特許第5760792号(P5760792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5760792
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】焦点調節装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20060101AFI20150723BHJP
   G02B 7/34 20060101ALI20150723BHJP
   G02B 7/36 20060101ALI20150723BHJP
   G03B 13/36 20060101ALI20150723BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20150723BHJP
   H04N 5/238 20060101ALI20150723BHJP
   H04N 5/243 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   G02B7/28 N
   G02B7/34
   G02B7/36
   G03B13/36
   H04N5/232 H
   H04N5/238 Z
   H04N5/243
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-160701(P2011-160701)
(22)【出願日】2011年7月22日
(65)【公開番号】特開2013-25132(P2013-25132A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高原 宏明
【審査官】 小倉 宏之
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28
G02B 7/34
G02B 7/36
G03B 13/36
H04N 5/232
H04N 5/238
H04N 5/243
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点調節光学系を有する光学系を介した一対の光束を受光する一対の受光センサと、
前記一対の受光センサの出力に基づいて、前記光学系による像面のずれ量を検出する位相差検出部と、
前記焦点調節光学系を光軸方向に駆動させることで、前記光学系の焦点調節を行う焦点調節部と、
前記焦点調節部による焦点調節を起動する起動部と、
前記位相差検出部により検出されたずれ量を記憶する記憶部と、
露光時間、撮像感度、および絞り値を含む露出制御値に基づいて、前記一対の受光センサの露出制御を行う露出制御部と、
前記ずれ量の信頼性の閾値である第1閾値を、前記ずれ量の信頼性が前記第1閾値以上である場合に、該ずれ量に基づいて焦点調節を行うことで焦点調節後におけるずれ量が、被写体の被写界深度の範囲内となると判断できるような閾値に設定する第1閾値設定部と、
前記ずれ量の信頼性の閾値である第2閾値を、前記ずれ量の信頼性が前記第2閾値未満である場合に、該ずれ量に基づいて光軸方向のうち合焦位置が存在する方向を判断できるに留まるような閾値に設定する第2閾値設定部と、
前記起動部により、前記焦点調節の起動が行われた場合に、前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量の信頼性が、前記第1閾値以上であるか否か、および、前記第2閾値未満であるか否かを判定する判定手段と、
前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量の信頼性が、前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記露出制御部に露出制御値を変更させずに、前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量に基づいて、前記焦点調節部に前記焦点調節光学系を駆動させる第1制御部と、
前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量の信頼性が、前記第1閾値未満であり、かつ、前記第2閾値以上である場合には、前記光学系の絞り値を固定したまま、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させることで、焦点検出に適した露出となるか否かを判断し、焦点検出に適した露出となる場合には、前記露出制御部に、前記光学系の絞り値を固定したまま、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させて露出制御を行わせ、焦点検出に適した露出とならない場合には、前記露出制御部に、前記光学系の絞り値に加えて、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させて露出制御を行わせる第2制御部と、
前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量の信頼性が、前記第2閾値未満である場合には、前記露出制御部に、前記光学系の絞り値を固定させずに、前記絞り値、前記露光時間、および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させて露出制御を行わせる第3制御部と、を備えることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点調節装置において、
前記第2制御部は、前記光学系の絞り値を固定したまま、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させた場合に、焦点検出に最適な露出よりも所定の段数だけ明るい露出または所定の段数だけ暗い露出となる場合でも、焦点検出に適した露出となると判断し、前記露出制御部に、前記光学系の絞り値を固定したまま、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させて露出制御を行わせることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の焦点調節装置において、
前記光学系による像を撮像し、撮像した像に対応する画像信号を出力する撮像部と、
前記撮像部により出力された前記画像信号に基づいて、前記光学系による像のコントラストに関する評価値を算出することで、前記光学系の焦点状態を検出するコントラスト検出部と、をさらに備え、
前記一対の受光センサは、前記撮像部の受光面に備えられることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の焦点調節装置において、
前記位相差検出部は、前記焦点調節が起動しているか否かに拘わらず、前記ずれ量の検出を行うことを特徴とする焦点調節装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の焦点調節装置を備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調節装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レリーズボタンが半押しされた後に、光学系の焦点状態の検出を行う焦点調節装置が知られている。