特許第5762392号(P5762392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762392
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】有機置換ポリゲルマン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/30 20060101AFI20150723BHJP
   C08G 79/00 20060101ALI20150723BHJP
   C08L 85/00 20060101ALI20150723BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   C07F7/30 A
   C07F7/30 B
   C07F7/30 E
   C08G79/00
   C08L85/00
   C08L101/00
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-500621(P2012-500621)
(86)(22)【出願日】2011年2月16日
(86)【国際出願番号】JP2011053272
(87)【国際公開番号】WO2011102380
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2014年2月13日
(31)【優先権主張番号】特願2010-31876(P2010-31876)
(32)【優先日】2010年2月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】長澤 偉大
(72)【発明者】
【氏名】広岡 明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 明
(72)【発明者】
【氏名】宮下 徳治
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−145872(JP,A)
【文献】 特開2007−254593(JP,A)
【文献】 A.WATANABE, et al.,Field-effect transistor based on organosoluble germanium nanoclusters,Applied Organometallic Chemistry,Vol.19, No.4,p.530-537 (2005).
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/30
C08G 79/00
C08L 85/00
C08L 101/00
C09D 185/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式[1]で表される有機ハロゲン化物と、ゲルマニウム四ハロゲン化物と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを共存下反応させるにあたり、
前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属に、前記ゲルマニウム四ハロゲン化物と前記式[1]で表される有機ハロゲン化物とを同時に加えることを特徴とする、有機基Rで置換されたポリゲルマン化合物の製造方法。
【化1】
(式[1]中、Rは置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂肪族炭化水素基、置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂環式炭化水素基、又は置換されていてもよい炭素原子数4乃至20の芳香族炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
【請求項2】
前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属に、前記ゲルマニウム四ハロゲン化物及び前記式[1]で表される有機ハロゲン化物の混合物を加えることを特徴とする、請求項に記載のポリゲルマン化合物の製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属がマグネシウムである、請求項1又は請求項2に記載のポリゲルマン化合物の製造方法。
【請求項4】
前記Xが塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す、請求項1乃至請求項の何れか一項に記載のポリゲルマン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記Rが置換されていてもよい炭素原子数4乃至20の芳香族炭化水素基を表す、請求項1乃至請求項の何れか一項に記載のポリゲルマン化合物の製造方法。
【請求項6】
下記式[1]で表される有機ハロゲン化物と、ゲルマニウム四ハロゲン化物と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを共存下反応させるにあたり、
前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属に、前記ゲルマニウム四ハロゲン化物と前記ゲルマニウム四ハロゲン化物に対する化学量論量の一部の量の前記式[1]で表される有機ハロゲン化物とを同時に加え、その後化学量論量となる残りの量の前記式[1]で表される有機ハロゲン化物を更に加えることを特徴とする、有機基Rで置換されたポリゲルマン化合物の製造方法。
【化2】
(式[1]中、Rは置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂肪族炭化水素基、置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂環式炭化水素基、又は置換されていてもよい炭素原子数4乃至20の芳香族炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
【請求項7】
前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属がマグネシウムである、請求項6に記載のポリゲルマン化合物の製造方法。
【請求項8】
前記Xが塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す、請求項6又は請求項7に記載のポリゲルマン化合物の製造方法。
【請求項9】
前記Rが置換されていてもよい炭素原子数4乃至20の芳香族炭化水素基を表す、請求項6乃至請求項8の何れか一項に記載のポリゲルマン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機基で置換されたポリゲルマン化合物(以下、有機置換ポリゲルマン化合物という)の製造方法に関するものであり、より詳しくは、高屈折率を有する薄膜を作製することが可能な有機置換ポリゲルマン化合物をその収率を著しく改善して製造することができる製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリゲルマン化合物は、フォトレジスト、有機感光体、光メモリなどの光・電子材料などとして注目されている。特に、近年、光学分野において高屈折率材料の必要性が高まっており、有機ポリマー単独では実現困難な1.7以上の屈折率を示すポリゲルマン化合物の高屈折率材料への応用が期待されている。
