【実施例】
【0039】
(実施例1)
Fe
2O
3とMgFe
2O
4仮焼粉を準備し、Fe
2O
3:MgFe
2O
4=1:1(モル比)となるように秤量した。原料の配合比は、組成式Mg
xFe
3−xO
4+δにおいて、x=0.6に相当するものである。分散剤としてポリカルボン酸アンモニウムを、媒体液中濃度が1%となるように添加した純水中に、秤量したFe
2O
3とMgFe
2O
4仮焼粉を分散させ混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)で粉砕処理し、スラリーを得た。
【0040】
得られたスラリーをスプレードライヤーにて約150℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒物を得た。そして、篩を用いて粒径が100μmを超える造粒物を除去した。得られた乾燥造粒物を、電気炉に投入して、酸素濃度1%の雰囲気下にて、1200℃で3時間焼成した後、直ちに急冷して焼成物を得た(温度T:1200℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力):1.0×10
−2、T×logP
O2=−2400)。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。なお、フェライト粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラック、Model 9320−X100)を用いて測定したものである。
【0041】
得られたフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を下記方法で測定した。また、フェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0042】
(酸素過剰量δの測定方法)
Mg
xFe
3−xO
4+δにおいて、Mgは2価(+2)、Oは2価(−2)であるから、Mg
xFe
3−xO
4+δ格子中に酸素過剰がない(δ=0)場合、Feの理論価数は下記式から算出される。
Feの理論価数={(8−2x)/(3−x)}
一方、格子中に酸素過剰が存在する場合、Feの平均価数は下記式から算出される。
Feの平均価数={(4+δ)×2−2x}/(3−x)
=(8−2x+2δ)/(3−x)
=(8−2x)/(3−x)+2δ/(3−x)
=Feの理論価数+2δ/(3−x)
したがって、Mg
xFe
3−xO
4+δ格子中の酸素過剰量δは下記式から求められる。
δ=(3−x)/2(Feの平均価数−Feの理論価数)
【0043】
なお、Feの平均価数は次のようにして求める。まず、フェライト粒子を、炭酸ガスのバブリング中で還元性の酸である塩酸(HCl)水に溶解させ溶液とする。その後、当該溶液中のFe
2+イオンの量を過マンガン酸カリウム溶液で電位差滴定することにより定量分析し、当該滴定量からFe
2+の定量値(α)を求める。
次に、フェライト粒子を上記と同量秤量し、塩酸と硝酸の混酸水に溶解させ溶液とする。次いで、当該溶液を蒸発乾固させた後、乾固物に硫酸水を添加して再溶解させて溶液とし、過剰な塩酸と硝酸を揮発させる。当該溶液へ固体Alを添加して、溶液中のFe
3+をFe
2+に還元する。続いて、この還元された溶液のFe
2+イオンの量を、過マンガン酸カリウム溶液で電位差滴定することにより定量分析し、当該滴定量から総Feの定量値(β)を求める。
次いで、総Feの定量量(β)からFe
2+の定量値(α)を引いて、フェライト粒子のFe
3+量とする。そして、以下式からFeの平均価数を算出する。
Fe平均価数={3×(β−α)+2×α}/β
【0044】
(飽和磁化測定)
フェライトの磁気特性は、VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて磁化率の測定を行い、印加磁場10kOeにおける飽和磁化σ
s(emu/g)を測定した。
【0045】
(電気抵抗測定)
表面を電解研磨した厚さ2mmの電極としての真鍮板2枚を、距離2mm離して対向するように配置した。電極間にフェライト粒子200mgを装入した後、それぞれの電極の背後に、断面積240mm
2の磁石(表面磁束密度が1500ガウスのフェライト磁石)を配置して、電極間にフェライト粒子のブリッジを形成させた。そして、10Vから1000Vまでの直流電圧を電極間に印加し、フェライト粒子に流れる電流値を測定し、フェライト粒子の電気抵抗を算出した。
【0046】
(画像評価)
シリコーン系樹脂(信越化学製、KR251)をトルエンに溶解させて被覆樹脂溶液を作製した。そして、フェライト粒子と被覆樹脂溶液とを重量比で9:1の割合にて撹拌機に投入し、フェライト粒子を樹脂溶液に浸漬しながら150〜250℃で3時間加熱撹拌した。この樹脂被覆されたフェライト粒子を、熱風循環式加熱装置にて250℃で5時間加熱し樹脂被覆層を硬化させてキャリアを得た。
得られたキャリア92重量%と、フルカラー複写機のトナー(シアン)8重量%をV型混合機で混合して電子写真現像剤とした。この電子写真現像剤を、現像バイアス電圧として交流バイアス電圧を印加する、デジタル反転現像方式の20枚/分の画像形成装置をベースにした評価機に投入して、初期、50K枚、100K枚、150K枚時にグレー画像を出力させた。そして、キャリア付着に起因するホワイトスポットの有無に着目して下記基準により画像評価を行った。
「◎」は非常に良好
「○」は良好
「△」は使用可能なレベル
「×」は使用不可
【0047】
(実施例2)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが1000℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−2、T×logP
O2=−2000のところで急冷した以外は、実施例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0048】
(実施例3)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが800℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−2、T×logP
O2=−1600のところで急冷した以外は、実施例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0049】
(実施例4)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが600℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−2、T×logP
O2=−1200のところで急冷した以外は、実施例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0050】
(実施例5)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが400℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−2、T×logP
O2=−800のところで急冷した以外は、実施例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0051】
(実施例6)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが25℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−2、T×logP
O2=−50のところで焼成物を得たこと以外は実施例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0052】
(実施例7)
x=0.4となるように、Fe
2O
3とMgFe
2O
4仮焼粉とを9:4(モル比)で配合した以外は、実施例1と同様にして造粒物を得た。そして、焼成工程において、酸素濃度0.1%の雰囲気下で造粒物を1200℃で3時間焼成した後、直ちに急冷して焼成物を得た(温度T:1200℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力):1.0×10
−3、T×logP
O2=−3600)。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0053】
