(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィ(フォトリソグラフィ又は単純にリソグラフィとも呼ばれる)は、集積回路、液晶ディスプレイ、及び他の微細構造デバイスの製作のための技術である。マイクロリソグラフィの工程は、エッチング処理と共に基板、例えば、シリコンウェーハ上に形成された薄膜積層体内に特徴部をパターン形成するのに用いられる。製作の各層では、ウェーハは、最初に、深紫外(DUV)光又は極紫外(EUV)光のような放射線に敏感な材料であるフォトレジストで被覆される。次に、上部にフォトレジストを有するウェーハは、投影露光装置内で投影光に露光される。この装置は、パターンを含むマスクをフォトレジスト上に、フォトレジストが、マスクパターンによって決められるある一定の位置でのみ露光されるように投影する。露光の後に、フォトレジストは現像され、マスクパターンに対応する像が生成される。次に、エッチング処理が、パターンをウェーハ上の薄膜積層体内に転写する。最終的にフォトレジストが除去される。異なるマスクを用いるこの工程の繰返しにより、多層微細構造構成要素がもたらされる。
【0003】
一般的に、投影露光装置は、マスクを照明するための照明系、マスクを整列させるためのマスク台、投影対物系、及びフォトレジストで被覆されたウェーハを整列させるためのウェーハ整列台を含む。照明系は、例えば、矩形又は湾曲したスリットの形状を有することができる視野をマスク上で照明する。
【0004】
理想的には、照明系は、マスク上の照明視野の各点を明確に定められた強度分布及び角度分布を有する投影光で照明する。角度分布という用語は、マスク上の特定の点に対して収束する光束の全光エネルギが、光束を構成する光線の様々な方向の間で如何に配分されるかを表している。
【0005】
マスク上に入射する投影光の角度分布は、通常、フォトレジスト上に投影されるパターンの種類に適合される。例えば、比較的大きいサイズの特徴部は、小さいサイズの特徴部とは異なる角度分布を必要とする可能性がある。投影光の最も一般的に、用いられる角度分布は、従来照明設定、環状照明設定、二重極照明設定、及び四重極照明設定と呼ばれる。これらの用語は、照明設定のシステム瞳面内の強度分布を意味する。例えば、環状照明設定では、システム瞳面内で環状領域のみが照明される。従って、投影光の角度分布には僅かな角度範囲しか存在せず、それによって全ての光線は、類似の角度でマスク上に傾斜して入射する。
【0006】
当業技術では、望ましい照明設定を得るように、マスク平面内の投影光の角度分布を修正する様々な手段は公知である。マスク平面に異なる角度分布を生成するのに最大の柔軟性を得るために、瞳面を照明するミラーアレイを用いることが提案されている。
【0007】
EP 1 262 836 A1では、ミラーアレイは、1000個よりも多くの微細なミラーを含むマイクロ電気機械システム(MEMS)として達成される。ミラーの各々は、2つの直交する傾斜軸の回りに傾斜させることができる。それによってそのようなミラーデバイス上に入射する放射線を半球のほぼあらゆる望ましい方向に反射することができる。ミラーアレイと瞳面の間に配置されたコンデンサーレンズは、ミラーによって生成される反射角を瞳面内の位置に変換する。この公知の照明系は、各々が1つの特定のミラーに関連付けられ、このミラーを傾斜させることによって瞳面にわたって自由に移動させることができる複数のスポットで瞳面を照明することを可能にする。
【0008】
類似の照明系が、US 2006/0087634 A1、US 7,061,582 B2、及びWO 2005/026843 A2から公知である。
【0009】
理想的には、瞳面内の各スポットは同じ強度を有する。これは、ミラーアレイのミラー(又は先行するマイクロレンズアレイのマイクロレンズ)も同様に等しい強度で照明されることを必要とする。しかし、そのような照明系において一般的に用いられる光源によって生成される光ビームの強度は、ビームの断面にわたって大きく変化する。従って、光源とミラーアレイの間に何らかの種類の光混合要素が必要である。
【0010】
WO 2009/080279 A1は、上述の特定の目的で光混合要素として用いることができる様々なデバイスを解説している。一実施形態では、ハニカムコンデンサーとして構成される光学インテグレータが、光混合要素として用いられる。光学インテグレータは、各々が球面マイクロレンズのアレイを含む2つの光学ラスタ要素(多くの場合にチャンネル板と呼ばれる)を含む。第1のチャンネル板のマイクロレンズをより均一に照明するのに役立つ付加的なデバイス、例えば、振動ミラーが提案されている。このデバイスは、これらのマイクロレンズ内で発生する時間平均光強度を低減する。照明系のこの部分では高エネルギ投影光が依然として小さい断面及び小さい発散を有するので、過度に高い光強度によってチャンネル板内にもたらされる損傷は問題である。特に、正の屈折力を有するマイクロレンズ内、又はその後方では、光エネルギは、多くの場合に、非常に小さい空間領域内に凝集される。この場合、これらの空間領域内にある光学材料は、少なくとも長期的には、影響を受ける光学要素の光学特性に悪影響を及ぼす材料劣化を受ける可能性がある。