従来、ポリゲルマン化合物の製造方法としては、ジハロゲノゲルマニウムやトリハロゲノゲルマニウムを、アルカリ金属又はアルカリ土類金属により還元カップリングする方法が知られている。しかし、これらの出発物質は製造が困難であり、市販品の種類も限られていることから、ポリゲルマン化合物に導入できる有機置換基の構造に制限を受ける。
また、ゲルマニウム四ハロゲン化物とキャッピング剤との反応を利用した製造方法も開示されている(特許文献1参照)。この方法は、ゲルマニウム四ハロゲン化物に対しアルカリ金属又はアルカリ土類金属を縮合剤として反応させた後、有機ハロゲン化物によって末端をキャッピングしてポリゲルマン化合物を得るため、多彩な有機基を有するポリゲルマン化合物の製造が可能である。しかし、ゲルマニウム四ハロゲン化物が反応選択性の無い4官能化合物であるため、その縮合に際して架橋反応が過度に進行し不溶物が生じる。このため、概してこの反応の収率は低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−145872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ポリゲルマン化合物に導入可能な有機基の適応範囲が広く、かつ従来の方法で得られる有機基で置換されたポリゲルマン化合物に比べ、より高屈折率な薄膜を作製できる有機置換ポリゲルマン化合物を良好な収率で得ることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、有機ハロゲン化物と、ゲルマニウム四ハロゲン化物と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを共存下反応させることにより、有機置換ポリゲルマン化合物の収率及び該有機置換ポリゲルマン化合物から作製される薄膜の屈折率を著しく改善することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、第1観点として、下記式[1]で表される有機ハロゲン化物と、ゲルマニウム四ハロゲン化物と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを共存下反応させることを特徴とする、有機基Rで置換されたポリゲルマン化合物の製造方法。
【化1】
(式[1]中、Rは置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂肪族炭化水素基、置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂環式炭化水素基、又は置換されていてもよい炭素原子数4乃至20の芳香族炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
第2観点として、前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属に、前記ゲルマニウム四ハロゲン化物と前記式[1]で表される有機ハロゲン化物とを同時に加えることを特徴とする、第1観点に記載のポリゲルマン化合物の製造方法に関する。
第3観点として、前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属に、前記ゲルマニウム四ハロゲン化物及び前記式[1]で表される有機ハロゲン化物の混合物を加えることを特徴とする、第2観点に記載のポリゲルマン化合物の製造方法に関する。
第4観点として、前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属に、前記ゲルマニウム四ハロゲン化物と前記ゲルマニウム四ハロゲン化物に対する化学量論量の一部の量の前記式[1]で表される有機ハロゲン化物とを同時に加え、その後化学量論量となる残りの量の前記式[1]で表される有機ハロゲン化物を更に加えることを特徴とする、第1観点に記載のポリゲルマン化合物の製造方法に関する。
第5観点として、前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属がマグネシウムである、第1観点乃至第4観点の何れか一つに記載のポリゲルマン化合物の製造方法に関する。
第6観点として、前記Xが塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す、第1観点乃至第5観点の何れか一つに記載のポリゲルマン化合物の製造方法に関する。
第7観点として、前記Rが置換されていてもよい炭素原子数4乃至20の芳香族炭化水素基を表す、第1観点乃至第6観点の何れか一つに記載のポリゲルマン化合物の製造方法に関する。
第8観点として、第1観点乃至第7観点に記載の方法に従い製造される、有機基R(Rは第1観点に記載の定義と同義である。)で置換されたポリゲルマン化合物に関する。
第9観点として、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のポリスチレン換算による重量平均分子量が500乃至100,000である、第8観点に記載のポリゲルマン化合物に関する。
第10観点として、第8観点又は第9観点に記載のポリゲルマン化合物を含むワニスに関する。
第11観点として、第8観点又は第9観点に記載のポリゲルマン化合物からなる薄膜に関する。
第12観点として、第8観点又は第9観点に記載のポリゲルマン化合物、並びに熱可塑性樹脂及び/又は硬化性樹脂を含む、樹脂組成物に関する。
第13観点として、第12観点に記載の樹脂組成物から作られる、樹脂成形体に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の有機置換ポリゲルマン化合物の製造方法によれば、高溶解性を有する有機置換ポリゲルマン化合物を簡便な操作で収率良く製造することが出来る。さらに得られた有機置換ポリゲルマン化合物から作製される薄膜は高い屈折率を示すため、該有機置換ポリゲルマン化合物は光学材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は実施例1で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図2図2は実施例2で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図3図3は実施例3で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図4図4は実施例4で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図5図5は実施例5で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図6図6は実施例6で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図7図7は実施例7で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図8図8は比較例1で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図9図9は比較例2で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図10図10は比較例3で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図11図11は比較例4で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図12図12は比較例5で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図13図13は比較例6で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の1H NMRスペクトルを表す図である。
