特許第5763076号(P5763076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5763076ベベルエッチング用の流体送給を促進する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763076
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】ベベルエッチング用の流体送給を促進する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   H01L21/302 101H
   H01L21/302 102
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-527921(P2012-527921)
(86)(22)【出願日】2010年8月26日
(65)【公表番号】特表2013-504204(P2013-504204A)
(43)【公表日】2013年2月4日
(86)【国際出願番号】US2010046848
(87)【国際公開番号】WO2011028617
(87)【国際公開日】20110310
【審査請求日】2013年8月23日
(31)【優先権主張番号】12/554,871
(32)【優先日】2009年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サルダニャ・ミゲル・エー.
(72)【発明者】
【氏名】セクストン・グレッグ
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−335465(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0251917(US,A1)
【文献】 特開2008−252073(JP,A)
【文献】 特開2009−117477(JP,A)
【文献】 特表2009−523321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバにおいて基板を処理するために複数の処理流体を供給する装置であって、
処理流体供給路と、調整流体供給路とを有する流体供給ネットワークと、
前記処理流体供給路と前記調整流体供給路とを結ぶ交差ネットワークと、
前記交差ネットワークに設けられた交差弁と、
調整供給弁を介して前記調整流体供給路に接続された調整流体供給部と、
複数の処理流体供給弁を介して前記処理流体供給路に接続された複数の処理流体供給部と、
縁端有効化弁を介して前記処理流体供給路に接続された縁端流体供給路と、
中心有効化弁を介して前記調整流体供給路に接続された中心流体供給路と、
基板支持部を有し、前記縁端流体供給路と前記中心流体供給路とに接続された処理チャンバと、
縁端ポンプ弁及び中心ポンプ弁をそれぞれ介して前記縁端流体供給路及び前記中心流体供給路に接続されたポンプアウトポンプと、
を備え、
前記交差弁、縁端有効化弁、及び中心有効化弁により、調整流体又は処理流体の一方を、前記縁端流体供給路又は前記中心流体供給路の一方へ流動させる装置。
【請求項2】
更に、縁端パージ弁及び中心パージ弁をそれぞれ介して前記処理流体供給路と、前記調整流体供給路に接続され、前記流体供給ネットワーク内の流体を排出するパージポンプを備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記交差弁が閉じている時、前記調整流体は、前記中心流体供給路へ向けられ、前記処理流体は、前記縁端流体供給路へ向けられる請求項1記載の装置。
【請求項4】
処理チャンバへの流体の流動を制御する供給ネットワークであって、
処理流体供給路と、
調整流体供給路と、
前記処理流体供給路と前記調整流体供給路とを結ぶ交差ネットワークと、
前記交差ネットワークに設けられた交差弁と、
調整供給弁を介して前記調整流体供給路に接続された調整流体供給部と、
処理流体供給弁を介して前記処理流体供給路に接続された処理流体供給部と、
縁端有効化弁を介して前記処理流体供給路に接続され、縁端ポンプ弁を介してポンプアウトポンプに接続され、前記処理チャンバに接続された縁端流体供給路と、
