(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761436
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】液浸リソグラフィ用ウェハテーブル
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20150723BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/68 K
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-173592(P2014-173592)
(22)【出願日】2014年8月28日
(62)【分割の表示】特願2013-222782(P2013-222782)の分割
【原出願日】2004年6月2日
(65)【公開番号】特開2014-225704(P2014-225704A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2014年8月28日
(31)【優先権主張番号】60/485,868
(32)【優先日】2003年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】ハゼルトン,アンドリュー,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】高岩 宏明
【審査官】
新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−5707(JP,A)
【文献】
特開平10−154659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影光学系及び液体を介して光で基板を露光する液浸リソグラフィ装置であって、
前記投影光学系を支持するフレームと、
前記投影光学系の下方に配置されるベースと、
前記ベース上に配置され、前記基板を支持するテーブルを有する基板ステージと、
前記ベース上で浮上支持される前記基板ステージを駆動する平面モータと、
前記テーブルの表面と実質的に同一面となるように配置される表面を有するセンサーと、を備え、
前記基板ステージは、前記基板の表面が前記テーブルの表面と実質的に同一面となるように前記テーブルで前記基板を支持するとともに、前記テーブルの表面によって、前記投影光学系の下で前記基板の表面から外れる前記液体の少なくとも一部を維持可能であり、
前記平面モータは、前記センサーの表面と前記基板の表面とがそれぞれ前記投影光学系と対向して配置されるように前記基板ステージを駆動し、前記基板ステージの移動によって前記投影光学系と前記センサーの表面との間、及び前記投影光学系と前記基板の表面との間にそれぞれ前記液体が維持されるギャップが形成される。
【請求項2】
請求項1に記載の液浸リソグラフィ装置において、
前記基板ステージは、前記テーブルの表面と、前記センサーの表面と、前記テーブルに支持される基板の表面とを含む上面が前記投影光学系と対向して配置されるように駆動されるとともに、前記投影光学系と前記上面の一部との間に形成されるギャップに維持される前記液体に対して前記テーブルが相対移動するように駆動される。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液浸リソグラフィ装置において、
前記テーブルの表面と実質的に同一面となるように配置されかつマークが形成される表面を有する基準部材を、さらに備え、
前記基板ステージは、前記基準部材の表面が前記投影光学系と対向するように駆動され、前記投影光学系と前記基準部材の表面との間に前記液体が維持されるギャップが形成される。
【請求項4】
請求項3に記載の液浸リソグラフィ装置において、
前記基板ステージは、前記テーブルの表面と、前記センサーの表面と、前記基準部材の表面と、前記テーブルに支持される基板の表面とを含む上面が前記投影光学系と対向して配置されるように駆動されるとともに、前記投影光学系と前記上面の一部との間に形成されるギャップに維持される前記液体に対して前記テーブルが相対移動するように駆動される。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ装置において、
前記センサーは、前記投影光学系と、前記投影光学系と前記センサーの表面との間に維持される前記液体とを介して前記光を検出可能である。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ装置において、
前記基板ステージは、前記基板の表面と前記テーブルの表面との間にギャップが形成されるように前記テーブルで前記基板を支持する。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ装置において、
前記基板ステージは、前記投影光学系と前記基板の表面の一部との間に、前記液体が維持されるギャップが形成されるように、前記投影光学系に対向して配置されるとともに、前記ギャップに維持される前記液体に対して前記基板が相対移動するように駆動される。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ装置において、
前記光が通過する液浸領域は、前記液体によって、前記投影光学系と前記テーブルとの間で前記基板の表面よりも小さい領域内に形成される。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ装置において、
前記光で照明されるマスクを支持するマスクステージを、さらに備え、
前記基板ステージ及び前記マスクステージの移動によって、前記基板の走査露光が行われる。
【請求項10】
デバイス製造方法であって、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ装置を用いて基板を露光することと、
前記露光された基板を現像することと、を含む。
【請求項11】
投影光学系及び液体を介して光で基板を露光する液浸リソグラフィ方法であって、
前記基板の表面がテーブルの表面と実質的に同一面となるように、前記テーブルで前記基板を支持することと、
前記テーブルの表面と実質的に同一面となるように配置される、センサーの表面と、前記テーブルに支持される基板の表面とがそれぞれ前記投影光学系と対向して配置されるように、前記投影光学系の下方に配置されるベース上で浮上支持される、前記テーブルを有する基板ステージを、平面モータによって駆動することと、を含み、
前記基板ステージの移動によって、前記投影光学系と前記センサーの表面との間、及び前記投影光学系と前記基板の表面との間にそれぞれ前記液体が維持されるギャップが形成され、
前記テーブルの表面によって、前記投影光学系の下で前記基板の表面から外れる前記液体の少なくとも一部が維持される。
【請求項12】
請求項11に記載の液浸リソグラフィ方法において、