図14図14は実施例10で得られた有機置換ポリゲルマン化合物含有アクリル樹脂膜及び有機置換ポリゲルマン化合物非含有アクリル樹脂膜の光透過スペクトルを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
[有機ハロゲン化物]
本発明の製造方法で用いる有機ハロゲン化物は下記式[1]で表わされる。
【化2】
(式[1]中、Rは置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂肪族炭化水素基、置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂環式炭化水素基、又は置換されていてもよい炭素原子数4乃至20の芳香族炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
【0009】
上記置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基の何れでも良く、またヘテロ原子を含んでいても良い。
そのような置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−イソアミル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、2,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イコシル基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、2−チエニルメチル基、3−チエニルメチル基、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、n−プロピルチオメチル基、イソプロピルチオメチル基、シクロプロピルチオメチル基、n−ブチルチオメチル基、イソブチルチオメチル基、sec−ブチルチオメチル基、tert−ブチルチオメチル基、シクロブチルチオメチル基、n−ペンチルチオメチル基、2−メチルブチルチオメチル基、イソペンチルチオメチル基、ネオペンチルチオメチル基、sec−イソアミルチオメチル基、tert−ペンチルチオメチル基、シクロペンチルチオメチル基、n−ヘキシルチオメチル基、1−メチルペンチルチオメチル基、イソヘキシルチオメチル基、ネオヘキシルチオメチル基、2,3−ジメチルブチルチオメチル基、1,1,2−トリメチルプロピルチオメチル基、シクロヘキシルチオメチル基、アダマンチルチオメチル基、(メチルチオメチルチオ)メチル基、(エチルチオメチルチオ)メチル基、((メチルチオメチルチオ)メチルチオ)メチル基、((エチルチオメチルチオ)メチルチオ)メチル基、2−(エチルチオ)エチル基、2−(2−(メチルチオ)エチルチオ)エチル基、2−(2−(エチルチオ)エチルチオ)エチル基、2−(2−(プロピルチオ)エチルチオ)エチル基、2−(2−(2−(エチルチオ)エチルチオ)エチルチオ)エチル基、フェニルチオメチル基、1−ナフチルチオメチル基、2−ナフチルチオメチル基、2−チエニルチオメチル基、3−チエニルチオメチル基、ベンジルチオメチル基、フェネチルチオメチル基、1−ナフチルメチルチオメチル基、2−ナフチルメチルチオメチル基、2−チエニルメチルチオメチル基、3−チエニルメチルチオメチル基等が挙げられる。
【0010】
また、上記置換されていてもよい炭素原子数1乃至20の脂環式炭化水素基としては、ヘテロ原子を含んでいても良く、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、チイラニル基、ジチイラニル基、チエタニル基、1,2−ジチエタニル基、1,3−ジチエタニル基、トリチエタニル基、2−チオラニル基、3−チオラニル基、1,2−ジチオラニル基、1,3−ジチオラニル基、1,2,3−トリチオラニル基、1,2,4−トリチオラニル基、テトラチオラニル基、チアニル基、1,2−ジチアニル基、1,3−ジチアニル基、1,4−ジチアニル基、1,2,3−トリチアニル基、1,2,4−トリチアニル基、1,3,5−トリチアニル基、1,2,3,4−テトラチアニル基、1,2,4,5−テトラチアニル基、ペンタチアニル基、チエパニル基、1,2−ジチエパニル基、1,3−ジチエパニル基、1,4−ジチエパニル基、1,2,3−トリチエパニル基、1,2,4−トリチエパニル基、1,2,5−トリチエパニル基、1,3,5−トリチエパニル基、1,2,3,4−テトラチエパニル基、1,2,3,5−テトラチエパニル基、1,2,4,5−テトラチエパニル基、1,2,4,6−テトラチエパニル基、1,2,3,4,5−ペンタチエパニル基、1,2,3,4,6−ペンタチエパニル基、1,2,3,5,6−ペンタチエパニル基、ヘキサチエパニル基等が挙げられる。
【0011】
さらに、上記置換されていてもよい炭素原子数4乃至20の芳香族炭化水素基としては、ヘテロ環であっても良く、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、o−テルフェニリル基、m−テルフェニリル基、p−テルフェニリル基、フルオレニル基、ナフタレニル基、1−フェニルナフタレニル基、2−フェニルナフタレニル基、アントラセニル基、ピレニル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基等が挙げられる。
【0012】
上記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、反応制御の観点から臭素原子が好ましい。
【0013】
有機ハロゲン化物の使用量は、ゲルマニウム四ハロゲン化物に対し、0.1乃至4モル当量であることが好ましく、0.5乃至3モル当量であることがより好ましい。0.1モル当量より少ない場合には副生物である不溶物の量の増大により収率が低下し、また4モル当量より多い場合にはゲルマニウム骨格の成長が円滑に進行しない。
また、有機ハロゲン化物は、必要に応じて二種類以上用いても良い。
【0014】
[ゲルマニウム四ハロゲン化物]
本発明の製造方法で用いるゲルマニウム四ハロゲン化物としては、ゲルマニウム四フッ化物、ゲルマニウム四塩化物、ゲルマニウム四臭化物及びゲルマニウム四ヨウ化物が挙げられ、反応制御とコストの観点からゲルマニウム四塩化物が好ましい。
【0015】
[アルカリ金属又はアルカリ土類金属]
本発明の製造方法で用いるアルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属が挙げられ、ハンドリング性の観点からマグネシウムが好ましい。
また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の使用量は、ゲルマニウム四ハロゲン化物に対して、2乃至8モル当量であることが好ましく、3乃至6モル当量であることがより好ましい。
【0016】
[反応溶媒]
