(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762542
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】半導体プロセスレシピの検証のコンピュータ実装方法及び持続性コンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-526207(P2013-526207)
(86)(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公表番号】特表2013-541189(P2013-541189A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】US2011049918
(87)【国際公開番号】WO2012030930
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年7月18日
(31)【優先権主張番号】13/044,747
(32)【優先日】2011年3月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/378,561
(32)【優先日】2010年8月31日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ハーディー チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】リンドレイ ロジャー アラン
【審査官】
堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−165729(JP,A)
【文献】
特開2008−258583(JP,A)
【文献】
特開2010−182861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)半導体プロセスツールの操作ウィンドウを示したルールセットを選択する工程と、
(ii)前記ルールセットのリミットチェックルールに対して、半導体プロセスレシピ内の工程によって定義されたパラメータ値をチェックして、第1結果を生成する工程と、
(iii)前記ルールセットの工程定義ルールを用いて、前記半導体プロセスレシピ内の工程から工程タイプを決定して、第2結果を生成する工程と、
(iv)前記ルールセットの工程遷移ルールに対して、工程タイプ間の遷移をチェックして、第3結果を生成する工程と、
(v)前記第1結果、前記第2結果、及び前記第3結果に基づいて、前記半導体プロセスツールで前記半導体プロセスレシピを使用するための検証データを、コンピュータを使用して生成する工程と、
(vi)グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を用いてコンピュータに結合されたディスプレイ上に検証データを表示する工程と、
(vii)前記半導体プロセスレシピが有効かどうか判断する工程と、
(viii)前記半導体プロセスレシピが有効でない場合、エラーを未然に防ぐために、前記コンピュータを用いて前記半導体プロセスレシピを修正する工程と、
(ix)前記半導体プロセスレシピが有効になるまで、工程(ii)〜(viii)を繰り返す工程を含み、工程(i)〜(ix)は、上記の順序で実行される半導体プロセスレシピの検証のコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記選択する工程は、
前記半導体プロセスツール用の設定データを取得する工程と、
前記設定データに基づいて、複数のルールセットから前記ルールセットを選択する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記リミットチェックルールは、前記半導体プロセスツールの変数パラメータに制約を定義する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記工程定義ルールは、前記工程タイプの夫々に対して1セットの要件を定義する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記工程遷移ルールは、工程タイプ間で許可された遷移及び必要な遷移を定義する請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記検証データは、前記ルールセットのうちの少なくとも1つのルール違反を表す少なくとも1つのエラーインジケータを含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのエラーインジケータは、前記違反を未然に防ぐために、前記半導体プロセスレシピの少なくとも1つの修正を更に表す工程を含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