【0011】
この問題は、光強度を約1.5倍だけ高めることになる次の段階の投影光源の導入によってより一層重大になる。そのような高い光強度では、特に光学インテグレータの第2の光学ラスタ要素が、投影光による損傷を受け易いことが見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明系内に含まれ、ミラーアレイ又はミラーアレイに先行するマイクロレンズアレイを均一に照明するために光を混合する光学インテグレータ内の第1のチャンネル板として用いられるのに適する光学ラスタ要素を提供することである。この光学ラスタ要素は、そうでなければ第2のチャンネル板及び/又は第2のチャンネル板の直後に配置された光学要素の光学特性に悪影響を及ぼすことになる材料劣化が阻止されるように、第2のチャンネル板及び/又はその後の光学要素内に発生する最大光強度を低減することになる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によると、上述の目的は、平面又は曲面上に延びる屈折光学要素のアレイを含む光学ラスタ要素によって達成される。光学要素のうちの少なくとも2つは、2mmよりも短いピッチで基準方向に沿って並んで配置される。更に、少なくとも2つの光学要素は、上述の面に対して垂直に50μmよりも低い高さを有する。基準方向に沿った少なくとも2つの光学要素の面プロフィールは、中心区画と、中心区画に隣接する2つの移行区画と、移行区画に隣接する2つの端部区画とを含む。2つの移行区画内の曲率は、中心区画及び端部区画内の曲率よりも大きい。
【0015】
そのような光学ラスタ要素は、光学インテグレータ内の第1のチャンネル板として用いられた場合に、第2のチャンネル板内、又はその直後に発生する最大光強度を大幅に低減することが見出された。次の段階の高出力投影光源の場合であっても、材料劣化を阻止することができる。それにも関わらず、第1のチャンネル板の機能、すなわち、全ての入射光を第2のチャンネル板の関連付けられたマイクロレンズ上に誘導することを完全に維持することができる。最大光強度のこの低減は、幾何光学だけに基づいて説明することはできず、上述の条件の下で有意になる投影光の波動特性に対処することによってのみ説明することができる。
【0016】
シミュレーションは、少なくとも小さい発散を有する投影光において最大強度を2/3倍程度低減することができることを示している。発散が増大すると、最大光強度に対するそのような面プロフィールの正の効果は減少する。
【0017】
光学ラスタ要素は、チャンネル板が非常に長い距離だけ分離される光学インテグレータ内の第1のチャンネル板として用いられるように意図したものであるから、少なくとも2つの光学要素の高さは、50μmよりも低く、好ましくは、25μmよりも低く、依然としてより好ましくは、10μmよりも低い。
【0018】
少なくとも2つの光学要素の非常に低い高さの結果として、平坦な中心区画は、研磨布又は磁性流体を用いて円弧プロフィールを研磨することによっては製造することができない。そのような方法は、マスク平面の中心において光エネルギの集中を提供するように、第2のチャンネル板上のマイクロレンズの頂点ゾーンを平坦化することに対してWO 2007/093436に説明されている。代替的に、光学ラスタ要素の光学要素は、フライカット(US 2009/0021839 Aを参照されたい)又はグレートーンリソグラフィ製造技術を用いて製造することができる。少なくともある一定の状況下では、例えば、溶融シリカを材料として用いる場合には、イオンビームエッチング及び成形を適用可能にすることができる。
【0019】
中心区画及び/又は端部区画内の曲率がゼロである場合には、これらの区画内のプロフィールは直線になる。移行区画におけるものを除く全ての曲率がゼロである場合には、移行区画の曲率が大きくなる程、プロフィールは二等辺台形の形状に近づく。移行区画内に非常に大きい曲率を有する場合には、面プロフィールは、少なくとも実質的に二等辺台形の形状を有することになる。
【0020】
一実施形態では、中心区画内の曲率は、端部区画内の曲率に等しいか又はそれよりも大きい。光学要素の高さがかなり高い場合には、そのようなプロフィールは、頂点ゾーンを平坦化することによっては円弧プロフィールから製造することができないことに注意されたい。
【0021】
別の実施形態では、面プロフィールは、更に低い高さを有する複数のフレネルゾーン要素へと再分割される。
【0022】
同じく本発明の主題は、上述の光学ラスタ要素と、第2のチャンネル板として用いられ、更に別の平面又は曲面上に延びる更に別の屈折光学要素の更に別のアレイを含み、かつ光伝播方向に沿って上述の光学ラスタ要素の背後に配置された更に別の光学ラスタ要素とを含む光学インテグレータである。
【0023】
同じく本発明の主題は、光伝播方向に沿って上述の光学インテグレータと、集光光学系と、ミラーアレイとを含むマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明系である。
【0024】