前記基板ステージは、前記テーブルの表面と、前記センサーの表面と、前記テーブルに支持される基板の表面とを含む上面が前記投影光学系と対向して配置されるように駆動されるとともに、前記投影光学系と前記上面の一部との間に形成されるギャップに維持される前記液体に対して前記テーブルが相対移動するように駆動される。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の液浸リソグラフィ方法において、
前記基板ステージは、前記テーブルの表面と実質的に同一面となるように配置されかつマークが形成される表面を有する基準部材が前記投影光学系と対向するように駆動され、前記投影光学系と前記基準部材の表面との間に前記液体が維持されるギャップが形成される。
【請求項14】
請求項13に記載の液浸リソグラフィ方法において、
前記基板ステージは、前記テーブルの表面と、前記センサーの表面と、前記基準部材の表面と、前記テーブルに支持される基板の表面とを含む上面が前記投影光学系と対向して配置されるように駆動されるとともに、前記投影光学系と前記上面の一部との間に形成されるギャップに維持される前記液体に対して前記テーブルが相対移動するように駆動される。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ方法において、
前記光は、前記投影光学系と、前記投影光学系と前記センサーの表面との間に維持される前記液体とを介して前記センサーで検出される。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ方法において、
前記基板はその表面と前記テーブルの表面との間にギャップが形成されるように前記テーブルに支持される。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ方法において、
前記基板ステージは、前記投影光学系と前記基板の表面の一部との間に、前記液体が維持されるギャップが形成されるように、前記投影光学系に対向して配置されるとともに、前記ギャップに維持される前記液体に対して前記基板が相対移動するように駆動される。
【請求項18】
請求項11〜17のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ方法において、
前記光が通過する液浸領域は、前記液体によって、前記投影光学系と前記テーブルとの間で前記基板の表面よりも小さい領域内に形成される。
【請求項19】
請求項11〜18のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ方法において、
前記光で照明されるマスクを支持するマスクステージ、及び前記基板ステージの移動によって、前記基板の走査露光が行われる。
【請求項20】
デバイス製造方法であって、
請求項11〜19のいずれか一項に記載の液浸リソグラフィ方法を用いて基板を露光することと、
前記露光された基板を現像することと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連する出願の参照情報>
本願は2003年7月8日に出願された米国特許仮出願第60/485,868号の優先権を主張し、その全体を援用して本文の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
<1.発明の分野>
本発明は概して半導体処理装置に関する。より詳細には、本発明は液浸リソグラフィシステムにおいて、レンズの表面とレンズに相対して移動される平面との間に液体を効率的に収容することを可能とするための方法及び装置に関する。
【0003】
<2.関連技術の説明>
半導体処理に用いられるフォトリソグラフィ機のような精密機器について、精密機器の例えば精度のような性能に影響を及ぼす因子は一般に対処しなければならず、かつ、可能な限り取り除かなければならない。液浸リソグラフィ露光システムのような精密機器の性能に悪影響が及ぼされるときは、精密機器を用いて作られた製品は不適切に製作されるかもしれず、それによって機能が不適切になるであろう。
【0004】
液浸リソグラフィシステムにおいて、液体は、レンズの結像特性を高めるために、レンズとウェハ表面との間に設けられる。液体の使用は、レンズの特性を実質的に変えることなく、レンズに関連する開口数、即ち、レンズの有効開口数を本質的に増加させることを可能とする。なぜならば、水のような液体は一般に1よりも大きな屈折率を有するからである。一般に、より大きな開口数は、より鮮明な像をウェハ上に形成することを可能とする。当業者に正しく理解されるように、高屈折率の液体は、レンズの高い開口数を可能とする。なぜならば、液浸リソグラフィシステムのレンズ系の有効開口数は、一般に、レンズを通過して、表面で反射する光の回折角の正弦と液体の屈折率との積にほぼ等しいとして定義されるからである。液体の屈折率は1よりも大きいので、液体の使用はレンズの有効開口数を増加させることを可能にし、それによって、レンズに関連する分解能が本質的に向上する。
【0005】
ほとんどの慣用のリソグラフィシステム内には、レンズとレンズ下方を通る表面、即ち、ウェハの表面との間には空気が存在する。そのようなシステムでは、レンズに関わる開口数は、しばしば、約0.8〜0.9の範囲にある。向上した分解能を達成するためにレンズの開口数を増大することは、一般には実用的ではない。なぜなら、一般にレンズ径を大きくしなければならず、レンズ径を大きくすることは、レンズの製造プロセスに相当な困難を加えるからである。さらに、空気中でのレンズの開口数は、理論的に1が限界とされ、実際には1より幾分小さい値が限界となる。一方、液浸リソグラフィシステムは、空気中でのレンズで可能である開口数を実質的に超えて、レンズの有効開口数を増加させることが可能である。
【0006】
図1は、液浸リソグラフィ装置の一部の概略断面図を示す。液浸リソグラフィ装置100は、ウェハ108を支持するウェハテーブル112の上方に位置付けられたレンズアセンブリ104を含む。ウェハテーブル112は、レンズアセンブリ104の下方でスキャンされるように配置される、あるいはスキャンではなく移動されるように配置される。液体116は、レンズアセンブリ104とウェハ108との間の空隙に存在する。ここで液体116は、約193nmの放射を使用する典型的な用途において水にし得る。液体116がレンズアセンブリ104の下方から漏出するのを有効に阻止するために、つまり、液体116をレンズアセンブリ104とウェハ108との間に有効に横方向に閉じ込めるために、保持リング120を、レンズアセンブリ104とウェハ108の間であって、且つ、保持リング120によって画成された領域内に、液体116が保持リング120により保持されるように位置付けてもよい。
【0007】
保持リング120とウェハ108の表面との間に小さな間隙が維持されるようにレンズアセンブリ104が位置付けられる場合には、保持リング120は液体116の閉じ込めに一般に有効であるが、保持リング120の少なくとも一部がウェハ108の上方にある状況では、液体116はレンズアセンブリ104とウェハ108との間から漏出しうる。例として、ウェハ108の端部がパターンニングされるべきであるとき、レンズアセンブリ104は実質的に端部上で中心に置かれうる。そうすると、保持リング120の一部は保持リング120の底面の下方に小さな間隙を維持できず、液体116はレンズアセンブリ104とウェハ108の間から漏出することになる。
