特許第5761190号(P5761190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5761190基板搬送装置及び基板搬送方法、露光装置、並びにデバイス製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761190
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】基板搬送装置及び基板搬送方法、露光装置、並びにデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20150723BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20150723BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20150723BHJP
   G03F 7/22 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/68 N
   H01L21/30 502J
   G03F7/22 Z
【請求項の数】47
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2012-523144(P2012-523144)
(86)(22)【出願日】2010年11月29日
(65)【公表番号】特表2013-512552(P2013-512552A)
(43)【公表日】2013年4月11日
(86)【国際出願番号】JP2010071762
(87)【国際公開番号】WO2011065589
(87)【国際公開日】20110603
【審査請求日】2013年11月26日
(31)【優先権主張番号】61/272,978
(32)【優先日】2009年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/272,979
(32)【優先日】2009年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/954,760
(32)【優先日】2010年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100102901
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 篤司
(72)【発明者】
【氏名】青木 保夫
(72)【発明者】
【氏名】関 忠
(72)【発明者】
【氏名】柳川 卓也
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−219999(JP,A)
【文献】 特開平06−132398(JP,A)
【文献】 特開昭62−102522(JP,A)
【文献】 特開2004−001924(JP,A)
【文献】 特開2006−294786(JP,A)
【文献】 特開2006−171509(JP,A)
【文献】 特開2005−292645(JP,A)
【文献】 特開2003−174069(JP,A)
【文献】 特開2010−45214(JP,A)
【文献】 特開平3−289152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67−21/687
G03F 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面を有する保持装置と、
前記基板保持装置の前記保持面に基板を第1の経路で搬入する搬入装置と、
前記基板保持装置の前記保持面に保持された前記基板を、前記第1の経路とは異なる第2の経路で前記基板保持装置から搬出する搬出装置と、を備え
前記搬入装置と前記搬出装置の少なくとも一方は、前記基板を前記保持面に沿った方向に移動する駆動装置を有し、
前記基板保持装置は、前記駆動装置により前記保持面に沿った方向に前記基板が移動される際に当該基板の少なくとも一部を支持する支持部を有する基板搬送装置。
【請求項2】
前記搬入装置は、前記基板を前記基板保持装置の上方から降下させることにより前記基板保持装置に搬入し、
前記搬出装置は、前記基板を前記基板保持装置に対して水平面に平行な一軸方向の一側に相対移動させることにより前記基板保持装置から搬出する請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記基板は、所定の基板支持部材上に載置された状態で前記搬入装置及び前記搬出装置により搬送される請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
基板保持装置は、凹部が形成された水平面に平行な前記保持面を有し、
前記搬入装置は、前記基板を、前記基板支持部材上に載置された状態で前記第1の経路上で前記基板保持装置に対して移動させることにより前記基板保持装置に搬入し、
前記搬出装置は、前記基板を、前記基板支持部材上に載置された状態で前記第2の経路上で前記基板保持装置に対して移動させることにより前記基板保持装置から搬出し、
前記第1の経路と前記第2の経路の一方は、鉛直方向の経路であり、
前記第1の経路と前記第2の経路の他方は、水平面に平行な一軸方向の経路であり、
前記他方の経路の少なくとも一部では、前記基板を下方から支持する前記基板支持部材の一部が前記凹部に収容された状態で前記基板保持装置に対して前記一軸方向に移動す請求項3に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記搬入装置及び前記搬出装置のうち、前記一方の経路上での前記基板の前記移動を行う装置は、前記基板支持部材の前記一軸方向に関する一端側を保持する第1保持部材と他端側を保持する第2保持部材とを含み、
前記第1保持部材と前記第2保持部材とは互いに連結され、共通のアクチュエータにより駆動される請求項に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記基板が前記基板支持部材とともに前記搬出装置により前記基板保持装置から搬出された後、前記基板支持部材上には別の基板が載置され、
前記搬入装置は、前記別の基板が載置された前記基板支持部材を前記基板保持装置に搬送する請求項又はに記載の基板搬送装置。
【請求項7】
記基板保持装置は、前記凹部として前記一軸方向の溝部が形成された前記保持面を有する保持部材を含請求項のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記搬入装置は、前記基板支持部材を前記保持面に形成された前記溝部内に挿入することにより、前記基板を前記基板支持部材上から前記基板保持装置上に載せ替える請求項に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
前記基板支持部材は、水平面に平行な第1方向に延び且つ前記水平面内で前記第1方向に直交する第2方向に所定間隔で設けられた複数の棒状部材から成り、前記基板を下方から支持する基板支持部を有し、該基板支持部が前記保持面に形成された溝部内に収容される請求項又はに記載の基板搬送装置。
【請求項10】
前記基板支持部材は、前記複数の棒状部材の長手方向の一端同士を接続する接続部を更に有する請求項に記載の基板搬送装置。
【請求項11】
前記搬入装置は、前記基板支持部材を前記溝部内に挿入する動作に連動して前記基板を前記基板支持部材上から前記基板保持装置上に受け渡す請求項又は10に記載の基板搬送装置。
【請求項12】
前記基板支持部材は、前記基板が前記基板保持装置の前記保持面上に載置された状態で、前記基板の下面と離間する請求項11に記載の基板搬送装置。
【請求項13】
前記基板支持部は、前記基板の前記第2方向の一側の領域を支持する第1支持部と、前記第2方向の他側の領域を支持する第2支持部とを含み、
前記搬入装置及び前記搬出装置の少なくとも一方は、前記第1及び第2支持部の前記第1方向の位置を制御することにより、前記基板の前記水平面に垂直な軸回りの位置を制御する請求項12のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項14】
前記基板支持部材は、前記基板支持部に支持された前記基板の脱落を防止する脱落防止部材を更に有する請求項13のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項15】
前記脱落防止部材は、前記棒状部材から上方に突き出した複数の突起状部材である請求項14に記載の基板搬送装置。
【請求項16】
前記支持部は、前記基板を吸着保持する吸着部を有する請求項15のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項17】
少なくとも前記支持部に光の反射を抑制する表面処理が施される請求項16のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項18】
少なくとも前記支持部にアウトガスの発生を抑制する表面処理が施される請求項17のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項19】
前記基板支持部材は、互いに隣接する前記棒状部材の長手方向中間部において、該棒状部材の上端部間に架設された補剛部材を更に備える請求項18のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項20】
前記補剛部材は、前記基板保持装置の前記保持面に形成された凹部内に収容される請求項19に記載の基板搬送装置。
【請求項21】
前記基板支持部材は、前記水平面に平行に移動する際に、前記支持部に鉛直方向下向きの揚力を作用させる空力部材を更に有する請求項20のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項22】
前記基板支持部材は、外部装置から前記支持部上に前記基板を受け渡す基板受け渡し部材が、互いに隣接する前記棒状部材間に挿入可能である請求項21のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項23】
前記搬出装置は、前記基板支持部材の少なくとも一部が前記溝部内に収容された状態で、該基板支持部材を前記基板保持装置に対し相対移動させることにより、前記基板を前記基板保持装置から搬出する請求項22のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項24】
前記基板保持装置は、前記溝部内に収容された前記基板支持部材を下方から支持し、該基板支持部材を上方に移動させることにより前記基板を前記保持面から離間させるリフト装置を有し、
前記搬出装置は、前記リフト装置に支持された前記基板支持部材を前記基板保持装置に対し相対移動させる請求項23に記載の基板搬送装置。
【請求項25】
前記リフト装置は、前記基板支持部材を前記第2の経路上に案内する案内部を有する請求項24に記載の基板搬送装置。
【請求項26】
前記リフト装置は、前記保持部材に設けられる請求項24又は25に記載の基板搬送装置。
【請求項27】
前記基板保持装置は、前記保持部材の下方に配置され、前記保持部材を少なくとも前記水平面に平行な方向に所定のストロークで案内するステージ装置を有し、
前記リフト装置は、前記ステージ装置に設けられる請求項24又は25に記載の基板搬送装置。
【請求項28】
前記保持部材には、鉛直方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記リフト装置の一部が前記貫通孔内に挿通される請求項27に記載の基板搬送装置。
【請求項29】
前記基板支持部材を複数備え、
前記搬出装置により搬出対象の前記基板が前記基板支持部材と共に前記基板保持装置から搬出される際に、前記搬入装置は、搬入対象の前記基板を支持する別の前記基板支持部材を前記基板保持装置の上方に位置させる請求項28のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項30】
請求項29のいずれか一項に記載の基板搬送装置と、
前記基板保持装置上に載置された前記基板をエネルギビームを用いて露光することにより該基板に所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える露光装置。
【請求項31】
基板を保持する保持面を有する保持部材を含み、前記保持面上に前記基板が載置される基板保持装置と、
前記基板を第1の経路で前記基板保持装置の前記保持面に搬入する搬入装置と、
前記基板保持装置の前記保持面に保持された前記基板を、前記第1の経路とは異なる第2の経路で前記基板保持装置から搬出する搬出装置と、
前記基板保持装置上に保持された前記基板をエネルギビームで露光する露光系と、
を備え
前記搬入装置と前記搬出装置の少なくとも一方は、前記基板を前記保持面に沿った方向に移動する駆動装置を有し、
前記基板保持装置は、前記駆動装置により前記保持面に沿った方向に前記基板が移動される際に当該基板の少なくとも一部を支持する支持部を有する露光装置。
【請求項32】
前記搬入装置は、前記基板を前記基板保持装置の上方から降下させることにより前記基板保持装置に搬入し、
前記搬出装置は、前記基板を前記基板保持装置に対して水平面に平行な一軸方向の一側に相対移動させることにより前記基板保持装置から搬出する請求項31に記載の露光装置。
【請求項33】
前記基板は、所定の基板支持部材上に載置された状態で前記搬入装置及び前記搬出装置により搬送される請求項30に記載の露光装置。
【請求項34】
前記基板保持装置は、水平面に平行な一軸方向の溝部が形成された前記保持面を有し、
前記搬入装置は、前記基板を、前記基板支持部材上に載置された状態で前記第1の経路上で前記基板保持装置に対して移動させることにより前記基板保持装置に搬入し、
前記搬出装置は、前記基板を、前記基板支持部材上に載置された状態で前記第2の経路上で前記基板保持装置に対して移動させることにより前記基板保持装置から搬出し、
前記第1の経路と前記第2の経路の一方は、鉛直方向の経路であり、
前記第1の経路と前記第2の経路の他方は、前記一軸方向の経路であり、
前記他方の経路の少なくとも一部では、前記基板を下方から支持する前記基板支持部材の一部が前記溝部に収容された状態で前記基板保持装置に対して前記一軸方向に移動する請求項33に記載の露光装置。
【請求項35】
前記基板が前記基板支持部材とともに前記搬出装置により前記基板保持装置から搬出された後、前記基板支持部材上には別の基板が載置され、
前記搬入装置は、前記別の基板が載置された前記基板支持部材を前記基板保持装置に搬送する請求項34に記載の露光装置。
【請求項36】
前記搬入装置は、前記基板支持部材を前記基板保持装置の前記保持面に形成された前記溝部内に挿入することにより、前記基板を前記基板支持部材上から前記基板保持装置上に載せ替える請求項34又は35に記載の露光装置。
【請求項37】
前記基板は、フラットパネルディスプレイ装置に用いられる請求項3036のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項38】
前記基板は、少なくとも一辺の長さが500mm以上である請求項3037のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項39】
請求項3038のいずれか一項に記載の露光装置を用いて前記基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項40】
基板を第1の経路で所定の基板保持装置の保持面に搬入することと、
前記保持面に保持された前記基板を前記第1の経路とは異なる第2の経路で前記基板保持装置から搬出することと、を含み、
前記第1の経路と前記第2の経路の少なくとも一方では、前記基板を保持面に沿った方向に移動し、
前記保持面に沿った方向に前記基板が移動する際に当該基板の少なくとも一部が前記基板保持装置の支持部で支持される基板搬送方法。
【請求項41】
前記搬入することでは、前記基板を下方に搬送することにより前記基板保持装置上に搬入し、
前記搬出することでは、前記基板を水平面に平行な一軸方向に移動させて前記基板保持装置から搬出する請求項40に記載の基板搬送方法。
【請求項42】
所定の基板支持部材上に基板を載置することを、さらに含み、
前記搬入することでは、前記基板を、所定の基板支持部材上に載置された状態で第1の経路上で前記基板保持装置に対して移動させることにより前記基板保持装置に搬入し、
前記搬出することでは、前記基板を、前記基板支持部材上に載置された状態で前記第1の経路とは異なる第2の経路上で前記基板保持装置に対して移動させることにより前記基板保持装置から搬出し、
前記第1の経路と前記第2の経路の一方は、鉛直方向の経路であり、
前記第1の経路と前記第2の経路の他方は、水平面に平行な一軸方向の経路であり、
前記他方の経路の少なくとも一部では、前記基板を下方から支持する前記基板支持部材の一部が前記基板保持装置の前記保持面に形成された前記一軸方向の溝部に収容された状態で前記基板保持装置に対して前記一軸方向に移動する請求項40に記載の基板搬送方法。
【請求項43】
記搬入することでは、前記基板支持部材を前記基板保持装置の前記溝部に挿入することにより前記基板を前記基板支持部材から前記基板保持装置上に載せ替える請求項42に記載の基板搬送方法。
【請求項44】
前記搬出することでは、前記基板支持部材の少なくとも一部が前記溝部内に収容された状態で、該基板支持部材を移動させて前記基板を前記基板保持装置から搬出する請求項43に記載の基板搬送方法。
【請求項45】
前記基板が前記基板支持部材とともに前記基板保持装置から搬出された後、該基板支持部材上に別の基板を載置することを、さらに含み、
前記搬入することでは、前記別の基板が載置された前記基板支持部材を前記基板保持装置に搬送する請求項43又は44に記載の基板搬送方法。
【請求項46】
複数の前記基板支持部材を用いて、前記搬出すること、及び前記搬入することの一部を並行して行う請求項4345のいずれか一項に記載の基板搬送方法。
【請求項47】
