(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分と、酸供給成分と、を含有するレジスト組成物を、支持体上にスピンコート法により塗布してレジスト膜を形成する工程(1)と、
前記レジスト膜に70℃以上の加熱処理を行わず、該レジスト膜を露光する工程(2)と、
前記工程(2)の後にベークを行い、前記レジスト膜の露光部において、前記露光により前記光塩基発生剤成分から発生した塩基と、前記酸供給成分に由来する酸とを中和させ、前記レジスト膜の未露光部において、前記酸供給成分に由来する酸の作用により、前記基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる工程(3)と、
前記レジスト膜をアルカリ現像し、前記レジスト膜の未露光部が溶解除去されたネガ型レジストパターンを形成する工程(4)と
を含むレジストパターン形成方法であって、
前記工程(1)の塗布工程において、レジスト液を基板に供給後の回転時間が50秒以上であることを特徴とするレジストパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、本発明のレジストパターン形成方法は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分と、酸供給成分と、を含有するレジスト組成物を、支持体上にスピンコート法により塗布してレジスト膜を形成する工程(1)と、前記レジスト膜にプレベークを行わず、該レジスト膜を露光する工程(2)と、前記工程(2)の後にベークを行い、前記レジスト膜の露光部において、前記露光により前記光塩基発生剤成分から発生した塩基と、前記酸供給成分に由来する酸とを中和させ、前記レジスト膜の未露光部において、前記酸供給成分に由来する酸の作用により、前記基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる工程(3)と、前記レジスト膜をアルカリ現像し、前記レジスト膜の未露光部が溶解除去されたネガ型レジストパターンを形成する工程(4)とを含み、前記工程(1)の塗布工程において、レジスト液を基板に供給後の回転時間が50秒以上である。
本発明において、「プレベーク」とは、レジスト組成物を、支持体上に塗布した後から露光するまでの間に行う、ホットプレート等による70℃以上の加熱処理をいう。
「ネガ型レジストパターン」は、レジスト膜の未露光部がアルカリ現像液により溶解除去されて、露光部がパターンとして残るレジストパターンである。
【0017】
以下、本発明のレジストパターン形成方法について、図面を参照しながら説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明のレジストパターン形成方法の一実施形態例を示す。
本実施形態では、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分と、酸供給成分として酸性化合物と、を含有するレジスト組成物が用いられている。
まず、
図1(a)に示すように、当該レジスト組成物を、支持体1上に塗布してレジスト膜2を形成する(工程(1);
図1(a))。
次に、前記で形成されたレジスト膜2にプレベーク(PAB)を行わず、レジスト膜2を、
図1(b)に示すように、所定のパターンが形成されたフォトマスク3を介して露光する。これにより、レジスト膜2のうち、露光された領域(露光部)では、露光により光塩基発生剤成分から塩基が発生する(工程(2);
図1(b))。
露光の後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を行う。このベークにより、レジスト膜2のうち、未露光部2bでは、レジスト組成物に酸性化合物を配合することによりレジスト膜2に供給された酸(酸性化合物)の作用によって、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、露光部2aでは、露光により光塩基発生剤成分から発生した塩基と、前記のレジスト膜2に供給された酸との中和反応が進行するため、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないか、変化してもその変化量がわずかである。これにより、露光部2aと未露光部2bとの間にアルカリ現像液に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が生じる(工程(3);
図1(c))。
その後、アルカリ現像液による現像を行う。これにより、レジスト膜2の露光部2aが残留し、未露光部2bがアルカリ現像液に溶解除去され、その結果、
図1(d)に示すように、支持体1上に、離間配置された複数のレジストパターン2aから構成されるレジストパターンが形成される(工程(4);
図1(d))。
【0019】
[工程(1)]
本実施形態では、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分と、酸供給成分として酸性化合物と、を含有するレジスト組成物を、支持体1上に塗布してレジスト膜2を形成する。
【0020】
支持体1としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体1としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよく、有機系の膜が設けられたものが好ましい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層膜が挙げられる。特に、有機膜が設けられていると、基板上に、高アスペクト比のパターンを容易に形成でき、半導体の製造等において有用である。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層膜)と、少なくとも一層のレジスト膜とを設け、上層のレジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。多層レジスト法には、基本的に、上層のレジスト膜と下層膜との二層構造とする方法と、これらのレジスト膜と下層膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法と、に分けられる。