本発明の製造方法に用いる溶媒としては、反応に影響を及ぼさない限りにおいて各種の溶媒類が使用でき、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても良いし、必要に応じて2種以上の混合溶媒として用いても良い。
溶媒の使用量は、ゲルマニウム四ハロゲン化物の質量に対して、1乃至30倍量であることが好ましく、5乃至20倍量であることがより好ましい。1倍量より少ないと、副生する無機塩により反応系が固体化し反応が進行しにくくなり、30倍量を超えると過度の希釈により反応性が著しく低下する。
また、反応温度としては、10℃以上溶媒の沸点以下であることが好ましい。これより低温では反応速度が著しく低下する。
さらに、反応時間は、使用する有機ハロゲン化物によって異なるが、概ね3乃至24時間であることが好ましい。
【0017】
[添加剤]
本発明では、必要に応じて反応を活性化する活性化剤を添加しても良い。そのような活性化剤としては、例えば、臭素、ヨウ素等のハロゲン分子;ジブロモエタン、ジヨードエタン等のハロゲン化アルキルなどが挙げられる。
また、活性化剤の量は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属に対し0.5モル当量以下であることが好ましい。
【0018】
[反応方法]
本発明の製造方法は、有機ハロゲン化物と、ゲルマニウム四ハロゲン化物と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを共存下反応させることで、有機置換ポリゲルマン化合物を得ることができる。
ここで、各化合物の仕込方法については、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む反応液へ、ゲルマニウム四ハロゲン化物と有機ハロゲン化物との混合物を加える方法;アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む反応液へ、ゲルマニウム四ハロゲン化物及び有機ハロゲン化物をそれぞれ同時に加える方法;ゲルマニウム四ハロゲン化物及び有機ハロゲン化物を含む反応液へ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を加える方法;ゲルマニウム四ハロゲン化物、有機ハロゲン化物及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む反応液を調製した後、反応開始温度まで昇温する方法等が挙げられる。
また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属に、ゲルマニウム四ハロゲン化物とゲルマニウム四ハロゲン化物に対する化学量論量の一部の量の有機ハロゲン化物とを同時に加え、その後化学量論量となる残りの量の該有機ハロゲン化物を更に加えてもよい。これにより、未反応のゲルマニウム活性部位が減少し、収率をさらに向上させることができる。
【0019】
[精製方法]
本発明において生成物の精製は、特に限定されないが、通常有機合成に使用される精製方法により行えばよい。好ましくは、再沈殿による精製である。
【0020】
本発明の製造方法によって製造される有機置換ポリゲルマン化合物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が500乃至100,000の高分子化合物であり、好ましくは500乃至50,000の高分子化合物であり、より好ましくは500乃至30,000の高分子化合物である。分子量が500未満の場合には、十分な屈折率の値が得られにくく、100,000を超えると溶解性が低下する。
【0021】
[有機置換ポリゲルマン化合物を含むワニス]
本発明の製造方法で得られた有機置換ポリゲルマン化合物は、溶媒に溶解させてワニスの形態と為すことができる。また、常温において液状を示す有機置換ポリゲルマン化合物は、溶媒に溶解させることなくワニスの形態と為すこともできる。
上記ワニスの形態において使用する溶媒としては、例えば、ジエチルオキサラート、エチルアセトアセタート、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酪酸エチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、4−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のプロピレングリコール系溶媒;メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセタート等のセロソルブ系溶媒;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;エタノール、イソプロパノール、イソペンチルアルコール等のアルコール系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても良いし、必要に応じて2種以上の混合溶媒として用いても良い。
また、反応終了後の溶液をそのまま(有機置換ポリゲルマン化合物を単離することなく)ワニスとしても良い。その際、上記溶媒を添加することも可能である。
さらに、上記溶媒に溶解させる濃度は任意であるが、有機置換ポリゲルマン化合物と溶媒の総質量(合計質量)に対して、有機置換ポリゲルマン化合物の濃度は、好ましくは1乃至30質量%である。
【0022】
[有機置換ポリゲルマン化合物からなる薄膜]
本発明のワニスを用いて薄膜を形成する具体的な方法としては、まず、本発明の製造方法によって得られた有機置換ポリゲルマン化合物を上記溶媒に溶解させてワニスの形態(膜形成材料)とし、該ワニスを基材上にロールコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、フローコート法、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、ラングミュア−ブロジェット法等によって塗布し、その後必要に応じて乾燥することで得ることができる。
上記基材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、アクリル、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等のプラスチック;金属;ガラス;シリコン等が挙げられる。
また、塗布方法としては、特に限定されるものではなく、上記方法の中から、生産性、膜厚コントロール性、歩留まり等のバランスを考慮して、最適な塗布法を決定することができる。
さらに、乾燥温度は、40乃至150℃であることが好ましい。これらの温度の中から、溶媒種、溶媒量、生産性等を考慮して、最適な乾燥温度を決定することができる。
このようにして得られた有機置換ポリゲルマン化合物からなる薄膜は、従来の方法で得られる有機置換ポリゲルマン化合物からなる薄膜に比べ、より高い屈折率になるという特徴を有する。
【0023】
[樹脂組成物]
本発明はまた、上記有機置換ポリゲルマン化合物と樹脂(熱可塑性樹脂及び/又は硬化性樹脂)を含む、樹脂組成物にも関する。
本発明において、熱可塑性樹脂とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂又は該樹脂の混合物をいい、任意の添加剤を適宜含有しうる。
また、本発明において、硬化性樹脂とは、加熱により重合を起こして高分子の網目構造を形成する熱硬化性樹脂、光照射により重合を起こして高分子の網目構造を形成する光硬化性樹脂、及びこれら樹脂の混合物を指し、架橋剤、開始剤等の添加剤を含みうる。