搬出対象の前記基板を支持する前記基板支持部材を前記基板保持装置から搬出する際に、搬入対象の前記基板を支持する別の前記基板支持部材を、前記基板保持装置の上方に待機させる請求項46に記載の基板搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置及び基板搬送方法、露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、基板保持装置への基板の搬入及び搬出を行う基板搬送装置及び基板搬送方法前記基板搬送装置を含む露光装置、並びに前記露光装置を用いたデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の投影露光装置では、露光対象物として表面に感光剤が塗布されたガラスプレート、あるいはウエハなどの基板(以下、基板と総称する)が、基板ステージ装置の基板ホルダ上に載置され、例えば真空吸着などにより基板ホルダに保持される。そして、その基板には、投影レンズ等を含む光学系を介してエネルギビームが照射されることにより、マスク(あるいはレチクル)に形成された回路パターンが転写される。1枚の基板に対する露光処理が終了すると、その露光済みの基板は、基板搬送装置により基板ホルダ上から搬出され、その基板ホルダ上には、別の基板が載置される。露光装置では、このような基板ホルダ上の基板の交換が繰り返されることにより、複数枚の基板に対して連続して露光処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、複数枚の基板に対する露光処理を連続して行う際の全体の処理能力(スループット)を向上させるためには、露光及びアライメント処理の処理能力向上(処理時間の短縮)と併せて、基板の交換時間(サイクルタイム)を短くすること(基板の交換を短時間で行うこと)が有効である。このため、基板ステージ装置上の基板の交換を速やかに行うことができるシステム(もしくは装置)の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,559,928号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、保持面を有する保持装置と、前記基板保持装置の前記保持面に基板を第1の経路で搬入する搬入装置と、前記基板保持装置の前記保持面に保持された前記基板を、前記第1の経路とは異なる第2の経路で前記基板保持装置から搬出する搬出装置と、を備え、前記搬入装置と前記搬出装置の少なくとも一方は、前記基板を前記保持面に沿った方向に移動する駆動装置を有し、前記基板保持装置は、前記駆動装置により前記保持面に沿った方向に前記基板が移動される際に当該基板の少なくとも一部を支持する支持部を有する基板搬送装置が提供される。
【0007】
これによれば、基板保持装置への基板の搬入は、搬入装置により第1の経路上で行われ、基板保持装置からの基板の搬出は、搬出装置により第1の経路とは異なる第2の経路上で行われる。従って、基板の搬入と搬出を並行して行うこと(例えば、基板の搬出時に第1の経路上に搬入対象の別の基板を待機させることなど)が可能となり、基板保持装置上の基板を交換する際のサイクルタイムを短縮できる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、本発明の基板搬送装置と、前記基板保持装置上に載置された前記基板をエネルギビームを用いて露光することにより該基板に所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える第1の露光装置が、提供される。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、基板を保持する保持面を有する保持部材を含み、前記保持面上に前記基板が載置される基板保持装置と、前記基板を第1の経路で前記基板保持装置の前記保持面に搬入する搬入装置と、前記基板保持装置の前記保持面に保持された前記基板を、前記第1の経路とは異なる第2の経路で前記基板保持装置から搬出する搬出装置と、前記基板保持装置上に保持された前記基板をエネルギビームで露光する露光系と、を備え、前記搬入装置と前記搬出装置の少なくとも一方は、前記基板を前記保持面に沿った方向に移動する駆動装置を有し、前記基板保持装置は、前記駆動装置により前記保持面に沿った方向に前記基板が移動される際に当該基板の少なくとも一部を支持する支持部を有する第2の露光装置が、提供される。
【0010】
上記の第1、第2の露光装置によれば、基板保持装置上の基板を交換する際のサイクルタイムを短縮できるので、結果的にスループットの向上が可能である。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、基板を第1の経路で所定の基板保持装置の保持面に搬入することと、前記保持面に保持された前記基板を前記第1の経路とは異なる第2の経路で前記基板保持装置から搬出することと、を含み、前記第1の経路と前記第2の経路の少なくとも一方では、前記基板を保持面に沿った方向に移動し、前記保持面に沿った方向に前記基板が移動する際に当該基板の少なくとも一部が前記基板保持装置の支持部で支持される基板搬送方法が、提供される。
【0012】
これによれば、基板保持装置への基板の搬入は、第1の経路上で行われ、基板保持装置からの基板の搬出は、第1の経路とは異なる第2の経路上で行われる。従って、基板の搬入と搬出を並行して行うこと(例えば、基板の搬出時に第1の経路上に搬入対象の別の基板を待機させることなど)が可能となり、基板保持装置上の基板を交換する際のサイクルタイムを短縮できる。
【0022】
本発明のその他の態様によれば、上記第1及びの露光装置のいずれかを用いて前記基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態に係る液晶露光装置の概略構成を示す図である。
図2図1の液晶露光装置が有する基板ステージ装置、及び基板交換装置の構成を示す図である。
図3図3(A)は、基板ステージ装置が有する基板ホルダの平面図、図3(B)は、図3(A)のA−A線断面の断面図である。
図4図4(A)は、基板を支持する基板トレイの平面図、図4(B)は、基板トレイを−Y側から見た側面図、図4(C)は、基板トレイを+X側から見た側面図である。
図5図5(A)は、基板ホルダ上に基板が載置された状態を示す平面図、図5(B)及び図5(C)は、基板ホルダが有するトレイガイド装置の動作を説明するための図である。
図6】基板搬出装置を+X側から見た側面図である。
図7】基板ホルダ、及び基板搬入装置を示す平面図である。
図8図8(A)〜図8(C)は、基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その1〜その3)である。
図9図9(A)〜図9(C)は、基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その4〜その6)である。
図10図10(A)〜図10(C)は、基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その7〜その9)である。
図11図11(A)〜図11(C)は、基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その10〜その12)である。
図12図12(A)〜図12(C)は、基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その13〜15)である。
図13図13(A)〜図13(C)は、基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その16〜その18)である。
図14図14(A)は、第2の実施形態に係る液晶露光装置で用いられる基板トレイの平面図、図14(B)は、図14(A)に示される基板トレイの側面図である。
図15図15(A)は、第2の実施形態に係る基板ステージの基板ホルダの平面図、図15(B)及び図15(C)は、基板トレイと組み合わされた状態の基板ホルダの断面図である。
図16図16(A)は、第3の実施形態に係る液晶露光装置で用いられる基板トレイの平面図、図16(B)は、基板トレイの動作を示す図である。
図17】第4の実施形態に係る液晶露光装置で用いられる基板トレイの平面図である。
図18】第5の実施形態に係る液晶露光装置が備える基板ステージの断面図である。
図19】第6の実施形態に係る基板ホルダ、及び基板搬入装置を示す平面図である。
図20】第6の実施形態に係る基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その1)である。
図21】第6の実施形態に係る基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その2)である。
図22】第6の実施形態に係る基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その3)である。
図23】第6の実施形態に係る基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その4)である。
図24】第6の実施形態に係る基板ステージ上の基板の交換を行う際の動作を説明するための図(その5)である。
図25】基板トレイの変形例(その1)及び基板搬出装置の変形例を示す図である。
図26】基板トレイの変形例(その2)を示す側面図である。
図27図27(A)〜図27(C)は基板トレイの変形例(その3〜その5)を示す図である。
図28】基板トレイの変形例(その6)及び基板ホルダを示す図である。
図29】リフト装置の変形例を示す図である。
図30図30(A)及び図30(B)は、基板搬入装置の変形例を示す図である。
図31図31(A)及び図31(B)は、基板トレイの変形例(その7)を示す図である。
図32図32(A)は、基板トレイの変形例(その8)を示す図、図32(B)は、図32(A)に示される基板トレイを搬出する基板搬出装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1図13(C)に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態に係る、フラットパネルディスプレイ、例えば液晶表示装置(液晶パネル)などの製造に用いられる液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置の表示パネルなどに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0025】
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、上記マスクステージMST及び投影光学系PLなどが搭載されたボディBD、基板Pを保持する基板ホルダ50を含む基板ステージ装置PST、基板ホルダ50上の基板Pの交換を行う基板交換装置60(図1では不図示。図2参照)、及びこれらの制御系等を備えている。ここで、図2では、基板ステージ装置PST上に基板Pが載置され、基板ステージ装置PSTの上方で別の基板Pが基板交換装置60により搬送されている。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向(X方向)とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向(Y方向)、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向(Z方向)とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0026】
照明系IOPは、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
【0027】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着(あるいは静電吸着)により固定されている。マスクステージMSTは、後述するボディBDの一部である鏡筒定盤31の上面に固定された一対のマスクステージガイド35上に、例えば不図示のエアベアリングを介して非接触状態で浮上支持されている。マスクステージMSTは、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により、一対のマスクステージガイド35上で、走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向にそれぞれ適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、マスクステージMSTに設けられた(又は形成された)反射面に測長ビームを照射するレーザ干渉計を含むマスク干渉計システム38により計測される。
【0028】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの図1における下方において、鏡筒定盤31に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第5,729,331号明細書に開示された投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の投影領域が例えば千鳥状に配置された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系のそれぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。また、以下では投影光学系PLの千鳥状に配置された複数の投影領域をまとめて露光領域IA(図2参照)と呼ぶ。
【0029】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの像面側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0030】
ボディBDは、例えば米国特許出願公開第2008/0030702号明細書などに開示されているように、基板ステージ架台33と、基板ステージ架台33上に一対の支持部材32を介して水平に支持された鏡筒定盤31と、を有している。基板ステージ架台33は、Y軸方向を長手方向とする部材から成り、図2に示されるようにX軸方向に所定間隔で2つ(一対)設けられている。基板ステージ架台33は、長手方向の両端部が、床面F上に設置された防振装置34に下方から支持されており、床面Fに対して振動的に分離されている。これにより、ボディBD、及びボディBDに支持された投影光学系PLなどが、床面Fに対して振動的に分離される。
【0031】
基板ステージ装置PSTは、基板ステージ架台33上に固定された定盤12と、Y軸方向に所定間隔で配置された一対のベースフレーム14と、一対のベースフレーム14上に搭載された基板ステージ20と、を備えている。
【0032】
定盤12は、例えば石材により形成された平面視で(+Z側から見て)矩形の板状部材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。
【0033】
一対のベースフレーム14は、その一方が定盤12の+Y側に、他方が定盤12の−Y側に、それぞれ配置されている。一対のベースフレーム14のそれぞれは、X軸方向に延びる部材から成り、基板ステージ架台33を跨いだ状態で床面Fに固定されている。なお、図1では不図示であるが、一対のベースフレーム14は、基板ステージ20の一部である後述するX粗動ステージ23XをX軸方向に直進案内するためのXリニアガイド部材、及びX粗動ステージ23Xを駆動するためのXリニアモータを構成するX固定子(例えばコイルユニット)などを有している。
【0034】
基板ステージ20は、一対のベースフレーム14上に搭載されたX粗動ステージ23Xと、X粗動ステージ23X上に搭載され、X粗動ステージ23Xと共にXY二軸ステージを構成するY粗動ステージ23Yと、Y粗動ステージ23Yの+Z側(上方)に配置された微動ステージ21と、定盤12上で微動ステージ21を支持する重量キャンセル装置40と、微動ステージ21上に搭載され、基板Pを保持する基板ホルダ50と、を含む。
【0035】
X粗動ステージ23Xは、平面視矩形の外形形状を有する枠状(枠形)の部材から成り、その中央部にY軸方向を長手方向とする長孔状の開口部(図2参照)を有している。X粗動ステージ23Xの下面には、図1に示されるように、YZ断面逆U字状に形成された一対のステージガイド15が、一対のベースフレーム14に対応して固定されている。ステージガイド15は、図1では不図示であるが、ベースフレーム14の有するXリニアガイド部材(不図示)に対してスライド可能に係合するスライド部材、及び上述したX固定子と共にXリニアモータを構成するX可動子(例えば、磁石ユニット)などを有している。X粗動ステージ23Xは、Xリニアモータを含むX粗動ステージ駆動系により、一対のベースフレーム14上でX軸方向に所定ストロークで直進駆動される。また、X粗動ステージ23Xの上面には、Y軸方向に延びるYリニアガイド部材28が固定されている。Yリニアガイド部材28は、X軸方向に離間して複数設けられている。また、各図面では不図示であるが、X粗動ステージ23Xの上面には、Y粗動ステージ23Yを駆動するためのYリニアモータを構成するY固定子(例えばコイルユニット)が固定されている。
【0036】
Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23XよりもY軸方向の寸法が短い平面視で矩形の外形形状を有する枠状の部材から成り、その中央部に開口部(図2参照)を有している。Y粗動ステージ23Yの下面には、上述したYリニアガイド部材28にスライド可能に係合する複数のスライド部材29が固定されている。また、図1では不図示であるが、Y粗動ステージ23Yの下面には、上述したY固定子と共にYリニアモータを構成するY可動子(例えば、磁石ユニット)が固定されている。Y粗動ステージ23Yは、Yリニアモータを含むY粗動ステージ駆動系により、X粗動ステージ23X上でY軸方向に所定ストロークで駆動される。X粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yのそれぞれの位置情報は、例えば不図示のリニアエンコーダシステムにより計測される。なお、X粗動ステージ23X,Y粗動ステージ23YをそれぞれX軸方向、Y軸方向に駆動する駆動方式は、例えば送りねじによる駆動方式、あるいはベルト駆動方式などの他の方式であっても良い。また、X粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yのそれぞれの位置情報は、例えば光干渉計システムなどの他の計測方法により求めても良い。