中心有効化弁を介して前記調整流体供給路に接続され、中心ポンプ弁を介して前記ポンプアウトポンプに接続され、前記処理チャンバに接続された中心流体供給路と、
を備え、
前記交差弁は、前記縁端流体供給路又は前記中心流体供給路の一方へ供給されるのが前記調整流体供給部から供給された調整流体であるか、前記処理流体供給部から供給された処理流体であるかを定める、供給ネットワーク。
【請求項5】
前記交差弁が閉じている時、前記調整流体は、前記中心流体供給路へ向けられ、前記処理流体は、前記縁端流体供給路へ向けられる請求項4記載の供給ネットワーク。
【請求項6】
前記処理流体供給部は、複数の処理流体に対応するように画成される請求項4記載の供給ネットワーク。
【請求項7】
更に、縁端パージ弁及び中心パージ弁をそれぞれ介して前記処理流体供給路と、前記調整流体供給路に接続される入力パージシステムを含む請求項4記載の供給ネットワーク。
【請求項8】
前記入力パージシステムは、前記調整流体及び前記処理流体の一方又は両方をパージするように画成される請求項7記載の供給ネットワーク。
【請求項9】
更に、前記交差ネットワークと前記処理チャンバとの間に画成された供給パージ部を含む請求項4記載の供給ネットワーク。
【請求項10】
前記供給パージ部は、前記調整流体及び前記処理流体の一方又は両方をパージするように画成される請求項9記載の供給ネットワーク。
【請求項11】
前記中心流体供給路は、前記処理チャンバに近接して位置決めされたフィルタを含む請求項4記載の供給ネットワーク。
【請求項12】
前記縁端流体供給路は、前記処理チャンバに近接して位置決めされたフィルタを含む請求項4記載の供給ネットワーク。
【請求項13】
基板に対する調整流体及び処理流体の柔軟な付与を行う方法であって、
(a)閉状態の交差流弁を含む交差流ネットワークに結合された第1の供給ネットワークを介した前記調整流体の中心流体供給路への流動を可能とし、
(b)前記交差流ネットワークに結合された第2の供給ネットワークを介した、前記処理流体の縁端流体供給路への流動を可能とし、前記処理流体を前記縁端流体供給路へ流動させ、
(c)ポンプアウトポンプと、前記中心流体供給路との間の中心ポンプ弁、及びポンプアウトポンプと前記縁端流体供給路との間の縁端ポンプ弁を閉じて前記調整流体及び前記処理流体の流動を不可能にし、
(d)前記第1の供給ネットワーク、前記第2の供給ネットワーク、前記交差流ネットワーク、前記中心流体供給路、及び前記縁端流体供給路の少なくとも1つを、前記交差流ネットワークと前記中心流体供給路及び縁端流体供給路との間に接続されたパージネットワークを介してパージする動作を行ない、
(e)前記調整流体又は前記処理流体の一方の流動を可能とし、開状態の交差流弁により、前記調整流体又は前記処理流体の一方を、前記中心流体供給路又は縁端流体供給路の一方を介して前記基板へ送る
方法。
【請求項14】
パージは、パージ流体の導入を含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記パージ流体は、前記調整流体と同じである請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記パージ流体は、前記調整流体とは異なる請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
洗浄工程は、半導体ウェーハの製造において、更に重要となりつつある。製造工程の性質が変化すること、及び特徴部のサイズの更なる低減が引き続き望まれることから、半導体基板から粒子状物質を適切に除去することは、極めて重要である。特徴部のサイズを低減する継続的な要望に伴って、機器を最大限に利用し、再構成のための休止時間を最小化するために、柔軟性を提供可能なプロセス機器を有したいという要望が生じている。複数のプロセス工程を実行するために再構成可能なプロセス機器を有することにより、必要なツールの数を減らし、製造及び保守コストを低減できる可能性がある。加えて、特徴部のサイズが引き続き縮小するにしたがって、半導体基板は、更に汚染に対して敏感になっている。
【発明の概要】
【0002】
したがって、潜在的な汚染源を最小限に抑えつつ、プロセス性能を向上させるためのプロセス柔軟性を提供できる堅牢な流体送給システムに対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[形態1]