上記樹脂の具体例としては、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂としては、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)等のポリオレフィン系樹脂;PS(ポリスチレン)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、MS(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)等のポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;PMMA(ポリメチルメタクリレート)等の(メタ)アクリル樹脂;PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、PLA(ポリ乳酸)、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート/アジペート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリグルコール酸;変性でんぷん;酢酸セルロース、三酢酸セルロース;キチン、キトサン;リグニンなどが挙げられる。
また硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の熱硬化性樹脂;アクリル樹脂、エポキシアクリル樹脂、シリコン樹脂などの光硬化性樹脂などが挙げられる。
【0024】
該樹脂は、有機置換ポリゲルマン化合物100質量部に対して、1乃至10,000質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1乃至1,000質量部の範囲である。
【0025】
例えば、樹脂組成物が有機置換ポリゲルマン化合物と(メタ)アクリル樹脂を含む組成物の場合、(メタ)アクリレート化合物と前記有機置換ポリゲルマン化合物を混合し、該(メタ)アクリレート化合物を重合させることにより得ることができる。
上記(メタ)アクリレート化合物の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
これらの(メタ)アクリレート化合物の重合は、必要に応じて光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、光照射又は加熱により行うことができる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーズケトン類、アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(159頁、発行人:高薄一弘、発行所:(株)技術情報協会、1991年発行)に記載されている。
【0027】
市販の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、BASF社製 商品名:イルガキュア(登録商標)184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、ルシリン TPO;UCB社製 商品名:ユベクリル P36;フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
光重合開始剤は、(メタ)アクリレート化合物100質量部に対して、15質量部以下の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10質量部以下の範囲である。
【0028】
熱ラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジtert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシピバラート、tert−ブチルぺルオキシ−2−エチルヘキサノアート等の過酸化物類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチラート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等のアゾ系化合物類;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類などが挙げられる。
熱重合開始剤は、(メタ)アクリレート化合物100質量部に対して、15質量部以下の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10質量部以下の範囲である。
【0029】
[樹脂成形体]
本発明はまた、上記樹脂組成物から作られる樹脂成形体にも関する。
本発明の樹脂成形体は、上記有機置換ポリゲルマン化合物を含む樹脂組成物を、従来からの一般的な樹脂成形法に従い、成形することで得られる。
具体的には、樹脂として熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物の場合、それを加熱により溶融若しくは軟化させ、又は硬化性樹脂を含む樹脂組成物の場合、その成形体を、熱又は光照射により熱硬化又は光硬化することにより得られる。
とりわけ、本発明の樹脂組成物は、上記有機置換ポリゲルマン化合物の含有により、高い熱安定性を有するため、上述の加熱又は硬化処理を行ったとしても、高い屈折率及び透明性が維持された樹脂成形体が得られる。
さらに、本発明の樹脂成形体は、有機置換ポリゲルマン化合物の含有により、高温条件下で使用したとしても高い屈折率及び透明性が維持される。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた各測定装置は以下のとおりである。
1H NMR]
機種:日本電子(株)製 JNM−ECX300(300MHz)
測定溶媒:CDCl3
基準物質:テトラメチルシラン(0.00ppm)
[GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex(登録商標) KF−804L+KF−805L
リファレンスカラム:Shodex(登録商標) GPC KF−800RH×2本
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム流速:1.0mL/分
リファレンスカラム流速:1.0mL/分
[スピンコーター]
機種:ミカサ(株)製 1H−D7
[エリプソメーター]
機種:ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製 高速分光エリプソメトリー M2000−VI
[プリズムカプラ]
機種:メトリコン社製 MODEL 2010
[紫外可視近赤外分光光度計]
機種:(株)島津製作所製 UV−3600
測定波長:700nm〜1600nm
【0031】
[実施例1]<フェニル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