【0037】
X粗動ステージ23XとY粗動ステージ23Yとの間には、図2に示されるように、一対のケーブルガイド装置36を介して、例えば後述する微動ステージ21を駆動するためのボイスコイルモータなどに電力を供給ためのケーブル36aが架け渡されている。ケーブルガイド装置36は、X粗動ステージ23X上でのY粗動ステージ23Yの位置に応じて、適宜ケーブル36aを案内する。なお、図1では、図面の錯綜を避ける観点から、ケーブルガイド装置の図示が省略されている。
【0038】
微動ステージ21は、平面視略正方形の高さの低い直方体状の部材から成る。微動ステージ21の−Y側の側面には、図1に示されるように、ミラーベース24Yを介してY軸に直交する反射面を有するY移動鏡(バーミラー)22Yが固定されている。また、微動ステージ21の−X側の側面には、図2に示されるように、ミラーベース24Xを介してX軸に直交する反射面を有するX移動鏡(バーミラー)22Xが固定されている。微動ステージ21のXY平面内の位置情報は、Y移動鏡22Y及びX移動鏡22Xのそれぞれに測長ビームを照射し、その反射光を受光する少なくとも2つのレーザ干渉計を含む基板干渉計システム39(図1参照)によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。なお、実際には、基板干渉計システム39は、Y移動鏡22Y及びX移動鏡22Xのそれぞれに対応したXレーザ干渉計及びYレーザ干渉計を有しているが、図1では、これらが代表的に基板干渉計システム39として図示されている。
【0039】
微動ステージ21は、図2に示されるように、例えばY粗動ステージ23Yに固定された固定子(例えば、コイルユニット)と、微動ステージ21に固定された可動子(例えば、磁石ユニット)と、を含む複数の電磁力(ローレンツ力)駆動方式のボイスコイルモータ(Xボイスコイルモータ18x(図2参照)、Yボイスコイルモータ18y(図1参照)、及びZボイスコイルモータ18z(図1及び図2参照))を有する微動ステージ駆動系により、Y粗動ステージ23Y上で6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、θzの各方向)に微少駆動される。なお、図1では図面の錯綜を避ける観点からXボイスコイルモータの図示が省略されている。これにより、微動ステージ21は、投影光学系PLに対して、Y粗動ステージ23YとともにXY2軸方向に長ストロークで移動(粗動)可能、且つY粗動ステージ23Y上で6自由度方向に微少移動(微動)可能となっている。なお、Xボイスコイルモータ18xは、Y軸方向に沿って複数設けられ、Yボイスコイルモータ18yは、X軸方向に沿って複数設けられている(図1及び図2では、複数のXボイスコイルモータ18x、Yボイスコイルモータ18yは、それぞれ紙面奥行き方向に重なっている)。また、Zボイスコイルモータ18zは、同一直線上にない3箇所以上(例えば、微動ステージ21の四隅に対応する位置のうちの少なくとも3箇所)に設けられている。
【0040】
重量キャンセル装置40は、図2に示されるように、Z軸方向に延設された柱状の部材から成り、心柱とも称される。重量キャンセル装置40は、筐体41、空気バネ42、及びスライド部43を有している。
【0041】
筐体41は、+Z側が開口した有底の筒状部材から成り、X粗動ステージ23Xの開口部、及びY粗動ステージ23Yの開口部内に挿入されている。筐体41は、その下面に取り付けられた複数の気体静圧軸受、例えばエアベアリング45により、定盤12上に非接触支持されている。筐体41は、板バネを含む複数の連結装置46(フレクシャ装置とも称される)により、重量キャンセル装置40の重心位置を含む高さ位置(Z位置)でY粗動ステージ23Yに接続されており、Y粗動ステージ23Yと一体的にX軸方向、及び/又はY軸方向に移動する。
【0042】
スライド部43は、筐体41の内部に収容された筒状の部材から成り、空気バネ42の上方に配置されている。空気バネ42は、筐体41内の最下部に収容されている。空気バネ42には、不図示の気体供給装置から気体(例えば空気)が供給されており、その内部が外部に比べて気圧の高い陽圧空間に設定されている。重量キャンセル装置40は、Zボイスコイルモータ18zにより駆動される微動ステージ21のZ軸方向に関する位置(Z位置)に応じて、適宜空気バネ42の内圧を変化させることにより、スライド部43を上下動させる。
【0043】
重量キャンセル装置40は、ボールを含むレベリング装置44と称される装置を介して、微動ステージ21の中央部を下方から支持している。レベリング装置44は、スライド部43の上面に取り付けられた図示しない複数の非接触軸受(例えば、エアベアリング)により、スライド部43に非接触(浮上)支持されている。これにより、微動ステージ21は、Z軸方向に関してはスライド部43と一体に移動する一方で、スライド部43に対してθx方向及びθy方向にチルト自在(揺動自在)となっている。
【0044】
重量キャンセル装置40は、空気バネ42が発生する上向き(+Z方向)の力で、微動ステージ21を含む系(具体的には、微動ステージ21、基板ホルダ50、基板Pなどから成る系)の重量(重力加速度による下向き(−Z方向)の力)を打ち消すことにより、複数のZボイスコイルモータ18zに対する負荷を低減する。
【0045】
微動ステージ21の重量キャンセル装置40に対するZ軸方向、θx、θy方向のそれぞれの位置情報(Z軸方向の移動量、及び水平面に対するチルト量)は、重量キャンセル装置40の筐体41にアーム部材を介して固定されたターゲット48のZ軸方向の位置を計測する複数のレーザ変位センサ47(Zセンサとも称される)によって求められる。複数のレーザ変位センサ47は、微動ステージ21の下面に固定されている。上記連結装置46(フレクシャ装置)を含み、重量キャンセル装置40の構成は、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書などに開示されている。
【0046】
基板ホルダ50は、図2及び図3(A)から分かるように、Z軸方向の寸法(厚み)がX軸方向及びY軸方向の寸法(長さ及び幅)よりも小さい直方体状の部材から成り、微動ステージ21の上面に固定されている。基板ホルダ50の上面は、平面視(+Z方向から見て)でX軸方向を長手方向とする長方形であり、基板Pに比べてX軸及びY軸方向のそれぞれの寸法が幾分短く設定されている。基板ホルダ50は、その上面(+Z側の面)に基板Pを真空吸着(又は静電吸着)により吸着保持する不図示の吸着装置を有している。
【0047】
ここで、液晶露光装置10において、基板ステージ20への基板Pの搬入(ロード)、及び基板ステージ20からの基板Pの搬出(アンロード)は、基板Pを図4(A)に示される基板トレイ90と称される部材上に載置した状態で行われる。図4(A)に示されるように、基板トレイ90は、X軸方向に延びる棒状部材から成る支持部91を複数本(例えば、Y軸方向に所定間隔で4本)有し、その4本の支持部91のそれぞれの+X側の端部がYZ平面に平行な板状部材から成る接続部92に接続され、平面視で櫛型の外形形状を有している。基板Pは、例えば4本の支持部91上に載置される。基板トレイ90は、例えば自重による基板Pの変形(撓みなど)を抑制可能であり、基板載置部材、搬送補助部材、変形抑制部材、あるいは基板支持部材などとも呼ぶことができる。なお、基板トレイ90の構成については、後に詳しく説明する。基板ホルダ50の上面には、図3(A)に示されるように、X軸に平行な複数本(例えば、4本)の溝部51がY軸方向に所定の間隔で形成されている。4本の溝部51のそれぞれの深さは、例えば基板ホルダ50の厚みの半分程度である(図3(B)参照)。溝部51の長さは、本実施形態では基板ホルダ50の長さと同じであり、基板ホルダ50の+X側及び−X側のそれぞれの側面(端面)には、開口部が形成されている。溝部51内には、図5(B)に示されるように、基板トレイ90の支持部91が収容される。ここで、溝部51の深さは、基板トレイ90を基板ホルダ50上に載置した際に、基板トレイ90の上面が基板ホルダ50の表面と同一面上に、あるいは、それより低い位置に位置するように設定すれば良いし、溝部51の長さは、例えば基板トレイが片持ち状態で基板Pを支持する場合、基板ホルダよりも短くても良い。
【0048】
基板ホルダ50は、図3(B)に示されるように、その内部に複数のトレイガイド装置52を有している。トレイガイド装置52は、溝部51内に収容された基板トレイ90の支持部91(図5(B)参照)を下方から支持する装置である。トレイガイド装置52は、図3(B)に示されるように、基板ホルダ50のうち、溝部51の内部底面に形成された凹部51a内に収容されたエアシリンダ53と、そのエアシリンダ53のシリンダロッド(以下、ロッドと称する)の先端部(+Z側の端部)に固定されたガイド部材54とを含む。エアシリンダ53を収容する凹部51aは、1本の溝部51につき4つ、X軸方向に所定の間隔で形成されている。従って、トレイガイド装置52は、合計16台設けられている(図3(A)参照)。
【0049】
ガイド部材54は、図3(A)及び図3(B)から分かるように、矩形の板状部材と、その板上部材の上面に、互いの斜面がX軸方向から見てV字状の溝部を形成するように載置された一対の三角柱状の部材と、を有しており、いわゆるVブロックと称される治具のような外形形状を有している。以下、一対の三角柱状の部材により形成される溝部をV溝部と称して説明する。ガイド部材54は、図5(B)及び図5(C)に示されるように、エアシリンダ53に対するエア供給圧に応じて、溝部51内でZ軸方向に所定のストロークで移動(上下動)する。ここで、エアシリンダ53では、ロッドがZ軸に沿って往復移動するのであって、エアシリンダそのものが伸縮する訳ではないが、ロッドの先端の被駆動部材を含めたエアシリンダの全長は、ロッドの往復移動によって、変化するので、以下では、エアシリンダの全長が伸びるようにロッドが移動する場合を、エアシリンダ53が伸びる又は伸ばすと表現し、ロッドが反対に移動する場合を、エアシリンダ53が縮む又は縮めると表現する。なお、エアシリンダ53以外の後述する他のエアシリンダについても同様である。なお、ガイド部材54を上下動させるアクチュエータは、エアシリンダに限らず、例えばネジ機構、リンク機構などを用いたものであっても良い。また、ガイド部材54のV溝面には、図示しない微少な孔が複数形成されている。ガイド部材54は、複数の孔から、高圧気体(例えば、空気)を噴出することにより、基板トレイ90を微少な隙間(ギャップ/クリアランス)を介して浮上させる機能を有する。また、ガイド部材54は、複数の孔を介して真空吸引することにより、基板トレイ90を吸着保持することも可能となっている。なお、トレイガイド装置52は、基板トレイ90を非接触で支持する浮上型(非接触型)に限らず、例えばベアリングなどを用いて基板トレイ90を支持する接触型でも良い。
【0050】
次に、基板トレイ90について図4(A)〜図4(C)を用いて説明する。前述したように、基板トレイ90は、例えば4本の支持部91と、その4本の支持部91を接続する接続部92とを含む、平面視で櫛形の外形形状を有する部材である。4本の支持部91のそれぞれは、X軸方向に延びるYZ断面が菱形で中空(図5(B)参照)の棒状部材から成る。4本の支持部91は、前述の基板ホルダ50に形成された溝部51に対応する間隔でY軸方向に配列されている。支持部91のX軸方向に関する寸法は、基板PのX軸方向に関する寸法よりも長く設定されている(図5(A)参照)。4本の支持部91及び接続部92は、例えばMMC(Metal Matrix Composites:金属基複合材料)、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)、あるいはC/Cコンポジット(炭素繊維強化炭素複合材)などにより形成されており、軽量で剛性が高い。従って、4本の支持部91上に載置された基板Pの撓みも抑制できる。
【0051】
また、4本の支持部91のそれぞれの上端部(頂部)には、X軸方向に所定間隔で、水平面に平行な支持面を有する複数(例えば、3つ)のパッド93が取り付けられている。基板トレイ90は、複数のパッド93により、基板Pを下方から支持する(図5(C)参照)。
【0052】
基板トレイ90の4本の支持部91、及び接続部92の表面には、例えば黒色の陽極酸化皮膜が形成されている。基板Pに露光処理を行う際、基板トレイ90は、図5(B)に示されるように、基板ホルダ50の溝部51内に収容されるため、その表面に照明光IL(図1参照)が照射される可能性があるが、上記黒色の陽極酸化被膜が形成されているため、照明光ILの反射が抑制される。また、上記基板トレイ90に形成された黒色の陽極酸化皮膜は、照明光ILの照射による基板トレイ90を構成する材料の劣化、あるいは投影光学系PLが有する投影レンズの曇りの原因となるアウトガスの発生を抑制する。なお、基板トレイを形成する材料は、上述したものに限られない。基板を下方から支持する棒状の部材の本数も、特に限定されず、例えば基板の大きさ、厚さなどに応じて適宜変更可能である。また、基板トレイ90の表面を低反射率にし、且つ照明光による材質の劣化、及びアウトガスの発生などを抑制できれば、上記陽極酸化被膜に限らず、基板トレイ90に他の表面処理を施しても良い。
【0053】
4本の支持部91のそれぞれの−X側の端部(以下、適宜先端部と称する)には、−X側に行くほど細くなるテーパ面(ここでは、円錐台の外周面のような面)を有するテーパ部材94(円錐台状の部材)が固定されている。また、接続部92の+X側の側面には、+X側に行くほど細くなるテーパ面を有する4つのテーパ部材95が、4本の支持部91間の間隔に対応する間隔で固定されている。さらに、接続部92の+X側の側面中央には、+X側に行くほど細くなるテーパ面を有する1つのテーパ部材96が固定されている。
【0054】
支持部91及び接続部92には、図示しない複数の配管部材が内蔵されており、テーパ部材96と複数のパッド93のそれぞれとが、その配管部材により連通されている。パッド93の上面、及びテーパ部材96には、それぞれ不図示の孔部が形成されており、テーパ部材96側の孔部から気体が吸引されると、パッド93上に載置された基板P(図5(A)参照)がそのパッド93に吸着保持される。
【0055】
また、図4(C)に示されるように、接続部92の下端部には、+X側から見た側面視で直角三角形状の複数の切り欠き92aが形成されている。切り欠き92aは、複数のテーパ部材95のそれぞれの+Y側、及び−Y側にそれぞれ形成されている(ただし、最も−Y側のテーパ部材95の−Y側、及び最も+Y側のテーパ部材95の+Y側を除く)。テーパ部材95の+Y側、及び−Y側のそれぞれに形成された一対の切り欠き92aは、X軸方向から見た側面視で左右対称に(X軸方向から見た側面視でM字状となるように)形成されている。複数の切り欠き92aの機能については後に説明する。
【0056】
また、前述した基板ホルダ50の溝部51(図3(B)参照)は、支持部91を収容可能な幅、及び深さで形成されており、支持部91は、図5(B)に示されるように、基板ホルダ50の溝部51内に収容され、ガイド部材54に下方から支持される(ガイド部材54上に載置される)。支持部91がガイド部材54に支持された状態では、ガイド部材54のV溝部内に支持部91の下部が挿入されるので、基板トレイ90の基板ホルダ50に対するY軸方向への相対移動が制限される。また、図5(B)に示されるように、基板トレイ90を支持するガイド部材54を−Z側に移動させた際に、基板Pの下面とパッド93の上面とを離間させ、基板Pを基板ホルダ50の上面に載置させることができるように、ガイド部材54の移動下限位置が設定されている。
【0057】
また、基板トレイ90がガイド部材54によって下方から支持されているとき、ガイド部材54を、+Z方向に移動させることにより、図5(C)に示されるように、基板トレイ90のパッド93と基板Pとを当接させ、基板Pの下面を基板ホルダ50の上面から離間させることができるように、ガイド部材54の移動上限位置が設定されている。ただし、ガイド部材54がその可動範囲の最も+Z側に位置した状態で、支持部91は、その下側の半分以上(例えば、3/4程度)の部分が溝部51内に収容されたままである。
【0058】
次に、図2に示される基板交換装置60について説明する。基板交換装置60は、基板ステージ装置PSTの+X側に配置された架台61、架台61上に搭載された基板搬出装置70、及び架台61及び基板ステージ装置PSTの上方に配置された基板搬入装置80を有している。架台61,基板搬出装置70,及び基板搬入装置80は、それぞれ基板ステージ装置PSTと共に、不図示のチャンバ内に収容されている。
【0059】
架台61は、複数の脚部62によって床面F上で水平面にほぼ平行に支持された平面視矩形の板状部材から成るベース63を有している。
【0060】
基板搬出装置70は、基板トレイ90を把持する把持装置71、把持装置71をX軸方向に駆動する駆動装置(アクチュエータ)、例えばリニアモータの固定子を含む固定子部72、ベース63上で基板トレイ90を支持する複数のトレイガイド装置73、及び基板Pを基板トレイ90から離間させるリフト装置65を含む。把持装置71は、図2及び図6から分かるように、直方体状の部材から成る把持部74と、把持部74の下端部に接続された可動子部75と、を有する。把持部74の−X側の面には、+X側に行くほど狭くなるテーパ面を有する凹部74aが形成されている。凹部74aは、前述した基板トレイ90のテーパ部材96の外形形状に対応して形成されており、把持部74は、凹部74a内にテーパ部材96が挿入された状態で基板トレイ90を、例えば真空吸着により把持する。なお、把持部74が基板トレイ90を把持する方式としては、例えば磁気吸着などでも良い。また、例えばフックなど機械的なチャック機構によりテーパ部材96を物理的に把持する構成でも良い。可動子部75は、例えば複数の磁石を含む磁石ユニット(図示省略)を有し、後述する固定子部72が有するコイルユニットとともに把持部74をX軸方向に駆動する電磁力(ローレンツ力)駆動方式のXリニアモータを構成している。
【0061】