このような焦点調節装置において、光学系の焦点状態の検出を行う際に、焦点検出に適した露出でない場合には、焦点検出に適した露出となるように露出制御を行い、焦点検出に適した露出とした後に、光学系の焦点状態の検出を行う技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−316271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、レリーズボタンが半押しされた後に、焦点検出に適した露出でない場合に、焦点検出に適した露出となるように露出制御が行われるため、レリーズボタンが半押しされてから、フォーカスレンズが駆動されるまでに、時間を要してしまう場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、好適な焦点調節が可能な焦点調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明に係る焦点調節装置は、焦点調節光学系(32)を有する光学系を介した一対の光束を受光する一対の受光センサ(222a,222b)と、前記一対の受光センサの出力に基づいて、前記光学系による像面のずれ量を検出する位相差検出部(21)と、前記焦点調節光学系を光軸方向に駆動させることで、前記光学系の焦点調節を行う焦点調節部(36)と、前記焦点調節部による焦点調節を起動する起動部(28)と、前記位相差検出部により検出されたずれ量を記憶する記憶部(24)と、露光時間、撮像感度、および絞り値を含む露出制御値に基づいて、前記一対の受光センサの露出制御を行う露出制御部(21)と、前記ずれ量の信頼性の閾値である第1閾値を、前記ずれ量の信頼性が前記第1閾値以上である場合に、該ずれ量に基づいて焦点調節を行うことで焦点調節後におけるずれ量が、被写体の被写界深度の範囲内となると判断できるような閾値に設定する第1閾値設定部(21)と、前記ずれ量の信頼性の閾値である第2閾値を、前記ずれ量の信頼性が前記第2閾値未満である場合に、該ずれ量に基づいて光軸方向のうち合焦位置が存在する方向を判断できるに留まるような閾値に設定する第2閾値設定部(21)と、前記起動部により、前記焦点調節の起動が行われた場合に、前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量の信頼性が、前記第1閾値以上であるか否か、および、前記第2閾値未満であるか否かを判定する判定手段(21)と、前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量の信頼性が、前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記露出制御部に露出制御値を変更させずに、前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量に基づいて、前記焦点調節部に前記焦点調節光学系を駆動させる第1制御部(21)と、前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量の信頼性が、前記第1閾値未満であり、かつ、前記第2閾値以上である場合には、前記光学系の絞り値を固定したまま、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させることで、焦点検出に適した露出となるか否かを判断し、焦点検出に適した露出となる場合には、前記露出制御部に、前記光学系の絞り値を固定したまま、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させて露出制御を行わせ、焦点検出に適した露出とならない場合には、前記露出制御部に、前記光学系の絞り値に加えて、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させて露出制御を行わせる第2制御部(21)と、前記焦点調節を起動する前に検出された前記ずれ量の信頼性が、前記第2閾値未満である場合には、前記露出制御部に、前記光学系の絞り値を固定させずに、前記絞り値、前記露光時間、および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させて露出制御を行わせる第3制御部(21)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
[2]上記焦点調節装置に係る発明において、前記第2制御部(21)は、前記光学系の絞り値を固定したまま、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させた場合に、焦点検出に最適な露出よりも所定の段数だけ明るい露出または所定の段数だけ暗い露出となる場合でも、焦点検出に適した露出となると判断し、前記露出制御部(21)に、前記光学系の絞り値を固定したまま、前記露光時間および前記撮像感度のうち少なくとも1つを変更させて露出制御を行わせるように構成することができる。
【0009】
[3]上記焦点調節装置に係る発明において、前記光学系による像を撮像し、撮像した像に対応する画像信号を出力する撮像部(22)と、前記撮像部により出力された前記画像信号に基づいて、前記光学系による像のコントラストに関する評価値を算出することで、前記光学系の焦点状態を検出するコントラスト検出部(21)と、をさらに備え、前記一対の受光センサ(222a,222b)は、前記撮像部の受光面に備えられるように構成することができる。
【0010】
[4]上記焦点調節装置に係る発明において、前記位相差検出部(21)は、前記焦点調節が起動しているか否かに拘わらず、前記ずれ量の検出を行うように構成することができる。
【0011】
[5]本発明に係る撮像装置は、上記焦点調節装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、好適な焦点調節が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係るカメラを示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す撮像素子の撮像面における焦点検出位置を示す正面図である。
図3図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
図4図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図である。
図5図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図である。
図6図6は、撮像画素221の一つを拡大して示す断面図である。
図7図7(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す断面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す断面図である。
図8図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図9は、本実施形態に係るカメラの動作例を示すフローチャートである。
図10図10は、ステップS119のスキャン動作実行処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
【0016】
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0017】
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
【0018】
このフォーカスレンズ32の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒3に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ32を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ36によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1に沿って直進移動することになる。
【0019】
上述したようにレンズ鏡筒3に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ36がレンズ鏡筒3に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ36と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ32は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0020】