多層レジスト法によれば、下層膜により所要の厚みを確保することにより、レジスト膜を薄膜化し、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基板上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を、基板上にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。このとき用いられる有機膜形成用材料は、レジスト膜のような、光や電子線に対する感受性を必ずしも必要とするものではなく、該感受性を有するものであってもよく、有さないものであってもよい。具体的には、半導体素子や液晶表示素子の製造において一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、レジストパターンを用いて有機膜をエッチングすることにより、レジストパターンを有機膜へ転写し、有機膜パターンを形成できるように、有機膜形成用材料は、エッチング、特にドライエッチング可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。中でも、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。このような有機膜形成用材料としては、従来、有機BARCなどの有機膜を形成するために用いられている材料であってよい。例えば、ブリューワサイエンス社製のARCシリーズ、ロームアンドハース社製のARシリーズ、東京応化工業社製のSWKシリーズなどが挙げられる。
【0021】
本実施形態において、レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分と、酸供給成分として酸性化合物、を含有するものである。
この酸性化合物は、後述の工程(3)において、ベーク(PEB)により酸として作用する。そして、この酸(酸性化合物)が、レジスト膜2の露光部2aでは、露光により光塩基発生剤成分から発生した塩基と中和し、未露光部2bでは、基材成分に作用して、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる。
かかるレジスト組成物の具体例について、詳しくは後述する。
【0022】
レジスト組成物を、支持体1上に塗布してレジスト膜2を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
たとえば、レジスト組成物を、スピンコート、スピンナーを用いる等の従来公知の方法により支持体1上に塗布し、常温での乾燥をクーリングプレート上などで行い、有機溶剤を揮発させることによりレジスト膜2を形成できる。通常、レジスト組成物を支持体1に供給後(塗布後)、1回以上の回転工程が行われるが、本発明においては、塗布後の全回転工程における合計回転時間(以下、「回転時間」と称する)が50秒以上である必要がある。前記回転時間は、好ましくは55秒以上であり、より好ましくは60秒以上である。全回転時間が長いほど成膜性が良好となり、液浸露光プロセスにおいても溶出リスクが低減できる。上限について、スループット等を考慮すれば、180秒以下が好ましく、150秒以下がより好ましい。
【0023】
なお、全回転工程中には、レジスト膜の膜厚が決定される本回転の工程が設けられる。本回転時間は、上記の全体の回転時間にも依存するが長く設定される方が膜厚の均一性が良好になる点で好ましい。ただし、本回転時間が全回転時間と等しくなることはなく、ウエハのエッジリンスやバックリンス、さらに本回転にいたるまでの加速のための時間を考慮すると、通常は、全回転工程中に本回転工程以外の時間が15秒〜20秒程度以上は設けられている。
本発明においては、全回転工程中、レジスト膜の膜厚が決定される本回転工程の本回転時間が10秒以上であることが好ましく、20秒以上であることがより好ましく、30秒以上であることがさらに好ましく、60秒以上であることが特に好ましい。本回転時間の上限については、全回転時間に応じて適宜設定すればよい。 また、本回転工程における回転数は、1000〜4000rpmであることが好ましく、1000〜3000rpmであることがより好ましく、1000〜2000rpmであることがさらに好ましい。
回転工程は通常、複数のステップで行われる。各ステップにおいては、形成する膜厚等に応じて回転時間、回転数等を適宜調整する。例えば、本回転時間を30秒とした塗布時から全回転工程終了までの各ステップにおける時間と回転数は、以下のように設定することができる。
【0025】
上記回転工程例の場合、ステップ1とステップ10は回転数0rpmなので、本発明における全回転時間には含まれない。具体的には、ステップ1は回転開始前であり、この間に、レジスト組成物を支持体であるウエハ等に供給する。またステップ10は回転工程終了時の停止時間である。
なお、ステップ1の前にいわゆるプリウェット工程を設けてもよい。また、この場合、ステップ1では回転を停止させているが、回転させながらレジスト組成物を支持体であるウエハ等に供給することも可能である。回転中にレジスト組成物を供給する場合は、供給中の回転時間は本発明における、「レジスト液を基板に供給後の回転時間」に含まれる。
上記回転工程例の場合、ステップ2〜9の回転時間が本発明における全回転時間となり、この場合55秒である。
ステップ2は本回転工程に移行するまでの加速工程である。
ステップ3が本回転工程である。
ステップ4は、ステップ5からのリンス工程に用いるアームノズルを移動させる工程となる。本工程は形式的に組み込まれており、アームノズルの移動は本回転工程内(の最後5秒間)に行うことも可能であるため、この場合、全回転時間を実質5秒間短縮して50秒間とすることも可能である。また、この場合、ステップ4は本回転工程とは別のステップであるため、回転数を本回転の回転数から変更させてもよい。
ステップ5〜8はリンス工程である。ここでの場合、ステップ5〜8の12秒間でウエハのエッジ部分のリンス処理(エッジリンス)を行い、ステップ6〜7の10秒間でウエハの裏面のリンス処理(バックリンス)を行っている。リンス処理時間はその目的にもよるが通常10秒程度以上である。
ステップ9はリンス液等の振り切り工程である。
