(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半導体基板に形成される予定の所望のパターンのパターン領域が分割された複数の小領域の各小領域分のマスクパターンのパターンデータと、分割された前記複数の小領域の位置を示す分割領域情報と、各小領域分のマスクパターンとそれぞれ組となる照明光の形状を示す照明光情報とを入力し、記憶する記憶部と、
各小領域分のマスクパターンを、小領域毎にマスク上の独立した別々の位置に描画すると共に、各小領域分のマスクパターンと重ならないマスク上の位置に前記分割領域情報と照明光情報とを示すコード図形パターンを描画する描画部と、
を備え、
前記小領域毎に、前記半導体基板に転写される際、当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなる、転写用の照明光の形状が用いられ、
前記複数の小領域には、それぞれ異なる部分パターンが配置され、
前記小領域毎の部分パターン用のマスクパターンのパターン形状は、当該小領域にそれぞれ設定される転写用の照明光の形状の条件下で前記半導体基板に転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなるように補正されていることを特徴とする描画装置。
半導体基板に形成される予定の所望のパターンのパターン領域が分割された複数の小領域の位置を示す第1の分割領域情報と、各小領域分のマスクパターンとそれぞれ組となる照明光の形状を示す複数の第1の照明光情報とをマスクから光学的に読み出す読み出し部と、
小領域毎に、各小領域分のマスクパターンとそれぞれ組となる照明光の形状を示す複数の第2の照明光情報を入力し、小領域毎に、前記第1と第2の照明光情報が一致するかどうかを判定する判定部と、
小領域毎に、一致すると判定された照明光情報が示す形状の照明光で当該小領域用のマスクパターンを前記半導体基板に転写することによって、分割された全ての小領域の部分パターンが順に転写されるように前記半導体基板を多重露光する露光部と、
を備え、
前記小領域毎に、前記半導体基板に転写される際、当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなる、転写用の照明光の形状が用いられ、
前記複数の小領域には、それぞれ異なる部分パターンが配置され、
前記小領域毎の部分パターン用のマスクパターンのパターン形状は、当該小領域にそれぞれ設定される転写用の照明光の形状の条件下で前記半導体基板に転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなるように補正されていることを特徴とする転写装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、転写したいパターンに合わせて照明形状を選択しても、実際のマスクパターンとは異なってしまい、パターンの寸法誤差が発生してしまうといった問題があった。さらに、LSIパターンは、内部に密なパターンや粗なパターンが入り混じる。そのため、同時にこれらすべてについて寸法精度を向上させることは困難であるといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点を克服し、最終的に半導体基板に転写されるパターンの寸法誤差をより低減可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的の1つとする。また、寸法変動を補正する際により高精度に補正する描画装置を提供することを目的の他の1つとする。また、最終的に半導体基板に転写されるパターンの寸法誤差をより低減可能な転写装置を提供することを目的の他の1つとする。また、最終的に半導体基板に転写されるパターンの寸法誤差をより低減可能なパターンデータを生成するプログラムを提供することを目的の他の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、
半導体基板に形成される予定の所望のパターンのパターン領域を複数の小領域に分割する工程と、
小領域毎に、半導体基板に転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなる、転写用の照明光の形状と、転写する際に用いるマスク上に形成される、所望のパターンのうち当該小領域分を示す部分パターンが補正されたマスクパターンのパターン形状との組み合わせを取得する工程と、
小領域毎に、取得された組み合わせの形状の照明光で取得された組み合わせのマスクパターンを半導体基板に転写することによって、分割された全ての小領域の部分パターンが順に転写されるように半導体基板を多重露光する工程と、
多重露光された半導体基板上に前記所望のパターンを形成する工程と、
を備え
、
前記複数の小領域には、それぞれ異なる部分パターンが配置され、
前記小領域毎の部分パターン用のマスクパターンのパターン形状は、当該小領域にそれぞれ設定される転写用の照明光の形状の条件下で前記半導体基板に転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなるように補正されることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様の描画装置は、
半導体基板に形成される予定の所望のパターンのパターン領域が分割された複数の小領域の各小領域分のマスクパターンのパターンデータを入力し、記憶する記憶部と、