半導体処理チャンバにおいて基板を処理するために複数の処理流体を供給する装置であって、
交差弁と調整供給弁及び複数の処理流体供給弁との間に画成された流体供給ネットワークと、
前記調整供給弁を介して前記流体供給ネットワークに接続された調整流体供給部と、
前記複数の処理流体供給弁を介して前記流体供給ネットワークに接続された複数の処理流体と、
基板支持部を有し、更に、縁端有効化弁を介して前記流体供給ネットワークに接続された縁端流体供給部と、中心有効化弁を介して前記流体供給ネットワークに接続された中心流体供給部とを有するプロセスチャンバと、
を備え、
前記交差弁、縁端有効化弁、及び中心有効化弁により、調整流体又は処理流体の一方を、縁端流体供給部又は中心流体供給部の一方へ流動させる装置。
[形態2]
更に、縁端ポンプ弁及び中心ポンプ弁をそれぞれ介して前記縁端供給部及び前記中心供給部に接続され、前記流体供給ネットワーク内の流体を排出するポンプアウトポンプを備える形態1記載の装置。
[形態3]
更に、縁端パージ弁及び中心パージ弁をそれぞれ介して前記流体供給ネットワークに接続され、前記流体供給ネットワーク内の流体を排出するパージポンプを備える形態1記載の装置。
[形態4]
前記交差弁が閉じている時、前記調整流体は、前記中心供給部へ向けられ、前記処理流体は、前記縁端流体供給部へ向けられる形態1記載の装置。
[形態5]
処理チャンバへの流体の流動を制御する供給ネットワークであって、
調整供給弁を介して入力供給ネットワークに結合された調整流体供給部と、
プロセス供給弁を介して前記入力供給ネットワークに結合された処理流体供給部と、
交差弁を有し、前記入力供給ネットワークと、縁端供給部及び中心供給部を有する処理チャンバとの間に結合された交差ネットワークであり、前記縁端供給部には縁端供給弁を介して、前記中心供給部には中心流体供給弁を介して結合された交差ネットワークと、
を備え、
前記交差弁は、前記縁端供給部又は前記中心供給部の一方へ供給されるのが前記調整流体であるか前記処理流体であるかを定める、供給ネットワーク。
[形態6]
前記交差弁が閉じている時、前記調整流体は、前記中心供給部へ向けられ、前記処理流体は、前記縁端供給部へ向けられる形態5記載の供給ネットワーク。
[形態7]
前記処理流体供給部は、複数の処理流体に対応するように画成される形態5記載の供給ネットワーク。
[形態8]
更に、前記入力供給ネットワークと前記交差ネットワークとの間に画成された入力パージシステムを含む形態5記載の供給ネットワーク。
[形態9]
前記入力パージシステムは、前記調整流体及び前記処理流体の一方又は両方をパージするように画成される形態8記載の供給ネットワーク。
[形態10]
更に、前記交差ネットワークと前記処理チャンバとの間に画成された供給パージ部を含む形態5記載の供給ネットワーク。
[形態11]
前記供給パージ部は、前記調整流体及び前記処理流体の一方又は両方をパージするように画成される形態5記載の供給ネットワーク。
[形態12]
前記調整流体供給部は、前記処理チャンバに近接して位置決めされたフィルタを含む形態5記載の供給ネットワーク。
[形態13]
前記処理流体供給部は、前記処理チャンバに近接して位置決めされたフィルタを含む形態5記載の供給ネットワーク。
[形態14]
基板に対する調整流体及び処理流体の柔軟な付与を行う方法であって、
(a)閉状態の交差流弁を含む交差流ネットワークに結合された第1の供給ネットワークを介した前記調整流体の中心供給部への流動を可能とし、
(b)前記交差流ネットワークに結合された第2の供給ネットワークを介した、前記処理流体の縁端供給部への流動を可能とし、前記流体を前記縁端供給部へ流動させ、
(c)前記調整流体及び前記処理流体の流動を不可能にし、
(d)前記調整流体又は前記処理流体の一方の流動を可能とし、開状態の交差流弁により、前記調整流体又は前記処理流体の一方を、前記中心供給部又は縁端供給部の一方へ送る
方法。
[形態15]
更に、前記第1の供給ネットワーク、前記第2の供給ネットワーク、前記交差流ネットワーク、前記中心供給部、及び前記縁端供給部の少なくとも1つを、前記交差流ネットワークと前記中心供給部及び縁端供給部との間に接続されたパージネットワークを介してパージする動作を行ない、前記パージは、動作(c)と(d)との間に実行される形態14記載の方法。
