特許第5761188号(P5761188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5761188液晶配向処理剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761188
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】液晶配向処理剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20150723BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   G02F1/1337 525
   C08G73/10
【請求項の数】21
【全頁数】84
(21)【出願番号】特願2012-522697(P2012-522697)
(86)(22)【出願日】2011年6月30日
(86)【国際出願番号】JP2011065072
(87)【国際公開番号】WO2012002501
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】特願2010-150054(P2010-150054)
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(72)【発明者】
【氏名】野田 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】森内 正人
(72)【発明者】
【氏名】筒井 皇晶
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−106091(JP,A)
【文献】 特開2010−018807(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/050523(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/154208(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式[1]のジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られるポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
【化1】

(式中、Xは下記式[2]で表される有機基であり、Y、Yは、独立してベンゼン環又はシクロヘキサン環を表す。p、qは、独立して0又は1の整数を表し、S、Sは、独立して単結合又は二価の連結基を表し、p=0のときSは単結合、q=0のときSは単結合である。Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基又はステロイド基を表す。)
【化2】

(式中、C、Cは、独立して単結合、又は二価の有機基を表し、Aは熱によって脱離し、−NHAを−NHに変化させる熱脱離性基を表し、Bは−CH−、−O−、−NH−、及び−S−から選ばれる二価の有機基を表す。nは0又は1である。Xの結合方向は限定されない。)
【請求項2】
前記ジアミン成分中の式[1]のジアミンの含有量が、5〜95mol%である請求項1に記載の液晶配向処理剤。
【請求項3】
前記式[2]のAが、150℃〜300℃の加熱によって脱離し得る熱脱離性基である
請求項1又は2に記載の液晶配向処理剤。
【請求項4】
前記式[2]のAが、式[3]で表される第三級ブトキシカルボニル基である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【化3】
【請求項5】
前記式[2]のAが、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、又はアリルオキシカルボニル基である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【請求項6】
前記式[2]のC、Cが下記式[6]で表される二価の有機基である請求項1〜4のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【化4】
(式中、S、Sは、独立して二価の連結基であり、R、Rは、独立して単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素基である。)
【請求項7】
前記式[6]の[−S−R−]が、下記式[4]で表され、かつC、Cのどちらか一方が式[4]の構造を有する請求項1〜6のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【化5】
(式中、Bは単結合、フェニル基、−CH−、−O−、−NH−、−NR10−、及び−S−から選ばれる二価の有機基を表し、R10は炭素数1〜6の二価の炭化水素を表す。式[4]のオレフィンの構造はE体、Z体のどちらでもよい。破線で示される結合は、式[2]のCが結合しているベンゼン環、又はCが結合しているカルボニル炭素に連結する。)
【請求項8】
前記式[2]において、n=0である請求項1〜6のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【請求項9】
前記式[2]において、Cが単結合である請求項1〜7のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【請求項10】
前記式[2]において、Bが−O−又はNH−である請求項1〜9のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【請求項11】
前記式[4]において、Bが−O−又はNH−である請求項7に記載の液晶配向処理剤。
【請求項12】
前記式[1]で表されるジアミンが、下記式[1−a]〜[1−k]のいずれかの化合物である請求項1〜11のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【化6】
【化7】
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いた液晶配向膜。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いた液晶配向膜であり、光照射により配向処理を行う液晶配向膜。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の液晶配向膜を具備した液晶表示素子。
【請求項16】
下記式[1]で表される構造を有するジアミン。
【化8】
(式中、Xは下記式[2]で表される有機基であり、Y、Yは、独立してベンゼン環又はシクロヘキサン環を表す。p、qは、独立して0又は1の整数を表し、S、Sは、独立して単結合又は二価の連結基を表し、p=0のときSは単結合、q=0のときSは単結合である。Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、又はステロイド基を表す。)
【化9】

(式中、C、Cは、独立して単結合、又は二価の有機基を表し、Aは熱によって脱離し得る有機基を表し、Bは−CH−、−O−、−NH−、及び−S−から選ばれる二価の有機基を表し、nは0又は1を表し、Xの結合方向は限定されない。
【請求項17】
式[2]において、Aが式[3]で表される第三級ブトキシカルボニル基である請求項16に記載のジアミン。
【化10】
【請求項18】
式[2]において、C、Cが下記式[6]で表される二価の有機基である請求項16又は17に記載のジアミン。
【化11】
(式中、S、Sは、独立して二価の連結基であり、R、Rは、独立して単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素基である。)
【請求項19】
前記式[6]の[−S−R−]が、下記式[4]で表され、かつC、Cのどちらか一方が式[4]の構造を有する請求項16〜18のいずれかに記載のジアミン。
【化12】
(式中、Bは単結合、フェニル基、−CH−、−O−、−NH−、−NR10−、及び−S−から選ばれる二価の有機基を表し、R10は炭素数1〜6の二価の炭化水素を表す。式[4]のオレフィンの構造はE体、Z体のどちらでもよい。破線で示される結合は、式[2]のCが結合しているベンゼン環、又はCが結合しているカルボニル炭素に連結される。)
【請求項20】
下記式[1−a]〜[1−k]のいずれかで表されるジアミン。
【化13】
【化14】
【請求項21】
請求項16〜20のいずれかに記載のジアミンを原料として得られる、ポリアミド、ポリアミック酸、又は該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向処理剤、それを用いた液晶配向膜及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶配向膜は、表示デバイスとして広く使用されている液晶表示素子の構成部材であり、液晶を一定の方向に配向させる役割を担っている。現在、工業的に使用されている主な液晶配向膜は、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸とも言う。)又はポリイミドの溶液からなる液晶配向処理剤から形成される。具体的には、基板に液晶配向処理剤を塗布して加熱・焼成した後、配向処理を行うことにより得られ、ラビングによる表面処理や、基板面に対し液晶を平行又は傾斜させて配向させる配向処理が挙げられる。
【0003】
近年、パネルに用いる基板の大型化、高精細化、低コスト化等により、基板の面積の拡大、凹凸が大きくなる等の傾向がある。このような基板上に配向膜を形成させる際、印刷時にピンホールなどの印刷不良が生じる、ラビング処理では均等な配向処理が困難になり、液晶の配向不良等が起こる等の問題が起こっている。また、液晶配向処理では、現在は主にラビングによる表面処理が行なわれているが、液晶配向膜の欠損が起こり、それによる表示欠陥が生じたり、埃を発生する等の問題がある。
【0004】
一方で、ラビング法に変わる配向処理の方法として、光反応を利用した液晶配向処理が提案されている。具体的には、基板表面にポリビニルシンナメートなどの光反応を起こす特定部位を持った重合体の膜を形成し、偏光又は非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する方法(光配向法)が知られている。この方法によれば、静電気や埃を発生することなく、均一な液晶配向を実現でき、配向分割による視野角向上なども可能である(特許文献1、2参照)。
【0005】
TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)などの液晶セルては、液晶配向膜は、液晶分子を基板面に対して所定の角度(プレチルト角)で傾斜配向させる機能を有する必要がある(特許文献15参照)。プレチルト角を発現させるために、アルキル側鎖、ステロイド骨格の側鎖、環構造を有する側鎖等を有するポリアミック酸、ポリイミドなどを用いた液晶配向膜が知られている(特許文献3、4、5)。光を用いた液晶配向処理では、プレチルト角は、通常、基板面への入射方向が基板法線傾斜した放射線の照射により付与される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−287453号公報
【特許文献2】特開平9−297313号公報
【特許文献3】特開平05−043687号公報
【特許文献4】特開平04−281427号公報
【特許文献5】特開平02−223916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、主な液晶配向膜は、上記のように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸又はポリイミドの溶液からなる液晶配向処理剤により形成されるが、可溶性ポリイミドを含む溶液を使用する液晶配向膜の調製方法は、比較的低温の焼成であっても、液晶配向膜として良好な特性を得られるメリットがある。しかし、側鎖を有するジアミンを多く含むポリイミドを使用する場合、基板への塗布・成膜性が悪くなるという問題を有する。
このような問題を解決するために、少量で比較的高いプレチルト角が得られる環構造を側鎖に有するジアミン(例えば、特許文献5参照)を少量用いることで側鎖の量を減らし、基板への塗布性を向上させる方法も行なわれている。環構造を側鎖に有するジアミンはN−メチルピロリドン(以下、NMPともいう。)のような極性溶媒への溶解性が悪いものが多く、得られる重合体の品質にバラつきが生じるなどの問題が起こる可能性がある。
【0008】
また、光配向に用いられる材料においても、シンナメート基などを含む側鎖を持った重合体などが用いられることが多く、また垂直配向用においては更に別の側鎖を有するジアミンを導入する必要がある。一般的に側鎖は疎水性のものが多く、基板への濡れ性が高い極性溶媒などとの親和性が低下するため、側鎖部位を多く有する重合体は、基板への塗布・成膜性が悪くなる問題を有する。
【0009】
また、近年の液晶表示素子の高性能化に伴って、大画面で高精細の液晶テレビや、車載用途、例えば、カーナビゲーションシステムやメーターパネルなどの用途に液晶表示素子が用いられている。こうした用途では、高輝度を得るために、発熱量の大きいバックライトを使用する場合があり、バックライトに対する高い安定性が要求されるようになっている。特に、電気特性の1つである電圧保持率が、バックライトの光照射によって低下してしまうと、液晶表示素子の表示不良の1つである焼付き不良(線焼付き)が発生しやすく、信頼性の高い液晶表示素子を得ることができなくなる。したがって、液晶配向膜では、初期特性が良好なことに加え、例えば、光照射に長時間曝された後であっても、電圧保持率が低下しにくいことが求められている。
【0010】
本発明は、上記の状況を鑑み、液晶配向処理剤に含まれる重合体のハンドリング性が良好で、塗布性に優れ、高い信頼性が得られる液晶配向処理剤を提供することを目的とする。また、本発明は、重合体を得る際に用いる溶媒への溶解性が良好で、印刷性に優れる液晶配向処理剤の提供が可能な側鎖を有するジアミンの提供、及び光の照射に曝されても電圧保持率の低下が抑制された液晶配向膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の要旨を有する。
(1)下記式[1]のジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られる、ポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
【化1】
(式中、Xは下記式[2]で表される有機基であり、Y、Yは、独立してベンゼン環又はシクロヘキサン環を表す。p、qは、独立して0又は1の整数を表し、S、Sは、独立して単結合又は二価の連結基を表し、p=0のときSは単結合、q=0のときSは単結合である。Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基又はステロイド基を表す。)
【化2】
(式中、C、Cは、独立して単結合、又は二価の有機基を表し、Aは熱によって脱離し、−NHAを−NHに変化させる熱脱離性基を表し、Bは−CH−、−O−、−NH−、及び−S−から選ばれる二価の有機基を表し、nは0又は1を表し、Xの結合方向は限定されない。)
【0012】
(2)前記ジアミン成分中の式[1]のジアミンの含有量が、5〜95mol%である上記(1)に記載の液晶配向処理剤。
(3)前記式[2]のAが、150℃〜300℃の加熱によって脱離し得る熱脱離性基である上記(1)又は(2)に記載の液晶配向処理剤。
(4)前記式[2]のAが、式[3]で表される第三級ブトキシカルボニル基である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【化3】
(5)前記式[2]のAが、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、又はアリルオキシカルボニル基である上記(1)〜(3)のいずれに記載の液晶配向処理剤。
(6)前記式[2]のC、Cが下記式[6]で表される二価の有機基である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【化4】
(式中、S、Sは、独立して二価の連結基であり、R、Rは、独立して単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素基である。)
(7)前記式[6]の[−S−R−]が、下記式[4]で表され、かつC、Cのどちらか一方が式[4]の構造を有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【化5】
(式中、Bは単結合、フェニル基、−CH−、−O−、−NH−、−NR10−、及び−S−から選ばれる二価の有機基を表し、R10は炭素数1〜6の二価の炭化水素を表す。式[4]のオレフィンの構造はE体、Z体のどちらでもよい。破線で示される結合は、式[2]のCが結合しているベンゼン環、又はCが結合しているカルボニル炭素に連結する。)
【0013】
(8)前記式[2]において、n=0である上記(1)〜()のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
)前記式[2]において、Cが単結合である上記(1)〜()のいずれに記載の液晶配向処理剤。
10)前記式[2]において、Bが−O−又はNH−である上記(1)〜()のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
11)前記式[4]において、Bが−O−又はNH−である上記()に記載の液晶配向処理剤。
【0014】
12)前記式[1]で表されるジアミンが、下記式[1−a]〜[1−k]のいずれかの化合物である上記(1)〜(11)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【化6】
【化7】
【0015】
(13)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いた液晶配向膜。
14)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いた液晶配向膜であり、光照射により配向処理を行う液晶配向膜。
15)上記(13)又は(14)に記載の液晶配向膜を具備した液晶表示素子。
【0016】
16)下記式[1]で表される構造を有するジアミン。
【化8】
(式中、Xは下記式[2]で表される有機基であり、Y、Yは、独立してベンゼン環又はシクロヘキサン環を表す。p、qは、独立して0又は1の整数を表し、S、Sは、独立して単結合又は二価の連結基を表し、p=0のときSは単結合、q=0のときSは単結合である。Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、又はステロイド基を表す。)
【化9】
(式中、C、Cは、独立して単結合、又は二価の有機基を表し、Aは熱によって脱離し得る有機基を表し、Bは−CH−、−O−、−NH−、及び−S−選ばれる二価の有機基を表し、nは0又は1を表し、Xの結合方向は限定されない。
【0017】
17)式[2]において、Aが式[3]で表される第三級ブトキシカルボニル基である上記(16)に記載のジアミン。
【化10】
18)式[2]において、C、Cが下記式[6]で表される二価の有機基である上記(16)又は(17)に記載のジアミン。
【化11】
(式[6]中、S、Sは、独立して二価の連結基であり、R、Rは、独立して単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素基である。)
【0018】
19)前記式[6]の[−S−R−]が、下記式[4]で表され、かつC、Cのどちらか一方が式[4]の構造を有する上記(16)〜(18)のいずれかに記載のジアミン。
【化12】
(式中、Bは単結合、フェニル基、−CH−、−O−、−NH−、−NR10−、及び−S−選ばれる二価の有機基を表し、R10は炭素数1〜6の二価の炭化水素を表す。式[4]のオレフィンの構造はE体、Z体のどちらでもよい。破線で示される結合は、式[2]のCが結合しているベンゼン環、又はCが結合しているカルボニル炭素に連結される。)
【0019】
20)下記式[1−a]〜[1−k]のいずれかで表されるジアミン。
【化13】
【化14】
21)上記(16)〜(20)のいずれかに記載のジアミンを原料として得られる、ポリアミド、ポリアミック酸、又は該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミド。
【発明の効果】
【0020】
本発明の液晶配向処理剤の原料として使用されるジアミンは、NMPなどの極性溶媒における溶解性が非常に高く、重合時のハンドリングが良好であり、かかるジアミンから得られるポリアミック酸、又は該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドを含有する液晶配向処理剤は塗布・成膜性に優れ、さらに、光の照射に曝されても電圧保持率の低下が抑制された液晶配向膜となる。また、上記のジアミンは光配向法にも適する液晶配向処理剤の提供も可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<本発明のジアミン>
本発明の液晶配向処理剤の原料として使用されるジアミンは、上記のように、下記の式[1]で表わされるジアミン(以下、本発明のジアミンともいう。)である。
【化15】
【0022】
本発明のジアミンは、側鎖構造に、第三級ブトキシカルボニル基(以下Boc基ともいう。)などの熱脱離性基で保護されたフェニレンジアミン骨格を有する。通常、アミノ基は反応性に富む有機基であるため、そのままではジアミンの側鎖の一部として存在することは困難であるが、熱脱離性基で保護することによりアミノ基の反応性を低下させることができる。また、熱脱離性基で保護されたアミノ基は、約150℃以上で加熱すると熱脱離性基が脱保護されアミノ基に変化させることができる。
【0023】
また、アミノ基は反応性の高い有機基であり、不飽和結合、カルボン酸、カルボン酸無水物、エポキシ化合物、カルボニル基などの官能部位と反応することが知られている。一方で、下図に示したように、アミド結合、エステル結合などのカルボニルを含む結合基と近接して熱脱離性基で保護したアミノ基を配置させると、ジアミンの分子間よりも分子内で反応が起こりやすくなり、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環などの複素環を形成させることができる。
【0024】
これにより、本発明のジアミンは、液晶配向処理剤の焼成過程における熱処理よる脱離より生じたアミノ基を分子内で反応させることにより複素環を形成させ、リジッドな側鎖を生成させ、この側鎖構造がプレチルト角の良好な誘発部位として機能することになる。
【化16】
【0025】
また、熱脱離性基が外れたアミノ基は、そのすべてが環化反応に用いられるわけではなく、一部は分子間反応にも用いられ、膜強度の向上や、重合体中の低分子成分と架橋することにより信頼性の向上に寄与する。かくして、本発明のジアミンを用いたポリアミック酸やポリイミドは、ラビング処理時の膜削れが起こり難く、長期間の高温、バックライト照射などに曝されても、電圧保持率の低下やイオン密度の増加が起こしにくいものとなる。
さらに、本発明のジアミンは、熱脱離性基として、嵩高いBoc基などを有するため、ジアミンを(縮)重合する際の有機溶媒、特に、NMPなどの極性溶媒に対する溶解性が非常に高く、重合時のハンドリングが良好である。
また、本発明のジアミンを用いて得られるポリイミド前駆体やポリイミドを用いた液晶配向処理剤は塗布・成膜性に優れ、光の照射に曝されても電圧保持率の低下が抑制された液晶配向膜が得られ、さらに、液晶配向処理剤は、光配向法においても使用することができる。