各小領域分のマスクパターンデータを読み出し、各小領域分のマスクパターンを分割前の位置にマージするマージ処理部と、
パターン領域がメッシュ状の複数のメッシュ領域に仮想分割されたメッシュ領域内のパターン寸法誤差を補正する補正量をマージ後のマスクパターンを用いて演算する補正量演算部と、
メッシュ領域毎に補正量で補正されたマスクパターンを、小領域毎にマスク上の独立した別々の位置に描画する描画部と、
を備え
、
前記小領域毎に、前記半導体基板に転写される際、当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなる、転写用の照明光の形状が用いられ、
前記複数の小領域には、それぞれ異なる部分パターンが配置され、
前記小領域毎の部分パターン用のマスクパターンのパターン形状は、当該小領域にそれぞれ設定される転写用の照明光の形状の条件下で前記半導体基板に転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなるように補正されることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様のコンピュータに実行させるためのプログラムは、
半導体基板に形成される予定の所望のパターンの第1のパターンデータを記憶装置に記憶する処理と、
所望のパターンのパターン領域を複数の小領域に分割する処理と、
小領域毎に、半導体基板に転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなる、転写用の照明光の形状と、転写する際に用いるマスク上に形成される、所望のパターンのうち当該小領域分を示す部分パターンが補正されたマスクパターンのパターン形状との組み合わせを取得する処理と、
小領域毎に、取得された組み合わせの相関データと、組み合わせのパターン形状となるマスクパターンの第2のパターンデータを出力する処理と、
を備え
、
前記複数の小領域には、それぞれ異なる部分パターンが配置され、
前記小領域毎の部分パターン用のマスクパターンのパターン形状は、当該小領域にそれぞれ設定される転写用の照明光の形状の条件下で前記半導体基板に転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなるように補正されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様の描画装置は、
半導体基板に形成される予定の所望のパターンのパターン領域が分割された複数の小領域の各小領域分のマスクパターンのパターンデータと、分割された複数の小領域の位置を示す分割領域情報と、各小領域分のマスクパターンとそれぞれ組となる照明光の形状を示す照明光情報とを入力し、記憶する記憶部と、
各小領域分のマスクパターンを、小領域毎にマスク上の独立した別々の位置に描画すると共に、各小領域分のマスクパターンと重ならないマスク上の位置に分割領域情報と照明光情報とを示すコード図形パターンを描画する描画部と、
を備え
、
前記小領域毎に、前記半導体基板に転写される際、当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなる、転写用の照明光の形状が用いられ、
前記複数の小領域には、それぞれ異なる部分パターンが配置され、
前記小領域毎の部分パターン用のマスクパターンのパターン形状は、当該小領域にそれぞれ設定される転写用の照明光の形状の条件下で前記半導体基板に転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなるように補正されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様の転写装置は、
半導体基板に形成される予定の所望のパターンのパターン領域が分割された複数の小領域の位置を示す第1の分割領域情報と、各小領域分のマスクパターンとそれぞれ組となる照明光の形状を示す複数の第1の照明光情報とをマスクから光学的に読み出す読み出し部と、
小領域毎に、各小領域分のマスクパターンとそれぞれ組となる照明光の形状を示す複数の第2の照明光情報を入力し、小領域毎に、第1と第2の照明光情報が一致するかどうかを判定する判定部と、
小領域毎に、一致すると判定された照明光情報が示す形状の照明光で当該小領域用のマスクパターンを半導体基板に転写することによって、分割された全ての小領域の部分パターンが順に転写されるように半導体基板を多重露光する露光部と、
を備え
、
前記小領域毎に、前記半導体基板に転写される際、当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなる、転写用の照明光の形状が用いられ、
前記複数の小領域には、それぞれ異なる部分パターンが配置され、