[形態16]
パージは、パージ流体の導入を含む形態15記載の方法。
[形態17]
前記パージ流体は、前記調整流体と同じである形態16記載の方法。
[形態18]
前記パージ流体は、前記調整流体とは異なる形態16記載の方法。
一実施形態では、半導体処理チャンバにおいて基板を処理するために複数の処理流体を供給する装置を開示する。装置は、複数の処理流体供給弁と、交差弁と調整供給弁との間に設けられた流体供給ネットワークとを含む。装置は、更に、調整供給弁を介して流体供給ネットワークに接続されている調整流体供給部を含む。更に、装置と共に、複数の処理流体供給弁を介して流体供給ネットワークに接続された複数の処理流体が含まれる。更に、装置には、基板支持部を有する処理チャンバが含まれる。処理チャンバは、更に、縁端流体供給部と中心流体供給部とを含む。縁端流体供給部は、縁端有効化弁を介して流体供給ネットワークに接続され、中心供給部は、中心有効化弁を介して流体供給ネットワークに接続される。交差弁、縁端有効化弁、及び中心有効化弁により、調整流体又は処理流体の一方を、縁端流体供給部又は中心流体供給部の一方へ流動させることが可能となる。
【0004】
他の実施形態では、基板に対して調整流体及び処理流体の柔軟な付与を行う方法を開示する。方法は、第1の供給ネットワークを介した、調整流体の中心流体供給部への流動を可能にする動作を含む。第1の供給ネットワークは、閉状態の交差流弁を含む交差流ネットワークに結合される。別の動作では、第2の供給ネットワークを介した、処理流体の縁端供給部への流動を可能とし、ここで第2の供給ネットワークは、交差流ネットワークに結合される。更に他の動作において、調整流体及び処理流体の流動を不可能にする。他の動作において、第1の供給ネットワーク、第2の供給ネットワーク、交差流ネットワーク、中心供給部、及び縁端供給部は、交差流ネットワークと中心供給部及び縁端供給部との間に接続されたパージネットワークを介してパージされる。他の動作において、処理流体の流動を可能とし、開状態の交差流弁により、処理流体が中心供給部へ送られる。
【0005】
本発明の他の態様及び利点は、本発明の原理を一例として示す添付図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の1実施形態による、半導体製造において使用するための処理チャンバ用の流体供給システムを示す例示的な簡略模式図である。
【0007】
図2】本発明の1実施形態による、チャンバの例示的な断面図である。
【0008】
図3】本発明の1実施形態による、チャンバ内の縁端フィード部の断面の例示的な拡大図である。
【0009】
図4】本発明の1実施形態による、チャンバ内の中心フィード部の例示的な断面図である。
【0010】
図5】本発明の1実施形態による、調整流体を基板中心部へ送り、処理流体を基板の縁部へ送るための弁位置を例示する模式図である。
【0011】
図6A】本発明の1実施形態による、入力供給ネットワーク、交差供給ネットワーク、及びチャンバ供給ネットワークをパージするための弁位置を例示する模式図である。
【0012】
図6B】本発明の1実施形態による、単一の処理ガスのパージに関する実施形態を示す図である。
【0013】
図6C】本発明の1実施形態による、供給及び調整ラインをパージするための弁位置に関する実施形態を示す図である。
【0014】
図6D】本発明の1実施形態による、チャンバ換気プロセスのための弁位置を示す簡略概略図である。
【0015】
図7A】本発明の1実施形態による、処理流体を基板の中心部へ送るための弁位置を示す例示的な図である。
【0016】
図7B】調整及び処理流体をチャンバ内に配置された基板の縁端領域の縁部へ送給するための弁位置を示す図である。
【0017】
図8】本発明の1実施形態による、調整流体及び処理流体の流動を修正するための例示的な説明を含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、添付図面と共に、以下の詳細な説明を参照することにより、他の利点と併せて最も良く理解し得る。
【0019】