回転工程の各ステップは、通常、上記のようにリンス処理等の目的を含むが、本発明においてはプレベーク工程を省いても、良好な成膜性を得るために全回転時間を50秒以上とする必要があることから、上記回転工程例の場合ではステップ2〜9のすべての工程が成膜性に寄与している。よって、上記ステップで示した以外に別途、成膜性を向上させる目的の回転工程を設けてもよい。
本発明においては、溶出リスク等を低減する成膜性向上目的に加えて、膜厚均一性も良好になることから、全回転時間における本回転時間の割合を高くすることが好ましい。具体的に、全回転時間中の15%以上が好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。上限については全回転時間に応じて適宜設定すればよいが、例えば85%以下である。
【0026】
本発明においては、レジスト組成物を支持体上に塗布した後から露光するまでの間に「プレベーク」を行わず、酸供給成分を酸として作用させないようにすることで、レジスト膜2の露光部2aと未露光部2bとのコントラストが向上し、解像性の高いネガ型パターンが形成される。また、本発明においては、レジスト液を基板に供給後の回転時間が50秒以上とすることにより、形成されたレジスト膜からの物質溶出を抑制できるので、特に液浸露光プロセスにおいてディフェクトの発生を低減出来ることが期待される。
なお、本発明は、レジスト組成物を支持体上に塗布した後から露光するまでの間において、本発明における「プレベーク」の温度より低い温度範囲(70℃未満)で加温することを除外するものではない(プレベークの温度より低い温度範囲で加温することにより、コントラストを低下させず、例えば、後述の(F)成分のレジスト膜表面偏析効果を向上させることができる等のメリットがある)。
【0027】
工程(1)で形成されるレジスト膜2の膜厚は、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下であり、特に好ましくは50〜150nm以下である。
レジスト膜2の膜厚が好ましい上限値以下であれば、プレベークを行わずに、常温下でスピンコート等による塗布方法によって、レジスト組成物を支持体1上により均一に塗布しやすくなる、有機溶剤が残存しにくく乾燥しやすくなる、レジスト膜2の支持体1面内均一性が高まる。加えて、レジスト膜2の膜厚を前記の好適な範囲内とすることにより、レジストパターンを高解像度で形成できる、エッチングに対する充分な耐性が得られる等の効果がある。
【0028】
[工程(2)]
本実施形態では、前記工程(1)で形成され、プレベークを施さないレジスト膜2を、フォトマスク3を介して選択的に露光する。これにより、露光部2aでは、露光により光塩基発生剤成分から塩基が発生する。
露光量は、露光部2aに存在する酸を中和するのに必要な量の塩基を光塩基発生剤成分から発生し得る程度であればよい。
露光に用いる波長は、特に限定されず、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F
2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。微細なレジストパターンを形成しやすいことから、ArFエキシマレーザー、EUV、又はEBが好ましく、ArFエキシマレーザーが特に好ましい。
フォトマスク3としては、特に限定されず、公知のものを利用でき、たとえば、遮光部の透過率が0%のバイナリーマスク(Binary−Mask)や、遮光部の透過率が6%のハーフトーン型位相シフトマスク(HT−Mask)を用いることができる。なお、ハーフトーン型位相シフトマスクにより選択的に未露光部を形成してもよい。
バイナリーマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてクロム膜、酸化クロム膜等が形成されたものが用いられる。
位相シフトマスクは、光の位相を変化させる部分(シフタ)が設けられたフォトマスクである。そのため、位相シフトマスクを用いることにより、未露光部への光の入射を抑制でき、未露光部と露光部との間の対アルカリ現像液溶解コントラストが向上する。位相シフトマスクとしては、ハーフトーン型位相シフトマスクの他に、レベンソン型位相シフトマスク等も挙げられる。これらの位相シフトマスクはそれぞれ市販のものが利用できる。ハーフトーン型位相シフトマスクとして、具体的には、一般的には石英ガラス基板上に、透過率が数〜10%程度(一般的には6%)の遮光部(シフタ膜)としてMoSi(モリブデン・シリサイド)膜、クロム膜、酸化クロム膜、酸窒化シリコン膜等が形成されたものが挙げられる。
なお、本実施形態では、フォトマスク3を介して露光を行っているが、本発明はこれに限定されず、フォトマスクを介さない露光、たとえばEB等の描画により選択的露光を行ってもよい。
【0029】
レジスト膜2の露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)により行ってもよく、液浸媒体を介しての露光(液浸露光)により行ってもよい。なかでも、本工程(2)は、より高解像性のレジストパターンを形成できることから、液浸媒体を介して露光する工程であることが好ましい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズと支持体1上のレジスト膜2との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜2と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のフォトマスク3を介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜2の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、レジスト膜2の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C
3HCl
2F
5、C
4F
9OCH
3、C
4F
9OC
2H
5、C
5H
3F