フォーカスレンズ32の位置はエンコーダ35によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ32の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒3に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0021】
本実施形態のエンコーダ35としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0022】
フォーカスレンズ32は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
【0023】
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
【0024】
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるメモリ24に記録される。メモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。なお、撮像素子22の撮像面の前方には、赤外光をカットするための赤外線カットフィルタ、および画像の折り返しノイズを防止するための光学的ローパスフィルタが配置されている。撮像素子22の構造の詳細は後述する。
【0025】
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された撮影画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
【0026】
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へデフォーカス量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0027】
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出を行う。なお、具体的な焦点状態の検出方法については、後述する。
【0028】
操作部28は、シャッターレリーズボタンや撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、オートフォーカスモードの中でも、ワンショットモード/コンティニュアスモードの切換が行えるようになっている。ここで、ワンショットモードとは、一度調節したフォーカスレンズ32の位置を固定し、そのフォーカスレンズ位置で撮影するモードであるのに対し、コンティニュアスモードとは、フォーカスレンズ32の位置を固定することなく被写体に応じてフォーカスレンズ位置を調節するモードである。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0029】
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
【0030】
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
【0031】
本実施形態の撮像素子22は、図3に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
【0032】
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
【0033】
図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図6は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図6の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
【0034】
また、撮像素子22の撮像面の中心、ならびに中心から左右対称位置の3箇所には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された焦点検出画素列22a,22b,22cが設けられている。そして、図3に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列(22a,22c,22c)に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
【0035】
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、二箇所にすることもでき、また、四箇所以上の位置に配置することもできる。また、実際の焦点検出に際しては、複数配置された焦点検出画素列22a〜22cの中から、撮影者が操作部28を手動操作することにより所望の焦点検出画素列を、焦点検出位置として選択することもできる。
【0036】
図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図7(A)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図5(A)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図7(A)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図5(B)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図7(B)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3に示すように、互いに隣接して交互に、横一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cを構成する。
【0037】
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。
【0038】
また、図5(A)、図5(B)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
【0039】
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
【0040】
図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳34の測距瞳341,342から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図8においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L1近傍に位置するもののみを例示して示したが、図8に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳341,342から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
【0041】
ここで、射出瞳34とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳341,342とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
【0042】
なお、図8において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳341,342の並び方向と一致している。
【0043】