前記小領域毎の部分パターン用のマスクパターンのパターン形状は、当該小領域にそれぞれ設定される転写用の照明光の形状の条件下で前記半導体基板に転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差がより小さくなるように補正されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、最終的に半導体基板に転写されるパターンの寸法誤差をより低減できる。また、本発明の他の一態様によれば、寸法変動を補正する際により高精度に補正できる。また、本発明の他の一態様によれば、最終的に半導体基板に転写されるパターンの寸法誤差をより低減可能なパターンデータを生成できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態では、描画装置一例として、荷電粒子ビーム描画装置について説明するが、描画装置はこれに限るものではなく、レーザビーム描画装置であってもよい。また、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明するが、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。また、荷電粒子ビーム描画装置の一例として、可変成形型の描画装置について説明する。
【0017】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図1において、実施の形態1における半導体装置の製造方法は、描画データ生成工程(S102〜S109)と、描画工程(S110〜S112)と、マスクパターン形成工程(S114〜S116)と、転写工程(S117〜S122)と、ウェハパターン形成工程(S124〜S130)という一連の工程を実施する。描画データ生成工程では、その内部工程として、領域分割工程(S102)と、条件設定工程(S104)と、パターン補正工程(S106)と、相関データ生成工程(S107)と、シミュレーション工程(S108)と、判定工程(S109)という一連の工程を実施する。描画工程では、その内部工程として、描画工程(S110)と、マスク情報描画工程(S112)という一連の工程を実施する。マスクパターン形成工程は、その内部工程として、現像工程(S114)とエッチング工程(S116)という一連の工程を実施する。転写工程は、その内部工程として、マスク情報読み出し工程(S118)と、判定工程(S119)と、パターンA露光工程(S120)と、パターンB露光工程(S122)という一連の工程を実施する。ウェハパターン形成工程は、その内部工程として、現像工程(S124)とエッチング工程(S126)と膜形成工程(S128)と平坦化処理工程(S130)という一連の工程を実施する。
【0018】
図2は、実施の形態1における半導体基板に転写したいパターンの一例と、マスクに形成されるパターンの一例と、パターン形状と照明光の形状と瞳面形状との関係の一例と、を示す概念図である。半導体基板(ウェハ)にあるパターンを転写する際、転写されるパターン寸法は、そのパターン形状と転写装置での照明光の形状とマスクを通過した後の瞳面位置での光束の透過率に依存する。一方、ウェハに転写されるパターンはその形状が密パターンであったり粗パターンであったりと様々である。また、ウェハ上に転写したい設計パターンは、そのままの形状でマスク上に形成されても転写時の光近接効果等の影響で所望の寸法で転写されない。そのため、マスク上に形成されるパターンは事前に光近接効果補正(OPC)がなされたパターンに補正され、補正後のパターンがマスクパターンとしてマスク上に形成される。このように、ウェハ上に転写したいパターンとマスク上に形成されるパターンとはその形状も異なっている。そのため、実施の形態1では、まずは、設計寸法に対して、ウェハ上に最終的に形成されるパターンのパターン寸法誤差がより小さくなる、マスクパターンと照明光の形状と瞳面位置での光束形状との組み合わせをシミュレーションにより最適化する。そして、最適化されたマスクパターンデータとその条件となる相関データとを生成する。
【0019】
描画データ生成工程は、制御計算機400を用いて演算する。制御計算機400には、図示しないバスを介して、磁気ディスク装置等の記憶装置146,148が接続されている。また、制御計算機400には、コンピュータ処理を行うにあたって通常必要なその他の構成が搭載あるいは接続されていても構わない。まず、記憶装置146には、半導体基板(ウェハ)に形成される予定の所望のパターンの設計データ(第1のパターンデータ)を外部より入力し、記憶装置146に記憶する。設計データには、半導体基板となるウェハに最終的に形成したいパターンのパターンデータが定義される。
【0020】
領域分割工程(S102)として、まず、制御計算機400内では、記憶装置146からパターンデータを読み出し、半導体基板(ウェハ)に形成される予定の所望のパターンのパターン領域を複数の小領域に分割する。例えば、ウェハ上のある領域11にチップパターン(転写パターン)を最終的に転写したい場合を想定する。実施の形態1では、かかる場合に、チップパターンのパターン領域10を小領域12と小領域14といった複数の小領域に分割する。分割領域は、2つに限るものではなく、3つ以上であっても構わない。例えば、パターン密度が密な領域と、それ以外(粗な領域)とに分割すると好適である。或いは、ラインアンドスペースパターンが配置される領域と、コンタクトパターンのような孤立パターンが配置される領域とに分割しても好適である。
【0021】
条件設定工程(S104)として、小領域毎に、転写する際の照明光の形状と転写する際の瞳面位置における光線の瞳面形状とで構成される条件を設定する。
【0022】
パターン補正工程(S106)として、制御計算機400は、小領域毎に、各小領域に設定された照明光の形状と転写する際の瞳面位置における光線の瞳面形状の条件下で、スキャナで転写した際に得られるパターンが、設計パターンにより近づくように、パターンをOPC補正する。これは、一般に用いられるOPC技術、すなわち照明光の形状と転写する際の瞳面位置における光線の瞳面形状が固定された条件下でのOPC技術を用いればよい。そして、制御計算機400は、小領域毎に、OPC補正されたマスクパターンのパターデータを生成する。
