【0008】
小麦粉の空気輸送方法は特に限定はなく、圧送方式や吸引方式を使用することができる。
循環輸送することによる加熱も可能である。
混合比は、1以上10以下である。
本発明の混合比とは、空気の輸送流量(kg/h)/小麦粉の輸送流量(kg/h)で求められる。
空気輸送では、混合比は適宜選択され高濃度輸送なども行われているが、本発明においてグルテン失活を起こさずグルテン変性を効率的に起こす熱処理を行うには、その混合比が、1以上10以下となる条件が必要である。
混合比が1未満の場合はグルテン変性が不十分となり不適当であり、混合比が10を超えるとグルテンが失活してしまい不適当である。
好ましい混合比は、3以上6以下である。
グルテンは熱処理をすることにより弾力が増すといった加工性に変化が生じるという変性を起こすことが知られており、さらに強い熱処理をした場合にはグルテンが失活して加工性を著しく損なうことも知られている。
湿熱処理やパドルドライヤーによる熱処理では水蒸気や金属の熱伝導率が高いため、同じ温度、時間で熱処理を行った場合グルテン失活や焦げが生じるが、空気加熱ではこれが起こらずにグルテン変性のみを起こすことが可能である。
【実施例】
【0011】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜12、比較例1〜9]食パン
強力小麦粉(日本製粉株式会社製 商品名:イーグル)を熱交換器により過熱した空気によりブロアーを使用して輸送圧力0.2kPaで空気輸送し、表1〜3に示す処理時間、空気温度、混合比で熱処理しパン用熱処理小麦粉を得た。
前記強力小麦粉は水分13.5質量%ベースで水分補正し試験を行った。
小麦粉の水分をm質量%とした場合の水分補正の方法は次のとおりである。
小麦粉の実際の使用量(単位:質量部)=100×(100−m)/(100−13.5)
水の実際の使用量(単位:質量部)=(100+加水量)−小麦粉の実際の使用量
食パンの製造及び評価方法は次のとおりである。
1.小麦粉100質量部、イースト2.5質量部、イーストフード0.1質量部、塩2質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部に水70質量部を加え、低速2分、中速4分間ミキシングしショートニング5質量部を加えて、さらに低速1分間、中速5分間ミキシングして生地を得た。
2.生地を60分間フロアタイムをとった後、240gに分割しベンチタイムを20分間とった。
3.分割した生地を4つプルマン2斤型の型に入れさらにホイロを40分間とった後、200℃35分間焼成し食パンを得た。
[評価]
これを10名の熟練のパネラーにより、以下の評価基準で評価を行った。
生地性
5点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが非常によい
4点・・・生地の弾力と伸展性のバランスがよい
3点・・・普通
2点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが悪い
1点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが非常に悪い
食感
5点・・・ソフトで口溶け良い
4点・・・ややソフトで口溶け良い
3点・・・普通
2点・・・やや硬く団子状になり、口溶け悪い
1点・・・硬く団子状になり、口溶け悪い
総合評価は、◎、○、△、×の順に悪い評価となる。
結果を表1〜3に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
[実施例13〜24、比較例10〜18]フランスパン
フランスパン用小麦粉(日本製粉株式会社製 商品名:Fナポレオン)を熱交換器により過熱した空気によりブロアーを使用して輸送圧力0.2kPaで空気輸送し、表1〜3に示す処理時間、空気温度、混合比で熱処理しパン用熱処理小麦粉を得た。
前記フランスパン用小麦粉(は水分13.5質量%ベースで水分補正し試験を行った。
小麦粉の水分をm質量%とした場合の水分補正の方法は次のとおりである。
小麦粉の実際の使用量(単位:質量部)=100×(100−m)/(100−13.5)
水の実際の使用量(単位:質量部)=(100+加水量)−小麦粉の実際の使用量
食パンの製造及び評価方法は次のとおりである。
1.小麦粉100質量部、インスタントドライイースト0.5質量部、塩2質量部、モルト0.3質量部に水68質量部を加え、低速5分、中速3分間ミキシングして生地を得た。
2.生地を60分間フロアタイムをとった後、300gに分割しベンチタイムを25分間とった。
3.分割した生地をバゲットの形に整形し、さらにホイロを60分間とった後生地にクープ(切れ込み)を入れ240℃30分間焼成しフランスパンを得た。
[評価]
これを10名の熟練のパネラーにより、以下の評価基準で評価を行った。
生地性
5点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが非常によい
4点・・・生地の弾力と伸展性のバランスがよい
3点・・・普通
2点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが悪い
1点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが非常に悪い
食感
5点・・・クラストのサクミがあり、噛み応えがある
4点・・・クラストのサクミがややあり、噛み応えがややある
3点・・・普通
2点・・・クラストのサクミがやや弱く、噛み応えがやや弱い
1点・・・クラストのサクミが弱く、噛み応えが弱い
総合評価は、◎、○、△、×の順に悪い評価となる。
結果を表4〜6に示す。
【0016】
【表4】
【0017】
【表5】
【0018】
【表6】