集光光学系は、屈折光学要素の更に別のアレイに隣接することができる第1の面と、第2の面、例えば、ミラーアレイ又はミラーアレイを照明するマイクロレンズアレイとの間にフーリエ関係を確立する。
【0025】
照明系は、ミラーアレイの背後に更に別の集光光学系及び更に別の光学インテグレータを含むことができる。
【0026】
同じく本発明の主題は、上述の光学ラスタ要素と同じ遠視野強度分布を生成するように構成されたホログラフィック回折光学要素である。
【0027】
そのようなホログラフィック回折光学要素は、光学ラスタ要素を含む光学インテグレータの第1のチャンネル板として用いることができ、光学ラスタ要素は、平面又は曲面上に延びる屈折光学要素のアレイを含み、光伝播方向に沿って回折光学要素の背後に配置され、従って、光学インテグレータの第2のチャンネル板を形成する。
【0028】
本発明の様々な特徴及び利点は、以下の詳細説明を添付図面と併せて参照することによってより容易に理解することができるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
I.投影露光装置の一般的な構成
図1は、投影光ビームを生成する照明系12を含む投影露光装置10の大幅に簡略化した斜視図である。投影光ビームは、微小構造18を含むマスク16上の照明視野14を照明する。この実施形態では、照明視野14は、リングセグメントの形状を有する。しかし、照明視野14の他の形状、例えば、矩形も考えられている。
【0031】
投影対物系20は、照明視野14内の構造18を基板24によって支持される感光層22、例えば、フォトレジスト上に結像する。シリコンウェーハによって形成することができる基板24は、感光層22の上面が、投影対物系20の像平面に厳密に位置するように、ウェーハ台(図示せず)上に配置される。マスク16は、マスク台(図示せず)を用いて、投影対物系20の物体平面に位置決めされる。投影対物系20は、|β|<1である倍率βを有するので、照明視野14内の構造18の縮小像14’が感光層22上に投影される。
【0032】
投影中に、マスク16及び基板24は、
図1に示しているY方向に一致する走査方向に沿って移動する。この場合、照明視野14は、照明視野14よりも大きい構造区域を連続的に投影することができるように、マスク16にわたって走査する。そのような種類の投影露光装置は、多くの場合に「ステップアンドスキャンツール」又は単純に「スキャナ」と呼ばれる。基板24の速度とマスク16の速度の間の比は、投影対物系20の倍率βに等しい。投影対物系20が像を反転する場合は(β<0)、マスク16と基板24とは、
図1に矢印A1とA2とで示しているように反対方向に移動する。その一方で本発明は、マスク16と基板24とがマスクの投影中に移動しないステッパツールに対して用いることができる。
【0033】
II.照明系の一般的な構成
図2は、
図1に示している照明系12を通る子午断面である。
図2の図は、明瞭化の目的で大幅に簡略化したものであり、正確な縮尺のものではない。これは特に、異なる光学ユニットを1つ又はごく少数の光学要素だけで表していることを意味する。現実にはこれらのユニットは、有意に多数のレンズ及び他の光学要素を含むことができる。
【0034】
照明系12は、ハウジング28、及び図示の実施形態ではエキシマレーザ30として達成される光源を含む。エキシマレーザ30は、約193nmの波長を有する投影光を放出する。他の種類の光源及び他の波長、例えば、248nm又は157nmが同様に考えられている。
【0035】
図示の実施形態では、エキシマレーザ30によって放出される投影光はビーム拡大ユニット32に入射し、その中で光ビームは幾何学的光束を変化させることなく拡大される。ビーム拡大ユニット32は、
図2に示しているようにいくつかのレンズを含むことができ、又は例えばミラー装置として達成することができる。投影光は、ビーム拡大ユニット32から小さい発散を有するビーム34として射出する。本明細書における発散という用語は、基準方向、例えば、光学要素に関連する表面法線、又はこの状況では照明系の光軸OAに対して光線がなす最大角を表している。ビーム34の強度は、その断面にわたって均一ではなく、大きく変化する。
【0036】
ビーム34は、複数の2次光源を生成する第1の光学インテグレータ36上に入射する。第1の光学インテグレータ36は、各々が少なくとも1つのマイクロレンズアレイを含む2つの光学ラスタ要素から構成される。ビーム34の発散は、第1の光学インテグレータ36によって僅かな量だけ、一般的に、最大でも数ミリラジアンだけ増大される。第1の光学インテグレータ36に対しては、下記の第III節でより詳細に以下に説明する。
【0037】
第1の光学インテグレータ36から射出したビーム34は、この実施形態では複数の光学要素を含む第1のコンデンサー38に入射し、
図2にはこれらの光学要素のうちから2つのレンズ38a及び38b、並びに平面折り返しミラー38cのみを示している。第1のコンデンサー38は、第1の光学インテグレータ36の近くにある平面と、マイクロレンズ42のアレイ40が配置された平面41との間にフーリエ関係を確立する。それによって第1の光学インテグレータ36によって生成される各2次光源は、マイクロレンズ42の完全なアレイ40を照明するが、
