【課題を解決するための手段】
【0018】
余裕のある製造誤差を持たせるために、低価格でかつ複雑さを抑えつつ、配置・構成上の変動が許容される静電噴霧装置、および、周辺の環境条件および静電噴霧そのものの状態に応じて静電噴霧の出力を調整することが可能な静電噴霧装置の提供が望まれる。
【0019】
本発明の第1の実施形態において、静電噴霧される物質に対して電気的に作用することにより、当該物質を静電噴霧するスプレー部位と、上記スプレー部位と電気的に接続可能なスプレー電極と、基準電極と、電源装置とを備え、上記基準電極は、上記スプレー電極と当該基準電極との間に電圧が印加されたときに、上記静電噴霧される物質が上記スプレー部位から噴霧されるように配置されており、上記電源装置は、上記スプレー電極と上記基準電極との間に電圧を印加し、上記スプレー部位の電気的特性を監視できるとともに、監視された上記スプレー部位の電気的特性に基づいて上記スプレー電極と上記基準電極との間に印加される電圧を調節することができ、さらに、上記スプレー部位から噴霧される物質の電荷が、少なくとも同量の逆の極性の電荷が上記基準電極において生成されることによって電荷のバランスをとるように、上記スプレー電極および上記基準電極が配置されている静電噴霧装置が提供される。
【0020】
上記のように電荷のバランスを取ることにより、電荷が平衡された静電噴霧システムが提供される。電荷平衡システム(電荷の平衡化されたシステム)において、静電噴霧された荷電種が安定的に装置の外部に放出されるためには、逆の極性を有する電荷が基準電極によって等量生成され、それにより電荷を平衡化することが好ましい。
【0021】
静電噴霧される物質は1種またはそれ以上の液体、気体、固体またはそれらの組み合わせであってよい。
【0022】
典型例として、基準電極は、例えば、当該電極の近傍に強い電場を生成するために鋭い端部または先端部を有することによって、空気粒子をイオン化し、逆の極性を有する粒子を容易に生成する。スプレー電極および基準電極から放出された逆の極性を有する粒子はそれぞれ、部分的に、または全てが、互いに放電する可能性があるが、これは本装置にとって重要な要素である必要はない。また、スプレー部位で生成した荷電粒子の一部が基準電極に達し、そこで放電されるというのも、電荷平衡システムの原理の1つとして挙げられる。この場合、基準電極に到達しなかった荷電粒子のみが、逆の極性を有するイオン化された大気粒子と平衡化する。しかしながら、高い電力効率で荷電粒子を生成するためには、基準電極における粒子の部分的放電は行われない方が望ましい。
【0023】
装置が絶縁されているとき、あるいは電源に接続されていないとき、すなわち、装置が主電源などの大型の電荷蓄積装置と電気的に接続していないとき、電荷平衡システムを実現することができる。電池で稼動する装置であれば、装置全体が絶縁されているため、電荷平衡は可能であろう。主電源で稼動する装置では、例えば十分な電気的絶縁によって、主電源のコンセントへの正味の電荷の流れをゼロとすることが重要である。
【0024】
電荷平衡システムでは、荷電粒子の種類は問われない。というのも、本装置では、印加される高電圧の極性によって、負帯電した大気イオンと確実に平衡となるように正帯電した荷電粒子を生成することができ、また、正帯電した大気イオンと確実に平衡するように負帯電した荷電粒子を生成することができるためである。しかしながら、逆の極性に帯電した粒子を効率的に電荷平衡させるために、好適な電圧を印加するか、あるいは、電極および/または誘電体の配置を変更することによって、電場を変化させる必要がある。
【0025】
第1の観点に係る噴霧装置の電荷平衡原理には多くの利点がある。スプレー電流は、逆の極性に帯電したイオンの放出に反映されるため、基準電極において正確なスプレー電流の測定が可能である。また、好適な形状に形成された基準電極によって、静電噴霧により生成される荷電粒子の数を制限することができる。これは、本システムでは、基準電極によって平衡化できる数の、静電噴霧される荷電粒子しか生成しないためである。その結果、安定な静電噴霧が行われる。基準電極における電流がスプレー電極によって放出される総電流に相当するため、静電噴霧以外の要因に起因する、スプレー電極における荷電損失を最小限に抑えることが重要である。荷電損失は、例えばスプレー電極における電気化学反応により生じる。