【0023】
相関データ生成工程(S107)として、制御計算機400内では、取得された照明光の形状とマスクパターンのパターン形状と瞳面形状との相関データ(条件データ)を生成する。そして、生成された相関データは、記憶装置148に出力され、記憶される。
【0024】
シミュレーション工程(S108)として、小領域毎に、設定された条件でOPC補正済みパターンをウェハに転写した際にウェハ上に形成されるパターン寸法をシミュレーションにより演算する。
【0025】
判定工程(S109)として、シミュレーションした寸法が十分な精度(寸法誤差Δl<閾値l
0)を有するかどうかを判定し、十分な精度の場合(たとえば、誤差3nm以下)、その小領域の最適化は終了し、その際の設定された照明光の形状と転写する際の瞳面位置における光線の瞳面形状と、OPC補正したパターンとをその小領域の最適な組み合わせとして、決定する。もし、十分な精度が得られない場合には、より誤差が小さくなるように、設定された照明光の形状と転写する際の瞳面位置における光線の瞳面を変化させて、上記の処理を繰り返す。
【0026】
以上のように制御計算機400によりパターンデータを生成することで、最終的に半導体基板に転写されるパターンの寸法誤差をより低減可能なパターンデータを生成できる。
【0027】
以上のようにして、小領域毎に、ウェハに転写された際の当該小領域分を示す部分パターンのパターン寸法誤差が設計寸法に対してより小さくなる、転写用の照明光の形状と、転写する際に用いるマスク上に形成される、設計パターン(所望のパターン)のうち当該小領域分を示す部分パターンがOPC補正されたマスクパターンのパターン形状と瞳面形状との組み合わせの条件を取得する。例えば、
図2に示すように、小領域12について、OPC補正済みパターン20,22と照明形状30と瞳面形状40とで最適化される。また、小領域14について、OPC補正済みパターン24と照明形状32と瞳面形状42とで最適化される。
【0028】
そして、制御計算機400は、小領域毎に、取得された最適化された組み合わせ条件の相関データと、最適化された組み合わせ条件のパターン形状となるマスクパターンのパターンデータ(第2のパターンデータ)を描画装置100へと出力する。
【0029】
上述した例では、照明光の形状とマスクパターンのパターン形状と瞳面形状との3つの条件を示しているが、これに限るものではない。3つの条件を揃える場合よりも精度は劣る場合があるが、照明光の形状とマスクパターンのパターン形状との2つの条件で構成しても効果がある。
【0030】
図3は、実施の形態1における半導体装置の製造方法の流れと転写装置の構成と動作を説明するための概念図である。転写装置300では、光源303から発生した光が図示しない照明光学系によって照明形状調整基板308を照射する。調整基板は透過光を分布50となるよう調整する。照明形状調整基板308を通過した光は照明光として、マスク101上のパターン12を照明する。マスクを通過した光は、光学系305を通って、光学系305,307間の瞳面位置に配置された瞳面光分布調整基板306を照射する。そして、調整基板は透過光を分布61となるよう調整する。そして、瞳面光形状調整基板306を通過した光は、光学系307によってウェハ301の所望の位置へと結像される。ウェハを移動させながら、これを繰り返しウェハ上の複数の場所に、パターン12を転写する。次に、照明形状調整基板308を調整して透過光を分布52となるよう調整、瞳面光分布調整基板306を調整して透過光を分布62となるよう調整、マスクを移動させて、101上のパターン14をウェハに転写する。これをウェハを移動させながら繰り返し、ウェハ上の複数の場所に、パターン14を転写する。
【0031】
次に、
図2および
図3(b)に示すように、描画装置100によって、マスク101上に、小領域12と小領域14とが独立した別々の位置になるように、それぞれの小領域内のマスクパターンを描画する。
【0032】
図4は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
図4において、描画装置100は、描画部150と制御部160を備えている。描画装置100は、荷電粒子ビーム描画装置の一例である。特に、可変成形型の描画装置の一例である。描画部150は、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、第1のアパーチャ203、投影レンズ204、偏向器205、第2のアパーチャ206、対物レンズ207、主偏向器208及び副偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象となるマスク101が配置される。マスク101は、以降の工程を経て半導体装置を製造する際の露光用マスクになる。マスク101には、ガラス基板上に遮光膜が形成され、遮光膜上にレジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。
【0033】
