(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態に係る基板処理装置FPAの構成を示す図である。
図1に示すように、基板処理装置FPAは、シート基板(例えば、帯状のフィルム部材)FBを供給する基板供給部SU、シート基板FBの表面(被処理面)に対して処理を行う基板処理部PR、シート基板FBを回収する基板回収部CL、及び、これらの各部を制御する制御部CONTを有している。基板処理装置FPAは、例えば工場などに設置される。
【0012】
基板処理装置FPAは、基板供給部SUからシート基板FBが送り出されてから、基板回収部CLでシート基板FBを回収するまでの間に、シート基板FBの表面に各種処理を実行するロール・トゥ・ロール方式(以下、単に「ロール方式」と表記する)の装置である。基板処理装置FPAは、シート基板FB上に例えば有機EL素子、液晶表示素子等の表示素子(電子デバイス)を形成する場合に用いることができる。勿論、処理装置FPAは、これらの素子以外の素子を形成する場合にも用いることができる。
【0013】
基板処理装置FPAにおいて処理対象となるシート基板FBとしては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。
【0014】
シート基板FBのY方向(短尺方向)の寸法は例えば1m〜2m程度に形成されており、X方向(長尺方向)の寸法は例えば10m以上に形成されている。勿論、この寸法は一例に過ぎず、これに限られることは無い。例えばシート基板FBのY方向の寸法が1m以下、又は50cm以下であっても構わないし、2m以上であっても構わない。本実施形態においては、Y方向の寸法が2mを超えるシート基板FBであっても好適に用いられる。また、シート基板FBのX方向の寸法が10m以下であっても構わない。
【0015】
シート基板FBは、例えば可撓性を有するように形成されている。ここで可撓性とは、例えば基板に少なくとも自重程度の所定の力を加えても線断したり破断したりすることはなく、該基板を撓めることが可能な性質をいう。また、例えば上記所定の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、上記可撓性は、該基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、シート基板FBとしては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
【0016】
シート基板FBは、比較的高温(例えば200℃程度)の熱を受けても寸法が実質的に変わらない(熱変形が小さい)ように熱膨張係数が比較的小さい方が好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合して熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。
【0017】
基板供給部SUは、例えばロール状に巻かれたシート基板FBを基板処理部PRへ送り出して供給する。基板供給部SUには、例えばシート基板FBを巻きつける軸部や当該軸部を回転させる回転駆動源などが設けられている。代替的及び/又は追加的に、基板供給部SUは、例えばロール状に巻かれた状態のシート基板FBを覆うカバー部などが設けられた構成であっても構わない。
【0018】
基板回収部CLは、基板処理部PRからのシート基板FBを例えばロール状に巻きとって回収する。基板回収部CLには、基板供給部SUと同様に、シート基板FBを巻きつけるための軸部や当該軸部を回転させる回転駆動源、回収したシート基板FBを覆うカバー部などが設けられている。代替的及び/又は追加的に、基板処理部PRにおいてシート基板FBが例えばパネル状に切断される場合などには例えばシート基板FBを重ねた状態に回収するなど、基板回収部CLは、ロール状に巻いた状態とは異なる状態でシート基板FBを回収する構成であっても構わない。
【0019】
基板処理部PRは、基板供給部SUから供給されるシート基板FBを基板回収部CLへ搬送すると共に、搬送の過程でシート基板FBの被処理面Fpに対して処理を行う。基板処理部PRは、例えば処理装置10、搬送装置30及びアライメント装置50などを有している。
【0020】