窒素雰囲気下、100mLの四口フラスコに粉末マグネシウム(関東化学(株)製)1.8g(75mmol)及びテトラヒドロフラン(以下、THFと略す)40gを加えた後、ジブロモエタン(東京化成工業(株)製)3.5g(19mmol)を滴下し、室温(およそ25℃)で10分間撹拌した。次いでこの反応液へ、四塩化ゲルマニウム(ヤマナカヒューテック(株)製)4.0g(19mmol)、ブロモベンゼン(東京化成工業(株)製)3.0g(19mmol)及びTHF12gの混合物を滴下し、室温(およそ25℃)で30分間撹拌した。その後、この反応液へ、ブロモベンゼン1.5g(9mmol)及びTHF2gの混合物をさらに滴下した。そして、室温(およそ25℃)で18時間撹拌後、この反応液をメタノール200gに加え再沈殿させ、析出した固体を濾取した。得られた固体を80gのトルエンに溶解させ、濾過により不溶物を除去した。濾液の溶媒を留去した後、得られた残渣を4gのクロロホルムに再溶解させ、メタノール100gに加え再度再沈殿させた。析出した固体を濾取することで、目的物であるフェニル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−Pと略す)1.9gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:フェニル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は65%であった。
得られたPGe−Pの1H NMRスペクトルの測定結果を図1に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,200、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.20であった。
【0032】
[実施例2]<4―トルイル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
実施例1において、ブロモベンゼンを同モル数の4−ブロモトルエン(東京化成工業(株)製)3.2g(19mmol)及び1.6g(9mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、4−トルイル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−Toと略す)1.0gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:4−トルイル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は32%であった。
得られたPGe−Toの1H NMRスペクトルの測定結果を図2に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,800、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.23であった。
【0033】
[実施例3]<4−アニシル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
実施例1において、ブロモベンゼンを同モル数の4−ブロモアニソール(東京化成工業(株)製)3.6g(19mmol)及び1.8g(9mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、4−アニシル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−Aと略す)1.4gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:4−アニシル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は43%であった。
得られたPGe−Aの1H NMRスペクトルの測定結果を図3に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,100、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.25であった。
【0034】
[実施例4]<tert−ブチル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
実施例1において、ブロモベンゼンを同モル数の2−ブロモ−2−メチルプロパン(東京化成工業(株)製)2.6g(19mmol)及び1.3g(9mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、tert−ブチル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−tBと略す)0.9gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:tert−ブチル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は33%であった。
得られたPGe−tBの1H NMRスペクトルの測定結果を図4に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,800、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.46であった。
【0035】
[実施例5]<2−チエニル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
実施例1において、ブロモベンゼンを同モル数の2−ブロモチオフェン(東京化成工業(株)製)3.1g(19mmol)及び1.6g(9mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、2−チエニル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−Thと略す)1.2gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:2−チエニル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は41%であった。
得られたPGe−Thの1H NMRスペクトルの測定結果を図5に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,100、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.39であった。
【0036】
[実施例6]<5−メチルチオフェン−2−イル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
実施例1において、ブロモベンゼンを同モル数の2−ブロモ−5−メチルチオフェン(東京化成工業(株)製)3.3g(19mmol)及び1.7g(9mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、5−メチルチオフェン−2−イル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−ThMと略す)1.1gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:5−メチルチオフェン−2−イル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は35%であった。
得られたPGe−ThMの1H NMRスペクトルの測定結果を図6に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,300、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.34であった。