半導体処理機器に対する柔軟な構成を提供するための発明を開示する。処理チャンバを迅速に再構成する能力は、実行可能なプロセスの種類に関して製造業者に柔軟性をもたらす。これにより、生産時間を短縮し、再構成のためのツールの休止時間を低減することができる。1実施形態では、縁部エッチング処理流体を基板の中心部近くへ送り、分注することを可能にする供給ネットワークを開示する。或いは、1実施形態では、通常は基板の中心部近くに分配される調整流体を、基板の縁部近くへ送り、分注し得る。更に他の実施形態において、処理流体を基板の中心部へ向けて送ることが可能であり、或いは、処理流体を基板の中心部と基板の縁部との両方へ送ることが可能である。上述した特定の例は、例示的なものであり、こうした実施形態の様々な組み合わせを利用し得ることから、限定的なものと解釈されるべきではない。
【0020】
以下の説明では、本発明を完全に理解するために、多数の具体的な詳細について述べる。しかしながら、こうした具体的な詳細の一部又は全部が無くとも、本発明を実現し得ることは、当業者には明らかであろう。また、周知の処理ステップについては、本発明を不必要に曖昧にしないために詳細な説明は省略する。
【0021】
図1は、本発明の1実施形態による、半導体製造において使用する処理チャンバ100用の流体供給システムを示す例示的な簡略模式図である。処理チャンバ100は、縁端供給部126a及び中心供給部126bを含むチャンバ供給ネットワーク126を備えて構成される。チャンバ供給ネットワーク126には、交差ネットワーク124が結合される。交差ネットワーク124内には、交差流弁116と、縁端有効化弁108と、中心有効化弁110とが存在する。縁端有効化弁108及び中心有効化弁110は、本実施形態においてオプションであり、例示的なものと見做すべきである。他の実施形態は、追加的な弁を交差ネットワーク124内に含んでもよい。
【0022】
交差ネットワーク124には、ソースネットワーク122が結合される。図1に示した実施形態において、ソースネットワーク122は、5つの流体源G1乃至G5を含むが、より多数又は少数の流体源を使用してもよい。1実施形態において、G1は、窒素等の調整流体である。他の実施形態において、G1は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン等、任意の適切な不活性ガス又は不活性ガスの混合物といった別の流体にすることができる。他の4つの流体源G2乃至G5は、チャンバ100内で実行されている処理に応じて様々な比で組み合わせることが可能な処理流体である。図1に示した実施形態において、流体源G2乃至G5は、限定はされないが、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、テトラフルオロメタン(CF4)、4フッ化硫黄(SF4)、及びSF6等、又はその混合物といった、エッチングプロセスにおいて使用する処理流体を含むことができる。
【0023】
個々の流体G1乃至G5は、それぞれの弁V1乃至V5を介して個別に分注することができる。1実施形態において、チャンバ100が主に半導体基板の縁部エッチングを実行するように構成される場合、調整流体は、交差ネットワーク124を介して中心供給部126bに接続される。同様に、流体源G2乃至G5は、縁端供給部126aに接続される。しかしながら、交差ネットワーク124により、チャンバは構成を変化させることが可能となり、これにより処理流体G2乃至G5を中心供給部126bへ送ることが可能となる。或いは、交差ネットワーク124により、調整流体を更に縁端供給部126aへ送ることも可能となる。
【0024】
ソースネットワーク122及びチャンバ供給ネットワーク126は、共にパージ弁112、114,118、及び120に結合される。パージ弁は、ソースネットワーク122、交差ネットワーク124、及びチャンバ供給ネットワーク126全体の追加的な弁と連動して、ソースネットワーク122、交差ネットワーク124、及びチャンバ供給ネットワーク126を、交差ネットワーク124内で弁位置を変化させる前にパージすることを可能にする。交差ネットワーク124を利用する前にそれぞれのネットワークのパージ及び清浄化を行うことにより、それぞれのネットワーク内での粒子生成につながる恐れのある不要な反応を防止することができる。他の実施形態において、処理流体と調整流体とが互いに反応しない場合、パージ弁は、製造を簡略化し、製造コストを低減するために省略してもよい。図1に示したように、ポンプ101は、弁112及び114と流体連通している。更に、ポンプ101は、チャンバをパージするための弁103を介して、チャンバ100と流体連通している。弁103の上方のボックスは、一定のチャンバ圧を維持するために開閉される絞り制御弁を表しており、即ち、絞り制御弁は密閉されていないことを理解されたい。