図2に実線と破線とによって表す2つの光束に対して示しているように異なる方向から照明する。このようにして、マイクロレンズ42のアレイ40が配置された平面41は、ビーム34によって均一に照明される。
【0038】
ビーム34の発散は、第1の光学インテグレータ36によって殆ど増大することにはならないので、第1のコンデンサー38の焦点距離は非常に長いはずである。この理由から、照明系12の全体の寸法を小さく保つのに役立つ1つ又はそれよりも多くの折り返しミラー38cを設けることができる。
【0039】
照明系12の上述の部分は、更に別の光学構成要素、例えば、空間干渉を低減するのに役立つデバイスを含むことができる。照明系12のこの部分の様々な構成がより詳細に説明されているWO 2009/080279を参照されたい。
【0040】
ミラーアレイ46は、マイクロレンズ42の後側焦点面内、又はその直近に配置される。ミラーアレイ46は、好ましくは、互いに対して垂直に整列した2つの傾斜軸によって互いに独立して傾斜させることができる複数の小さい個別ミラーM
ijを含む。ミラーM
ijの合計数は、100又は更には数1000を超えるとすることができる。この実施形態では、ミラーM
ijの数は、第1の光学インテグレータ34によって生成される2次光源によって均一に照明されるマイクロレンズアレイ40のマイクロレンズ42の数に等しい。従って、各マイクロレンズ40は、等しい強度及び小さい発散の収束光ビームをミラーアレイ46のそれぞれのマイクロレンズ40に関連付けられたミラーM
ij上に誘導する。
【0041】
個別ミラーM
ijの傾斜移動は、照明系12の全システム制御器52に接続したミラー制御ユニット50によって制御される。ミラーM
ijの望ましい傾斜角を設定するのに用いられるアクチュエータは、各個別ミラーM
ijが、入射光線を制御信号に応じて変更することができる反射角で反射することができるように、ミラー制御ユニット50から制御信号を受け取る。図示の実施形態では、個別ミラーM
ijを配置することができる傾斜角の連続範囲が存在する。他の実施形態では、アクチュエータは、限られた数の離散傾斜角のみを設定することができるように構成される。
【0042】
図3は、簡略化の目的で8・8=64個のミラーM
ijのみを含むミラーアレイ46の斜視図である。ミラーアレイ46上に入射する光ビーム54aは、ミラーM
ijの傾斜角に依存して異なる方向に反射される。この概略図では、光ビーム54b、54b’が、M
35とM
77とによって異なる方向に反射されるように、特定のミラーM
35が、別のミラーM
77に対して2つの傾斜軸56x、56yの回りに傾斜されると仮定している。
【0043】
再度
図2を参照すると、ミラーM
ijから反射された光ビームは第2のコンデンサー58上に入射し、第2のコンデンサー58は、僅かに発散する光ビームが、複数の2次光源を同様に生成する第2の光学インテグレータ72上に、この時点では少なくとも実質的に平行な光ビームとして入射することを保証する。第2の光学インテグレータ72は、ここでもまた、発散を増大させるが、今回は少なくとも走査方向Yに対して垂直なX方向に沿ってより大きく増大させる。
【0044】
この実施形態では、第2の光学インテグレータ72も同様に2つの光学ラスタ要素74、76を含み、これらの光学ラスタ要素はフライアイレンズとして達成される。各光学ラスタ要素74、76は、平行な円柱マイクロレンズの2つの直交アレイを含む。第2の光学インテグレータの他の設定、例えば、回転対称面を有するが、矩形の境界を有するマイクロレンズのアレイを含むインテグレータが同様に考えられている。第2の光学インテグレータ72として用いるのに適する光学インテグレータを説明しているWO 2005/078522 A、US 2004/0036977 A1、及びUS 2005/0018294 A1を参照されたい。
【0045】
参照番号70は、マスク14上に入射する光の角度分布を実質的に定める照明系12のシステム瞳面を表している。システム瞳面70は、通常は平面又はごく弱い曲面であり、第2の光学インテグレータ72内、又はその直近に配置される。システム瞳面70内の角度光分散は、その後の視野平面内の強度分布へと直接変換され、従って、第2の光学インテグレータ72は、マスク16上の照明視野14の基本幾何学形状を実質的に決められる。第2の光学インテグレータ72は、発散を走査方向YよりもX方向に大幅に増大させるので、照明視野14は、走査方向Yに沿ってよりもX方向に沿って大きい寸法を有する。
【0046】
第2の光学インテグレータ72によって生成された2次光源から射出する投影光は、
図2には簡略化の目的で単一のレンズだけによって表している第3のコンデンサー78に入射する。第2のコンデンサー78は、システム瞳面70と、視野絞り82が配置されたその後の中間視野平面80との間のフーリエ関係を保証する。2次光源によって生成された光束を第2のコンデンサー78を用いて中間像平面80内で重なることにより、中間視野平面80の非常に均一な照明が提供される。視野絞り82は、複数の可動ブレードを含むことができ、マスク16上の照明視野14の鮮明な縁部を保証する(望ましい程度に)。