図2に示されるように、保持リング120の底面の少なくとも一部がウェハ108と接触しないようにレンズアセンブリ104が位置付けられている場合には、液体116は、レンズアセンブリ104とウェハ108との間の、保持リング120によって画成された領域に閉じ込められないであろう。
【0008】
液浸リソグラフィ装置では、ウェハテーブルはセンサー及び他のコンポーネント、例えば、オートフォーカス動作を較正するために使用される基準平面を支持しうる。そのようなセンサー及び他のコンポーネントは、一般にレンズ下方のどこかの点に位置決めされうる。すなわち、ウェハテーブルに組み合わされるセンサー及び他のコンポーネントは、レンズ及びウェハテーブルを操作する過程の間に、レンズの下方に位置づけられる場合があるであろう。保持リングの使用は、レンズアセンブリとウェハの上面(頂面)との間からの液体の漏出を防ぎうるが、レンズアセンブリがセンサー又は他のコンポーネントの上方に位置付けられるときには、液体はレンズアセンブリとセンサー及び他のコンポーネントの上面との間から漏出しうる。
【0009】
図3は、センサーと、ウェハーを保持するウェハホルダーとを支持するウェハテーブルのブロック図を示す。ウェハテーブル312は、ウェハ(不図示)を保持するように配置されたウェハホルダー310、センサー350及び干渉計ミラー352を支持する。センサー350は、レンズ(不図示)と、そのレンズ及びセンサー350の間にある液体(不図示)を通して使用されうる。しかしながら、特に、センサー350の端部が実質上レンズ中央の下方に位置付けられるとき、液体はしばしばレンズ(不図示)とセンサー350との間の空隙から流出するであろう。センサーが液体中で動作するように設計され、較正されていて、且つ、レンズ(不図示)とセンサー350との間に不十分な液体しか存在しないときには、センサー350の有効性は危うくなるであろう。さらに、液体(不図示)はレンズ(不図示)とセンサー(350)との間の空隙から流出するときに、空隙から流出する液体は、レンズが次にウェハホルダ310に支持されたウェハ(不図示)の上方に位置付けられるときに、レンズとウェハとの間の液体の量がレンズの有効開口数を所望の高い値にするのに十分でなくなるように失われる。このため、センサー350が少なくとも部分的にレンズの下方に位置付けられている間、液体がレンズ(不図示)とセンサー350との間に首尾よく収容されていないときには、レンズ及びセンサー350を含むリソグラフィ処理全体に障害が生じるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、必要とされることは、レンズの表面と、ウェハテーブルによって支持される実質的にセンサー又はコンポーネントとなり得るものの表面との間に画成された比較的小さな空隙内に液体を維持することを可能とする方法及び装置である。つまり、望まれているのは、レンズと、レンズ下方を移動されるウェハテーブルの実質的に任意の表面との間
に位置付けられた液体が、レンズとウェハテーブルの実質的に任意の表面との間から漏出することを防止するために好適なシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は液浸リソグラフィシステムの利用に好適なウェハテーブル構造体に関する。本発明の一態様に従えば、露光装置はレンズ及びウェハテーブルアセンブリを含む。ウェハテーブルアセンブリは、上面を有し、ウェハ並びに少なくとも一つのコンポーネントがレンズに相対して移動されるようにウェハを支持するために配置される。ウェハの上面及びコンポーネントの上面は、各々、ウェハテーブルアセンブリの上面と実質的に同じ高さである。ウェハの上面、ウェハテーブルアセンブリの上面及び少なくとも一つのコンポーネントの上面を含むウェハテーブルアセンブリの全上面は、実質的に平面状である。
【0012】
一実施形態では、コンポーネントは、基準平面、空間像センサー、ドーズセンサー及びドーズムラセンサーの少なくとも一つであり得る。別の実施形態では、ウェハテーブルアセンブリは、ウェハの上面がウェハテーブルアセンブリの上面と実質的に同じ高さとなるように、ウェハを保持するウェハホルダーを支持するために配置される。
【0013】
レンズを通して見られるべき表面を実質的に同じ高さの表面であって比較的平らな全表面に形成することを可能とするように構成されたウェハーテーブルの構造体は、液浸リソグラフィ処理を容易にする。ウェハテーブル上に置かれた実質的に全てのコンポーネントが、ウェハテーブルの上面とほぼ同じ高さである上面を有し、コンポーネントの側部とウェハテーブルの開口部の側部との間のいかなる空隙も比較的小さい場合には、液体の層又は液体の膜がレンズ表面と全上面との間に有効に維持しつつ、ウェハテーブル構造体の全上面がレンズ下方を横断し得る。そのため、液浸リソグラフィ処理は、レンズの表面とウェハテーブル構造体の全上面との間の液体の層の完全性がレンズ表面とウェハテーブル構造体の全上面との間の液体の層から液体の流出によって実質的に脅かされることなく、実行されうる。
【0014】
本発明の別の態様に従えば、液浸リソグラフィ装置は、第1表面及び関連有効開口数を有するレンズを含む。装置は、レンズの有効開口数を向上させるために好適な液体と、テーブル構造体も含む。テーブル構造体は第1表面に対向するほぼ平坦な上面を有し、液体は実質的にほぼ平坦な上面と第1表面との間に配置される。ほぼ平坦な上面は、走査される物体の上面と、少なくとも1つのセンサーの上面を含む。
【0015】
本発明のこれらの利点及びその他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面の様々な図を理解することにより明らかになるであろう。本発明は、添付図面と合わせて以下の記載を参照することによって最良に理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1の方向における液浸リソグラフィ装置の一部の概略断面図である。
【
図2】
図2は、第2の方向における液浸リソグラフィ装置、即ち
図1の装置100、の一部の概略断面図である。
【
図3】
図3は、センサー及びウェハを保持するウェハホルダーを支持するウェハテーブルの構成図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るウェハテーブルアセンブリを上から見た構成図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係るほぼ均一で平坦な全上面を有するウェハテーブルアセンブリによって支持されるコンポーネントを上面から見た構成図である。
【
図6】
図6aは、本発明の一実施形態に係るほぼ均一で平坦な全上面を有するウェハテーブルアセンブリの概略断面図である。