(実施例8)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが1000℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−3、T×logP
O2=−3000のところで急冷した以外は、実施例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0054】
(実施例9)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが800℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−3、T×logP
O2=−2400のところで急冷した以外は、実施例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0055】
(実施例10)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが600℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−3、T×logP
O2=−1800のところで急冷した以外は、実施例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0056】
(実施例11)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが400℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−3、T×logP
O2=−1200のところで急冷した以外は、実施例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0057】
(実施例12)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが25℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が1.0×10
−3、T×logP
O2=−75のところで焼成物を得たこと以外は実施例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0058】
(実施例13)
x=0.2となるように、Fe
2O
3とMgFe
2O
4仮焼粉とを6:1(モル比)で配合し、さらに還元剤としてのカーボンブラックをFe2O3とMgFe2O4仮焼粉の総量に対して0.75wt%配合したこと以外は、実施例1と同様にして造粒物を得た。そして、焼成工程において、酸素濃度0.03%の雰囲気下で造粒物を1200℃で3時間焼成した後、直ちに急冷して焼成物を得た(温度T:1200℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力):2.0×10
−4、T×logP
O2=−4439)。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0059】
(実施例14)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが1000℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10
−4、T×logP
O2=−3699のところで急冷した以外は、実施例13と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0060】
(実施例15)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが800℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10
−4、T×logP
O2=−2959のところで急冷した以外は、実施例13と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0061】
(実施例16)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが600℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10
−4、T×logP
O2=−2219のところで急冷した以外は、実施例13と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0062】
(実施例17)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが400℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10
−4、T×logP
O2=−1480のところで急冷した以外は、実施例13と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0063】
(実施例18)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが25℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10
−4、T×logP
O2=−92のところで焼成物を得たこと以外は実施例13と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0064】
(比較例1)
x=0.7となるように、MgOとFe
2O
3とを7:3(モル比)で配合した以外は、実施例1と同様にして造粒物を得た。そして、焼成工程において、窒素雰囲気下で造粒物を1200℃で3時間焼成した後、直ちに急冷して焼成物を得た(温度T:1200℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力):2.0×10
−4、T×logP
O2=−92)。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0065】
(比較例2)
x=0.45となるように、MgOとFe
2O
3とを8:23(モル比)で配合した以外は、実施例1と同様にして造粒物を得た。そして、焼成工程において、窒素雰囲気下で造粒物を1200℃で3時間焼成した後、直ちに急冷して焼成物を得た(温度T:1200℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力):2.0×10
−4、T×logP
O2=−92)。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0066】
(参考例1)
Fe
2O
3とMgFe
2O
4仮焼粉を準備し、Fe
2O
3:MgFe
2O
4=3:8(モル比)となるように秤量した。原料の配合比は、組成式Mg
xFe
3−xO
4+δにおいて、x=0.8に相当するものである。分散剤としてポリカルボン酸アンモニウムを、媒体液中濃度が1%となるように添加した純水中に、秤量したFe
2O
3とMgFe
2O
4仮焼粉を分散させ混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)で粉砕処理し、スラリーを得た。
【0067】
得られたスラリーをスプレードライヤーにて約150℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒物を得た。そして、篩を用いて粒径が100μmを超える造粒物を除去した。得られた乾燥造粒物を、電気炉に投入して、大気フロー雰囲気下にて、1200℃で3時間焼成した後、直ちに急冷して焼成物を得た(温度T:1200℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力):2.1×10
−1、T×logP
O2=−813)。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、フェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0068】
(参考例2)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが1000℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.1×10
−1、T×logP
O2=−678のところで急冷した以外は、参考例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0069】