【0026】
上記電源装置は、上記基準電極における電流を測定することにより上記スプレー部位における電流を監視することができることが好ましい。一実施形態において、上記電源装置は、変流器によって上記基準電極における電流を測定できる。他の実施形態において、上記電源装置は、上記基準電極に直列に接続された抵抗器における電圧を測定することによって、上記基準電極における電流を測定できる。
【0027】
上記電源装置は、主電源または1つ以上のバッテリーを含む電源からの電圧を印加することが好ましい。
【0028】
また、上記電源装置は、当該電源装置によって上記スプレー電極と上記基準電極との間に印加される上記電圧を供給する高電圧発生装置をさらに備えることが好ましい。一実施形態において、上記高電圧発生装置は、発振回路、コンバータおよび整流回路を備えている。他の実施形態において、上記電源装置は、さらに、上記発振回路における発振の大きさ、周波数またはデューティーサイクルを制御することにより印加電圧を調節することができる制御手段を備えている。
【0029】
さらに他の実施形態において、上記電源装置は、さらに、所定の周波数で上記整流回路に交流バーストを発生させることにより印加電圧を調節することができ、上記交流バーストの継続時間および/またはデューティーサイクルによって上記印加電圧の値が決定される。バーストを印加する継続時間は、マイクロプロセッサによって供給されるパルス幅変調信号を用いることで制御され、上記マイクロプロセッサは、アナログ/デジタル変換器を介して電流および電圧測定を行うことができることが好ましい。このように、フィードバック情報に対する所定の出力電力は、マイクロプロセッサのファームウェアの一部であってよく、必要であれば、電源装置回路ハードウェアを変更することなく、変更することができる。
【0030】
さらに他の実施形態において、荷電粒子の少なくとも一部が上記基準電極に到達しないように、上記スプレー部位から噴霧される物質を、上記静電噴霧装置から遠ざける方向制御手段をさらに備える。上記方向制御手段は、上記スプレー部位の近傍に配置された誘電体をさらに備え、噴霧時に、噴霧される物質の極性と同じ電荷が、上記誘電体の側面における上記スプレー部位の近傍に蓄積され、その電荷は、上記スプレー部位から噴霧される物質を、上記静電噴霧装置から遠ざけることが好ましい。上記誘電体は、上記スプレー電極と上記基準電極との間に配置されていることが好ましい。一実施形態において、上記誘電体は、さらに、上記スプレー部位と上記基準電極とを結ぶ線分を遮るように配置されている。
【0031】
このように、本発明の実施形態では、第1電極および第2電極の周囲、特に、電極間に誘電物質を配置することで、第1電極と第2電極との間に形成される電場の形状を変化させることができる。誘電物質は荷電粒子を引き付け、それにより電極間に存在する電場が変化する。特に望ましい電極および誘電体の構成では、スプレー電極と平行に(つまり装置から離れる方向に)帯電した液滴に対して強力な力が及ぶように電場が形成される。理想的には、静電噴霧によって装置から噴霧された帯電物質により得られる運動量は基準電極に引き寄せられる力を十分に上回り、帯電した静電噴霧粒子の安定的な流れが得られる。
【0032】
上記の誘電体の使用は、装置から離れる方向に荷電粒子の流れを生成するうえで最も対費用効果に優れることが分かった。しかしながら、他の手段を用いることも可能である。一実施例では、荷電粒子の動きを偏向させるために磁界が印加され、所望の方向に荷電粒子の流れが形成される。例えば、磁石をスプレー電極近くの適切な位置にセットすることで、荷電粒子が動くように作用させて、装置から離れるように方向付けることができる。他の実施形態では、同様の効果を得るために、気流(例えばファンによって発生させられる)が用いられる。さらに他の実施形態では、最適なスプレー性能を得るために、上述した技術の好適な組み合わせが用いられる。例えば、そのような気流の発生源をスプレー電極と並べて設置することによって装置から離れるように方向付けることができる。
【0033】
このように、他の実施形態において、上記方向制御手段は、上記スプレー部位から噴霧された荷電物質の動きを偏向させる磁界を発生させる磁界発生器を備える。