また、図8に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、撮影光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳34上に投影され、その投影形状は測距瞳341,342を形成する。
【0044】
すなわち、測距距離Dにある射出瞳34上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳341,342)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
【0045】
図8に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0046】
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0047】
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図3に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。そして、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
【0048】
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
【0049】
なお、これら位相差検出方式による像ズレ量の演算と、これに基づくデフォーカス量の演算は、カメラ制御部21により実行される。
【0050】
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出し、それぞれを積算することでも求めることができる。
【0051】
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
【0052】
次いで、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図9は、本実施形態に係るカメラ1の動作例を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、カメラ1の電源がオンされることにより開始される。また、以下においては、ワンショットモード、すなわち、一度調節したフォーカスレンズ32の位置を固定し、そのフォーカスレンズ位置で撮影するモードが選択されている場面を例示して説明を行なう。
【0053】
まず、ステップS101では、カメラ制御部21による、スルー画像の生成、および観察光学系の電子ビューファインダ26による、スルー画像の表示が開始される。具体的には、撮像素子22により露光動作が行なわれ、カメラ制御部21により、撮像画素221の画素データの読み出しが行なわれる。そして、カメラ制御部21は、読み出したデータに基づきスルー画像を生成し、生成されたスルー画像は液晶駆動回路25に送出され、観察光学系の電子ビューファインダ26に表示される。そして、これにより、接眼レンズ27を介して、ユーザは被写体の画像を視認することが可能となる。なお、スルー画像の生成、およびスルー画像の表示は、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0054】
ステップS102では、カメラ制御部21により、スルー画像生成用の露出制御が開始される。具体的には、カメラ制御部21は、撮影画面を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに測光を行う多分割測光(マルチパターン測光)を行うことで、撮影画面全体の輝度値Bvを算出する。そして、カメラ制御部21は、算出した撮影画面全体の輝度値Bvに基づいて、撮影画面全体で適正露出が得られるように、撮像感度Sv、露光時間Tv、および絞りAvを変更して露出制御を行う。なお、スルー画像生成時の露出制御は、所定の間隔で繰り返し実行されるが、スルー画像生成用の露出制御を行う間隔は、スルー画像の生成およびスルー画像の表示を繰り返す間隔よりも長い間隔とすることができる。例えば、スルー画像の生成およびスルー画像の表示が3回繰り返される間に、スルー画像生成用の露出制御を1回行うようにすることができる。
【0055】
ステップS103では、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理が開始される。本実施形態では、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理は、次のように行われる。すなわち、まず、撮像素子22により、撮影光学系からの光束の受光が行われ、カメラ制御部21により、撮像素子22の3つの焦点検出画素列22a〜22cを構成する各焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しが行われる。この場合、撮影者の手動操作により、特定の焦点検出位置が選択されているときは、その焦点検出位置に対応する焦点検出画素からのデータのみを読み出すような構成としてもよい。そして、カメラ制御部21は、読み出された一対の像データに基づいて像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を実行し、3つの焦点検出画素列22a〜22cに対応する焦点検出位置における像ズレ量を演算し、さらに像ズレ量をデフォーカス量に変換する。
【0056】
また、ステップS103において、カメラ制御部21は、算出したデフォーカス量について、デフォーカス量の信頼性の評価を行う。本実施形態において、カメラ制御部21は、たとえば、一対の像データの一致度やコントラストなどに基づいて、デフォーカス量の信頼性を、「高」、「中」、「低」、および「測距不能」の4段階で評価する。
【0057】
具体的には、カメラ制御部21は、デフォーカス量の信頼性を評価するために、第1判定値、第2判定値、および第3判定値の3つの判定値を、カメラ制御部21のメモリに予め記憶しており、この3つの判定値を用いて、デフォーカス量の信頼性を評価する。
【0058】
第1判定値は、デフォーカス量の信頼性が第1判定値以上であれば、このデフォーカス量に基づいて焦点調節を行うことで、焦点調節後におけるデフォーカス量が、被写体の被写界深度の範囲内となると判断できるような値に設定されている。そのため、カメラ制御部21は、たとえば、特定の被写体について得られたデフォーカス量の信頼性が、第1判定値以上である場合には、このデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ32を駆動することで、特定の被写体にピントを合わせることができるものと判断し、このようなデフォーカス量の信頼性を「高」と評価する。また、特定の被写体について得られたデフォーカス量の信頼性が、第1判定値未満であり、かつ、後述する第2判定値以上である場合には、カメラ制御部21は、たとえば、このデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ32を駆動することで、特定の被写体に比較的高い確率でピントを合わせることができ、たとえ、特定の被写体にピントを合わせることができない場合でも、焦点調節後のデフォーカス量は、特定の被写体の被写界深度に近くなるものと判断し、このようなデフォーカス量の信頼性を「中」と評価する。
【0059】
また、第2判定値は、第1判定値よりも低い値であり、デフォーカス量の信頼性が第2判定値未満である場合には、このデフォーカス量に基づいて、合焦位置が、光軸方向のうち無限遠側に存在するか至近側に存在するかを判断できるに留まるような値に設定されている。さらに、第3判定値は、第1判定値および第2判定値よりもさらに低い値であり、デフォーカス量の信頼性が第3判定値未満である場合には、合焦位置が存在する方向も判断することができないような値に設定されている。そのため、カメラ制御部21は、デフォーカス量の信頼性が、第2判定値未満であり、かつ、第3判定値以上である場合には、このデフォーカス量に基づいて、合焦位置が、光軸方向のうち無限遠側に存在するのか、至近側に存在するのかを判断することができるものと判断し、このようなデフォーカス量の信頼性を「低」と評価する。また、カメラ制御部21は、デフォーカス量の信頼性が、第3判定値未満である場合には、デフォーカス量の信頼性を「測距不能」と評価する。