処理装置10は、シート基板FBの被処理面Fpに対して例えば有機EL素子を形成するための各種処理部を有している。このような処理部としては、例えば被処理面Fp上に隔壁を形成するための隔壁形成装置、有機EL素子を駆動するための電極を形成するための電極形成装置、発光層を形成するための発光層形成装置などが挙げられる。より具体的には、液滴塗布装置(例えばインクジェット型塗布装置、スピンコート型塗布装置など)、蒸着装置、スパッタリング装置などの成膜装置や、露光装置、現像装置、表面改質装置、洗浄装置などが挙げられる。これらの各装置は、例えばシート基板FBの搬送経路上に適宜設けられている。例えば、2以上の処理装置を搬送方向に沿って配置できる。
【0021】
搬送装置30は、基板処理部PR内において例えばシート基板FBを基板回収部CLに向けて搬送するローラー装置Rを有している。ローラー装置Rは、シート基板FBの搬送経路に沿って例えば複数設けられている。複数のローラー装置Rのうち少なくとも一部のローラー装置Rには、駆動機構(不図示)が取り付けられている。このようなローラー装置Rが回転することにより、シート基板FBがX軸方向に搬送されるようになっている。複数のローラー装置Rのうち例えば一部のローラー装置Rが搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられた構成であっても構わない。なお、本実施形態では、シート基板FBの搬送方向に関して、処理装置10の下流側に、一対のローラ装置Rを設けている。この一対のローラ装置Rは、シート基板FBの表面及び裏面に接触するとともに、シート基板FBの少なくとも一部を挟み込むように構成されている。
【0022】
アライメント装置50は、シート基板FBの両端部に設けられたアライメントマーク(基板マーク)を検出し、その検出結果に基づいて、処理装置10に対するシート基板FBのアライメント動作を行う。アライメント装置50は、シート基板FBに設けられたアライメントマーク検出するアライメントカメラ51と、当該アライメントカメラ51の検出結果に基づいてシート基板FBを例えばX方向、Y方向、Z方向、θX方向、θY方向及びθZ方向のうち少なくとも一方向に微調整する調整機構52とを有している。
【0023】
本実施形態では、シート基板FBの被処理面を処理する処理装置10として、例えば露光装置10A及び露光装置10Bを用いる場合を例に挙げて説明する。本実施形態では、シート基板FBの表面(被処理面)側のスペースに処理装置10(露光装置10A及び10B)を配置し、シート基板FBの裏面側のスペースに、ステージ装置FSTが設けられている。本実施形態において、ステージ装置FSTは、シート基板FBの裏面を支持し、露光装置10A及び10Bによって処理されるシート基板FBの被処理面を案内する。
【0024】
図2は、ステージ装置FSTの構成を示す斜視図である。
図2に示すように、ステージ装置FSTは、本体部70と、コンケイブローラー71及び72と、吸着ローラー73及び74と、支持テーブル75とを有している。本体部70は、搬送装置30のベース(不図示)に固定される矩形状の下層部70a、下層部70aの上面に、間隔を離して配置される一対の柱状部70b、柱状部70b上に固定される上層部70cを有している。そして、下層部70aの上面と上層部70cと一対の柱状部70bとの間には空間70dが形成されている。コンケイブローラー71及び72、吸着ローラー73及び74、支持テーブル75のそれぞれは、本体部70の上層部70c上に設けられている。なお、コンケイブローラー71及び72、吸着ローラー73及び74、支持テーブル75は、シート基板FBの搬送方向に、コンケイブローラー71、吸着ローラー73、支持テーブル75、吸着ローラー74、コンケイブローラー72の順に配置されている。すなわち、支持テーブル75は、吸着ローラー73と吸着ローラー74との間に配置される。
【0025】
コンケイブローラー71及び72は、上層部70c上の例えばX方向の両端部に配置されている。コンケイブローラー71及び72は、例えばY軸を中心軸としてθY方向に回転可能に設けられている。コンケイブローラー71及び72は、例えばY方向の両端部から中央部に至るにつれて、径が徐々に小さくなるように形成されている。このように回転軸方向に径の分布を形成することで、シート基板FBのシワが形成されにくくなっている。
【0026】
支持テーブル75は、上層部70c上の例えばX方向の中央部に配置されている。支持テーブル75は、例えば−Z方向に見て矩形に形成されている。この支持テーブル75は、シート基板FBの幅方向(Y方向)に、例えば3つの支持面75a〜75cに分割されている。各支持面75a〜75cは、例えば平坦に形成されており、例えばXY平面に平行に形成されている。これら3つの支持面75a〜75cにおいてシート基板FBが支持される。