エラーを未然に防ぐために、前記コンピュータを用いて前記半導体プロセスレシピを修正する工程は、前記少なくとも1つのエラーインジケータによって表された前記違反を未然に防ぐために、前記コンピュータを用いて前記半導体プロセスレシピを修正する工程を含む請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記修正する工程は、前記半導体プロセスレシピの工程間に新たな工程を挿入する工程を含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
プロセッサによって実行されると、
(i)半導体プロセスツールの操作ウィンドウを示したルールセットを選択する工程と、
(ii)前記ルールセットのリミットチェックルールに対して、半導体プロセスレシピ内の工程によって定義されたパラメータ値をチェックして、第1結果を生成する工程と、
(iii)前記ルールセットの工程定義ルールを用いて、前記半導体プロセスレシピ内の工程から工程タイプを決定して、第2結果を生成する工程と、
(iv)前記ルールセットの工程遷移ルールに対して、工程タイプ間の遷移をチェックして、第3結果を生成する工程と、
(v)前記第1結果、前記第2結果、及び前記第3結果に基づいて、前記半導体プロセスツールで前記半導体プロセスレシピを使用するための検証データを、コンピュータを使用して生成する工程と、
(vi)グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を用いてコンピュータに結合されたディスプレイ上に検証データを表示する工程と、
(vii)前記半導体プロセスレシピが有効かどうか判断する工程と、
(viii)前記半導体プロセスレシピが有効でない場合、エラーを未然に防ぐために、前記コンピュータを用いて前記半導体プロセスレシピを修正する工程と、
(ix)前記半導体プロセスレシピが有効になるまで、工程(ii)〜(viii)を繰り返す工程を含み、工程(i)〜(ix)は、上記の順序で実行される半導体プロセスレシピの検証方法を、前記プロセッサに実行させる命令を内部に格納する持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記リミットチェックルールは、前記半導体プロセスツールの変数パラメータに制約を定義し、前記工程定義ルールは、前記工程タイプの夫々に対して1セットの要件を定義し、前記工程遷移ルールは、工程タイプ間で許可された遷移及び必要な遷移を定義する請求項10記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記検証データは、前記ルールセットのうちの少なくとも1つのルール違反を表す少なくとも1つのエラーインジケータを含み、前記少なくとも1つのエラーインジケータは、前記違反を未然に防ぐために、前記半導体プロセスレシピの少なくとも1つの修正を更に表す工程を含む請求項10記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記検証データは、前記ルールセットのうちの少なくとも1つのルール違反を表す少なくとも1つのエラーインジケータを含み、エラーを未然に防ぐために、前記コンピュータを用いて前記半導体プロセスレシピを修正する工程は、前記少なくとも1つのエラーインジケータによって表された前記違反を未然に防ぐために、前記コンピュータを用いて前記半導体プロセスレシピを修正する工程を含む請求項10記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、半導体プロセスレシピを自動検証するための方法及び装置に関する。
【0002】
半導体デバイスを製造するプロセスは、数百又は数千ものプロセス変数を考慮に入れた多くの一連の手順が要求される可能性がある。更に、プロセス工程の実行に使用されるツールは、製造プロセスに更に変数を追加する様々な仕様、制限事項、及び要件がある。したがって、プロセスエンジニアは、プロセス工程を決定づけ、プロセス内で使用される各ツール用にどのような工程が実行されるべきかを決定づける半導体プロセスレシピ(「レシピ」)を作る。
【0003】
間違ったレシピは悪い結果をもたらす可能性があり、被処理半導体ウェハを損傷する可能性さえある。与えられたツールの許容操作ウィンドウを明確に定義することはできるが、非常に複雑になる可能性がある。そのような複雑さのために、プロセスエンジニアはいくつかの方法で間違ったレシピを誤って作成する可能性があり、又はそうでなければツール用に定義された操作ウィンドウの範囲外に収まる。このように、レシピは製造時に使用される前に検証しなければならない。