【0047】
視野絞り対物系84は、中間視野平面80と、マスク16が配置されたマスク平面86との間に光学的な共役性を与える。従って、視野絞り82は、視野絞り対物系84によってマスク16上に鮮明に結像される。
【0048】
III.第1の光学インテグレータ
図4は、第1の光学インテグレータ36の略斜視図である。この実施形態の第1の光学インテグレータ36は、光軸OAに沿って距離bだけ分離した第1の光学ラスタ要素90と第2の光学ラスタ要素92とを含む。第1の光学ラスタ要素90の一方の面は、X方向に沿って整列した平行な縦軸を有する円柱マイクロレンズ90Yの第1のアレイによって形成される。
【0049】
この関連では、「マイクロレンズ」又は「レンズ」という用語は、曲面プロフィールを有する光学要素を指す。「円柱」という用語は、マイクロレンズが、直線又は曲線の縦軸であり、この縦軸に沿って面プロフィールが一定である縦軸を有することを意味する。「面プロフィール」という用語は、円柱マイクロレンズの縦軸に対して垂直な断面内、又は回転対称マイクロレンズの場合には回転対称軸を含む断面内の面の形状を指す。面プロフィールは、主にマイクロレンズの光学特性を決める。例えば、円柱マイクロレンズが、円形の曲面プロフィールを有する場合には、円柱マイクロレンズは、XZ平面内で球面レンズの効果を有する。曲面プロフィールが円形ではない場合には、円柱マイクロレンズは、上述の平面内で非球面レンズの効果を有する。
【0050】
第1の光学ラスタ要素90の反対の面は、X方向に対して垂直なY方向に沿って整列した平行な縦軸を有する円柱マイクロレンズ90Xのアレイによって形成される。縦軸は、X方向又はY方向のいずれかと平行であるから、マイクロレンズ90Yは、Y方向だけに沿って屈折力を有し、マイクロレンズ90Xは、X方向だけに沿って屈折力を有する。
【0051】
第2の光学ラスタ要素92は、類似の構成を有するが、この実施形態では、X軸又はY軸の回りの180°の回転の後に装着される。
【0052】
各マイクロレンズ90X、90Y、92X、92Yは、その縦軸、幅、及び曲面プロフィールによって幾何学的に定められる。通常は、隣接するマイクロレンズ間にはいかなる間隙も存在しない。従って、マイクロレンズ90X、90Y、92X、92Yの幅は、それぞれのアレイのピッチに等しい。一般的に、マイクロレンズアレイのピッチは、5mmよりも短く、又はより好ましくは、2mmよりも小さくなければならない。図示の実施形態では、ピッチは、数マイクロメートルから数百マイクロメートル、例えば、1000μmまでの範囲にある。通常は第1の光学インテグレータ36を通じて伝播する光の波長よりも、例えば、50倍又は100倍だけ大きいピッチを有することが好ましい。
【0053】
この実施形態では、第2の光学ラスタ要素上のマイクロレンズ92X、92Yは、各々円弧プロフィールを有する。光学インテグレータは、ビーム34の発散を過度に増大させてはならないので、マイクロレンズ92X、92Yの面プロフィールの曲率は小さくなければならない。例えば、曲率半径は、300mm程度の大きさとすることができる。第1の光学ラスタ要素90と第2の光学ラスタ要素92との間の距離bは、第1の光学ラスタ要素90上のマイクロレンズ90Xが、マイクロレンズ92Xの前側焦点面に配置されるように、マイクロレンズ92Xの焦点距離にほぼ等しい。同様に、第1の光学ラスタ要素90上のマイクロレンズ90Yは、第2の光学ラスタ要素92上のマイクロレンズ92Yの前側焦点面に配置される。それによって第1の光学ラスタ要素90上のマイクロレンズと第2の光学ラスタ要素92上のマイクロレンズとの間で、Y方向に沿って屈折力を有するマイクロレンズ90Yと92Yの対が互いに関連付けられ、同様に、X方向に沿って屈折力を有するマイクロレンズ90Xと92Xとの対が互いに関連付けられるような光学関係が確立される。
【0054】
第1の光学ラスタ要素90上のマイクロレンズ90X、90Yは、
図5及び
図6を参照して以下でより詳細に説明するように円形の面プロフィールを持たない。
【0055】
図5は、第1の光学ラスタ要素90を通るXY平面における部分断面図である。第1の光学ラスタ要素90は、上部にマイクロレンズ90X、90Yが形成された対向側面を有する基板95を含む。各マイクロレンズ90Y、90Xは、その頂点線96と、湾曲した第1及び第2のマイクロレンズ90Y、90Xが上部に付加された地面と考えることができる(仮想)基部面98との間で測定された高さhを有する。通常、マイクロレンズは、材料を追加することによってではなく、材料を除去することによって(例えば、エッチングにより)形成されることになるために、高さhは、最大除去深さに等しい。基部面98は、隣接するマイクロレンズ90X、90Yの間の境界線が内部に配置された面として定めることができる。
【0056】
この実施形態では、マイクロレンズ90X、90Yは、各マイクロレンズ90X、90Yの頂点線96を通じて延びる対称平面に関して鏡面対称な非常に類似の(又は同じでさえある)面プロフィール100を有する。
【0057】