図6bは、本発明の一実施形態に係るウェハホルダ上方に位置付けられたレンズアセンブリと一緒に、例えば
図6aのウェハテーブルアセンブリ600のようなウェハテーブルアセンブリを示す概略図である。
図6cは、本発明の一実施形態に係るコンポーネントの上方に位置付けられたレンズアセンブリと一緒に、例えば
図6aのウェハテーブルアセンブリ600のようなウェハテーブルアセンブリを示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係るフォトリソグラフィ装置の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る半導体デバイスの製造に関する工程を示すプロセスの流れ図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係るウェハ処理、つまり
図8の工程1304、に関する工程を示すプロセスの流れ図である。
【
図10】
図10aは、本発明の一実施形態に係るウェハテーブル表面プレートとウェハテーブルの概略図である。
図10bは、本発明の一実施形態に係るウェハテーブル及びウェハテーブル表面プレートを含むウェハテーブルアセンブリの概略断面図である。
【
図11】
図11aは、本発明の一実施形態に係るウェハテーブル及び窓を有するウェハテーブル表面プレートの概略断面図である。
図11bは、本発明の一実施形態に係る、ウェハテーブル及び窓を有するウェハ表面プレート、つまり、
図11aのウェハテーブル904とウェハテーブル表面プレート908を含むウェハテーブルアセンブリの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
液浸リソグラフィシステムでは、ウェハ表面は一般に、レンズ及びウェハ表面の間の比較的薄い液体の膜のような液体の層と共にレンズを通して見られるはずである。センサー及び/又は基準部材のようないくつかのコンポーネントは、しばしば、レンズ及びコンポーネント表面との間の液体の層と共にレンズを通して見られうる。レンズとウェハ表面の間の空隙(ギャップ)に液体の層を維持することは、レンズがウェハの端部を視るように配置されるときでさえ、液浸リソグラフィシステムが実質的に所望に動作することを可能にする。同様に、レンズと、センサー及び/又は基準部材のようなコンポーネントの表面との間の空隙に液体の層を維持することは、液浸リソグラフィシステムの効率的な動作を容易にする。
【0018】
ウェハテーブル構造体を用いることによって、レンズを通して見られるべき表面とウェハテーブル構造体の上面とを、比較的平坦で実質的に均一な全体表面を形成することが可能なように構成される。ウェハテーブル構造体に関連するほぼ全てのコンポーネントが、ウェハの上面及びウェハテーブルの上面とほぼ同じ高さ(レベル)である表面を有し、且つ、コンポーネントの側部とウェハテーブルの開口の側部との間のいかなる空隙が比較的小さい場合には、ウェハテーブル構造体の全上面はレンズ下方を横断しつつ、液体の層又は膜をレンズ表面と全上面との間に有効に維持しうる。その結果、液浸リソグラフィプロセスは、液体の層、つまり、レンズの表面とウェハテーブル構造体の全上面との間の液体の層の完全性が実質的に脅かされることなく、実行されうる。
【0019】
実質的に隆起し、均一の高さの平坦な上面を有するウェハテーブルは、ウェハ及びセンサー等の他のコンポーネントを、ウェハの平坦な表面及びコンポーネントの平坦な表面が、ウェハテーブルの隆起した平坦な上面とほぼ同じレベル、即ち高さとなるように設置することを可能とする。一実施形態において、ウェハテーブルアセンブリの全体は、ウェハ又はウェハが支持されるウェハホルダとセンサーが位置付けられうる開口を含む。
図4は、本発明の一実施形態に従うウェハテーブルアセンブリを上から見た配置図を示す。ウェハテーブルアセンブリ402は、それぞれウェハ408及びコンポーネント450を、ウェハ408及びコンポーネント450の上面がウェハテーブルアセンブリ402の上面414とほぼ同じレベルとなるように、有効に収容する寸法の開口部409、452を含む。典型的には、開口部409、452は、それぞれ、ウェハ408又はコンポーネント450の外側端部とそれぞれの開口409、452との間の空隙が比較的小さく、例えば、約10〜約500μmの間となるように、ウェハ408及びコンポーネント450を収容するための寸法を有する。
【0020】
一般に、ウェハ408と開口409との間の空隙、又は、ある場合にはウェハホルダと開口409との間の空隙、並びに、コンポーネント450とそれらに対応する開口452との間の空隙は、ウェハテーブルアセンブリ402の表面全体の全体的な平坦性にはあまり影響しない。つまり、上面414、ウェハ408の上面、及びコンポーネント450の上面を含むウェハテーブルアセンブリ402の全上面は、実質的に平坦であり、その頂面全体の平坦性は、ウェハ408の側部と開口409との間の小さな空隙及びコンポーネント450の側部と開口452との間の小さな空隙の存在によっては実質的に影響されない。
【0021】
コンポーネント450は、限定されないが、種々のセンサー及び基準マークを含みうる。
図5を参照して、実質的に均一で平坦な上面を有するウェハテーブルアセンブリによって支持されるコンポーネントを、本発明の一実施形態に従って説明する。ウェハテーブルアセンブリ502は、隆起されたほぼ均一な上面514を含み、上面514には開口509、552が画成されている。開口509は、ウェハホルダ(不図示)によって支持されうるウェハ508を保持するように配置される。開口522は、任意の数のコンポーネントを支持するように配置される。記載されている実施形態において、開口552は、ドーズセンサー又はドーズムラセンサー556、空間像センサー558、基準平面560及び基準マーク562を支持するように配置される。これらは、それぞれ、全体にほぼ均一で平坦な上面が形成されるために、上面514とほぼ同じ高さになるように配置された上面を有している。ドーズセンサー又はドーズムラセンサー556の好適な例が米国特許第4,465,368号、米国特許第6,078,380号及び米国特許公開第2002/0061469A号に記載されており、それらの全体をそれぞれここに援用して本願の記載の一部とする。空間像センサー558の例は米国特許公開第2002/0041377A号に記載されており、その全体をここに援用して本願の記載の一部とする。基準平面560の例は米国特許第5,985,495号に記載されており、その全体をここに援用して本願の記載の一部とする。基準マーク562の例は米国特許第5,243,195号に記載され、その全体をここに援用して本願の記載の一部とする。
【0022】
開口552は、例えばドーズセンサー又はドーズムラセンサー556、空間像センサー558、基準平面560及び基準マーク562のようなコンポーネントの側部と開口552の端との間の空隙が全上面の均一性及び平面性に重大な影響を与えるほど大きくならないように、コンポーネントを収容する寸法に決定されることが理解されるべきである。換言すれば、コンポーネントは開口552内に比較的きつく嵌め込まれている。