(参考例3)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが800℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.1×10
−1、T×logP
O2=−542のところで急冷した以外は、参考例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0070】
(参考例4)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが600℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.1×10
−1、T×logP
O2=−407のところで急冷した以外は、参考例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0071】
(参考例5)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが400℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.1×10
−1、T×logP
O2=−271のところで急冷した以外は、参考例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0072】
(参考例6)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが25℃、酸素分圧P
O2(酸素圧力/全体圧力)が2.1×10
−1、T×logP
O2=−17のところで焼成物を得たこと以外は参考例1と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのMgフェライト粒子を得た。
得られたMgフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、Mgフェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0073】
(参考例7)
Fe2O3のみを準備し秤量したこと、さらに還元剤としてのカーボンブラックをFe2O3の総量に対して1wt%配合したこと以外は、実施例1と同様にして造粒物を得た。そして、焼成工程において、酸素濃度0.03%の雰囲気下で造粒物を1200℃で3時間焼成した後、直ちに急冷して焼成物を得た(温度T:1200℃、酸素分圧PO2(酸素圧力/全体圧力):2.0×10−4、T×logPO2=−4439)。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのフェライト粒子を得た。
得られたフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、フェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0074】
(参考例8)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが1000℃、酸素分圧PO2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10−4、T×logPO2=−3699のところで急冷した以外は、参考例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのフェライト粒子を得た。
得られたフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、フェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0075】
(参考例9)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが800℃、酸素分圧PO2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10−4、T×logPO2=−2959のところで急冷した以外は、参考例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのフェライト粒子を得た。
得られたフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、フェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0076】
(参考例10)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが600℃、酸素分圧PO2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10−4、T×logPO2=−2219のところで急冷した以外は、参考例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのフェライト粒子を得た。
得られたフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、フェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0077】
(参考例11)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが400℃、酸素分圧PO2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10−4、T×logPO2=−1480のところで急冷した以外は、参考例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのフェライト粒子を得た。
得られたフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、フェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0078】
(参考例12)
焼成工程において、造粒物を1200℃で3時間焼成した後、冷却段階において温度Tが25℃、酸素分圧PO2(酸素圧力/全体圧力)が2.0×10−4、T×logPO2=−92のところで焼成物を得たこと以外は、参考例7と同様にして焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕処理した後、篩を用いて粗粒及び微粒を除去し、平均粒子径45μmのフェライト粒子を得た。
得られたフェライト粒子の酸素過剰量δ、飽和磁化σs、電気抵抗を実施例1と同様にして測定すると共に、フェライト粒子を樹脂被覆してキャリアとし評価機に投入し、画像評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例1〜
18のフェライト粒子は、酸素過剰量δが0.029〜0.173であり、所望の飽和磁化及び高い電気抵抗を有していた。また、これらのフェライト粒子を用いたキャリアでは、150Kの耐刷試験後でも、実使用上支障来すようなホワイトスポットは発生しなかった。これに対して、比較例1及び比較例2のMgフェライト粒子は、還元雰囲気で焼成したため、酸素過剰量δがゼロとなり、所望の飽和磁化及び電気抵抗が得られなかった。このため、比較例1及び比較例2のMgフェライト粒子を用いたキャリアでは、実使用上支障を来すようなホワイトスポットが発生した。
【0081】
前記実施例で作製した各フェライト粒子の結晶構造を確認するため、参考例1〜6のフェライト粒子についてX線回折(「XRD」X-ray diffraction)分析を行った。
図1にXRD分析の結果を示す。この図から明らかなように、参考例1〜6のフェライト粒子は、Fe
2O
3相を若干含むものの、ほぼ単相のMgFe
2O
4で構成されていることがわかる。
【0082】
また、前記実施例で作製した各粒子が、フェライトと酸素との連続固溶体であることを確認するため、参考例1〜6の粒子について、酸素化学ポテンシャルμ
O2及びXRDパターンから求めた格子定数を求め、それらの関係を調べた。
図2に、酸素化学ポテンシャルμ
O2と格子定数との関係を示す。この図から明らかなように、酸素化学ポテンシャルμ
O2が大きくなると共に、格子定数も増えている。したがって、参考例1〜6で作製した各粒子は、フェライトと酸素との連続固溶体であることがわかる。