(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶媒体の製造方法であって、請求項1で定義される式Iで表される1種または2種以上の化合物を、少なくとも1種の他の液晶化合物と、および随意にさらに1種または2種以上の添加剤と混合することを特徴とする、前記方法。
【背景技術】
【0002】
液晶は、そのような物質の光学的特性を印加された電圧によって修正することができるので、表示デバイスで主に誘電体として使用される。液晶に基づく電気光学的デバイスは、当業者に極めてよく知られており、様々な効果に基づくことができる。そのようなデバイスの例は、動的散乱を有するセル、DAP(配列相の変形)セル、ゲスト/ホストセル、ねじれネマチック構造を有するTNセル、STN(超ねじれネマチック)セル、SBE(超複屈折効果)セルおよびOMI(光学モード干渉)セルである。最も一般的なディスプレイデバイスは、Schadt-Helfrich効果に基づいており、ねじれネマチック構造を有する。さらに、基板および液晶平面に平行な電場で作動するセル、例えばIPS(面内切換)セルがある。TN、STN、正のVA、FFS(フリンジ領域切換)およびIPSセルは特に、現在、本発明の媒体のための適用の商業的に興味深い領域である。
【0003】
液晶材料は、良好な化学および熱安定性ならびに電場および電磁放射に対する良好な安定性を有していなければならない。さらに、液晶材料は、低い粘度を有し、セルにおける短いアドレッシング時間、低いしきい値電圧および高いコントラストを生じさせなければならない。
【0004】
それらはさらに、通常の作動温度で、すなわち室温前後の可能な限りもっとも広い範囲で前述のセルのための好適な中間相(mesophase)、例えばネマチックまたはコレステリック中間相を有しなければならない。液晶は一般的に複数の成分の混合物として使用されるので、成分が互いに容易に混和可能であることが重要である。さらなる特性、例えば電気伝導性、誘電異方性および光学異方性は、セルの種類および適用の領域に依存して様々な要件を満たさなければならない。例えば、ねじれネマチック構造を有するセルのための材料は、正の誘電異方性および低い電気伝導性を有しなければならない。
【0005】
例えば、個々のピクセルを切り換えるための集積非線形回路素子を備えるマトリックス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)のために、大きい正の誘電異方性、広いネマチック相、相対的に低い複屈折、極めて高い比抵抗、良好なUVおよび温度安定性ならびに低い蒸気圧を有する媒体が、所望される。
【0006】
この種のマトリックス液晶ディスプレイは、知られている。個々のピクセルを個別に切り換えるために使用できる非線形回路素子の例は、能動的素子(すなわちトランジスタ)である。そして、用語「アクティブマトリックス」を使用し、2つのタイプの間で区別ができる:
1.基板としてのシリコンウェーハ上のMOS(金属酸化物半導体)または他のダイオード。
2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスタ(TFT)。
【0007】
様々な部分ディスプレイのモジュールアセンブリさえも、接合部で問題を生じるので、単結晶シリコンの基板材料としての使用のためにディスプレイの大きさが制限される。
【0008】
好ましいより有望なタイプ2の場合で、使用する電気光学的効果は、通常はTN効果である。2種の技術の間で区別がなされる:化合物半導体、例えばCdSeを含むTFT、または多結晶もしくは非晶質シリコンに基づくTFT。集中的な研究が、後者の技術に対して世界的に行われている。
【0009】
TFTマトリックスを、ディスプレイの一方のガラス板の内側に適用し、一方他方のガラス板は、透明な対電極をその内側上に担持する。画素電極の大きさと比較して、TFTは極めて小さく、画像に対する悪影響を実質有しない。この技術をまた、赤色、緑色および青色フィルターのモザイクを、フィルター素子が対向する各々の切換可能なピクセルであるように配置されるフルカラー可能なディスプレイに拡張することができる。
【0010】
TFTディスプレイは通常、透過に交差する偏光子を備えるTNセルとして作動し、背面照射される。
用語MLCディスプレイは、本明細書中で、集積非線形回路素子を備えたあらゆるマトリックスディスプレイ、すなわちアクティブマトリックスに加えて、ならびに受動的素子、例えばバリスタまたはダイオードを備えるディスプレイを包含する(MIM=金属−絶縁体−金属)。
【0011】
この種のMLCディスプレイは、TV用途(例えば小型TV)またはコンピューター用途(ラップトップ)のための、および自動車または航空機構築物における高度情報ディスプレイに特に適している。コントラストの角度依存性および応答時間に関する問題に加えてまた、液晶混合物の不十分に高い比抵抗のためにMLCディスプレイで困難が発生する[TOGASHI, S., SEKIGUCHI, K., TANABE, H., YAMAMOTO, E., SORIMACHI, K., TAJIMA, E., WATANABE, H., SHIMIZU, H., Proc. Eurodisplay 84, 1984年9月:A 210-288 Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings, pp. 141 ff., Paris;STROMER, M., Proc. Eurodisplay 84, 1984年9月:Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays, pp. 145 ff., Paris]。
【0012】
抵抗が低下するに伴って、MLCディスプレイのコントラストは悪化し、残像消去の問題が生じ得る。液晶混合物の比抵抗が一般的に、ディスプレイの内部表面との相互作用のためにMLCディスプレイの寿命にわたって低下するので、高い(初期)抵抗が、許容し得る寿命を得るために極めて重要である。特に、低電圧混合物の場合で、極めて高い比抵抗値を達成することは、現在まで不可能であった。比抵抗が上昇する温度に伴って、ならびに加熱および/またはUV曝露の後に可能な限り小さい増大を示すことは、さらに重要である。従来技術からの混合物の低温特性はまた、特に不利である。高い低温安定性が要求されており、したがって結晶化および/またはスメクチック相は、低温においてでさえも発生せず、粘度の温度依存性は、可能な限り低い。従来技術からのMLCディスプレイは、このように今日の要求を満たさない。