【0004】
典型的には、レシピは手動で検証され、それによってプロセスエンジニアは、ある特定のツールの仕様及び操作ウィンドウを詳述した文書とレシピを相互参照する。手動でレシピを検証することは、大きな労働力を要し、エラーが発生しやすい。レシピの検証プロセスを自動化しようとすることは、一般的にレシピパラメータが許容範囲内に収まることを確認するためにスプレッドシートを使用することに集中している。これはある程度の検証を提供するものの、いくつかのパラメータの組み合わせを含む複雑な条件がある場合は、このようなプロセスは不十分なものとなる可能性がある。更に難しいのは、レシピ内の工程の順番とタイプが、あるツールの操作ウィンドウの要件を満たしていることを検証することである。
【0005】
したがって、発明者らは、半導体プロセス工程を自動検証するための改良された方法及び装置を提供する。
【0006】
半導体プロセス工程の自動検証のための方法及び装置が、本明細書内で提供される。いくつかの実施形態では、半導体プロセスレシピを検証するための方法(及び前記方法を実行するための命令を格納するコンピュータ可動媒体)は、半導体プロセスツールの操作ウィンドウを示したルールセットを選択する工程と、ルールセットのリミットチェックルールに対して、半導体プロセスレシピ内の工程によって定義されたパラメータ値をチェック(照合)して、第1結果を生成する工程と、ルールセットの工程定義ルールを用いて、半導体プロセスレシピ内の工程から工程タイプを決定して、第2結果を生成する工程と、ルールセットの工程遷移ルールに対して、工程タイプ間の遷移をチェックして、第3結果を生成する工程と、第1結果、第2結果、及び第3結果に基づいて、半導体プロセスツールで半導体プロセスレシピを使用するための検証データを、コンピュータを使用して生成する工程を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、半導体プロセスレシピを検証するための装置は、レシピチェッカーソフトウェアと、半導体プロセスツールのための操作ウィンドウを表す複数のルールを格納するように構成されたメモリと、メモリに結合され、レシピチェッカーソフトウェアが、半導体プロセスツールのための複数のルールセットから1つのルールセットを選択する工程と、ルールセットのリミットチェックルールに対して、半導体プロセスレシピ内の工程によって定義されたパラメータ値をチェックして、第1結果を生成する工程と、ルールセットの工程定義ルールを用いて、半導体プロセスレシピ内の工程から工程タイプを決定して、第2結果を生成する工程と、ルールセットの工程遷移ルールに対して、工程タイプ間の遷移をチェックして、第3結果を生成する工程と、第1結果、第2結果、及び第3結果に基づいて、半導体プロセスツールで半導体プロセスレシピを使用するための検証データを生成する工程を実行するように構成されたプロセッサを含む。
【0008】
本発明の他の及び更なる実施形態は、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上記で簡単に要約し、以下でより詳細に説明される本発明の実施形態は、添付の図面に示された本発明の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限されていると解釈されるべきではなく、本発明は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【
図1】コンピューティングシステムの代表的な実施形態を示すブロック図である。
【
図2】レシピチェッカーの一実施形態を示すブロック図である。
【
図3】プロセスレシピを検証するための方法の一実施形態を示すフロー図である。
【0010】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。図面は、比例して描かれているわけではなく、明確にするために簡素化されているかもしれない。一実施形態の要素及び構成を更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。
【0011】