固定子部72は、ベース63上で一対の支持柱72aにより両端部が下方から支持されたX軸方向に延びる部材から成り、上述した把持装置71をX軸方向に案内する案内部材、及び複数のコイルを含むコイルユニットを有する固定子(それぞれ図示省略)などを備えている。
【0062】
ここで、把持部74に形成された凹部74aのZ位置は、基板ホルダ50が有する複数のガイド部材54が、図5(C)に示される移動上限位置に位置された状態で、その複数のガイド部材54に支持された基板トレイ90のテーパ部材96(図4(A)参照)のZ位置と概ね同じとなっている。従って、図2に示される把持部74が固定子部72の−X側の端部近傍に位置した状態で、基板トレイ90のテーパ部材96のY軸方向に関する位置(Y位置)と把持部74のY位置との位置合わせを行い、その状態で基板ステージ20を+X方向に移動させると、テーパ部材96が、把持部74の凹部74a内に挿入される。このとき、テーパ部材96の位置と把持部74の位置に多少のずれがあっても、テーパ部材96が凹部74aの内面のテーパ面に案内されるので、把持部74は、確実に基板トレイ90を把持できる。そして、テーパ部材96を把持した状態の把持部74がXリニアモータにより+X方向に駆動されると、把持部74と一体的に基板トレイ90が+X方向に移動し、基板トレイ90が基板ホルダ50から引き抜かれる。このとき、基板Pの下面は、基板ホルダ50の上面から離間しているので(図5(C)参照)、基板Pを基板ホルダ50から搬出することができる。なお、把持部74をX軸方向に駆動するための一軸駆動装置としては、リニアモータに限らず、例えば送りねじ装置、ラックアンドピニオン装置、ベルト式(あるいはチェーン式、ワイヤ式など)駆動装置などの他の方式の装置を用いても良い。
【0063】
また、把持部74には、一端がバキューム装置に接続された配管部材の他端が接続されている(バキューム装置、及び配管部材は、ともに図示省略)。基板搬出装置70を用いて基板トレイ90、及び基板Pを基板ホルダ50から搬出する際、把持部74がテーパ部材96を把持した状態でバキューム装置により基板トレイ90内の不図示の配管部材内の気体を吸引させると、基板Pがパッド93に吸着保持される。これにより、基板トレイ90が加速及び減速される際、その基板トレイ90上における基板Pのずれが抑制される。
【0064】
基板搬出装置70は、トレイガイド装置73を、例えば合計12台有しており、ベース63上には、X軸方向に所定間隔で配列された、例えば3台のトレイガイド装置73から成るトレイガイド装置列が、Y軸方向に所定間隔で、例えば4列配置されている(図7参照)。12台のトレイガイド装置73のそれぞれは、ベース63に固定されたエアシリンダ76と、エアシリンダ76のロッドの先端に接続されたガイド部材77とを有している。12台のトレイガイド装置73のそれぞれのエアシリンダ76は、不図示の主制御装置により、同期駆動(制御)される。ここで、12台のトレイガイド装置73のそれぞれのエアシリンダ76は、同期駆動に限らず、時間的にずれて駆動されても良い。ガイド部材77は、基板ホルダ50が有するトレイガイド装置52のガイド部材54と実質的に同じ部材である。なお、基板搬出装置70のガイド部材77は、基板ホルダ50のガイド部材54と同様に、V溝部の面から気体を噴出して、基板トレイ90を浮上支持することができるようになっている。また、ガイド部材77は、θz方向に回転可能にエアシリンダ76に接続されている。なお、基板トレイ90が、例えばCFRPにより形成される場合、ガイド部材54,77を、例えば石材により形成することにより、仮に基板トレイ90とガイド部材54,77とが摺動しても発塵を抑制できる(この場合、基板トレイ90を浮上させなくても良い)。
【0065】
ここで、例えば4列のトレイガイド装置列のY軸方向に関する間隔は、基板ホルダ50が有する4列のトレイガイド装置列(図3(A)参照)のY軸方向の間隔と、概ね一致している。また、基板トレイ90を基板ホルダ50から引き抜くために基板ステージ20のY軸方向に関する位置合わせを行うと、基板搬出装置70が有する4列のトレイガイド装置列と、基板ホルダ50が有する4列のトレイガイド装置列とのY軸方向の位置が概ね一致するように、複数のトレイガイド装置73のそれぞれの位置が設定されている。また、ガイド部材77のZ位置は、エアシリンダ76により、基板ホルダ50のガイド部材54のZ位置に一致させることができる。従って、前述のように把持装置71に基板トレイ90のテーパ部材96を把持させ、基板トレイ90を基板ホルダ50から+X方向に引き抜くことにより、その基板トレイ90を基板ホルダ50内の複数のガイド部材54上から、ガイド部材77上に載せ替えることができる。ここで、前述した基板トレイ90の接続部92に形成された切り欠き92a(図4(C)参照)は、基板トレイ90が基板搬出装置70により基板ホルダ50から引き抜かれる際に、接続部92とガイド部材77との接触を避けるために形成されている。すなわち、図6に示されるように、基板トレイ90がガイド部材77上を+X方向に移動する際、ガイド部材77は、切り欠き92a内を通過する。なお、ガイド部材77を上下動させる一軸駆動装置は、エアシリンダ76に限らず、例えば回転モータを用いたねじ(送りねじ)駆動装置、あるいはリニアモータ駆動装置などとしても良い。
【0066】
リフト装置65は、例えば露光処理が終了した基板Pを、図示しないコータ・ディベロッパ装置に搬出するために、基板トレイ90から+Z方向に持ち上げるためのものであり、複数のエアシリンダ66を有している。複数のエアシリンダ66は、図7に示されるように、−Y側から見て1列目と2列目のトレイガイド装置列の間、及び3列目と4列目のトレイガイド装置列の間のそれぞれに、X軸方向に所定間隔で、例えば3台(合計6台)配置されている。また、エアシリンダ66は、−Y側から見て2列目のトレイガイド装置列と固定子部72との間、及び3列目のトレイガイド装置列と固定子部72との間のそれぞれに、X軸方向に所定間隔で、例えば4台(合計8台)配置されている。複数(合計14台)のエアシリンダ66のそれぞれは、ベース63に固定され、不図示の主制御装置により同期駆動される。ここで、複数(合計14台)のエアシリンダ66のそれぞれは、同期駆動に限らず、時間的にずれて駆動されても良い。14台のエアシリンダ66のそれぞれは、ロッドの先端(+Z側の端部)に円板状のパッド部材67を有している。リフト装置65は、基板トレイ90が複数のトレイガイド装置73に下方から支持された状態で、基板Pの下面にパッド部材67を当接させ、この状態で複数のエアシリンダ66を同期して(又は時間的に多少ずれて)伸ばすことにより、基板Pを+Z方向に持ち上げて基板トレイ90から離間させる。
【0067】
基板搬入装置80は、図2に示されるように、第1搬送ユニット81a、及び第2搬送ユニット81bを有している。第1搬送ユニット81aは、基板ステージ装置PSTの上方であって、投影光学系PL(図1参照)の+X側に配置されている。基板ステージ20は、基板Pの交換を行うために架台61に隣接する位置(図2に示される位置。以下、基板交換位置と称する)に移動すると、第1搬送ユニット81aの下方に位置する。第1搬送ユニット81aは、図7に示されるように、一対の固定子部82a、一対の固定子部82aのそれぞれに対応して設けられた一対の可動子部83a(図7では不図示。図2参照)、基板トレイ90の−X側の端部を把持する把持部84a、一対の可動子部83aのそれぞれに接続され、把持部84aを上下動させる一対の伸縮装置85a(図7では不図示。図2参照)などを含む。なお、図2において、一対の固定子部82aの一方、一対の可動子部83aの一方、及び一対の伸縮装置85aの一方は、それぞれ一対の固定子部82aの他方、一対の可動子部83aの他方、及び一対の伸縮装置85aの他方の紙面奥側に隠れている。
【0068】
一対の固定子部82aのそれぞれは、X軸方向に延びる部材から成り、例えばボディBD(図1参照)に固定されている。一対の固定子部82aは、図7に示されるように、Y軸方向に所定間隔で平行に配置されている。一対の固定子部82aのそれぞれは、図示しない複数のコイルを含むコイルユニットを有している。また、一対の固定子部82aのそれぞれは、後述する可動子部83aをX軸方向に案内するための、X軸方向に延びる不図示のガイド部材を有している。
【0069】
一対の可動子部83aのそれぞれは、対応する固定子部82aに対してX軸方向にスライド可能、且つZ軸方向への相対移動が制限された(固定子部82aからの落下が防止された)状態で、その固定子部82aの下面側に吊り下げ状態で機械的に係合している(図2参照)。可動子部83aは、図示しない複数の磁石を含む磁石ユニットを有している。磁石ユニットは、固定子部82aが有するコイルユニットと共に電磁力(ローレンツ力)駆動方式のXリニアモータを構成している。一対の可動子部83aのそれぞれは、Xリニアモータにより、一対の固定子部82aに対してX軸方向に所定のストロークで同期駆動される。なお、把持部84a及び伸縮装置85aをX軸方向一軸駆動する駆動装置としては、リニアモータに限られず、例えば回転モータを用いたボールねじ駆動装置、ベルト駆動装置、ワイヤ駆動装置などを用いることもできる。
【0070】
把持部84aは、図7に示されるように、Y軸方向に延びるXZ断面長方形の部材から成る。把持部84aの+X側の面には、−X側に行くほど狭くなるテーパ面を有する凹部86aがY軸方向に所定間隔で複数(例えば、4つ)形成されている。複数の凹部86aの間隔は、基板トレイ90の4本の支持部91(すなわち4つのテーパ部材94)の間隔と概ね一致している。把持部84aは、凹部86a内に基板トレイ90の支持部91の−X側の端部に接続されたテーパ部材94が挿入されることにより、基板トレイ90の−X側を保持する。
【0071】
伸縮装置85aは、図2に示されるように、複数のリンク部材により構成されるZ軸方向に伸縮可能なパンタグラフ機構と、そのパンタグラフ機構をZ軸方向伸縮させる不図示のアクチュエータとを含む。なお、図2では、伸縮装置は、パンタグラフ機構が縮んだ状態(Z軸方向の寸法が最も小さくなる状態)となっている(パンタグラフ機構が伸びた状態は、図10(A)など参照)。伸縮装置85aのパンタグラフ機構は、+Z側の端部が可動子部83aに接続され、−Z側の端部が把持部84aに接続されている。一対の伸縮装置85aのそれぞれのアクチュエータは、不図示の主制御装置により同期駆動され、これにより把持部84aがZ軸に平行に上下動する。なお、把持部84aを上下動させる装置(一軸駆動装置)としては、上述したパンタグラフ機構を含むものに限らず、例えばエアシリンダなどであっても良いが、把持部84aを最も+Z側に位置させた状態でのZ軸方向の寸法が短く、かつ把持部84aをある程度の長ストロークで上下動させることができるという点で、リンク機構を用いることが好ましい。
【0072】
第2搬送ユニット81bは、第1搬送ユニットの+X側であって、架台61の上方に配置されている。なお、第2搬送ユニット81bの構成は、固定子部82bの位置が第1搬送ユニット81aの固定子部82aよりも幾分+Z側である点、及び把持部84bの−X側の面に4つの凹部86b(図7参照)が形成されている点、及び把持部84bにテーパ部材96が挿入される凹部87b(図7参照)が形成されている点を除き、第1搬送ユニット81aと同じである。すなわち、第2搬送ユニット81bは、例えば基板ステージ装置PSTなどを収容する不図示のチャンバの柱、梁などに固定された一対の固定子部82b、一対の固定子部82bに対応して設けられた一対の可動子部83b、基板トレイ90の+X側の端部を把持する把持部84b、及び把持部84bを上下動させる一対の伸縮装置85b(ただし、第1搬送ユニット81aの伸縮装置85aよりも幾分ストロークが長い)を、有している。なお、図2において、一対の固定子部82b、一対の可動子部83b、一対の伸縮装置85bの一方は、それぞれ一対の固定子部82b、一対の可動子部83b、一対の伸縮装置85bの他方に対して紙面奥側に隠れている。
【0073】
また、把持部84bには、一端がバキューム装置に接続された配管部材の他端が接続されている(バキューム装置、及び配管部材は、それぞれ図示省略)。基板搬入装置80を用いて基板トレイ90に載置された基板Pを基板ホルダ50に搬入する際、把持部84bの凹部87b内にテーパ部材96が挿入された状態で、バキューム装置により基板トレイ90内の不図示の配管部材内の気体が吸引されることにより、基板Pが基板トレイ90のパッド93に吸着保持される。これにより、基板トレイ90が加速及び減速される際、その基板トレイ90上における基板Pのずれが抑制される。なお、本実施形態では、第2搬送ユニット81bの固定子部82bが、第1搬送ユニット81aの固定子部82aよりも幾分+Z側に配置されているが、第1及び第2搬送ユニット81a、81bのそれぞれの固定子部82a、82bのZ位置は、同じでも良い。また、第1及び第2の搬送ユニット81a、81bのそれぞれの固定子部82a、82bを一体とし、可動子部83a、83bが、その一体化された(共通の)固定子部により独立に駆動されるようにアクチュエータ(例えばリニアモータ)を構成しても良い。
【0074】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスク搬送装置(マスクローダ)によって、マスクステージMST上へのマスクMのロード、及び図2に示される基板搬入装置80によって、基板ステージ20上への基板Pの搬入(ロード)が行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント(検出)系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式と同様であるのでその詳細な説明は省略するものとする。そして、露光済みの基板Pは、図2に示される基板搬出装置70により基板ステージ20上から搬出(アンロード)され、その基板ステージ20上には、新たな基板Pが基板搬入装置80により搬入(ロード)される。すなわち、液晶露光装置10では、基板ステージ20上の基板Pの交換が行われることにより、複数枚の基板Pに連続して露光処理が行われる。
【0075】
ここで、基板搬出装置70,及び基板搬入装置80を用いた基板ステージ装置PST上の基板Pの交換手順について、図8(A)〜図13(C)に基づいて、かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。なお、図8(A)〜図13(C)は、基板Pの交換手順を説明するための図であり、基板ステージ20、基板交換装置60などの構成が一部簡略化して示されている(例えば、基板ホルダ50が有するトレイガイド装置の数が実際よりも少ない)。また、基板ステージ20の微動ステージ21、Y粗動ステージ23Y、X粗動ステージ23X(それぞれ図1参照)などの図示が省略されている。
【0076】
本実施形態に係る液晶露光装置10では、図2に示されるように、2つの基板トレイ90を用いて複数枚の基板Pに連続して露光処理を行う。以下、理解を容易にするため、図8(A)〜図13(C)において、露光処理が終了して基板ステージ20から搬出される露光処理済みの基板を基板Paとし、新たに基板ステージ20上に載置される未露光の基板を基板Pbとする。また、基板Paを支持する基板トレイを基板トレイ90a、基板Pbを支持する基板トレイを基板トレイ90bとして説明を行う。また、図8(A)〜図13(C)において、基板トレイ90a、90bのそれぞれの複数のテーパ部材95とテーパ部材96とは、紙面奥行き方向に重なっている。
【0077】
図8(A)では、基板搬出装置70の複数のトレイガイド装置73上に基板Pbを支持する基板トレイ90bが載置されている。トレイガイド装置73のエアシリンダ76は、伸びた状態となっている。一方、基板搬入装置80において、第1搬送ユニット81aの伸縮装置85aは、縮んだ状態とされる。第2搬送ユニット81bでは、把持部84bのZ位置が第1搬送ユニット81aの把持部84aのZ位置と同じとなるように、伸縮装置85bが制御される。このとき、基板トレイ90bが有するテーパ部材94、95、96のZ位置と、把持部84a、84bのそれぞれの凹部86a、86b(図7参照)のZ位置とは、概ね一致している。また、基板搬出装置70の把持部74は、固定子部72上において、その+X側の端部近傍に位置している。また、リフト装置65を構成する複数のエアシリンダ66は、縮んだ状態とされ、その先端が固定子部72の上面より−Z側に位置している。また、図8(A)及び図8(B)では、不図示であるが、基板ステージ20の基板ホルダ50上には、基板Paが載置され、その基板Paには、投影光学系PL(図1参照)の下方で露光処理が行われている。また、基板ホルダ50の溝部51内には、基板トレイ90aが収容されている。
【0078】
次いで、図8(B)に示されるように、第2搬送ユニット81bの把持部84bが−X方向に駆動され、これにより、基板トレイ90bの+X側の複数のテーパ部材95、96が把持部84bの凹部86b、87b(図7参照)内に挿入される。そして、第2搬送ユニット81bでは、把持部84bの凹部内にテーパ部材95、96が挿入された状態で、その把持部84bがさらに−X方向に駆動される。基板トレイ90bは、把持部84bに押圧されることにより、トレイガイド装置73の複数のガイド部材77上を−X方向に移動する。基板トレイ90bが複数のガイド部材77上を移動する際、複数のガイド部材77は、V溝部の面から気体を噴出して基板トレイ90bを浮上させることにより、基板トレイ90bとの摺動に起因する発塵、及び振動の発生を防止する。基板トレイ90bは、そのX軸方向に関する中間部分がトレイガイド装置73のガイド部材77に下方から支持されるので、自重に起因する撓みが抑制される。また、以上の動作と並行して第1搬送ユニット81aの把持部84aが+X方向に駆動される。これにより、基板トレイ90bの−X側の複数のテーパ部材94が、把持部84aの凹部86a(図7参照)内に挿入される。これにより、基板トレイ90bの+X側、及び−X側の端部が、それぞれ把持部84a、84bにより保持される。なお、テーパ部材96は、専ら基板トレイ90の搬出時に用いられるものなので、把持部84bは、複数のテーパ部材95のみに係合するように構成されていても良い。また、基板搬入装置80は、基板トレイ90を保持する際、把持部84a、84bで基板トレイ90を押圧することにより機械的に保持(挟持)するようにしても良いし、真空吸着、静電吸着などにより基板トレイ90を保持するようにしても良い。あるいは、機械的保持、吸着保持などの複数の保持方式を併用しても良い。