【0026】
本発明のジアミンは、下記式[A]で表される側鎖を有している。
【化17】
式[A]中、Xは下記式[2]で表される有機基であり、Y、Yは、独立してベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、p、qは、独立して0又は1の整数を表し、S、S、は、独立して単結合又は二価の連結基を表し、p=0のときSは単結合、q=0のときSは単結合であり、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、又はステロイド基を表す。式中、DAはフェニレンジアミン骨格を表す。
【0027】
【化18】
ここで、C、Cは、独立して単結合、又は二価の有機基を表し、Aは熱によって脱離し得る有機基を表し、Bは−CH−、−O−、−NH−、及び−S−選ばれる二価の有機基を表し、nは0又は1を表す。Xの結合方向、すなわち、上記〔A〕において、XのCは、Y側に結合していてもよく、また、C側に結合していてもよい。
【0028】
本発明のジアミンでは、DAはフェニレンジアミン骨格を有し、これにより、幅広い側鎖量や側鎖密度のジアミンにすることができる。しかし、ジアミン骨格の分子量が大きい場合などは、ジアミンの分子量が大きくなってしまい、重合体に必要となるモノマー量が多くなり、工業的に使用し難い。また、ジアミン骨格が脂肪族ジアミンの場合には、反応性が高くなりすぎ、重合体の調製時に塩形成による析出やゲル化などの問題が生じる。
フェニレンジアミン骨格の有するアミノ基は、第一級アミノ基が好ましいが、第二級アミノ基であってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの比較的分子量の小さなアルキル基がアミノ基に置換されていてもよい。
【0029】
本発明のジアミンは、式[1]中の側鎖部位は下記式[5]で表され、この部位は、プレチルト角の発現、その大きさを決定する部分であり、最適化することによりプレチルト角の好ましい大きさを得ることが可能となる。
【化19】
式[5]中、Y、Yは、独立してベンゼン環、又はシクロへキサン環である。ベンゼン環、及びシクロへキサン環は、必要に応じて置換基を有していてもよい。また、置換基の結合位置は、ベンゼン環、及びシクロヘキサン環のいずれもが、1,4置換が好ましい。p、qは、独立して0又は1の整数を表す。シクロヘキサン環は、トランス構造(いわゆるイス型)が好ましい。
【0030】
式[5]中、S、Sは、独立して単結合又は二価の連結基であり、p=0のときSは単結合、q=0のときSは単結合である。
、Sの具体例を、(S−1)〜(S−11)に示すが、これらに限定されない。
【化20】
【0031】
上記式(S−5)〜(S−8)、(S−10)、及び(S−11)において、R、Rは、独立して水素原子又は炭素数1〜20、好ましくは1〜15の1価の炭化水素基である。
ここで、1価の炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビシクロヘキシル基等のビシクロアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−、2−、又は3−ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、キシリル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルシクロヘキシル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0032】
なお、これらの1価の炭化水素基の水素原子の一部又は全部は、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、リン酸エステル基、エステル基、カルボキシル基、リン酸基、チオエステル基、アミド基、ニトロ基、オルガノオキシ基、オルガノシリル基、オルガノチオ基、オルガノアミノ基、カルバミン酸エステル基、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などで置換されていてもよい。また、これらは環状構造であってもよい。
、Rは、芳香環や脂環構造などの嵩高い構造であると、液晶配向性を低下させたり、モノマーの形状が粘体状になり、扱いにくくなる可能性があるため、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、又は水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。特に好ましいS、Sは、単結合、−O−、−NHCO−、又は−COO−、である。
【0033】
式[5]中、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜22を有する、アルキル基若しくはフルオロアルキル基、又はステロイド基を表す。アルキル基、フルオロアルキル基は直鎖状又は分岐状でもよく、ステロイド基のように縮環構造を形成していてもよい。Rがアルキル基の場合、直鎖状が好ましく、また、適宜の置換基を有していてもよい。合成のし易さや入手性の点では、Rはアルキル基が好ましい。 Rのアルキル基の炭素数は特に限定されないが、式[5]中、p、qが0のとき、すなわち環構造が無い場合、プレチルト角の発現能は低くなるため、長鎖アルキル基であることが好ましく、好ましいRの炭素数は5〜18であり、より好ましくは7〜15である。
また、ベンゼン環やシクロへキサン環を導入した場合、プレチルト角の発現能は向上するため、Rは炭素数の少ないアルキル基が好ましい。好ましいRの炭素数は、1〜12であり、より好ましくは3〜10である。
【0034】
式[5]で表される構造の好ましい具体例を以下に示す。
【表1】
【0035】
合成のし易さや原料の入手性の点から、式[5]で表される構造は、[5−1]〜[5−3]、[5−8]、[5−14]〜[5−19]、[5−20]、[5−44]、[5−45]等が好ましく、特に[5−1]、[5−2]、[5−8]等がより好ましい。
式[1]中のジアミノベンゼン骨格において、ベンゼン環におけるアミノ基の結合位置は限定されない。具体的なアミノ基の位置としては、側鎖の置換位置に対し2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置、又は3,5の位置が挙げられる。なかでも、ポリアミック酸を合成する際の反応性の点から、2,4の位置、2,5の位置、又は3,5の位置が好ましい。合成の容易性も加味すると、2,4の位置(式1−1)、又は3,5の位置(式1−2)が好ましい。
【化21】
【0036】
本発明のジアミンは、上記のように、焼成時にBoc基などの熱脱離性基の脱保護化を行ない、アミノ基を生じさせ、生成したアミノ基がカルボニル炭素に求核攻撃することにより複素環を形成する、熱環化反応を起こす。このため、本発明のジアミンには下記式[2]に示す構造がジアミンに含まれる。
【化22】
ここで、C、Cは、独立して単結合、又は二価の有機基を表し、Aは熱によって脱離し得る有機基を表し、Bは−CH−、−O−、−NH−、及び−S−選ばれる二価の有機基を表し、nは0又は1を表し、Xの結合部の方向は限定されない。
上記式[2]中のAで表示される熱脱離性基は、本発明の液晶配向処理剤の焼成温度である、好ましくは150℃以上、より好ましくは170〜300℃、特に好ましくは180〜250℃において、熱による脱離が可能な有機基であれば特に限定はされない。
熱脱離性基としては、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、第三級ブトキシカルボニル基(Boc基)などに代表されるカルバメート系の有機基が挙げられる。熱による脱離の効率が良く、比較的低い温度で脱離し、脱離した際に無害な気体である点から、Boc基が特に好ましい。
【0037】
一般式[2]の好ましい例として、下記の式[2−1]〜[2−16]にを示す。
また、式[2]中のBは、−CH−、−O−、−NH−、及び−S−から選ばれる二価の有機基を表し、特に限定されないが、入手性、環化反応の収率、配向膜の電気得性などの点では、−O−又はNH−が特に好ましい。
式[2]中のnについては、焼成によりBoc基がはずれてアミノ基が生じたした際、n=0のときは5員環複素環を形成し、n=1のときは6員環複素環を形成することができる。しかし、n=1の場合、アミノ基とカルボニル基の炭素の距離が遠のき、環化反応が起こりにくくなるため、環化反応の効率の点ではn=0が好ましい。
【0038】
【化23】
【0039】
【化24】
【0040】
式[2]中、C、Cは、単結合、又は二価の有機基を表す。二価の有機基であれば特に限定はされず、合成のし易さや原料の入手性などにより種々選択される。C、Cが二価の有機基の場合、以下に示す式[6]で表される構造で表すことができる。
【化25】
式[6]中、S、Sは、独立して単結合又は二価の連結基であり、R、Rは、独立して単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素である。
、Sの具体例は、前記式[S−1]〜[S−11]と同様であるが、これ以外の連結基であってもよい。
【0041】
式[6]中、R、Rが炭素数1〜20の2価の炭化水素である場合、具体例を以下に挙げる。
例えば、メチレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、1,1−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、2,3−ブチレン基、1,6−へキシレン基、1,8−オクチレン基、1,10−デシレン基等のアルキレン基;1,2−シクロプロピレン基、1,2−シクロブチレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロペンチレン基、1,1−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,4−シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基;1,1−エテニレン基、1,2−エテニレン基、1,2−エテニレンメチレン基、1−メチル−1,2−エテニレン基、1,2−エテニレン−1,1−エチレン基、1,2−エテニレン−1,2−エチレン基、1,2−エテニレン−1,2−プロピレン基、1,2−エテニレン−1,3−プロピレン基、1,2−エテニレン−1,4−ブチレン基、1,2−エテニレン−1,2−ブチレン基、1,2−エテニレン−1,2−ヘプチレン基、1,2−エテニレン−1,2−デシレン基等のアルケニレン基;エチニレン基、エチニレンメチレン基、エチニレン−1,1−エチレン基、エチニレン−1,2−エチレン基、エチニレン−1,2−プロピレン基、エチニレン−1,3−プロピレン基、エチニレン−1,4−ブチレン基、エチニレン−1,2−ブチレン基、エチニレン−1,2−ヘプチレン基、エチニレン−1,2−デシレン基等のアルキニレン基;1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、3−フェニル−1,2−フェニレン基、2,2’−ジフェニレン基、2,2’−ジナフト−1,1’−イル基等のアリーレン基;1,2−フェニレンメチレン基、1,3−フェニレンメチレン基、1,4−フェニレンメチレン基、1,2−フェニレン−1,1−エチレン基、1,2−フェニレン−1,2−エチレン基、1,2−フェニレン−1,2−プロピレン基、1,2−フェニレン−1,3−プロピレン基、1,2−フェニレン−1,4−ブチレン基、1,2−フェニレン−1,2−ブチレン基、1,2−フェニレン−1,2−ヘキシレン基、メチレン―1,2−フェニレンメチレン基、メチレン―1,3−フェニレンメチレン基、メチレン―1,4−フェニレンメチレン基等のアリーレン基とアルキレン基からなる二官能炭化水素基が挙げられる。
【0042】
なお、上記2価炭化水素基の水素原子の一部又は全部は、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、リン酸エステル基、エステル基、カルボキシル基、リン酸基、チオエステル基、アミド基、ニトロ基、オルガノオキシ基、オルガノシリル基、オルガノチオ基、オルガノアミノ基、カルバミン酸エステル基、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などで置換されていてもよい。また、これらは環状構造であってもよい。
、Rは、炭素数が少ないほうが、モノマーが固体になりやすく、液晶配向膜として用いた際、プレチルト角の安定性が向上するため、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基、又は炭素数1〜6のアルキニレン基が好ましい。
式[6]中、Cの結合位置としては、Boc基で保護されたアミノ基の置換位置から見て4位、又は5位が好ましいが、4位、5位のどちらにおいても環化後の構造は同じになるため、特に限定されない。
【0043】
また、式[6]において、[−S−R−]の構造が下記式[4]で表され、かつC、Cのどちらか一方が式[4]の構造を有する場合、光配向法で使用することが可能な構造となる。
【化26】
ここで、Bは単結合、フェニル基、−CH−、−O−、−NH−、−NR10−、及び−S−から選ばれる二価の有機基を表し、R10は炭素数1〜6の二価の炭化水素を表す。
【0044】
式[4]のオレフィン部位は、E体、Z体のどちらでもよく、オレフィンへの結合を示す破線は、一般式[2]のCが結合しているベンゼン環、又はCが結合しているカルボニル炭素に結合している。
式[4]で表される構造が、光によって種々の反応を起こす部位となる。式中、Bは単結合、フェニル基、−CH−、−O−、−NH−、−NR10−、及び−S−から選ばれる二価の有機基を表し、合成の容易さや原料の入手性の点では−O−、又は−NH−が特に好ましい。R10は炭素数1〜6の二価の炭化水素を示す。
式[4]のオレフィン部位は、Cでは、合成のし易さからE体が好ましい。この場合、式[2]はシンナメート誘導体と同義となるため、光反応のしやすさから特に好ましい。
一方、Cにおけるオレフィン部位は特に限定はされない。また、Cが式[4]で表させる構造を含む場合、熱により環化することで光反応活性となる。逆に環化していない場合においては、光反応は起こりにくく、モノマーやそれを用いた液晶配向処理剤や液晶配向膜は、紫外線による劣化などの影響が従来のシンナメート系よりも少なくなることが考えられ、そのような点では、Cが式[4]の構造であるものがより好ましい。
【0045】
式[2]の好ましい具体例として、下記式[2−17]〜[2−32]を示す。
【化27】
【0046】
式[2−17]〜[2−20]及び[2−25]〜[2−28]は、焼成時に下記に示す式[2−33]〜[2−40]に変化し、これによりシンナメートと同様の効果を得ることができると考えられる。
【化28】
【0047】
以下に特に好ましいジアミンの構造を示すが、これらに限定されない。
【化29】
【化30】
【0048】
式[7−1]〜[7−6]において、Bは−O−又はNH−を表し、C、Cは、独立して単結合又は二価の有機基を表し、Y、Yは、ベンゼン環又はシクロへキシル環であり、S、Sは、単結合又は二価の連結基であり、p、qは0又は1の整数を表し、p=0のときSは単結合であり、q=0のときはSは単結合であり、Rはプロトン、又は炭素数1〜22のアルキル基を表す。
ジアミンの構造の具体例を以下に示す。
【化31】
【化32】
【化33】
【0049】
<本発明のジアミンの合成>
【化34】
置換基Xが、置換されたo−フェニレンジアミン、2−アミノフェノール、2−アミノベンゼンチオールなど(基質)に、二炭酸ジtert−ブチルなどのBoc基などの熱脱離性基の保護に用いる化合物を溶媒中で作用させることにより目的の構造の前駆体が合成できる。このとき、必要に応じてピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミンなどの塩基を共存させることで収率や反応速度を向上させることができる。一方、これらの塩基を共存させて反応させると、熱脱離性基がアミノ基に対し2ユニット導入されたものや、熱脱離性基が水酸基に導入された生成物になってしまうため、反応させる基質に対して、より適合した条件を採用するのが好ましい。
【0050】
【化35】
【0051】
式[2]で表される部位、すなわち環化が起こる部位をジアミノベンゼン側に向けたい場合は、Xが未置換、又は側鎖状の置換基であるものを入手し、上記の手法でアミノ基を熱脱離性基で保護し、ジニトロベンゼンを導入しジアミンに変換する方法が挙げられる。以下に具体的な合成例を示す。
【化36】
【0052】
一方、環化が起こる部位を側鎖側に向けたい場合、上記式のXは予め保護しておくか、又は後に変換できるような不活性な置換基の状態にしておき、熱脱離性基で保護されたアミノ基に近接するアミノ基や水酸基に側鎖を導入し、その後Xを活性な置換基などに変換し、ジニトロベンゼンを導入し、ジアミンに変換する方法が挙げられる。以下に具体的な合成例を示す。
【化37】
カルボン酸とアミンとの縮合反応でアミド結合、カルボン酸とアルコールやフェノールとを縮合反応させることでエステル結合が合成できる。この反応は、カルボン酸、アミン、及びアルコールと反応しない溶媒中にて、塩基の存在下、カルボン酸ハライドと、アミン、アルコール、又はフェノールとを反応させる方法、又は縮合剤存在下、カルボン酸と、アミン、アルコール、又はフェノールとを反応させる方法、で得ることができる。
【0053】
カルボン酸ハライドは、カルボン酸を適当なハロゲン化剤と反応させることで得ることができる。汎用性の点から、使用されるカルボン酸ハライドは、カルボン酸塩化物、例えば、カルボン酸クロリドが好ましい。カルボン酸クロリドはカルボン酸と塩素化剤とを反応させることで得られる。塩素化剤の例としては、塩化チオニル、塩化ホスホニル、塩化スルフリル、塩化オキサリル、三塩化リン、五塩化二リンなどが挙げられるが、汎用性、除去のし易さなどの点で塩化チオニル、塩化スルフリル、塩化オキサリルなどが好ましく、特に塩化チオニル、又は塩化オキサリルが好ましい。
【0054】
また、上記の反応に用いる溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。縮合反応の際に用いられる塩基としてはピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N−メチルモルホルリンなどの有機塩基や、場合によっては水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などの無機塩基水溶液を用いる(ショッテン・バウマン法)方法も挙げられる。
【0055】
縮合剤存在下にて縮合反応させる場合、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル、4−(4,6−ジメトキシー1,3,5−トリアジンー2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド n−水和物などの縮合剤が使用できる。
【0056】
また、上記縮合剤を用いる方法において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量は、Cのモル数に対して0.1〜1.0倍モルが好ましい。
一般式[2]のC、Cで表される連結基において、好ましいC、Cの構造としては、下記式[6]で表す二価の有機基が挙げられる。
【化38】
【0057】
ここで、S、Sは、独立して単結合又は二価の連結基であり、R、Rは、独立して単結合又は炭素数1〜20の2価の炭化水素である。具体例としては、式[1−c]、式[1−i]、式[1−h]のジアミンを挙げることができる。
【化39】
【0058】
式[4−c]のジアミンは、上記した環化部位が側鎖向きとなる手法に準じて合成することができる。
【化40】
【0059】
式[4−i]及び式[4−h]のジアミンの合成においては、上記した環化部位がジアミン側向きとなる方法に準じて合成できるが、合成法はそれ以外の方法でも可能なため、特に限定されない。
ジアミン中にオレフィン構造を導入する場合、E(トランス)体とZ(シス)の構造異性体のどちらでも同様な効果が得られる。E体を合成する場合はフマル酸を用いることで合成でき、Z体はマレイン酸を用いることで合成できる。E体の合成法としては、Z体の異性化反応を利用して合成する方法もあり、フマル酸を経由する合成法よりも選択性に優れ、収率良く合成できるため、E体、Z体に関わらずマレイン酸を用いる方法が好ましい。
【0060】
式[4−i]、及び式[4−h]のジアミン合成例において、エーテル結合を形成させる工程があるが、エーテル結合はアルキルハライド又はアリールハライドとアルコールとを、それらと反応しない溶媒中で塩基存在下にて反応させるウィリアムソン・エーテル合成法にて得ることができる。他にパラジウム触媒などを用いた方法、銅を触媒に用いる方法などでも得ることができる。反応させる基質により好ましい手段が選択される。反応後の後処理やコスト面を考慮するとウィリアムソン・エーテル合成法が好ましい。用いる塩基は特に限定しないが、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシドなどの無機塩基、又はトリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどの有機塩基を使用できる。
【0061】
上記した合成法などを用いることにより、ジニトロベンゼン誘導体[8]を合成し、通常の還元反応にてニトロ基をアミノ基に変換することにより目的とするジアミンを得ることができる。ジニトロ化合物を還元する方法には、特に制限はなく、通常、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム−アルミナ、硫化白金炭素などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アルコールなどの溶媒中で、水素ガス、ヒドラジン、塩化水素などによって還元を行う方法がある。必要に応じてオートクレープなどを用いてもよい。一方で、構造に不飽和結合部位を含む場合、パラジウムカーボン、白金カーボンなどを用いると不飽和結合部位が還元されてしまい、飽和結合となってしまう恐れがあるため、好ましい条件としては、還元鉄、錫、塩化錫などの遷移金属を触媒として用いる還元条件が好ましい。
【化41】
【0062】
<本発明の重合体>
本発明における重合体とは、ポリイミド前駆体、該ポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミド、ポリアミドを指す。ここで、ポリイミド前駆体とは、ポリアミック酸及びポリアミック酸エステルを指す。本発明のジアミンは、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸二無水物など、テトラカルボン酸又はその誘導体と反応させることで側鎖に特定の構造を有するポリアミック酸を得ることができる。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとの反応や、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを適当な縮合剤、及び塩基の存在下にて反応させることによりポリアミック酸エステルを得ることができる。更には、上記ポリアミック酸を脱水閉環させる、又はポリアミック酸エステルを高温で加熱し、脱アルコールを促し、閉環させることにより側鎖に特定の構造を有するポリイミドを得ることができる。
【0063】
<ポリアミック酸、及びポリアミック酸エステル>