【0034】
他の実施形態において、上記方向制御手段は、上記スプレー部位から噴霧された荷電物質の動きを偏向させる気流を発生させるために配置されたファンなどの気流発生手段を備えている。
【0035】
さらに他の実施形態において、上記電源装置は、正および負の電荷を有する物質が交互に上記スプレー部位から噴霧されるように、上記スプレー電極と上記基準電極との間に印加される電圧の極性を周期的に変化させる。例えば、このような電極の極性変化は正および負の高電圧に変換できる適切な高電圧発生装置を使用することで達成できる。
【0036】
一実施形態において、噴霧される物質は液体であり、上記スプレー電極と上記基準電極との間に電荷が印加されていないときには、上記噴霧される物質の少なくとも一部が上記液体の表面張力によって上記スプレー部位に保持されるように、上記スプレー部位の寸法が規定されている。
【0037】
幾つかの実施形態において、上記スプレー電極は、上記スプレー部位の位置および当該スプレー部位と隣接する位置には配置されていない。例えば、一実施形態において、噴霧される物質を保持するキャビティをさらに備え、上記スプレー電極の少なくとも一部が上記キャビティ内に配置されている。上記スプレー部位は、上記キャビティの突出部であり、上記突出部は、キャピラリ、ノズルまたは開口部を備える導管を備えていることが好ましい。一実施形態において、上記スプレー電極は、上記噴霧される物質を介して上記スプレー部位と電気的に接続される。
【0038】
他の実施形態において、上記スプレー電極は、上記スプレー部位に配置されるか、または、当該スプレー部位に隣接されることにより、当該スプレー部位と電気的に接続される。一実施形態において、上記スプレー電極は、外側末端を有する導管を備え、上記スプレー部位は、上記外側末端における先端を備えている。上記導管は、キャビティと通じており、上記キャビティは、リザーバーと通じるように配置されており、噴霧時に、噴霧される物質が上記リザーバーから上記キャビティへ送られることが好ましい。上記リザーバーは、噴霧時に、噴霧される物質が重力によって上記キャビティに移動するように配置されていることが好ましい。例えば、リザーバーをキャビティの上に設置し、リザーバーとキャビティの間に流路を設けておくことが挙げられる。一実施形態において、上記リザーバーおよび上記キャビティは、上記静電噴霧の1回の動作において噴霧される物質の容量が、上記リザーバーに残っている物質によって上記キャビティ内に補填される。他の実施形態において、ポンプ供給手段をさらに備え、上記ポンプ供給手段は、好ましくは電気的に作動するものであり、噴霧される物質を上記リザーバーから上記キャビティへ供給するものである。例えば、ポンプはリザーバーとキャビティの間に設置される。
【0039】
他の実施形態において、上記電源装置は、上記スプレー電極と上記基準電極との間に印加される上記電圧を監視する電圧監視手段をさらに備えている。一実施形態において、上記スプレー電極と上記基準電極との間に接続され、分圧器を形成する2つの抵抗器をさらに備え、上記電圧監視手段は、上記2つの抵抗器の接合部における電圧を測定することができる。他の実施形態において、上記電源装置は、上記スプレー電極と上記基準電極との間に電圧を印加することができる高電圧発生装置をさらに備え、上記電圧監視手段は、高電圧発生回路内のノードにおいて生成された電圧を測定することができる。他の実施形態において、上記電圧監視手段は、上記高電圧発生回路からの電力消費に関する情報とともに、上記スプレー部位におけるスプレー電流を監視することにより間接的に上記電圧を監視することができる。本実施形態は、特に、低コストの用途に好適である。出力電圧は、高電圧発生回路において、スプレー電流フィードバック情報と共に消費電力に関する情報を用いることにより、間接的に出力電圧を監視することができる。しかしながら、出力電圧の間接的な監視は、正確性が大幅に損なわれる場合があるため、高電圧出力の正確な値が重要ではない場合には有用である。
【0040】