7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体を、簡便な方法で除去できることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物として具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
【0030】
[工程(3)]
本実施形態では、前記工程(2)の後にベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を行う。
ベークは、温度条件が好ましくは50〜200℃程度、より好ましくは80〜150℃程度、さらに好ましくは90〜130℃程度;ベーク時間が好ましくは10〜300秒間、より好ましくは40〜120秒間、さらに好ましくは60〜90秒間で行うことが好ましい。
このように、レジスト膜2を露光後にベークを行うと、レジスト膜2全体で、レジスト組成物に配合された酸性化合物が酸として作用し、未露光部2bでは、この酸(酸性化合物)の作用により、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、露光部2aでは、露光により光塩基発生剤成分から発生した塩基と、前記酸(酸性化合物)との中和反応が進行するため、基材成分に作用し得る酸が減少することで、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないか、変化してもその変化量がわずかとなる。これにより、露光部2aと未露光部2bとのアルカリ現像液に対する溶解速度に差(溶解コントラスト)が生じる。
なお、本工程(3)におけるベークは、必ずしも、前記中和反応の開始を制御するものではない。
【0031】
[工程(4)]
本実施形態では、前記工程(3)の後、アルカリ現像を行うことにより、レジスト膜2の未露光部2bが溶解除去され、露光部2aが残膜してネガ型レジストパターンが形成される。
アルカリ現像液として具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類などのアルカリ性水溶液を使用することができる。
なかでも、アルカリ現像液としては、第一級アミン類、第二級アミン類、第三級アミン類および第四級アンモニウム塩から成る群より選ばれる少なくとも1種類を含むアルカリ性水溶液が好ましく、これらの中でもテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水溶液を用いることが特に好ましい。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加したものを使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度(現像液中の無機アルカリ、第四級アンモニウム塩又はアミン化合物の濃度、現像液の全質量を基準として)は、通常0.01〜20質量%である。
アルカリ現像処理は、公知の方法により実施できる。
上記アルカリ現像の後、純水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像の後、さらに、ベーク(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分を除去する目的で行われるため)通常100℃程度の条件で行われ、ベーク時間は、好ましくは30〜90秒間である。
【0032】
上述した本実施形態においては、基材成分と光塩基発生剤成分とに加えて、酸供給成分として酸性化合物を含有するレジスト組成物が用いられているが、酸性化合物の代わりに、又は酸性化合物と共に、酸発生剤成分(熱酸発生剤、光酸発生剤など)を含有するレジスト組成物を用いてもよい。また、上記PEB等のベーク処理を施したときに酸の濃度が高まることから、酸性化合物及び酸発生剤成分の少なくとも一種以上と共に酸増殖剤成分を併用してもよい。
当該酸発生剤成分としては、加熱により酸を発生するもの(熱酸発生剤)、露光により酸を発生するもの(光酸発生剤)の一方、又は両方を用いることができる。
【0033】
酸発生剤成分として熱酸発生剤を含有するレジスト組成物を用いた場合、上記工程(3)でのベーク(PEB)により、レジスト膜2全体で、熱酸発生剤から酸が発生する。そして、レジスト膜2の未露光部2bでは、このベーク(PEB)により熱酸発生剤から発生した酸の作用によって基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、レジスト膜2の露光部2aでは、このベーク(PEB)により熱酸発生剤から発生した酸と、上記工程(2)での露光により光塩基発生剤成分から発生した塩基との中和反応が進行し、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないか、変化してもその変化量がわずかとなる。これにより、露光部2aと未露光部2bとのアルカリ現像液に対する溶解速度に差(溶解コントラスト)が生じる。そのため、熱酸発生剤を含有するレジスト組成物を用いた場合でも、プレベークを行わないことで、該レジスト組成物を支持体上に塗布した後から露光するまでの間、熱酸発生剤に由来する酸が基材成分に作用することなく、レジスト膜2の露光部2aと未露光部2bとのコントラストが向上し、解像性の高いネガ型レジストパターンが形成される。
【0034】
また、フォトマスク、基材成分、光塩基発生剤成分等の種類を適宜選択することにより、酸発生剤成分として光酸発生剤を用いることもできる。たとえば、相対的に拡散長の長い光酸発生剤と、相対的に拡散長の短い光塩基発生剤とを含有するレジスト組成物を用い、フォトマスクとして、透過性を有するフォトマスク(ハーフトーン型位相シフトマスク等)を用いた実施形態が挙げられる。酸や塩基の拡散長は、酸については光酸発生剤におけるアニオン部の骨格や極性等で、塩基については、光塩基発生剤における光分解後の塩基の分子量や骨格等で調整できる。
かかる実施形態では、上記工程(2)での露光により、露光部2aでは、光塩基発生剤成分から塩基と、光酸発生剤から酸とが発生する。そして、未露光部2bでは、上記工程(3)でのベークにより、露光部2aで発生して未露光部2bまで拡散した酸の作用によって基材成分の保護基が解離(脱保護反応が進行)して基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、露光部2aでは、工程(2)で発生した塩基と酸との中和反応が進行し、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないか、変化してもその変化量がわずかとなる。これにより、露光部2aと未露光部2bとのアルカリ現像液に対する溶解速度に差(溶解コントラスト)が生じる。
