、前記画像入力手段により取得された画像のボケ度合いを判定するボケ度合い判定手段と、前記画像を印刷する際の出力サイズを取得する出力サイズ取得手段と、前記ボケ度合い判定手段により判定されたボケ度合をもとに、前記出力サイズ取得手段により取得された出力サイズでの印刷に適した鮮明度から不足している不足鮮明度を算出する不足鮮明度算出手段と、前記不足鮮明度算出手段によって求められた前記不足鮮明度に基づいて前記画像に対して鮮明化を行い、印刷に適した鮮明化画像を取得する鮮明化手段として機能させること、を特徴とする画像鮮明化プログラムである。
さらに、本発明の一実施形態は、印刷を行う画像を取得する画像入力部と、前記画像入力部により取得された画像のボケ度合いを判定するボケ度合い判定部と、前記画像を印刷する際の出力サイズを取得する出力サイズ取得部と、前記ボケ度合い判定部により判定されたボケ度合と、前記出力サイズ取得部により取得された出力サイズの情報と、に基づいて前記画像を補正する補正部と、を備えること、を特徴とする画像処理装置である。
また、本発明の一実施形態は、コンピュータを、印刷を行う画像を取得する画像入力手段と、前記画像入力手段により取得された画像のボケ度合いを判定するボケ度合い判定手段と、前記画像を印刷する際の出力サイズを取得する出力サイズ取得手段と、前記ボケ度合い判定手段により判定されたボケ度合と、前記出力サイズ取得手段により取得された出力サイズの情報と、基づいて前記画像を補正する補正手段として機能させること、を特徴とする画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷に最適な鮮明度を有する画像を作成可能な画像鮮明化装置、画像出力装置
、画像鮮明化プログラム
、画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態にかかる画像鮮明化装置10について説明する。
図1は、画像鮮明化装置10の構成を示すブロック図である。本実施形態の画像鮮明化装置10は、プリンタでの印刷の前処理として使用されるものである。
【0011】
画像鮮明化装置10は、例えば、デジタルカメラ等において撮影された元画像が入力される画像入力部12を備える。また、画像鮮明化装置10は、画像入力部12から入力された元画像のボケ度合いを判定するための、後述のボケ度合い判定部14と、画像入力部12から入力された元画像から、その元画像の画像サイズを取得する画像サイズ取得部16と、印刷時の画像の出力サイズを取得する出力サイズ取得部18と、を備える。
【0012】
画像鮮明化装置10は、さらに出力サイズ選択部を備えても良く、この場合、出力サイズ取得部18は、出力サイズ選択部により選択された出力サイズを読み取ることで出力サイズを取得してもよい。また、出力サイズが外部装置により設定される場合、外部装置により設定された出力サイズを読み取ることで出力サイズを取得してもよい。
【0013】
さらに、画像鮮明化装置10は、画像入力部12で取得された画像を印刷する際の最適な鮮明度に対して、不足している鮮明度を判定する不足鮮明度算出部20と、不足している鮮明度を補い、画像を印刷に最適な鮮明度にする鮮明化部22とを備える。
【0014】
次に、ボケ度合い判定部14の構成について説明する。
図2はボケ度合い判定部14の構成を示すブロック図である。ボケ度合い判定部14は、画像入力部12で取得された元画像Voにボケを付加し、ボケ付加画像Vbを作成するボケ付加処理部142と、ボケ付加画像Vbのコントラスト評価値Sbと、元画像Voのコントラスト評価値Soとを算出するコントラスト評価値算出部144と、ボケ付加画像Vbのコントラスト評価値Sbと、元画像Voのコントラスト評価値Soとを比較してコントラスト比較値Sb/Soを求めるコントラスト比較部146と、コントラスト比較値Sb/Soよりボケ度合いを評価するボケ評価部148とを備える。
【0015】
この画像鮮明化装置10の動作について説明する。
図1において画像入力部12より印刷対象の元画像Voが入力されると、
図2示すボケ度合い判定部14においてボケ度合いが判定される。
ボケ度合い判定部14における処理は、以下のように行われる。
まず、ボケ付加処理部142は、元画像Voにボケを付加する。
ボケの付加の処理としては、例えば、周知のガウシアンフィルタを使用する方法を用いる。
図3は、