図1は、コンピューティングシステム100の例示的な実施形態を示すブロック図である。コンピューティングシステム100は、プロセッサ102と、メモリ104と、様々なサポート回路106と、I/Oインターフェイス108と、ディスプレイ109を含む。本明細書内で言う「コンピュータ」とは、少なくともプロセッサシステム102及びメモリ104を含むことができる。一般的には、プロセッサ102は、1以上の中央処理装置(CPU)を含むことができる。CPUは、プログラム命令(「ソフトウェア」)を実行するように構成された回路を含むことができる。プロセッサ102用のサポート回路106は、従来のキャッシュ、電源、クロック回路、データレジスタ、I/Oインターフェイス等を含む。I/Oインターフェイス108は、直接メモリ104に結合される又はプロセッサ102を介して結合されることができる。I/Oインターフェイス108は、ディスプレイ109及びI/Oデバイス111に結合することができる。I/Oデバイスは、様々な入力/出力デバイス(例えば、キーボード、マウス等)を含むことができる。メモリ104は、以下のランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、磁気抵抗リード/ライトメモリ、光学式リード/ライトメモリ、キャッシュメモリ、磁気リード/ライトメモリ等のうちの1以上を含んでもよい。
【0012】
メモリ104は、プロセッサ102によって実行するために構成されたプログラム命令を含むソフトウェア110を格納する。ソフトウェア110は、オペレーティングシステム(OS)112と、半導体プロセスレシピチェッカーツール(「レシピチェッカー114」)を含むことができる。OS112は、レシピチェッカー114とコンピューティングシステム100との間のインターフェイスを提供することができる。OS112は、当該技術分野で公知の様々なオペレーティングシステムを使用して実装できる。レシピチェッカー114は、OS112の制御下でプロセッサ102によって実行され、これによって以下に詳細に記載された半導体プロセスレシピの検証を実行することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム100は、I/Oインターフェイス108を介して半導体プロセスツール150に結合することができる。こうして、コンピュータシステム100の出力、特にレシピチェッカー114によって生成された出力は、半導体処理を実行するための半導体プロセスツール150を制御するために有利に使用することができる。半導体プロセスツール150は、半導体デバイスを処理して製造するため、当該技術分野で公知の任意のタイプのツールが可能である。
【0014】
図2は、レシピチェッカー114の一実施形態を示すブロック図である。レシピチェッカー114は、ルールエンジン202と、ルールデータベース204と、入力インターフェイス(「入力IF206」)と、出力インターフェイス(「出力IF208」)を含むことができる。ルールデータベース204は、複数のルールセット216を含むことができる。入力IF206は、1以上のレシピ210及びツール設定データ(「ツール設定214」)を受信するように構成されている。入力IF206は、レシピ210及びツール設定214をルールエンジン202に結合する。ルールエンジン202は、ルールデータベース204にアクセスするように構成され、これによって1以上のルールセット216を取得する。ルールエンジン202は、出力IF208を介して出力として提供される検証データ212を生成する。入力IF206及び出力IF208は、コンピューティングシステム100のディスプレイ109に表示することができるグラフィックユーザーインターフェイス(GUI)116などのユーザーインターフェイスの一部であることができる。
【0015】
動作時には、レシピ210は、1以上の半導体プロセスレシピを示す。レシピ210は、任意の電子フォーマット(プレーンテキストファイル、エクステンシブルマークアップランゲージ(XML)ファイル等)が可能である。各レシピは、半導体プロセスツール(「プロセスツール」)によって、半導体ウェハ上で実行される処理工程(「工程」)のシーケンスを示す。レシピ内の工程は、1以上の命令によって定義されることができる。「命令」は、ツールによって実行される動作及び/又はプロセスツールと関連する1以上のパラメータの設定を示す。例えば、命令は、プロセスツールのある特定のパラメータへの値の代入を示すことができる。当該技術分野でよく知られているように、プロセスツールは、様々な動作(エッチング、成膜等)を実行することができ、それらのうちの夫々が、異なる値に設定可能な様々なパラメータ(ソース電力、バイアス電力、プロセスガス流、プロセスガス圧力等)を含む。したがって、レシピ内の工程は、動作を呼び出し及び/又はプロセスツールの様々なパラメータを設定し、これによって所望の半導体プロセスを達成することができる。
【0016】