【0023】
ドーズセンサー又はドーズムラセンサー556は、その一方又は両方が開口552内に含まれ得る。ドーズセンサー又はドーズムラセンサー556は、ウェハ508の上面の高さでの光エネルギーを調べることによってレンズアセンブリ(不図示)と関連する光源の強度を決定するために用いられるように配置される。一実施形態では、典型的にはドーズムラセンサーだけが含まれている。ドーズセンサーは一般に絶対ドーズ強度を測定し、ドーズムラセンサーは典型的にはある領域に渡ってのばらつきを測定する。そのような、ドーズセンサー又はドーズムラセンサー556が、ウェハ508の上面と同一面に位置付けられる。空間像センサー558は、ウェハ508の表面上に投影されてその後フォトレジスト上に露光されるべき空間像を実効的に測定するように配置される。空間像センサーが空間像を正確に測定するために、空間像センサー558は本質的に、ウェハ508の上面と同じ高さ又は同じ平面に位置付けられている。
【0024】
基準平面560を一般に用いてレンズアセンブリ(不図示)のオートフォーカス機能を較正するが、当業者によって理解されるように、基準マーク562は、ウェハ508をレンズアセンブリ及びレチクルに対してアライメントさせることができるように用いられるパターンである。基準平面560と基準マーク562との両方がウェハ508と同一平面に位置付けられている。
【0025】
図6aは本発明の一実施形態に従う、ほぼ均一で平坦な全上面を有するウェハテーブルアセンブリの概略断面図である。ウェハテーブルアセンブリ600の全体はウェハテーブル602を含み、ウェハテーブル602は、ウェハの上面がウェハテーブルアセンブリ600の全上面と実質的に面一となるためにウェハ(不図示)を保持するウェハホルダ608を支持するように配置される。ウェハテーブル602は、上で述べたように、コンポーネント650の上面も実質的に全上面614とほぼ面一になるように、センサー及び基準マークを含みうるコンポーネント650も支持している。換言すれば、コンポーネント650の表面、ウェハ(不図示)を支持しているときのウェハホルダ608及びウェハテーブル602はほぼ平坦で比較的均一の高さの全上面614を実効的に形成している。ウェハホルダ608及びコンポーネント650は、ウェハテーブル602に画成された開口に比較的きつく嵌合するように配置される。それによってウェハホルダ608の側部とウェハテーブル602の関連する開口の側面との間の空隙と、コンポーネント650とウェハテーブル602の関連する開口の側面との間の空隙は、各々比較的小さく、上面614の全体の均一性に重大な影響を与えない。
【0026】
ウェハテーブル602は、ウェハホルダ608、ウェハ(不図示)及びコンポーネント650に加えて、追加のコンポーネント又はエレメントを支持しうる。例として、ウェハテーブル602は干渉計ミラー670を支持しうる。干渉計ミラー602の上面も全上面614と実質的に同じ高さになりうることが理解されるべきである。それによって、一実施形態では全上面614は干渉計ミラー670を含みうる。
【0027】
全上面614は、コンポーネント650又はウェハホルダ608がレンズの下方を横切るときに、液体がレンズアセンブリと全上面614との間の間隙に維持されることを可能にする。
図6bは、本発明の一実施形態に従うウェハテーブルアセンブリ、例えば
図6aのウェハテーブルアセンブリ600の概略図であり、ウェハテーブルアセンブリはレンズアセンブリの下方で走査するように配置される。レンズアセンブリ684は、全上面614の上方に位置付けられるように配置され、液体682の層によって、z軸690aに沿って全上面614から実質的に分離されている。液体682によって覆われる液浸領域の大きさは比較的小さく、例えば、液浸領域の大きさはウェハ(不図示)の大きさよりも小さくてもよい。液浸領域の液体を供給するために用いられる部分充填法は、同時係属中のPCT国際特許出願番号PCT/US04/10055(2004年3月29日出願)、同時係属中のPCT国際特許出願番号PCT/US04/09994(2004年4月1日出願)及び同時係属中のPCT国際特許出願番号PCT/US04/10071(2004年4月1日出願)に記載されており、これらの全体を援用して本文の記載の一部とする。液体682の層は、保持リング680によってx軸690bとy軸690cに関して全上面614とレンズアセンブリ684との間に実効的に保持されるが、実質的に任意の好適な配置を用いて、x軸690b及びy軸690cに相対する場所に液体682の層を実効的に保持してもよい。保持リング680は、x軸690b及びy軸690cに対してリング状の構造体として配置され、それは、液体682を保持リング680の端によって画成される領域に液体682を閉じ込める。つまり、保持リング680はz軸690aを中心とするリング状の形状を形成する。
【0028】
別の実施形態では、保持リング680は必ずしも必要でないであろう。レンズアセンブリ684と全上面614(又はウェハ表面)との間の間隙が比較的小さい場合、例えば、約0.5mmから約5mmの間である場合には、液体682の層は液体682の表面張力で間隙の間に有効に保持されうる。
【0029】
一般に、液体682は、レンズアセンブリ684と保持リング680によって画成される領域内の全上面614との間の空隙又は空間を満たす実質的に任意の好適な液体であってもよく、その液体は、レンズアセンブリ684に含まれるレンズの有効開口数を、同一波長の光及び同じ物理的な寸法のレンズに対して増大することができる。種々のオイル、例えばフォンブリン(登録商標)オイルを含む液体は、液体682として使用するのに好適であろう。一実施形態において、約193ナノメートル(nm)の放射を使用する全体のシステム内における例に関して、液体682は水である。しかしながら、より短波長の放射に関して、液体682はオイルであってもよい。
【0030】
レンズアセンブリ684がウェハホルダ608の上方に位置付けられているとき、全上面614は実質的に平坦で均一であるので、液体682は全上面614とレンズアセンブリ684との間から漏出しない。なぜならば、レンズアセンブリ684がウェハホルダ608の端部の上方に位置付けられたときでさえも、保持リング680は全上面614と接触したままか、又は、全上面614のごく近くに近接したままであるからである。
図6cに示されるように、レンズアセンブリ684がコンポーネント650の上方に方位付けられているとき、全上面614の均一性及び平坦性もまた、液体682がレンズアセンブリ684と全上面614の間に残っていることを可能にしている。
【0031】
ウェハテーブル構造体は、ウェハ又はウェハホルダーと任意の数のコンポーネントとを収納するように開口が画成されているウェハテーブルを含み得るが、その代わりに、ウェハテーブル構造体は、ウェハ又はウェハホルダ並びに任意の数のコンポーネントを収納するための開口を有さないウェハテーブルと、ウェハテーブルと協働して、ウェハ又はウェハホルダ並びに任意の数のコンポーネントが置かれうる開口を実効的に形成する構造体とを含みうる。換言すれば、実際の平坦なウェハテーブル構造体は、上記のようなウェハテーブル内に形成された開口、又は、ウェハテーブルの上に位置付けられた1つ又は複数の構造体によって画成される開口のいずれかを含みうる。