【0013】
背面照射を使用する、すなわち透過的に、および所望により透過反射的に作動する液晶ディスプレイに加えて、反射型液晶ディスプレイはまた、特に興味深い。これらの反射型液晶ディスプレイは、周囲光を情報表示のために使用する。したがって、それらは、対応する大きさおよび解像度を有する背面照射された液晶ディスプレイより顕著に少ないエネルギーを消費する。TN効果が極めて良好なコントラストによって特徴づけられるので、この種の反射型ディスプレイは、さらに明るい周囲条件で良好に読み取られ得る。これは、例えば腕時計および小型計算機で使用されているように、単純な反射型TNディスプレイについて既に知られている。
【0014】
しかし、原理はまた、高品質であり、より高い解像度のアクティブマトリックスでアドレスされたディスプレイ、例えばTFTディスプレイに適用され得る。ここで、既に一般的に慣用である透過型TFT−TNディスプレイにおけるように、低い複屈折(Δn)の液晶の使用は、低い光学的遅延(d・Δn)を達成するために必要である。この低い光学的遅延の結果、コントラストの通常許容し得る程度に低い視野角依存性がもたらされる(DE 30 22 818を参照)。反射型ディスプレイにおける低い複屈折の液晶の使用は、光が通過する有効な層の厚さが、反射型ディスプレイにおいて、同一の層の厚さを有する透過型ディスプレイにおける場合の約2倍大きいので、透過型ディスプレイにおけるよりも尚より重要である。
【0015】
TVおよびビデオ用途に関し、迅速な応答時間を有するディスプレイが、マルチメディアコンテンツ、例えば映画およびビデオゲームを現実に近い画質で再生できるようにするために必要である。そのような短い応答時間を、特に、粘度、特に回転粘度γ
1に関する低い値を有し、かつ高い光学異方性(Δn)を有する液晶媒体を使用した場合に達成することができる。
【0016】
さらに、本発明の混合物はまた、HT−VA用途としても知られている正のVA適用に適している。これらは、面内駆動電極構造および正の異方性を有する液晶媒体のホメオトロピック配列を有する電気光学的ディスプレイを意味するものと解釈される。
【0017】
したがって、低温でも極めて高い比抵抗を大きい作動温度範囲、短い応答時間と同時に有し、かつ低いしきい値電圧を有し、これらの欠点を示さないか、またはより低い程度に示すに過ぎないMLCディスプレイについての大きい需要が継続している。
【0018】
TN(Schadt-Helfrich)セルの場合、セルにおいて以下の利点を可能とする媒体が所望される:
− 拡張されたネマチック相範囲(特に低温にまで)
− 極めて低い温度(屋外での使用、自動車、航空電子機器)での切り換え能力
− UV照射に対する増大した耐性(より長い寿命)
− 低いしきい値電圧。
【0019】
従来技術から入手可能な媒体は、他のパラメーターを確保しながら、同時にはこれらの利点を達成できない。
【0020】
超ねじれ(STN)セルの場合、より大きい多重性(multiplexability)および/またはより低いしきい値電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に低温における)を容易にする媒体が所望される。この目的のために、利用可能なパラメーター自由度(透明点、スメクチック−ネマチック転移点または融点、粘度、誘電パラメーター、弾性パラメーター)のさらなる拡張が、至急所望されている。
【0021】
特にTVおよびビデオ用途(例えばLCDテレビ、モニター、PDA、ノートパソコン、ゲーム機)のためのLCディスプレイの場合、応答時間の顕著な低減が所望される。これには、低い回転粘度を有するLC混合物が必要である。同時に、LC媒体は、高い透明点を有しなければならない。
【0022】
しかし、従来技術から知られているLC媒体がしばしば不適切な安定性、特に上昇する温度ならびに加熱および/またはUV曝露の後の場合で、特に不適切な比抵抗および不適切な電圧保持比(VHRまたはHR)を有することが見出された。
【発明の概要】
【0023】
本発明は、上で示される所望の特性を有し、上で示される欠点を示さないかまたはより低い程度に示すに過ぎない、特にこの種のMLC、TN、STN、FFSまたはIPSディスプレイのための媒体を提供する目的に基づく。LC媒体は、好ましくは迅速な応答時間および低い回転粘度を高い複屈折と同時に有しなければならない。さらに、LC媒体は、高い透明点、高い誘電異方性および低いしきい値電圧を有しなければならない。
【0024】
特に、LC媒体は、特に上昇する温度の場合で、ならびに加熱および/またはUV曝露の後に高いHR値を有し、高い低温安定性(LTS)を示し、したがって結晶化が低温でも発生しないようにしなければならない。
今、この目的を、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含むLC媒体を使用した場合に達成できることが見出された。式Iで表される化合物の結果、上で示される所望の特性を有する混合物が得られる。
【0025】
本発明は、式I
【化1】
式中、R
0は、1〜15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシラジカルを示し、ここでさらに、これらのラジカル中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、各々、互いに独立して
【化2】
によって、O原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、またここでさらに、1個または2個以上のH原子は、ハロゲンによって置き換えられていてもよい、
で表される1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、液晶媒体に関する。
【0026】
驚くべきことに、式Iで表される化合物を含むLC媒体が、加熱および/またはUV曝露の後に高いHR値および安定な電気光学的曲線を有することが見出された。
さらに、式Iで表される化合物は、液晶媒体に極めて容易に可溶であり、高度の低温安定性を有するLC媒体の製造を可能にする。
【0027】
加えて、式Iで表される化合物を含む本発明のLC媒体は、回転粘度γ