制御部160は、制御計算機110、メモリ112、制御回路120、及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142を有している。制御計算機110、メモリ112、制御回路120、及び記憶装置140,142は、図示しないバスを介して互いに接続されている。制御計算機110内には、ショットデータ生成部70、マージ処理部71、ローディング効果補正量演算部72、照射量演算部74、マスク情報描画データ生成部76、および描画処理部78が配置される。ショットデータ生成部70、マージ処理部71、ローディング効果補正量演算部72、照射量演算部74、マスク情報描画データ生成部76、および描画処理部78といった機能は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。ショットデータ生成部70、マージ処理部71、ローディング効果補正量演算部72、照射量演算部74、マスク情報描画データ生成部76、および描画処理部78に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
【0034】
まず、半導体基板(ウェハ)に形成される予定の所望のパターンのパターン領域が分割された複数の小領域の各小領域分のマスクパターンのパターンデータ(描画データ)は、外部から入力され、記憶装置140に記憶される。具体的には、OPC補正がなされた後の小領域毎のパターン(マスクパターン)のパターンデータ(描画データ)が外部から入力され、記憶装置140に記憶される。また、パターンのパターン領域は領域分割しているので、各小領域の位置を示す分割領域情報と領域分割されたことを示す情報とが定義された多重露光情報が外部から入力され、記憶装置140に記憶される。また、上述したシミュレーションにより取得された、小領域毎の相関データ(条件データ)が外部から入力され、記憶装置140に記憶される。相関データには、各小領域分のマスクパターンとそれぞれ組となる照明光の形状を示す照明光情報と瞳面位置での光束形状を示す瞳面情報とが定義される。
【0035】
描画装置100では、まず、ショットデータ生成部70が、記憶装置140から各小領域のパターンデータを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って、装置固有のショットデータを生成する。描画装置100で図形パターンを描画するためには、1回のビームのショットで照射できるサイズにパターンデータに定義された各図形パターンを分割する必要がある。そこで、ショットデータ生成部70は、パターンデータが示す図形パターンを1回のビームのショットで照射できるサイズに分割してショット図形を生成する。そして、ショット図形毎にショットデータを生成する。ショットデータには、例えば、図形種、図形サイズ、照射位置、及び照射量といった図形データが定義される。生成されたマスクパターンのショットデータは記憶装置142に一時的に記憶される。
【0036】
図5は、実施の形態1におけるマスクパターンの描画位置と分割領域のマージ処理とを説明するための概念図である。半導体装置を製造する際には、上述した転写する際の光近接効果による寸法変動の他にも、描画後のプロセスとなる、現像、エッチング、或いは化学機械研磨(CMP)装置を使った平坦化処理等に起因して寸法変動を引き起こすローディング効果といわれる現象がある。そのため、描画装置100内では、照射量を調整することによって、かかるローディング効果に起因する寸法変動を補正することが望ましい。そのため、実施の形態1では、描画装置内でかかる寸法変動を補正する。なお、ローディング効果は、周囲に位置するパターンの配置状況の影響を受ける。しかし、上述したように、実施の形態1では、1つのパターン領域を複数の小領域12,14に分割している。そして、描画する際には、
図5(a)に示すように、小領域12のパターンと、小領域14のパターンをマスク101の独立した領域に離して描画する。このように分割位置付近のパターンは、周囲にパターンが存在しない状況になる。このままでは、周囲のパターンの影響を含めることが困難となる。そこで、実施の形態1では、ローディング効果の補正量を演算する際には、
図5(b)に示すように、かかる分割された小領域12,14を元に戻して小領域10として計算する。
【0037】
そのために、マージ処理工程として、マージ処理部71は、各小領域分のマスクパターンデータを読み出し、各小領域分のマスクパターンを分割前の位置にマージする。これにより、小領域12,14は、パターン領域10にマージされる。
【0038】
寸法変動補正量演算工程として、ローディング効果補正量演算部72は、パターン領域がメッシュ状の複数のメッシュ領域に仮想分割されたメッシュ領域内のパターン寸法誤差を補正する補正量Δlをマージ後のマスクパターンを用いて演算する。ローディング効果補正用のメッシュ領域の面積密度ρ
L(x,y)、分布関数g
L(x,y)、ローディング効果補正係数γを用いて、補正量Δl(x,y)は、例えば、次の式(1)で定義できる。ローディング効果補正量演算部72は、補正量演算部の一例である。ローディング効果補正用のメッシュ領域のサイズは、ローディング効果の影響半径の1/10程度が好適である。例えば、1mm程度に設定すると好適である。
(1) Δl(x,y)=
γ・∫ρ
L(x−x’,y−y’)・g
L(x−x’,y−y’)dx’dy’
【0039】
以上のように小領域のパターンがマージされてからローディング効果補正量を演算することで、領域分割された部分のパターンの影響も考慮できる。よって、補正量の精度を向上させることができる。
【0040】