図6は、2つの隣接するマイクロレンズ90Yの面プロフィール100を示している。右の面プロフィール100において垂直な破線102を用いて示しているように、各面プロフィールは、中心区画104、中心区画104に隣接する2つの移行区画106、及び移行区画106に隣接する2つの端部区画108を含む。明瞭化の目的で、移行区画106を右手側の面プロフィール100において点線で示している。
【0058】
左手側に示している同等の面プロフィール100から明らかなように、2つの移行区画106の曲率は、中心区画104における曲率及び端部区画108における曲率よりも大きい。通常、点P
0における曲線の曲率cは、点P
0において曲線自体と同じタンジェンシャルを有する円においてR=1/cを有する半径Rによって定められる。
図5及び
図6に示す実施形態では、中心区画104及び端部区画108は、破線110と112とによってそれぞれ示しているように円弧プロフィールである。更に、これらの円110、112の半径は等しく、従って、中心区画104の曲率と端部区画108の曲率も同じく等しい。また、移行区画106のプロフィールも円弧プロフィールであるが、この円弧プロフィールを定める円114の半径は、中心区画104及び端部区画108のプロフィールを定める円110、112の半径よりも大幅に小さい。
【0059】
図5及び
図6に示している面プロフィール100は、明瞭化の目的で正確な縮尺のものではないことに注意されたい。例えば、中心区画104の100mmの曲率半径及びピッチp=2mmを仮定すると、第1及び第2のマイクロレンズ90Y、Xの高さhは約5μmになる。言い換えれば、マイクロレンズ90X、90Yの面は、曲率における差分がもはや感知することができない程に非常に平坦である。
【0060】
次に、
図7から
図9を参照して、光学インテグレータ36の機能に対して以下に説明する。
【0061】
図7は、第2の光学ラスタ要素92のマイクロレンズ92Xのうちの1つを子午断面内に示している。マイクロレンズ92Xは、マイクロレンズ92Xの焦点距離fに等しい距離の位置に前側焦点面115を有する。発散光束が、前側焦点面115内でマイクロレンズ92Xの光軸118上に位置する点116から射出する場合には、この光束は、
図7に実線で示しているように、光軸118と平行に平行化された光束としてマイクロレンズ92Xを射出することになる。
【0062】
同様に、発散光束が、前側焦点面115内の近軸点120から射出し、マイクロレンズ92Xを通過する場合には、この光束は、ここでもまた、平行化された光束としてではあるが(破線を参照されたい)、この場合、光軸118とある角度を構成してマイクロレンズ92Xを射出することになる。この角度は、光軸118からの点120の距離の増大と共に増大する。
【0063】
各平行化された光束は、遠視野内である一定の区域を均一に照明する。この均一性は、前側焦点面115内で元は点116、120から射出した平行化された光束を重なることによって更に改善される。この重ね合わせを助け、マイクロレンズ92Xと、光束の可能な最良の重ね合わせが発生する区域との間の距離を短縮するために、マイクロレンズ92Xの背後に配置されたコンデンサーを用いることができる。
【0064】
しかし、近軸点120と光軸118の間の距離が更に増大すると、最終的に、光束の光線がマイクロレンズ92X上に入射することができなくなる距離が現れることになる。
図7ではこれを破線によって表す周辺光線124に対して示している。この周辺光線124は、隣接するマイクロレンズ92X上に入射することはできるが、その後、
図7に示しているマイクロレンズ92Xを通じて伝播した光線と平行にこの隣接するマイクロレンズ92Xを射出することにはならない。従って、隣接するマイクロレンズ上に入射する周辺光線124は、遠視野内の照明の均一性を外乱する。
【0065】
上述の理由から、従来の光学インテグレータは、通常、球面マイクロレンズ90X’を有する付加的な第1の光学ラスタ要素を含む。各マイクロレンズ90X’は、
図8に示しているように、第2の光学ラスタ要素の関連付けられたマイクロレンズ92Xの前側焦点面114内、又はその直近に配置される。球面マイクロレンズ90X’は、関連付けられたマイクロレンズ92Xと同じ焦点距離を有する。従って、マイクロレンズ90X’上に同じ角度の下に、すなわち、互いと平行に入射する全ての光線は、第2の光学ラスタ要素の関連付けられたマイクロレンズ92X上の単一の点、又はマイクロレンズ92Xの範囲で出会う。軸外点122から射出する周辺光線124は、この場合、マイクロレンズ92X上に入射することができ、更に遠視野内の均一な照明に寄与することができるような程度に屈折される。
【0066】
共通の光軸118上に配置された2つのレンズ90X’、92Xは、通常、光学インテグレータの「チャンネル」と呼ばれる。このチャンネルは、その前ファセット(すなわち、マイクロレンズ90X’の前面)上に入射する全ての光が、関連付けられたマイクロレンズ92Xから射出するが、通常、マイクロレンズ90X’、92Xの(等しい)焦点距離fによって決められる異なる発散で射出するという特性を有する。更に、隣接するマイクロレンズ92Xから射出する光束の間には小さい間隙が残り、従って、マイクロレンズ92Xの後面上で光軸118に沿って視線を定める観察者は、各チャンネルにおいて直径Dを有する小さい円形の高輝度スポットを見ることになる。これらの高輝度スポットは、多くの実光源と類似の放出特性(すなわち、放出角度に対する放射発散度の依存性)を有するので、多くの場合に「2次光源」と呼ばれる。