本発明のポリアミック酸は、式[1]で表されるジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られる。また、本発明のポリアミック酸エステルは、式[1]で表されるジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸ジエステルジクロリドを塩基存在下で反応させる、又はテトラカルボン酸ジエステルとジアミンを適当な縮合剤、及び塩基の存在下にて反応させることによって得られる。本発明のポリイミドは、このポリアミック酸を脱水閉環させる、あるいはポリアミック酸エステルを加熱閉環させることにより得られる。かかるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドのいずれも液晶配向膜を得るための重合体として有用である。
【0064】
上記テトラカルボン酸二無水物との反応によりポリアミック酸を得るためのジアミン成分(以下、ジアミン成分ともいう)において、式[1]で表されるジアミンの含有割合に制限はない。上記ポリアミック酸又はポリイミドを用いて得られる本発明の液晶配向膜は、上記ジアミン成分における式[1]で表されるジアミンの含有割合が多くなるほど、液晶のプレチルト角が大きくなる。
液晶のプレチルト角を大きくするという目的では、ジアミン成分の1mol%以上が式[1]で表されるジアミンであることが好ましい。式[1]の側鎖構造や液晶の配向モードにより好ましい含有量は異なるため、好ましい含有量は必ずしも設定できないが、TNモード、OCBモードなどにおいては水平配向規制力も加味する必要があるため、重合に用いられるジアミン成分における式[1]で表されるジアミンの含有割合は、1〜50mol%が好ましく、特に好ましくは5〜30mol%が好ましい。
【0065】
液晶を垂直に配向させるという目的では、ジアミン成分の100mol%が式[1]で表されるジアミンであってもよい。式[1]のジアミンは重合体の重合粘度を大きく低下させ、液晶配向処理剤の粘度が低くなってしまうことから、フレキソ印刷などにおいて、所要の膜厚を得るための含有量は30〜70mol%が好ましい。
上記ジアミン成分において、式(1)で表されるジアミンが100mol%未満の場合に使用される、式(1)で表されるジアミン以外のジアミン(以下、その他のジアミンともいう。)の具体例は、以下の通りである。
【0066】
脂環式ジアミン類の例としては、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミン類の例としては、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、2,5−ジアミノ−p−キシレン、1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,4−ジアミノ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビベンジル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’―ジメチルジフェニルメタン、2,2’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)安息香酸、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビベンジル、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)メチル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、α、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,4−ジアミノジフェニルアミン、1,8−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,3−ジアミノピレン、1,6−ジアミノピレン、1,8―ジアミノピレン、2,7−ジアミノフルオレン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェニル)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェニル)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェニル)デカン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、ジ(4−アミノフェニル)プロパン−1,3−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ブタン−1,4−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ペンタン−1,5−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘキサン−1,6−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘプタン−1,7−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)オクタン−1,8−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ノナン−1,9−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)デカン−1,10−ジオエート、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕プロパン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ブタン、1,5−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ペンタン、1,6−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘキサン、1,7−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘプタン、1,8−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕オクタン、1,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ノナン、1,10−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕デカンなどが挙げられる。
【0067】
芳香族−脂肪族ジアミンの例としては、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノ−N−メチルベンジルアミン、4−アミノ−N−メチルベンジルアミン、3−アミノフェネチルアミン、4−アミノフェネチルアミン、3−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、4−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、3−(3−アミノプロピル)アニリン、4−(3−アミノプロピル)アニリン、3−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、4−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、3−(4−アミノブチル)アニリン、4−(4−アミノブチル)アニリン、3−(4−メチルアミノブチル)アニリン、4−(4−メチルアミノブチル)アニリン、3−(5−アミノペンチル)アニリン、4−(5−アミノペンチル)アニリン、3−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、4−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、2−(6−アミノナフチル)メチルアミン、3−(6−アミノナフチル)メチルアミン、2−(6−アミノナフチル)エチルアミン、3−(6−アミノナフチル)エチルアミンなどが挙げられる。
【0068】
複素環式ジアミン類の例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,7−ジアミノジベンゾフラン、3,6−ジアミノカルバゾール、2,4−ジアミノ−6−イソプロピル−1,3,5−トリアジン、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
脂肪族ジアミン類の例としては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−4,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−3−メチルヘプタン、1,9−ジアミノ−5−メチルヘプタン、1,12−ジアミノドデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタンなどが挙げられる。
【0069】
側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環、複素環、又はそれらからなる大環状置換体を有するジアミン化合物を併用してもよい。具体的には、下記の式[DA1]〜[DA26]で示されるジアミンを例示される。
【化42】
(Rは、炭素数1〜22を有する、アルキル基若しくはフッ素含有アルキル基である。)
【0070】
【化43】
(Sは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH−、−O−、−CO−、又は−NH−を示し、Rは炭素数1〜22を有する、アルキル基若しくはフッ素含有アルキル基を示す。)
【0071】
【化44】

(Sは、−O−、−OCH−、−CHO−、−COOCH−、又は−CHOCO−を示し、Rは炭素数1〜22を有する、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基若しくはフッ素含有アルコキシ基である。)
【0072】
【化45】
(Sは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−、又は−CH−を示し、Rは炭素数1〜22を有する、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基若しくはフッ素含有アルコキシ基である。)
【0073】
【化46】
(Sは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−、−CH−、−O−、又は−NH−を示し、Rはフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、又は水酸基である。)
【0074】
【化47】
【化48】
(R10は炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4−シクロへキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス体である。)
【0075】
【化49】
【化50】
【化51】
【0076】
光により配向処理する場合においては、一般式[1]のジアミンと上記[DA−1]〜[DA−26]のジアミンを併用させることで、さらに安定したプレチルト角を得ることができるため好ましい。併用できるより好ましいジアミンとしては、式[DA−10]〜[DA−26]が好ましく、より好ましくは[DA−10]〜[DA−16]のジアミンである。これらのジアミンの好ましい含有量は、特に限定はされないが、ジアミン成分中の5〜50mol%が好ましく、印刷性の点では5〜30mol%が好ましい。
また、以下のジアミンを併用させてもよい。
【0077】
【化52】
(mは0〜3の整数であり、式[DA−34]中、nは1〜5の整数である)。
式[DA−27]、式[DA−28]等のジアミンを含有させることにより、液晶配向膜とした際の電圧保持特性を向上させることができ、式[DA−29]〜[DA−34]のジアミンは蓄積電化の低減に効果がある。
【0078】
さらに、下記の式[DA−35]で示されるようなジアミノシロキサンなども、その他のジアミンとして挙げることができる。
【化53】
(mは、1〜10の整数である。)
その他のジアミン化合物は、液晶配向膜とした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0079】
本発明のポリアミド酸を得るためにジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸二無水物は特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−二無水物、ヘキサシクロ[6.6.0.12,7.03,6.19,14.010,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンー1,2−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0080】
更に、上記脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物に加えて、芳香族テトラカルボン酸二無水物を使用すると、液晶配向性が向上し、かつ液晶セルの蓄積電荷を低減させることができるので好ましい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
【0081】
テトラカルボン酸二無水物は、液晶配向膜にした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上併用することができる。
本発明のポリアミド酸エステルを得るためにジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸ジアルキルエステルは特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
脂肪族テトラカルボン酸ジエステルの具体例としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸ジアルキルエステル、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸ジアルキルエステル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸ジアルキルエステル、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸ジアルキルエステル、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸ジアルキルエステル、トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−ジアルキルエステル、ヘキサシクロ[6.6.0.12,7.03,6.19,14.010,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−ジアルキルエステル、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンー1,2−ジカルボンジアルキルエステルなどが挙げられる。
【0082】
芳香族テトラカルボン酸ジアルキルエステルとしては、ピロメリット酸ジアルキルエステル、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,3’,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテルジアルキルエステル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンジアルキルエステル、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸ジアルキルエステルなどが挙げられる。
【0083】
<ポリアミドの合成>
本発明のポリアミドを得るためにジアミン成分と反応させるジカルボン酸は特に限定されない。ジカルボン酸又はその誘導体の脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、マロン酸、蓚酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ムコン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライイン酸、セバシン酸、スベリン酸等を挙げることができる。
【0084】
脂環式系のジカルボン酸としては、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,2−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、3,4−ジフェニル−1,2−シクロブタンジカルボン酸、2,4−ジフェニル−1,3−シクロブタンジカルボン酸、1−シクロブテン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロブテン−3,4−ジカルボン酸、1,1−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジカルボン酸、2,5−ジオキソ−1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、4,8−ジオキソ−1,3−アダマンタンジカルボン酸、2,6−スピロ[3.3]ヘプタンジカルボン酸、1,3−アダマンタン二酢酸、カンファ−酸等を挙げることができる。
【0085】
芳香族ジカルボン酸としては、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、1,4−アントラキノンジカルボン酸、2,5−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、1,5−ビフェニレンジカルボン酸、4,4"−タ−フェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ビベンジルジカルボン酸、4,4'−スチルベンジカルボン酸、4,4'−トランジカルボン酸、4,4'−カルボニル二安息香酸、4,4'−スルホニル二安息香酸、4,4'−ジチオ二安息香酸、p−フェニレン二酢酸、3,3'−p−フェニレンジプロピオン酸、4−カルボキシ桂皮酸、p−フェニレンジアクリル酸、3,3'−[4,4'−(メチレンジ−p−フェニレン)]ジプロピオン酸、4,4'−[4,4'−(オキシジ−p−フェニレン)]ジプロピオン酸、4,4'−[4,4'−(オキシジ−p−フェニレン)]二酪酸、(イソプロピリデンジ−p−フェニレンジオキシ)二酪酸、ビス(p−カルボキシフェニル)ジメチルシラン等を挙げることができる。
【0086】
複素環を含むジカルボン酸としては、1,5−(9−オキソフルオレン)ジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸、4,5−チアゾールジカルボン酸、2−フェニル−4,5−チアゾールジカルボン酸、1,2,5−チアジアゾール−3,4−ジカルボン酸、1,2,5−オキサジアゾール−3,4−ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸等を挙げることができる。
上記の各種ジカルボン酸は、酸ジハライドあるい酸無水物の構造のものであってもよい。これらのジカルボン酸類は、特に直線的な構造のポリアミドを与えることが可能なジカルボン酸類であることが液晶分子の配向性を保つ上から好ましい。これらの中でも、テレフタル酸、イソテレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジカルボン酸、2,2−ビス(フェニル)プロパンジカルボン酸、4、4鋳タ−フェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸又はこれらの酸ジハライド等が好ましく用いられる。これらの化合物には異性体が存在するものもあるが、それらを含む混合物であってもよい。また、2種以上の化合物を併用してもよい。
ジカルボン酸とジアミン成分との反応により、本発明のポリアミドを得るにあたっては、公知の合成手法を用いることができる。一般的にはジカルボン酸とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる方法である。
【0087】
<ポリアミック酸の合成>
テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分との反応により、本発明のポリアミック酸を得る方法は、既知の手法を用いることができる。一般的にはテトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる方法である。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物が発生しない点で有利である。
【0088】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミド酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミド酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。
【0089】
また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミド酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いるのが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物をそのまま、又は有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いても良い。また、テトラカルボン酸二無水物又はジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させても良く、個別に順次反応させても良く、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としても良い。
【0090】
その際の重合温度は−20〜150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは−5〜100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分の反応溶液中での合計濃度が、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することができる。
ポリアミド酸の重合反応においては、テトラカルボン酸二無水物の合計モル数と、ジアミン成分の合計モル数の比は、0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1がより好ましい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成するポリアミド酸の分子量は大きくなる。
【0091】
<ポリイミドの合成>
本発明のポリイミドは、前記のポリアミド酸を脱水閉環させて得られるポリイミドであり、液晶配向膜を得るための重合体として有用である。
本発明のポリイミドにおいて、アミド酸基の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整することができる。