次に、照射量演算工程として、照射量演算部74は、各ショットデータ用の照射量を演算する。ここで、転写時の光近接効果の他にも、マスク描画時における電子ビームによる近接効果による寸法変動も発生し得る。そのため、電子ビームによる近接効果の補正も同時に行うことが望ましい。そこで、実施の形態1では、描画装置内でかかる寸法変動を照射量を調整することで補正する。電子ビームによる近接効果を補正するには、基準照射量D
0と近接効果補正係数ηを調整することで補正できる。そして、基準照射量D
0と近接効果補正係数ηはそれぞれ最適な組み合わせが存在する。そこで、近接効果補正が維持された状態で上述したローディング効果補正量Δl(x,y)も同時に補正する基準照射量D
0(Δl(x,y))と近接効果補正係数η(Δl(x,y))を使って、照射量D(x,y)を演算する。近接効果補正が維持された状態でパターン寸法を変動させた場合の各寸法での基準照射量D
0と近接効果補正係数ηの関係は予め実験等により求めておけばよい。照射量D(x,y)は、基準照射量D
0(Δl(x,y))と近接効果補正照射量d(η(Δl(x,y),x,y)を用いて、次の式(2)で定義できる。
(2) D(x,y)=D
0(Δl(x,y))・d(η(Δl(x,y),x,y)
【0041】
ここで、近接効果補正照射量d(η(Δl(x,y),x,y)は、例えば、次の式(3)で定義できる。
(3) d(η(Δl(x,y),x,y)=
{(1/2)+η(Δl(x,y))/{(1/2)+η(Δl(x,y))・U(x,y)}
【0042】
ここで、関数U(x,y)は、近接効果補正用のメッシュ領域の面積密度ρ
p(x,y)、分布関数g
p(x,y)を用いて次の式(4)で定義できる。
(4) U(x,y)=
∫ρ
p(x−x’,y−y’)・g
p(x−x’,y−y’)dx’dy’
【0043】
近接効果補正用のメッシュ領域のサイズは、近接効果補正の影響半径の1/10程度が好適である。例えば、1μm程度に設定すると好適である。
【0044】
以上のようにして、照射量D(x,y)がメッシュ領域毎に演算され、照射量マップが作成される。
【0045】
ここで、製造されたマスクを用いて、ウェハにパターンを転写する際、パターンが複数の小領域に領域分割されており、多重露光が必要であること、および小領域毎に、照明形状や瞳面形状が上述した最適化された条件に従っていることが必要である。しかし、小領域毎に条件が異なっているため誤った設定がなされてしまう恐れがある。そこで、実施の形態1では、マスク自体にかかるパターンが複数の小領域に領域分割されており、多重露光が必要であること、および小領域毎の照明形状や瞳面形状の条件をマスク情報として描画する。
【0046】
マスク情報描画データ生成工程として、マスク情報描画データ生成部76は、小領域毎の条件データと多重露光情報を入力し、多重露光情報が示す分割領域情報と領域分割されたことを示す情報と、条件データが示す照明光情報と瞳面情報と、を示すコード図形パターンの描画データを生成する。コード図形は、バーコードやQRコード(登録商標)等が好適である。その際、コード図形パターンの描画位置は、各小領域分のマスクパターンと重ならないマスク上の位置に設定される。また、マスク情報描画データ生成部76は、コード図形パターンのショットデータまで生成してもよいし、或いはショットデータ生成部70が、生成されたコード図形パターンの描画データからショットデータを生成してもよい。生成されたコード図形パターンのショットデータ(マスク情報データ)は一時的に記憶装置142に記憶される。
【0047】
そして、描画工程(S110)として、描画処理部78は、マスク101に小領域毎のマスクパターンを描画するように制御回路120を制御する。そして、制御回路120に制御された描画部150は、メッシュ領域毎に補正量で補正された小領域毎のマスクパターンを、小領域毎にマスク101上の独立した別々の位置に描画する。具体的には、
図2に示すように小領域12と小領域14とが独立した別々の位置になるように、それぞれの小領域内のマスクパターンを描画する。具体的には、以下のように動作する。
【0048】
電子銃201(放出部)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202により矩形例えば長方形の穴を持つ第1のアパーチャ203全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形例えば長方形に成形する。そして、第1のアパーチャ203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、投影レンズ204により第2のアパーチャ206上に投影される。偏向器205によって、かかる第2のアパーチャ206上での第1のアパーチャ像は偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させる(可変成形させる)ことができる。そして、第2のアパーチャ206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、対物レンズ207により焦点を合わせ、主偏向器208及び副偏向器209によって偏向され、連続的に移動するXYステージ105に配置された試料101の所望する位置に照射される。
図1では、位置偏向に、主副2段の多段偏向を用いた場合を示している。かかる場合には、主偏向器208で描画領域を仮想分割したサブフィールド(SF)の基準位置にステージ移動に追従しながら該当ショットの電子ビーム200を偏向し、副偏向器209でSF内の各照射位置にかかる該当ショットのビームを偏向すればよい。
【0049】
そして、マスク情報描画工程(S112)として、描画処理部78は、さらに、マスク101にコード図形パターンを描画するように制御回路120を制御する。そして、制御回路120に制御された描画部150は、各小領域分のマスクパターンと重ならないマスク上の位置にコード図形パターンを描画する。描画部150の動作は、上述した動作と同様である。
【0050】
以上のように、マスク自体にコード図形パターンを描画することで、転写する際の条件間違えを抑制できる。
【0051】
図6は、実施の形態1におけるマスク製造方法の工程断面図の一例を示す図である。
図6では、描画される前のマスク101の状態から現像工程(S114)までを示している。
図6(a)に示すように、描画される前のマスク101は、ガラス基板500上に遮光膜510が形成され、遮光膜510上にレジスト膜512が形成されている。そして、上述した描画工程において、
図6(b)に示すように、電子ビーム200を用いてレジスト膜512に描画する。
【0052】
次に、
図6(c)において、現像工程(S114)として、描画後のマスク101を現像して、開口部511が形成されたレジスト膜512によるレジストパターンを形成する。
【0053】
図7は、実施の形態1におけるマスク製造方法の工程断面図の他の一例を示す図である。
図7では、エッチング工程(S116)から完成後のマスクまでが示されている。
【0054】
そして、
図7(a)において、エッチング工程(S116)として、レジスト膜512によるレジストパターンをマスクとして、開口部511に露出した遮光膜510をエッチングにより除去する。そして、残ったレジスト膜512をアッシングして除去することで、
図7(b)に示すようにマスクパターンを形成する。
【0055】
図8は、実施の形態1におけるウェハ加工方法の工程断面図の他の一例を示す図である。
図8では、パターン転写される前のウェハの状態から現像工程(S124)までを示している。
図8(a)に示すように、パターン転写される前のウェハは、シリコン基板600上に絶縁膜610が形成され、絶縁膜610上にレジスト膜612が形成されている。シリコン基板600には、下層配線等の下地パターン601が形成されていても構わない。
【0056】
図8(b)において、転写工程にて、転写装置300は、以上のようにして製造されたマスクを露光用マスクとして、マスクパターン像の光613を照射することで、小領域毎に、上述した条件で小領域毎のマスクパターンをそれぞれ転写する。
図3に示すように、転写装置300は、転写部302と制御部304を備えている。転写部302は、光源303と、照明形状調整基板308と、光学系305,307と、瞳面光形状調整基板306とを有している。制御部304は、制御計算機310と制御回路320を有している。制御計算機310内には、読み出し部312、判定部313、条件設定部314、及び転写制御部316が配置されている。読み出し部312、判定部313、条件設定部314、及び転写制御部316といった機能は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。読み出し部312、条件設定部314、及び転写制御部316に入出力される情報および演算中の情報は図示しないメモリにその都度格納される。
【0057】
転写する際には、マスク101が光源303にセットされる。そして、光源303から発生した光が図示しない照明光学系によって照明形状調整基板308を照射する。そして、照射された光は照明形状調整基板308を通過することによって、その形状を変化させる。照明形状調整基板308は、例えば、その表面がメッシュ状に領域分割され、各メッシュ領域が独立に開閉可能に構成される。言い換えれば、開いたメッシュ領域50だけ光が通過することができ、閉じたメッシュ領域52は照明光を遮光する。そのように、開けるメッシュ領域を制御することで通過する光の形状を制御できる。照明形状調整基板308として、例えば、デジタルミラーアレイを用いることができる。照明形状調整基板308を通過した光は照明光として、マスク101上のパターンを照明する。マスクを通過した光は、光学系305によって拡大され、光学系305,107間の瞳面位置に配置された瞳面光形状調整基板306を照射する。そして、照射された光は瞳面光形状調整基板306を通過することによって、その形状を変化させる。瞳面光形状調整基板306は、例えば、その表面がメッシュ状に領域分割され、各メッシュ領域が独立に開閉可能に構成される。言い換えれば、開いたメッシュ領域60だけ光が通過することができ、閉じたメッシュ領域61は光を遮光する。そのように、開けるメッシュ領域を制御することで瞳面を通過する光の形状を制御できる。
【0058】
マスク情報読み出し工程(S118)として、読み出し部312は、ウェハに形成される予定の所望のパターンのパターン領域が分割された複数の小領域の位置を示す第1の分割領域情報と、各小領域分のマスクパターンとそれぞれ組となる照明光の形状を示す複数の第1の照明光情報と瞳面の光の形状を示す複数の第1の瞳面情報とをマスクから光学的に読み出す。瞳面情報を条件に入れていない場合には省略されることは言うまでもない。具体的には、読み出し部312は、図示しない読み出し装置を使って、マスク101上に描画されたコード図形パターンを光学的に読み取る。そして、読み出し部312は、読み取ったコード図形パターンから、コード図形パターンに定義された多重露光情報が示す分割領域情報と領域分割されたことを示す情報と、条件データが示す照明光情報と瞳面情報とを読み出す。