図2のボケ付加処理部142において用いられるボケフィルターの一例を示したものである。ここには、マトリックスサイズ5×5、標準偏差1のガウシアンフィルタを示したが、他のガウシアンフィルタや、他の平均化フィルタなどでも原理的には代用可能である。このフィルタを元画像にコンボリューションすることにより、ボケ付加画像を生成する。
【0016】
次に、コントラスト評価値算出部144は、ボケ付加処理部142においてボケが付加された画像Vbに対してコントラスト評価値Sbを算出する。
【0017】
コントラスト評価値は以下のように求められる。
xy平面に広がる二次元画像を構成する各画素の輝度成分をV(m,n)(m:x方向の画素番号、n:y方向の画素番号)とすると、この画像のx方向の輪郭を考慮したコントラスト評価値Sは、
S=Σ(V(m,n+1)−V(m,n))
2 …(1)
となる。
【0018】
また、画像のy方向の輪郭を考慮したコントラスト評価値Sを、
S=Σ(V(m+1,n)−V(m,n))
2 …(2)
として求め、このコントラスト評価値Sを用いるようにしてもよい。
【0019】
さらには、画像のx方向及びy方向双方の輪郭を考慮して、コントラスト評価値Sを、
S=Σ(V(m,n+1)−V(m,n))
2+Σ(V(m+1,n)−V(m,n))
2 …(3)
として求め、このコントラスト評価値Sを用いることにより、画像全体のコントラストをより正確に評価することが可能となる。なお、(1)〜(3)式において、Σは、画素番号m,nについての総和を表すものとする。
【0020】
一方、コントラスト評価値算出部144は、画像入力部12から直接供給されるボケが付加されていない画像Voのコントラスト評価値Soも算出する。
【0021】
そして、コントラスト比較部146は、ボケが付加された画像Vbのコントラスト評価値Sbと、ボケが付加されていない画像Voのコントラスト評価値Soとのコントラスト比Sb/Soを算出する。
次いで、ボケ評価部148は、コントラスト比較部146で算出されたコントラスト比Sb/Soに基づいてボケの度合いBを評価する。
【0022】
図4は、このボケ度合い判定部14におけるボケ判定原理の説明図である。横軸は、画像のボケの程度を表すボケ量を示し、縦軸は、コントラスト評価値算出部144で算出したコントラスト評価値を示す。
【0023】
入力された画像が、ピントが合っているシャープな画像の場合、ボケが付加された画像のコントラストは大きく低下する。そのため、元画像Voとボケ付加画像Vbのコントラスト評価値の比Sb1/So1は小さな値となる。
一方、元々ぼけている画像は、ボケを付加してもコントラストの低下が小さいので、元画像Voとボケ付加画像Vbのコントラスト評価値の比Sb2/So2は大きな値となる。
よって、元画像Voとボケ付加画像Vbのコントラスト評価値の比Sb/Soにより画像のボケ具合の判定が出来る。この判定結果により求めたボケ度合いをBとする。
【0024】
図1に戻り、画像鮮明化装置10は、画像サイズ取得部16により入力された元画像の画像サイズを取得する。また、出力サイズ取得部18は、設定されている出力サイズを取得する。
【0025】
不足鮮明度算出部20は、選択された出力サイズで許容できる許容ボケ度合いを求める。
この許容ボケ度合いは、予め許容できる量を求めテーブルなどにしてデータを持っておき、参照により求めるようにすればよい。
この許容ボケ度合いをP(レベルに応じて1,2,3,4等)とする。B(ボケ度合い)−P(許容ボケ度合い)が不足鮮明度Lとなる。
【0026】
ここで、一般的に画像のボケの度合いは、エッジのつぶれ具合に応じた値になる。ここで、ボケ度合い判定部14は、例えば、白黒の境目のエッジがあり、ボケによりエッジがつぶれ白から黒へ移り変わるのに、中間の輝度値であるグレーのピクセルが10ピクセルある場合、10ピクセルのボケと定義する。
しかし、同じ10ピクセルのボケでも6Mピクセルの画像と24Mピクセルの画像では同じ印刷サイズでは異なったボケ具合に見えてしまう。
よって、不足鮮明度算出部20は、画像サイズにより不足している鮮明化の度合いを補正する。
【0027】
具体的には、不足鮮明度算出部20は、ボケ度合い判定部14により判定されたボケ量と、画像サイズを加味して、例えば、画像サイズをSとした場合
L=α*(B−P/S^0.5)
等の変更を行う。
【0028】
鮮明化部22は、この不足鮮明度Lの大きさに応じて、鮮明化の度合いを変更する。具体的には、鮮明化部22は、例えばUSM(アンシャープマスク)の場合、標準偏差や強度を変更することにより鮮明化の度合いを変更する。L<0の場合は、画像がその出力サイズに対して十分にシャープであるので、鮮明化を行う必要は無い。