ポリアミド酸をイミド化させる方法としては、ポリアミド酸の溶液をそのまま加熱する熱イミド化法、及びポリアミド酸の溶液に触媒を添加する触媒イミド化法が挙げられる。
ポリアミド酸を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100〜400℃、好ましくは120〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行うのが好ましい。
【0092】
ポリアミド酸の触媒イミド化は、ポリアミド酸の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量は、アミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量は、アミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適した塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量、反応温度、反応時間等を調節することにより制御することができる。
【0093】
<ポリアミック酸エステルの合成>
ポリアミック酸エステルを合成する方法としては、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとの反応や、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを適当な縮合剤、及び塩基の存在下にて反応させる方法、又は、予めポリアミック酸を重合し、高分子反応を利用してアミック酸中のカルボン酸をエステル化する方法が挙げられる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
【0094】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等が使用できるが、反応が穏和に進行するためにはピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいということから、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
縮合剤存在下にて縮合重合を行なう場合、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンー2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド n−水和物などの縮合剤が使用できる。
【0095】
また、上記縮合剤を用いる方法において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量は、ジアミン成分に対して0.1〜1.0倍モル量であることが好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、上記したポリアミック酸を重合する際に用いられる溶媒と同じものが使用でき、モノマー及び重合体の溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等が好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時の重合体の濃度は、重合体の析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることが好ましく、窒素雰囲気中で反応を行ない、外気の混入を防ぐのが好ましい。
【0096】
<重合体の回収>
ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド等の反応溶液から、生成した重合体を回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させるのが好ましい。沈殿に用いる貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させた重合体は、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿し、回収する操作を、2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
本発明の液晶配向処理剤に含有される重合体の分子量は、得られる塗膜の強度、塗膜形成時の作業性、及び塗膜の均一性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000〜150,000である。
【0097】
<液晶配向処理剤>
本発明の液晶配向処理剤は、液晶配向膜を形成するための塗布液であり、樹脂被膜を形成するための樹脂成分が有機溶媒に溶解した溶液である。ここで、前記の樹脂成分は、上記した本発明の重合体から選ばれる少なくとも一種の重合体を含む。樹脂成分の液晶配向処理剤中の含有量は、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%である。
樹脂成分は、全てが本発明の重合体であってもよく、それ以外の他の重合体が混合されていてもよい。その際、樹脂成分中における前記他の重合体の含有量は0.5〜15質量%、好ましくは1〜10質量%である。
かかる他の重合体は、例えば、テトラカルボン酸ニ無水物成分と反応させるジアミン成分として、特定ジアミン化合物以外のジアミン化合物を使用して得られるポリアミド酸又はポリイミドなどが挙げられる。
【0098】
本発明の液晶配向処理剤に用いる有機溶媒は、樹脂成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0099】
本発明の液晶配向処理剤は、上記以外の成分を含有してもよい。その例としては、液晶配向処理剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる溶媒多物質など、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などである。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒)の具体例としては、次のものが挙げられる。
例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1−ヘキサノール、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒などが挙げられる。
これらの貧溶媒は1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。上記溶媒を用いる場合は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。
【0100】
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向処理剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0101】
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物、エポキシ基含有化合物などが挙げられる。
例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0102】
更に、基板と膜の密着性向上に加え、バックライトによる電気特性低下などを防ぐ目的で、以下のようなフェノプラスト系の添加剤を含有させることが好ましい。具体的なフェノプラスト系添加剤を以下に示す。
【化54】
【0103】
基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、その使用量は、樹脂成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。使用量が0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
本発明の液晶配向処理剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率、導電性などの電気特性を変化させる目的で、誘電体、導電物質、さらには、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的の架橋性化合物等を添加してもよい。
【0104】
<液晶配向膜及び液晶表示素子>
本発明の液晶配向処理剤は、基板上に塗布し、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をし、又は垂直配向用途などでは配向処理無しで液晶配向膜として用いることができる。この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、アクリル基板、ポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができる。また、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどの方法で行うが一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
【0105】
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後の焼成は、ホットプレートなどの加熱手段により50〜300℃、好ましくは80〜250℃で行い、溶媒を蒸発させて、塗膜を形成させることができる。焼成後に形成される塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング又は偏光紫外線照射などで処理する。
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。
【0106】
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された1対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサーを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサーを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。このときのスペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
【実施例】
【0107】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明の解釈は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0108】
<実施例1>
2−(Tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−オクタナミドフェニル 3,5−ジアミノベンゾエート(HC−01)の合成
【化55】
【0109】
第1工程
4−オクタナミド−2−ニトロフェノールの合成
【化56】

500mL(ミリリットル)の四口フラスコに、4−アミノ−2−ニトロフェノールを15.9g(103mmol)、テトラヒドロフランを300mL、及びピリジンを7.9g(103mmol)加えた。系内を冷却して0℃にし、n−オクタノイルクロリドを16.3g(103mmol)加え、室温で攪拌した。反応終了後、純水を50mL加えて攪拌した後、反応終了後、酢酸エチルを加えて有機層を分離し、有機層を水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。得られた固体を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(3:7(体積比、以下同様である。))を用いて再結晶を行い、薄黄色の固体27.0gを得た(収率94%)。
【0110】
第2工程
4−オクタナミド−2−アミノフェノールの合成
【化57】
500mLの四口フラスコに、N−(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)オクタナミドを15.0g(53.5mmol)、エタノールを40mL、及び5%パラジウムカーボンを1.0g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、白色固体13.0gを得た(収率97%)。
【0111】
第3工程
4−オクタナミド −2−tert−ブトキシカルボニルアミノフェノールの合成
【化58】
300mLの四口フラスコに、N−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)オクタナミドを12.5g(49.9mmol)、テトラヒドロフランを200mL、二炭酸ジ−tert−ブチルを11.9g(54.9mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジンを0.61g(4.99mmol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを加え、水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3(体積比、以下の実施例においても同じである。)にて精製し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、白色固体16.5gを得た(収率94%)。
【0112】
第4工程
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−オクタナミドフェニル 3,5−ジニトロベンゾエートの合成
【化59】
300mLの四口フラスコに、HC−03−1を7.0g(20.0mmol)、テトラヒドロフランを80mL、及びピリジンを1.6g(20.0mmol)加えた。系内を冷却して0℃にし、3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを5.5g(20.0mmol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、10質量%炭酸カリウム水溶液を加えて、pHを8〜9にし、酢酸エチルを加えて有機層を分離し、有機層を水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)にて精製し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、薄黄色固体5.9gを得た(収率54%)。
【0113】
第5工程
HC−01の合成
【化60】
500mLの四口フラスコに、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−オクタナミドフェニル)3,5−ジニトロベンゾエートを5.9g(10.8mmol)、テトラヒドロフランを150mL、及び5%パラジウム/カーボンを0.6g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、灰色の固体5.2gを得た(収率99%)。得られた個体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−01であることを確認した。
なお、本発明の実施例における化合物の同定は、H−NMR(Hの核磁気共鳴、Varian社製、機種:INOVA400)により行った。
H NMR (400 MHz,[D]−DMSO):δ9.92 (s,1H),8.73 (s,1H),7.89 (s,1H),7.40−7.43 (d,1H),6.99−7.01 (d,1H),6.58 (s,2H),6.09 (s,1H),5.04 (s,4H),2.27−2.31 (t,2H),1.56−1.60 (t,2H),1.40 (s,9H),1.25−1.29 (m,8H),0.85−0.88 (t,3H)
【0114】
<実施例2>
N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジアミノベンズアミドの合成(HC−02)の合成
【化61】
【0115】
第1工程
3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−アミノニトロベンゼンの合成
【化62】
300mLの四口フラスコに、3,4−ジアミノニトロベンゼン25.0g(163mmol)、テトラヒドロフランを250mL、及び二炭酸ジ−tert−ブチル35.6g(163mmol)を加えて、窒素雰囲気4時間還流攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、得られた固体をメタノールにて洗浄し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(5:5)を用いて再結晶を行い、黄色固体33.8gを得た(収率82%)。
【0116】
第2工程
N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノニトロベンゼンの合成
【化63】
300mLの四口フラスコに、4−アミル安息香酸を18.3g(95.0mmol)、テトラヒドロフラン150mL、及びジメチルホルムアミド20mLを加え、系内を冷却して0℃にし、塩化チオニルを14.1g(119mmol)加え、室温に戻して2時間攪拌し、4−アミル安息香酸クロリド溶液を調製した。一方で500mLの四口フラスコに、3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−アミノニトロベンゼンを20.0g(79.0mmol)、テトラヒドロフラン100mL、及びピリジンを7.5g(95.0mmol)加え、系内を冷却して0℃にし、先で調製した4−アミル安息香酸クロリド溶液をゆっくり滴下し、室温で攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、酢酸エチルを加え、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をメタノールにて洗浄し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(2:8)を用いて再結晶を行い、黄色固体24.7gを得た(収率73%)。
【0117】
第3工程
N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ アニリンの合成
【化64】
500mLの四口フラスコに、N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノニトロベンゼンを20.0g(46.8mmol)、テトラヒドロフランを200mL、及び10%パラジウムカーボンを2.0g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行い、アセトンにて再溶解し、活性炭を加え室温でしばらく攪拌した後、活性炭を濾過し、アセトンを留去し、真空乾燥することで、薄黄緑色のガラス状固体17.7gを得た(収率95%)。
【0118】
第4工程
N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジニトロベンズアミドの合成
【化65】
300mLの四口フラスコに、N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノアニリンを10.0g(25.2mmol)、テトラヒドロフラン150mL、ジメチルホルムアミドを20mL、及びピリジンを2.4g(30.2mmol)加えた。系内を冷却して0℃にし、3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを5.8g(25.2mmol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、酢酸エチルを加え、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をメタノールにて洗浄し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(3:7)を用いて再結晶を行い、薄黄色固体11.8gを得た(収率79%)。
【0119】
第5工程
HC−02の合成
【化66】
300mLの四口フラスコに、N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジニトロベンズアミドを10.0g(16.9mmol)、テトラヒドロフランを100mL、及び10%パラジウムカーボンを1.0g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(3:7)を用いて再結晶を行い、さらにn−ヘキサンで分散洗浄することにより、白色の固体8.6gを得た(収率96%)。目得られた固体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−02であることを確認した。
H NMR (400 MHz,[D]−DMSO):δ10.0(s,1H),9.71(s,1H),8.62(s,1H),8.01(d,1H),7.89―7.87(d,2H),7.54−7.52(dd,1H),7.42−7.40(d,1H),7.37−7.35(d,2H),6.30 (d,2H),6.00−5.90 (t,1H),4.96 (s−br,4H),2.68−2.64 (m,2H),1.64−1.57(m,2H),1.45(s,9H),1.39−1.17(m,4H),0.89−0.85(t,3H)
【0120】
<実施例3>
N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 2,4−ジアミノベンズアミドの合成(HC−03)
【化67】
【0121】
第1工程
N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 2,4−ジニトロベンズアミドの合成
【化68】
300mLの四口フラスコに、2,4−ジニトロ安息香酸を4.10g(19.4mmol)、ジクロロメタン150mL、及びジメチルホルムアミド20mLを加え、系内を冷却して0℃にし、塩化オキサリル2.46g(19.4mmol)をゆっくり加え、室温に戻して2時間攪拌し、2,4−ジニトロ安息香酸クロリド溶液を調製した。一方で500mLの四口フラスコに、4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノアニリンを7.00g(17.6mmol)、テトラヒドロフラン100mL、及びピリジンを2.09g(26.4mmol)加え、系内を冷却して0℃にし、先で調製した2,4−ジニトロ安息香酸クロリド溶液をゆっくり滴下し、窒素雰囲気下40℃にて攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、酢酸エチルを加え、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をメタノールにて分散洗浄し、ジクロロエタンとn−ヘキサンの混合溶媒(2:8)を用いて再結晶を行い、薄黄色固体6.56gを得た(収率63%)。
【0122】
第2工程
N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 2,4−ジアミノベンズアミドの合成
【化69】
300mLの四口フラスコに、N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 2,4−ジニトロベンズアミドを6.00g(10.2mmol)、テトラヒドロフランを100mL、及び10%パラジウムカーボンを0.60g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をメタノールと2−プロパノールの混合溶媒で分散洗浄し、その後酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(2:8)を用いて再結晶を行い、薄黄色の固体4.88gを得た(収率90%)。目得られた個体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−02であることを確認した。
H NMR (400 MHz,[D]−DMSO):δ10.4(s,1H),9.56(s,1H),8.63(s,1H),8.01(d,1H),7.89―7.87(d,2H),7.54−7.52(dd,1H),7.42−7.40(d,1H),7.37−7.35(d,1H),7.28(d,1)、6.72 (d,1H),6.75(d,1H),6.40(s−br,2H),5.84 (s,1H),5.44(s−br,2H),2.68−2.64(m,2H),1.64−1.57(m,2H),1.45(s,9H),1.39−1.17(m,4H),0.89−0.85(t,3H)
【0123】
<実施例4>
N−4−(4−アミルベンゾイルオキシ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジアミノベンズアミドの合成(HC−04)の合成
【化70】
【0124】
第1工程
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−ニトロフェノールの合成
【化71】
300mLの四口フラスコに、2−アミノ−4−ニトロフェノールを12.3g(79.8mmol)、テトラヒドロフランを250mL、二炭酸ジ−tert−ブチルを14.2g(87.9mol)、及び4−ジメチルアミノピリジンを2.00g(7.98mol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを加え、水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)にて精製し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、薄黄色固体15.0gを得た(収率73%)。
【0125】
第2工程
4−(4−アミルベンゾイルオキシ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ ニトロベンゼンの合成
【化72】
200mLの四口フラスコに、4−アミル安息香酸を6.4g(32.8mol)、及びテトラヒドロフラン60mL加えて、系内を冷却して0℃にし、塩化チオニルを4.3g(35.3mol)加え、室温に戻して1時間攪拌し、4−アミル安息香酸クロリド溶液を調製した。一方で500mL四口フラスコに、2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−ニトロフェノールを6.3g(25.2mmol)、テトラヒドロフラン60mL、及びピリジンを4.0g(50.4mmol)加え、系内を冷却して0℃にし、先ほど調製した4−アミル安息香酸クロリド溶液をゆっくり滴下し、室温で攪拌した。反応終了後、10質量%炭酸カリウム水溶液を加えて、pHを8〜9にした。酢酸エチルを加えて有機層を分離し、有機層を水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(7:3)を用いて再結晶を行い、黄色固体6.9gを得た(収率64%)。
【0126】
第3工程
4−(4−アミルベンゾイルオキシ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ アニリンの合成
【化73】
300mLの四口フラスコに、4−(4−アミルベンゾイルオキシ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノニトロベンゼン2を8.8g(20.5mol)、テトラヒドロフランを100mL、及び5%パラジウムカーボンを0.9g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(7:3)を用いて再結晶を行い、白色固体6.8gを得た(収率84%)。
【0127】
第4工程
N−4−(4−アミルベンゾイルオキシ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジニトロベンズアミドの合成
【化74】
300mLの四口フラスコに、4−(4−アミルベンゾイルオキシ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノアニリンを6.8g(17.1mmol)、テトラヒドロフランを100mL、及びピリジンを1.5g(18.8mmol)加えた。系内を冷却して0℃にし、3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを4.6g(20.0mol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、10質量%炭酸カリウム水溶液を加えて、pHを8〜9にした。酢酸エチルを加えて有機層を分離し、有機層を水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(3:7)を用いて再結晶を行い、薄黄色固体11.0g
を得た(収率99%)。
【0128】
第5工程
HC−04の合成
【化75】
300mLの四口フラスコに、N−4−(4−アミルベンゾイルオキシ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジニトロベンズアミドを11.0g(18.6mmol)、テトラヒドロフランを100mL、及び5%パラジウムカーボンを1.0g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、灰色の固体9.7gを得た(収率98%)。目得られた個体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−04であることを確認した。
H NMR (400 MHz,[D]−DMSO):δ9.99 (s,1H),8.88 (s,1H),7.99−8.01 (m,3H),7.48−7.51 (d,1H),7.34−7.38 (d,2H),7.10−7.11 (d,1H),6.26 (s,2H),5.96 (s,1H),4.93 (s−br,4H),2.63−2.67 (t,2H),1.55−1.59 (t,2H),1.22−1.34 (m,13H),0.81−0.84 (t,3H),
【0129】
<実施例5> 2−メチル−6−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジアミノベンゾエート(HC−05)の合成
【化76】
【0130】
第1工程
6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−m−クレゾールの合成
【化77】
300mLの四口フラスコに、6−アミノ−m−クレゾールを6.2g(50.3mmol)、テトラヒドロフランを150mL、及び二炭酸ジ−tert−ブチルを14.2g(55.3mmol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを加え、水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行い、白色固体11.2gを得た(収率99%)。
【0131】
第2工程
3−メチル−6−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジニトロベンゾエート
【化78】
300mLの四口フラスコに、6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−m−クレゾールを11.2g(50.2mmol)、テトラヒドロフランを200mL、及びピリジンを4.0g(50.2mmol)加えた。系内を冷却して0℃にし、3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを11.5g(50.2mmol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノールと水の混合溶媒(9:1)に注ぎ、固体を析出させ、固体を濾過した。次いで、固体を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、黄色固体20.2gを得た(収率97%)。
【0132】
第3工程
HC−05の合成
【化79】
300mLの四口フラスコに、3−メチル−6−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジニトロベンゾエートを10.0g(24.0mmol)、テトラヒドロフランを100mL、及び5%パラジウム/カーボンを1.0g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、灰色の固体8.7gを得た(収率99%)。目得られた個体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−05であることを確認した。
H NMR (400 MHz,[D]−DMSO):δ8.63 (s,1H),7.43−7.45 (d,2H),6.99−7.02 (d,1H),6.93 (s,1H),6.57 (s,2H),6.08 (s,1H),5.04 (s,4H),2.27 (s,1H),1.37 (s,9H)
【0133】
<実施例6>
4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ 3,5−ジアミノベンゾエート(HC−06)の合成
【化80】
【0134】
第1工程
4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−ニトロフェノールの合成
【化81】
200mLの四口フラスコに、4−アミル安息香酸を12.5g(64.9mmol)、テトラヒドロフラン100mL、及びDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)20mLを加え、系内を冷却して0℃にし、塩化チオニルを7.80g(65.5mol)加え、60℃で2時間攪拌し、4−アミル安息香酸クロリド溶液を調製した。一方で300mLの四口フラスコに、4−アミノ−2−ニトロフェノールを10.0g(64.9mmol)、テトラヒドロフランを150mL、及びピリジンを6.3g(64.9mmol)加え、系内を冷却して0℃にし、先に調製した4−アミル安息香酸クロリド溶液をゆっくり加え、室温に戻し窒素雰囲気下で1日攪拌させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、純水を50mL加えて攪拌した後有機層を分離し、有機層を水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をカラムクロマトグラフィー法(酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(8:2)を用いて精製を行い、再び酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(2:8)で分散洗浄することにより、黄色の固体15.6gを得た(収率73%)。
【0135】
第2工程
4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−アミノフェノールの合成
【化82】
200mLの四口フラスコに、4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−ニトロフェノールを10.0g(30.5mol)、テトラヒドロフランを100mL、及び10%パラジウムカーボンを1.0g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行い、アセトンにて再溶解させ、活性炭を加え攪拌した。その後、濾過により活性炭を取り除き、濾液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行うことで薄茶色アメ状固体8.4gを得た(収率93%)。
【0136】
第3工程
4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノフェノールの合成
【化83】
200mLの四口フラスコに、4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−アミノフェノールを 6.0g(20.1mmol)、テトラヒドロフランを100mL、二炭酸ジ−tert−ブチルを4.4g(20.1mmol)、及びピリジンを0.16g(2.01mmol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、水、及び、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(3:7)を用いて再結晶を行い、白色固体5.8gを得た(収率72%)。
【0137】
第4工程
4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル−3,5−ジニトロベンゾエートの合成
【化84】
200mLの四口フラスコに、4−アミルベンゾイルアミノ−2−tert−ブトキシカルボニルアミノフェノールを5.00g(12.5mmol)、テトラヒドロフランを80mL、及びピリジンを0.99g(12.5mmol)加えた。系内を冷却して0℃にし、3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを2.9g(12.5mmol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを加え、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及び、飽和食塩水で順次洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をメタノールと2−プロパノールの混合溶媒(3:7)にて分散洗浄し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(2:8)を用いて再結晶を行い、薄黄色固体5.09gを得た(収率90%)。
【0138】
第5工程
HC−06の合成
【化85】
100mLの四口フラスコに、4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ 3,5−ジニトロベンゾエートを4.52g(7.59mmol)、1,4−ジオキサンを50mL、及び10%パラジウムカーボンを0.45g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をジクロロエタンとn−ヘキサンの混合溶媒(5:5)を用いて再結晶を行い、薄灰色の固体3.62gを得た(収率90%)。得られた個体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−07であることを確認した。
H NMR (400 MHz,[D]−DMSO):δ9.82 (s,1H),8.73 (s,1H),7.96−7.85 (dd,3H),7.40−7.43 (d,1H),7.37−7.35(d,2H)、6.99−7.01 (d,1H),6.54 (s,2H),6.12 (s,1H),4.99 (s−br,4H),2.68−2.64 (m,2H),1.65−1.56(m,2H),1.46(s,9H),1.37−1.16(m,4H),0.88−0.84(t,3H)
【0139】
<実施例7>
[4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル] 2−(2,4−ジアミノフェニル)アセトアミド(HC−07)の合成
【化86】
【0140】
第1工程
[4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル] (2,4−ジニトロフェニル)アセトアミドの合成
【化87】
100mLの四口フラスコに、2,4−ジニトロフェニル酢酸を3.0g(12.3mmol)、ジクロロメタン50mL、及びジメチルホルムアミド5mLを加え、系内を冷却して0℃にし、塩化オキサリル1.6g(12.3mmol)をゆっくり加え、室温に戻して2時間攪拌し、2,4−ジニトロフェニル酢酸クロリド溶液を調製した。一方で200mLの四口フラスコに、N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ アニリンを4.5g(11.2mmol)、ジクロロメタン50mL、及びピリジンを1.1g(13.4mmol)加え、系内を冷却して0℃にし、先で調製した2,4−ジニトロ安息香酸クロリド溶液をゆっくり滴下し、窒素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、酢酸エチルを加え、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及び飽和食塩水で順次洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をメタノールにて分散洗浄し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(2:8)を用いて再結晶を行い、薄黄色固体5.2gを得た(収率77%)。
【0141】
第2工程
HC−07の合成
【化88】
100mLの四口フラスコに、N−[4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル] (2,4−ジニトロフェニル)アセトアミドを4.5g(7.43mmol)、1,4−ジオキサンを50mL、及び酸化白金を0.45g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過により酸化白金を除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(5:5)を用いて再結晶を行い、薄茶色の固体3.6gを得た(収率89%)。得られた個体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−07であることを確認した。
H NMR (400 MHz,[D]−DMSO):δ9.98(s,1H),9.67(s,1H),8.68(s,1H),8.00(d,1H),7.85―7.83(d,2H),7.53−7.50(m,1H),7.32−7.28(m,2H),7.22(d,2H),6.43−6.40 (d,1H),6.00−5.90 (d,1H),4.96 (s−br,2H),3.52(s−br,2H),3.08(s,2H),2.67−2.65 (m,2H),1.62−1.55(m,2H),1.46(s,9H),1.39−1.17(m,4H),0.89−0.85(t,3H)
【0142】
<実施例8>
(Z)−3,5−ジニトロベンジル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブト−2−エノエート(HC−08)の合成
【化89】
【0143】
第1工程
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリンの合成
【化90】
500mLの四口フラスコにO−フェニレンジアミン50.0g(462mmol)、テトラヒドロフラン300mL、及び二炭酸ジ−tert−ブチル100.8g(462mmol)を加え、窒素雰囲気下で4時間還流させた。反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、得られた個体をメタノールで分散洗浄し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(3:7)で再結晶し、薄茶色固体77.0g(収率80%)を得た。
【0144】
第2工程
2−ブテン二酸(2Z)−,3,5−ジニトロベンジルエステルの合成
【化91】
500mLの四口フラスコに3,5−ジニトロベンジルアルコール25.0g(126mmol)、クロロホルム300mL、及びトリエチルアミン19.1g(189mmol)を加え、窒素雰囲気下にて系内を0℃に冷却し、無水マレイン酸14.8g(151mmol)を加え2時間攪拌し、室温に戻し6時間反応させた。反応終了後、再び10℃まで冷却し、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液を200mL加え1時間攪拌した後、水層を分離し、水層をジクロロエタンにて洗浄し、再度10℃に冷却し、10質量%塩酸水溶液を加えてpHを4〜5とし、白色の固体を析出させた。得られた固体を酢酸エチルにて溶解し、抽出した後、酢酸エチル層を水、及び飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をエタノールにて分散洗浄し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(3:7)で再結晶させることにより、白色の固体32.1g(収率86%)を得た。
【0145】
第3工程
(Z)−3,5−ジニトロベンジル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブト−2−エノエートの合成
【化92】
300mLの四口フラスコに、2−ブテン二酸(2Z)−,3,5−ジニトロベンジルエステル10.00g(33.7mmol)を測り取り、THFを200mL、トリエチルアミンを1.71g(16.9mmol)、及び4−(4,6−ジメトキシー1,3,5−トリアジンー2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド n−水和物(DMT−MM)を13.99g(50.6mmol)加え、室温で30分攪拌した後、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン7.67g(36.8mmol)を少しづつ加え、窒素雰囲気下、室温で6時間反応させた。
反応終了後、反応溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、酢酸エチルを200ml加え、50℃で1時間攪拌した後、不溶物を濾過し、水、飽和食塩水の順番に洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をメタノールにて再結晶して、薄黄色の固体14.59(収率89%)を得た。
【0146】
第4工程
HC−08の合成
【化93】
300mLの四口フラスコに(Z)−3,5−ジニトロベンジル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブト−2−エノエート10.0g(20.6mmol)、還元鉄11.5g(200mmol)、10質量%塩化アンモニウム水溶液107g(塩化アンモニウム200mmol)、及びトルエン150mLを加え、メカニカルスターラーにて窒素雰囲気下、70℃で1日攪拌しながら反応させた。反応終了後、酢酸エチルを加えた後、鉄を濾過し、濾液の有機層を水、飽和食塩水にて洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、有機層に活性炭を加え、しばらく攪拌した。その後、濾過により活性炭を除き、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去した。精製はカラムクロマトグラフィー(酢酸エチルとジクロロエタンの混合溶媒(3:7))にて行い、減圧下で乾燥し、薄黄色のガラス状固体8.0g(収率91%)を得た。
得られた個体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−08であることを確認した。
H NMR (400 MHz,CDCl):δ8.78(s−br,1H),7.56−7.53(d,1H),7.38−7.37(dd,1H),7.20−7.12(m,2H),7.04−6.92(q,2H),6.93(s−br,1H),6.10(d,2H),5.98−5.97 (t,1H),5.01(s,2H),3.63(s−br,4H),1.51(s,9H)
【0147】
<実施例9>
(E)−(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブト−2−エノエート(HC−09)及び
2−(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブタノエート(HC−10)の合成
【化94】
【化95】
【0148】
第1工程
2−(2,4−ジニトロフェノキシ)エタノールの合成
【化96】
300mLの四口フラスコに、トリエチルアミン13.6g(134mmol)、エチレングリコール50mL、及びテトラヒドロフラン150mLを加え、窒素雰囲気下で10℃に冷却し、さらに2,4−ジニトロフルオロベンゼン25.0g(134mmol)を加え、60℃に加熱し、16時間反応させた。反応終了後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去し、酢酸エチルを加え、水、飽和食塩水にて洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターにより溶媒留去を行った。メタノールと2−プロパノールの混合溶媒(3:7)にて再結晶を行い、n−ヘキサンにて分散洗浄することにより、白色固体26.0g(収率85%)を得た。
【0149】
第2工程(1)
2−ブテン二酸(2E)−,2−(2,4−ジニトロフェノキシ)エタノールエステルの合成(無水マレイン酸から異性化反応を利用した方法)
【化97】
300mLの四口フラスコに2−(2,4−ジニトロフェノキシ)エタノール10.0g(43.8mmol)を測り取り、クロロホルム200mL、及びトリエチルアミン4.43g(43.8mmol)を加え、氷浴中で無水マレイン酸を5.15g(52.6mmol)加え、ゆっくり室温に戻し、6時間攪拌した。反応終了後酢酸エチルを100mL加え、10質量%塩酸水溶液、水、及び飽和食塩水で順次洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を1,4−ジオキサン200mLに溶解させ、塩酸を1.00g加え、100℃にて2時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒(7:3)にて再結晶を行い、白色の固体12.86g(収率90%)を得た。
【0150】
第2工程(2)
2−ブテン二酸(2E)−,2−(2,4−ジニトロフェノキシ)エタノールエステルの合成
【化98】
300mLの四口フラスコにフマリルクロリド10.0(65.7mmol)、及びクロロホルム150mLを加え、窒素雰囲気下にて系内を0℃に冷却し、さらに2−(2,4−ジニトロフェノキシ)エタノール10.0g(43.8mmol)のジメチルアセトアミド溶液(DMAc50mL)、及びトリエチルアミン4.43g(43.8mmol)のクロロホルム溶液をゆっくり加え2時間攪拌し、室温に戻し1日反応させた。反応終了後、水50mLを加え、再び10℃まで冷却し、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液を100mL加え1時間攪拌し、水層を分離し、水層を酢酸エチルにて洗浄した。その後、10℃に冷却した後、10質量%塩酸水溶液を加えてpHを4〜5とし、白色の固体を析出させた。得られた固体を酢酸エチルに溶解し、抽出した後、酢酸エチル層を水、及び飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をエタノールにて分散洗浄し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(2:8)で再結晶させることにより、白色の固体12.1g(収率85%)を得た。
【0151】
第3工程
(E)−(2,4−ジニトロフェノキシ)エチル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブト−2−エノエートの合成
【化99】
200mLの四口フラスコに2−ブテン二酸(2E)−,2−(2,4−ジニトロフェノキシ)エタノールエステル10.0g(30.7mmol)、クロロホルム100mL、及びDMF30mLを加え、さらに窒素雰囲気下、0℃にて、ゆっくり塩化オキサリル4.3g(33.8mmol)を加えた後、室温に戻し、2時間攪拌した。次いで、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン9.6g(46.1mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを加えて有機層を分離し、有機層を水、10質量%塩酸水溶液、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及び飽和食塩水の順番に洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(3:7)にて再結晶し、エタノールにて分散洗浄した後、薄黄色の固体12.1g(収率76%)を得た。
【0152】
第4工程
HC−09の合成
【化100】
200mLの四口フラスコに(E)−(2,4−ジニトロフェノキシ)エチル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブト−2−エノエート5.0g(9.68mmol)、還元鉄5.4g(96.8mmol)、10質量%塩化アンモニウム水溶液51.8g(塩化アンモニウム96.8mmol)、及びトルエン70mLを加え、メカニカルスターラーにて窒素雰囲気下、70℃で1日攪拌しながら反応させた。反応終了後、酢酸エチルを加え、鉄を濾過し、濾液の有機層を水、及び飽和食塩水にて洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、有機層に活性炭を加え、しばらく攪拌した。その後、濾過により活性炭を除き、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去した。精製はカラムクロマトグラフィー(酢酸エチルとジクロロエタンの混合溶媒(5:5))にて行い、減圧下で乾燥し、薄黄色のガラス状固体3.5g(収率80%)を得た。
得られた個体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−09であることを確認した。
H NMR (400 MHz,CDCl):δ8.80(s−br,1H),7.61−7.59(d,1H),7.40−7.38(d,1H),7.21−7.14(m,2H),6.99(s−br,1H),6.94−6.81(q,2H),6.69−6.67(d,1H),6.15−6.13(d,1H)、6.09−6.07(dd,1H),4.54−4.52(t,2H),4.21−4.19(t,2H),3.66(s−br,4H),1.52(s,9H)
【0153】
第5工程
HC−10の合成
【化101】
300mLの四口フラスコに、(E)−(2,4−ジニトロフェノキシ)エチル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブト−2−エノエートを5.0g(9.68mmol)、テトラヒドロフランを50mL、及び10%パラジウムカーボンを0.50g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、次いで、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(2:8)を用いて再結晶を行い、白色の固体4.00gを得た(収率90%)。
得られた個体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−09であることを確認した。
H NMR (400 MHz,CDCl):δ8.21(s−br,1H),7.43−7.42(d,1H),7.37−7.36(d,1H),7.16−7.08(m,3H),6.57−6.56(d,1H),6.05−6.03(d,1H)、5.97−5.96(dd,1H),4.38−4.35(t,2H),4.14−4.11(t,2H),3.22(s−br,4H),2.76−2.74(t,2H),2.59−2.56(t,2H),1.46(s,9H)
【0154】
<液晶配向膜の特性評価>
本明細書で使用した化合物の略号は、以下のとおりである。
<テトラカルボン酸二無水物>
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
CBDE:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジメチルエステル
【化102】
【0155】
<ジアミン>
p−PDA:p−フェニレンジアミン
3−ABA:3−アミノベンジルアミン
2,4−DAA:N,N−ジアリルアミノ 2,4−ジアミノベンゼン
C14DAB:4−テトラデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
C16DAB:4−ヘキサデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
CAB−2:N−(4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロヘキシル)ベンゾイル)アミノ 2,4−ジアミノベンゼン
PCH−7AB:N−(4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロヘキシル)フェノキシ)2,4−ジアミノベンゼン
m−TDA:m−トリル 3,5−ジアミノベンゾエート
HC−01:2−(Tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−オクタナミドフェニル 3,5−ジアミノベンゾエート
HC−02:N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジアミノベンズアミド
HC−03:N−4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 2,4−ジアミノベンズアミド
HC−04:N−4−(4−アミルベンゾイルオキシ)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジアミノベンズアミド
HC−05:2−メチル−6−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル 3,5−ジアミノベンゾエート
【0156】
HC−06:4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ 3,5−ジアミノベンゾエート
HC−07:[4−(4−アミルベンゾイルアミノ)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル] 2−(2,4−ジアミノフェニル)アセトアミド
HC−08:(Z)−3,5−ジニトロベンジル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブト−2−エノエート
HC−09:(E)−(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブト−2−エノエート
HC−10:2−(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル 4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアミノ)−4−オクソブタノエート
HC−11:4−(トランス−4−アミルシクロヘキサンカルボキシアミノ)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル 3,5−ジアミノベンズアミド
HC−12:4−[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド]−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル 3,5−ジアミノベンズアミド
【0157】
【化103】
【0158】
【化104】
【0159】
【化105】
【0160】
<縮合剤>
DMT−MM:4−(4,6−ジメトキシー1,3,5−トリアジンー2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド n−水和物
<有機溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
γ−BL:γ−ブチロラクトン
BC:ブチルセロソルブ
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
【0161】
<分子量の測定>
重合反応により得られた重合体の分子量は、該ポリイミドをGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、及びポリエチレンオキシドの換算値として、数平均分子量と重量平均分子量を算出した。
GPC装置:Shodex社製 (GPC−101)
カラム:Shodex社製 (KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10mL/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、重合体ラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
【0162】
<イミド化率の測定>
合成例におけるポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製 NMRサンプリングチューブスタンダード)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05質量%TMS混合品)0.53mLを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液の500MHzのプロトンNMRを、日本電子データム社製のNMR測定器(JNW−ECA500)にて測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。

イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100

上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0163】
<液晶セルの作製>
実施例及び比較例で調製した液晶配向処理剤について、以下のようにして液晶セルを作製した。
液晶配向処理剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で70秒間乾燥させた後、210℃のホットプレート上で10分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。ラビングによる液晶配向処理について、この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.3mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。光による液晶配向処理については、この塗膜面に直線偏光UV光線(UV波長313nm、500mJ相当)を、プレートの法線に対して40°傾け照射することにより行なった。
【0164】
このように液晶配向処理を行なった液晶配向膜付き基板を2枚用意し、その1枚の液晶配向膜面上に6μmのスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷し、もう1枚の基板を液晶配向膜面が向き合い、ラビング方向が直行するようにして張り合わせる(ツイストネマティック液晶セル)、又はUV照射したものに関しては、照射した偏光の方向が平行となるようにして張り合わせ(垂直配向モード)、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ツイストネマティックセルにおいては液晶MLC−2003(メルク社製)を注入し、垂直配向モードにおいては液晶MLC−6608(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、ツイストネマティック液晶セルを得た。
作製した各液晶セルの物性の測定、及び特性の評価の方法を以下に記述した。
なお、実施例1〜9、及び比較例1〜3における各液晶配向処理剤の組成、各液晶配向膜についての物性の測定、及び特性の評価等の結果は、表2〜表4に示した。
【0165】
<ラビング耐性評価>
上記の<液晶セルの作製>に記載の方法で液晶配向膜付き基板を作製する際、ラビング条件の押し込み量を0.5mmに変更して行い、ラビング耐性評価用の液晶配向膜を作製し、表面を共焦点レーザー顕微鏡にて観察し、下記の評価を行った。
○:削れカスやラビング傷が観察されない。
△:削れカスやラビング傷が観察される。
×:膜が剥離する又は目視でラビング傷が観察される。
【0166】
<プレチルト角の測定>
上記の<液晶セルの作製>に記載の方法で作製したツイストネマティック液晶セル、又はアンチパラレルセルを105℃で5分間加熱した後、プレチルト角の測定を行った。プレチルト角はAxo Metrix社製の「Axo Scan」にて、ミュラーマトリクス法を用いて測定した。
【0167】
<電圧保持率(VHR)及びバックライトエージング耐性の測定>
上記の<液晶セルの作製>に記載の方法で作製した液晶セルの初期状態の電圧保持率、及びバックライトエージング(LCDパネル用バックライトに液晶セルを乗せ、2週間AC10Vにて駆動させた)後の電圧保持率の測定を行なった。電圧保持率の測定は、90℃の温度下で4Vの電圧を60μs間印加し、16.67ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率として計算した。なお、電圧保持率の測定には、東陽テクニカ社製の電圧保持率測定装置(VHR−1)を使用した。
【0168】
(実施例10)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−01を0.72g(1.50mmol)、及びNMPを28.2g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下、24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−1)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−1)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−1)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−1を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は14,300、重量平均分子量は41,200であった。
【0169】
(実施例11)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−02を0.80g(1.5mmol)、及びNMPを28.6g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−2)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−2)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−2)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−2を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12,300、重量平均分子量は26,700であった。
【0170】
(実施例12)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−03を0.80g(1.5mmol)、及びNMPを28.6g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−3)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−3)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−3)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−3を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は9,800、重量平均分子量は26,900であった。
【0171】
(実施例13)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−04を0.80g(1.5mmol)、及びNMPを28.6g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−4)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−4)溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−4)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−4を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は11,300、重量平均分子量は25,800であった。
【0172】
(実施例14)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−05を0.54g(1.5mmol)、及びNMPを27.1g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−5)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−5)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−5)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−5を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12,600、重量平均分子量は30,200であった。
【0173】
(実施例15)