他の実施形態において、上記電力装置は、制御回路をさらに備え、上記制御回路は、好ましくは、少なくとも1つの電圧制御信号を供給することができるマイクロプロセッサを備え、上記電圧制御信号は、上記電源装置によって上記スプレー電極と上記基準電極との間に印加される電圧の特性を決定するものであり、上記マイクロプロセッサは、上記電源装置によって監視された電流または電圧の値を処理することにより上記電圧制御信号を供給する。一実施形態において、上記制御回路による処理は、周囲の環境条件に関する少なくとも1つの電圧制御信号を補償するように設定されており、上記環境条件には、例えば、温度、湿度および/または大気圧、および/または噴霧量が含まれる。一実施形態において、上記電源装置は、周囲の温度を監視する温度センサをさらに備え、その温度情報は、上記制御回路に供給され、上記少なくとも1つの電圧制御信号を補償するために使用される。他の実施形態において、上記電源装置は、周囲の湿度を監視する湿度センサをさらに備え、その湿度情報は、上記制御回路に供給され、上記少なくとも1つの電圧制御信号を補償するために使用される。さらに他の実施形態において、上記電源装置は、周囲の圧力を監視する圧力センサをさらに備え、その圧力情報は、上記制御回路に供給され、上記少なくとも1つの電圧制御信号を補償するために使用される。
【0041】
典型例として、検査回路は、例えばRFタグのためのRFID回路や不揮発性メモリ(NVM)を読む適切な伝達プロトコルなど適切な回路を使用することによって識別子を検出する、例えばRFタグや不揮発性メモリ(NVM)、マイクロプロセッサなどの電気識別子によって構成される。電気識別子はキャビティまたは液体を含むリザーバーと接続され、適切な回路と十分に近接しており、この適切な回路によって検出・識別されることが好ましい。その時、この適切な回路は電気識別子のアイデンティティを伝えることができ、それゆえ、噴霧される物質の情報を電源装置の制御回路へ伝えることができる。
【0042】
一実施形態において、上記電源装置は、噴霧される物質の特性を検出し、上記噴霧される物質の特性に関する情報を決定する検査回路をさらに備え、上記噴霧される物質の特性に関する決定された情報は、上記制御回路に供給され、上記少なくとも1つの電圧制御信号を補償するために使用される。
【0043】
上記制御回路は、上記電源装置によって印加される電圧の間隔、デューティーサイクル、振幅またはオンーオフ時間のいずれか、またはその組み合わせを変化させることにより補償を行うことができることが好ましい。
【0044】
それゆえ、制御回路は、安定的な量の荷電種を供給するために、環境に関するフィードバック信号を処理し、所定の指標に基づいて補償することができるため、有利である。マイクロプロセッサは、安定的な量の荷電種を供給するために、入力情報を処理し、所定の指標に基づいて補償することが好ましい。上記補償は、上述したように、出力電圧を調整する形式か、スプレー時間およびデューティーサイクルを調整する形式か、あるいはその両方の組み合わせが可能である。好ましい実施形態において、所定の指標はマイクロプロセッサのファームウェアの一部であり、調整は、上記マイクロプロセッサの出力ポートを介して行われる。間隔およびパルス幅変調信号を調整することにより、出力電圧が変更される。一方で、パルス幅変調のオンーオフ時間を調整すると、スプレー間隔およびデューティーサイクルが変更される。
【0045】
さらに他の実施形態において、上記電源装置は、上記基準電極における電流を測定することにより、上記噴霧される物質の残液量の閾値を監視できる監視回路をさらに備えている。静電噴霧の電流を監視する1つの方法は、静電噴霧できる残液量の閾値を下回ったときの電流低下を見ることであり、本発明によると電流フィードバック回路を使用することによって、マイクロプロセッサが応答することができる。
【0046】
さらに他の実施形態において、第1スプレー部位において噴霧される物質の極性とは逆の極性の電荷を有する物質を噴霧する第2スプレー部位をさらに備え、上記基準電極は、上記第2スプレー部位と電気的に接続され、上記第1スプレー部位は、上記スプレー電極によって第1の極性に帯電されており、上記第2スプレー部位は、上記基準電極によって上記第1の極性とは逆の極性に帯電されており、上記スプレー電極および上記基準電極は、1つの電源によって電気的な偏倚をかけている。
【0047】