【0079】
ここで、基板トレイ90bに設けられたテーパ部材94〜96が、把持部84a、84bの凹部86a、86b、87bにそれぞれ挿入される際、テーパ部材94〜96は、凹部86a、86b、87bのテーパ面にそれぞれ案内されるので、仮にテーパ部材94〜96と凹部86a、86b、87bとの位置に多少のずれがあったとしても、確実にテーパ部材94〜96を対応する凹部86a、86b、87b内に挿入させることができる。
【0080】
この後、把持部84a、84bの同期駆動により、基板トレイ90bが−X方向に移動する。この際、基板トレイ90bの接続部92に形成された切り欠き92a(図6参照)内を、ガイド部材77が通過する。また、把持部84bの下面には、切り欠き92aと同様のX軸方向から見た側面視で三角形状の図示しない切り欠きが複数、接続部92の切り欠き92aに対応する位置に形成されており、ガイド部材77は、その切り欠き内を通過する。また、基板トレイ90bが−X方向に移動するのと併せて、基板搬出装置70の把持部74が、固定子部72上で−X方向に駆動される。
【0081】
基板トレイ90bは、図8(C)に示されるように、基板搬入装置80により基板交換位置の上方に搬送される。また、基板搬入装置80へ基板トレイ90bを受け渡したトレイガイド装置73のエアシリンダ76が縮められ、これによりガイド部材77が降下する。なお、ガイド部材77の降下は、基板トレイ90bを基板交換位置の上方に移動させる前に(図8(B)に示される状態で)行っても良い。また、基板搬出装置70の把持部74は、固定子部72上の−X側の端部近傍(把持部74のX軸方向に関する移動可能範囲の−X側の限界位置よりも幾分+X側の位置)で停止する。
【0082】
そして、基板トレイ90bが基板交換位置の上方で待機し、且つ基板搬出装置70の把持部74が固定子部72上の−X側の端部近傍で待機した状態で、露光処理が終了した基板Paを保持する基板ステージ20(ただし、図8(C)〜図11(A)では、図面の簡略化のため、基板ホルダ50のみが図示されている)が基板交換位置に位置される。基板ステージ20が基板交換位置に位置した状態で、基板ホルダ50の上方に待機する基板トレイ90bの支持部91と、基板ホルダ50の溝部51とは、Z軸方向(鉛直方向)に重なっている(図7参照)。
【0083】
基板ステージ20が基板交換位置に位置されると、図9(A)に示されるように、基板ホルダ50による基板Paの吸着保持が解除されるとともに、トレイガイド装置52のエアシリンダ53が伸ばされ、基板トレイ90aが上方に移動する。基板トレイ90aが上方に移動すると、基板トレイ90aの複数のパッド93が基板Paの下面に当接し、基板Paを上方に押し上げる。これにより、図5(C)に示されるように、基板Paの下面と基板ホルダ50の上面(基板保持面)とが離間する。この基板トレイ90aが上方に押し上げられた状態で、基板トレイ90aのテーパ部材96と、基板搬出装置70の把持部74の凹部74a(図2参照)とは、Y位置及びZ位置が概ね一致している。そして、把持部74が固定子部72上で−X方向に駆動されることにより、テーパ部材96が把持部74の凹部74a内に挿入され、把持部74が基板トレイ90aを保持する。
【0084】
次いで、図9(B)に示されるように、基板搬出装置70の把持部74が固定子部72上で+X方向に駆動されることにより、把持部74と一体に基板トレイ90aが+X方向に移動し、基板Paが基板ステージ20から搬出される。このとき、基板ステージ20のトレイガイド装置52は、ガイド部材54から基板トレイ90aに気体を噴出し、基板トレイ90aを浮上させる。ここで、基板ホルダ50が有する最も+X側のトレイガイド装置52と、基板搬出装置70が有する最も−X側のトレイガイド装置73との間隔(距離)は、基板トレイ90a(又は90b)のX軸方向に関する長さよりも短く設定されている。従って、基板トレイ90aは、+X方向に移動することにより、基板ホルダ50内のトレイガイド装置52から、基板搬出装置70のトレイガイド装置73に受け渡される。基板搬出装置70のトレイガイド装置73は、基板ホルダ50のトレイガイド装置52と同様に、ガイド部材77から基板トレイ90aに気体を噴出し、基板トレイ90aを浮上させる。そして、図9(C)に示されるように、基板トレイ90aが完全に基板搬出装置70のトレイガイド装置73に受け渡されると、基板ホルダ50及び基板搬出装置70のそれぞれが有する複数のトレイガイド装置52,73は、ガイド部材54,77からの気体の噴出を停止する。これにより、基板トレイ90aが複数のガイド部材77上に載置される。ここで、トレイガイド装置73は、基板トレイ90を非接触で支持する浮上型(非接触型)に限らず、例えばベアリングなどを用いて基板トレイ90を支持する接触型でも良い。
【0085】
次いで、図10(A)に示されるように、基板搬入装置80の第1及び第2搬送ユニット81a、81bのそれぞれの伸縮装置85a、85bが同期して伸びることにより、把持部84a、84bのそれぞれが−Z方向に移動(降下)し、基板トレイ90bが基板ホルダ50に受け渡される。この際、最初に基板トレイ90bの支持部91(図4(A)参照)がトレイガイド装置52のガイド部材54に形成されたV溝部(図5(B)参照)内に挿入されることにより、基板トレイ90bが複数のトレイガイド装置52に下方から支持される。そして、複数のトレイガイド装置52のエアシリンダ53が同期して縮められることにより基板トレイ90bがさらに降下し、これにより、基板Pbが基板ホルダ50の上面(基板載置面)上に載置される。また、基板Pbが基板ホルダ50上に載置されるのと併せて、基板トレイ90bのパッド93が基板Pbの下面から離間する。この後、基板ホルダ50は、不図示の吸着装置を用いて基板Pbを吸着保持する。なお、エアシリンダ53が縮められるのに併せて、基板搬入装置80の第1及び第2搬送ユニット81a、81bのそれぞれの把持部84a、84bも併せて降下される。なお、基板トレイ90aが基板ホルダ50から離脱した後(図9(C)参照)、複数のエアシリンダ53を縮めてガイド部材54を−Z方向に移動させ、そのガイド部材54上に基板トレイ90bを載置しても良い。この場合、基板搬入時間を短縮できる。また、エアシリンダ53が伸びた状態で基板トレイ90bをガイド部材54に受け渡す場合には、基板トレイ90bがガイド部材54上に載置された時点で、把持部84a、84bによる基板トレイ90bの把持を解除し、伸縮装置85a、85bを縮めても良い。この場合、伸縮装置85a、85bのストロークを短くできる。
【0086】
基板Pbの基板ホルダ50上への載置が完了すると、図10(B)に示されるように、第1搬送ユニット81aの把持部84aが−X方向に、第2搬送ユニット81bの把持部84bが+X方向(すなわち、基板トレイ90bから離間する方向)に、それぞれ駆動される。これにより、基板トレイ90bのテーパ部材94〜96のそれぞれが把持部84a、84bから離脱する。また、これと併せて基板搬出装置70の把持部74が+X方向に移動する。これにより、基板トレイ90aのテーパ部材96が把持部74から離脱し、基板トレイ90aのパッド93による基板Paの吸着保持が解除される。次に、図10(C)に示されるように、第1及び第2搬送ユニット81a、81bのそれぞれの伸縮装置85a、85bが縮められることにより、基板トレイ90bから離れた把持部84a、84bのそれぞれが、+Z方向に移動する。
【0087】
この後、図11(A)に示されるように、基板ステージ20が−X方向(基板交換装置から離間する方向)に移動し、基板ホルダ50上に載置された基板Pbに露光処理などが行われる(露光処理動作などの説明は省略する)。このとき、基板ホルダ50は、トレイガイド装置52のガイド部材54を用いて基板トレイ90bを吸着保持し、基板ステージ20の加速、減速時における基板トレイ90bのずれを抑制する。一方、基板搬出装置70では、リフト装置65を構成する複数のエアシリンダ66がそれぞれ伸ばされ、これにより基板Paが+Z方向に移動し、基板トレイ90aから離間する。なお、リフト装置65の複数のパッド部材67に、例えば真空吸着装置を設け、その真空吸着装置により基板Paを吸着保持し、パッド部材67から基板Paがずれないようにしても良い。
【0088】
次いで、図11(B)に示されるように、基板Paの下面と、基板トレイ90aとの間に形成される空間に、基板Pa(又はPb)を液晶露光装置10(図2参照)の外部に設けられた不図示のコータ・ディベロッパ装置に搬出する基板搬送ロボットの搬出用ロボットアーム110が挿入される。搬出用ロボットアーム110は、不図示であるが平面視で櫛形の部材から成り、その上面に基板Pa(又はPb)を吸着保持する複数のパッド部材111を有している。また、基板搬入装置80の第1搬送ユニット81aの把持部84aが+X方向に駆動される。ただし、把持部84aを移動させる際に振動が発生する可能性があるので、把持部84aの移動は、例えば基板ステージ20(図11(A)参照)がステップ動作を行っている際に行うことが好ましい。なお、例えば、基板ステージ装置PSTと第1搬送ユニット81aなどの基板の搬送部とを物理的に分離して配置しても良く、この場合には基板ステージ装置PST側での動作とは無関係に把持部84aを移動可能となる。
【0089】
次いで、図11(C)に示されるように、搬出用ロボットアーム110が上方に駆動され、これにより、基板Paの下面がリフト装置65のパッド部材67から離間するとともに、搬出用ロボットアーム110に下方から支持される。この後、図12(A)に示されるように、搬出用ロボットアーム110が−X方向に駆動され、基板Paが、不図示のコータ・ディベロッパ装置に搬送される。
【0090】
この後、図12(B)に示されるように、基板搬送ロボットの搬入用ロボットアーム120が新たな基板Pcをリフト装置65の上方に搬入する。基板搬送ロボットを制御する制御装置(例えば、コータ・ディベロッパ装置の制御装置)は、図12(C)に示されるように、搬入用ロボットアーム120を−Z方向に移動させる。これにより、基板Pcが搬入用ロボットアーム120からリフト装置65が有する複数のパッド部材67上に受け渡される。この後、搬入用ロボットアーム120を+X方向に移動し、液晶露光装置内から退避する。
【0091】
主制御装置は、基板搬送ロボットを制御する別の制御装置から、搬入用ロボットアーム120が液晶露光装置内から退避した旨の信号を受けると、これに応じてリフト装置65が有する複数のエアシリンダ66を縮める。これにより、図13(A)に示されるように、基板Pcが−Z方向に移動(降下)して基板トレイ90a上に載置される。この後、図13(B)に示されるように、基板搬入装置80の第2搬送ユニット81bの把持部84bが、+X方向に駆動される。そして、図13(C)に示されるように、トレイガイド装置73の複数のエアシリンダ76が同期して伸ばされることにより、基板Pcを支持する基板トレイ90aが上方に移動する。また、これと併せて、第1搬送ユニット81aの把持部84aが+X方向に駆動され、図8(A)に示される状態(ただし基板Pbが基板Pcに入れ替わっている)に戻る。以下、不図示ではあるが、露光処理が終了した基板Pbを支持する基板ステージ20が基板交換位置に移動し、基板トレイ90bに載置された基板Pbが基板ホルダ50から搬出され、その基板トレイ90b上には、基板Pbに替えて別の基板が載置される。また、基板トレイ90aが基板ホルダ50に基板Pcを受け渡し、その基板Pcは、基板ホルダ50に保持される。このように、本実施形態の液晶露光装置10(図1参照)では、2つの基板トレイ90a、90bが基板ステージ20と基板交換装置60との間で循環して用いられる。
【0092】
以上説明したように、本第1の実施形態の液晶露光装置10は、基板トレイ90を−Z方向(鉛直方向)に移動させ、支持部91を基板ホルダ50の溝部に挿入するだけで、基板Pを基板ホルダ50上に載置することができるので、基板Pを高速で(短時間で)基板ホルダ50に搬入することができる。また、露光済みの基板Pの基板ホルダ50からの搬出は、基板トレイ90を+X方向(水平方向)に移動させることにより行われる。すなわち、基板Pを基板ホルダ50から搬出する際の基板Pの移動経路(基板ステージ20からの搬出経路)と、基板Pを基板ホルダ50上に載置する際の基板Pの移動経路(基板ステージ20への搬入経路)と、が異なる。従って、基板Pの基板ホルダ50からの搬出に先だって(又は搬出動作中に)、別の基板Pを基板ホルダ50の上方に位置させて(待機させて)おくことができる。すなわち、本実施形態に係る基板交換装置60では、基板Pを基板ホルダ50から搬出する搬出動作と、別の基板Pを基板ホルダ50に搬入する搬入動作とを並行して行うことができ、基板ホルダ50上の基板交換を迅速に行うことができる。
【0093】
また、例えば2本のロボットアームを用いて基板ホルダ50上の基板Pの交換を行う従来の基板交換方法では、基板搬出用のロボットアームが基板ホルダ50から基板トレイ90を搬出している間に、その上方で別の基板Pを支持した基板トレイ90を待機させるためには、基板ホルダ50の上方に、例えば2本のロボットアーム、及び2つの基板トレイ90の厚さ分の広いスペースが必要となるが、本実施形態に係る基板交換装置60では、基板ホルダ50の上方には、基板搬入用の基板トレイ90のみが位置されるので、基板交換位置に位置する基板ステージ20上のスペースが狭い場合にも好適に用いることができる。
【0094】
また、基板Pを支持する基板トレイ90を基板ホルダ50から引き抜く際、基板Pと基板ホルダ50とを離間させるために基板トレイ90を+Z方向に移動させる必要があるが、基板トレイ90が平面視櫛形に形成されているため、基板トレイ90の大部分が基板ホルダ50の溝部51内に収容されたままの状態で、基板トレイ90を+X方向に移動させることができる。すなわち、基板トレイ90を基板ホルダ50の溝部51内から完全に出す必要がなく、基板トレイ90を微少量+Z方向に移動させるだけで良い。従って、基板Pを基板ホルダ50から迅速に搬出でき、基板交換のサイクルタイムを短縮できる。また、基板トレイ90の厚み(+Z方向の寸法)に関わらず、基板Pを迅速に搬出できるので、基板トレイ90を厚くして剛性を向上させることができる。
【0095】
また、近年、基板Pはより大型化される傾向にあるため、これに伴い基板搬入時の基板P(及び基板トレイ90)の移動距離が長くなっている。これに対し、本実施形態の基板搬入装置80は、基板トレイ90の+X側、及び−X側の端部(搬入時の移動方向の前端部、及び後端部)を把持するので、例えば片持ち式のロボットアームにより搬送する場合に比べ、基板トレイ90を安定して長距離搬送することができる。
【0096】
また、本実施形態の基板交換装置60では、基板ステージ20が基板交換位置に移動してくる前に予め未露光の基板Pを基板交換位置の上方に待機させるが、この未露光の基板Pの搬送は、別の基板Pの露光処理中に行われるため、基板Pを待機位置まで低速で搬送することができる。従って、基板搬入装置80の発塵を防止できる。
【0097】
また、基板搬出装置70は、基板ステージ装置PSTの外部に設けられているので、仮に基板搬出装置70を構成する部材から発塵したとしても、その塵(パーティクル)が、例えば基板ホルダ50上(すなわち、未露光の基板P上)に到達することを抑制できる。
【0098】
また、基板搬出装置70は、基板トレイ90の一端部(+Xの端部)を把持して基板ホルダ50から搬出する構成であるため、例えば基板Pの下面と基板ホルダ50の上面との微少な隙間にロボットアームを挿入する場合に比べ、制御が容易である。また、ロボットアームを上記隙間に挿入する手間が不要なので、基板トレイ90を高速で(短時間で)搬出できる。
【0099】
また、基板ホルダ50が有するガイド部材54、及び基板搬出装置70が有するガイド部材77は、それぞれ基板トレイ90を非接触支持することができるので、基板トレイ90の搬出時における振動の発生、発塵が防止される。
【0100】
また、本実施形態に係る基板交換装置60は、基板ホルダ50内に設けられた複数のトレイガイド装置52、基板搬出装置70(複数のトレイガイド装置73を含む)、基板搬入装置80、及びリフト装置65の各装置が協働して基板Pの交換を行うので、従来の、例えば2本のロボットアーム(搬入用アーム、搬出用アーム)を用いて基板Pの交換を行う基板交換装置に比べ、各装置の動作を単純化できる。特に、基板搬出装置70は、基板トレイ90をX軸方向(一軸方向)に、基板搬入装置80は、基板トレイ90をX軸、及びZ軸方向(二軸方向)に移動させる簡単な構成なので、例えば2本のロボットアームを備える基板搬送ロボットに比べコスト(製造コスト、ランニングコストなど)を低減できる。また、装置が増えても、各装置自体の動作が簡単であるので、作業性が向上し、基板交換のサイクルタイムを短縮できる。
【0101】
《第2の実施形態》
次に第2の実施形態の液晶露光装置について説明する。第2の実施形態に係る液晶露光装置は、基板トレイの構成、及び基板ホルダの構成が上記第1の実施形態と異なるのみなので、以下、基板トレイの構成、及び基板ホルダの構成についてのみ説明する。なお、第2の実施形態、及び後述する第3〜6の実施形態並びに変形例では、説明の簡略化及び図示の便宜上から上記第1の実施形態と同様の構成、及び作用を有するものについては、上記第1の実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0102】
図14(A)に示されるように、第2の実施形態の基板トレイ290は、例えば4本の支持部91、4本の支持部91のそれぞれの+X側の端部を接続する接続部92、及び4本の支持部91のそれぞれの長手方向中間部を接続する複数の接続部299を有している。接続部299は、Y軸方向、すなわち支持部91の延びる方向と直交する方向に延びる板状の部材から成り、X軸方向に所定間隔で、例えば3本設けられている。接続部299の長手方向の寸法は、最も+Y側の支持部91と最も−Y側の支持部91との間隔とほぼ同じであり、その+Y側の端部が最も+Y側の支持部91に、−Y側の端部が最も−Y側の支持部91にそれぞれ接続されている。また、接続部299の長手方向の中間部分は、+Y側から見て2本目及び3本目の支持部91のそれぞれに接続されている。これにより、本第2の実施形態に係る基板トレイは、上記第1の実施形態に係る櫛形の外形形状の基板トレイ90(図4(A)参照)とは異なり、全体的に網形(格子状)の外形形状を有している。