【0059】
マスク設置工程として、製造されたマスク101を設置する。
【0060】
判定工程(S119)として、判定部313は、小領域毎に、各小領域分のマスクパターンとそれぞれ組となる照明光の形状を示す複数の第2の照明光情報をユーザから入力する。そして、小領域毎に、コード図形パターンに定義された照明光情報とユーザから入力された照明光情報が一致するかどうかを判定する。同様に、小領域毎に、コード図形パターンに定義された瞳面情報とユーザから入力された瞳面情報が一致するかどうかを判定する。一致しない場合には、エラー出力を行ない、転写工程を中止する。再開したい場合には、別のマスクを用いるか、或いはユーザから入力される照明光情報および瞳面情報といった条件情報を変更して、また、マスク情報読み出し工程(S118)から開始し直す。
【0061】
条件設定工程として、条件設定部314は、複数の小領域のうち、まず、転写する方の小領域Aの条件である照明光の形状および瞳面形状を設定する。
【0062】
パターンA露光工程(S120)として、転写制御部316は、複数の小領域のうち、まず、転写する方の小領域A(例えば小領域12)に形成されたマスクパターンを設定された条件でウェハ301に転写するように制御回路320を制御する。制御回路320により制御された転写部302は、まず、設定された照明光の形状になるように照明形状調整基板308のメッシュ領域の開閉を行う。同様に、設定された瞳面形状になるように瞳面光形状調整基板306のメッシュ領域の開閉を行う。そして、当該小領域12について、取得された組み合わせの形状の照明光と瞳面形状で取得された組み合わせのマスクパターンをウェハ301に転写する。その際、複数の小領域の一方、例えば、小領域14に照明光が照射されないようにマスク上の一部を遮光してもよい。
【0063】
次に、パターンB露光工程(S122)として、転写制御部316は、複数の小領域のうち、転写されていない他の小領域B(例えば小領域14)に形成されたマスクパターンを設定された条件でウェハ301に転写するように制御回路320を制御する。制御回路320により制御された転写部302は、まず、設定された照明光の形状になるように照明形状調整基板308のメッシュ領域の開閉を行う。同様に、設定された瞳面形状になるように瞳面光形状調整基板306のメッシュ領域の開閉を行う。そして、当該小領域14について、取得された組み合わせの形状の照明光と瞳面形状で取得された組み合わせのマスクパターンをウェハ301に転写する。その際、複数の小領域の他方、例えば、小領域12に照明光が照射されないようにマスク上の一部を遮光してもよい。
【0064】
以上のように、転写部302は、小領域毎に、一致すると判定された照明光情報が示す形状の照明光と瞳面形状で当該小領域用のマスクパターンをウェハに転写することによって、分割された全ての小領域12,14の部分パターンが順に転写されるようにウェハ301を多重露光する。転写部302は、露光部の一例である。
【0065】
そして、以降の工程で、多重露光された半導体基板上に所望のパターンを形成する。
【0066】
図8(c)において、現像工程(S124)として、多重露光後のウェハを現像して、開口部611が形成されたレジスト膜612によるレジストパターンを形成する。
【0067】
図9は、実施の形態1におけるウェハ加工方法の工程断面図の他の一例を示す図である。
図9では、エッチング工程(S126)から膜形成工程(S128)までが示されている。
【0068】
そして、
図9(a)において、エッチング工程(S126)として、レジスト膜612によるレジストパターンをマスクとして、開口部611に露出した絶縁膜610をエッチングにより除去する。そして、残ったレジスト膜612をアッシングして除去することで、
図9(b)に示すように絶縁膜に配線溝となる開口部611を形成する。
【0069】
そして、
図9(c)において、膜形成工程(S128)として、開口部611を埋め込むように絶縁膜610上に導電性膜614を堆積させる。導電性膜614として、例えば、銅(Cu)膜を用いるとよい。
【0070】
図10は、実施の形態1におけるウェハ加工方法の工程断面図の他の一例を示す図である。
図10では、平坦化処理工程(S130)が示されている。
【0071】
図10において、平坦化処理工程(S130)として、絶縁膜610の開口部611からはみ出た余分な導電性膜614をCMP法により研磨除去すると共に表面を平坦化する。これにより、導電性膜614による配線層を1層形成できる。多層配線を形成する場合には、上述した各工程を繰り返し実施すればよい。
【0072】
以上のように実施の形態1によれば、最終的に半導体基板に転写されるパターンの寸法誤差をより低減できる。
【0073】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0074】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0075】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての荷電粒子ビーム描画装置及び方法は、本発明の範囲に包含される。