【0060】
なお、このようなデフォーカス量の算出と、デフォーカス量の信頼性の評価は、このカメラ1の動作が行われている間、所定の間隔で繰り返し実行される。また、このように得られたデフォーカス量およびデフォーカス量の信頼性は、デフォーカス量の履歴データとして、メモリ24に記憶される。
【0061】
ステップS104では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。シャッターレリーズボタンが半押しされた場合は、ステップS105に進む。一方、シャッターレリーズボタンが半押しされていない場合は、シャッターレリーズボタンの半押しされるまで、ステップS104を繰り返す。すなわち、シャッターレリーズボタンが半押しされるまで、スルー画像の生成・表示、スルー画像生成用の露出制御、デフォーカス量の算出、およびデフォーカス量の信頼性の評価が繰り返し実行される。
【0062】
そして、ステップS105では、カメラ制御部21により、所定のパラメータであるnが0に設定される。続くステップS106では、ステップS103で記憶したデフォーカス量の履歴データが参照され、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量およびデフォーカス量の信頼性のうち、パラメータnに応じたデフォーカス量および該デフォーカス量の信頼性が読み出され、読み出されたデフォーカス量の信頼性が「高」であるか否かの判断が行われる。例えば、カメラ制御部21は、パラメータnがゼロに設定されている場合には、シャッターレリーズボタンが半押しされる直前に算出されたデフォーカス量および該デフォーカス量の信頼性を読み出し、シャッターレリーズボタンが半押しされる直前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」であるか否かの判断を行う。また、カメラ制御部21は、パラメータnが1に設定されている場合には、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量よりも1つ前に算出されたデフォーカス量および該デフォーカス量の信頼性を読み出し、読み出されたデフォーカス量の信頼性が「高」であるか否かの判断を行う。同様に、カメラ制御部21は、nの値が大きくなるほど、過去に遡って、シャッターレリーズボタンが半押しされる直前に算出されたデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」であるか否かの判断を行う。
【0063】
そして、ステップS106において、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」であると判断された場合は、ステップS107に進み、一方、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」ではないと判断された場合は、ステップS112に進む。
【0064】
ステップS107では、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」であると判断されているため、カメラ制御部21により、AEロック(露出条件の変更を禁止する処理)が行われる。そして、ステップS108では、信頼性が「高」であると判断された、シャッターレリーズボタンが半押しされる前のデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行われ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部37を介して、フォーカスレンズ駆動モータ36に送出される。次いで、ステップS109において、フォーカスレンズ駆動モータ36により、ステップS108で算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が行われる。
【0065】
そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS110に進み、合焦表示が行なわれ、次いで、ステップS111に進み、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれる。なお、ステップS110における合焦表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。
【0066】
このように、本実施形においては、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」と判断された場合には、シャッターレリーズボタンの半押し後に、焦点検出用の露出制御が行われることなく、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32の合焦駆動が行われることとなる。
【0067】
一方、ステップS106において、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」ではないと判断された場合には、ステップS112に進む。ステップS112では、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「中」であるか否かの判断が行われる。デフォーカス量の信頼性が「中」であると判断された場合は、ステップS113に進み、一方、デフォーカス量の信頼性が「中」ではないと判断された場合は、ステップS120に進む。
【0068】
ステップS113では、ステップS108と同様に、信頼性が「中」であると判断された、シャッターレリーズボタンが半押しされる前のデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動量の算出が行われ、そして、ステップS114では、ステップS113で算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が開始される。
【0069】
そして、ステップS115では、カメラ制御部21により、露出制御値のうち絞りAvは固定したまま、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出に適した露出が得られるか否かの判断が行われる。
【0070】
具体的には、カメラ制御部21は、撮像素子22の出力に基づいて、焦点検出エリア(図2に示す焦点検出画素列22a,22b,22c)をそれぞれ含む所定領域内においてスポット測光を行い、焦点検出エリアを含む所定領域内の輝度値SpotBvを算出し、算出した輝度値SpotBvに基づいて、焦点検出エリアを含む所定領域内における露出が、焦点検出に適した露出となる撮像感度Svおよび露光時間Tvを求めることで、焦点検出に適した露出が得られるか否かの判断を行う。なお、本実施形態において、カメラ制御部21は、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出エリアを含む所定領域内における露出が、たとえば、焦点検出エリアを含む所定領域内における露出が、焦点検出に最適な露出よりも1段階暗い露出から、焦点検出に最適な露出よりも1段階明るい露出までの範囲内の露出となる場合にも、焦点検出に適した露出が得られるものと判断する。
【0071】