1および透明点の極めて良好な比率、光学異方性Δεに対する高い値および適切な複屈折Δn、迅速な応答時間、低いしきい値電圧、高い透明点、高い正の誘電異方性および広いネマチック相範囲を示す。
【0028】
式Iで表される化合物は、広範囲の用途を有する。置換基の選択に依存して、それらは、液晶媒体が主に構成される基材としての役割を果たし得る;しかし、他の群の化合物からの液晶基材もまた、式Iで表される化合物へと加えて、例えばこの種の誘電体の誘電異方性および/もしくは光学異方性を修正し、かつ/またはそのしきい値電圧および/もしくはその粘度を最適化することができる。
【0029】
特に好ましいのは、式Iで表され、式中R
0がC
2H
5、n−C
3H
7またはn−C
5H
11を示す化合物である。
純粋な状態で、式Iで表される化合物は無色であり、電気光学的使用のために好ましく位置する温度範囲で液晶中間相を形成する。それらは、化学的に、熱的に、および光に対して安定である。
【0030】
式Iで表される化合物を、文献(例えば標準的学術書、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [有機化学の方法], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart)に記載されている自体公知の方法によって、前記反応に適している反応条件の下で正確に製造する。またここで、本明細書中で詳細には述べない自体公知の変法を使用できる。
【0031】
式Iで表される化合物に対する特に好適であり、好ましい製造方法を、以下に記載する。好適な反応条件は、当業者に知られている。
【化3】
【0032】
4−ブロモ−2−フルオロ安息香酸1を、プロパンジチオールおよびトリフルオロメタンスルホン酸と、水を除去しながら反応させて、ジチアニリウムトリフレート2を得る。得られた塩2を、酸化的フッ素化でジフルオロメチルエーテル3に変換する。4−プロピルフェニルボロン酸4への最終的なボロン酸カップリングの後に、所望の目的分子5が得られる。
【0033】
本明細書中の式中のR
0がアルキルラジカルおよび/またはアルコキシラジカルを示す場合には、これは直鎖状または分枝状であり得る。それは、好ましくは直鎖状であり、2、3、4、5、6または7個のC原子を有し、したがって好ましくはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシ、さらにメチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシまたはテトラデシルオキシを示す。
【0034】
オキサアルキルは、好ましくは直鎖状2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルを示す。
【0035】
R
0が、1つのCH
2基が−CH=CH−によって置き換えられているアルキルラジカルを示す場合には、これは直鎖状または分枝状であり得る。それは、好ましくは直鎖状であり、2〜10個のC原子を有する。したがって、それは、特にビニル、プロパ−1−または−2−エニル、ブタ−1−、−2−または−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−または−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−エニル、ヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−エニル、オクタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−または−7−エニル、ノナ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−エニル、デカ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−または−9−エニルを示す。これらのラジカルはまた、モノハロゲン化またはポリハロゲン化されていてもよい。
【0036】
R
0がハロゲンによって少なくとも単置換されているアルキルまたはアルケニルラジカルを示す場合には、このラジカルは、好ましくは直鎖状であり、ハロゲンは、好ましくはFまたはClである。多置換の場合で、ハロゲンは、好ましくはFである。得られたラジカルはまた、パーフルオロ化されたラジカルを含む。単置換の場合で、フッ素または塩素置換基は、任意の所望の位置にあってもよいが、好ましくはω位にある。
【0037】
本明細書中の式中で、X
0は、好ましくは、F、Clまたは1、2もしくは3個のC原子を有する一フッ素化もしくは多フッ素化されたアルキルもしくはアルコキシラジカルまたは2もしくは3個のC原子を有する一フッ素化もしくは多フッ素化されたアルケニルラジカルである。X
0は、特に好ましくはF、Cl、CF
3、CHF
2、OCF
3、OCHF
2、OCFHCF
3、OCFHCHF
2、OCFHCHF
2、OCF
2CH
3、OCF
2CHF
2、OCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCF
2CF
2CH
2F、OCFHCF
2CF
3、OCFHCF
2CHF
2、OCH=CF
2、OCF=CF
2、OCF
2CHFCF
3、OCF
2CF
2CF
3、OCF
2CF
2CClF
2、OCClFCF
2CF
3、CF=CF
2、CF=CHFまたはCH=CF
2、極めて特に好ましくはFまたはOCF
3である。
【0038】
さらなる好ましい態様を、以下に示す:
− 媒体はさらに、式IIおよび/またはIII
【化4】
式中、
Aは、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンを示し、
aは、0または1であり、および
R
3は、2〜9個のC原子を有するアルケニルを示し、
およびR
4は、式IにおけるR
0に対して示される意味を有し、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキルまたは2〜9個のC原子を有するアルケニルを示す、
で表される1種または2種以上の中性の化合物を含む。
【0039】
− 式IIで表される化合物は、好ましくは以下の式
【化5】
式中、R
3aおよびR
4aは、各々、互いに独立してH、CH
3、C
2H
5またはC
3H