さらに他の実施形態において、静電噴霧される第2の物質に対して電気的に作用することにより、当該第2の物質を静電噴霧する第2スプレー部位をさらに備え、上記基準電極は、上記第2スプレー部位と電気的に接続可能に配置されており、噴霧時に上記基準電極と上記スプレー電極との間に電圧が印加されたときに、第1スプレー部位から物質が噴霧され、上記第2スプレー部位から上記第2の物質が噴霧される。
【0048】
さらに他の実施形態において、上記噴霧される物質を貯蔵する第1リザーバーと、上記噴霧される第2の物質を貯蔵する第2リザーバーとをさらに備え、上記スプレー電極および上記スプレー部位は、上記第1リザーバーに貯蔵された上記噴霧される物質に対して流体を介して電気的に作用し、上記基準電極および上記第2スプレー部位は、上記第2リザーバーに貯蔵された上記噴霧される第2の物質に対して流体を介して電気的に作用する。
【0049】
本発明の第2の実施形態において、物質を噴霧する第1スプレー部位および第2スプレー部位と、上記第1スプレー部位と電気的に接続される第1電極と、上記第2スプレー部位と電気的に接続される第2電極と、電源装置とを備え、上記第1スプレー部位および上記第2スプレー部位は、第1および第2リザーバーにそれぞれ貯蔵された、噴霧される物質に対して噴霧時に電気的に作用するように配置されており、上記第1および第2電極間に電圧が印加されたときに、上記第1リザーバー内の噴霧される物質が上記第1スプレー部位から噴霧され、上記第2リザーバー内の噴霧される物質が上記第2スプレー部位から噴霧され、上記電源装置は、上記第1電極と上記第2電極との間に電圧を印加することができ、上記第1または第2スプレー部位から噴霧される物質の電荷が、少なくとも同量の逆の電荷が上記第1または第2スプレー部位においてそれぞれ生成されることにより平衡化されるように、上記第1および第2電極が配置されている。上記電源装置は、さらに、上記第1または第2スプレー部位の電気特性を監視することができるとともに、監視された上記第1および上記第2スプレー部位の電気特性および所定の指標に従って上記第1電極と上記第2電極との間にそれぞれ印加される電圧を調節することができることが好ましい。好ましい実施形態において、上記電源装置は、上記第1または第2電極における電流をそれぞれ測定することにより上記第1または第2スプレー部位における電流を監視する。
【0050】
本発明に係る第3の実施形態において、静電噴霧される物質に対して噴霧時に電気的に作用することにより、当該物質を静電噴霧するスプレー部位と、上記スプレー部位と電気的に接続されるスプレー電極と、基準電極と、電源装置とを備え、上記基準電極は、上記スプレー電極と当該基準電極との間に電圧が印加されたときに、上記静電噴霧される物質が上記スプレー部位から噴霧されるように配置されており、上記電源装置は、上記スプレー電極と上記基準電極との間に電圧を印加し、間接的に上記スプレー部位におけるスプレー電流を監視するとともに、上記スプレー電流が閾値よりも低下したことを検出することができ、さらに、上記スプレー部位から噴霧される物質の電荷が、少なくとも同量の逆の極性の電荷が上記基準電極において生成されることにより平衡化されるように、上記スプレー電極および上記基準電極が配置されている。
【0051】
それゆえ、本発明の第3の実施形態において、電源装置は最後まで、つまり、液体リザーバーが空になるまで監視を行う。一実施形態において、その最後の状態は、基準電極における電流の測定によるスプレー電極の監視によって検出される。電荷平衡の原理に基づき、スプレー部位が荷電粒子を生成しないのであれば、基準電極における対応電流もゼロまで下がる。このことは、上記の電流監視回路を介して検出される。他の実施形態において、別の“監視”電極が液体リザーバーに浸っており、例えば、監視電極と基準電極との間に接続する分圧器を形成する2つの抵抗器の接合部における電圧を測定することによって、上記電圧値が監視される。好適な形状の監視電極を用いることにより、監視電極が液面の中または上側に位置するかによって、上記電圧値は変化する。さらに他の実施形態において、リザーバーの液面は、例えば、光学センサまたは容量センサによって監視される。
【0052】
本発明のさらに他の態様において、スプレー部位の電気的特性を監視する工程と、上記第1電極と上記第2電極との間に印加される電圧を調節する工程とを含む、静電噴霧装置を用いて静電噴霧を行う方法が提供される。