50mL四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−06を0.80g(1.5mmol)、及びNMPを28.6g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−6)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−6)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−6)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−6を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12,700、重量平均分子量は27,700であった。
【0174】
(実施例16)
50mL四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−07を0.82g(1.5mmol)、及びNMPを28.7g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−7)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−7)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−7)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−7を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は10,200、重量平均分子量は26,500であった。
【0175】
(実施例17)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−10を0.71g(1.5mmol)、及びNMPを28.1g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−8)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−8)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−8)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−8を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は9,900、重量平均分子量は23,500であった。
【0176】
(実施例18)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、HC−05を2.00g(5.60mmol)、及びNMPを17.4g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを1.08g(5.49mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−9)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−9)の溶液15gを50mLの三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.5g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−9)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−9を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は21,200、重量平均分子量は50,900であった。
【0177】
(実施例19)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、HC−08を2.00g(4.70mol)、PCH−7ABを0.45g(1.17mmol)、及びNMPを20.3g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを1.13g(5.81mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−10)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−10)の溶液20gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを20.0g、BCを10.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−10)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−10を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は13,300、重量平均分子量は428,00であった。
【0178】
(実施例20)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、HC−09を2.00g(4.38mol)、PCH−7ABを0.45g(1.10mmol)、及びNMPを19.7g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを1.06g(5.43mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−11)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−11)の溶液20gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを20.0g、BCを10.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−11)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−11を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は10,700、重量平均分子量は35,300であった。
【0179】
(実施例21)
100mLの四口フラスコにジアミン成分として、3−ABAを0.307g(2.52mmol)、2,4−DAAを0.384g(1.89mmol)、HC−02を1.00g(1.89mol)、及びNMPを12.3g加え、約10℃に冷却した。次いでPMDAを0.412g(1.89mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下で1時間時間反応させた。さらに、CBDAを0.964g(4.91mmol)加え、室温で、窒素雰囲気下で16時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−12)の濃度が20質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−12)の溶液15.0gに、NMPを22.5g加えて希釈し、さらに無水酢酸1.96gとピリジン0.84gを加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール150mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。析出した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−1)の黄褐色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は11,200、重量平均分子量は30,800であった。また、イミド化率は89%であった。
ポリイミド(SPI−1)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ−BL8.0g、BC6.0g、及びDPM6.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−1)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが15質量%、DPMが15質量%の液晶配向処理剤−12を得た。
【0180】
(実施例22)
100mLの四口フラスコにジアミン成分として、3−ABAを0.307g(2.52mmol)、2,4−DAAを0.384g(1.89mmol)、HC−03を1.00g(1.89mol)、及びNMPを12.3g加え、約10℃に冷却した。次いでPMDAを0.412g(1.89mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下で1時間時間反応させた。さらに、CBDAを0.964g(4.91mmol)加え、室温で、窒素雰囲気下で16時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−13)の濃度が20質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−13)溶液15.0gに、NMPを22.5g加えて希釈し、さらに無水酢酸1.96gとピリジン0.84gを加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール150mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。析出した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−2)の橙色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,800、重量平均分子量は23,500であった。また、イミド化率は89%であった。
ポリイミド(SPI−2)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ−BL8.0g、BC6.0g、及びDPM6.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−2)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが15質量%、DPMが15質量%の液晶配向処理剤−13を得た。
【0181】
(実施例23)
100mLの四口フラスコにジアミン成分として、3−ABAを0.308g(2.52mmol)、2,4−DAAを0.384g(1.89mmol)、HC−04を1.00g(0.89mol)、及びNMPを12.3g加え、約10℃に冷却した。次いでPMDAを0.412g(1.89mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下で1時間時間反応させた。さらに、CBDAを0.964g(4.91mmol)加え、室温で、窒素雰囲気下で16時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−14)の濃度が20質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−14)の溶液15.0gに、NMPを22.5g加えて希釈し、さらに無水酢酸1.96gとピリジン0.84gを加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール150mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。析出した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−3)の黄褐色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は11,800、重量平均分子量は25,100であった。また、イミド化率は88%であった。
ポリイミド(SPI−3)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ−BL8.0g、BC6.0g、及びDPM6.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−3)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが15質量%、DPMが15質量%の液晶配向処理剤−14を得た。
【0182】
(実施例24)
100mLの四口フラスコにジアミン成分として、3−ABAを0.308g(2.52mmol)、2,4−DAAを0.384g(1.89mmol)、HC−06を1.00g(0.89mol)、及びNMPを12.3g加え、約10℃に冷却した。次いでPMDAを0.412g(1.89mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下で1時間時間反応させた。さらに、CBDAを0.964g(4.91mmol)加え、室温で、窒素雰囲気下で16時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−15)の濃度が20質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−15)の溶液15.0gに、NMPを22.5g加えて希釈し、さらに無水酢酸1.96gとピリジン0.84gを加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール150mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。析出した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−4)の黄褐色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は13,200、重量平均分子量は29,400であった。また、イミド化率は85%であった。
ポリイミド(SPI−4)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ−BL8.0g、BC6.0g、及びDPM6.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−4)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが15質量%、DPMが15質量%の液晶配向処理剤−15を得た。
【0183】
(実施例25)
100mLの四口フラスコにジアミン成分として、3−ABAを0.298g(2.44mmol)、2,4−DAAを0.372g(1.83mmol)、HC−04を1.00g(0.83mol)、及びNMPを12.0g加え、約10℃に冷却した。次いでPMDAを0.399g(1.83mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下で1時間時間反応させた。さらにCBDAを0.933g(4.76mmol)加え、室温で、窒素雰囲気下で16時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−16)の濃度が20質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−16)の溶液15.0gに、NMPを22.5g加えて希釈し、さらに無水酢酸1.94gとピリジン0.83gを加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール150mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。析出した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−5)の黄褐色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は10,700、重量平均分子量は22,800であった。また、イミド化率は87%であった。
ポリイミド(SPI−5)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC6.0g、及びDPM6.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−5)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが15質量%、DPMが15質量%の液晶配向処理剤−16を得た。
【0184】
(実施例26)
100mLの四口フラスコにCBDEを2.37g(9.12mmol)、ジアミン成分として、p−PDAを0.813g(7.52mmol)、HC−02を1.00g(1.88mmol)、NMPを30.7g、及びトリエチルアミンを0.475g(4.70mmol)加え、約10℃に冷却した。次いでDMT−MMを7.80g(28.2mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸エステル(PAE−1)の濃度が12質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAE−1)の溶液にNMPを34.9g加え、約10℃に冷やしたメタノール500mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。析出した固体を回収し、さらに、メタノール300mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリアミック酸エステル(PAE−1)の白色粉末を得た。このポリアミック酸エステルの数平均分子量は15,300、重量平均分子量は38,800であった。
ポリアミック酸エステル(PAE−1)2.00gに、γ―BLを18.0g加え、室温で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ―BL8.0g、BC6.0g、及びDPM6.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(PAE−1)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが15質量%、DPMが15質量%の液晶配向処理剤−17を得た。
【0185】
(比較例1)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.45g(13.5mol)、C16DABを0.52g(1.50mmol)、及びNMPを28.2g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−17)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−17)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−17)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−18を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は18,300、重量平均分子量は43,200であった。
【0186】
(比較例2)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.45g(13.5mol)、CAB−2を0.64g(1.50mmol)、及びNMPを28.2g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−18)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−18)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−18)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−19を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は97,00、重量平均分子量は19,200であった。
【0187】
(比較例3)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、mTDAを2.00g(8.26mmol)、及びNMPを20.3加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを1.59g(8.09mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−19)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−19)の溶液15gを50mLの三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.5g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−19)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−20を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は22,000、重量平均分子量は49,600であった。
【0188】
(比較例4)
100mLの四口フラスコにジアミン成分として、3−ABAを0.508g(4.16mmol)、2,4−DAAを0.634g(3.12mmol)、C14DABを1.00g(3.12mmol)、及びNMPを17.7g加え、約10℃に冷却した。次いでPMDAを0.680g(3.12mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下で1時間時間反応させた。さらにCBDAを1.59g(8.11mmol)加え、室温で、窒素雰囲気下で16時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−20)の濃度が20質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−20)の溶液20.0gに、NMPを30.0g加えて希釈し、さらに無水酢酸3.01gとピリジン1.29gを加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール200mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。析出した固体を回収し、さらに、メタノール150mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−6)の黄褐色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は10,700、重量平均分子量は22,800であった。また、イミド化率は88%であった。
ポリイミド(SPI−6)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ−BL8.0g、BC6.0g、及びDPM6.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−6)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが15質量%、DPMが15質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−21を得た。