【0025】
パージシステムを使用するか否かに関係なく、交差ネットワーク124により、縁端供給部126aへ送られた流体を中心供給部126bへ送ることが可能となる。パージ弁を含むことの利点の1つは、流体の遷移時間を低減する可能性、及び流体切り替え処理中の圧力の遷移に対する制御の向上である。供給部内の流体は、パージ弁により、交差弁を切り替える前に迅速に排出することができる。したがって、処理チャンバへの流体の流れを変更する際に、パージ弁により遷移時間を短縮することが可能となる。
【0026】
一部の実施形態では、別のパージ流体を使用して、それぞれの供給部を清浄化することができる。調整流体とは別のパージ流体を有する能力は、プロセス制御を向上させると同時に、代替の化学物質を中心又は縁端供給部へ導入することにより、潜在的な汚染の問題を減少させる。
【0027】
流体供給部の構成を容易に変更する能力により、半導体基板の処理中に柔軟性を提供することができる。例えば、調整流体を中心流体供給126bへ送給し、処理流体を縁端流体供給126aへ送給するように流れを分割する能力により、プロセス性能を高め、潜在的な汚染の問題を減らすことができる。更に、流体供給部の構成を変更する能力により、半導体基板を処理するために必要な処理チャンバの総数を減らすことが可能になる。加えて、全ての流体を縁端流体供給126a又は中心流体供給126bへ送る能力は、プロセス性能を向上させ、汚染問題を減少させた新たなプロセスの開発において柔軟性をもたらす。
【0028】
図2は、本発明の1実施形態による、チャンバ100の例示的な断面図である。断面は、チャンバ100内の中心フィード部202及び縁端フィード部200の両方を示している。縁端フィード部200は、図1からの縁端供給部に接続される。同様に、中心フィード部202は、図1からの中心供給部に接続される。したがって、図1の縁端供給部へ送られた流体は、縁端フィード部200によりチャンバ100内に分配される。同様に、図1の中心供給部へ送られた流体は、中心フィード部202によりチャンバ100内に分配される。
【0029】
チャンバ100内には、プレート204及びトッププレート206が確認できる。加えて、チャンバライナ208が確認できる。図示した実施形態において、中心フィード部202及び縁端フィード部200は、チャンバ100の上部を介して入っている。チャンバ100の上部には、中心遮断弁106及び縁端遮断弁104が確認できる。図示したように、中心フィード部202により、縁端フィード部200は見えなくなっている。図示した実施形態において、縁端フィード部200は、中心フィード部202の後ろに位置している。
【0030】
更に、縁端フィード部200は、基板の縁部へ向かって放射状に延びる複数の分岐へと縁端フィード部200を分配するマニホルドを含む。これにより、縁端フィード部200は、チャンバ内にある基板の縁部の周りの複数の点へ、流体を分配することができる。1実施形態において、中心フィード部へ供給された流体は、基板の中心部の周りでの流体の均一な分布を促進するため、複数のポートを介して分注される。
【0031】
図3は、本発明の1実施形態による、チャンバ100内の縁端フィード部200の断面の例示的な拡大図である。チャンバ100は、トッププレート206の底面が基板300の上面に近接した閉位置において図示されている。更に、縁端フィード部200の断面が確認できる。縁端フィード部200は、縁端供給部へ供給された流体を、基板300の縁部へ向けて流動させることができる。同様の縁端フィード部が、基板300の周囲に分布していることを想起されたい。こうした構造により、処理流体又は調整流体を基板の周りに均一に分布させることができる。
【0032】
1実施形態において、エッチング工程用の処理流体は、縁端フィード部200へ向けられる。基板の縁部が処理流体に対して露出している場合には、以前の処理工程により縁部に堆積している可能性のある材料を、エッチング工程により除去することができる。他の実施形態において、処理チャンバは、縁端フィード部200が調整流体を基板の縁部へ供給するように再構成し得る。