7を示し、「alkyl」は、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示す。特に好ましいのは、式IIaおよびIIfで表され、特に式中R
3aがHまたはCH
3を示す化合物、ならびに式IIcで表され、特に式中R
3aおよびR
4aがH、CH
3またはC
2H
5を示す化合物である、
から選択される。
【0040】
好ましいのは、さらに、アルケニル側鎖中に末端でない二重結合を有する式IIで表される化合物である:
【化6】
【0041】
式IIで表される極めて特に好ましい化合物は、式
【化7】
【0044】
− 式IIIで表される化合物は、好ましくは以下の式から選択され、
【化10】
【0045】
式中、「alkyl」およびR
3aは、上で示される意味を有し、R
3aは、好ましくはHまたはCH
3を示す。特に好ましいのは、式IIIbで表される化合物である;
【0046】
− 媒体は、好ましくは加えて、以下の式から選択される1種または2種以上の化合物を含む。
【化11】
【0047】
式中、
R
0は、式Iで示される意味を有し、また
Y
1〜6は、各々、互いに独立してHまたはFを示し、
Z
0は、−C
2H
4−、−(CH
2)
4−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C
2F
4−、−CH
2CF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−CF
2O−または−OCF
2−、式VおよびVIではまた単結合を示し、
【0048】
X
0は、F、Cl、CN、SF
5、SCN、NCS、6個以下のC原子を有するハロゲン化アルキルラジカル、ハロゲン化アルケニルラジカル、ハロゲン化アルコキシラジカルまたはハロゲン化アルケニルオキシラジカルを示し、および
rは、0または1を示す。
【0049】
式IV〜VIIIで表される化合物で、X
0は、好ましくはFまたはOCF
3、さらにOCHF
2、CF
3、CF
2H、Cl、OCH=CF
2を示す。R
0は、好ましくは6個以下のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルケニルである。
【0050】
− 式IVで表される化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【化12】
式中、R
0およびX
0は、式IVに対して示される意味を有する。
【0051】
好ましくは、式IV中のR
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、F、Cl、OCHF
2またはOCF
3、さらにOCH=CF
2を示す。式IVbで表される化合物で、R
0は、好ましくはアルキルまたはアルケニルを示す。式IVdで表される化合物で、X
0は、好ましくはCl、さらにFを示す。
【0052】
− 式Vで表される化合物は、好ましくは以下の式から選択される、
【化13】
式中、R
0およびX
0は、式Vに対して示される意味を有する。好ましくは、式VにおけるR
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、Fを示す;
【0053】
− 媒体は、式VI−1で表される1種または2種以上の化合物、
【化14】
特に好ましくは以下の式
【化15】
から選択される化合物を含み、
【0054】
式中、R
0およびX
0は、式VIに対して示される意味を有する。好ましくは、式VI中のR
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、F、さらにOCF
3を示す。
【0055】
− 媒体は、式Iで表される化合物とは異なる、式VI−2
【化16】
で表される1種または2種以上の化合物、特に好ましくは以下の式から選択される化合物を含み、
【化17】
式中、R
0およびX
0は、式VIに対して示される意味を有する。好ましくは、式VI中のR
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、Fを示す;
【0056】
− 媒体は、好ましくは式VIIで表され、式中Z
0が−CF
2O−、−CH
2CH
2−または−COO−を示す1種または2種以上の化合物、特に好ましくは以下の式から選択される化合物を含み、
【化18】
式中、R
0およびX
0は、式VIIに対して示される意味を有する。好ましくは、式VII中のR
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、F、さらにOCF
3を示す。
【0057】
式VIIIで表される化合物は、好ましくは以下の式から選択され、
【化19】
式中、R
0およびX
0は、式VIIIに対して示される意味を有する。R
0は、好ましくは、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示す。X
0は、好ましくはFを示す。
【0058】
− 媒体はさらに、以下の式
【化20】
で表される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、R
0、X
0、Y
1およびY
2は、各々、互いに独立して、式IVに対して示される意味を有し、また
【化21】
は、各々、互いに独立して、
【化22】
を示し、
そこにおいて、環AおよびBは、両方同時にはシクロヘキシレンを示さない;
【0059】
− 式IXで表される化合物は、好ましくは以下の式から選択され、
【化23】
【0060】
式中、R
0およびX
0は、式IXに対して示される意味を有する。好ましくは、R
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、Fを示す。特に好ましいのは、式IXaで表される化合物である;
【0061】
− 媒体はさらに、以下の式から選択される1種または2種以上の化合物を含み、
【化24】
式中、R
0、X
0およびY
1〜4は、式Vに対して示される意味を有し、また
【化25】
は、各々、互いに独立して、
【化26】
を示す;
【0062】
− 式X、XIおよびXIIで表される化合物は、好ましくは以下の式から選択される、
【化27】
【0063】
【化28】
式中、R
0およびX
0は、式X、XIおよびXIIに対して示される意味を有する。好ましくは、R
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、Fを示す。特に好ましい化合物は、Y