【0189】
(比較例5)
100mLの四口フラスコにジアミン成分として、3−ABAを0.386g(3.16mmol)、2,4−DAAを0.482g(2.37mmol)、CAB−2を1.00g(2.37mmol)、及びNMPを14.4g加え、約10℃に冷却した。次いでPMDAを0.517g(2.37mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下で1時間時間反応させた。さらにCBDAを1.21g(6.16mmol)加え、室温で、窒素雰囲気下で16時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−21)の濃度が20質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−21)の溶液15.0gに、NMPを22.5g加えて希釈し、さらに無水酢酸2.10gとピリジン0.90gを加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール150mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。析出した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−7)の黄橙色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,900、重量平均分子量は28,800であった。また、イミド化率は91%であった。
ポリイミド(SPI−7)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ−BL8.0g、BC6.0g、及びDPM6.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−7)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが15質量%、DPMが15質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−22を得た。
【0190】
(比較例6)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、m−PDAを1.00g(9.28mol)、PCH−7ABを0.883g(2.32mmol)、及びNMPを23.3g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.23g(11.4mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−22)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−22)の溶液20gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを20.0g、BCを10.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−22)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−23を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は16,300、重量平均分子量は40,200であった。
【0191】
(比較例7)
100mLの四口フラスコにCBDEを2.98g(11.4mmol)、ジアミン成分として、p−PDAを1.02g(9.44mmol)、CAB−2を1.00g(2.36mmol)、NMPを36.6g、及びトリエチルアミンを0.60g(5.90mmol)加え、約10℃に冷却した。次いでDMT−MMを9.80g(35.4mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸エステル(PAE−2)の濃度が12質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAE−2)の溶液にNMPを41.7g加え、約10℃に冷やしたメタノール500mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。析出した固体を回収し、さらに、メタノール300mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリアミック酸エステル(PAE−2)の薄桃色粉末を得た。このポリアミック酸エステルの数平均分子量は13,200、重量平均分子量は35,700であった。
ポリアミック酸エステル(PAE−2)2.00gに、γ―BLを18.0g加え、室温で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ―BL8.0g、BC6.0g、及びDPM6.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(PAE−2)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが15質量%、DPMが15質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−24を得た。
【0192】
【表2】
【0193】
【表3】
【0194】
【表4】
【0195】
実施例10〜18と比較例1、2とを対比した場合、実施例10〜18ては、ラビング耐性が向上し、VHRが高く、バックライトエージング耐性に優れることがわかる。
実施例17と比較例3とを対比した場合、比較例3(環化反応の起こらない構造)では、実施例17に比べて、プレチルト角は小さいく、ラビング耐性、及びVHRのエージング耐性の向上においても優れていることがわかる。
実施例19、20及び比較例6を対比した場合、。実施例19、20では、プレチルト発現が確認され、液晶配向処理剤が光配向法で有用であることがわかる。
実施例21〜25、及び比較例4、5とを対比した場合、比較例4、5では、液晶配向処理剤を基板上に印刷した際、ピンホールや斜方ムラなどが確認されたが、実施例21〜25では、印刷性に優れそのような欠陥は確認されず、また、プレチルト発現も確認され、VHRのバックライトエージング耐性の向上の効果も確認できた。。
実施例26と比較例7とを対比した場合、実施例26では、印刷性が良好であり、ラビング耐性、及びVHRのバックライトエージング耐性が向上する結果が得られた。
【0196】
<実施例27>
4−(トランス−4−アミルシクロヘキサンカルボキシアミノ)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル 3,5−ジアミノベンズアミドの合成(HC−11)の合成
【化106】
【0197】
第1工程
4−(トランス−4−アミルシクロヘキサンカルボキシアミド)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ) ニトロベンゼンの合成
【化107】
100mLの枝つきナスフラスコに、トランス−4−アミルシクロヘキサンカルボン酸5.16g(20.0mmol)を測り取り、THF50mLを加えて溶解させ、氷浴中にて塩化チオニル3.33g(28.0mmol)の50質量%THF溶液をゆっくり滴下した。その後、室温に戻して、2時間反応させ、4−アミルシクロヘキサンカルボン酸クロリドを生成させた。
【0198】
一方で200mLの四口フラスコに3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−アミノニトロベンゼンを5.07g(20.0mmol)測り取り、THF50.0mLとトリエチルアミン4.05g(40.0mmol)を加え、氷浴にて10℃以下にし、窒素雰囲気下にて、先に調製した4−アミルシクロヘキサンカルボン酸クロリドを滴下した。その後、室温に戻し、窒素雰囲気下で24時間反応させた。
反応終了後、酢酸エチルを加え、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸水、純水、及び飽和食塩水で順次洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(6:4)を用いて再結晶を行い、黄白色固体5.31gを得た(収率61%)。
【0199】
第2工程
4−(トランス−4−アミルシクロヘキサンカルボキシアミド)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ) アニリンの合成
【化108】
100mLの四口フラスコに、4−(トランス−4−アミルシクロヘキシルカルボキシルアミド)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ) ニトロベンゼンを4.28g(9.88mmol)、テトラヒドロフランを50mL、純水を50mL、及び塩化スズを9.48g(50.0mmol)加え、窒素雰囲気下で24時間還流させた。反応終了後、酢酸エチルを100mL加え、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、析出物を濾過により除去した。その後、濾液の有機層を分離し、純水、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥させた。無水硫酸ナトリウムを濾過により除去し、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去して、黄色の固体3.95gを得た(収率99%)。
【0200】
第3工程
4−(トランス−4−アミルシクロヘキサンカルボキシルアミド)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル 3,5−ジニトロベンズアミドの合成
【化109】
200mLの四口フラスコに、4−(トランス−4−アミルシクロヘキサンカルボキシルアミド)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリンを4.79g(11.9mmol)、テトラヒドロフランを80mL、及びピリジンを1.10g(13.9mmol)加え、窒素雰囲気下、氷浴中10℃以下で、さらに3,5−ジニトロ安息香酸クロリド3.22g(14.0mmol)の10質量%THF溶液をゆっくり滴下し、室温に戻してから24時間反応させた。系内を冷却して0℃にし、さらに3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを5.8g(14.0mmol)加えて、室温で攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、酢酸エチルを加え、10質量%炭酸ナトリウム水溶液、水、及び飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、薄黄色固体5.26gを得た(収率74%)。
【0201】
第4工程
HC−11の合成
【化110】
300mLの四口フラスコに、4−(トランス−4−アミルシクロヘキサンカルボキシルアミド)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル 3,5−ジニトロベンズアミドを5.00g(8.37mmol)、テトラヒドロフランを30mL、エタノールを30mL、及び5%パラジウムカーボンを0.50g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、その後n−ヘキサンで分散洗浄して、灰色の固体4.20gを得た(収率93%)。
得られた固体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−10であることを確認した。
H NMR (400 MHz,[D]−DMSO):δ9.94(s,1H),9.22(s,1H),8.34(s,1H),8.34−7.93(d,1H),7.48―7.7.46(dd,1H),7.32−7.30(d,1H),7.28(d,2H),5.99−5.97 (t,1H),4.93 (s−br,4H),2.29 (m,1H),1.88−1.81(m,4H),1.47(s,9H)1.47−1.40(m、2H),1.31−1.16(m,9H),0.94−0.91(m、2H)0.89−0.85(t,3H)
【0202】
<実施例28>
4−[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド]−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル 3,5−ジアミノベンズアミドの合成(HC−12)の合成
【化111】
【0203】
第1工程
4−[(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド]−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ ニトロベンゼンの合成
【化112】
100mLの枝つきナスフラスコに、4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸5.07g(22.0mmol)を測り取り、THF50mL、及びDMFを1mL加え、氷浴中にて塩化チオニル3.33g(28.0mmol)をゆっくり滴下し、室温に戻して、2時間反応させ、4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸クロリドを生成させた。
【0204】
一方で200mLの四口フラスコに3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−アミノニトロベンゼンを5.07g(20.0mmol)測り取り、THF50.0mLとトリエチルアミン2.43g(24.0mmol)を加え、氷浴にて10℃以下にし、窒素雰囲気下にて、先に調製した4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸クロリドを滴下し、室温に戻し、窒素雰囲気下で24時間反応させた。
反応終了後、酢酸エチルを加え、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸水、純水、及び飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により硫酸マグネシウムを除き、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(3:7)を用いて再結晶を行い、黄白色固体6.03gを得た(収率60%)。
【0205】
第2工程
4−[(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド]−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリンの合成
【化113】
200mLの四口フラスコに、4−[(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド]−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ニトロベンゼンを6.03g(11.8mmol)、テトラヒドロフランを50mL、及び5%パラジウムカーボンを0.60g加え、水素雰囲気下で、室温で24時間攪拌した。反応終了後、パラジウムカーボンを濾過にて除去し、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去し、白色の固体5.94gを得た(収率99%)。
【0206】
第3工程
4−[(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド]−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル 3,5−ジニトロベンズアミドの合成
【化114】
200mLの四口フラスコに、4−[(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾイルアミド]−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ) アニリンを5.94g(12.4mmol)、テトラヒドロフランを80mL、及びピリジンを1.10g(13.9mmol)加え、窒素雰囲気下、氷浴中10℃以下で、3,5−ジニトロ安息香酸クロリド3.22g(14.0mmol)の10質量%THF溶液をゆっくり滴下した。その後、室温に戻し、24時間反応させた。反応終了後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、メタノールで残渣を洗浄した後、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、薄黄色固体7.82gを得た(収率94%)。
【0207】
第4工程
HC−11の合成
【化115】
300mLの四口フラスコ中、4−[(トランス−4−アミルシクロヘキシル)ベンズアミド)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル 3,5−ジニトロベンズアミド6.00g(8.9mmol)をテトラヒドロフラン60mLに溶解させ、5%パラジウムカーボンを0.60g加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:9)を用いて再結晶を行い、次いでn−ヘキサンで分散洗浄して、灰色の固体5.45gを得た(収率99%)。
得られた固体のH−NMRの結果を以下に示す。この結果から、目的物のHC−10であることを確認した。
H NMR (400 MHz,[D]−DMSO):δ10.00(s,1H),9.71(s,1H),8.59(s,1H),8.02−8.01(d,1H),7.89―7.87(d,2H),7.54−7.51(dd,1H),7.41−7.37(dd,3H),6.31−6.30 (d,2H),6.00−5.99(t,1H), 4.94 (s−br,4H),2.60−2.51(t,1H),1.85−1.81(m,4H),1.51−1.45(t,2H)1.45(s、9H),1.32−1.2(m、10H)1.10−1.00(m,2H)0.89−0.86(t,3H)
【0208】
(実施例29)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−11を0.81g(1.5mmol)、及びNMPを28.6g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−23)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−23)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−23)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−25を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は10,100、重量平均分子量は22,500であった。
【0209】
(実施例30)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.46g(13.5mol)、HC−12を0.94g(1.5mmol)、及びNMPを29.4g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.79g(14.3mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−24)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−24)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−24)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−26を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は13,700、重量平均分子量は28,200であった。
【0210】
(実施例31)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.06g(10.5mol)、HC−11を2.48g(4.5mmol)、及びNMPを36.4g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.88g(14.7mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−25)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−25)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−25)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−27を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は17,200、重量平均分子量は38,900であった。
【0211】
(実施例32)
50mLの四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを1.06g(10.5mol)、HC−12を2.82g(4.5mmol)、及びNMPを38.3g加え、約10℃に冷却した。次いでCBDAを2.88g(14.7mmol)加え、室温に戻し、窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−26)の濃度が15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−26)の溶液30gを100mLの三角フラスコに移し、NMPを30.0g、BCを15.0g加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−26)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、液晶配向処理剤−28を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は19,600、重量平均分子量は42,200であった。
【0212】
実施例29〜32の液晶配向処理剤について上記と同様にして評価を行った。その結果を表5〜表8に示す。
【表5】
【0213】
【表6】
【0214】
<側鎖ジアミン溶解性試験>
モノマーの溶解性を比較する試験として、側鎖ジアミン0.5gに対しNMPを2.0g加え、20℃で1時間攪拌し、20wt%の溶液を調製し、溶解可否を調べた。試験の評価基準は以下の通りである
すべて溶解:○
溶け残りがある:×
【0215】
【表7】
【0216】
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明の液晶配向処理剤を用いて作製した液晶表示素子は、信頼性が高く、大画面で高精細の液晶テレビを含めて、TN液晶表示素子、STN液晶表示素子、TFT液晶表示素子、VA液晶表示素子、IPS液晶表示素子、OCB液晶表示素子などとして有用である。
なお、2010年6月30日に出願された日本特許出願2010−150054号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。