【0027】
支持面75aと支持面75bとの間、支持面75bと支持面75cとの間は、それぞれ上層部70cの+Z側の面が露出された状態になっている。上層部70cの当該露出部分75dのそれぞれには、ステージ基準マーク(基準マーク)SFMが設けられている。この2つのステージ基準マークSFMは、例えばX方向の位置が揃うように配置されている。
【0028】
なお、
図2には、2つのステージ基準マークSFMのみが示されているが、各支持面75a、75b、75c毎、すなわち、各支持面をY方向に関して挟むように、一対のステージ基準マークSFMを設けてもよい。この場合、支持面75aと支持面75bとの間に設けられるステージ基準マークSFMを支持面75a及び支持面75bで共用マークとして、また、支持面75bと支持面75cとの間に設けられるステージ基準マークSFMを支持面75b及び支持面75cで共用マークとして用いてもよい。
【0029】
上層部70cと下層部70aと柱状部70bとで形成される空間70dには、当該ステージ基準マークSFMを検出する検出カメラDCが設けられている。検出カメラDCは、Z方向視で例えばそれぞれのステージ基準マークSFMに重なる位置に設けられている。上層部70cのうち、少なくともステージ基準マークSFMが設けられた部分の−Z側は、検出カメラDCによる検出光が通過可能なように開口が設けられている。各検出カメラDCの検出結果は、例えば制御部CONTに送信されて処理されるようになっている。
【0030】
吸着ローラー73は、上層部70c上に、支持テーブル75とコンケイブローラー71との間に配置されている。吸着ローラー73及び74は、コンケイブローラー71及び72と同様、例えばY軸を中心軸として回転可能に設けられている。
【0031】
吸着ローラー73及び74は、それぞれ、分割構造を有し、回転軸方向(Y方向)に複数に分割されている。本実施形態では、吸着ローラー73は、3つに分割されたローラー部分73a〜73cを有する。同様に、吸着ローラー74は、3つに分割されたローラー部分74a〜74cを有する。吸着ローラー73のローラー部分73a〜73c、及び、吸着ローラーa74のローラー部分74a〜74cは、それぞれ互いに着脱可能に連結され、各ローラー部分ごとに交換可能に設けられている。
【0032】
すなわち、これらのローラー部分を1つずつ上層部70c上から取り外し、他のローラー部分を装着することができるようになっている。したがって、例えばY方向の寸法の異なるローラー部分に交換したり、例えば形状の異なるローラー部分や、径の異なるローラー部分などに交換したりすることができるようになっている。また、吸着ローラー73や吸着ローラー74のうち全ローラー部分を交換させることもできるし、一部(ここでは1つ又は2つ)のローラー部分のみを交換させることもできる。
【0033】
本実施形態では、
図3に示すように、吸着ローラー73のうち例えばY方向の中央部に配置されたローラー部分73cの表面には、円周方向に溝部76及び77が形成されている。溝部76は、ローラー部分73cのY方向の両端部にそれぞれ形成されている。溝部77は、ローラー部分73cのうち2つの溝部76の間に複数本形成されている。
【0034】
溝部76及び溝部77は、それぞれローラー部分73cの1周に亘って形成されている。溝部76と溝部77の溝の幅は、異なる寸法で形成されている。例えば、溝部76のY方向の寸法が数mm以上に形成され、溝部77のY方向の寸法が数μm程度に形成されている。ローラー部分73cにシート基板FBの裏面が接触した場合、シート基板FBの一部が例えば溝部76に入り込み、撓み部分Faが形成される。シート基板FBのY方向の両端に撓み部分Faが形成されることにより、当該撓み部分Faの間の部分ではシート基板FBが溝部76側に引っ張られることになる。このため、撓み部分Faの間の部分、すなわち、溝部76間にあるシート基板FBの張力が増し、シート基板FBの平坦性が向上することとなり、シート基板FBとローラー部分73cとの間の吸着性が向上する。なお、溝部77は、ローラー部分73cがY軸を中心に回転する際において、シート基板FBとローラー部分73cとの間の空気の逃げ道となる。このため、シート基板FBとローラー部分73cとが密着し、離れにくくなる。
【0035】
図4は、処理装置10(露光装置10A及び露光装置10B)及びステージ装置FSTの構成について、搬送装置30の側方(+Y方向)から見たときの図である。