【0032】
ウェハテーブル構造体が、ウェハ及びコンポーネントを有効に収納しうる開口を画成し、且つ、ウェハテーブル構造体についての実質的に平坦な上面を提供する構造体を含むとき、構造体は一般に、内部に開口が形成された板状の構造体にしうる。
図10aに関連して、ウェハテーブル及びウェハテーブル表面プレートを含むウェハテーブル構造体を本発明の一実施形態に従って説明する。ウェハテーブル構造体700は、ウェハテーブル704とウェハテーブル表面プレート708とを含む。ウェハテーブル704は、ウェハ712と、種々のセンサー、基準マーク又は基準平面を含みうる一以上のコンポーネントとを支持する。ウェハテーブル表面プレート708は、任意の好適な材料、例えばテフロン(登録商標)で形成されてもよく、ウェハテーブル表面プレート708は、ウェハテーブル表面プレート708がウェハテーブル704上に位置付けられるときにウェハ712が位置付けられ得る開口720を含む。開口724もウェハテーブル表面プレート708に画定されており、ウェハテーブル表面プレート708がウェハテーブル704上に位置付けられるとき、開口724がコンポーネント716と嵌合するように配置される。
【0033】
ウェハテーブル表面プレート708は、ウェハテーブル表面プレート708がウェハテーブル704の上に位置付けられ、それにより、ウェハ712が開口720内に位置付けられ且つコンポーネント716が開口724内に位置付けられるときに、ウェハ712の上面及びコンポーネント716の上面と協働して、実質的に一様で平坦な全上面を創成する上面を含む。
図10bに示されるように、ウェハテーブル表面プレート808がウェハテーブル804上に位置付けられているときには、コンポーネント816、例えばセンサーの上面及びウェハ812の上面はウェハテーブル表面プレート808の上面とほぼ同じ高さである。実施形態で示されるように、干渉計ミラー814もウェハテーブル表面プレート808の上面とほぼ同じ高さの上面を有する。そのため、ウェハテーブル804及びウェハテーブル表面プレート808を含むウェハテーブル構造体全体は、比較的一様で平坦な全上面を有する。
【0034】
ウェハテーブル構造体は、ウェハ又はウェハホルダと任意の数のコンポーネントとを収納するように、開口が画成されているウェハテーブルを含みうるが、その代わりに、ウェハテーブル構造体は、ウェハ又はウェハホルダ並びに任意の数のコンポーネントを収納するための開口を有さないウェハテーブルと、ウェハテーブルと協働して、ウェハ又はウェハホルダ並びに任意の数のコンポーネントが置かれうる開口を実効的に形成する構造体とを含みうる。換言すれば、実質的に平坦なウェハテーブル構造体は、上記のようにウェハテーブル内に形成された開口、又は、ウェハテーブルの上に位置付けられた1つ又は複数の構造体によって画成される開口のいずれかを含みうる。
【0035】
ウェハテーブル構造体の実質的に平坦な全表面を達成することができる板状の構造体は、広く変更しうる。一実施形態では、センサー又はコンポーネントは板状の構造体に一体化しうる。例として、基準平面又は基準マークは、板状の構造体の上に直接エッチングされるか、あるいは板状の構造体の上に直接形成されてもよい。他の実施形態において、板状の構造体は、ウェハホルダによって支持されるウェハを内部に保持しうる開口と、センサーを保護しつつセンサーを機能させうる窓(ウィンドウ)によって覆われた開口を含みうる。
図11a及び11bを参照して、ウェハテーブル及びウィンドウを有するウェハテーブル表面プレートを含むウェハテーブル構造体を本発明の実施形態に従って説明する。ウェハテーブル構造体900は、ウェハテーブル904と、
図11bに示されるような、センサー等の1以上のコンポーネント916の上に位置付けられるように配置されたウィンドウ916を含むウェハテーブル表面プレート908とを含む。ウェハテーブル904はウェハ912を支持し、ウェハ912はプレート908内の開口に嵌合するように配置される。
【0036】
プレート908は、任意の好適な材料、例えばテフロン(登録商標)で形成されてよく、ウィンドウ960は透過性の材質で形成される。あるいは、プレート908は、開口924の上方に位置付けられた、プレート908の比較的薄い部分であるウィンドウ960を有する透過性のカバープレートであってもよく、開口924は、ウェハテーブル表面プレート908がウェハテーブル904上に位置付けられているときに、コンポーネント916に嵌合するように配置されている。プレート908の上面はウェハ912の上面と協働して、構造体900についての実質的に平坦な上面を形成する。
【0037】
図7を参照して、ほぼ一様な高さの平坦な表面をもつウェハテーブルアセンブリを含む液浸リソグラフィ露光システムの一部となりうるフォトリソグラフィ装置を本発明の一実施形態に従って説明する。フォトリソグラフィ装置(露光装置)40は、平面モータ(不図示)によって駆動されうるウェハポジショニングステージ52と、EIコアアクチュエータ、例えば実質的に独立に制御されるトップコイルとボトムコイルを有するEIコアアクチュエータを用いてウェハポジショニングステージ52と磁気的に連結されるウェハテーブル51とを含む。ウェハポジショニングステージ52を駆動する平面モータは、一般に、二次元に配置されたマグネット及び対応するアマチュアコイルによって生じる電磁力を使用している。ウェハ64は、ウェハテーブル51に連結されているウェハホルダ又はチャック74上の位置に保持される。ウェハポジショニングステージ52は、多自由度、例えば3〜6の自由度で、コントロールユニット60及びシステムコントローラー62の制御の下で移動するように配置される。一実施形態では、ウェハポジショニングステージ52は共通のマグネットトラックに連結された複数のアクチュエータを含む。ウェハポジショニングステージ52の移動は、投影光学系46に対してウェハ64を所望の位置及び方向に位置付けることを可能とする。
【0038】
ウェハテーブル51は、任意の数のボイスコイルモータ(不図示)、例えば3つのボイスコイルモータによって、z軸方向10bに浮揚させ得る。記載した実施形態において、少なくとも3つの磁気ベアリング(不図示)がウェハテーブル51に連結し、ウェハテーブル51をy軸10aに沿って移動させる。ウェハポジショニングステージ52のモータのアレイは典型的には基部(ベース)70によって支持される。ベース70は絶縁体54を介して大地に支持される。ウェハステージ52の移動によって発生する反力は、フレーム66を通して地表面に機械的に逃がしうる。1つの好適なフレーム66は、特平8−166475号及び米国特許第5,528,118号に記載されており、これらの全体をここに援用して本文の記載の一部とする。
【0039】