【0103】
本第2の実施形態では、図14(B)に示されるように、支持部91の上端部に、X軸方向に所定間隔で、複数(例えば3つ)の凹部が形成され、各凹部内に接続部299が挿入されている。この場合、支持部91の上端のZ位置と接続部299の上面のZ位置とは、ほぼ同じになっている。基板Pの下面に当接するパッド93は、接続部299の上面に取り付けられている。従って、基板トレイ290の厚さは、上記第1の実施形態とほぼ同じである。また、接続部299の厚さは、支持部91のZ軸方向の寸法(厚み)の、例えば1/4程度に設定されている。また、複数の接続部299は、支持部91と同じ材質で形成され、その表面には、支持部91と同様に、例えば、黒色の陽極酸化被膜が形成されている。
【0104】
基板ホルダ250は、図15(A)に示されるように、基板トレイ290の支持部91を収容するためのX軸方向に延びる溝部51に加えて、接続部299を収容するためのY軸方向に延びる3つの溝部251を有している。溝部251は、X軸方向に基板トレイ290の接続部299間の間隔に対応する間隔で、例えば3つ形成されている。溝部251の深さ方向及び幅方向の寸法のそれぞれは、接続部299を構成する板状部材の厚さ方向及び幅方向の寸法よりも幾分大きく、基板トレイ290の支持部91が溝部51内でガイド部材54に支持された状態で、接続部299が溝部251内に収容される。また、溝部251の深さは、基板Pと基板トレイ290のパッド93とを離間させるために基板トレイ290をそのZ軸方向に関する最も−Z側に位置させた状態(図15(B)参照)で、接続部299の下面が溝部251の内部底面に接触しないように設定されている。
【0105】
本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、基板ホルダ250上の基板Pが基板ステージ20(図2参照)から搬出される際、基板トレイ290は、基板Pの下面と基板ホルダ250の上面とを離間させるために、トレイガイド装置52により、所定量+Z方向に持ち上げられる。この際、接続部299の下面が基板ホルダ250の上面よりも+Z側に位置するように基板トレイ290を+Z方向に移動させる必要があるが、接続部299は、支持部91の上端部同士を接続し、かつその厚さが薄いので、図15(C)に示されるように、基板トレイ290の下半分が溝部51内に収容された状態で、基板トレイ290を基板ホルダ250から引き出すことができる(基板トレイ290を完全に溝部51内から出す必要がない)。従って、上記第1実施形態と同様に、基板Pの搬出処理の速度が向上(搬出時間が短縮)し、基板交換のサイクルタイムを短縮できる。
【0106】
また、第2の実施形態に係る基板トレイ290によれば、複数の支持部91が複数の接続部299に接続されることにより、基板トレイ290全体の剛性(特にY軸方向の剛性、捻れ剛性など)が向上する。従って、基板Pをより安定した状態で高速搬送することができる。なお、接続部299を収容するために基板ホルダ250に溝部251が形成されているが、接続部299自体の厚みが薄く、溝部251の深さも浅いので、基板ホルダ250の剛性は上記第1の実施形態に比べても大きく低下しない。なお、本第2の実施形態では、隣接する一対の支持部91同士を板状部材により接続したが、これに限らず、例えばワイヤやロープのような可撓性を有する部材により接続しても良い。また、隣接する支持部91同士を接続する接続部(補剛部材)は、例えばY軸に平行でなくても良いし、曲がっていても良い。また、接続部299は、例えば支持部91と同程度の厚さを有する部材でも良い。この場合、接続部299の下面のZ位置を上記第2の実施形態と同じにし、上面のZ位置を、支持部91の上端のZ位置よりも+Z側に突出させれば良い。また、接続部299は、図32(A)に示されるように、複数の支持部91の−X側の端部同士を接続するように設けられても良い。この場合、基板搬入装置80の第1搬送ユニット81aの把持部84a(それぞれ図2参照)が、その接続部299を把持するようにしても良い。
【0107】
《第3の実施形態》
次に、第3の実施形態について図16(A)及び図16(B)を用いて説明する。第3の実施形態の液晶露光装置は、上記第1の実施形態に比べ、基板トレイ390の構成、基板搬入装置380、及び不図示の基板搬出装置の構成が異なる。なお、その他の部分は、上記第1の実施形態と同じなのでその説明を省略する。
【0108】
基板トレイ390は、Y軸方向に所定間隔で設けられた複数本、例えば4本の支持部91(−Y側から順に91〜91とする)を用いて基板Pを下方から支持する(図16(B)参照)。−Y側の2本の支持部91、91は、+X側の端部がYZ平面に平行な板状部材から成る接続部392aに接続され、+Y側の2本の支持部91、91は、+X側の端部がYZ平面に平行な板状部材から成る接続部392bに接続されている。すなわち、−Y側の2本の支持部91、91と+Y側の2本の支持部91、91とは、物理的に分離されている。以下、基板トレイ390のうち、2本の支持部91、91と接続部392aとから成る部分を第1トレイ390a、2本の支持部91、91と接続部392bとから成る部分を第2トレイ390bと称して説明する。なお、第1及び第2トレイ390a、390bは実質的に同じものである。4本の支持部91〜91のそれぞれの−X側の端部には、テーパ部材94が取り付けられている。接続部392a、392bのそれぞれの+X側の側面には、一対のテーパ部材95と、その一対のテーパ部材95の間に設けられたテーパ部材96とが取り付けられている。
【0109】
図16(B)には、基板Pを下方から支持した基板トレイ390が基板搬入装置380により搬送されている状態が示されている。基板搬入装置380の第1搬送ユニット381aは、第1トレイ390aの−X側の端部を把持する第1把持部384aと、第2トレイ390bの−X側の端部を把持する第2把持部384aと、を有している。第1把持部384a、及び第2把持部384aは、互いに独立してX軸方向の位置制御が可能に構成されている。また、基板搬入装置380の第2搬送ユニット381bは、第1トレイ390aの+X側の端部を把持する第1把持部384bと、第2トレイ390bの+X側の端部を把持する第2把持部384bと、を有している。第1把持部384b、及び第2把持部384bは、互いに独立してX軸方向の位置制御が可能に構成されている。
【0110】
従って、第1及び第2トレイ390a、390bを用いて基板Pを下方から支持した状態で、その第1及び第2トレイ390a、390bのX軸方向に関する位置(X位置)を異ならせることにより、基板Pのθz方向の位置を制御できる。図16(B)に示される例では、第1トレイ390aを保持する一対の第1把持部384a、384bがそれぞれ−X方向に、第2トレイ390bを保持する一対の第2把持部384a、384bがそれぞれ+X方向に、同期して駆動されることにより、基板Pは,+Z側から見て右回り(図16(B)における時計回り)に回転する。
【0111】
基板Pのθz方向の位置情報は、例えば鏡筒定盤31(図1参照)に固定された一対の位置センサ337(例えば、基板Pの+X側の端部を検出する光センサ)により計測される。一対の位置センサ337は、Y軸方向に所定間隔で設けられ、例えば基板Pの基板ホルダ50(図2参照)への搬入のために基板交換位置の上方で基板Pを待機させている状態(図9(A)〜図9(C)など参照)で、基板Pの+X側の端部の位置をそれぞれ検出する。不図示の主制御装置は、一対の位置センサ337の出力に基づいて基板Pのθz方向の位置を制御する。なお、位置センサは、光センサのような非接触式のものに限られず、接触式のものであっても良い。
【0112】
従って、例えば図12(C)に示されるように、基板搬送ロボットのロボットアーム120が基板Pをリフト装置65に受け渡す際に、仮にその基板Pの位置がθz方向にずれていた(回転していた)としても、あるいは基板搬入装置380を用いて基板Pを搬入している最中に基板Pの位置がθz方向にずれていたとしても、基板トレイ390上で基板Pのθz位置を修正できるので、確実に基板Pを所定の姿勢で(基板Pの各辺がX軸、Y軸のそれぞれに平行となるように)基板ホルダ50(図2参照)上に載置することができる。
【0113】
なお、図16(B)では不図示であるが、基板搬出装置は、第1トレイ390aのテーパ部材96、及び第2トレイ390bのテーパ部材96を把持する一対の把持装置(第1の実施形態の把持装置71(図2参照)と同じ構成)を有し、基板ホルダ50(図2参照)から基板トレイ390を搬出する際には、その一対の把持装置を用いて基板トレイ390を+X方向に移動させる。なお、把持装置は、第1及び第2トレイ390a、390bを同時に保持できるように構成されていれば、1つでも良い(基板Pの搬出時には、基板Pのθz方向の位置制御を行わなくても良いため)。また、第1及び第2トレイ390a、390bに、上記第2の実施形態の基板トレイ290(図14(A)参照)のような補剛部材(接続部299)を設けても良い。この場合、第1及び第2トレイ390a、390bのX位置に応じて補剛部材のX位置が変化するので、基板トレイ390に形成された補剛部材を収容するための溝部を、上記第2の実施形態よりも広幅に形成しておくと良い。
【0114】
《第4の実施形態》
次に、第4の実施形態について図17を用いて説明する。第4の実施形態に係る液晶露光装置は、上記第1の実施形態に比べ、基板トレイ490、基板搬出装置470、及びそれぞれ不図示の基板搬入装置、基板ホルダの構成が異なる。なお、その他の部分は、上記第1の実施形態と同じなのでその説明を省略する。
【0115】
基板トレイ490は、Y軸方向に所定間隔で設けられた複数本、例えば6本の支持部91(−Y側から順に91〜91とする)を用いて基板Pを下方から支持する。−Y側の2本の支持部91,91は、+X側の端部がYZ平面に平行な板状部材から成る接続部492により接続されている。また、中央の2本の支持部91,91、及び+Y側の2本の支持部91,91も同様に、YZ平面に平行な板状部材から成る接続部492によりそれぞれ接続されている。以下、基板トレイ490のうち、2本の支持部91、91と接続部492とから成る部分を第1トレイ490a、2本の支持部91、91と接続部492とから成る部分を第2トレイ490b、2本の支持部91、91と接続部492とから成る部分を第3トレイ490cとそれぞれ称して説明する。
【0116】
また、基板搬出装置470は、6本の支持部91〜91に対応して、X軸方向に所定間隔で配列された、複数、例えば4台のトレイガイド装置73から成るトレイガイド装置列をY軸方向に所定間隔で6列有している。基板トレイ490は、4台のトレイガイド装置73に下方から支持された状態で、第1〜第3トレイ490a〜490c相互間が所定間隔で離間している。なお、図17では不図示であるが、基板搬出装置470は、第1〜第3トレイ490a〜490cのそれぞれを把持する把持部を有している。また、不図示の基板搬入装置は、第1〜第3トレイ490a〜490cをまとめて(あるいは上記第3の実施形態のように個別に)把持する把持部を有している。また、不図示の基板ホルダは、6本の支持部91〜91に対応して、その上面に6本の溝部が形成されている。
【0117】
ここで、基板トレイ490から外部装置に基板Pを搬出する搬出用ロボットアーム110、及び外部装置から基板トレイ490に基板Pを搬入する搬入用ロボットアーム120(それぞれ図11(B)、図12(B)参照)は、その先端部に符号130で示されるハンドと称される部材を有している。ハンド130は、図17に示されるように、例えば4本の支持部131(−Y側から順に131〜131とする)を有している。4本の支持部131〜131は、それぞれX軸方向に延びる棒状の部材から成り、Y軸方向に関して、第1〜第3トレイ490a〜490cのそれぞれの幅方向寸法(Y軸方向の寸法)よりも広い間隔で配列されている。また、ハンド130は、Y軸方向に延びる部材から成り、4本の支持部131〜131のそれぞれの+X側の端部同士を接続する接続部132を有しており、全体的に平面視で櫛形の外形形状を有している。
【0118】
本第4の実施形態では、露光済みの基板Pを支持する基板トレイ490が基板ホルダ(図示省略)から搬出され、複数のトレイガイド装置73上に載置された状態で、第1トレイ490aと第2トレイ490bとの間にハンド130の支持部131、第2トレイ409bと第3トレイ490cとの間にハンド130の支持部131がそれぞれ挿入される。そして、その後にハンド130が+Z方向に移動することにより、基板Pは、第1トレイ490aと第2トレイ490bとの間、及び第2トレイ490bと第3トレイ490cとの間の領域が、それぞれ支持部131,131に下方から支持される。また、ハンド130の他の二本の支持部131,131は、それぞれ基板Pの−Y側、+Y側の端部を下方から支持する。このように、第4の実施形態では、露光済みの基板Pは、基板トレイ490から直接ロボットアームに受け渡される(上記第1の実施形態のようにリフト装置65(図11(B)など参照)を介さない)ので、基板トレイ490への基板Pの搬入、及び基板トレイ490からの基板Pの搬出(基板Pの回収)を迅速に行うことができる。
【0119】
また、基板トレイ490がY軸方向に分離した複数の部材から成るので、上記第3の実施形態のように、基板Pのθz方向の位置を基板トレイ490上に載置された状態で制御できる。なお、以上の説明では、基板トレイ490が物理的に分離された3つの部材から成る構成であったが、例えば上記第1の実施形態の基板トレイ90(図3(A)参照)において、接続部92(図4(C)参照)の上端部に切り欠きを形成するなど、隣接する支持部91間にロボットアームのハンド130を挿入することができれば、基板トレイを一体の部材としても良い。また、ロボットアームのハンド130の形状(支持部131の本数)に応じて、基板トレイを、例えば2つ、又は4つ以上の部材により構成しても良い。
【0120】
《第5の実施形態》
次に、第5の実施形態について図18に基づいて説明する。第5の実施形態に係る液晶露光装置は、上記第1の実施形態に比べ、基板ステージ520の構成が異なる。すなわち、上記第1の実施形態の基板ステージ20(図2参照)では、基板トレイ90を支持する複数のトレイガイド装置52(図3(B)参照)が基板ホルダ50に設けられていた(内蔵されていた)のに対し、図18に示される基板ステージ520では、Y粗動ステージ23Yの上面に複数のトレイガイド装置552が取り付けられている点が異なる。なお、図面の錯綜を避ける観点から、図18では、一対のケーブルガイド装置36(図2参照)の図示が省略されている。
【0121】
トレイガイド装置552は、Y粗動ステージ23Yに固定されたエアシリンダ553と、エアシリンダ553のロッド先端に取り付けられたガイド部材554とを含む。エアシリンダ553のロッドは、Z軸に平行に延びている。トレイガイド装置552は、上記第1の実施形態と同様の配置(図3(A)参照)で、例えば合計16台設けられている。一部のエアシリンダ553のロッドは、その長手方向の中間部が微動ステージ521、あるいはミラーベース24X(あるいは不図示のミラーベース24Y)に形成された孔部内に挿通されている。また、基板ホルダ550には、複数(例えば16台)のトレイガイド装置552に対応する位置にZ軸方向に貫通する孔部が形成されており、その孔部に16台のエアシリンダ553のそれぞれのロッドが挿通されている。なお、ガイド部材554は、上記第1の実施形態におけるガイド部材54と同じものである。
【0122】
本第5の実施形態に係る基板ステージ520は、トレイガイド装置552のエアシリンダ553が微動ステージ521外に設けられているため、微動ステージ521の薄型化、及び軽量化を図ることができる。従って、微動ステージ521を駆動するためのボイスコイルモータ、微動ステージ521を含む系の重量をキャンセルする重量キャンセル装置40等を小型化できる。また、基板トレイ90が微動ステージ521と接触していないので、仮に基板トレイ90に振動が発生しても、その振動が微動ステージ521に伝達しない。従って、微動ステージ521の位置制御を高精度で行うことができる。また、本実施形態の基板ステージ520は、微動ステージ521の中央部を重量キャンセル装置40により下方から支持する構成であるため、微動ステージ521の中央部を除く他の部分の下方の領域には、ボイスコイルモータ以外の部材がなく、複数のエアシリンダ553をY粗動ステージ23Y上に容易に配置できる。
【0123】
《第6の実施形態》
次に、第6の実施形態について図19図24に基づいて説明する。第6の実施形態に係る液晶露光装置は、上記第1の実施形態に比べ、基板トレイ690、不図示の基板ホルダ、基板搬出装置670、及び基板搬入装置680の構成が異なる。なお、その他の部分は、上記第1の実施形態と同じなのでその説明を省略する。
【0124】
図19に示されるように、第6の実施形態の基板トレイ690は、複数(例えば9本)の支持部691、複数の支持部691のそれぞれの+X側の端部を接続する接続部92、及び複数の支持部691のそれぞれの長手方向中間部を接続する複数(例えば9本)の接続部699を有している。基板トレイ690の機能は、支持部691,及び接続部699の本数が異なる以外上記第2の実施形態と同じなのでその詳細な説明を省略する。また、不図示であるが、基板ホルダには、上記複数(例えば9本)の支持部691、及び複数(例えば9本)の接続部699に対応した溝部が上記第2の実施形態と同様に形成されている。
【0125】
基板搬出装置670は、上記基板トレイ690の、例えば9本の支持部691のうちの8本(中央の1本を除く)に対応する、例えば8つのガイド部材675を有している。基板搬出装置670の構成、及び機能は、8つのガイド部材675のそれぞれがX軸方向に延びる部材から成り共通のベース部材上に搭載され同期して駆動される点、及びリフト装置65の数が多い点を除き、上記第1の実施形態と概ね同じであるのでその詳細な説明を省略する。
【0126】
基板搬入装置680は、図20に示されるように、第1搬送ユニット681a、第1搬送ユニットをZ軸方向に駆動するZ軸駆動装置610、第2搬送ユニット681b、及び連結棒640を有している。
【0127】