【0067】
入射光の発散が減少する場合には、2次光源の直径Dも減少し、その結果、2次光源を形成する高輝度スポット内の光強度は増大する。しかし、マイクロレンズ92X内の投影光の強度がある一定の閾値を超える場合には、長期的に、マイクロレンズ92Xの光学特性を許容不能な方式で損ねる望ましくない材料劣化が発生することになる。特に長い焦点距離fでは、マイクロレンズ92Xの後方の光学要素も、非常に高い光強度によって類似の方式で劣化を被る可能性がある。
【0068】
図9は、本発明による光学インテグレータ36の単一のチャンネルを示している。第2のマイクロレンズ90X’が少なくとも1つの円弧面プロフィールを有する
図8に示している従来技術の方式とは対照的に、第1の光学ラスタ要素90のマイクロレンズ90Xは、
図5及び
図6を参照して上述した3つの区画を含む面プロフィール100を有する。この特定の面プロフィール100の結果として、マイクロレンズ90X上に入射する平行光線は、
図9で分るように、第2の光学ラスタ要素92のマイクロレンズ92X内の単一の点、又はマイクロレンズ92X上に集束されず、光軸118に対して垂直な方向に実質的に分散する。従って、この特定のチャンネルに関連付けられた2次光源の直径Dも同様に拡大され、その結果、高い光強度によってもたらされる材料劣化の危険性が低減する。しかし、この効果は、遠視野内で重ね合わされる平行化された光束を生成する望ましい効果を損なうことなく得られることに注意されたい。
【0069】
図9には、マイクロレンズ92X内の光強度の低減を幾何光学だけに基づいて例示している。しかし、現実に発生することになる強度は、光学インテグレータ36上に入射する光の波の性質に対処したシミュレーションに基づいて計算する必要があることを理解すべきである。そのようなシミュレーションの結果に対しては、
図14及び
図15を参照して以下に説明する。
【0070】
同様に、第2の光学ラスタ要素92の後方の光学要素内で発生する強度も、第1の光学ラスタ要素90上のマイクロレンズ90Xが、交替する曲率を有する5つの区画を有する面プロフィール100を有する場合に大幅に低減することが分る。この低減は、波の光学効果のより良い利用に起因する。
【0071】
本発明によると、2つの移行区画106内の曲率は、面プロフィール100の中心区画104及び端部区画108内の曲率よりも大きい。しかし、この条件を満たす全ての面プロフィールが、第2のインテグレータ構成要素92の関連付けられたマイクロレンズ92X上の全ての入射光を誘導することができるわけではない。この誘導を提供するためには、面プロフィール100を説明する面プロフィール関数p(x)が以下の条件を満たさなければならない。
Δ−(p+2x)/2≦(n−1)・p’(x)≦(p−2x)/2a−Δ
【0072】
上述の不等式において、Δは光の発散を表し、pはピッチであり、nはマイクロレンズ90Xの屈折率であり、bは第1のインテグレータ構成要素90と第2のインテグレータ構成要素92の間の距離であり、p’(x)は面プロフィール関数p(x)の1次導関数である。
【0073】
上述では、新しい面プロフィール100の機能をマイクロレンズ90X及び92Xのみを参照して説明した。当然ながら、Y方向に沿ってのみ屈折力を有する関連付けられたマイクロレンズ90Y、92Yの他方の対に対しても同じ考察が相応に適用される。
【0074】
IV.代替的実施形態
上述の実施形態では、中心区画104の曲率と端部区画108の曲率とが全く等しく、従って、円100、112が同じ半径を有することを仮定した。しかし、
図10に示しているように、これらの曲率が異なる場合にも、強度最大値の類似の低減を得ることができる。この場合、中心区画104の曲率半径(円112を参照されたい)は、端部区画108の曲率半径(円110を参照されたい)の曲率半径よりも小さい。
【0075】
更に、区画104、106、108の各々内の曲率が一定である必要はない。
図11は、中心区画104及び端部区画108が、移行区画106を形成する円形の曲線によって接続した放物曲線によって形成される実施形態を示している。
【0076】
また、中心区画104及び端部区画108の曲率をゼロまで増大させることができ、これは、関連付けられた曲率半径が無限大であることを意味する。この場合、
図12に示しているように、これらの区画内の面プロフィール100は直線である。2つの移行区画106のみが(円形の)曲線によって形成される。
【0077】
図13に示しているように、移行区画106の曲率半径が減少すると、面プロフィール100は、二等辺台形の形状により一層近似することになる。移行区画106内の曲率半径がゼロに近づくと、幾何学的二等辺台形が得られ、従って、マイクロレンズ90X、90Yはプリズムへと変形する。
【0078】
上述では、光学ラスタ要素90、92が、それぞれ円柱レンズ90X、90Y、及び92X、92Yの2つのアレイを含むと仮定した。当然ながら、これらのアレイを回転対称面を有するマイクロレンズのアレイで置換することができる。