【0035】
また、本発明のレジストパターン形成方法としては、上記の工程(2)と工程(3)との間に、酸供給成分を含有する有機膜形成用組成物を、レジスト膜上に塗布して有機膜を形成する工程(5)を含んでいてもよい。露光の後、レジスト膜上に前記有機膜形成用組成物を塗布し、次いで、ベーク(PEB)を行うことにより、レジスト膜上に有機膜が形成されると共に、該有機膜に含まれる酸供給成分に由来する酸が、該有機膜からレジスト膜へ拡散し、該レジスト膜に酸がさらに供給される。その後、アルカリ現像液による現像を行うことにより、高コントラストのネガ型レジストパターンが形成される。
また、前記有機膜形成用組成物を用いる代わりに、酸性の活性リンスをレジスト膜に塗布する操作を行うだけの実施形態でもよい。酸性の活性リンスとしては、後述の(G2)成分を含む水溶液等を用いればよい。
前記有機膜形成用組成物としては、酸供給成分に加えて、たとえば樹脂、有機溶剤などを含有するものを用いることができる。樹脂は、特に限定されず、なかでも工程(4)において、アルカリ現像によりレジストパターン形成と同時に、形成された有機膜の除去が可能となることから、アルカリ可溶性樹脂を用いることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性基を有する樹脂であればよく、従来公知のノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。有機溶剤は、後述するレジスト組成物に配合される有機溶剤と同様のもの、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤などを用いることができる。酸供給成分は、後述するレジスト組成物に配合される酸供給成分と同様のものを用いることができる。なお、酸供給成分として光酸発生剤を用いる場合は、前記工程(5)を、工程(1)と工程(2)との間に設ければよい。
【0036】
本発明のレジストパターン形成方法においては、上記のようにしてネガ型レジストパターンを形成した後、さらに、該ネガ型レジストパターンをマスクとして用いて支持体1のエッチングを行ってもよい。該エッチングにより支持体1にレジストパターンを転写することで、半導体デバイス等を製造することができる。
エッチングには公知の方法が利用できる。たとえば支持体1が基板上に有機膜を有するものである場合、該有機膜のエッチングは、ドライエッチングが好ましい。特に、生産効率等の点から、酸素プラズマエッチング、またはCF
4ガスもしくはCHF
3ガスを用いたエッチングが好ましく、中でも酸素プラズマエッチングがより好ましい。
基板のエッチングは、ハロゲンガスを用いたエッチングが好ましく、フッ化炭素系ガスを用いたエッチングがより好ましく、CF
4ガス又はCHF
3ガスを用いたエッチングが特に好ましい。
【0037】
(レジスト組成物)
本発明のレジストパターン形成方法においては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(以下「(A)成分」ともいう。)と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分(以下「(C)成分」ともいう。)と、酸供給成分(以下「(Z)成分」ともいう。)とを含有するレジスト組成物が用いられる。
前記レジストは、更にアミンを含有することが好ましい。
以下、各成分について説明する。
【0038】
・基材成分;(A)成分
(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分である。
「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。本明細書および特許請求の範囲において「樹脂」という場合、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
【0039】
(A)成分としては、好ましくは、酸の作用により極性が増大する基材成分(以下「(A0)成分」ともいう。)が用いられる。
本発明において(A0)成分を用いた場合、(A0)成分は工程(3)でのベーク前後で未露光部の極性が変化するため、アルカリ現像により、良好な現像コントラストを得ることができる。
該(A0)成分は、酸の作用により極性が増大する樹脂成分であってもよく、酸の作用により極性が増大する低分子化合物成分であってもよく、又はこれらの混合物であってもよい。
(A0)成分としては、酸の作用により極性が増大する樹脂成分であることが好ましく、特に、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)(以下「(A1)成分」という。)を含有するものが好ましい。
(A1)成分は、前記構成単位(a1)に加えて、さらに、−SO
2−含有環式基を含む構成単位(a0)を有するものが好ましい。
また、(A1)成分は、前記構成単位(a1)に加えて、又は、構成単位(a1)と構成単位(a0)とに加えて、さらに、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位を有するものが好ましい。
また、(A1)成分は、前記構成単位(a1)に加えて、又は、構成単位(a0)及び構成単位(a2)の少なくとも一方と前記構成単位(a1)とに加えて、さらに、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a3)を有するものが好ましい。
【0040】
ここで、本明細書および本特許請求の範囲において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH
2=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
α置換アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0041】