第1搬送ユニット681aは、図19に示されるように、一対の第1ガイド部682a、一対の第1ガイド部682aのそれぞれに対応して設けられた一対のXテーブル694a、基板トレイ690の−X側の端部を把持する把持部684aなどを含む。
【0128】
第1ガイド部682aは、X軸方向に延びる部材から成り、後述するZ軸駆動装置610上に搭載されている(図20参照)。一対の第1ガイド部682aは、Y軸方向に所定間隔で平行に配置されている。一対の第1ガイド部682aのそれぞれの上面には、Xリニアガイド部材692aが固定されている。Xリニアガイド部材692aには、Xテーブル694aが複数のXスライダ693aを介してスライド可能に係合している。把持部684aは、凹部86aの数が異なる以外上記第1の実施形態の把持部84aと同様の機能を有する部材であり、一対のXテーブル694a間に架設されている。
【0129】
Z軸駆動装置610は、図20に示されるように、上下方向に重ねられた一対のくさび部材を含む複数、例えば2つのカム装置612、カム装置612を駆動するための送りねじ装置614、2つのカム装置612のそれぞれの下側のくさび部材同士を互いに連結する連結棒616、及びZ軸ガイド装置618などを有し、上述した第1搬送ユニット681aをZ軸方向に駆動する。
【0130】
例えば2つのカム装置612は、X軸方向に所定の間隔で配置されている。例えば2つのカム装置612のそれぞれが有する一対のくさび部材は、上側のくさび部材が第1ガイド部682aに固定され、下側のくさび部材がX軸方向に移動可能となっている。それぞれのカム装置612を構成する一対のくさび部材は、複数のリニアガイド613を介して互いに滑らかに動くように構成されている。
【0131】
送りねじ装置614は、+X側に配置されたカム装置612の下側のくさび部材を所定のストロークでX軸方向に駆動する。
【0132】
連結棒616は、例えば2つのカム装置612のそれぞれの下側のくさび部材同士を機械的に接続している。
【0133】
Z軸ガイド装置618は、2つのカム装置612の間に配置され、第1ガイド部682aの長手方向中間部を下から支持している。なお、カム装置612、送りねじ装置614及び、Z軸ガイド装置618の数は、それぞれいくつずつでも良い。また、第1搬送ユニット681aをZ軸方向に駆動するためのZ駆動装置としては、これに限らず例えば、エアシリンダなど第1搬送ユニット681aを直接Z軸方向に駆動する装置を用いても良い。また、Z軸駆動装置は、第1搬送ユニット81aの上方、もしくは側方に設置しても良いし、また、設置する向きもどのような向きであっても構わない。
【0134】
第2搬送ユニット681bは、図19に示されるように、一対の第2ガイド部682b、一対の第2ガイド部682bのそれぞれに対応して設けられた一対のXテーブル694b、及び、図20に示されるように、Xテーブル694bに取り付けられたX軸駆動装置620、Xテーブル694bに取り付けられたZ軸駆動装置630、基板トレイ690の+X側の端部を把持する把持部684bなどを含む(図面の錯綜を避けるため、X軸駆動装置620及びZ軸駆動装置630は図19では不図示)。
【0135】
一対の第2ガイド部682bは、図19に示されるように、X軸方向に延びる部材から成り、Y軸方向に所定間隔で平行に配置されている。一対のXテーブル694bのそれぞれは、ベルト、プーリ、及び回転モータを含むベルト駆動装置689(図19では不図示。図20参照)により、対応する第2ガイド部682bに対してX軸方向に所定の長ストロークで駆動される。
【0136】
X軸駆動装置620は、図20に示されるように、Xリニアガイド装置695を介してXテーブル694bに対してX軸方向にスライド可能に搭載されたXスライダ624と、該Xスライダ624をX軸方向に駆動する送りねじ装置614と、を有する。なお、X軸駆動装置620は、後述するZ軸駆動装置630に取り付けても良い。
【0137】
Z軸駆動装置630は、Xテーブル694bの上面(もしくはY軸方向内側側面)に取り付けられている。Z軸駆動装置630は、Xテーブル694bに固定された支持部632にZリニアガイド装置634を介してZ軸方向にスライド可能に設けられたZスライダ638と、Zスライダ638をZ軸方向に駆動する送りねじ装置614と、を有する。
【0138】
把持部684bは、凹部86bの数が異なる以外上記第1の実施形態と同様の機能を有する部材であり、Zスライダ638に固定され、Xテーブル694bと一体的にZ軸方向に移動する。
【0139】
連結棒640は、X軸方向に伸びる棒状の部材から成り、その両端部に、例えばボールジョイント、あるいはヒンジ装置などの滑節装置を有し、その滑節装置を介して一端(−X側)がXテーブル694aに、他端(+X側)がXスライダ624にそれぞれ接続されている。従って、Xテーブル694bが駆動されることにより、あるいは送りねじ装置614により、Xスライダ624がX軸方向に駆動されると、連結棒640を介してXテーブル694aがXリニアガイド部材692aに沿ってX軸方向に移動する。
【0140】
ここで、仮に第1ガイド部682a、第2ガイド部682b、及びXリニアガイド装置695相互間の平行度がずれていても、連結棒640の両端に設けられた一対の滑節装置の作用により、上記各ガイド装置を過剰拘束することなく、Xスライダ624からのX軸方向駆動力をXテーブル694aへ伝達することができ、各可動部材は、スムーズにX軸方向に駆動される。
【0141】
以下、基板搬入装置680を用いた基板Pの搬入手順について、図20図24を用いて説明する。なお、図20図24は、基板Pの搬入手順を説明するための図であり、基板ステージの構成など、一部図示が省略されている。
【0142】
図20には、基板Pが基板トレイ690に載置された後に、把持部684a,684bにより基板トレイ690が把持された状態が示されている。この際、基板トレイ690に支持された基板Pが水平面に平行となるように(把持部684a、684bのZ位置が同じとなるように)、不図示の主制御装置によりZ軸駆動装置610を用いて第1ガイド部682aのZ位置が調整されている。そして、不図示の主制御装置は、ベルト駆動装置689を制御することにより、Xテーブル694bを−X方向に駆動し、Xテーブル694bと、そのXテーブル694bに連結棒640により連結されたXテーブル694aとを一体的に−X方向に移動させる。これにより、図21に示されるように、把持部684a,684bに保持された基板トレイ690が−X方向に移動し、その基板トレイ690に支持された基板Pが−X方向に水平面に平行に移動する。
【0143】
そして、基板トレイ690が基板交換位置上空に位置すると、主制御装置は、図22に示されるように、Z軸駆動装置610、及びZ軸駆動装置630をそれぞれ駆動し、基板トレイ690を降下(−Z方向移動)させる。これにより、基板トレイ690上に載置された基板Pが不図示の基板ホルダ上に受け渡される。なお、このときの連結棒640の傾きに起因する把持部684a,684b間のX軸方向の間隔誤差(いわゆるコサイン誤差)を補正するためにXスライダ624を−X側に微少駆動しても良い。
【0144】
基板Pを基板トレイ690から不図示の基板ホルダに載せ替えると、主制御装置は、図23に示されるように、ベルト駆動装置689を用いてXテーブル694bを+X方向に微少駆動すると共に、送りねじ装置614を用いてXスライダ624を−X方向に駆動することにより、Xテーブル694aを−X方向に移動させる。これにより、把持部684bが+X方向に移動すると共に、把持部684aが−X方向に移動し、把持部684a、684bと基板トレイ690との係合が解除される。この後、主制御装置は、図24に示されるように、Z軸駆動装置610、及びZ軸駆動装置630をそれぞれ駆動して把持部684a、684bのZ位置を図22に示される初期位置に戻すと共に、ベルト駆動装置689を用いてXテーブル694bを+X方向に駆動する。これにより、連結棒640によりXテーブル694bに連結されたXテーブル694aが一体的に+X方向に移動する。
【0145】
以上説明した第6の実施形態では、基板ホルダの基板交換位置上空が狭い(スペースが狭い)場合であっても基板Pを載置した基板トレイ690を搬入することができる。また第1搬送ユニット681aの第1ガイド部682aのX軸方向中間部がZ軸ガイド装置618により支持されるため、薄型で剛性の高い基板搬入装置680を構成することができる。また、Xテーブル694aとXテーブル694bとが連結棒640により機械的に連結されているので、第1搬送ユニット681aにはXテーブル694aを駆動するための駆動源を設ける必要がなく、安価で軽量に装置を構成することができる。また、Xテーブル694a用の駆動源がないことから、例えば電力を供給するための可動ケーブルも必要がないため、基板ホルダ上にパーティクルが付くおそれがない。また、可動ケーブルがないため、装置をさらに軽量化することができる。
【0146】
なお、Xテーブル694bの駆動装置として、ベルト駆動装置689を用いたが、これに限らず例えばボールねじ装置やリニアモータなどを用いても良い。また、ベルト駆動装置689は、一対の第2ガイド部682bのそれぞれに対応して一対設けられるが、これに限らず一対の第2ガイド部952bの一方から他方に動力を伝達することにより、一対のXテーブル694bを1つのモータにより駆動しても良い。また、把持部84bを、上昇及び下降(±Z方向駆動)させるためにZ軸駆動装置630が設けられたが、これに限らず、第1搬送ユニット681aと同様に、第2搬送ユニット681b全体をZ軸方向に駆動するようにしても良い。
【0147】
なお、上記第1〜第6の実施形態に係る各液晶露光装置(基板トレイを含む)は、一例に過ぎず、その構成は適宜変更可能である。例えば、図25に示される基板トレイ90のように基板トレイは、複数の支持部91の+X側、及び−X側のそれぞれの端部に基板Pの脱落を防止するための脱落防止ピン99を有していても良い。これにより、例えば基板トレイ90が加減速する際(例えば基板トレイ90が急停止した場合など)、基板Pがパッド93からずれたとしても、その基板Pと脱落防止ピン99とが当接し、その基板Pの基板トレイ90からの脱落が防止される。従って、基板トレイ90上で基板Pを吸着保持しなくても良い。なお、基板Pの基板トレイ90からの脱落を防止できれば、脱落防止部材の形状はピン状に限られない。また、脱落防止ピン99は、上記第3又は第4の実施形態に係る基板トレイ(それぞれ図16(A)、図17参照)のように複数の部分に分かれた基板トレイの支持部に設けても良い。
【0148】
また、図25に示されるように、基板搬出装置70の把持装置71aは、基板Pの下面を吸着保持する基板吸着パッド79を有していても良い。この場合、把持装置71aが基板Pを直接保持できるので、仮に基板トレイ90のパッド93による基板Pの吸着に不良が生じても基板Pを確実にX軸方向に案内できる。
【0149】
また、図26に示される基板トレイ90のように、基板トレイ90は、+X方向に移動する際に支持部91の−X側の端部に−Z向き(鉛直方向下向き)の揚力を作用させる揚力発生部材98を有していても良い。揚力発生部材98は、例えば航空機の主翼を上下逆にしたような形状を有している。揚力発生部材98は、脱落防止ピン99の先端部(+Z側の端部)に接続されている。なお、揚力発生部材98は、Y軸方向に延びる翼形断面形状の1つの部材が複数の支持部91に架設されても良いし、複数の支持部91のそれぞれに対応して複数設けられていても良い。基板トレイ90の複数の支持部91のそれぞれは、その+X側の端部のみが接続部92に接続され、−X側の端部が自由端となっていることから、例えば−X側の端部に振動などが発生する可能性がある。これに対し、基板トレイ90は、基板Pを基板ホルダ50(図2参照)から搬出する際などに+X方向に移動すると、揚力発生部材98の作用により支持部91の−X側の端部に鉛直方向下向きの揚力が作用し、その支持部91がガイド部材54(あるいはガイド部材77(図6参照))に押し付けられる。従って、基板トレイ90を安定した状態で基板ホルダ50から搬出できる。ここで、ガイド部材54から気体を噴出する場合には、その気体の圧力と上述の揚力とを釣り合わせることで、基板トレイ90の−X側の端部に振動が発生するのを防止できる。
【0150】
また、基板トレイ90の支持部91の長手方向に直交する断面の形状は、基板Pを基板ホルダ50から搬出する際に、その基板トレイ90を確実にX軸方向に案内することができれば特に限定されず、適宜変更することが可能である。例えば図27(A)に示される支持部91aのような逆五角形状、あるいは図27(B)に示される支持部91bのような逆三角形状とすることが可能である。また、支持部91は、図27(A)に示されるような中空の部材から成っても良いし、図27(B)に示されるような中実の部材から成っても良い。なお、図27(B)に示される断面逆三角形の支持部91bは、Z軸方向の寸法が比較的小さくなるので、パッド93を取り付けるためのスペーサ97が+Z側の面に取り付けられている。また、図27(C)に示されるように、支持部91cは、断面円形の中空の部材から成っても良い(中実の部材でも良い)。この場合、基板トレイ90をX軸方向に案内するガイド部材54(及び基板搬出装置70のガイド部材77(図6参照))は、これに対応して断面U字状(円弧状の凹面を有する)に形成される。
【0151】
また、トレイガイド装置52のガイド部材54、及び基板搬出装置70のガイド部材77は、全て基板トレイ90のY軸方向への相対移動を制限できるように構成されている必要はない。例えば、図28に示されるように、Y軸方向に所定間隔で配置されたトレイガイド装置列のうち、1つ(例えば中央)のトレイガイド装置列を構成するトレイガイド装置52以外の他のトレイガイド装置52cは、ガイド部材54cの上面が水平面に平行な平坦面となっていても良い。この場合であっても、V溝部を有するガイド部材54(あるいは、図27(C)に示されるようなU字溝を有するガイド部材)により基板トレイ90を確実にX軸方向に直進案内できる。なお、トレイガイド装置52のガイド部材54、及び基板搬出装置70のガイド部材77を、基板トレイ90の支持にのみ用い、Y軸方向への相対移動の制限は、例えば把持部84a,84bとテーパ部材94,95,96との接続等により行うこととしても良い。なお、トレイガイド装置52cに対応する基板トレイ90の支持部91dは、断面矩形状に形成される。この場合、基板トレイ90は、上面が水平面に平行となるので、基板Pの下面に当接するパッド部材を有していなくても良い(支持部91dに基板Pが直接載置される)。また、図28では、基板ホルダ50cのトレイガイド装置52,52cが示されているが、基板搬出装置70(図2参照)が有するトレイガイド装置も同様に構成されている。
【0152】
また、基板トレイ90から基板Pを離間させるためのリフト装置65(図2参照)は、複数のエアシリンダ66が、例えばX軸方向、Y軸方向、θz方向の各方向に移動可能に構成されていても良い。これにより、リフト装置65上に載置された基板PのX位置、Y位置、及びθz位置を制御できるので、例えば搬入用ロボットアーム120が基板Pをリフト装置65上に受け渡す際に生じる基板Pの位置ずれを補正できる。複数のエアシリンダ66を駆動する構成としては、例えば複数のエアシリンダ66を共通のベース部材(架台のベース63(図2参照)とは別部材)上に固定し、そのベース部材を駆動するようにすれば良い。また、リフト装置は、図29に示されるリフト装置165のように、一端部にパッド部材67を有する複数のリフトピン166(伸縮しない棒状の部材)の他端部を共通のベース部材168上に接続し、そのベース部材168をX軸、Y軸、Z軸方向、及びθz方向に駆動する構成としても良い。ベース部材168を駆動する駆動ユニット170は、例えばX軸方向に延びるXガイド部材171を有するXベース172上に搭載され、例えばエアシリンダ173によりXガイド部材171に沿ってX軸方向に微少ストロークで駆動されるXステージ174と、Xステージ174上に搭載され、例えばエアシリンダ175によりXステージ174が有するYガイド部材176に沿ってY軸方向に微少ストロークで駆動される回転アクチュエータ177と、回転アクチュエータ177上に搭載され、その回転アクチュエータ177によりθz方向に微少駆動されるZエアシリンダ178と、を有し、ベース部材168はZエアシリンダ178のロッド先端に接続される。これにより、複数のリフトピン166に下方から支持された基板PのX軸、Y軸、Z軸方向、及びθz方向の位置を制御できる。なお、上記第1〜第6の実施形態及び図29に示される変形例では、基板Pの位置を制御するアクチュエータとしてエアシリンダが用いられる場合を説明したが、これに限らず、例えば送りねじ装置、リニアモータ装置などにより基板Pの位置制御を行っても良い。
【0153】
また、上記第1の実施形態では、基板搬入装置80の把持部84a、84bをパンタグラフ機構を含む伸縮装置85a、85bにより上下動させたが、図30(A)に示されるようなスコット・ラッセル近似平行運動するリンク装置を用いて把持部84aを上下動させても良い。なお、図30(A)及び図30(B)には、基板トレイ90の−X側の端部を把持する第1搬送ユニット181aのみが示され、第2搬送ユニット181bの図示が省略されているが、第1及び第2搬送ユニット181a、181bは、同じ構成で良い。具体的に説明すると、第1搬送ユニット181aは、例えばリニアモータにより固定子部182に対してX軸方向に所定のストロークで駆動される可動子部183と、可動子部183に固定されたXエアシリンダ184と、可動子部183に固定されたXリニアガイド185に沿ってXエアシリンダ184によりX軸方向に所定のストロークで駆動されるXスライダ186と、一端がXスライダ186に接続された一対のリンク部材187と、一対のリンク部材187の他端のそれぞれが接続され、Xスライダ186のX軸方向への移動に連動して上下動する(図30(B)参照)Zスライダ188と、Zスライダ188に接続された把持部84a(上記第1〜第6の実施形態の把持部84aと同じ構成)と、Zスライダ188が上下動するように一対のリンク部材187の一方の動作を規定する補助リンク部材189とを有している。図30(A)及び図30(B)に示される変形例の基板搬入装置も、上記第1〜第6の実施形態と同様に、Z軸方向の寸法が小さいコンパクトな構成で、基板トレイ90を上下動させることができる。
【0154】