図14は、回転対称面を有する6×6のマイクロレンズ90XYを含む第1の光学ラスタ要素90に関する略平面図である。各マイクロレンズ90XYは、正方形の外周が得られるように切削段階を受けた円形の外周を有する回転対称レンズから製造されるものと考えることができる。そのような構成は、多くの場合に、より厳密な意味でハニカムコンデンサーと呼ばれる。
【0079】
図15は、
図14に示している第1の光学ラスタ要素90を通る線XV−XVに沿った断面図である。マイクロレンズ90XYは、X方向とY方向の両方に沿って屈折力を有するので、基板95の片側だけがマイクロレンズ90XYを支持し、それに対して反対側126はいかなる光学要素も支持せず、好ましくは、平面である。
【0080】
図16に略示しているように、第1の光学ラスタ要素90上のマイクロレンズ90X、90Yは、複数のフレネルゾーン要素128へと再分割することができる。フレネルゾーン要素128の光学有効部分、すなわち、基部面98に対して垂直に延びない部分が、
図13を参照して上述したものと同じ区画を有するプロフィール100に加わる。
【0081】
図17は、マイクロレンズアレイが、ホログラフィック回折光学要素192(コンピュータ生成ホログラムCGHとも呼ばれる)のアレイで置換された第1の光学ラスタ要素に関する平面図である。各回折光学要素192は、回折光学要素192が、
図14及び
図15に示しているマイクロレンズ90XYの一方と同じ効果を有するように、計算によって設計された微小回折構造を含む。当然ながら回折光学要素192は、
図4から
図13に示している円柱マイクロレンズ90X、90Yの一方と同じ効果を有するように設計することができる。この場合、回折光学要素192の2つのアレイは、第1の光学ラスタ要素90の基板上の対向する側面上に付加することができる。
【0082】
図18は、
図17に示している第1の光学ラスタ要素190と、
図4に示しているようなマイクロレンズ92X、92Yの2つの直交アレイを含む従来の第2の光学ラスタ要素92とで構成された光学インテグレータ136に関する斜視図である。
【0083】
V.シミュレーション結果
図19及び
図20は、第1の光学インテグレータ36及び第1のコンデンサー38の第1のレンズ38a内で発生する強度が光学波動解析アルゴリズムに基づいて計算されたシミュレーションの結果を示している。本発明によって得られる利益は、波動光学解析によってのみ説明することができ、幾何光学単独でのいかなる適用によっても、間違った結論がもたらされることになることに再度注意されたい。
【0084】
各グラフの横座標は、複数のマイクロレンズ90Xが並んで配置されるX方向又はY方向に対応する。縦座標はZ座標を示し、原点は、第1の光学インテグレータ36の前方のある距離の位置に存在する。第1の光学ラスタ要素90及び第2の光学ラスタ要素92のZ座標は、水平線で示している。最上部の水平線は、最初に続くレンズ38aのZ位置を示している。
【0085】
グラフ内の細線は、等しい強度が発生する位置を示している。黒色区域は、強度が非常に高いが、長期的にも依然として許容可能である位置を示している。点ハッチング区域130は、少なくとも長期的には強度を許容することができない領域を表している。
【0086】
図19にある2つのグラフは、比較目的で、第1の光学ラスタ要素90が、円弧プロフィールを有するマイクロレンズ(球面レンズ)を有する光学インテグレータ内で得られる強度を示している。
図19に示している2つのグラフは、シミュレーションを実施する時に仮定した発散において互いに異なる。2つのグラフの上側では、2つのグラフのうちの下側におけるものよりも大きい発散を仮定している。
【0087】
図19の上側のグラフで分るように、第2の光学ラスタ要素92内の強度は高いが、依然として許容可能である。しかし、第1のコンデンサー38の最初に続くレンズ38a内では、長期的に強度を許容することができない区域130が存在する。入射光の小さい発散を仮定した場合にも類似の結果が得られる(
図19の下側のグラフ)。この場合、強度が許容不能な区域130は小さいが、依然として存在する。
【0088】
図20は、第1の光学ラスタ要素90の第2のマイクロレンズ90Xが、
図13に示しているように二等辺台形の形状を少なくとも実質的に有する面プロフィール100を有する第1の光学インテグレータ38に関する類似のグラフを示している。非常に高い強度を示す黒色区域は、かなり小さく、第2の光学ラスタ要素92の外側に完全に移動していることが分る。最高強度は、最初に続くレンズ38aにおいて依然として発生するが、長期的に強度を許容することができないいかなる区域130も存在しない。
【0089】
好ましい実施形態の以上の説明は例示的に提供したものである。当業者は、提供した開示内容から、本発明及びそれに伴う利点を理解するだけでなく、開示した構造及び方法に対する明らかな様々な変形及び修正も見出すであろう。従って、本出願人は、全てのそのような変形及び修正を特許請求の範囲及びその均等物によって定められる本発明の精神及び範囲に含めることを求めるものである。