各プロセスツールは、様々な動作及びパラメータに制約(例えば、パラメータのための最小値/最大値、必須及び許可された動作、動作のシーケンス等)を定義する「操作ウィンドウ」を含む。ルールデータベース204は、複数のプロセスツール用のルールセット216を含む。各ルールセット216は、ある特定のプロセスツール(又はプロセスツールが複数のバージョンや構成を有する場合は、プロセスツールのあるバージョン)用の操作ウィンドウを示す。一般的には、ルールエンジン202は、レシピ210をルールセット216に対してチェックし、これによってレシピ210が意図されたプロセスツールに対して有効であるかどうかを判断する。ツール設定214は、ある特定のプロセスツールに対する設定データを提供する。ルールエンジン202は、ツール設定214を使用することによって、設定されたように特定のプロセスツールに対応する特定のルールセットを、ルールセット216から選択することができる。
【0017】
ルールセット216は、プロセスツール用の操作ウィンドウを設定されたように定義する様々なルールを含む。ルールセット216は、異なるタイプのルールを含むことができる。「ルール」は、プロセスツール用のパラメータ及び/又は動作に関連する制約を定義する。ルールは、優先順位を含むことができる。例えば、ルール違反がプロセスツール及び/又は半導体ウェハに損傷を与える可能性がある場合、そのようなルールを「重度」と定義することができる。ルール違反は推奨されないが可能な場合、そのようなルールを「警告」と定義することができる。当業者は、追加の及び/又は異なるタイプの優先度をルールに割り当てることができることを理解するであろう。
【0018】
いくつかの実施形態では、ルールセット216は、リミットチェックルールを含む。「リミットチェックルール」は、プロセスツールのある特定の変数パラメータに対して制約を定義することができる。例えば、1つのリミットチェックルールは、処理中のプロセスツールのチャンバー内で維持される最小圧力を定義することができる。別のリミットチェックルールは、そのような圧力の最大値を定義することができる。別のリミットチェックルールは、最大/最小ガス流を定義することができる。当業者は、ある特定のプロセスツールの様々なパラメータに対して、様々なリミットチェックルールが形成可能であることを理解するであろう。
【0019】
いくつかの実施形態では、ルールセット216は、工程定義ルールを含む。「工程定義ルール」は、工程タイプに対して1セットの要件を定義することができる。「工程タイプ」は、プロセスツールによって実行可能な動作である。例えば、エッチングチャンバは、ソースエッチング工程、バイアスエッチング工程、フラッシュ(すすぎ)工程、洗浄工程等を行うことができる。各工程タイプは、特定のツールのパラメータと、そのようなパラメータに割り当てられた値の設定によって定義される。工程定義ルールによって定義された要件は、どのパラメータとそれらの値が特定の工程タイプに結果を及ぼすかを決める。例えば、「x」ワットのソース電力と、「y」ワットのバイアス電力と、「z」sccmのガス流は、ソースエッチング工程タイプとして分類することができ、それに応じて工程定義ルール内の要件を設定することができる。「a」ワットのソース電力と、「b」ワットのバイアス電力と、「c」sccmのガス流は、バイアスエッチング工程タイプとして分類することができ、それに応じて工程定義ルール内の要件を設定することができる。当業者は、特定のプロセスツールが様々な工程タイプを有することができることを理解し、工程定義ルールはそのような工程タイプを分類するために定義することができることを理解するであろう。
【0020】
いくつかの実施形態では、ルールセット216は、工程遷移ルールを含む。「工程遷移ルール」は、工程タイプ間で許可される、及び必要な遷移を定義することができる。プロセスツールは、様々な工程タイプを実行するが、必ずしもある順序である必要はない。プロセスツールの操作ウィンドウは、工程タイプ間で許可される、及び/又は必要な遷移を定義することができる。例えば、ある工程遷移ルールは、工程Aに続いて工程Bが許可されることを定義することができる。別の工程遷移ルールは、工程Cに続いて工程Eは許可されず、工程Cと工程Eの間に工程Dを実行しなければならないことを定義することができる。
【0021】
当業者であれば、ルールセット216は、上述のリミットチェックルール、工程定義ルール、及び工程遷移ルールの様々な実装を含むことができることを理解するであろう。例えば、ルールのうちのいずれかは、プロセスツールの異なる変数に対して異なるルールによって設定することができる。ルールのうちのいずれかは、例えば、プロセスツールがある特定の機能を有する場合、その機能はそれに応じて設定されなければならないなど、依存関係の情報によって設定することができる。
【0022】