図5は、処理装置10及びステージ装置FSTの構成を上方(+Z方向)から見たときの図である。
【0036】
図4に示すように、露光装置10A及び露光装置10Bは、それぞれ、所定のパターンを有するマスクMを保持するマスクステージMSTと、マスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMの所定の照明領域内のパターンの像をシート基板FBの被処理面に投影する投影光学系PLとを備えている。この投影光学系PLは、両側(又はシート基板FBに片側)テレセントリックの投影光学系PLを介して、シート基板FBの被処理面内の露光領域に所定の投影倍率(例えば、等倍、1/4倍、1/5倍等)で投影される。マスクステージMST、照明光学系IL及び投影光学系PLの動作は、例えば制御部CONTによって制御されるようになっている。
【0037】
図4に示すように、露光装置10A及び露光装置10Bは、それぞれ、所定のパターンを有するマスクMを保持しながら移動可能なマスクステージMSTと、マスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像をシート基板FBに投影する投影光学系PLとを備えている。マスクステージMST、照明光学系IL及び投影光学系PLの動作は、例えば制御部CONTによって制御されるようになっている。
【0038】
照明光学系ILは、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)等が用いられる。マスクステージMSTは、ステージ駆動部11によって、不図示のマスクベースの上面(XY平面に平行な面)に、X方向に一定速度で移動可能に、かつ少なくともY方向、Z方向、θz方向に移動可能に設けられている。
【0039】
マスクステージMSTの2次元的な位置は不図示のレーザ干渉計によって計測され、この計測情報に基づいて制御部CONTがステージ駆動部11を介してマスクステージMSTの位置及び速度を制御する。投影光学系PLは、照明光学系ILと支持テーブル75との間、すなわち、マスクステージMSTの−Z側に配置されている。投影光学系PLは、例えば不図示の固定部材に固定されている。投影光学系PLは、マスクMのパターンの像が例えばステージ装置FSTのうち支持テーブル75上のシート基板FBの被処理面に投影されるように配置されている。
【0040】
露光装置10A及び10Bは、照明光学系ILから射出される露光光ELを用いてマスクMのパターンの一部の投影光学系PLによって形成される像をシート基板FB上に投影しつつ、X方向にマスクステージMSTとシート基板FBとを投影倍率を速度比として同期して移動することで、シート基板FBの被処理領域Fpにおける露光領域を露光することができる。
【0041】
本実施形態では、シート基板FBの表面(被処理面)のうち、一つの被処理領域Fpに対するマスクMのパターンの露光が終了した後、次の被処理領域の露光を行う前に、マスクステージMSTを−X方向に移動させる。そして、再びX方向にマスクステージMSTとシート基板FBとを同期させて、次の被処理領域における露光領域の露光を行う。
【0042】
このようにX方向に連続搬送されるシート基板FBに対して、マスクMをX方向に同期移動させると共に、一つの被処理領域が終了した後、マスクMを−X方向に移動させる動作を繰り返すことによって、シート基板FBの複数の被処理領域にマスクMのパターンの像を露光することができる。
【0043】
なお、
図5に示すように、露光装置10Aは、2つの投影光学系PL1及びPL2を有している。露光装置10Aの2つの投影光学系PL1及びPL2は、例えばY方向に間隔をあけて配置されている。露光装置10Aは、シート基板FBの被処理面のうち、幅方向(Y方向)に離れた2つの投影領域EA1及び投影領域EA2にパターンの像を投影することができる。なお、本実施形態において、この2つの投影領域EA1及びEA2の形状は、台形形状で形成されている。本実施形態では、露光装置10Aによってシート基板FBの被処理面のうち、幅方向に関して中央部(中央区間)を除く両端部(2つの横区間)が露光されることになる。なお、投影光学系PL1及びPL2は、X方向の位置が揃うように配置されている。このため、投影光学系PL1及びPL2は、Y方向に沿って配置される。
【0044】
一方、露光装置10Bは、1つの投影光学系PL3を有している。露光装置10Bの投影光学系PL3は、Y方向において露光装置10Aの2つの投影光学系PL1と投影光学系PL2との間の位置に配置される。このため、露光装置10Bの投影領域EA3は、上記露光装置10Aの投影領域EA1と投影領域EA2との間に設けられることになる。なお、本実施形態において、投影領域EA3は、台形形状で形成されている。また、本実施形態では、露光装置10Bによって、シート基板FBの被処理面のうち、幅方向に関する中央部が露光されることになる。
【0045】
また、
図5に示すように、露光装置10Aに対応するステージ装置FSTにおける吸着ローラー73及び74のローラー部分は、シート基板FBの被処理面のうち投影領域EA1及び投影領域EA2に対してシート基板FBを平坦にするように構成されている。この構成は、
図2に示す吸着ローラー73及び74のローラー部分の構成とは異なっている。
【0046】
具体的には、吸着ローラー73は、
図3に示すローラー部分73cと同様、溝部76及び77が形成されたローラー部分73d及び73eを備える。そして、吸着ローラー73は、この2つのローラー部分73d及び73eをY方向に互いに連結した状態で備えている。ローラー部分73dは、投影領域EA1をY方向に挟む位置に一対の溝部76が設けられている。また、ローラー部分73eは、投影領域EA2をY方向に挟む位置に一対の溝部76が設けられている。
【0047】
同様に、吸着ローラー74は、
図3に示すローラー部分73cと同様、溝部76及び77が形成されたローラー部分74d及び74eを備える。そして、吸着ローラー74は、この2つのローラー部分74d及び74eをY方向に互いに連結した状態で備えている。ローラー部分74dは、投影領域EA1をY方向に挟む位置に一対の溝部76が設けられている。ローラー部分74eは、投影領域EA2をY方向に挟む位置に一対の溝部76が設けられている。なお、
図5に示すように、露光装置10Bに対応するステージ装置FSTの構成は、
図2と同じ構成であるため説明を省略する。
【0048】
ステージ基準マーク(ステージ位置検出用基準マーク、基準マーク)SFMは、それぞれ投影光学系PL1〜PL3に対向するように設けられている。例えば、ステージ基準マークSFMは、シート基板FBの搬送方向に関して、露光装置10A及び10Bの投影光学系PLの照明領域の上流側に設置される。また、
図4に示すように、露光装置10Aに対応するステージ装置FSTには、シート基板FBのうち投影領域EA1及びEA2の下流側の露光状態を検出する検出カメラ12が設けられている。検出カメラ12による検出結果は、例えば制御部CONTに送信されるようになっている。
【0049】
上記のように構成された基板処理装置FPAは、制御部CONTの制御により、ロール方式によって有機EL素子、液晶表示素子などの表示素子(電子デバイス)を製造する。以下、上記構成の基板処理装置FPAを用いて表示素子を製造する工程を説明する。
【0050】
まず、ローラーに巻き付けられた帯状のシート基板FBを基板供給部SUに取り付ける。制御部CONTは、この状態から基板供給部SUから当該シート基板FBが送り出されるように、ローラーを回転させる。そして、基板処理部PRを通過した当該シート基板FBを基板回収部CLのローラーで巻き取らせる。この基板供給部SU及び基板回収部CLを制御することによって、シート基板FBの被処理面を基板処理部PRに対して連続的に搬送することができる。
【0051】
制御部CONTは、シート基板FBが基板供給部SUから送り出されてから基板回収部CLで巻き取られるまでの間に、基板処理部PRの搬送装置30によってシート基板FBを当該基板処理部PR内で適宜搬送させつつ、処理装置10によって表示素子の構成要素をシート基板FB上に順次形成させる。
【0052】
この工程の中で、露光装置10A及び10Bによって処理を行う場合、例えば
図6に示すように、投影光学系PL1による投影領域EA1の−Y側端部(台形形状の照明領域におけるテーパー部分のうち一方)と、投影光学系PL3による投影領域EA3の+Y側端部(台形形状の照明領域におけるテーパー部分のうち一方)とが重なり合うことになる。また、投影光学系PL2による投影領域EA2の+Y側端部(台形形状の照明領域におけるテーパー部分のうち一方)と、投影光学系PL3による投影領域EA3の−Y側端部(台形形状の照明領域におけるテーパー部分のうち他方)とが重なり合うことになる。
【0053】
上記のように構成された露光装置10A及び10Bを用いることにより、
図6に示すように、例えばシート基板FBの被処理面は、複数の被処理領域(複数の区間、露光領域)F1〜F5に分割して処理が行われることとなる。ここでは、露光領域F1は、投影領域EA1に投影される像のみによって露光される部分(区間)である。露光領域F2は、投影領域EA1に投影される像の一部と投影領域EA3に投影される像の一部とによって露光される部分(区間)である。露光領域F3は、投影領域EA3に投影される像のみによって露光される部分(区間)である。露光領域F4は、投影領域EA2に投影される像の一部と投影領域EA3に投影される像の一部とによって露光される部分(区間)である。露光領域F5は、投影領域EA2に投影される像のみによって露光される部分(区間)である。
【0054】
このように、各ステージ装置FSTには、それぞれの投影領域に対応するように吸着ローラー73及び74に一対の溝部76が形成されているため、例えば溝部76に挟まれた部分においてシート基板FBの平面度が高精度に維持された状態で露光処理が行われることになる。このため、本実施形態では、シート基板FBの平坦度をY方向の全体に亘って維持する必要は無く、例えばシート基板FBの一部に平坦度の高い部分を形成し、当該部分に対して露光を行い、露光領域を重ね合わせるようにしている。これにより、シート基板FBのY方向の全体に高精度に露光処理が施されることとなる。
【0055】
次に、露光装置10A及び露光装置10Bと、対応するそれぞれのステージ装置FSTと、シート基板FBとの間でアライメントを行う動作を説明する。
この動作では、まず露光装置10Aでシート基板FBの露光を行う前に、ステージ装置FSTとシート基板FBとの間でアライメント動作を行い、次に、ステージ装置FSTと露光装置10Aとの間でアライメント動作を行う。また、露光装置10Aによる露光動作が終了した後、露光装置10Bでシート基板FBの露光を行う前に、ステージ装置FSTとシート基板FBとの間でアライメント動作を行い、ステージ装置FSTと露光装置10Bとの間でアライメント動作を行う。以下、露光装置10Bにおける場合を例に挙げてアライメント動作について説明する。
【0056】
なお、本実施形態では、アライメント装置50によって、露光装置10Aに対するシート基板FBのラフなアライメントが行い、ステージ装置FSTを用いて、露光装置10A又は露光装置10Bに対するファインなアライメントを行うように、アライメント装置50とステージ装置FSTとのアライメント精度を異ならせる構成にできる。
【0057】
本実施形態では、ステージ装置FST、シート基板FB及び露光装置10Bの間のアライメント動作を例に説明する。
図7は、ステージ装置FST、シート基板FB及び露光装置10Bの間の位置関係を示す斜視図である。
図7に示すように、例えばシート基板FBには、予め基板基準マーク(基板位置検出用基準マーク、第1基準マーク、基板マーク)FFMを形成しておく。この基板基準マークFFMは、シート基板FBの幅方向において、例えばステージ装置FSTのステージ基準マークSFMの間隔に対応するように形成されている。
【0058】
また、露光装置10BのマスクMに設けられた一対のマスク基準マーク(処理位置検出用基準マーク、第2基準マーク)MFMの像は、投影光学系PL3を介してシート基板FB上に投影される。本実施形態における一対の基準マークは、マスクMに対してY方向の端部であって、マスク基準マークMFMの像の投影位置が例えばステージ装置FSTのステージ基準マークSFMの近傍となるように当該マスク基準マークMFMが形成されている。
【0059】
なお、露光装置10Aで用いられる2つのマスクMにも、Y方向の端部であって、マスク基準マークMFMの像の投影位置が例えばステージ装置FSTのステージ基準マークSFMの近傍となるように当該マスク基準マークMFMを形成してもよい。この場合、前述したように、支持面75aのY方向側及び支持面75cの−Y方向側に、ステージ基準マークSFMを設ければよい。
【0060】
図8は、ステージ装置FSTとシート基板FBとの間のアライメント動作を示す図である。
図8に示すように、シート基板FBは、その表面(被処理面)のうち、例えば表示素子が形成される被処理領域Fpaを有している。基板基準マークFFMは、シート基板FBのうち、例えば当該被処理領域Fpaから外れた領域Fpbに形成されている。制御部CONTは、例えば露光装置10Bによる露光処理が行われないタイミング(例えば露光装置10Aによる露光処理が終了し、露光装置10Bで露光処理を開始する前の間の時間)で検出カメラDCを作動させ、ステージ基準マークSFMと基板基準マークFFMとを検出させる。制御部CONTは、当該検出結果に基づいて、ステージ基準マークSFMと基板基準マークFFMとの間のズレ量及びその方向(第一位置関係)を求める。制御部CONTは、ステージ基準マークSFMと基板基準マークFFMとの第一位置関係に基づいて、シート基板FBをX方向又はY方向に移動させる。この場合、例えば調整機構52を用いて吸着ローラー73、74などを移動させるようにしても構わないし、ステージ装置FST自体を移動させるようにしても構わない。
【0061】
また、シート基板FBの裏面のうちステージ基準マークSFMに対応する部分に例えば基準スケールなどを形成しておくことで、常時アライメント動作を行わせることも可能である。この場合、シート基板FBの位置を連続的に検出することもできるため、例えばシート基板FBの搬送速度に合わせてマスクMの位置及び移動速度、あるいは照明光学系ILの照度などを調整することもできる。また、露光装置10Aが備える投影光学系PL1及び投影光学系PL2、露光装置10Bが備える投影光学系PLのそれぞれの結像特性を個別に調整することもできる。
【0062】
例えば、シート基板FBの搬送速度が一定でない場合であっても、マスクMの位置及び移動速度、あるいは照明光学系ILの照度、投影光学系の結像特性(像位置、像面形状)などを調整することにより、シート基板FBの搬送速度を調整することなく、高精度の露光が行われることになる。なお、シート基板FBの位置を検出する構成としては、上記構成に限られず、別途位置検出センサなどを設けるようにしても構わない。
【0063】
図9は、ステージ装置FSTと露光装置10Bとの間のアライメント動作を示す図である。
図9に示すように、制御部CONTは、検出カメラDCを作動させ、ステージ基準マークSFMとマスク基準マークMFMとを検出させる。制御部CONTは、当該検出結果に基づいて、ステージ基準マークSFMと基板基準マークFFMとの間のズレ量及びその方向(第二位置関係)を求める。制御部CONTは、ステージ基準マークSFMとマスク基準マークMFMとの第二位置関係に基づいて、例えばマスクステージMSTをX方向又はY方向に移動させる。
【0064】
また、露光動作において露光領域F1〜F5を重ねる場合、例えば露光装置10Aによる露光処理を行った後、制御部CONTは、検出カメラ12によって、シート基板FB上のうち、投影領域EA1及びEA2の下流側の露光状態を検出し、当該検出結果を用いて露光装置10Bによる露光処理を行わせることができる。この場合、検出カメラ12による検出結果を、アライメント結果に反映させた上でマスクステージMSTを移動させるようにしても構わない。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、シート基板FBをX方向に搬送する搬送装置30と、シート基板FBのうちX方向に交差するY方向に分割される複数の被処理領域(露光領域、複数の区間)F1〜F5のそれぞれに対して個別に処理を行う複数の露光装置10A及び10Bと、当該露光装置10A及び10Bのそれぞれに対応して設けられ、シート基板FBを支持するステージ装置とを備えることとしたので、シート基板FBの搬送中に当該Y方向にシート基板FBが撓むことなく、当該シート基板FB上に高精度に処理を行うことができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、露光装置10Aで被処理領域の露光処理を行った後、露光装置10Bで被処理領域の露光を行う前に、ステージ装置FSTとシート基板FBとの間のアライメント、及びステージ装置FSTと露光装置10Bとの間のアライメントを行うことができるので、露光装置10Aと露光装置10Bとの間でシート基板FBの搬送中に、シート基板FBの搬送方向がずれたり、Y方向に撓んだとしても、それらの影響を低減した状態で露光処理を行うことができる。
【0067】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0068】
上記実施形態においては、ステージ装置FSTのうちXY平面に平行な平坦面を有する支持テーブル75にシート基板FBが支持された構成としたが、これに限られることは無い。例えば
図10に示すように、露光装置10A及び10Bに対応するステージとして、ローラーステージRSTを用いても構わない。このローラーステージRSTは、シート基板FBを搬送しながら案内することができるようになっている。
【0069】
また、上記実施形態においてコンケイブローラー71、72や吸着ローラー73、74などのローラーを用いる場合、当該ローラーの一部の径を変化させるようにしても構わない。例えば
図11に示すように、ローラーRRが複数のローラー部分Ra〜Rcに分割されている場合(複数の分割周面を有する場合)には、当該ローラー部分Ra〜Rcごとに変形可能な構成としても構わない。また、ローラーRRが全体として中央部に至るほど径が大きくなるように変形可能な構成としても構わない。
【0070】
ローラーRR又はローラー部分Ra〜Rcを変形させる構成としては、例えばローラーの表面(シート基板FBを案内する案内面)として例えば可撓性部材を用い、当該ローラー表面を変形可能な構成とする。加えて、ローラー内部の例えば熱、油圧、空圧などを調整することによりローラー表面を変形させる構成とする。これにより、ローラーRR又はローラー部分Ra〜Rcを所望の形状に変形させることができる。このようにローラーRR及びローラー部分Ra〜Rcを変形させることにより、例えばシート基板FBに局所的に形成されるシワを伸ばしたり、シート基板FBの案内速度を変化させたりすることで当該シート基板FBの進行方向や位置ずれを調整することができる。
【0071】
また、ステージ装置FSTの支持面75a、75b、75cにシート基板FBの裏面を支持させる前に、シート基板FBの搬送方向に関して、吸着ローラー73及び吸着ローラー74との間の間隔を互いに近づけ、シート基板FBをたるませても良い。シート基板FBをたるませることによって、シート基板FBに張力がない状態で、ステージ装置FSTの支持面75a、75b、75cに支持させることができる。また、支持面75a、75b、75cは、シート基板FBの裏面を吸着する構成であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、例えば露光装置10Aが2つの投影光学系PL1及びPL2を備える構成であったが、これに限られることは無く、露光装置ごとに1つの投影光学系(1つの投影領域EA)を有する構成であっても構わない。例えば
図12には、露光装置10A〜10Dがそれぞれ投影光学系PLを1つずつ有し、これらの投影光学系PLがY方向にずれるように配置された構成が示されている。
図12において、各投影光学系PLによる投影領域EL4〜EL7のうち隣接する2つは、Y方向の端部において互いに重なり合うように配置されている。
【0073】
また、例えば
図13に示すように、露光装置10A、10Bによる投影領域EA11、12、21、22と、露光装置10C、10Dによる投影領域EA31、32、41、42とは、重なり合うようになっている。このように、シート基板FBの搬送方向上流側に配置される露光装置の投影領域と、下流側に配置される露光装置の投影領域とが重なる構成であっても構わない。
【0074】
また、上記実施形態においては、吸着ローラー73、74の溝部76は、例えば投影領域ごとに一対設けられた構成としたが、これに限られることは無い。代替的及び/又は追加的に、例えば
図14に示すように、複数の投影領域EAを挟むように一対溝部76が設けられる構成にできる。
【0075】
また、上記説明においては、複数の露光装置による投影領域がX方向にずれた態様を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。代替的及び/又は追加的に、例えば複数の露光装置による投影領域がX方向に揃うように、つまりY方向に一列に並ぶように構成した態様を適用できる。
【0076】
また、上記説明においては、複数の露光装置に対応して配置されたステージ装置FSTの全てに第一検出機構及び第二検出機構が設けられた構成としたが、これに限られることは無い。代替的及び/又は追加的に、一部のステージ装置FSTにのみ第一検出機構及び第二検出機構が設けられた構成にできる。
【0077】
また、上記説明においては、処理装置10として露光装置を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。処理装置10は、上記実施形態で挙げた他の装置、例えば、隔壁形成装置、電極形成装置、発光層形成装置であってもよい。また、本実施形態において、アライメント装置50は、シート基板FBの両端部に設けられたアライメントマークを検出している。代替的及び/又は追加的に、アライメント装置50は、基板基準マークFFMを検出してもよい、あるいはシート基板FBのうち搬送方向に平行な両辺(基板FBのエッジ)を検出してもよい。代替的及び/又は追加的に、アライメントマーク(基板マーク)は、複数の被処理領域(複数の区間)ごとに設けることができる、あるいは、複数の区間のうちの1つ又は2以上に対応付けることができる。