照明システム42はフレーム72によって支持される。フレーム72はアイソレータ54を介して大地に支持される。照明システム42は照明源を含み、照明システム42は、光などの放射エネルギーをマスクパターンを通してレチクル68上に照射するように配置される。レチクル68は粗動ステージ(コースステージ)と微動ステージ(ファインステージ)を含むレチクルステージによって支持され、そして、レチクルステージを用いて走査される。放射エネルギーは投影光学系46を通して合焦される。ここで投影光学系46は投影光学フレーム50上に支持され、アイソレータ54を介して地面に支持されてもよい。好適なアイソレータ54は、特平8−166475号及び米国特許第5,528,118号に記載されたアイソレータを含む。これらの全体をここに援用して本文の記載の一部とする。
【0040】
第1干渉計56は投影光学フレーム50上に支持され、ウェハテーブル51の位置を検出するように機能する。干渉計56はウェハテーブル51の位置に基づく情報をシステムコントローラー62に出力する。一実施形態において、ウェハテーブル51は、ウェハテーブル51に関連する振動を減らすダンパを有し、それによって干渉計56はウェハテーブル51の位置を正確に検出しうる。第2干渉計58が投影光学系46上に支持され、レチクル68を支持するレチクルステージ44の位置を検出する。干渉計58も位置情報をシステムコントローラー62に出力する。
【0041】
多くの異なる種類のフォトリソグラフィック装置又はフォトリソグラフィックデバイスがあることを理解すべきである。例えば、フォトリソグラフィ装置40、又は露光装置は、レチクル68とウェハ64を実質的に同期させて移動させつつ、レチクル68からウェハ64にパターンを露光する走査型フォトリソグラフィシステムとして使用されうる。走査型のリソグラフィックデバイスでは、レチクル68はレチクルステージ44によって、レンズアセンブリ(投影光学系46)又は照明システム42に対して垂直に移動される。ウェハ64はウェハステージ52によって投影光学系46の光軸に垂直に移動される。レチクル68及びウェハ64の走査は一般に、レチクル68及びウェハ64が実質的に同期して移動している間に行われる。
【0042】
あるいは、フォトリソグラフィ装置又は露光装置40は、レチクル68及びウェハ64が静止している間、つまり、約ゼロメートル毎秒のほぼ一定速度である間にレチクル68を露光するステップアンドリピート型のフォトリソグラフィシステムであってもよい。一回のステップアンドリピート処理において、個々の領域を露光する間、ウェハ64はレチクル68及び投影光学系46に対してほぼ一定の位置にある。後に、連続する露光工程の間に、ウェハ64はウェハポジショニングステージ52によって、露光用の投影光学系4
6及びレチクル68の光軸と垂直に連続的に移動される。このプロセスに続いて、レチクル68の像はウェハ64の領域に連続的に露光され、半導体ウェハ64の次の領域が、照明系42、レチクル68及び投影光学系46に相対する位置に搬送される。
【0043】
上記のフォトリソグラフィ装置又は露光装置40の使用は、半導体製造用のフォトリソグラフィシステムにおいて使用されることに限定されない。例えば、フォトリソグラフィ装置40は、液晶ディスプレイ(LCD)デバイスのパターンを矩形のガラス板に露光するLCDフォトリソグラフィシステムの一部、又は、薄膜磁気ヘッドを製造するためのフォトリソグラフィシステムの一部として使用されうる。照明システム42の照明源は、g線(436ナノメートル(nm))、i線(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)及びF2型レーザ(157nm)でありうる。
【0044】
投影光学系46に関して、エキシマレーザのような遠紫外光が用いられるときには、遠紫外光を透過する石英及び蛍石のようなガラス材料が好適に用いられる。F2型レーザー又はX線のいずれかが用いられるときには、投影光学系46はカタジオプトリック又は屈折型のいずれかにしうる。(レチクルは対応する反射型にしうる。)そして、電子ビームが用いられる場合には、電子ビームの光学系はエレクトロンレンズ及びデフレクターを備えうる。当業者によって理解されるように、電子ビームの経路は一般に減圧される。
【0045】
さらに、約200nm以下の波長の真空紫外光(VUV)放射を利用する露光装置で、カタジオプトリック型の光学システムの使用が考慮されうる。カタジオプトリック型の光学システムの例は、特許公開公報で公表された特開平8−171054号及びその対応米国特許第5,668,672号と、特開平10−20195号及びその対応米国特許第5,835,275号に含まれるが、これらに限定されない。また、これらの全体をここに援用して本文の記載の一部とする。これらの例では、反射型光学デバイスはビームスプリッタ及び凹面鏡を組み込んだカタジオプトリック光学システムになりうる。特許公開公報で公開された特開平8−334695号及びその対応米国特許第5,689,377号と、特開平10−3039号及びその対応米国特許第5,892,117号は、これらの全体をここに援用して本文の記載の一部とする。これらの例は凹面鏡を組み込んでいるがビームスプリッタを有さない反射−屈折型の光学システムを記載しており、これらも本発明の使用に好適でありうる。
【0046】
さらに、フォトリソグラフィシステムにおいて、リニアモータ(米国特許第5,623,853号又は第5,528,118号を参照。これらの開示全体をここに援用して本文の記載の一部とする。)をウェハステージ又はレチクルステージに使用するときには、エアベアリングを利用する空気浮揚型、あるいは、ローレンツ力又はリアクタンス力を利用する磁気浮揚型のいずれかにし得る。加えて、ステージはガイドに沿って移動してもよく、ガイドを有しないガイドレス型のステージであってもよい。
【0047】
あるいは、ウェハステージ又はレチクルステージは、二次元に配置されたマグネットを有するマグネットユニットと、二次元の対向する位置にコイルを有するアマチュアコイルユニットによって生じた電磁力の利用を通じてステージを駆動する平面モータによって駆動されうる。このタイプの駆動システムで、マグネットユニット又はアマチュアコイルユニットの一方はステージに結合され、他方はステージの移動している面側に載置される。
【0048】
上記のステージの移動は、フォトリソグラフィシステム全体の性能に影響しうる反力を生じる。ウェハ(基板)ステージの移動によって生じる反力は、上記のように、並びに、米国特許第5,528,118号及び特開平8−166475号に記載のように、フレーム部材の使用によって床又は地面に機械的に逃がしうる。加えて、レチクル(マスク)ス
テージの移動によって生じる反力は、米国特許第5,874,820号に記載され、特開平8−330224号に公開されているように、フレーム部材の使用によって、床(大地)に機械的に逃がしうる。これらの全体をここに援用して本文の記載の一部とする。
【0049】
アイソレータ54のようなアイソレータは、一般にアクティブ防振システム(AVIS)に関連しうる。AVISは、力112、つまり、振動力に関連する振動を一般に制御する。振動はステージアセンブリによって経験され、より一般的には、ステージアセンブリを含むフォトリソグラフィ装置40のようなフォトリソグラフィ機によって経験される。