ただし、撮像感度Svおよび露光時間Tvは、変更可能な範囲が予め決められており、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更しただけでは、焦点検出に適した露出が得られない場合がある。そこで、カメラ制御部21は、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出に適した露出が得られるか否かを判断し、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出に適した露出が得られると判断した場合には、ステップS116に進み、一方、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出に適した露出が得られない場合には、ステップS122に進む。
【0072】
ステップS115で、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出に適した露出を得ることができると判断された場合には、ステップS116に進み、カメラ制御部21により、焦点検出用の露出制御が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、露出制御値のうち絞りAvは固定したまま、焦点検出に用いる撮像感度Svおよび露光時間Tvを、ステップS115で算出された撮像感度Svおよび露光時間Tvに変更する。これにより、たとえば、ステップS115で算出された撮像感度Svに応じて、焦点検出画素222a,222bから出力された信号を増幅するアンプのゲインが変更され、あるいは、ステップS115で算出された露光時間Tvに応じて、撮像素子22の焦点検出画素222a,222bに対する露光時間が変更される。その結果、焦点検出エリア(図2に示す焦点検出画素列22a,22b,22c)を含む所定領域内において、焦点検出に適した露出(たとえば、適正露出よりも1段階暗い露出から、適正露出よりも1段階明るい露出までの範囲内の露出)を得ることができる。
【0073】
次いで、ステップS117では、カメラ制御部21により、焦点検出に適した露出で焦点検出が行われ、デフォーカス量が算出され、デフォーカス量の信頼性の評価が行われる。そして、ステップS118では、カメラ制御部21により、焦点検出に適した露出に変更した後に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であるか否かの判断が行われる。焦点検出に適した露出に変更した後に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であると判断された場合は、ステップS107に進み、ステップS107〜S111において、焦点検出に適した露出に変更した後に算出されたデフォーカス量に基づいて、合焦動作が行われる。一方、焦点検出に適した露出に変更した後に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」ではないと判断された場合は、ステップS119に進む。
【0074】
このように、本実施形態においては、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「中」と判断された場合には、絞りAvを固定したまま、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出用の露出制御を行うことで、焦点検出に適した露出とし、焦点検出に適した露出で算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32の合焦駆動が行われる。
【0075】
一方、ステップS112で、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「中」ではないと判断された場合は、ステップS120に進む。ステップS120では、カメラ制御部21により、パラメータnの値が所定数未満であるか否かの判断が行われる。nの値が所定数未満である場合は、ステップS121に進み、nの値に1が加えられた後、ステップS106に戻る。すなわち、nの値が所定数以上となるまで、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であるか否かの判断が行われることとなる。そして、ステップS120において、nの値が所定数以上であると判断された場合は、デフォーカス量の信頼性は「低」または「測距不能」であると判断され、ステップS122に進むこととなる。
【0076】
ステップS120において、デフォーカス量の信頼性が「低」または「測距不能」であると判断された場合、あるいは、ステップS115において、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出に適した露出を得ることができないと判断された場合には、ステップS122に進む。ステップS122では、カメラ制御部21により、絞りAv、撮像感度Sv、および露光時間Tvを変更することにより、焦点検出用の露出制御が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、焦点検出エリアを含む所定領域内の輝度値SpotBvを算出し、算出した輝度値SpotBvに基づいて、焦点検出に適した露出が得られる、受光感度Sv、露光時間Tv、および絞りAvを決定する。なお、ステップS122において、カメラ制御部21は、露出制御値のうち受光感度Svおよび露光時間Tvを優先的に変更し、受光感度Svおよび露光時間Tvの変更のみでは、焦点検出に適した露出を得ることができない場合に限り、絞りAvを変更する。そして、カメラ制御部21は、決定した受光感度Sv、露光時間Tv、および絞りAvに基づいて、撮像素子22に対する露出を制御する。そして、ステップS122で焦点検出用の露出制御が行われた後は、ステップS117に進み、焦点検出に適した露出に変更した後に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であるか否かの判断が行われる。
【0077】
また、ステップS118において、焦点検出に適した露出とした場合でも、デフォーカス量の信頼性が「高」または「中」ではない場合には、ステップS119に進む。ステップS119では、カメラ制御部21により、スキャン動作を実行するためのスキャン動作実行処理が行なわれる。ここで、スキャン動作とは、フォーカスレンズ駆動モータ36により、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、および焦点評価値の算出を、所定の間隔で同時に行い、これにより、位相差検出方式による合焦位置の検出と、コントラスト検出方式による合焦位置の検出とを、所定の間隔で、同時に実行する動作である。以下においては、図10を参照して、本実施形態に係るスキャン動作実行処理を説明する。なお、図10は、本実施形態に係るスキャン動作実行処理を示すフローチャートである。
【0078】
まず、ステップS201では、カメラ制御部21により、スキャン動作の開始処理が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、レンズ制御部37にスキャン駆動開始指令を送出し、レンズ制御部37は、カメラ制御部21からの指令に基づき、フォーカスレンズ駆動モータ36を駆動させ、フォーカスレンズ32を光軸L1に沿ってスキャン駆動させる。なお、スキャン駆動を行う方向は特に限定されず、フォーカスレンズ32のスキャン駆動を、無限端から至近端に向かって行なってもよいし、あるいは、至近端から無限端に向かって行なってもよい。
【0079】
そして、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、撮像素子22の焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しを行い、これに基づき、位相差検出方式により、デフォーカス量の算出および算出されたデフォーカス量の信頼性の評価を行うとともに、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、撮像素子22の撮像画素221から画素出力の読み出しを行い、これに基づき、焦点評価値を算出し、これにより、異なるフォーカスレンズ位置における焦点評価値を取得することで、コントラスト検出方式により合焦位置の検出を行う。