【0033】
図4は、本発明の1実施形態による、チャンバ100内の中心フィード部202の例示的な断面図である。流体は、中心供給部を介して中心フィード部202へ供給される。図示した実施形態において、チャンバ内のマニホルドは、中心フィード部202からの流体を基板300の中心部上方に分配する。マニホルドからの分配口の数は、限定的なものと見做すべきではなく、他の実施形態では、中心フィード部202に結合された、より少数又は多数の分配口を有することができる。
【0034】
図5は、発明の1実施形態による、調整流体を基板の中心部へ送り、処理流体を基板の縁部へ送るための弁位置を示す例示的な図である。本実施形態において、調整流体の流動は、斜線のフィルパターンにより示している。調整流体は、供給部G1からV1を介して流れる状態を示している。同様に、供給部G2、G3、G4、及びG5からの流体は、それぞれの弁V2、V3、V4、及びV5を介して流れる。本実施形態において、パージ弁118及び120は、調整流体及び処理流体の交差ネットワーク124への流れを促進するために閉鎖してある。
【0035】
交差弁116を閉鎖し、縁端有効化弁110を開放した状態では、調整流体は、チャンバ供給ネットワーク126へ入る。同様に、縁端有効化弁108は開放してあり、処理流体は、チャンバ供給ネットワーク126へ入る。縁端ポンプアウト弁112及び中心ポンプアウト弁114は、チャンバへの流体の流動を可能にするため、共に閉鎖した状態で図示されている。最後に、縁端遮断弁104及び中心遮断弁106は、開位置にあり、流体のチャンバへの流入が可能となる。V1を閉じた場合、処理流体は縁部へ供給されるが、調整流体は、チャンバ100の中心領域へ送給されないことを理解されたい。
【0036】
図6Aは、本発明の1実施形態による、入力供給ネットワーク、交差供給ネットワーク、及びチャンバ供給ネットワークをパージするための弁位置を示す例示的な図である。流体供給ネットワーク全体のパージは、残留する処理流体又は調整流体を全て排出するため、及び全てのマスフローコントローラを変更するべきである場合に実行することができる。図示したように、縁端有効化弁108、中心有効化弁110、中心パージ弁118、及び縁端パージ弁120が開放される。反対に、縁端ポンプアウト弁112、中心ポンプアウト弁114、及び交差弁116は、閉状態で図示されている。これにより、中心パージ弁118及び縁端パージ弁120では、全ての残留流体を複合入力供給ネットワーク及び交差供給ネットワークから排出することができる。
【0037】
同様に、縁端ポンプアウト112及び中心ポンプアウト114を開状態にすると共に、縁端遮断弁104及び中心遮断弁106を開状態として、チャンバ供給ネットワーク126内の流体を排出することができる。別の実施形態では、縁端ポンプアウト弁112及び中心ポンプアウト弁114を開放した状態で縁端遮断弁104及び中心遮断弁106を閉鎖する。これは、フィルタ102内に閉じ込めた粒子又は粒子群が押し出されて、それぞれのチャンバ供給ラインに引き込まれることを防止するのに役立つ。他の実施形態において、縁端有効化弁108及び中心有効化を開けておくことにより、パージ弁118及び120の両方を、ポンプアウト弁112及び114と連動して機能させることができる。図6Aに示した実施形態は、例示的なものと解釈されるべきである。他の実施形態は、流体の流れを可能又は不可能にするために、追加的な弁を含み得る。例えば、手動弁(HV)1乃至5は、本実施形態において処理流体供給部G1乃至G5を分離するために設けられる。更に、追加の弁、ポンプ、再循環ライン、及び供給ラインが、システム内での適切な流動を達成するために必要となる場合がある。簡潔にするため、こうした品目は、図面に記載していない。
【0038】
図6Bは、本発明の1実施形態による、単一の処理ガスのパージに関する実施形態を示す図である。本実施形態において、弁120は、弁V3、108、及び104と共に開いており、G3及び対応するラインのパージが可能となる。パージプロセスのために、弁120は開放され、弁103は閉鎖されており、チャンバ100のポンプアウトを行う時には、弁120を閉鎖して、弁103を開放することを理解されたい。本発明は、対応するラインにある単一のマスフローコントローラを変更するために採用し得ることは当業者には理解されよう。