1がFを示し、Y
2がHまたはF、好ましくはFを示すものである。特に好ましいのは、式XIbで表され、式中X
0=Fである1種または2種以上の化合物を含む媒体である。
【0064】
− 媒体はさらに、以下の式
【化29】
で表される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、R
1およびR
2は、各々、互いに独立して、各々9個以下のC原子を有するn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを示し、好ましくは各々、互いに独立して1〜8個のC原子を有するアルキルを示す。Y
1は、HまたはFを示す。
【0065】
式XIIIで表される好ましい化合物は、式
【化30】
で表される化合物であり、
【0066】
式中、
AlkylおよびAlkyl*は、各々、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示し、および
AlkenylおよびAlkenyl*は、各々、互いに独立して、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルラジカルを示す。
【0067】
特に好ましいのは、式XIII−1および/またはXIII−3で表される1種または2種以上の化合物を含む媒体である。
【0068】
− 媒体はさらに、以下の式
【化31】
から選択される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、R
0、X
0、Y
1およびY
2は、式IVに対して示される意味を有する。好ましくは、R
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、FまたはClを示す;
【0069】
− 式XIV、XVおよびXVIで表される化合物は、好ましくは、式
【化32】
で表される化合物から選択され、
式中、R
0およびX
0は、式XIV、XVおよびXVIに対して示される意味を有する。R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示す。式XIVで表される化合物で、X
0は、好ましくはFまたはClを示す。
【0070】
− 媒体はさらに、以下の式D1および/またはD2
【化33】
で表される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、Y
1、Y
2、R
0およびX
0は、式IVに対して示される意味を有する。好ましくは、R
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、Fを示す。
【0071】
特に好ましいのは、式
【化34】
で表される化合物であり、
式中、R
0は、式IVに対して示される意味を有し、好ましくは1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル、特にC
2H
5、n−C
3H
7またはn−C
5H
11を示す。
【0072】
− 媒体はさらに、以下の式
【化35】
で表される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、Y
1、R
1およびR
2は、式XIIIに対して示される意味を有する。R
1およびR
2は、好ましくは、各々、互いに独立して1〜8個のC原子を有するアルキルを示す;
【0073】
− 媒体はさらに、以下の式
【化36】
で表される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、X
0、Y
1およびY
2は、式IVに対して示される意味を有し、「Alkenyl」は、C
2〜7−アルケニルを示す。特に好ましいのは、以下の式:
【化37】
で表される化合物であり、
式中、R
3aは、上で示される意味を有し、好ましくはHを示す;
【0074】
− 媒体はさらに、式XX〜XXVI
【化38】
【0075】
【化39】
から選択される1種または2種以上の四環式化合物を含み、
式中、Y
1〜4、R
0およびX
0は、各々、互いに独立して、式Vに対して示される意味を有する。X
0は、好ましくはF、Cl、CF
3、OCF
3またはOCHF
2である。R
0は、好ましくはアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを示し、各々は、8個以下のC原子を有する。
【0076】
式XXIIで表される特に好ましい化合物は、以下の式
【化40】
で表されるものであり、
式中、R
0およびX
0は、式XXIIに対して示される意味を有し、X
0は、好ましくはFを示す。
【0077】
式XXIIで表される化合物を、好ましくは0.5〜20重量%、特に1〜10重量%の量で使用する;
【0078】
式XXVで表される特に好ましい化合物は、以下の式
【化41】
で表されるものであり、
式中、R
0およびX
0は、式XXVに対して示される意味を有し、X
0は、好ましくはFまたはOCF
3を示す。
【0079】
式XXVで表される化合物を、好ましくは1〜20重量%、特に2〜15重量%の量で使用する;
【0080】
式XXVIで表される特に好ましい化合物は、以下の式
【化42】
で表されるものであり、
式中、R
0およびX
0は、式XXVIに対して示される意味を有し、X
0は、好ましくはFを示す。
【0081】
式XXVIで表される化合物を、好ましくは0.5〜50重量%、特に4〜35重量%の量で使用する;
【0082】
− 媒体はさらに、以下の式:
【化43】
で表される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、AlkylおよびAlkyl*は、各々、互いに独立して1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示す。
【0083】
式XXVIIで表される特に好ましい化合物は、以下の式
【化44】
から選択される。
【0084】
式XXVIIで表される化合物を、好ましくは0.5〜30重量%、特に3〜25重量%の量で使用する;
【0085】
− 媒体はさらに、以下の式:
【化45】
で表される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、R
0およびX