【0080】
ステップS202では、コントラスト検出方式による合焦位置の検出が行われている間に、露出が変更されるのを防止するため、AEロック(露出条件の変更を禁止する処理)が行われる。そして、ステップS203では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。デフォーカス量が算出できた場合には、測距可能と判断して、ステップS206に進み、一方、デフォーカス量が算出できなかった場合には、測距不能と判断して、ステップS204に進む。なお、ステップS203においては、デフォーカス量の算出ができた場合でも、算出されたデフォーカス量の信頼性が「低」または「測距不能」と評価された場合には、デフォーカス量の算出ができなかったものとして扱い、ステップS204に進むこととする。
【0081】
ステップS204では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、コントラスト検出方式により、合焦位置の検出ができたか否かの判定が行なわれる。コントラスト検出方式により、合焦位置の検出ができた場合には、ステップS211に進み、一方、合焦位置の検出ができなかった場合には、ステップS205に進む。
【0082】
ステップS205では、カメラ制御部21により、スキャン動作を、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について行なったか否かの判定が行なわれる。フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作を行なっていない場合には、ステップS203に戻り、ステップS203〜S205を繰り返すことにより、スキャン動作、すなわち、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を、所定の間隔で同時に実行する動作を継続して行なう。一方、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作の実行を完了している場合には、ステップS215に進む。
【0083】
そして、スキャン動作を実行した結果、ステップS203において、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたと判定された場合には、ステップS206に進み、ステップS206〜S210において、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づく、合焦動作が行なわれる。
【0084】
すなわち、まず、ステップS206において、カメラ制御部21により、スキャン動作の停止処理が行なわれた後、ステップS207に進み、カメラ制御部21により、スキャン動作の禁止処理が行なわれる。
【0085】
そして、ステップS208では、ステップS203において位相差検出方式により算出されたデフォーカス量から、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行なわれ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部37を介して、レンズ駆動モータ36に送出される。そして、レンズ駆動モータ36は、カメラ制御部21により算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させる。
【0086】
なお、本実施形態においては、レンズ駆動モータ36を駆動させ、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させている間においても、カメラ制御部21は、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出を繰り返し行い、その結果、新たなデフォーカス量が算出された場合には、カメラ制御部21は、新たなデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる。
【0087】
そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS209に進み、合焦表示が行なわれ、次いで、ステップS210に進み、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれる。なお、ステップS209における合焦表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。また、合焦表示を行なう際には、位相差検出方式により合焦動作が行われた旨をユーザに報知するための表示を併せて行なってもよい。
【0088】
また、スキャン動作を実行した結果、ステップS204において、コントラスト検出方式により、合焦位置が検出できたと判定された場合には、ステップS211に進み、ステップS211〜S214において、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づく、フォーカスレンズ32の駆動動作が行なわれる。
【0089】
すなわち、まず、ステップS211において、カメラ制御部21により、スキャン動作の停止処理が行なわれた後、ステップS212に進み、上述したステップS207と同様に、カメラ制御部21により、スキャン動作の禁止処理が行なわれる。
【0090】
そして、ステップS213に進み、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づいて、フォーカスレンズ32を、合焦位置まで駆動させるレンズ駆動処理が行なわれる。なお、コントラスト検出方式による検出結果に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置への駆動を行なう際には、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了するまでは、位相差検出方式による焦点検出結果に基づく、フォーカスレンズ32の駆動を禁止することが好適である。これにより、フォーカスレンズ32のハンチング現象を抑制することができる。
【0091】
そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS214に進み、合焦表示が行なわれ、次いで、ステップS210に進み、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれる。なお、ステップS214における合焦表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。また、合焦表示を行なう際には、コントラスト検出方式により合焦動作が行われた旨をユーザに報知するための表示を併せて行なってもよい。
【0092】
なお、本実施形態のスキャン動作においては、上述したステップS203〜S205を繰り返し実行することで、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を所定の間隔で同時に実行する。そして、上述したステップS203〜S205を繰り返し実行した結果、位相差検出方式およびコントラスト検出方式のうち、先にデフォーカス量の算出、または合焦位置の検出ができた検出方式による、焦点検出結果を用いて、フォーカスレンズ32を、合焦位置まで駆動させる処理を行なう。また、上述したように、本実施形態のスキャン動作においては、位相差検出方式によりデフォーカス量が算出できたか否かを判断した(ステップS203)後に、コントラスト検出方式により合焦位置の検出ができたか否かの判断を行う(ステップS204)ことで、位相差検出方式とコントラスト検出方式とで同時期にデフォーカス量の算出および合焦位置の検出ができた場合に、位相差検出方式による焦点検出結果を、コントラスト検出方式による焦点検出結果よりも優先して、採用するものである。