【0029】
以上、第1実施形態によると、元画像の鮮明度をもとに、印刷の出力サイズに応じて鮮明化を行う。したがって、十分な鮮明度を有する画像に鮮明化を行うといったことがなく、無駄な時間および電力の浪費が避けられ、不要な鮮明化による不自然なエッジ強調やノイズの増加などの画像劣化が起きることがない。
【0030】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の画像鮮明化装置200について説明する。
図1に示す第1実施形態の画像鮮明化装置10と第2実施形態の画像鮮明化装置200とは、ボケ度合い判定部が異なるが、他の構成要素は同一であり、同一の部分の説明は省略する。
【0031】
図5に第2実施形態のボケ度合い判定部24の構成を示す。第2実施形態の画像鮮明化装置200のボケ度合い判定部24は、画像入力部12から入力された画像Voに対して、ボケ付加度合いの異なるボケ付加処理を施す第1ボケ付加処理部241及び第2ボケ付加処理部242と、コントラスト評価値算出部244と、コントラスト比較部246と、ボケ評価部248とを備える。
【0032】
第1ボケ付加処理部241と、第2ボケ付加処理部242とのボケ付加度合いは異なっている。元画像に第1ボケ付加処理部241によりボケを付加して第1のボケ付加画像Vb1と、元画像に第2ボケ付加処理部242によりボケを付加して第2のボケ付加画像Vb2を作成する。第2ボケ付加処理部242で付加されるボケ量は、第1ボケ付加処理部241で使われるボケ量よりも大きいものとする。
たとえば、第1ボケ付加処理部241で使われるボケフィルターをマトリックスサイズ5×5、標準偏差1、第2ボケ付加処理部242で使われるボケフィルターをマトリックスサイズ15×15、標準偏差3とする。
【0033】
あるいは、第2ボケ付加処理部242で使われるボケフィルターを第1のものと同じものにして、複数回繰り返すのでも良い。このようにして作成された、第1のボケ付加画像Vb1と第2のボケ付加画像Vb2それぞれの、コントラスト値をS1、S2とする。コントラスト値S1、S2の比、S2/S1で画像のボケ具合の判定が出来る。ボケ付加によるコントラスト値の変化量が、画像のノイズによる影響を受けやすいので、この方法によりノイズの影響を小さくすることが出来る。
【0034】
以上、第2実施形態によると、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を有する。
画像入力部12から入力された画像Voは、第1ボケ付加処理部241及び第2ボケ付加処理部242において、異なるボケ付加処理が施された後、コントラスト比較部246において、ボケ付加された各画像Vb1、Vb2からコントラスト比を算出し、ボケの有無を自動判定している。そのため、画像のエッジ部分以外の情報(ノイズ等)の影響を軽減でき、画像がボケているか否かをより正確に判定することができる。
【0035】
(第3実施形態)
上記の実施形態では、画像鮮明化装置10,24として説明したが、本発明はこれに限定されず、画像鮮明化プログラムであっても良い。また、この画像鮮明化プログラムは、CD等の記録媒体に記録された形であっても良い。
この場合、画像鮮明化プログラムは、コンピュータにインストールされると、コンピュータを、例えば、デジタルカメラ等において撮影された元画像が入力される画像入力手段と、画像入力手段により入力された元画像のボケ度合いを判定する、ボケ度合い判定手段と、画像入力手段により入力された元画像から、その元画像の画像サイズを取得する画像サイズ取得手段と、印刷時の画像の出力サイズを取得する出力サイズ取得手段として機能させる。そして、これらの手段は、第1実施形態の各部と同様に動作する。なお、画像判定プログラムは、コンピュータに対して上記第2実施形態の画像判定装置110の動作を行わすものであっても良い。
【0036】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
本実施形態において画像鮮明化装置及び画像鮮明化プログラムについて説明したが、これに限定されず、画像鮮明化装置及び画像鮮明化プログラムは、画像出力部を備えたプリンタ等の画像出力装置に装備されていても良い。
【0037】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は、以上説明した実施形態によって限定されることはない。