また、図31(A)、及び図31(B)に示されるように、基板トレイ190は、複数の支持部91の+X側の端部の上端部間が接続部192により接続されていても良い。この場合、基板トレイ190に支持された基板Pを基板ホルダ50(図2参照)から搬出する際、複数のトレイガイド装置73(図2参照)のガイド部材77と接続部192とが干渉しない。従って、上記第1の実施形態に係る基板トレイ90のように、接続部192にガイド部材77を通過させるための切り欠き92a(図4(C)参照)を形成しなくても良く、基板トレイ190の剛性が向上する。なお、図31(B)に示される基板トレイ190は、複数の支持部91の長手方向に直交する断面が略逆五角形状に形成されているが、支持部の断面形状は、図5(B)に示されるように、菱形でも、図27(A)〜図27(C)に例示されるような他の形状(あるいは図示しないその他の形状)でも良い。なお、テーパ部材95,96は、接続部192に取り付けても良いし、図31(B)に示されるように、支持部191の+X側の端面に取り付けても良い。
【0155】
また、上記第1〜第6の実施形態では、基板搬出装置70の把持装置71(図2参照)は、基板トレイ90を吸着保持する構成であったが、これに限らず、例えば静電吸着による保持、または図32(B)に示されるように、例えばピンのような部材を基板トレイ790に機械的に係合させて基板トレイ790を保持しても良い。この場合、基板トレイ790は、図32(A)に示されるように、複数の支持部91の+X側の端部(搬出時の移動方向前端部)同士を接続する接続部792の中央部にZ軸方向に貫通する孔部792a(あるいは、−Z方向に開口する凹部)が形成される。なお、基板トレイ790は、上記第2及び第6の実施形態と同様に、複数の支持部91が複数の接続部299により接続されることにより剛性が向上している。また、接続部792は、図30(A)及び図30(B)に示される変形例と同様に、複数の支持部91の+X側の端部の上端部同士を接続している。また、図32(B)に示されるように、基板搬出装置770は、固定子部72上をX軸方向に所定のストロークで移動する可動子部75上に、基板トレイ790の接続部792に形成された孔部792aに挿入されるピン771と、ピン771を上下動させる、例えばエアシリンダなどのアクチュエータ772とを有している。
【0156】
また、上記第1〜第6の実施形態(上記変形例を含む)において、基板搬入装置は、基板トレイの両端部を支持する把持部材をX軸方向(一軸方向)に移動させる構成であったが、その構成はこれに限られない。すなわち、上記各実施形態に係る液晶露光装置では、基板の基板交換位置への搬送は、他の基板の露光処理などが終了するまでに完了していれば良く、その搬送速度は特に要求されない(搬送速度を向上させても全体的なスループットの向上にそれほど寄与しない)。したがって、基板搬入装置は、例えばロボットアームを備えるような構成でも良い。これに対し、基板の基板ホルダからの搬出は、上記第1〜第6の実施形態のように、基板ホルダをX軸方向(一軸方向)に移動させることがスループット向上の観点から好ましい。ただし、基板トレイを、基板ホルダから迅速に搬出できればその構成は特に限定されず、例えば基板トレイに可動子(磁石ユニットなど)を設け、基板トレイを直接リニアモータにより駆動する構成でも良い。
【0157】
また、上記第1〜第6の実施形態では、基板ステージへの基板Pの搬入、及び基板ステージからの基板Pの搬出が基板トレイ90などに載置した状態で行われたが、基板Pを降下させて基板ホルダ上に載置すること、及び基板Pを水平面に平行な方向に移動させて基板ホルダから搬出することができれば、基板トレイ90のような基板支持部材を用いずに行っても良い。すなわち、基板Pの搬入は、例えば非接触保持装置(例えば、ベルヌーイチャックなど)を用いて基板Pの上面を非接触保持した状態で行っても良い。また、基板Pの搬出は、上記第1〜第6の実施形態と同様に基板ホルダにX軸方向に延びる溝部を形成し、その溝部内に基板搬送用のロボットアームのハンド(図17参照)が直接挿入されるようにしても良い。
【0158】
また、基板搬入装置80は、基板トレイ90を基板ホルダ50に向けて降下させる際(図10(A)参照)、基板トレイ90の搬入時の移動方向前端部を把持する第1搬送ユニット81aの把持部84aから先に−Z方向に駆動しても良い(基板トレイ90を傾けて降下させる)。すなわち、露光済みの基板Pを支持する基板トレイ90は、基板Pの搬出時に+X方向に移動するため、−X側の把持部84aを先に降下させることができる。この場合、−X側の把持部84aに遅れて+X側の把持部84bが降下するため、基板トレイ90が傾いた状態から水平となる。従って、基板Pの下面と基板ホルダ50の上面との間の気体を、基板Pの搬出方向(+X方向に)に一度に吐き出させることができ、基板Pの下面と基板ホルダ50の上面との間に、いわゆる空気溜まりが発生することを防止できる。
【0159】
また、上記第1〜第6の実施形態では、露光処理が終了した基板Pを保持する基板ステージ20が基板交換位置に移動された後に、トレイガイド装置52のエアシリンダ53が伸ばされ基板トレイ90が持ち上げられたが、基板ステージ20の移動中にトレイガイド装置52のエアシリンダ53を持ち上げるようにしても良い。この場合、基板ステージ20の基板交換位置への移動と、トレイガイド装置52のエアシリンダ53による基板トレイ90の持ち上げ動作とを並行して行うことができるので、基板交換時間を短縮できる。
【0160】
また、上記第1〜第6の実施形態では、露光処理が終了した基板Pを保持する基板ステージ20が基板交換位置に到達する前に、(1)基板ホルダ50による基板Pの吸着保持の解除、(2)基板トレイ90の上方への移動、(3)基板トレイ90による基板Pの保持、及び(4)基板Pの基板ホルダ50からの離間のいずれかを開始しても良い。すなわち、基板Pの露光動作終了後に基板交換位置まで基板ステージ20を移動する動作と並行して、上記(1)〜(4)の動作の少なくとも一部を実行しても良い。これにより、基板ステージ20が露光位置から基板交換位置まで移動する時間に、上記(1)〜(4)の基板搬出のための動作時間をオーバーラップさせて、すなわち並行動作を増やすことで時間短縮を図ることができる。
【0161】
また、上記第1〜第6の実施形態では、露光処理が終了した基板Pから上方に十分離れて露光前の基板Pを保持する基板トレイ90が待機している場合にはその基板トレイ90の降下を、基板Pが基板ホルダ50から完全に取り除かれる前に開始しても良い。あるいは、基板Pが基板ホルダ50から完全に取り除かれる前までに、露光前の基板Pを保持する基板トレイ90を接触しない程度に基板Pに近接して配置しても良い。
【0162】
また、露光前の基板Pを保持する基板トレイ90からの把持部84a、84bの離脱は、その基板トレイ90がガイド部材54に載置された時点以降のいずれの時点で開始しても良い。また、基板ステージ20の基板交換位置からの離間は、把持部84a、84bの基板トレイ90からの離脱開始後、把持部84aとの接触が回避された時点で開始しても良い。これにより、ガイド部材54に対する基板トレイ90の載置よりも以降の上記動作の少なくとも一部が、次の基板Pの露光動作のための基板ステージ20の移動と並行して実行可能となる。すなわち、基板Pの搬入動作のうち、ガイド部材54に対する基板トレイ90の載置以降の動作のための時間と次の基板Pの露光動作のための基板ステージ20の移動時間とをオーバーラップさせて、すなわち並行動作を増やすことで時間短縮を図ることができる。
【0163】
また、基板トレイ90の支持部91のうち、テーパ部材96が接続される支持部91(すなわち、テーパ部材を介して基板搬出装置70の把持部74に接続される支持部91)を、その他の支持部91に比べ+X方向に長くしても良い。この場合、基板ステージ20が、基板交換位置に配置される前に(すなわち、+X方向への移動中に)、把持部74に接続されるため、基板ステージ20の基板交換位置への移動と、基板搬出装置70による基板トレイ90の搬出とを並行して行うことができるので、基板交換時間を短縮できる。
【0164】
また、上記第3の実施形態では、基板Pのθz方向の位置合わせを第1及び第2トレイ390a,390bを駆動することで行ったが、基板Pの位置合わせは、この方法に限られない。基板Pの位置合わせとして、例えば、基板搬入装置80により基板ホルダ50の上面まで基板Pを支持した基板トレイ90が搬入された後に、例えば鏡筒定盤31に固定された複数(例えば2つ)の光学センサにより基板Pの位置ずれ量θz1を測定し、その位置ずれ量θz1に合わせて基板ホルダ50を同じ方向に同じ位置ずれ量θz1だけ移動(回転)させ、基板Pが基板ホルダ50に載置された後に、基板ホルダ50を位置ずれ量θz1と逆向きに移動(回転)させることで位置合わせを行うこととしても良い。なお、この方法は上記第1〜第6の実施形態すべての形態に行うことができる。また、位置合わせはθz方向のずれのみに限られず、X軸及びY軸方向のずれについても同様の補正を行うことができる。ただし、この場合には、光学センサが3つ必要になる。また、基板Pの位置読み取り後の基板ホルダ50の最初の移動(ずれ量と同方向の移動)は、基板Pが基板ホルダ50の上空で停止した状態で行われる必要はなく、基板Pを基板ホルダ50上に載置させるために下降させている間に行っても良い。
【0165】
また、上記第1〜第6の実施形態では、基板搬入装置80が基板トレイ90を降下させて基板Pを基板ホルダ50に受け渡したが(図10(A)参照)、基板ホルダ50のガイド部材54を移動上限位置に位置させ、そのガイド部材54に基板トレイ90を受け渡しても良い。この場合、基板トレイ90を下方から支持するガイド部材54が−Z方向に駆動されることにより、基板Pが基板ホルダ50上に載置される。従って、基板搬入装置80の把持部84a、84bのZ軸方向に関する移動ストロークを短くすることができ、伸縮装置85a、85bを小型化できる(ガイド部材54のZ軸方向に関する移動ストロークは同じで良い)。また、このようにガイド部材54を降下させて基板Pを基板ホルダ50上に載置する場合、複数のガイド部材54のうち、例えば中央部のガイド部材54を先行して降下させ、その後に他のガイド部材54を降下させても良い。これにより、基板Pの中央部が基板Pの端部に先行して基板ホルダ50の上面に接触し、基板Pと基板ホルダ50との間に、いわゆる空気溜まりが発生することを防止できる。なお、基板Pの一端を先行して基板ホルダ50の上面に接触させ、その後に基板Pの他端側に向けて順に基板ホルダ50の上面にその基板Pを接触させるように、複数のガイド部材54の位置を制御しても良い。
【0166】
また、基板搬入装置80の一対の把持部84a、84bのそれぞれをθy方向に回転可能に構成し、基板トレイの搬送中、その一対の把持部84a、84bを用いて基板トレイ90の中央部の自重に起因する撓みを抑制するようにしても良い。
【0167】
また、外部装置(例えば、コータ・ディベロッパ装置)から搬入された基板Pは、リフト装置65上に載置された後、そのリフト装置65を構成する複数のエアシリンダ66が縮められることにより基板トレイ90上に受け渡されたが(図12(C)、図13(A)参照)、これに限らず、基板トレイ90を上昇させて基板Pをその基板トレイ90上に載置しても良い(基板トレイ90が基板Pをすくい取るように動作する)。
【0168】
また、上記第1〜第6の実施形態では、基板Pを鉛直方向に移動させて基板ホルダへの搬入を行い、基板Pを水平方向に移動させて基板ホルダからの搬出を行ったが、基板Pの搬入時、及び搬出時の移動経路が互いに異なれば、これに限られず、例えば、基板Pを鉛直方向に移動させて基板ホルダから搬出するとともに、基板Pを水平方向に移動させて基板ホルダに搬入しても良い。すなわち、複数のトレイガイド装置73(図2参照)に支持された基板トレイ90を−X方向に移動させ、その基板トレイ90の支持部91を基板ホルダ50の溝部51(図4(A)参照)内に側方から挿入しても良い。また、上記第1〜第6の実施形態では、2つの基板トレイ90をそれぞれ基板ステージ20と基板交換装置60(それぞれ図2参照)との間で循環させて基板Pの搬出入を行ったが、これに限らず1つの基板トレイ90のみで基板Pの搬出入を行っても良い。また、基板ホルダ50に対する基板Pの搬出時、及び搬入時に、それぞれ基板トレイ90をX軸方向にガイド部材54、77でスライドさせても良い。この場合、基板トレイ90を2つ用意しておき、基板Pの基板ホルダ50からの搬出後、一方の基板トレイ90をガイド部材77から退避させるとともに、新たな基板Pを支持する他方の基板トレイ90をガイド部材77上に載置し、その新たな基板Pを基板ホルダ50に搬送すると良い。
【0169】
また、基板トレイは、基板Pを下方から支持する棒状の部材である支持部91の端部が接続部92により接続されていたが、これに限らず接続部92を有さなくても良い(すなわち、複数の棒状の部材のみにより基板Pを下方から支持しても良い)。
【0170】
前述した基板トレイによる基板のバキューム吸着は、上記各実施形態及び変形例の基板搬送装置(基板交換装置)に限らず、例えば基板のロードとアンロードとで移動経路が実質的に同一である従来の基板搬送装置など、構成や移動経路に関係なく種々の基板搬送装置(基板交換装置)に適用することができる。
【0171】
また、上記各実施形態において、基板トレイによる基板のバキューム吸着は基板のロードとアンロードとの一方だけで行っても良いし、基板のロードとアンロードとのいずれでも行なわなくても良い(すなわち、基板トレイによる基板のバキューム吸着は必須でない)。例えば、基板の移動速度(加速度)、及び/又は基板トレイに対する基板の変位量又はその許容値などによってその要否を決めても良い。特に後者は、例えば、ロードでは基板のプリアライメント精度に相当し、アンロードでは基板トレイに対する基板の変位による落下あるいは他の部材との衝突/接触の防止のための許容値に相当する。
【0172】
上記各実施形態において、基板トレイの移動時における基板と基板トレイとの相対変位(移動)を抑制/防止するための保持部材は真空吸着に限られるものでなく、その代わりに、あるいはそれと組み合わせて、別方式、例えば複数の固定部(ピン)で基板を挟み込む、あるいは少なくとも1つの固定部を可動として、その可動の固定部により他の固定部に対して基板の側面を押しつける構成、又はクランプなどを用いても良い。
【0173】
上記各実施形態において、基板搬入装置、及び/又は基板搬出装置(ポート部)の少なくとも一部は、必ずしも露光装置内に設けなくても良く、コータ・ディベロッパ装置あるいはコータ・ディベロッパ装置との間のインターフェイス部などに設けても良い。
【0174】
なお、上記各実施形態は、外径が500mm以上の基板が搬送対象物(あるいは露光対象物)である場合に特に有効である。
【0175】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0176】
また、上記各実施形態では、投影光学系PLが、複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の数はこれに限らず、1つ以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、上記各実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍系のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は拡大系及び縮小系のいずれでも良い。
【0177】
また、上記各実施形態では、露光装置が、スキャニング・ステッパである場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に上記各実施形態を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置にも上記各実施形態は適用することができる。また、上記各実施形態は、投影光学系を用いない、プロキシミティ方式の露光装置にも適用することができる。
【0178】
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記各実施形態を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
【0179】
なお、上記各実施形態に係る基板搬送システムは、露光装置に限らず、例えばインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置、あるいは露光装置により露光処理が行われた露光対象物(例えば基板など)の検査を行う検査装置などにも適用することができる。
【0180】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記各実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【0181】
なお、これまでの説明で引用した露光装置などに関する全ての公報、国際公開公報、米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【産業上の利用可能性】
【0182】
以上説明したように、本発明の基板搬送装置、基板搬送方法は、基板保持装置上への基板の搬入、及び搬出を行うのに適している。また、本発明の露光装置は、基板に所定のパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの生産に適している。
図1
図2
図3(A)】
図3(B)】
図4(A)】
図4(B)】
図4(C)】
図5(A)】
図5(B)】
図5(C)】
図6
図7
図8(A)】
図8(B)】
図8(C)】
図9(A)】
図9(B)】
図9(C)】
図10(A)】
図10(B)】
図10(C)】
図11(A)】
図11(B)】
図11(C)】
図12(A)】
図12(B)】
図12(C)】
図13(A)】
図13(B)】
図13(C)】
図14(A)】
図14(B)】
図15(A)】
図15(B)】
図15(C)】
図16(A)】
図16(B)】
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27(A)】
図27(B)】
図27(C)】
図28
図29
図30(A)】
図30(B)】
図31(A)】
図31(B)】
図32(A)】
図32(B)】