【0039】
図6Cは、本発明の1実施形態による、供給及び調整ラインをパージするための弁位置に関する実施形態を示す図である。本実施形態において、弁118及び120は、パージプロセスのため開放されており、一方、弁103は閉鎖されている。ポンプアウトプロセスのためには、弁103を開放し、弁118及び120を閉鎖する。図6Dは、本発明の1実施形態による、チャンバ換気プロセスのための弁位置を示す簡略概略図である。弁118、110、及び106は、当初、パージのために開いており、1実施形態では、チャンバ圧が特定の圧力に達した時に、弁118、110、及び106を閉じる。1実施形態例において、チャンバ圧が1気圧以上である時に、弁118、110、及び106を閉じる。
【0040】
図7Aは、本発明の1実施形態による、処理流体を基板の中心部へ送るための弁位置の例示的な図である。本実施形態において、処理流体は、斜線の網掛けパターンにより、基板の中心部へ流れる状態で図示されている。処理流体は、流体供給部G2、G3、G4、及びG5を介して供給される。交差弁116を開くことにより、処理流体を縁端流体供給126aから中心流体供給126bへ渡らせることができる。図示したように、中心有効化弁110は、開位置にある、V1が開いている場合、調整及び処理流体が中心領域へ送給されることを理解されたい。
【0041】
図7Bは、調整及び処理流体をチャンバ100内に配置された基板の縁端領域の縁部へ送給するための弁位置を示す図である。本実施形態において、弁104、108、及び116は、開放され、調整及び処理流体による縁端領域へのアクセスを可能にしている。
【0042】
図8は、本発明の1実施形態による、処理流体の流動を修正する手順動作を示す例示的なフローチャートである。手順は、動作800により開始され、ここで調整流体の処理チャンバへの流動が開始される。調整流体は、入力供給部、交差ネットワーク、及びチャンバ供給部を介して流れた後、処理チャンバ内に分注される。動作802では、処理流体の処理チャンバへの流動が開始される。処理流体は、入力供給部、交差ネットワーク、及びチャンバ供給部を介して処理チャンバへ供給される。
【0043】
1実施形態において、チャンバ供給部は、共に交差ネットワークに接続された縁端供給部及び中心供給部を含む。同様に、入力供給部は、複数の供給部を含み得る。例えば、1実施形態において、入力供給部は、調整流体用の第1の供給部と、処理流体用の第2の供給部を有する。本実施形態において、調整流体及び処理流体に対応する供給部のそれぞれは、交差ネットワークに接続される。
【0044】
動作804において、調整流体及び処理流体の流動は共に停止される。動作806では、入力供給部、交差ネットワーク、及びチャンバ供給部をパージする。動作808では、処理流体又は調整流体の何れかを、中心供給部及び縁端供給部の両方へ、交差ネットワーク内の開状態の交差弁を介して流動させる。上述した動作の説明は、1実施形態として見るべきであり、限定的なものと解釈されるべきではない。例えば、1実施形態において、動作800では、調整流体ではなく処理流体を流動させることができる。同様に、動作802では、処理流体ではなく調整流体を流動させることができる。加えて、他の実施形態において、パージ動作は、入力供給部、交差ネットワーク、及びチャンバ供給部内での非反応性の流体の流動を含むことができる。こうした動作を使用して、供給部内の残留プロセス又は調整流体による汚染の可能性を最小化することができる。
【0045】
以上、明確に理解するため、本発明をある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲内で一定の変更及び変形を実施し得ることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないと見做すべきであり、本発明は、本明細書に記載の詳細に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲内及びその等価物の範囲内で変形し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8