0は、式IVに対して示される意味を有し、L
1〜L
6は、各々、互いに独立してHまたはFを示し、ここで好ましくは、ラジカルL
1、L
3およびL
5の少なくとも1つは、Fを示す。
【0086】
式XXVIIIで表される特に好ましい化合物は、以下の式
【化46】
から選択され、
式中、R
0は、式XXVIIIに対して示される意味を有し、好ましくは直鎖状アルキルを示す。特に好ましいのは、式XXVIIIbおよびXXVIIIdで表される化合物であり、好ましくはここでR
0は、C
2H
5、n−C
3H
7またはn−C
5H
11を示す。
【0087】
式XXVIIIで表される化合物を、好ましくは0.5〜30重量%、特に3〜25重量%の量で使用する;
【0088】
− 媒体はさらに、以下の式
【化47】
で表される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、R
1およびR
2は、式XIIIに対して示される意味を有する。R
1およびR
2は、好ましくは、各々、互いに独立して1〜8個のC原子を有するアルキルを示す。
【0089】
式XXIXで表される化合物を、好ましくは0.5〜30重量%、特に1〜10重量%の量で使用する;
【0091】
− R
0は、好ましくは2〜7個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルケニルである;
− X
0は、好ましくはF、さらにOCF
3、ClまたはCF
3である;
− 媒体は、好ましくは式Iで表される1種、2種または3種の化合物を含む;
【0092】
− 媒体は、好ましくは式I、II、III、VI−1、VII、XI、XIII、XVIII、XXII、XXV、XXVI、XXIXで表される化合物からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を含む;
− 媒体は、好ましくは式IIおよび/またはIIIで表される1種または2種以上の化合物を含む;
− 媒体は、好ましくは式XXVIで表される1種または2種以上の化合物を含む;
【0093】
− 媒体は、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは2〜20重量%の式Iで表される化合物を含む;
− 全体としての混合物における式II〜XXIXで表される化合物の比率は、好ましくは75〜99重量%である;
− 媒体は、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは25〜70重量%の式IIおよび/またはIIIで表される化合物を含む;
【0094】
− 媒体は、好ましくは2〜25重量%、特に好ましくは3〜15重量%の式VI−1で表される化合物を含む;
− 媒体は、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%の式VIIで表される化合物を含む;
− 媒体は、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%の式XIで表される化合物を含む;
【0095】
− 媒体は、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは7〜30重量%の式XIIIで表される化合物を含む;
− 媒体は、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%の式XXIIで表される化合物を含む;
− 媒体は、好ましくは2〜25重量%、特に好ましくは3〜15重量%の式XXVで表される化合物を含む;
【0096】
− 媒体は、好ましくは3〜45重量%、特に好ましくは4〜35重量%の式XXVIで表される化合物を含む;
− 媒体は、好ましくは2〜25重量%、特に好ましくは3〜15重量%の式XXVIIIで表される化合物を含む;
− 媒体は、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%の式XXIXで表される化合物を含む;
【0097】
− 媒体は、好ましくは上で示される式VI−2aで表される化合物を含まない;
− 媒体は、好ましくは上で示される式VI−2で表される化合物を含まない。
【0098】
慣用の液晶材料と、しかし特に式II〜XXIXで表される1種または2種以上の化合物と混合した、比較的小さい比率の式Iで表される化合物さえも、光安定性の顕著な増大および低い複屈折値、これと共に同時に観察される低いスメクチック−ネマチック転移温度を有する広いネマチック相をもたらし、寿命を改善することが見出された。同時に、当該混合物は、極めて低いしきい値電圧およびUVに曝露した際のVHRに関して極めて良好な値を示す。
【0099】
本出願における用語「Alkyl」または「Alkyl*」は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状アルキル基、特に直鎖状基メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルを包含する。1〜6個の炭素原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0100】
本出願における用語「Alkenyl」または「Alkenyl*」は、2〜7個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状アルケニル基、特に直鎖状基を包含する。好ましいアルケニル基は、C
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニル、C
5〜C
7−4−アルケニル、C
6〜C
7−5−アルケニルおよびC
7−6−アルケニル、特にC
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニルおよびC
5〜C
7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個以下の炭素原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0101】
本出願における用語「フルオロアルキル」は、少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは末端フッ素を有する直鎖状基、すなわちフルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを包含する。しかし、他の位置のフッ素を除外しない。
【0102】
本出願における用語「オキサアルキル」または「アルコキシ」は、式C
nH
2n+1−O−(CH
2)
mで表され、式中nおよびmは各々互いに独立して1〜6を示す直鎖状ラジカルを包含する。mはまた、0を示してもよい。好ましくは、n=1およびm=1〜6またはm=0およびn=1〜3である。
【0103】
R
0およびX
0の意味の好適な選択によって、アドレッシング時間、しきい値電圧、伝達特性線の急峻度などを、所望の方法で修正することができる。例えば、1E−アルケニルラジカル、3E−アルケニルラジカル、2E−アルケニルオキシラジカルなどは、一般的に、アルキルおよびアルコキシラジカルと比較して短いアドレッシング時間、改善されたネマチック傾向および弾性定数k
33(ベンド)とk
11(スプレー)との間の高い比率をもたらす。4−アルケニルラジカル、3−アルケニルラジカルなどは、一般的に、アルキルおよびアルコキシラジカルと比較して低いしきい値電圧およびk
33/k
11の低い値を生じる。本発明の混合物は、特に高いK
1値によって識別され、したがって先行技術からの混合物よりも顕著に迅速な応答時間を有する。
【0104】
前述の式で表される化合物の最適の混合比は、実質的に所望の特性、前述の式で表される構成成分の選択および存在し得るあらゆる他の構成成分の選択に依存する。
上で示される範囲内の好適な混合比を、場合ごとに容易に決定することができる。
【0105】
前述の式で表される化合物の本発明の混合物中での合計量は、重大ではない。したがって、当該混合物は、1種または2種以上の他の構成成分を様々な特性の最適化の目的のために含むことができる。しかし、当該混合物の特性における所望の改善に関する観察された効果は、一般的に前述の式で表される化合物の合計濃度が高いほど大きい。
【0106】
特に好ましい態様で、本発明の媒体は、式IV〜VIIIで表され、式中X
0がF、OCF
3、OCHF
2、OCH=CF
2、OCF=CF
2またはOCF
2−CF
2Hを示す化合物を含む。式Iで表される化合物との好ましい相乗作用により、特に有利な特性がもたらされる。特に、式I、VIおよびXIで表される化合物を含む混合物は、それらの低いしきい値電圧によって識別される。
【0107】
本発明の媒体で使用できる前述の式およびその従属式で表される個々の化合物は、知られているか、または既知の化合物と同様にして製造することができる。
【0108】
本発明はまた、2つの面平行な外板を有し、それがフレームと共にセルを形成する電気光学的ディスプレイ、例えばTN、STN、FFS、OCB、IPS、TN−TFTまたはMLCディスプレイ、当該外板上の個々のピクセルを切り換えるための集積された非線形素子、ならびに正の誘電異方性および高い比抵抗を有し、セル中に位置し、この種の媒体を含むネマチック液晶混合物、ならびに電気光学的目的のためのこれらの媒体の使用に関する。
【0109】
本発明の液晶混合物により、利用可能なパラメーター自由度の顕著な拡張が可能になる。透明点、低温における粘度、熱安定性およびUV安定性ならびに高い光学異方性の達成可能な組み合わせは、従来技術からの以前の材料よりはるかに優れている。
本発明の混合物は、携帯電話機用途および高いΔnのTFT用途、例えばPDA、ノートパソコン、LCD TVおよびモニターに特に適している。
【0110】
本発明の液晶混合物は、−20℃までのおよび好ましくは−30℃までの、特に好ましくは−40℃までのネマチック相、ならびに≧70℃、好ましくは≧75℃の透明点を保持する一方、同時に≦120mPa・s、特に好ましくは100mPa・sの回転粘度γ
1を達成することを可能にし、迅速な応答時間を有する優れたMLCディスプレイを達成することを可能にする。
【0111】
本発明の液晶混合物の誘電異方性Δεは、好ましくは≧+5、特に好ましくは≧+10である。さらに、当該混合物は、低い作動電圧によって特徴づけられる。本発明の液晶混合物のしきい値電圧は、好ましくは≦1.5V、特に≦1.2Vである。本発明の液晶混合物の複屈折Δnは、好ましくは≧0.10、特に好ましくは≧0.11である。
【0112】
本発明の液晶混合物のネマチック相範囲は、好ましくは少なくとも90°、特に少なくとも100°の幅を有する。この範囲は、好ましくは少なくとも−25℃から+70℃まで及ぶ。
【0113】
本発明の混合物の構成成分の好適な選択によって、より高い透明点(例えば100℃より高い)をより高いしきい値電圧にて達成するか、またはより低い透明点をより低いしきい値電圧にて達成し、これと共に他の有利な特性を保持することがまた可能であることは、言うまでもない。相応してわずかに増大するに過ぎない粘度にて、より高いΔεおよびしたがって低いしきい値を有する混合物を得ることは、同様に可能である。
【0114】
本発明のMLCディスプレイは、好ましくは第一のGoochおよびTarry透過率極小値で作動し[C.H. GoochおよびH.A. Tarry, Electron. Lett. 10, 2-4, 1974;C.H. GoochおよびH.A. Tarry, Appl. Phys., Vol. 8, 1575-1584, 1975]、ここで特に好ましい電気光学的特性、例えば特性線の高い急峻度およびコントラストの低い角度依存性(ドイツ国特許第30 22 818号)に加えて、より低い誘電異方性が、第二極小値における類似ディスプレイにおけるのと同一のしきい値電圧にて十分である。
【0115】
これによって、シアノ化合物を含む混合物の場合におけるよりも顕著に高い比抵抗値を、本発明の混合物を第一極小値にて使用して達成することが可能になる。個々の構成成分および重量によるそれらの比率を好適に選択することによって、当業者は、MLCディスプレイのあらかじめ特定した層の厚さに必要な複屈折を、単純な常法を使用して設定することができる。
【0116】
電圧保持比(HR)の測定[S. Matsumoto et al., Liquid Crystals
5, 1320 (1989);K. Niwa et al., Proc. SID Conference, San Francisco, June 1984, p. 304 (1984);G. Weber et al., Liquid Crystals
5, 1381 (1989)]によって、式Iで表される化合物を含む本発明の混合物が、式
【化49】