【0093】
一方、ステップS205において、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作の実行が完了していると判定された場合には、ステップS215に進む。ステップS215では、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式およびコントラスト検出方式のいずれの方式によっても、焦点検出を行うことができなかったため、スキャン動作の終了処理が行なわれ、次いで、ステップS216に進み、合焦不能表示が行なわれる。合焦不能表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。
【0094】
このように、ステップS119のスキャン動作実行処理は行われる。そして、ステップS119のスキャン動作実行処理が終了した後は、このカメラ1の動作も終了する。
【0095】
以上のように、本実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出したデフォーカス量の信頼性が「高」であると評価された場合には、信頼性が「高」であるデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ32を駆動することで、被写体にピントを合わせることができるものと判断し、シャッターレリーズボタンの半押し後に焦点検出用の露出制御を行うことなく、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出したデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動する。このように、本実施形態では、デフォーカス量の信頼性が「高」であると評価された場合には、シャッターレリーズボタンの半押し後の露出制御が行われないため、シャッターレリーズボタンが半押されてから、フォーカスレンズ32が駆動されるまでの時間を短縮することができる。
【0096】
また、本実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出したデフォーカス量の信頼性が「中」であると評価された場合には、シャッターレリーズボタンの半押し後に、絞りAvを固定したまま、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出用の露出制御を行い、焦点検出に適した露出で得られたでフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動を行う。このように、本実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出したデフォーカス量の信頼性が「中」であると評価された場合には、絞りAvを変更しないで露出制御を行うことで、絞りAvの変更に応じた絞り34の駆動など、露出制御において比較的時間を要する絞りAvの変更に応じた動作を防止することができるため、露出制御に要する時間を短縮することができ、シャッターレリーズボタンが半押されてから、フォーカスレンズ32が駆動されるまでの時間を短縮することができる。特に、本実施形態では、焦点検出エリアを含む所定領域内における露出が、焦点検出に最適な露出よりも1段階暗い露出から、焦点検出に最適な露出よりも1段階明るい露出までの範囲内の露出である場合にも、焦点検出に適した露出と判断して、焦点検出用の露出制御を行うため、撮像感度Svおよび露光時間Tvのみを変更して、焦点検出用の露出制御を実行することが容易となる。
【0097】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0098】
たとえば、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出したデフォーカス量の信頼性が「中」であると評価された場合には、焦点検出エリアを含む所定領域内における露出が、焦点検出に最適な露出よりも1段階暗い露出から、焦点検出に最適な露出よりも1段階明るい露出までの範囲内の露出となる場合でも、焦点検出に適した露出と判断して焦点検出用の露出制御を行っているが、この構成に限定されず、たとえば、焦点検出に最適な露出よりも所定の段数だけ明るい露出または所定の段数だけ暗い露出となる場合でも、焦点検出に適した露出であると判断して、焦点検出用の露出制御を行う構成としてもよい。
【0099】
また、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされた後に、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量を算出しているが、レンズ駆動量を、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に算出しておく構成としてもよい。これにより、シャッターレリーズボタンが半押しされた後に、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量を算出する時間を省くことができるため、シャッターレリーズボタンが半押しされてから、フォーカスレンズ32が駆動されるまでの時間を、さらに短縮することができる。なお、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、フォーカスレンズ32の駆動量を算出する構成とした場合であっても、シャッターレリーズボタンが半押しされる前のフォーカスレンズ32の駆動は禁止される。
【0100】
さらに、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合に、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に算出されたデフォーカス量の信頼性に基づいて、焦点検出用の露出制御を行うか否かを判断する構成を例示したが、例えば、シャッターレリーズボタンとは別に、光学系の焦点調節を起動するためのボタンが設けられている場合には、焦点調節を起動するためのボタンが押される前からデフォーカス量を算出しておき、焦点調節を起動するためのボタンが押された場合に、焦点調節を起動するためのボタンが押される前に算出したデフォーカス量の信頼性に基づいて、焦点検出用の露出制御を行うか否かを判断する構成としてもよい。
【0101】
加えて、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりも前に算出されたデフォーカス量の信頼性を、所定の数だけ、遡って判断しているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりも所定時間(例えば、0.1秒)前までに算出されたデフォーカス量の信頼性を遡って判断する構成としてもよい。
【0102】
また、上述した実施形態では、撮像素子22の焦点検出画素222a,222bにおいて、位相差検出方式による焦点状態の検出を行う構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、位相差検出方式による焦点状態の検出を行う焦点検出モジュールを、撮像素子22とは独立して設ける構成としてもよい。
【0103】
なお、上述した実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、一眼レフデジタルカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…デジタルカメラ
2…カメラ本体
21…カメラ制御部
22…撮像素子
221…撮像画素
222a,222b…焦点検出画素
24…メモリ
28…操作部
3…レンズ鏡筒
32…フォーカスレンズ
36…フォーカスレンズ駆動モータ
37…レンズ制御部
図1
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