【0037】
[実施例7]<フェニル基置換ポリゲルマン化合物の合成2>
窒素雰囲気下、100mLの四口フラスコに粉末マグネシウム(関東化学(株)製)1.4g(56mmol)及びテトラヒドロフラン40gを加えた後、ヨウ素(純正化学(株)製)0.02gを加え、室温(およそ25℃)で10分間撹拌した。次いで還流状態まで加熱させたこの反応液に、四塩化ゲルマニウム(ヤマナカヒューテック(株)製)4.0g(19mmol)、ブロモベンゼン(東京化成工業(株)製)3.0g(19mmol)及びTHF12gの混合物を滴下し、加熱還流下で30分間撹拌した。その後、この反応液へ、ブロモベンゼン1.5g(9mmol)及びTHF2gの混合物をさらに滴下した。そして、加熱還流下で30分間、続けて室温(およそ25℃)で18時間撹拌後、この反応液をメタノール200gに加え再沈殿させ、析出した固体を濾取した。得られた固体を80gのトルエンに溶解させ、濾過により不溶物を除去した。濾液の溶媒を留去した後、得られた残渣を4gのクロロホルムに再溶解させ、メタノール100gに加え再度再沈殿させた。析出した固体を濾取することで、目的物であるPGe−P1.5gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:フェニル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は53%であった。
得られたPGe−Pの1H NMRスペクトルの測定結果を図7に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,100、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.28であった。
【0038】
[比較例1]<従来法によるフェニル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
窒素雰囲気下、100mLの四口フラスコに粉末マグネシウム(関東化学(株)製)1.8g(75mmol)及びテトラヒドロフラン(以下、THFと略す)40gを加えた後、ジブロモエタン(東京化成工業(株)製)3.5g(19mmol)を滴下し、室温(およそ25℃)で10分間撹拌した。次いでこの反応液へ、四塩化ゲルマニウム(ヤマナカヒューテック(株)製)4.0g(19mmol)及びTHF12gの混合物を滴下し、室温(およそ25℃)で30分間撹拌した。その後、この反応液へ、ブロモベンゼン(東京化成工業(株)製)4.5g(28mmol)及びTHF2gの混合物をさらに滴下した。そして、室温(およそ25℃)で18時間撹拌後、この反応液をメタノール200gに加え再沈殿させ、析出した固体を濾取した。得られた固体を80gのトルエンに溶解させ、濾過により不溶物を除去した。濾液の溶媒を留去した後、得られた残渣を4gのクロロホルムに再溶解させ、メタノール100gに加え再度再沈殿させた。析出した固体を濾取することで、目的物であるフェニル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−P*と略す)1.1gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:フェニル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は38%であった。
得られたPGe−P*1H NMRスペクトルの測定結果を図8に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.10であった。
【0039】
[比較例2]<従来法による4−トルイル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
比較例1において、ブロモベンゼンを、4−ブロモトルエン(東京化成工業(株)製)4.8g(28mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、4−トルイル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−To*と略す)0.5gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:4−トルイル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は16%であった。
得られたPGe−To*1H NMRスペクトルの測定結果を図9に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,500、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.15であった。
【0040】
[比較例3]<従来法による4−アニシル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
比較例1において、ブロモベンゼンを4−ブロモアニソール(東京化成工業(株)製)5.4g(28mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、4−アニシル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−A*と略す)0.8gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:4−アニシル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は25%であった。
得られたPGe−A*1H NMRスペクトルの測定結果を図10に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,300、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.12であった。
【0041】
[比較例4]<従来法によるtert−ブチル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
比較例1において、ブロモベンゼンを2−ブロモ−2−メチルプロパン(東京化成工業(株)製)3.9g(28mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、tert−ブチル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−tB*と略す)1.2gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:tert−ブチル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は42%であった。
得られたPGe−tB*1H NMRスペクトルの測定結果を図11に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは4,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は2.27であった。
【0042】
[比較例5]<従来法による2−チエニル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