動作時には、ルールエンジン202は、各レシピ210を適切なルールセット216に対して適用し、レシピ210が有効であるかどうかを判断する。いくつかの実施形態では、ルールエンジン202は、レシピ内の工程によって定義されたパラメータの値をリミットチェックルールに対してチェックし、これによって(もしあれば)そのようなルール違反を示す第1結果を生成する。その後、ルールエンジン202は、工程定義ルールを使用して、レシピ内の工程タイプを決定し、これによってレシピ内の工程を特定の工程タイプに分類する第2結果を生成することができる。その後、ルールエンジン202は、工程遷移ルールに対して工程タイプ間の遷移をチェックし、これによって(もしあれば)そのようなルール違反を示す第3結果を生成する。その後、ルールエンジン202は、第1結果、第2結果、及び第3結果に基づいて設定されるような、特定のプロセスツールでレシピを使用するための検証データ212を生成することができる。
【0023】
検証データ212は、(もしあれば)適用されたルールセット内の少なくとも1つのルール違反を示すエラーを示すことができる。いくつかの実施形態では、エラー表示は、違反を未然に防ぐために必要なレシピの修正点を更に示すことができる。検証データ212は、出力IF208を介して出力として提供される。例えば、検証データ212は、GUIを介してユーザに表示することができ、これによってユーザは、違反と、有効なレシピを作成するのに必要な潜在的な修正点を観察することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、レシピチェッカー114は、レシピ緩和モジュール218を含む。レシピ緩和モジュール218は、検証データ212とレシピ210を受信するように構成される。レシピ緩和モジュール218は、無効であると指摘されているレシピを修正するように構成される。例えば、レシピ緩和モジュール218は、違反と、検証データ212内の推奨される修正点を有利に識別し、違反を未然に防ぐために問題のあるレシピを自動的に修正することができる。レシピ緩和モジュール218は、パラメータ値を変更する、工程を挿入する、工程を除去する、工程を再配置する等によって修正することができ、これによってレシピは特別に適用されたルールセットを満足する。レシピ緩和モジュール218は、修正されたレシピ220を出力として生成する。
【0025】
図3は、プロセスレシピを検証するための方法300の一実施形態を示すフロー図である。方法300は、上述したコンピューティングシステム100によって実行することができる。方法300は、301から始まる。302では、半導体プロセスツールの操作ウィンドウを表すルールセットが選択される。いくつかの実施形態では、ルールセットは、ツール設定データに基づいて選択することができる。304では、半導体プロセスレシピ内の工程によって定義されたパラメータ値が、ルールセットのリミットチェックルールに対してチェックされ、第1結果を生成する。306では、ルールセットの工程定義ルールを用いて半導体プロセスレシピ内の工程から工程タイプを決定し、第2結果を生成する。308では、ルールセットの工程遷移ルールに対して工程タイプ間の遷移をチェックし、第3結果を生成する。310では、第1結果、第2結果、及び第3結果に基づいて、半導体プロセスツールで半導体プロセスレシピを使用するための検証データを有利に生成する。
【0026】
方法300は、GUIを用いてコンピュータに結合されたディスプレイ上に検証データを表示する312を含むことができる。方法300は、314〜316を含むことができる。314では、レシピが有効なものとして示されているかどうか判断される。もしそうであれば、方法300は399で終了する。そうでない場合は、方法300は316に進む。316では、検証データによって示されたエラーを未然に防ぐように半導体プロセスレシピを有利に修正する。その後、方法300は304に戻り、繰り返すことができる。
【0027】
本発明の一態様は、コンピュータシステムで使用するためのプログラム製品として実装される。プログラム製品のプログラムは、実施形態の機能を定義し、(i)非書き込み可能な記憶媒体(例えば、CD−ROMドライブ又はDVDドライブによって読み取り可能なCD−ROM又はDVD−ROMなどのコンピュータ内のリードオンリーメモリデバイス)内に永久保存された情報、及び(ii)書き込み可能な記憶媒体(例えば、フロッピー(商標名)ディスクドライブ内のフロッピー(商標名)ディスク又はハードディスクドライブ又は読み取り/書き込み可能なCD又は読み取り/書き込み可能なDVD)に記憶された可変情報を含むが、これらに限定されないコンピュータで読み取り可能な多様な媒体内に含むことができる。このようなコンピュータ可読媒体は、本発明の機能を指示するコンピュータ可読命令を伴うとき、本発明の実施形態を表す。
【0028】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができる。