特許第5764292号(P5764292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5764292脱水素化される炭化水素の連続実施型不均一系触媒部分脱水素化の長期実施方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764292
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】脱水素化される炭化水素の連続実施型不均一系触媒部分脱水素化の長期実施方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 5/333 20060101AFI20150730BHJP
   B01J 23/62 20060101ALI20150730BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20150730BHJP
   C07C 5/42 20060101ALI20150730BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20150730BHJP
   C07C 45/35 20060101ALI20150730BHJP
   C07C 47/22 20060101ALI20150730BHJP
   C07C 51/235 20060101ALI20150730BHJP
   C07C 57/055 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   C07C5/333
   B01J23/62 Z
   C07B61/00 300
   C07C5/42
   C07C11/06
   C07C45/35
   C07C47/22
   C07C51/235
   C07C57/055 A
【請求項の数】32
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2009-522207(P2009-522207)
(86)(22)【出願日】2007年7月18日
(65)【公表番号】特表2009-544746(P2009-544746A)
(43)【公表日】2009年12月17日
(86)【国際出願番号】EP2007057407
(87)【国際公開番号】WO2008012249
(87)【国際公開日】20080131
【審査請求日】2010年7月15日
【審判番号】不服2014-78(P2014-78/J1)
【審判請求日】2014年1月6日
(31)【優先権主張番号】102006035718.3
(32)【優先日】2006年7月28日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】60/833,776
(32)【優先日】2006年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【復代理人】
【識別番号】100182534
【弁理士】
【氏名又は名称】バーナード 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ディーテルレ
(72)【発明者】
【氏名】カタリーナ ホルストマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ−ペーター シンドラー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ヨアヒム ミュラー−エンゲル
(72)【発明者】
【氏名】イェンス シャイデル
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ アダミ
【合議体】
【審判長】 佐藤 健史
【審判官】 瀬良 聡機
【審判官】 木村 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/002708(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/002713(WO,A1)
【文献】 国際公開第95/23123(WO,A1)
【文献】 J.gascon et al.,Applied catalysis A: General,2003年,248(1−2),pp.105−116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C5/333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水素化される炭化水素の脱水素化炭化水素への連続実施型不均一系触媒部分脱水素化の長期実施の方法であって、前記脱水素化される炭化水素の不均一系触媒部分脱水素化のために、炭化水素をモル出発量KWで含む反応ガス混合物流を高温にて全触媒床に通して入れ、この触媒床は反応帯域RZに配置され、反応ガス混合物流の流動方向において連続して配列された複数の部分触媒床からなってよく、合計して脱水素化触媒の量Mを含み、こうして、実施時間t=t0時に、反応ガス混合物流が流動方向において量Mの3区分の1つ目を通過した場合に、脱水素化される炭化水素のモル出発量KWのAmol%の割合が脱水素化炭化水素に変換され、反応ガス混合物流が流動方向において量Mの3区分の2つ目を通過した場合に、脱水素化される炭化水素のモル出発量KWのBmol%の割合が脱水素化炭化水素に変換され、そして反応ガス混合物流が流動方向において量Mの3区分の最後を通過した場合に、脱水素化される炭化水素のモル出発量KWのCmol%の割合が脱水素化炭化水素に変換されるが、ただし、A>B>Cであり、かつ反応ガス混合物流が全触媒床を通過した場合に、合計G=前記混合物中に含まれる脱水素化される炭化水素のモル出発量KWの(A+B+C)mol%が脱水素化炭化水素に脱水素化され、その際、前記反応ガス混合物流に、全触媒床が始まるその入口と全触媒床が終わるその出口との間で、場合により、分子酸素、分子水素、水蒸気および/または他の不活性ガスの流量が、脱水素化補助ガスとして供給され、かつ実施時間の増加に伴いt0<t<tRの実施時間間隔[tRは、脱水素化が中断され、かつ全触媒床が実施時間t=t0後にはじめて再生される時の実施時間tである]において現れる全触媒床の不活性化を抑えるために、全触媒床内の反応ガス混合物流の温度推移および/または場合により供給される脱水素化補助ガスの流量の流量が変更される方法において、前記の変更を、前記実施時間tの増加に伴って、割合Aが減少し、割合Bが最大値を通過し、割合Cが増加するように実施することを特徴とする方法。
【請求項2】
脱水素化される炭化水素がC2−〜C6−アルカンであり、脱水素化炭化水素がC2−〜C6−アルケンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脱水素化される炭化水素がn−プロパンであり、脱水素化炭化水素がプロピレンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
脱水素化される炭化水素のモル出発量KWを含む反応ガス混合物流がさらに水蒸気を含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
脱水素化される炭化水素のモル出発量KWを含む反応ガス混合物流がさらに分子酸素を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
脱水素化される炭化水素のモル出発量KWを含む反応ガス混合物流がさらに分子水素を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
実施時間t0時のGが10〜60mol%であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
実施時間t0時のGが15〜40mol%であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
実施時間t0時のGが15〜30mol%であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
全体の変換G=(A+B+C)に対して、実施時間t=t0時にて部分変換Aが45〜80%であり、部分変換Bが20〜40%であり、部分変換Cが0〜15%であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
全体の変換G=(A+B+C)に対して、実施時間t=t0時にて部分変換Aが55〜70%であり、部分変換Bが20〜35%であり、部分変換Cが7〜13%であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
実施時間の増加に伴いt0<t<tRの実施時間間隔において、部分変換Aが部分変換Cより低下するため、C>Aであることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
実施時間の増加に伴いt0<t<tRの実施時間間隔において、部分変換A、B、Cの列がA>B>Cから始まり反転し、C>B>Aになることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記A値がt0<t<tRの実施時間間隔において実施時間t=t0時のその値の20%を下回らないことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記B、C値がt0<t<tRの実施時間間隔において実施時間t=t0時のA値の95%を上回らないことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
反応帯域RZが断熱多段型リアクターとして構成され、同時に、段の間で分子酸素を含む脱水素化補助ガスの流量が供給されることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
反応帯域RZが連続連結の少なくとも2つの断熱脱水素化リアクターとして設計され、同時に、直接的に連続連結された断熱脱水素化リアクター間で分子酸素を含む脱水素化補助ガスの流量が供給されることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
全触媒床が固定床であることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
脱水素化触媒が酸化物担体上に堆積した少なくとも1種の金属を有するものであることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1種の金属が白金族からの元素であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種の金属が白金であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
反応帯域RZで形成される脱水素化炭化水素および反応帯域RZで変換されない脱水素化される炭化水素を含む生成ガス流を反応帯域RZから取り出し、この生成ガス流を、そのままで、または脱水素化炭化水素および脱水素化される炭化水素とは異なるその構成物質の少なくとも部分量を取り出した後に使用して、少なくとも1つの酸化リアクターに入れ、前記リアクター内でその中に存在する脱水素化炭化水素を分子酸素を用いて選択的不均一系触媒部分気相酸化を行い、部分酸化生成物を含む部分酸化生成ガス混合物を得ることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
脱水素化される炭化水素がプロパンであり、脱水素化炭化水素がプロピレンであり、部分酸化生成物がアクロレイン、アクリル酸またはその混合物であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
選択的不均一系触媒部分気相酸化の分離帯域において、引き続き部分酸化生成ガス混合物から部分酸化生成物を分離し、その際残留する未変換の脱水素化炭化水素、分子酸素ならびに場合により未変換の脱水素化炭化水素を含む残留ガスから、未変換の脱水素化される炭化水素を含有する少なくとも一部分量を、部分酸化循環ガスとして反応帯域RZへと再循環させることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
部分酸化生成物を凝縮相への変換により分離帯域の部分酸化生成ガス混合物から分離することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
部分酸化生成物がアクリル酸であり、凝縮相への変換が吸収および/または凝縮手段により行われることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
凝縮相からのアクリル酸の分離が少なくとも1つの熱分離プロセスを使用して行われることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つの熱分離プロセスが液相からのアクリル酸の晶析分離を含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
晶析分離が懸濁晶析であることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
アクリル酸の分離に引き続きラジカル重合のプロセスを行い、分離されたアクリル酸をラジカル的に重合導入して、ポリマーを製造することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
アクリル酸の分離に引き続きアクリル酸エステルを製造するプロセスを行い、分離されたアクリル酸をアルコールでエステル化することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
アクリル酸エステルを製造するプロセスに引き続きラジカル重合のプロセスを行い、こうして製造されたアクリル酸エステルを重合導入することを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水素化される炭化水素の脱水素化炭化水素への連続不均一系触媒部分脱水素化の長期実施方法に関し、この場合、脱水素化される炭化水素の不均一系触媒部分脱水素化のため、モル出発量KWのものを含む反応ガス混合物流を高温にて全触媒床を通して入れ、この触媒床は反応帯域RZに配置され、反応ガス混合物流の流動方向において連続して配列された複数の部分触媒床からなることができ、合計して量Mの脱水素化触媒を含み、その方法として、実施時間t=t0時に、モル出発量KWのAmol%の割合を流動方向において量Mの3区分の1つ目を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで変換し、モル出発量KWのBmol%の割合を流動方向において量Mの3区分の2つ目を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで変換し、脱水素化される炭化水素のモル出発量KWのCmol%の割合を流動方向において量Mの3区分の最後を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで脱水素化炭化水素に変換し、ただし、A>B>CおよびGの合計=その中に存在する脱水素化される炭化水素のモル出発量KWの(A+B+C)mol%が全触媒床を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで脱水素化炭化水素に脱水素化され、適切であれば、分子酸素、分子水素、蒸気および/または他の不活性ガス流を、脱水素化補助ガスとしてその全触媒床が始まる入口とその全触媒床が終わる出口との間で反応ガス混合物流に供給し、全触媒床の不活性化は、t0<t<tRの実施時間間隔で実施時間の増加に伴い、式中、tRは、脱水素化が中断され、全触媒床が実施時間t0後にはじめて再生される時の実施時間tであり、全触媒床内の反応ガス混合物流および/または供給されるいくつかの脱水素化補助ガスの流量の温度推移を変化させることより、弱められるようにする。さらに、本発明は、得られた脱水素化炭化水素の部分酸化の方法に関する。
【0002】
本出願で使用される「脱水素化炭化水素」という語句は、脱水素化される炭化水素の分子に比べ少ない少なくとも2個(「2個」は実施の点から好ましい)の水素原子を分子が含む炭化水素を含むことを意図する。別に、炭化水素という語句は、炭素および水素元素からのみ分子が形成される物質を含むことを意図する。
【0003】
それゆえ、脱水素化炭化水素は、とりわけ非環式(直鎖および/または分岐鎖)および環式脂肪族炭化水素を含み、これらは分子内に1個以上のC、C二重結合を有する。
【0004】
このような脂肪族脱水素化炭化水素の例は、プロペン、イソブテン、エチレン、1−ブテン、2−ブテンおよびブタジエンである。つまり、脱水素化炭化水素は、特に単不飽和直鎖炭化水素(n−アルケン)または分岐鎖脂肪族炭化水素(例えば、イソアルケン)およびさらにシクロアルケンを含む。さらに、脱水素化炭化水素はまた、アルカポリエン(例えば、ジエンおよびトリエン)を含むことを意図し、これらは、分子内に2個以上の炭素−炭素の二重結合を含む。しかし、脱水素化炭化水素はまた、炭化水素化合物を含むことを意図し、これらは、アルキル芳香族、例えば、アルキル置換基の脱水素化によるエチルベンゼンまたはイソプロピルベンゼンから出発して得られる。例えば、これらは、スチレンまたはα−メチルスチレンなどの化合物である。
【0005】
ごく一般に、脱水素化炭化水素は、例えば、官能基化、ラジカル重合化合物(例えば、プロペン由来のアクリル酸またはイソブテン由来のメタクリル酸)およびその重合生成物の合成に重要な出発化合物である。例えば、このような官能基化化合物を脱水素化炭化水素の部分酸化により得ることができる。しかし、脱水素化炭化水素はまた、メチルtert−ブチルエーテルなどの化合物(次のイソブテンの生成物であり、これは、例えば、オクタン価を増加させるための燃料添加剤として適切である)を製造するのに適切である。脱水素化炭化水素はまた、重合自体のようなものに使用することができる。
【0006】
本明細書における有用な脱水素化される炭化水素は、とりわけ、非環式(直鎖および/または分岐鎖)および環式アルカン、さらにオレフィン(このC、C二重結合数を増加させる)である(例として、n−ブテンのブタジエンへの不均一系触媒部分脱水素化を挙げるものとする)。
【0007】
つまり、本明細書の「脱水素化される炭化水素」という語句は、例えば、化学量論Cn2n+2、式中、n>1〜n≦20の炭化水素および化学量論Cn2n、式中、n>1〜n≦20の炭化水素ならびに化学量論Cn2n-2、式中、n>2〜n≦20およびn=整数の炭化水素、とりわけ、C2−〜C16−アルカン、例えば、エタン(エチレンへ)、プロパン(プロピレンへ)、n−ブタン、イソブタン(イソブテンへ)、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカンおよびn−ヘキサデカンを含む。
【0008】
しかし、特に本明細書において記載の全ては、脱水素化される炭化水素としてC2−〜C6−アルカンおよび非常に特にC2〜C4炭化水素(とりわけ、アルカンおよび特にこれらのうちプロパン)に適用する。つまり、本明細書における脱水素化される炭化水素は、特にエタン、プロパン、n−ブタンおよびイソブタン、さらに1−ブテンおよび2−ブテンである。
【0009】
本明細書において、炭化水素の不均一系触媒部分脱水素化は、(従来の)脱水素化を意味すると理解するものとし、この場合、遊離分子水素を少なくとも中間体として形成し、それにより、脱水素化ステップを吸熱により進める(次のステップとして、発熱による水素燃焼を含むことができる)。対照に、存在する酸素により脱水素化される炭化水素から引き出された水素の不均一系触媒部分酸素脱水素化において、水(H2O)として直接引き出される。それゆえ、不均一系触媒部分酸素脱水素化の脱水素化ステップは、おもに発熱により進む。
【0010】
典型的に、脱水素化される炭化水素(例えば、プロパン)の(例えば、本明細書の最初に記載のように)(従来の)不均一系触媒部分脱水素化は、比較的高い反応温度を必要とする。典型的な反応温度は、300〜850℃もしくは〜800℃または400〜700℃である。
【0011】
通常、実現される変換は、動力学的に制限されず、むしろ熱力学的平衡により制限される。
【0012】
分子水素1個が、例えば、脱水素化されるプロパンからプロピレンへの分子当たりにさらに得られる場合の顕著な吸熱反応として、高温およびH2反応生成物の除去により、所望の標的生成物として脱水素化炭化水素に平衡位置をシフトし、この時、不活性希釈により部分圧が低下する。本明細書において、一般に不活性ガス(不活性希釈ガス)は、反応ガス混合物構成物質を意味すると理解するものとし、これは、基本的に適切な反応条件下において化学的に不活性に挙動し、回収されただけの不活性反応ガス混合物構成物質は、それぞれおよそ95mol%以上、好ましくはおよそ97mol%以上またはおよそ99mol%以上で化学的に変化しないままである。典型的な不活性希釈ガスの例は、例えば、N2、CO2、H2O、希ガス、例えば、He、NeおよびArならびにこれらのガスの混合物などである。
【0013】
脱水素化される炭化水素(例えば、プロパン)の不均一系触媒部分脱水素化において、脱水素化炭化水素への脱水素化ステップが吸熱により進むため、所望の脱水素化変換に必要な反応熱を、不均一系触媒脱水素化の前および/または不均一系触媒脱水素化の過程のどちらかにおいて反応ガスに供給しなければならない。
【0014】
それゆえ、最も単純な方法において、不均一系触媒部分脱水素化を断熱的(全)触媒床において以下のように実施することができる。
【0015】
脱水素化される炭化水素を含む反応混合物をその出発温度(典型的に、300〜850℃、たびたび400〜800℃、多くの場合450〜750℃または500〜700℃あるいは550〜650℃)に加熱し、次いで、(周囲から熱遮断された)断熱的パスで(全)触媒床を通して入れる。選択される変換および不活性希釈に応じて、(全)触媒床を通過する場合、反応ガス混合物は、約30〜200℃に冷却されるだろう。
【0016】
全触媒床は、合計して量Mの脱水素化触媒を含み、反応ガス混合物の流動方向において3つの連続区分に(理論的に)分割される場合、そのそれぞれが合計量Mの脱水素化触媒の1/3を含み、まさに記載された不均一系触媒部分脱水素化の開始時(すなわち、新しい、または新しく再生された全触媒床を実施する場合)に、モル出発量KWのAmol%の割合を、流動方向において量Mの3区分の1つ目を通る反応ガス混合物流(これは、脱水素化される炭化水素のモル出発量KWを含む)の(シングル)パスで変換し、出発量KWのBmol%の割合を、流動方向において量Mの3区分の2つ目を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで変換し、脱水素化される炭化水素のモル出発量KWのCmol%の割合を、流動方向において量Mの3区分の最後を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで脱水素化炭化水素に変換し、通常、この場合、当然ながらA>B>Cである。
【0017】
概して、全触媒床を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスにおいて、G=その中に存在する脱水素化される炭化水素のモル出発量KWの(A+B+C)mol%が(シングルパスに対して)脱水素化炭化水素に脱水素化される。
【0018】
(全)触媒床は、(本発明における方法において、ごく一般的であるように)少なくとも1個の固定触媒床、少なくとも1個の流動触媒床、少なくとも1個の可動触媒床または上記の触媒床変形例の2個以上の組み合わせ(例えば、連続配列)であってよい。本発明において好ましくは、一般に、(全)触媒床は、少なくとも1個の固定触媒床であり、これは、本明細書において記載の全てが、とりわけこの点に関して有効であるためである。
【0019】
つまり、最も単純な方法で、上記の断熱的実施様式おいて、少なくとも1個の固定触媒床(全固定触媒床)を、(その周囲から熱遮断されるように設計された)断熱シャフトリアクター内に配置することができる。シャフトリアクターは、反応チャンバーに接触し、脱水素化される炭化水素を含む反応ガス混合物を反応チャンバーに供給する少なくとも1個の第1オリフィスおよび生成ガス流を反応チャンバーから回収する少なくとも1個の第2オリフィスを有する材料シェルにより、得られる。外部からの断熱(熱遮断された)構造のシャフト(反応チャンバー)において、反応ガス混合物により貫流される少なくとも1個の固定触媒床を配置することが好ましい。少なくとも1個の固定触媒床における滞留時間中、所望の脱水素化される炭化水素(例えば、プロパン)の脱水素化炭化水素への部分脱水素化が進む。通常、断熱的シャフト炉リアクターに存在する少なくとも1個の固定触媒床は、連続固定触媒床のみであり、脱水素化される炭化水素を含む反応ガス混合物の温度は、この固定触媒床の長さにわたり流動方向において次第に低下し、当然ながら、得られる変換を制限する。
【0020】
上記の実施様式において、反応ガス混合物の出発温度の上昇は、通常、脱水素化変換Gの増加に伴うが、出発温度の増加が副反応として望ましくない熱分解を比較的高度に促進し(脱水素化(C−Hの切断)は、多くの場合、分解(C−Cの切断)と比較し、必然的に動力学的には好ましくなく、これらの条件の反転には触媒を必要とし、これは、選択的に脱水素化を促進し、脱水素化される炭化水素の不均一系触媒脱水素化の基礎となる)。
【0021】
上記の内容において、それゆえ、反応ガス混合物の不活性希釈ガスとして蒸気をさらに使用することは、不均一系触媒部分脱水素化に有利であり、実際に、基本的に常に行われる。これは、蒸気が他の考えられる希釈ガスと比較し、モル熱容量が大きいためであり、これが上記の温度低下を軽減し、上記の、さらに使用する場合のG値の増加を促進する。
【0022】
しかし、反応ガス混合物の蒸気量の増加に伴い、はじめに反応ガス混合物の体積が増大し(これは資本コストの増加を引き起す)、次に、蒸気量の増加により、さらに望ましくない副反応として炭化水素の蒸気の再形成を促進し、この場合、炭化水素は蒸気と反応し、CO、CO2およびH2を生成する。さらに使用することができる蒸気量は、各場合、なお無視してよい程度の望ましくない蒸気再形成を有し、おもに不均一系触媒脱水素化を実施時の絶対圧(一般に、これは0.2〜10barまたは0.5〜6もしくは〜3barである)および使用する脱水素化触媒に左右される。
【0023】
おもに、脱水素化変換Gを制限する温度低下を、さらに外部温度調節により是正することができる。本明細書において、一般に、外部温度調節は、間接的熱交換による温度調節を意味すると理解するものとする。このような外部温度調節は、炭化水素の不均一系触媒脱水素化の単純な方法、例えば、(全)触媒床を含むリアクターおよびそれゆえ、(全)触媒床自体を外部から加熱することにより可能である。このような手順は、米国特許第5235121号の一例として記載されている。
【0024】
別法として、おもに全触媒床の断熱実施様式の原理に従い、それを例えば、連続して配列された複数の触媒床段全体に、または連続して配列された複数の脱水素化リアクター全体に分布し、各断熱部分触媒床を越える反応ガス混合物を間接熱交換により、すなわち、外部温度調節により加熱させることも可能である。
【0025】
つまり、特に有利な方法において、多段型リアクターとして設計される場合、不均一系触媒炭化水素(例えば、プロパン)脱水素化を外部断熱シャフトリアクターにおいて実施することができる。
【0026】
多段型リアクターは、空間的に連続して、例えば、2個以上の(部分)固定触媒床を含み、この触媒床は、(反応チャンバーを囲む)シャフトにおいて脱水素化を触媒する。(部分)固定触媒床の数は、例えば、1〜20、およそ2〜8または3〜6個であってよい。一般に、(部分)固定触媒床は、放射状または軸方向に連続して配列される。
【0027】
特に実現が容易な方法において、(部分)固定触媒床を、反応ガス混合物流の流動方向を示すその軸に沿って外部断熱シャフト内の軸方向に連続して配列する。しかし、これらをシャフトの同軸グリッドの環状空隙内に配列することができる。さらに、シャフト内の別セグメントの上部にある1セグメント内に環状空隙を配列し、1セグメント内を放射状に通過後にその上下の次のセグメントに反応ガスを入れることが可能である。
【0028】
1個の(部分)固定触媒床から次の(部分)固定触媒床へのその経路において、反応ガス混合物は、例えば、間接熱交換器(例えば、熱交換器リブまたは熱交換器プレートあるいは熱交換器チューブバンドル)の上および/または中を通過することにより間接中間加熱(外部から調節された温度推移)を行うことができ、これらの熱交換器を熱風および/または液体を用いて実施し、別の断熱シャフト内の固定床段の間に実装する。
【0029】
このようにして備えられたシャフト炉多段型リアクターにおいて、一般に、反応ガスのシングルパスに対する脱水素化変換G(例えば、プロパン→プロピレン変換)が、とりわけ不活性希釈ガスとして最大50mol%、たびたび最大40mol%(例えば、独国特許出願公開第1020050449216号および独国特許出願公開第19937107号で記載の触媒、とりわけ一例として記載されたものを使用する場合)の蒸気をさらに使用して、脱水素化される炭化水素を含む反応ガス混合物を、350もしくは400または450〜550℃(好ましくは400〜500℃)に予熱し、シャフト(包囲された、(部分)固定触媒床を収容する外部断熱反応チャンバー)に入れ、シャフト内で、多段型反応チャンバー内で間接熱交換(外部から調節された温度推移)により少なくともこの温度内を維持するのに十分である。反応ガス混合物入力流の初期圧は、流動方向における第1(部分)固定触媒床へのその入口で、用途の点から適切には>1〜10bar、有利には≧1.5〜5barであるだろう。おもに、この入口圧はまた、1bar以下であってよい。例えば、さらに0.2〜<1barであってよい。
【0030】
しかし、用途の点から、直接法(内部から調節された温度推移)において上記の中間加熱を実施することがより簡単である。このため、分子酸素を含むガスを各場合、(部分)固定触媒床から制限された範囲の(部分)固定触媒床までのその経路上の2個の(部分)固定触媒床間の反応ガス混合物に(反応ガスに)添加することができ、これは、各場合、分子酸素、分子水素および炭化水素ならびに典型的に蒸気を含む反応ガス混合物流を生成する。
【0031】
この反応ガス混合物流の流動方向における次の(部分)固定触媒床を、脱水素化触媒が分子水素と分子酸素の燃焼反応も触媒し、水を得かつ/または反応ガス混合物流に存在する炭化水素の燃焼反応を触媒し、酸化炭素および水を得、あるいはこれらの燃焼を選択的に触媒する触媒を脱水素化触媒に加えて(部分)固定触媒床に添加する場合、反応ガス混合物に存在する分子水素および/または反応ガス混合物に存在する炭化水素と分子酸素の(それぞれ、H2OおよびH2Oと炭化酸素への)制限された発熱による燃焼が、適切であれば、この(部分)固定触媒床を通過する反応ガス混合物として不均一系触媒脱水素化の前および/またはこの脱水素化に重ねて進むように、活性組成物の適切な選択により構成する。次いで、放出された反応熱を次の、および/または同時に吸熱特徴のある脱水素化で消費することができる。得られる燃焼生成物、例えばCO2、H2OおよびN2は、適宜、燃焼に必要な分子酸素を伴い(使用される酸素源が、例えば、空気である場合)、不均一系触媒脱水素化に有利な不活性希釈ガスである。「水素燃焼」および「炭化水素燃焼」との間の重みづけは、おもに触媒選択が影響しうる。かなり選択的に分子水素および/または炭化水素の燃焼を触媒する有用な触媒は、例えば、米国特許第4788371号、米国特許第4886928号、米国特許第5430209号、米国特許第5530171号、米国特許第5527979号および米国特許第5563314号明細書のものを含む。
【0032】
主要な「水素燃焼」は、典型的に、主要な「炭化水素燃焼」以上に好ましく、それは、脱水素化炭化水素化合物の形成の選択性の増加および多段型リアクターを通る反応ガス混合物のシングルパスに対する脱水素化変換の増加をともに生じるためである。一般に、各場合において、貫流される(部分)固定触媒床が、脱水素化触媒(とりわけ、独国特許出願公開第19937107号で推奨されるもの(とりわけ、この独国特許出願公開明細書の一例として詳述された触媒))のみを含む場合に存在し、それは、一般に、これらが、脱水素化される炭化水素(例えば、プロパン)の脱水素化のみだけでなく、分子水素および炭化水素の燃焼も触媒することが可能であるためである。一般に、水素燃焼は、脱水素化される炭化水素(例えば、プロパン)の脱水素化および例えば、これらの触媒全体の競合状態の場合のその燃焼の両方と比較し、非常に早く進む(すなわち、一般に、これらは分子水素の燃焼のための所与の条件下において必要とする活性エネルギーが最も少ない)。
【0033】
実施される燃焼反応の程度に応じて(すなわち、供給される分子酸素量にも応じて)、多段型リアクターを通る反応ガス混合物のシングルパスにおける全体の反応特性を、全体的な熱特徴に関して(すなわち、総合的熱特徴に関して)、吸熱性(負)もしくは自己熱性(基本的にゼロ)または発熱性(正)となるように構成することができる。
【0034】
分子水素の燃焼は、脱水素化の過程における同量の水素形成で消費される熱エネルギー量の約2倍が得られる。
【0035】
さらに、2個の(部分)触媒床間で、内部温度調節の原理または外部温度調節の原理のどちらかを使用することが可能であることが考えられるだろう。さらに、炭化水素の不均一系触媒部分脱水素化の等温性はまた、(部分)固定触媒床間(および/または内)の多段型反応チャンバーにおいて、閉口内部装置(例えば、管状)を導入することによりさらに改良することができ、この内部装置は、触媒の充填前に排出することが好ましいが必然ではない。既述のように、このような内部装置を、特定の(部分)固定触媒床に置くことができる。これらの内部装置は、適切な固体または液体を含み、これらは、特定の温度以上で蒸発または融解し、この時に熱を消費し、温度がこの温度以下に低下した場合、再度凝縮し、この時に熱を放出する。おもに、等温性をさらに改良するために、シャフトリアクターの材料シェルの外側に流動性(ガス状および/または液体)熱担体を入れることがさらに可能である。しかし、用途が複雑であることが考えられ、これが、一般に外部断熱構造が好ましい理由である。
【0036】
反応ガス混合物の流動方向における第1触媒床に供給される反応ガス混合物を所望の反応温度に加熱するために、記載の内部温度調節手段も進んで使用する。このため、適切な分子酸素量を、実際に反応ガス混合物に添加し、この混合物は、脱水素化される炭化水素を含み、シャフトリアクターに入れられる。さらに、分子水素は、この反応ガス混合物に添加後、このような加熱燃焼のために第1(固定)触媒床に入ることができる。しかし、このような水素添加を省略することも可能である。この時、反応混合物を反応温度に加熱するための内部温度調節は、基本的に水素燃焼によってのみ行われる。反応ガスに過熱した蒸気を供給することにより(部分)触媒床間の反応ガス混合物に熱を供給することも可能である。多くの場合、第1(固定)部分触媒床に供給される反応ガス混合物をまた、別の方法で反応温度にする。例えば、第1(固定)触媒床に供給される反応ガス混合物を構成する出発ガス流は、すでに適切な温度を有しうる。これらの出発ガス流はまた、すでに分子酸素を含むことができ、そうして分子酸素を含むガスを、シャフトの流動方向において第1(固定)触媒床へ流動する反応ガス混合物に計量添加する問題は生じず、または脱水素化リアクターと通して入れられ、加熱される反応ガス混合物を間接熱交換において、脱水素化リアクターから入れられた熱性生成ガス混合物に入れる。
【0037】
おもに、上記の脱水素化される炭化水素の脱水素化炭化水素への不均一系触媒部分脱水素化の変形例は知られている(例えば、独国特許出願公開第102005061626号、独国特許出願公開第102005057197号、独国特許出願公開第102005052923号、独国特許出願公開第102005052917号、独国特許出願公開第102005022798号、独国特許出願公開第102005009885号、独国特許出願公開第102005010111号、独国特許出願公開第102004032129号、独国特許出願公開第102005013039号、国際特許出願第03/076370号、独国特許出願公開第10211275号、国際特許出願第01/96270号、国際特許出願第2004/039920号、独国特許出願公開第102004054657号、国際特許出願第2006/050957号、独国特許出願公開第102006029790号、独国特許出願公開第102006024901号およびこれらの明細書に引用された従来技術を参照)。
【0038】
不均一系触媒部分脱水素化が具体的な場合にどのように構成され、どの種類の温度調節を使用するかに関らず、記載の変形例全てに共通であることは、これらを(理論的に)(部分)触媒床において(すなわち、新しいまたは新しく再生される全触媒床にわたり)実施する場合、一般に、脱水素化変換の関係A>B>Cをなお満たし、これらのうちどれも、副反応として望ましくない炭化水素の熱分解を完全に抑制することに成功していないことである。つまり、全ての場合で形成された望ましくない副生成物は、少量の高沸点高分子量有機化合物(熱分解生成物)であり、炭素元素を含み、これは触媒表面に堆積し、従って実施時間の増加に伴いさらに不活性化する。反応ガス混合物中の不活性希釈ガスとしてさらに使用される蒸気は、石炭ガス化の原理により再度、触媒表面に堆積する炭素を部分的排除することはできるが、完全に防止することはできない。同様に、第1(部分)固定触媒床(または他の(部分)触媒床)に供給された反応ガス混合物にすでに使用(添加)された分子水素は、一様に脱水素化触媒の寿命を延長するが、同様にその段階的な不活性化を防止することは不可能である。
【0039】
このような不活性化は、別の未変化の脱水素化条件下における触媒不活性化の増加が、全触媒床を通る反応ガス混合物のシングルパスに対する、脱水素化される炭化水素の脱水素化炭化水素への変換の低下を増大させるという点で不利であり、これは、脱水素化炭化水素の空時収量を減少させる。
【0040】
これは、とりわけ、脱水素化される炭化水素の不均一系触媒部分脱水素化の方法が速やかに、例えば、得られた脱水素化炭化水素の不均一系触媒部分酸化の方法(例えば、プロピレンからアクロレインおよび/またはアクリル酸)に続き、好ましくは部分酸化の不活性ガスとして脱水素化される未変換の炭化水素(例えば、プロパン)を伴う場合に不利であり、脱水素化炭化水素の空時収量の減少が同時にこのような場合の部分酸化生成物の空時収量を減少させることが考えられる。
【0041】
それゆえ、追求していることは、不均一系触媒部分脱水素化の方法であり、この場合、上記の全触媒床の不活性化を非常に簡潔な方法において弱める。
【0042】
独国特許出願公開第102005013039号は、不均一系触媒部分脱水素化の方法の従来の説明をし、この場合、全触媒床を3つの連続した断熱リアクター(これらの3つのリアクターはともに反応帯域RZを形成する)間の3個の部分触媒床の形態に分割する(リアクター当たり1個の部分触媒床)。反応ガス混合物が特定の部分触媒床に入る前に、それを予熱帯域における間接熱交換により(部分触媒床への)所望の入口温度に加熱することができる。
【0043】
さらに、空気を反応ガス混合物に計量して添加後、特定の部分触媒床に入る。流動方向における第1部分触媒床に入る反応ガス混合物は、同様にすでに添加された分子酸素を含む。使用される脱水素化触媒は、同時に分子水素および炭化水素の燃焼を触媒する。新しいまたは新しく再生される全触媒床を実施する場合、A>B>Cの関係を満たす。
【0044】
独国特許出願公開第102005013039号に記載の全触媒床の不活性化を弱めるため、独国特許出願公開第102005013039号は、単に反応ガス混合物の特定の温度設定の変更を推奨することを含み、そうして全触媒床を通る反応ガス混合物のシングルパスに対する脱水素化変換Gおよび得られる脱水素化炭化水素の空時収量は基本的に定常のままである。
【0045】
しかし、この推奨について不利なことは、反応ガス混合物の特定の温度上昇を増大する一方でA>B>Cの関係を保持しながら、触媒不活性化を弱めることできるが、不活性化の原因が同時に脱水素化の温度上昇を増大に伴い強化されることである。このような手順において、反応ガス混合物の特定の温度がさらに上昇しても、空時収量をもはや維持できない実施点に、すでに比較的短い実施時間で達する。
【0046】
少なくともこの段階で、脱水素化を中断し、全触媒床を再生しなければならない。一般に、このような再生手段は、(独国特許出願公開第10028582号を参照して)触媒表面に堆積した炭素をそれゆえ効果的に燃焼させるために、高温で全触媒床を通り酸素含有ガスを流動することからなる。続く分子水素を用いた還元処理は、通常、触媒再生を完結する。
【0047】
これに関して問題となることは、触媒不活性化が一様に可逆部分および不可逆部分を含むことである。
【0048】
独国特許出願公開第102005013039号の教示の別の不利な点は、そこで推奨された方法であって、それにより触媒不活性化が弱められた後に触媒再生を使用する場合、上記の不可逆部分が比較的急速に顕著になることである。おそらくこの状態を避けるために、国際特許出願第01/96008号では、再生前に触媒不活性化を全く弱めることはしない。
【0049】
この背景に対して、本発明の目的は、最初に記載したように不均一系触媒部分脱水素化の長期実施の方法を提供することであり、この場合、全脱水素化触媒床の不活性化を、上記の不利な点がより少ない程度のみである方法において弱める。
【0050】
それにより、脱水素化される炭化水素の脱水素化炭化水素への連続不均一系触媒部分脱水素化の長期実施の方法が見つかっており、この場合、脱水素化される炭化水素の不均一系触媒部分脱水素化のため、モル出発量KWのものを含む反応ガス混合物流を、高温で全触媒床を通して入れ、この床は反応帯域RZに配置され、反応ガス混合物流の流動方向において連続して配置される複数の部分触媒床からなることができ、合計して量M(質量)の脱水素化触媒を含み、その方法として、実施時間t=t0時に、モル出発量KWのAmol%の割合を流動方向において量Mの3区分の1つ目を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで変換し、モル出発量KWのBmol%の割合を流動方向において量Mの3区分の2つ目を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで変換し、脱水素化される炭化水素のモル出発量KWのCmol%の割合を流動方向において量Mの3区分の最後を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで脱水素化炭化水素に変換し、ただし、Gの合計=その中に存在する脱水素化される炭化水素のモル出発量KWの(A+B+C)mol%は、全触媒床を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスで脱水素化炭化水素に脱水素化され、適切であれば、分子酸素、分子水素、蒸気および/または他の不活性ガス流を脱水素化補助ガスとして、その全触媒床が始まる入口とその全触媒床が終わる出口との間の反応ガス混合物流に供給し、全触媒床の不活性は、t0<t<tRの実施時間間隔で実施時間の増加に伴い、式中、tRは、脱水素化が中断され、全触媒床が実施時間t=t0後にはじめて再生される時の実施時間tであり、全触媒床内の反応ガス混合物流および/または供給されるいくつかの脱水素化補助ガスの流量の温度推移を変更することにより、弱められるようにし、これは、実施時間tの増加に伴い、割合Aが減少し、割合Bが最大値を通過し、割合Cが増加するような方法で変更を実施することを含む。
【0051】
産業規模において、本発明における方法の部分変換A、B、Cは、種々の理由により特定の変更をしてよいことが考えられるだろう。この場合、実施時間にわたり部分変換A、B、Cの実際の特性をプロットし、曲線を各場合、ルジャンドルとガウスにより開発された最小2乗平均法による測定値を介して図示する。このt0<t<tRの実施時間にわたる曲線が部分変換Aにおいて減少し、部分変換Cにおいて増加し、部分変換Bにおいて最大値を通過する場合、本発明の必要条件の特性を満たす。本発明における方法への中断は曲線に関係しない。
【0052】
曲線は、部分変換Aの関連の実施時間間隔で低下しており、この時、Aは、Aの曲線上の実施時間間隔にわたるtの増加に伴い連続して減少し、または(実施時間間隔にわたり)減少するが一時的に定常のままでありうるかのどちらかである。
【0053】
曲線は、部分変換Cの関連の実施時間間隔で増加しており、この時、Cは、Cの曲線上の実施時間間隔にわたるtの増加に伴い連続して増加し、または(実施時間間隔にわたり)増加するが一時的に定常のままでありうるかのどちらかである。
【0054】
曲線は、この実施時間間隔内の正確に一実施時間tmaxである場合に、部分変換Bの関連の実施時間間隔で(絶対)最大値を通過し、この時、はじめに曲線の一次導関数値は「0」値であり、次に実施時間t<tmaxの曲線上の部分変換値Bは、実施時間tmax時の部分変換B以下であり、実施時間t>tmaxにおける曲線上の部分変換値Bは、実施時間tmax時の部分変換B以下であり、かつ/または等しい(すなわち≦)。
【0055】
本発明において適切には、本発明における方法において、不均一系触媒部分脱水素化の実施時間t=t0は、新しく入れる、または新しく全脱水素化触媒床を再生する実施時間であり、この時、方法実施は、基本的にはじめてその定常実施状態に達し、これは、通常、全脱水素化触媒床を通る反応混合物のシングルパスに対して反応ガス混合物に存在する脱水素化される炭化水素のモル出発量KWのGmol%を、脱水素化炭化水素に変換することを特徴とする。おもに、実施時間t0はまた、本発明における方法のこの実施時間以上であってよい。
【0056】
用途の点から適切には、本発明における方法において、(全体の変換G=(A+B+C)に対して)実施時間t=t0時の部分変換Aは45〜80(または〜75)%、部分変換Bは20〜40%および部分変換Cは0〜または5〜15%である。
【0057】
本発明において好ましくは、本発明における方法において、全体の変換G=(A+B+C)に対する実施時間t=t0時の部分変換Aは55〜70%、部分変換Bは25〜35%および部分変換Cは7〜13%である。
【0058】
本発明においてより好ましくは、本発明における方法において、全体の変換G=(A+B+C)に対する実施時間t=t0時の部分変換Aは55〜65%、部分変換Bは27〜33%および部分変換Cは8〜12%である。
【0059】
反応ガス混合物流に存在する脱水素化される炭化水素のモル出発量KWに対して、全触媒床を通る反応ガス混合物流の(シングル)パスにおける全体の変換Gのmol%値、本発明における方法において、t0<t<tRの実施時間間隔内に脱水素化炭化水素に変換された脱水素される炭化水素の合計量は、通常、G±5mol%、好ましくはG±4mol%またはG±3mol%およびより好ましくはG±2mol%あるいはG±1mol%ならびに最も好ましくはG±0.75mol%またはG±0.50mol%およびさらにG±0.25mol%またはG±0.1mol%内で定常のままである。
【0060】
本発明において、さらに、t0<t<tRの実施時間間隔内で、部分変換Aが実施時間の増加に伴い、部分変換C以下に降下し、そのため特定の実施時間後にC>Aである場合、好ましい。多くの場合、本発明における方法において、部分変換A、B、Cの列が関連の実施時間間隔内で反転し、そうして特定の実施時間後、もはやA>B>Cの場合ではなく、むしろC>B>Aである場合に、より有利である。
【0061】
しかし、一般に、本発明における方法の部分変換値Aは、実施時間t=t0時の部分変換値Aに対して20%以下を記録せず、好ましくは30%以下を記録しない。つまり、通常、プロセスはこの値以下になる前に中断され、全脱水素化触媒床を再生する(このようにして、通常、不可逆的不活性部分は最小に維持される)。さらに、一般に本発明における方法において、部分変換値B、Cのどちらも(通常、上述の理由により)実施時間t=t0時の部分変換値Aに対して95%以上を記録せず、好ましくは85%を記録しない。
【0062】
しかし、一般に、本発明における方法において、実施時間t=t0時の部分変換値Aに対して部分変換値Bおよび部分変換値Cはともに50%以上を記録する。
【0063】
通常、本発明における方法のGは、5〜もしくは10〜60mol%、たびたび10〜50mol%、多くの場合15〜40mol%または15〜30mol%あるいは15〜25mol%である。
【0064】
さらに、本発明における方法は、本明細書の前文で詳述した炭化水素の不均一系触媒部分脱水素化の方法全てに適用することができる。
【0065】
つまり、本発明における方法の全触媒床に有用な脱水素化触媒は、おもに、不均一系触媒脱水素化の従来技術で既知の全ての脱水素化触媒である。これらをおおよそ2群、具体的に酸化性質(例えば、酸化クロムおよび/または酸化アルミニウム)のものと、一般に酸化物担体(例えば、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ランタンおよび/または酸化セリウム)に堆積した少なくとも1種の一般に比較的に希金属(例えば、白金族からの元素、例えば、白金および/またはパラジウム)からなるものに分割することができる。従って使用される脱水素化触媒は、国際特許出願第01/96270号、欧州特許出願公開第731077号、独国特許出願公開第10211275号、独国特許出願公開第10131297号、国際特許出願第99/46039号、米国特許第4788371号、欧州特許出願公開第705136号、国際特許出願第99/29420号、米国特許第4220091号、米国特許第5430220号、米国特許第5877369号、欧州特許出願公開第117146号、独国特許出願公開第19937196号、独国特許出願公開第19937105号、米国特許第3670044号、米国特許第6566573号および国際特許出願第94/29021号に推奨されるもの全てを含むことができる。さらに本発明における方法に適切な脱水素化触媒は、国際特許出願第01/83405号に記載される。
【0066】
おもに、全触媒床または部分触媒床のどちらかは、脱水素化触媒のみから構成することができる。さらに、全触媒床または部分触媒床のどちらかが不活性材料で希釈された形態の脱水素化触媒を含むことが可能であることが考えられる。
【0067】
本発明における方法の全触媒床が、固定床(あるいは、例えば、流動床および可動床)が好ましいため(本明細書における記載は全て、特に固定床変形例を適用する)、本明細書の脱水素化触媒は、最長寸法L(成形体の表面上の2点を結ぶ最長線)が0.1または1〜30mm、好ましくは1〜20mmおよびより好ましくは1〜10mmまたは1〜5mmである成形体を特に意味すると理解するものとし、これは、以下に記載の実験において、反応チューブを通る反応ガス混合物のシングルパスに対して反応ガスに存在するプロパンの少なくとも5mol%をプロピレンに脱水素化する:
壁厚2mmおよび内径35mmおよび長さ80cmのEN材料番号1.4835の鋼鉄製反応チューブを以下のように充填する:
適切な脱水素化触媒の床50mlを反応チューブの中央に置く。成形触媒体の床上下で反応チューブを各場合、球径1.5〜2.5mmを有するステアタイト球(不活性球)の床で充填する。グリッドは床全体を担持する。外側から、反応チューブをその長さ全体にわたり550℃に維持する。反応チューブに、1000Nl/l・hの成形触媒体の床を負荷するプロパンを用いて体積比が2(プロパン)対1(蒸気)のプロパンと蒸気の混合物を入れる。反応チューブに入れた反応ガス混合物流を550℃に予熱する。本発明における方法において、上記の境界条件下において、エタン、エチレンおよびメタン副生成物の形成の累積的選択性が、変換したプロパンに対して≦5mol%である脱水素化触媒が特に好ましい。
【0068】
本明細書において、反応ガスを用いた反応ステップを触媒する触媒床の負荷は、ごく一般に、標準リットルの反応ガス量(Nlと等しい;当該反応ガス量が標準条件(0℃、1atm)下において回収されるリットルの体積である)を意味すると理解するものとし、これを、時間当たり触媒床1リットルを通して入れる。しかし、負荷はまた、反応ガスの1構成物質のみに基づくことができる。その場合、それがこの構成物質量Nl/l・hであり、これを、時間当たりの触媒床1リットルを通して入れる(純粋不活性材料床は、固定触媒床に数えない)。負荷はまた、1触媒床に存在する触媒量のみに基づくことができ、この触媒は、不活性材料で希釈される実際の触媒を含む(次いで、これを明白に説明する)。
【0069】
おもに、本発明における方法を、反応ガスまたはその中に存在する脱水素化される炭化水素(例えば、プロパン)のどちらかを用いて(その中に存在する合計量Mの脱水素化触媒に対して)100〜10000h-1(Nl/l・h、略してh-1)、たびたび300〜5000h-1、すなわち、多くの場合500〜3000h-1の全触媒床に負荷時に実施することができる(基本的に脱水素化される炭化水素の所望の変換に関連しない)。
【0070】
全触媒床および/または部分触媒床の脱水素化触媒の希釈に有用な不活性材料は、例えば、耐火粘土(ケイ酸アルミニウム)またはステアタイト(例えば、CeramTec製C220型)あるいは他の高温化学物質(好ましくは基本的に無孔)、例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化セリウム、亜鉛アルミニウム混合酸化物、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素または他のケイ酸、例えば、ケイ酸アルミニウムおよび/またはマグネシウムならびに上記材料の混合物である。しかし、上記材料製の成形体は、本発明の方法において、全固定触媒床および/または部分固定触媒床の希釈において、さらに不活性頂部床および適切であれば、全固定触媒床および/または部分固定触媒床の最終床としてまさに有用ではない。
【0071】
有利には、本発明における方法のこのような不活性頂部床および/または不活性成形体の最終床は、反応ガス混合物流に存在する脱水素化される炭化水素≦3mol%、さらに≦2mol%、よりさらに≦1mol%または0mol%がこの不活性床を通過する流として脱水素化炭化水素に変換されるようにするものとする。
【0072】
特に、本発明における方法の全触媒床に使用される脱水素化触媒は、独国特許出願公開第19937107号の実施例1、実施例2、実施例3および実施例4における触媒であってよい。
【0073】
これらの脱水素化触媒は、二酸化ジルコニウム10〜99.9質量%、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素および/または二酸化チタン0〜60質量%および元素周期表の第一または第二主族の少なくとも1元素、第三遷移族の元素、第八遷移族の元素、ランタンおよび/またはスズ0.1〜10質量%、ただし、質量%は合計100質量%になる。
【0074】
好ましい実施形態において、上記の脱水素化触媒は、第VIII遷移族の少なくとも1元素、第IおよびII主族の少なくとも1元素、第IIIおよび/またはIV主族の少なくとも1元素およびランタニドおよびアクチニドを含めた第III遷移族の少なくとも1元素を含む。第VIII遷移族の元素として、脱水素化触媒の活性組成物は、好ましくは白金および/またはパラジウム、より好ましくは白金を含む。第IおよびII主族の元素として、上記の脱水素化触媒の活性組成物は、カリウムおよび/またはセシウムを含むことが好ましい。ランタニドおよびアクチニドを含む第III遷移族の元素として、上記の脱水素化触媒の活性組成物は、ランタンおよび/またはCrを含むことが好ましい。第IIIおよび/またはIV主族の元素として、上記の脱水素化触媒の活性組成物は、ホウ素、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズおよび鉛、より好ましくはスズからなる群から1個以上の元素を含む。最も好ましくは、上記の脱水素化触媒の活性組成物は、各場合、上記の元素群の少なくともそれぞれ1個を含む。
【0075】
一般に、全固定触媒床および/または部分固定触媒床の脱水素化触媒は、触媒押出し物(典型的に0.1または1〜10mm、好ましくは1.5〜5mm径;典型的に1〜20mm、好ましくは3〜10mm長)、錠剤(好ましくは押出し物と同じ寸法)および/または触媒環(外径および長さは各場合、典型的に2〜30mmまたは〜10mm、壁厚は1〜10mmまたは〜5mmあるいは3mm)を含むことができる。
【0076】
おもに、触媒形状(とりわけ、支持触媒の場合)に関して、または不活性成形体の形状に関するどちらかの固定床の使用に制限はない。特に、一般的な形状は固体、円筒、中空円筒(環)、球、円錐、角錐および立方体ならびにさらに押出し物、ワゴンホイール型、星型およびモノリスである。
【0077】
成形触媒体および成形不活性体の最長寸法(成形体表面上の2点を結ぶ最長線)は、0.5mm〜100mm、しばしば1.5〜80mmおよび多くの場合3mm〜50mmまたは〜20mmであってよい。
【0078】
最終的に、独国出願第102005044916号の脱水素化触媒はまた、本発明の全固定触媒床および/または部分固定触媒床に特に適切なものとして推奨されるものとする。
【0079】
本発明における方法に推奨される脱水素化触媒の再生は、特に、300〜600℃(極端な場合、適切であれば、最大750℃)、多くの場合400〜450℃の入口温度で、(好ましくは)窒素分子および/または蒸気で希釈された空気を最初に第1再生ステージの全(固定)触媒床を通過するように行うことができる。再生ガスを負荷した触媒は、(脱水素化触媒の合計量Mに対して)例えば、50〜10000h-1および再生ガスの酸素量0.1または0.5〜20体積%であってよい。次のさらなる再生ステージにおいて、別の同一の再生条件下において使用される再生ガスは、空気であってよい。用途の点から適切には、脱水素化触媒を含む全(固定)触媒床を、不活性ガス(例えば、N2、例えば、O2、H2Oまたはその混合物を最大1体積%含む産業窒素)で再生を開始する前にフラッシュすることが望ましい。再生の結果として、一般に、全触媒床を別の同一条件下において純粋分子水素(純度>99体積%)または不活性ガスで希釈した分子水素(好ましくは蒸気および/または窒素)で再生することが望ましい(水素量は、≧1体積%とするものとする)。
【0080】
おもに、本発明における方法の反応帯域RZは、1つのみの脱水素化リアクターまたは複数の脱水素化リアクターを含むことができる。これらは、連続で、および/または平行連結して実施することができる。対応して、全触媒床は、1つの脱水素化リアクターのみに存在し、または複数のリアクター間の部分触媒床の形態で分布することができる。全触媒床が1つの脱水素化リアクター内のみに存在する場合、おもに流動方向において中断されることなく、連続して1個の触媒床のみであってよい。
【0081】
この場合、全触媒床はまた、純粋な最終および/または予備的不活性材料床(例えば、成形体の床)により生じる流動方向における全組成物において中断することができる。全触媒床はまた、例えば、固体を含有しない中間領域であるリアクター間で連続して放射状または軸方向に配列される部分固定床からなることができる。これは、例えば、反応帯域RZが多段型リアクターである場合である。反応帯域はまた、複数の多段型リアクターを含むことができることが考えられる。しかし、さらにリアクター連結からなることができ、このリアクター連結は、1個の部分脱水素化触媒床(例えば、部分固定脱水素化触媒床)のみを含む1個以上の脱水素化リアクターおよび2個以上の脱水素化触媒床(例えば、部分固定触媒床段の形態)を含む1個以上の脱水素化リアクターを含む。
【0082】
本発明において、t0<t<tRの実施時間間隔内の実施時間の増加に伴う全触媒床の不活性化を弱めるために、全触媒床を通るその経路上の反応ガス混合物の温度の有用な外部および内部調節の方法は、おもに本明細書の前文で既述されているもの全てであり、脱水素化される炭化水素のモル出発量KWを含み、全触媒床に入る反応ガス混合物流の温度調節を含む。しかし、おもに、例えば不活性ガス希釈を変化させることによる部分圧変化を使用することも可能である。多くの場合、様々な考えられる調節方法もまた、ともに使用することができる。これはまた、H2反応生成物の除去を含む。
単純な方法において、本発明の目的を、例えば、本発明における方法の全触媒床を反応ガス混合物流の流動方向において全固定触媒床に存在する脱水素化触媒の合計量Mの3区分の1つ目内および流動方向においてこの量Mの3区分の2つ目および最後内でともに断熱的に構成することにより実現することができるが、特定の断熱的3区分に入る前に反応ガス混合物の熱量を変化させることも可能である。
【0083】
用途の点から適切には、実施時間t0時の手順は、流動方向において量Mの3区分の1つ目に入る反応ガス混合物の温度T1が量Mのその3区分の2つ目に入る反応ガス混合物の温度T2以上であり、T2が流動方向において量Mのその3区分の最後に入る反応ガス混合物の温度T3以上であるようにするだろう。
【0084】
0<t<tRの実施時間間隔内の全触媒床の不活性の増加を、本発明の目的において相互に平衡した方法でT1とT2およびT3をともに増加させることにより、本発明における単純な方法において弱めることができる。T3の温度増加率は、通常、一定してT1の温度増加率以上である。対照に、T2の温度増加率は、通常、最初にT3の温度増加率以上であり、さらなる実施においてT3の温度増加率以下に降下し、より低いT1の増加率により近づく。
【0085】
上記の方法において、所望のKWのモル分率G(KWのmol%と表す)は、全触媒床を通るモル出発量KWの、脱水素化される炭素水素を含む反応ガス混合物流の(シングル)パスにおいて、基本的に可能な限り変化しないままである脱水素化炭化水素に変換されるだけでなく、この実施様式から得られる不活性化は、非常に広範囲にわたり主要な可逆的方法において、すなわち、既述の再生プロセスを続いて使用することにより、比較的長期持続の実施時間にわたり再度除去することができる。
【0086】
本発明の基本的な特長は、本発明の手順(とりわけ、まさに記載の変法)において、実際の全触媒床の不活性材料で脱水素化触媒の合計量Mの様々な3部分を希釈する実際の程度が同一または異なっているかのどちらかであってよいことである。おもに、Mの全ての3部分はまた、全触媒床において希釈されないで存在することができる。脱水素化触媒の希釈の程度も、流動方向においてMの3部分内で変化させることができることが考えられる。
【0087】
特定の方法において、本発明における方法は、Gに対する寄与が、流動方向におけるいかなる大きさのMの一部により生じ、最大値を通過する、この(すなわち、これにより分割された)部分に対して正規化され、ただし、この正規化された、Gに対する最大寄与の部位は、実施時間tの増加に伴い、t0<t<tRの実施時間間隔において本発明の長期実施にわたり、全触媒床への吸気口から出発し、全触媒床から出る(生成ガス混合物流の)反応ガス混合物流の出口に全脱水素化触媒床を通過するように設計される。
【0088】
特に単純な方法において、まさに記載の本発明の長期実施様式は、断熱多段型リアクターにおいて実現可能である。反応チャンバー内の特定の部分触媒床は、流動床または可動床あるいは固定床であってよい。流動床および例えば、固定床または可動床および固定床あるいは上記の触媒床型のいくつか他の組み合わせはまた、反応チャンバー内で組み合わせて存在することができることが考えられる。用途の点から適切な方法において、次いで、反応ガス混合物流を、1つの部分触媒床段から次の部分触媒床段までのその経路上の別の断熱多段型反応チャンバーにおいて、例えば、熱風または蒸気により加熱した熱交換器リブ全体に通過させることにより、あるいは燃焼熱風または蒸気で加熱したチューブまたは熱風で加熱した熱交換器プレートを通り通過させることにより、本発明の方法の変形例に必要な中間加熱を行う。当該方法において、反応ガス混合物流の温度を変化させることも可能であり、これは、出発量KWを含み、全触媒床への吸気口に供給される。特に単純な方法において、多段型リアクターは、3つの同一の触媒段を含む。おもに、多段型リアクターはまた、6枚もしくは9枚または12枚あるいは別の同一または異なる枚数が入る触媒段を含むことができる。中間加熱は、全ての連続段の間またはいくつかの連続段の間のみで行うことができる。
【0089】
用途の点から特に適切には、上記の多段型リアクターは、純粋な固定触媒床多段型リアクターであってよい。最も単純な場合、反応チャンバーの部分触媒床を反応ガス混合物流の流動方向において軸方向連続して、または同軸円筒型グリッドの環状空隙に空間的に連続して部分固定床の数に対応する段の数で配列する。しかし、別のセグメント頂部上の1セグメント内の反応チャンバーに環状空隙を配列し、1セグメント内で放射状に通過後、その上下の次のセグメントに反応ガス混合物流を入れることも可能である。最も単純な形態において、部分(固定)触媒床段を、断熱シャフト炉リアクターに収容する。
【0090】
本発明において好ましくは、不活性成形体の床は、本発明における方法に使用される多段型固定床リアクターの部分固定触媒床の上流および下流にともに存在する。はじめに、これは、多くの場合、成形脱水素化触媒体が付随の(支持)グリッドのメッシュ幅に比べて小さい寸法であるためである。これは、適切な大きさの不活性成形体の下流床を用いて是正することができる。
【0091】
流動方向における不活性体上流の床は、特に、非常に均質な(温度および反応ガス混合物組成物に関連してともに)反応ガス混合物流の点から有利であることがわかっている。これは、とりわけ、部分固定触媒床に供給される反応ガス混合物流が種々の個別のガス流を組み合わせることにより得られている場合に当てはまる。
【0092】
後者は、例えば、本発明における方法の上記の実施形態の部分脱水素化触媒床間で使用される間接温度調節が少なくとも部分的に直接温度調節により置き換えられる場合、重要なものである。用途の点から好ましくは、本発明における方法において、2つの部分触媒床間で使用される温度調節の変化は、直接温度調節の経路を介してのみ実現される。
【0093】
このため、分子酸素を含むガスを、反応帯域RZを通るその本発明の経路上に反応ガス混合物流に、例えば、第1部分触媒床を貫流後および適切であれば、下流部分触媒床間で本発明における方法の実施時間にわたり変化する限定された範囲で添加する。
【0094】
これは、例えば、純粋分子酸素または不活性ガスと分子酸素の混合物(例えば、空気)であってよい。使用される脱水素化触媒に応じて、本明細書の前文で既に詳述されるように、当該方法において変化する、反応ガス混合物、適切であれば、触媒表面にすでに堆積した炭素または炭素様化合物および/または従来の不均一系触媒脱水素化(例えば、プロパン脱水素化の)の過程で形成され、かつ/または反応ガスに添加される水素に存在する水素の制限された燃焼は、このように生じる(さらに用途の点から(反応帯域RZにおいて)多段型反応チャンバー内に触媒床を含むことが適切であってよく、このチャンバーに、水素(および/または炭化水素)の燃焼を具体的に(選択的に)触媒する触媒を入れる)(このような有用な触媒は、例えば、米国特許第4788371号、米国特許第4886928号、米国特許第5430209号、米国特許第5530171号、米国特許第5527979号および米国特許第5563314号明細書のものを含み、例えば、このような触媒床を、別法において、多段型反応チャンバー内に脱水素化触媒を含む床に収容することができる)。制限された燃焼により放出された反応熱の変化は、計量して添加された分子酸素量の変化に従い、この時、本発明において必要とされる脱水素化変換率の変化を生じる。対照に、用途の点から適切には、脱水素化される炭化水素の出発量KWを含む反応ガス混合物流の酸素量は、典型的に本発明の長期実施の過程において一定に維持され、この(入力)反応ガス混合物流の温度のみが(一般に間接熱交換により)変化する。しかし、直接温度調節の手段は、反応帯域RZとして多段型リアクターの場合においてのみ使用されることができない。その代り、さらに、反応帯域RZの反応ガス混合物流の流動方向において中断されない単一の脱水素化触媒床の場合に使用されることができる。これは、用途の点から単純な方法において、例えば、酸素計量プローブ(ランス)を例えば、様々な触媒床の長さで固定触媒床に入れることにより可能であり、それを通して、分子酸素を含むガスが反応ガス混合物流に供給されることができる。
【0095】
単純な方法において、それゆえ、本発明の目的は、反応ガス混合物流の流動方向において全触媒床に存在する脱水素化触媒の合計量Mの3区分の1つ目の範囲において、および流動方向においてこの量Mの3区分の2つ目および最後の範囲においてともに、本発明における方法の全触媒床を構成することにより実現することができるが、間接温度調節による流動方向において断熱的な3区分の1つ目に入る前および直接温度調節による(例えば、各場合、反応ガス混合物流を断熱的な3区分の2つ目または3つ目に入れる前に供給される分子酸素を含むガス流を変化することによる)流動方向の断熱的な3区分の2つ目および3つ目に入る時に反応ガス混合物の熱量を変化させることが考えられる。
【0096】
用途の点から適切には、実施点t0時の手順は、この時、流動方向において量Mの3区分の1つ目を貫流する場合の反応ガス混合物流の最高温度T1*が流動方向における量Mの3区分の2つ目を貫流する場合の反応ガス混合物流の最高温度T2*に比べ高く、T2*は、流動方向において量Mの3区分の最後を貫流する場合の反応ガス混合物流の最高温度T3*に比べ高いようにする。
【0097】
1*の設定は、単純な方法において、流動方向における量Mのその3区分の1つ目に入る反応ガス混合物流中の熱量および分子酸素を調節することにより可能である。T2*およびT3*の相対的な位置は、互いに関しておよびT1*に関してともに、流動方向における量Mの3区分の1つ目と2つ目との間ならびに流動方向における量Mの3区分の2つ目と最後(3つ目)との間で反応ガス混合物流に計量して添加された分子酸素を含むガス流により決定される。簡単な方法において、分子酸素を含む同じガス(例えば、純粋分子酸素(純度≧99体積%)または空気あるいは不活性ガスと分子酸素の別の混合物)は、両方の場合で使用されるだろう。実施時間t=t0時の互いに関するT2*、T3*の所望の相対的位置は、典型的に、この実施時間で計量して添加された分子酸素流が同じように選択される場合の特に単純な方法において得られる。
【0098】
0<t<tRの実施時間間隔の全触媒床の不活性の増加を、ここで、流動方向における量Mのその3区分の1つ目に入る反応ガス混合物流の熱量(温度)と、流動方向における量Mの3区分の1つ目と2つ目との間(流1)および流動方向における量Mの3区分の2つ目と最後(3つ目)との間(流2)で計量して添加された分子酸素(それを含むガス)流をともに本発明の目的に関して相互に調節される方法で増加させることにより、本発明において単純な方法において是正することができる。
【0099】
分子酸素流1および2の増加率は、最初に大部分が同一であるように選択される。続いて、分子酸素流2の増加率は、分子酸素流1のもの以上であり、その後、分子酸素流1の増加率が、分子酸素流2のものを越え、分子酸素流2が、分子酸素流1以下に低下する。概して、t0<t<tRの実施時間間隔にわたり分子酸素流1、2(それぞれ、正味量を算出)を、流動方向における量Mのその3区分の1つ目に入る反応ガス混合物流の温度と比較して、T3*の温度増加率が基本的に一定してT1*の温度増加率以上であるように増加させる。対照に、T2*の温度増加率は、通常、最初にT3*の温度増加率以上であり、さらなる実施の過程においてT3*の温度増加率以下に降下し、より低いT1*の増加率に近づく。
【0100】
特に単純な方法において、まさに記載の本発明の長期実施様式は、断熱多段型リアクターにおいて、とりわけ、多段型固定触媒床リアクターにおいて実現可能である。本発明において適切には、多段型固定触媒床リアクターは3枚の、好ましくは(部分固定触媒床と)同一の固定触媒床段を有する。酸素供給は、固定触媒床段の間で行うことができる。部分固定脱水素化触媒床を、反応ガス混合物流の流動方向において軸方向に連続して、または同軸円筒型グリッドの環状空隙において空間的に連続して配列することができる。特に単純な方法において、断熱シャフト炉リアクターを、例えば、独国出願第102006015235号、独国出願第102006017623号、独国出願第102006029790号および独国特許出願公開第102005051401号に記載のように使用する。
【0101】
実施時間にわたり基本的に定常で中間酸素供給する過程において全体に供給される流を維持するために、計量して添加された分子酸素を含むガスを、用途の点から不活性添加希釈ガスとして流を含むことは有利である。この時、酸素流量の増加は、蒸気流量の減少を伴うことが有利であるため、全体に供給される酸素を含むガス流の合計は、基本的に(実施時間にわたり)定常のままである。
【0102】
本発明において有利には、分子酸素を含むガスの中間供給は、計量点の反応ガス混合物流を用いたその均質な混合が新しい反応ガス混合物を形成するように行われ、この場合、存在する分子酸素対存在する分子水素のモル比は、≦1:2である。この境界条件の順守が、標的生成物の選択性の増加を確実にする。
【0103】
上記の境界条件にも関わらず、本発明の長期実施様式の実現に必要とされる温度調節が外部の分子水素の供給を必ずしも必要としないで、記載のように使用される直接温度調節の経路によってでも標的生成物の選択性を基本的に失うことなく可能であることは意外なことである。分子水素量の増加が上記において必要とされる場合、本発明において適切に、さらに国際特許出願第03/076370号および独国特許出願公開第10211275号明細書に記載のループ様式を使用することにより調節することができ、この場合、反応帯域RZから回収された生成ガス流を同一の組成物である2部分に分割し、2部分の1つを脱水素化循環ガスとして反応帯域RZにそれを入れるよう再循環させる。ループ様式の不均一系触媒部分脱水素化はまた、国際特許出願第2006/050957号により開示される。必要な場合、外部の分子水素を本発明における方法の反応ガス混合物流に供給することもできる。とりわけ、重要性を全触媒床の寿命の増加に置く場合、本発明において分子水素を実際に反応帯域RZに供給される反応ガス混合物流に添加することは有利である。これはとりわけ、上記の反応ガス混合物流が分子酸素を含む場合に当てはまる。一般に、これは、とりわけ、本発明における方法に部分酸化の不活性ガスとして脱水素化される未変換の炭化水素(例えば、プロパン)を伴い得られる脱水素化炭化水素の不均一系触媒部分酸化(例えば、プロピレンからアクロレインおよび/またはアクリル酸)のプロセスが続く場合であり、手順は以下のようである:
はじめに、反応帯域RZから回収された生成ガス流を、脱水素化炭化水素(例えば、プロピレン)および(未変換の)脱水素化される炭化水素(例えば、プロパン)以外のその構成物質(例えば、H2、H2O、N2など)の少なくとも1部分をそのまま、または除去後のような場合に使用して、少なくとも1つの酸化リアクターに入れ、充填ガス混合物に存在する脱水素化炭化水素(例えば、プロピレン)は、分子酸素を用いた選択的不均一系触媒部分気相酸化を行い、(部分酸化生成物である)標的生成物(例えば、アクロレインまたはアクリル酸あるいはその混合物)を含む部分酸化生成ガス混合物、さらに一般に脱水素化される未変換の炭化水素(例えば、プロパン)、過剰の分子酸素および適切であれば、未変換の脱水素化炭化水素(例えば、プロピレン)を得る。
【0104】
下流の分離帯域において、部分酸化生成ガス混合物に存在する標的生成物(例えば、アクロレインまたはアクリル酸あるいはその混合物)を取り出し、未変換の脱水素化される炭化水素(例えば、プロパン)、分子酸素および適切であれば、未変換の脱水素化炭化水素(例えば、プロピレン)を含む残りの残留ガスから、未変換の脱水素化される炭化水素(例えば、プロパン)および通常、未変換の分子酸素および適切であれば、未変換の脱水素化炭化水素(例えば、プロピレン)を含む少なくとも1部分を、部分酸化循環ガスとして(一般に、反応帯域RZに供給され、脱水素化される炭化水素の出発量KWを含む反応ガス混合物流の構成物質として)、本発明における方法に再循環する。
【0105】
本発明における方法(さらに別に)は、例えば、プロパンのプロピレンへの不均一系触媒部分脱水素化であり、続く部分酸化は、プロピレンのアクロレインまたはアクリル酸へあるいはその混合物へのものである場合、反応帯域RZに供給される反応ガス混合物流は、例えば、重要な成分として:
≧0〜20または〜10、たびたび0〜6体積%のプロピレン、
≧0〜1、多くの場合0〜0.5、たびたび0〜0.25体積%、好ましくは0〜0.05体積%のアクロレイン、
≧0〜0.25(または〜0.4)、多くの場合0〜0.05、たびたび0〜0.03体積%のアクリル酸、
≧0〜20または〜5、多くの場合0〜3、たびたび0〜2体積%のCOx
5〜50、好ましくは20〜40体積%のプロパン、
20または30〜80、好ましくは50〜70体積%の窒素、
≧0〜5、好ましくは1.0〜2.0体積%の酸素、
≧0〜20、好ましくは5.0〜10.0体積%のH2Oおよび
≧0、たびたび≧0.01、しばしば≧0.05〜10、好ましくは1〜5体積%のH2
を含むことができる。
【0106】
酢酸も(およそ考えられるアクリル酸量と比較して)少量存在することができる。
【0107】
典型的に、標的生成物(例えば、アクリル酸)を、標的生成物(例えば、アクリル酸)を凝縮相に変換することにより、部分酸化生成ガス混合物から取り出す。これを、吸収および/または凝縮(冷却)手段により行うことができる。標的生成物がアクリル酸の場合の有用な吸収剤は、例えば、水、水溶液または高沸点(1atm時の溶剤のT沸騰>アクリル酸のT沸騰)、とりわけ、疎水性有機溶剤である。より好ましくは、アクリル酸の場合の凝縮相への変換を部分酸化生成ガス混合物の分別凝縮により行う。部分酸化生成ガス混合物から分離内部装置を含むカラムの凝縮相へのアクリル酸の吸収および/または凝縮変換を行うことが好ましく、この場合、通常、部分酸化生成ガス混合物を底部上方から上行して入れる。一般に、吸収剤をカラムの頂部で入れ、ここで、通常、残留ガスをカラムから放出する。
【0108】
一般に、凝縮相からのアクリル酸のさらなる取り出しは、少なくとも1つの熱分離プロセスを使用して所望の純度において行う。これは、少なくとも2つの異なる物質相(例えば、液体/液体;ガス状/液体;固体/液体;ガス状/固体など)を得、互いに接触する場合のこれらのプロセスを意味すると理解する。相間に存在する勾配のため、熱および質量移動がこれらの間で起こり、最終的に所望の分離(取り出し)を生じる。「熱分離プロセス」という語句は、物質相の形成を得るための熱の排除または供給のどちらかを必要とし、かつ/または熱エネルギーの排除または供給を促進し、または質量移動を維持することを反映する。本発明において好ましくは、少なくとも1つの熱分離プロセスは、液相からの少なくとも1つの晶析分離を含む。本発明において適切には、アクリル酸の少なくとも1つの晶析分離が懸濁晶析であり、懸濁晶析を融解結晶で洗浄することが有利であり、これを事前に除去し、洗浄カラムで洗浄する(質量式、または力学的あるいは水圧式洗浄カラム;本発明において後者が好ましい)。別に、有用な熱分離プロセスは、例えば、抽出、脱離、結晶化、整流、供沸蒸留、供沸整流、蒸留および/または揮散プロセスである。一般に、純粋アクリル酸は、上記のものの様々な熱分離プロセスの組み合わせを使用することにより得られる。
【0109】
記載のアクリル酸の取り出しには、ラジカル重合の(とりわけ、水高吸収性ポリアクリル酸および/またはこれらの部分的または完全中和アルカリ金属(好ましくはNa)塩を製造する)プロセスが続くことができ、この場合、取り出されたアクリル酸は、ラジカル的に重合され、ポリマーを製造する。
【0110】
記載のアクリル酸の取り出しにアクリル酸エステルを製造するプロセスが続くことも可能であり、この場合、取り出されたアクリル酸は(一般に酸触媒下において)アルコール(好ましくはアルカノール、より好ましくはC1−〜C12−アルカノール)でエステル化する。
【0111】
エステル化のプロセスには、同様にラジカル重合のプロセスが続くことができ、この場合、このように製造されたアクリル酸エステルを重合する。
【0112】
本発明の長期実施様式の特性に関らず、アクロレインおよび/またはアクリル酸を製造するその部分酸化のプロピレン源としてプロパンからプロピレンを製造する本発明における方法が知られており、酸化循環ガスおよび適切であれば、脱水素化循環ガスの循環ガス法を含む。例えば、このような多段階プロセスの説明は、独国特許出願公開第102005022798号、独国特許第1020060249011号、独国特許出願公開第10246119号、独国特許出願公開第10245585号、独国特許出願公開第102005049699号、独国特許出願公開第102004032129号、独国特許出願公開第102005013039号、独国特許出願公開第102005010111号、独国特許出願公開第102005009891号、独国特許出願公開第10211275号、欧州特許出願公開第117146号、米国特許第3161670号、独国特許出願公開第3313573号、国際特許出願第01/96270号、独国特許出願公開第10316039号、独国特許出願公開第102005009885号、独国特許出願公開第102005052923号、独国特許出願公開第102005057号、国際特許出願第03/076370号、独国特許出願公開第10245585号、独国特許出願公開第2213573号、米国特許第3161670号明細書およびこれらの明細書で引用された従来技術に見つけることができる。独国特許出願公開第10219686号は、メタアクロレインおよび/またはメタクリル酸の製造の場合の当該手順を開示している。
【0113】
部分酸化生成ガス混合物から凝縮相へのアクリル酸を変換する吸収および/または凝縮プロセスの詳細な説明は、同様に従来技術に見つけることができる。これは、独国特許出願公開第10336386号、独国特許出願公開第19631645号、独国特許出願公開第19501325号、欧州特許出願公開第982289号、独国特許出願公開第19838845号、国際特許出願第02/076917号、欧州特許出願公開第695736号、欧州特許出願公開第778225号、欧州特許出願公開第1041062号、欧州特許出願公開第982287号、欧州特許出願公開第982288号、米国特許第2004/0242826号、欧州特許出願公開第792867号、欧州特許出願公開第784046号、欧州特許出願公開第695736号(とりわけ、吸収プロセス)および国際特許出願第04/035514号、独国特許出願公開第19924532号、独国特許出願公開第19814387号、独国特許出願公開第19740253号、独国特許出願公開第19740252号および独国特許出願公開第19627847号(とりわけ、凝縮プロセス)明細書を含む。
【0114】
さらに、このような部分酸化生成ガス混合物からアクリル酸の吸収および/または凝縮による取り出しの説明はまた、欧州特許出願公開第1338533号、欧州特許出願公開第1388532号、独国特許出願公開第10235847号、国際特許出願第98/01415号、欧州特許出願公開第1015411号、欧州特許出願公開第1015410号、国際特許出願第99/50219号、国際特許出願第00/53560号、国際特許出願第02/09839号、独国特許出願公開第10235847号、国際特許出願第03/041833号、独国特許出願公開第10223058号、独国特許出願公開第10243625号、独国特許出願公開第10336386号、欧州特許出願公開第854129号、米国特許第4317926号、独国特許出願公開第19837520号、独国特許出願公開第19606877号、独国特許出願公開第19501325号、独国特許出願公開第10247240号、独国特許出願公開第19740253号、欧州特許出願公開第695736号、欧州特許出願公開第1041062号、欧州特許出願公開第117146号、独国特許出願公開第4308087号、独国特許出願公開第4335172号、独国特許出願公開第4436243号、独国特許出願公開第10332758号および独国特許出願公開第19924533号明細書に見つけることができる。しかし、おもに独国特許出願公開第10336386号、独国特許出願公開第10115277号、独国特許出願公開第19606877号、欧州特許出願公開第920408号、欧州特許出願公開第1068174号、欧州特許出願公開第1066239号、欧州特許出願公開第1066240号、国際特許出願第00/53560号、国際特許出願第00/53561号、独国特許出願公開第10053086号、国際特許出願第01/96271号、独国特許出願公開第102004032129号、国際特許出願第04/063138号、国際特許出願第04/35514号、独国特許出願公開第10243625号および独国特許出願公開第10235847号に記載されるように進めることも可能である。
【0115】
本発明における方法の脱水素化される炭化水素がプロパンである場合、それは、独国特許出願公開第10245585号の教示において粗製プロパンの構成物質として反応帯域RZに供給される反応ガス混合物流に供給されることが好ましいだろう。
【0116】
一般に、反応帯域RZに供給される反応ガス混合物流は、少なくともおよそ5体積%の脱水素化される炭化水素を含む。多くの場合、この体積当たりの割合は、≧10体積%、しばしば≧15体積%および通常≧20体積%または≧25体積%あるいは≧30体積%に対応して基づく値となる。しかし、一般に、この体積当たりの割合は、≦90体積%、通常≦80体積%および、しばしば≦70体積%に同じく基づく値となる。上記のデータは、とりわけ、脱水素化される炭化水素としてプロパンおよび脱水素化炭化水素としてプロピレンの場合に適用する。当然ながら、これらはまた、イソブタンが脱水素化される炭化水素であり、イソブテンが脱水素化炭化水素である場合に適用する。
【0117】
さらに、上記の反応ガス混合物流は、
a)N2およびH2O、
b)N2、O2およびH2O、
c)N2、O2、H2OおよびH2
d)N2、O2、H2O、H2およびCO2
e)N2、O2、H2O、H2、CO2およびCO
を含むことができる。
【0118】
好ましい場合、本発明における方法の反応帯域RZに供給される反応ガス混合物流は、例えば、粗製プロパン、分子水素および部分酸化循環ガスを組み合わせることにより形成される。用途の点から適切には、組成プロパンおよび分子水素を事前に結合し、この混合物を、反応温度(すなわち、典型的に≧300℃、好ましくは≧350℃および多くの場合≧400℃)に加熱する。部分酸化循環ガスを同様に反応温度に加熱する。加熱ステップはともに本発明における方法の熱性生成ガス混合物を用いた間接熱交換により行うことができる。続いて、2つの予熱したガス流を結合し、反応ガス混合物流を得、反応帯域RZに供給する。本発明の長期実施に関して必要とする、反応帯域RZに供給される反応ガス混合物流の温度の増加を、例えば、間接熱交換の強化により生じることができる。
【0119】
最終的に、本発明の長期実施様式のために、直接および間接温度調節の手段がそれぞれ独立して、または組み合わせて使用することができることを再度指摘するものとする。本発明における方法を、多段型リアクターにおいて特に単純な方法において実行することができ、この段を、断熱的に構成し、各場合、適切であれば、供給される脱水素化補助ガスに必要な調節および流動変化を、2つの段の間で作製することができる。段数は、広範囲に変化できる。用途の点から適切には、触媒段に同一方法において脱水素化触媒を入れる。好ましくは、段数は、3枚またはその全体の複数数(例えば、6、9、12枚)である。しかし、多段型リアクターの代わりに、さらに、段数に対応して多数の断熱単一リアクターの連続連結を使用し、かつこのようなリアクター間の調節手段を使用することも可能である。おもに、本発明の手順はまた、流動方向において中断されることなく、連続する単一の触媒床に適用することができる。
【0120】
一般に、本発明の手順は、不均一系触媒部分脱水素化の場合、次の触媒床再生までの実施時間を少なくとも20時間、多くの場合、最大100時間以上を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図1図1は、実施時間の増加に伴い全固定触媒床の不活性を弱めるために、T1とMI(図1=M1)およびMII(図1=M2)がともに実施時間の増加に伴い次第に上昇したことを示すグラフである。
図2図2は、実施時間間隔の上昇した変換割合A、B、Cの時間に対して得られた特性を示すグラフである。
図3図3は、時間に対して流動方向における第1固定触媒床の吸気口、真ん中および出口をまさに超えたところの反応ガス混合物流の得られた温度推移を示すグラフである。 実施例および比較実施例a)脱水素化リアクターの説明 使用される脱水素化リアクターは、長さ2070mm、壁厚1mmおよび内径36.4mmの鋼鉄チューブ(DIN規格材料番号1.4841のステンレス鋼)であった。管状リアクターを、頂部下流から反応ガス混合物流により貫流した。115mm高さの触媒基材は、管状リアクターの下部末端に突出した同じステンレス鋼製であり、構造方法において、以下のように頂部後方から(およそ同一の嵩密度の3つの部分固定触媒床からなる)全固定触媒床を支持した:CeramTec製C−220ステアタイトの(不活性)ステアタイト球(4〜5mm径)の床長(内部加熱床) 790mm、脱水素化触媒の床長(Pt/Sn合金であり、これは、酸化形態のCs、KおよびLa元素を用いて促進され、ZrO2・SiO2混合酸化物担体押出し物の内外表面に適用された(平均長(ガウス分布、3mm〜12mm、最大値およそ6mm):6mm、径:2mm)、元素化学量論(担体を含めた質量比)Pt0.3Sn0.6La3.0Cs0.50.2(ZrO288.3(SiO27.1(独国特許出願公開第10219879号の実施例4の場合の活性触媒への触媒前駆体製造および活性化) 195mm、CeramTec製C−220ステアタイトのステアタイト球(4〜5mm径)の床長 145mm、上記の脱水素化触媒の床長 190mm、CeramTec製C−220ステアタイトのステアタイト球(4〜5mm径)の床長 145mm、上記の脱水素化触媒の床長 195mm、CeramTec製C−220ステアタイトのステアタイト球(1.5〜2.5mm径)の床長 20mm、CeramTec製C−220ステアタイトのステアタイト球(4〜5mm径)の床長 210mm 内部加熱床上において、鋼鉄チューブは空洞であった。
【0122】
管状リアクターを、予熱帯域の意味で、加熱床最大400mmの長さにおいて頂部後方(触媒床方向へ)から、供給された熱量の分布の均等を確認する銅製の2つのハーフシェル(シェルの厚さ=25mm)に外部から挿入し、これを、これらを完全に囲む加熱帯を用いて電気により加熱した。熱電遮断材料の螺旋は加熱帯の周りに存在した。
【0123】
(触媒基材表面真下で始まる)底部上方から、1530mmの長さの管状リアクターをドイツのMicrotherm製のMPS−SuperGで作製された2組の熱遮断ハーフシェル(1/2シェルの厚さ=25mm)に挿入し、これを互いに対して90°に補正して実装した。遮断ハーフシェルは、同様にステンレス鋼の円筒シェル(外径=168mm、内径=154mm)により囲まれ、この周りに放射性オーブン(長さ=1600mm)をトレース加熱のために配列した。このようにして、周囲から反応チューブへ、および反応チューブから周囲への熱フラックスを断熱帯域に沿って最小限にした。
【0124】
さらに、2500mm長のサーモウェル(外径=6mm;内径=4mm)を反応チューブの真ん中(中央)に入れ、それに、多重サーモエレメント(下部リアクターの末端上方から8cm毎に合計14個の測定点、厚さ3.2mm)を入れた。
【0125】
さらに、2組のランスを管状リアクターに入れた。1組を底部から、およびもう一方の組を頂部から管状リアクターへ入れた。1組のランスをそれぞれサーモウェルおよびリアクター内壁との間に、これらがチューブ横断面にわたりサーモウェルとリアクター内壁との間の真ん中に位置するように調節して入れた。管状の横断面に突出する場合、2組はチューブ径において互いに対向した。DIN規格材料番号1.4841のステンレス鋼から製造されたランスの外径は3.17mmおよびその内径は2.17mmであった。1組のランスの長さは様々であった。空気を各場合、1組のランスの2個のランスのうちの1個を通り計量して添加し、反応ガス混合物を分析のために1組のランスそれぞれのもう一方のランスを通り回収した。流動方向における第1分析用ランスの開口部(LI)を、流動方向における第1部分固定触媒床20mm越しに置いた。計量添加ランスの開口部(ZI)を流動方向において第2部分固定触媒床の100mm上流に置いた。第2分析用ランスの開口部(LII)を、流動方向において第2部分固定触媒床20mm越しに置いた。計量添加ランスの開口部(ZII)を流動方向において第3部分固定触媒床の100mm上流に置いた。
【0126】
管状リアクターの上流で、(4〜5mm径のCeramTec製C−220ステアタイトの)ステアタイト球を充填した1300mm長の鋼鉄チューブを加熱器として挿入した。反応ガス混合物流をその中でその管状リアクターへの入口温度に予熱し、理想的には同時に混合した。このため、加熱器チューブ(DIN規格材料番号1.4841のステンレス鋼、壁厚3.6mm、内径53.1mm)をドイツ、ハイデルベルグのHorst製の、チューブの周りに適用される加熱カラーを用いて1200mmの中点の長さで電気により加熱した。加熱器と管状リアクターとの間の連結は、慣例の熱遮断材料で熱遮断されたステンレス鋼チューブを加熱して行われた(DIN規格材料番号1.4841のステンレス鋼、外径14mm、内径10mm、長さ300mm)。
【0127】
b)本発明の長期実施の開始(実施時間t0
全触媒床に新しい脱水素化触媒を入れた。全固定触媒床に供給された反応ガス混合物流は、粗製プロパン、蒸気とアクリル酸への脱水素化で得られたプロピレンの不均一系触媒による2段階部分酸化の部分酸化循環ガスの混合物であった。プロパンおよびプロピレン以外の構成物質を独国出願第102005013039号の比較実施例1に記載のように、吸収/脱離手段(空気を用いた揮散)により脱水素化の生成ガス混合物から取り出した。プロピレンのアクリル酸への部分酸化を、同様に独国出願第102005013039号に記載のように行った。同じく、部分酸化循環ガスの形成に適用する。
【0128】
独国出願第102005013039号に記載のように、反応ガス混合物流を、約200℃の出口温度の蒸発器で得、そこから出発して加熱器に供給した(蒸発器の加熱器への接合を加熱器の管状リアクターへのものと同様に構成した)。
【0129】
加熱器の加熱を、蒸発器から加熱器へ通過する反応ガス混合物流が約400℃で放出されるように調節した。次いで、反応ガス混合物流を管状リアクターに入れ、さらにその予熱帯域で加熱し、最終的に管状リアクターを通り入れた。各場合、特定のランスに入る25℃の空気約30Nl/hを計量ランスZIおよびZIIを介して計量して添加した。t0=1hの実施時間後、方法実施は、基本的にはじめてその(準)定常実施状態を得た。
【0130】
反応ガス混合物流量2807Nl/h(本明細書の全てのガス組成物データは常にガスクロマトグラフィー分析に基づく)を管状リアクターに供給し、第1、第2および第3部分固定触媒床を出る時の反応ガス混合物流量を第1表に示した。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
全触媒床を通過する反応ガス混合物流として、Gの合計=脱水素化される炭化水素のモル出発量KWの(A+B+C)mol%を、その中で脱水素化炭化水素に脱水素化した。Aは流動方向における第1部分固定触媒床の寄与であり、Bは流動方向における第2部分固定触媒床の寄与であり、Cは流動方向における第3部分固定触媒床の寄与である。
【0134】
実施時間t0時に、G、A、BおよびCの数値は以下のようであった。
A=12mol%、
B=5.4mol%、
C=1.8mol%および
G=19.2mol%
各場合、KWに対する。
【0135】
実施時間t0時の管状リアクターの内部加熱床を直接超える流動方向における反応ガス混合物流の温度T1は、408℃であった。実施時間t0時のZIおよびZIIを介して計量して添加された空気流MIおよびMIIは、各場合、およそ33Nl/hであった。
【0136】
c)本発明の長期実施の性能
実施時間の増加に伴う全固定触媒床の不活性を弱めるために、T1とMI(図1=M1)およびMII(図1=M2)はともに(上昇したデータ点により)図1に示されるように実施時間の増加に伴い次第に上昇した(左側縦軸=T1℃;右側縦軸=空気流量Nl/h;ゼロ点をt0に置いた;横座標はt時間を示す)。この方法において、0h=t0<t≦50hの実施時間間隔にわたり間隔G=19.2±0.2mol%内でG値を安定させることが可能であった。実施時間間隔の上昇した変換割合A、B、C(縦軸としてKWのmol%)の時間に対して得られた特性(横軸はt時間を示す)を、第2図に示す。
【0137】
時間に対して流動方向における第1固定触媒床の吸気口(部分床の最高温度、参照文献番号1)、真ん中(参照文献番号2)および出口(参照文献番号3)をまさに超えたところの反応ガス混合物流の得られた温度推移を、第3図に(上昇した測定点により)示し(再度、横軸はt時間を示し、ゼロ点をt0に置き、縦軸はT℃を示す)、同じく時間に対して流動方向における第2部分固定触媒床および第3部分固定触媒床の吸気口(部分床の最高温度、参照文献番号4)、真ん中(参照文献番号5)および出口(参照文献番号6)をまさに超えたところの反応ガス混合物流の温度推移である(参照文献番号7=第3部分固定触媒床への吸気口をまさに超えたところの第3部分固定触媒床の最高温度、参照文献番号8=第3部分固定触媒床の出口)。
【0138】
続いて、プロセスを中断し、全固定触媒床を独国特許出願公開第10028582号に記載のように再生した。その後、プロセスを再開した。およそ1hの実施時間後、(準)定常実施状態が再度得られた。元の実施条件下において、元のG値を再度実現した。本発明の長期実施において、次の再生までプロセスをさらに実施する。
【0139】
d)本発明でない長期実施の性能
開始を、a)、b)に記載のものと同一の方法において行った。実施時間の増加に伴う全固定触媒床の不活性を弱めるために、T1と空気流量MIおよびMIIはそれぞれ、脱水素化変換に対する寄与A、B、Cおよびこれらとともに、これらの合計Gが安定したままであるように実施時間の増加に伴い上昇した。
【0140】
17hの実施時間後、間隔G=19.2±1mol%内のG値は、この長期実施様式に対してもはや維持できなかった。それゆえ、プロセスを中断し、全固定触媒床を独国特許出願公開第10028582号に記載のように再生した。続いてプロセスを再開した。元の実施条件下において、元のG値をもはや実現できなかった。
【0141】
当然ながら、実施例および比較実施例はまた、多段型固定床リアクターで完全に等しい方法において実施することができ、このリアクターは、3つの同一の固定床段を有する。次いで、空気を流動方向において1つ目/2つ目と2つ目/3つ目の段との間に供給する。
【0142】
2006年7月28日出願の米国仮特許出願第60/833776号は、参照文献により本出願に組み込まれる。
上記の教示に関して、本発明に対する多数の修正および本発明からの逸脱は可能である。
それゆえ、添付された特許請求の範囲の範囲内で本発明を、具体的に本明細書に記載の方法と異なり実施できることを前提とできる。
図1
図2
図3