【0050】
上記実施形態に従うフォトリソグラフィシステム、例えば一以上のデュアルフォースアクチュエータを含みうるフォトリソグラフィ装置は、規定の機械精度、電気精度及び光学精度が維持されるような方法で種々のサブシステムを組み合わせて組み立てうる。種々の精度を維持するために、組合せの前後に、実質的に全ての光学システムは、光学精度を達成するように調整されうる。同様に、実質的に全ての機械システム及び実質的に全ての電気システムは、それぞれ所望の機械精度及び電気精度を達成するように調整されうる。各サブシステムをフォトリソグラフィシステムに組み合わせるプロセスは、各サブシステムにおける、メカニカルインターフェース、電気回路の配線接続、及び圧空配管の構築を含むが、これらに限定されない。各サブシステムからフォトリソグラフィシステムを組み合わせることに先がけて、各サブシステムを組み上げるプロセスもある。フォトリソグラフィシステムが、種々のサブシステムを用いて組み立てられると、全体の調整は、実質的に全ての所望の精度がフォトリソグラフィシステム全体で維持されることを確保するように、一般に実施される。加えて、露光システムは、温度及び湿度が管理されているクリーンルームで製造されることが望ましい。
【0051】
さらに、半導体デバイスは、
図8を参照して論じられるように、上記のシステムを用いて製造されうる。プロセスは、半導体デバイスの機能特性及び性能特性が設計され、あるいは決定される工程1301で始まる。次に、工程1302において、パターンを有するレチクル(マスク)が半導体デバイスの設計に基づいて設計される。並行する工程1303において、ウェハがシリコン材料から形成されることは理解されるべきである。工程1302で設計されたマスクパターンは、工程1304において、フォトリソグラフィシステムによって、工程1303で製造されたウェハ上に露光される。マスクパターンをウェハ上に露光する1つのプロセスは、
図9を参照して以下に説明する。工程1305において、半導体デバイスが組み立てられる。半導体デバイスの組立ては、一般に、ウェハダイシングプロセス、ボンディングプロセス、パッケージプロセスを含むが、これらに限定されない。最後に、完成したデバイスが工程1306において検査される。
【0052】
図9は、本発明の実施形態に従う、半導体製造の場合におけるウェハ処理に関連する工程を示すプロセス流れ図である。工程1311においては、ウェハ表面が酸化処理される。それから、化学蒸着(CVD)工程である工程1312においては、絶縁膜がウェハ表面上に形成されうる。いったん絶縁膜が形成されると、工程1313において、電極が蒸着によってウェハ上に形成される。それから、工程1314においては、イオンが、実質的に任意の好適な方法を用いてウェハに注入されうる。当業者によって理解されるように、工程1311−1314は、一般にウェハ処理中のウェハに対する前処理工程であると考えられる。さらに、例えば、工程1312における絶縁膜の形成に使用する種々の化学物質の濃度等の、各工程においてなされた選択は、処理の要請に基づいてなされうるということは理解されるべきである。
【0053】
ウェハ処理の各段階で、前処理工程が完了したとき、後処理工程が実行されうる。後処理の間、最初に工程1315において、フォトレジストがウェハに塗布される。それから、工程1316において、露光装置を用いてレチクルの回路パターンをウェハに転写しうる。レチクルの回路パターンのウェハへの転写は、一般にレチクル走査ステージを走査することを含み、一実施形態では、レチクル走査ステージは振動を減衰させるダンパを含みうる。
【0054】
レチクルの回路パターンがウェハに転写された後、露光されたウェハ工程1317において現像される。いったん、露光されたウェハが現像されると、例えば露光された材料表面等の残留したフォトレジスト以外の部分は、エッチングにより除去されうる。最後に、工程1319において、エッチング後に残っている不必要なフォトレジストが除去されうる。当業者によって理解されるように、多重の回路パターンは、前処理工程及び後処理工程の繰り返しを通じて形成されうる。
【0055】
本発明の2、3の実施形態のみが記載されているが、本発明は、本発明の精神又は範囲から離れることなく、多くの他の特定の形態で実施されうる。例として、実質的に平坦で一様な高さの、全体として平面状の表面を有するウェハテーブル構造体の使用は、液浸リソグラフィシステムにおいて、液体で満たされた小さな空隙又は流体で満たされた小さな空隙を、投影レンズとウェハテーブルの表面との間に維持することができるような使用に対して好適であるとして記載されているが、そのようなウェハテーブルは液浸リソグラフィシステムの一部としての使用に限られない。
【0056】
走査されるべき物体を支持し、比較的平坦で実質的に一様な上面を有するテーブルは、ウェハテーブルであるとして概して記載してきた。そのようなテーブルはウェハテーブルに限られない。例えば、レチクルテーブルも比較的平坦で実質的に一様な上面を持ちうる。あるいは、例えばLCD製造用、顕微鏡標本用等のガラスプレートのような基板テーブル支持体も実質的に平坦で平面状の表面を有しうる。
【0057】
ウェハテーブル構造体内で支持されて、その上面がウェハテーブルの上面とほぼ同じ高さであるコンポーネントは、ドーズセンサー、ドーズムラセンサー、空間像センサー、基準平面及び基準マークを含むとして記載してきた。しかしながら、任意の好適な付加コンポーネントがウェハテーブル構造体に支持されうる。そのとき、付加コンポーネントの上面は、ウェハテーブルの上面と実質的に同一面となる。さらに、ウェハテーブル構造体は、ドーズセンサー又はドーズムラセンサー、空間像センサー、基準平面及び基準マークを含みうるが、ウェハテーブル構造体はドーズセンサー又はドーズムラセンサー、空間像センサー、基準平面及び基準マークを必ずしも含まなくてもよい。つまり、ウェハテーブル構造体は、ウェハテーブル構造体の全上面とほぼ同じ高さである上面を有する、1つ程の少ないコンポーネントを含んでもよい。
【0058】
ウェハテーブル構造体の全上面とほぼ面一である上面を有するようにウェハテーブル上に支持された実質的に全てのコンポーネントについて、ウェハテーブル構造体は各コンポーネントの底面を異なる高さで支持する必要があり得ることは、理解されるべきである。つまり、コンポーネントの底面は、全ての上面がウェハテーブル構造体の全上面とほぼ面一となるようにコンポーネントの上面を向けることを可能にするために、異なる高さで支持されなければならないかもしれない。
【0059】
ウェハテーブル及びウェハテーブル上に位置付けられたプレートのように、ウェハテーブル構造体を形成するように用いられた材料は、幅広く変更しうる。プレートはテフロン(登録商標)で形成されているとして記載したが、プレートは、実質的に任意の好適な材料で形成されうることは理解されるべきである。従って、本願の実施例は例示的であって限定的ではないと考えられるべきであり、本発明は本願に記載された詳細に限定されず、添付されたクレームの範囲内で変更しうる。