で表されるシアノフェニルシクロヘキサンまたは式
【化50】
で表されるエステルを式Iで表される化合物の代わりに含む類似混合物よりも、UV曝露の際のHRの顕著に小さい低下を示すことが示された。
【0117】
本発明の混合物の光安定性およびUV安定性は、顕著により良好であり、すなわちそれらは、光またはUVへの曝露の際のHRの顕著により小さい低下を示す。混合物中の低い濃度の式Iで表される化合物(<10重量%)さえも、HRを、従来技術からの混合物と比較して6%またはそれ以上増大させる。
【0118】
偏光子、電極基板および表面処理した電極からの本発明のMLCディスプレイの構造は、この種のディスプレイについての通常の設計に相当する。通常の設計の用語は、本明細書中で広く引用され、また、特にポリSi TFTまたはMIMに基づくマトリックス表示素子を含むMLCディスプレイのすべての派生および修正を包含する。
【0119】
しかし、本発明のディスプレイと、ねじれネマチックセルに基づく現在までの慣用のディスプレイとの間の重要な差異は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0120】
本発明で使用できる液晶混合物を、自体慣用の方式で、例えば式Iで表される1種または2種以上の化合物を式II〜XXVIIで表される1種もしくは2種以上の化合物と、または他の液晶化合物および/もしくは添加剤と混合することにより製造する。一般的に、少ない方の量で使用する所望の量の構成成分を、主な構成成分を構成する構成成分に、有利には高められた温度で溶解する。また、構成成分を有機溶媒、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノールに溶解した溶液を混合し、十分に混合した後に溶媒を再び例えば蒸留によって除去することが、可能である。
【0121】
誘電体はまた、当業者に知られており、文献に記載されているさらなる添加剤、例えばUV安定剤、例えばCibaからのTinuvin(登録商標)、酸化防止剤、フリーラジカルスカベンジャー、ナノ粒子などを含んでもよい。例えば、0〜15%の多色性染料またはキラルドーパントを加えることができる。好適な安定剤およびドーパントを、以下に表CおよびDで述べる。
【0122】
本出願で、および以下の例で、液晶化合物の構造を、頭字語によって示し、化学式への変換を、以下の表AおよびBに従って行う。すべてのラジカルC
nH
2n+1およびC
mH
2m+1は、それぞれn個よびm個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルである;n、mおよびkは整数であり、好ましくは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示す。表Bにおけるコーディングは自体明確である。表Aで、基本構造についての頭字語のみを示す。個々の場合で、基本構造についての頭字語に、ダッシュによって分離して、置換基R
1*、R
2*、L
1*およびL
2*についてのコードが続く:
【0124】
好ましい混合物構成成分を、表AおよびBに示す。
表A
【化51】
【0133】
特に好ましいのは、式Iで表される化合物に加えて、表Bからの少なくとも1種、2種、3種、4種または5種以上の化合物を含む液晶混合物である。
【0134】
表C
表Cは、本発明の混合物に一般的に加えられる可能なドーパントを示す。当該混合物は、好ましくは0〜10重量%、特に0.01〜5重量%および特に好ましくは0.01〜3重量%のドーパントを含む。
【0137】
表D
例えば本発明の混合物に0〜10重量%の量で加えることができる安定剤を、以下に述べる。
【化62】
【0142】
以下の例は、本発明を、それを限定せずに説明することを意図する。
【0143】
本明細書中で、パーセンテージデータは、重量パーセントを示す。すべての温度を、摂氏度で示す。m.p.は、融点を示し、cl.p.=透明点である。さらに、C=結晶状態、N=ネマチック相、S=スメクチック相およびI=等方相である。これらの記号間のデータは、転移温度を表す。さらに、
【0144】
− Δnは、589nmおよび20℃における光学異方性を示し、
− γ
1は、20℃における回転粘度(mPa・s)を示し、
− V
10は、10%透過率(板表面に垂直な視野角)についての電圧(V)、(しきい値電圧)を示し、
− Δεは、20℃および1kHzにおける誘電異方性を示し(Δε=ε
‖−ε
⊥、式中ε
‖は、分子の縦軸に平行な誘電率を示し、ε
⊥は、それに垂直な誘電率を示す)、
− LTSは、−20℃における低温安定性(単位時間)を示し、
− HRは、電圧保持比(単位%)を示す。
【0145】
電気光学的データを、他に明確に示さない限り、TNセルで第一極小値にて(すなわち0.5μmのd・Δn値にて)20℃で測定する。光学的データを、他に明確に示さない限り20℃で測定する。すべての物性を、他に明確に示さない限り"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals", ステータス1997年11月、Merck KGaA、ドイツ国に従って決定し、20℃の温度について適用する。
【0146】
HR値を、以下のようにして測定する:LC混合物を、TN−VHR試験セル(90°でラビングした、整列層TN−ポリイミド、層の厚さd≒6μm)中に導入する。HR値を、5分後に100℃で、1時間のUV曝露(Atlas Suntest CPS+ 〜750W/m
2)の前および後に、1V、60Hz、64μsパルスで決定する(測定機器:Autronic-Melchers VHRM-105)。
【0147】
「LTS」とも称される低温安定性、すなわちLC混合物の、自発的に晶出する個々の構成成分および/または低温でスメクチック/結晶相状態に変換される液晶混合物に対する安定性を調査するために、1gのLC混合物を含むバイアルを、−20℃の貯蔵庫に配置し、当該混合物が晶出したか、スメクチック相状態に変換されたかを、定期的にチェックする。
【0148】
例1
式Iで表される化合物(PGQU−3−F)を含む本発明のLC混合物を、以下のように調合する:
【表2】
【0149】
例2
式Iで表される化合物(PGQU−3−F)を含む本発明のLC混合物を、以下のように調合する:
【表3】
【0150】
例3
式Iで表される化合物(PGQU−3−F)を含む本発明のLC混合物を、以下のように調合する:
【表4】