比較例1において、ブロモベンゼンを2−ブロモチオフェン(東京化成工業(株)製)4.7g(28mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、2−チエニル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−Th*と略す)0.9gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:2−チエニル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は31%であった。
得られたPGe−Th*1H NMRスペクトルの測定結果を図12に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは800、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.14であった。
【0043】
[比較例6]<従来法による5−メチルチオフェン−2−イル基置換ポリゲルマン化合物の合成>
比較例1において、ブロモベンゼンを2−ブロモ−5−メチルチオフェン(東京化成工業(株)製)5.0g(28mmol)に変更した以外は同様の操作を行い、5−メチルチオフェン−2−イル基置換ポリゲルマン化合物(以下、PGe−ThM*と略す)1.3gを得た。ポリゲルマン化合物中のゲルマニウム原子:5−メチルチオフェン−2−イル基=1:1(mol比)と仮定すると、収率は41%であった。
得られたPGe−ThM*1H NMRスペクトルの測定結果を図13に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは900、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.23であった。
【0044】
実施例1乃至実施例7及び比較例1乃至比較例6で得られた有機置換ポリゲルマン化合物の収率、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mw、及び分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示すように、本発明の製造方法によれば、特に芳香族炭化水素基置換のポリゲルマン化合物の製造において明らかな収率の向上が確認され、本発明の優位性が示された。
【0047】
[実施例8]<有機置換ポリゲルマン化合物からなる薄膜の作製>
実施例1乃至7及び比較例1乃至6において合成した有機置換ポリゲルマン化合物を、それぞれトルエン(PGe−Th(*)及びPGe−ThM(*)についてはγ−ブチロラクトン)に溶解させ、有機置換ポリゲルマン化合物濃度が3質量%のワニスを調製した。このワニスをガラス基板上にスピンコート法(回転数1,500rpm×30秒間(PGe−Th(*)及びPGe−ThM(*)については回転数300rpm×5秒間+回転数1,500rpm×30秒間))によって塗布した。この塗布膜を、100℃のホットプレートで10分間加熱処理することで薄膜中の溶媒を除去し、それぞれの薄膜を得た。
得られたそれぞれの薄膜の、波長633nmにおける屈折率をエリプソメーターにより測定した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
表2に示すように、本発明の製造方法によれば、従来法で得られる有機置換ポリゲルマン化合物に比べ、より屈折率の高い有機置換ポリゲルマン化合物からなる薄膜が得られることが確認され、本発明の優位性が示された。
【0050】
[実施例9]<有機置換ポリゲルマン化合物含有アクリル樹脂膜の作製>
実施例1において合成したポリゲルマン化合物PGe−P、重合性アクリレート化合物であるA−DCP(商品名)(新中村化学工業(株)製、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、及びトルエン2mLを表3に示す分量で混合した。得られた混合溶液のトルエンをエバポレーターにより留去した後、過酸化物系熱ラジカル重合開始剤カヤエステルO−50E(商品名)(化薬アグゾ(株)製)をA−DCP100質量部に対して2質量部加え撹拌することで、PGe−PとA−DCPの樹脂組成物を調製した。
調製した樹脂組成物を、それぞれスライドガラス中央に滴下し、上からスライドガラスを被せた後、120℃のホットプレートで10分間加熱し、樹脂組成物を熱硬化(熱重合)させた。室温(およそ25℃)に冷却後、上部のスライドガラスを剥離することで、スライドガラス上にポリゲルマン化合物含有アクリル樹脂膜(熱硬化膜)を作製した。
また、A−DCP0.50gとカヤエステルO−50E0.010gを混合した、ポリゲルマン化合物を含まない樹脂組成物を調製し、同様の操作によりポリゲルマン化合物を含まないアクリル樹脂膜(熱硬化膜)を作製した。
それぞれの熱硬化膜の波長633nmにおける屈折率をプリズムカプラにより測定した。また、各熱硬化膜の透明性を目視により評価した。評価は、○:透明、×:濁りあり、の二段階で行った。それぞれの結果を表3に合わせて示す。
【0051】
【表3】
【0052】
表3に示すように、本発明により得られた有機置換ポリゲルマン化合物はアクリル樹脂との高い相溶性を有し、かつ有機置換ポリゲルマン化合物を含有させることで、アクリル樹脂膜の屈折率を上昇させ得ることが確認された。
【0053】
[実施例10]<有機置換ポリゲルマン化合物含有アクリル樹脂膜の作製>
実施例1において合成したポリゲルマン化合物PGe−P0.10g、重合性アクリレート化合物であるA−BPEF(商品名)(新中村化学工業(株)製、9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン)0.20g、ベンジルメタクリレート(以下、BzMAと略す)(アルドリッチ社製)0.20g、及びトルエン2mLを混合した。得られた混合溶液のトルエンをエバポレーターにより留去した後、過酸化物系熱ラジカル重合開始剤カヤエステルO−50E(商品名)(化薬アグゾ(株)製)0.008gを加え撹拌することで、PGe−P、A−BPEF及びBzMAの樹脂組成物を調製した(PGe−P濃度20質量%)。
調製した樹脂組成物を、スライドガラス中央に滴下し、500μmのスペーサーを介してスライドガラスを被せた後、120℃のホットプレートで30分間加熱し、樹脂組成物を熱硬化(熱重合)させた。室温(およそ25℃)に冷却後、上下のスライドガラスを剥離することで、膜厚約500μmのポリゲルマン化合物含有アクリル樹脂膜(熱硬化膜)を作製した。
また、A−BPEF0.25g、BzMA0.25g、及びカヤエステルO−50E0.01gを混合した、ポリゲルマン化合物を含まない樹脂組成物を調製し、同様の操作によりポリゲルマン化合物を含まないアクリル樹脂膜(熱硬化膜)を作製した。
それぞれの熱硬化膜の透過率を紫外可視近赤外分光光度計により測定した。得られたスペクトルを図14に示す。その結果、ポリゲルマン化合物含有アクリル樹脂膜が近赤外領域において高い透明性を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の製造方法によって得られる有機置換ポリゲルマン化合物は高屈折率材料として、光学レンズ、光導波路、反射防止膜などへの利用が期待される。従って、本発明の製造方法は工業的に非常に有利なものである。
図1
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