[構成単位(a1)]
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SO
3H)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基を酸解離性基で保護した基(たとえばOH含有極性基の水素原子を酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
「酸解離性基」は、酸の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基である。酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大する。
【0042】
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状又は環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状又は環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基が形成される。
前記鎖状又は環状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」という。
【0043】
第3級アルキルエステル型酸解離性基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性基、脂肪族環式基を含有する酸解離性基が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性基としては、たとえば、−C(R
71)(R
72)(R
73)で表される基が挙げられる。式中、R
71〜R
73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R
71)(R
72)(R
73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
【0044】
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基又は多環式基であることを示す。
「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。また、これらの脂環式炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されたものであってもよい。
【0045】
脂肪族環式基を含有する酸解離性基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合して第3級炭素原子が形成されている基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基などが挙げられる。
前記(i)の基において、脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に結合する置換基としては、たとえばアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、たとえば後述する式(1−1)〜(1−9)中のR
14と同様のものが挙げられる。
前記(i)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
前記(ii)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
【0046】
【化1】
[式中、R
14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
【0047】
【化2】
[式中、R
15およびR
16は、それぞれ独立してアルキル基である。]
【0048】
式(1−1)〜(1−9)中、R
14のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
式(2−1)〜(2−6)中、R
15〜R
16のアルキル基としては、前記R
14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
【0049】
「アセタール型酸解離性基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、酸が作用して、アセタール型酸解離性基と、当該アセタール型酸解離性基が結合した酸素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基が形成される。
アセタール型酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
【0050】
【化3】
[式中、R
1’,R
2’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
【0051】
式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
R
1’,R
2’のアルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R
1’,R
2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
【0052】
【化4】
[式中、R
1’、n、Yは上記と同じである。]
【0053】
Yのアルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが例示できる。
【0054】
アセタール型酸解離性基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
【0055】
【化5】
[式中、R
17、R
18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり;R
19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R
17およびR
19がそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であって、R
17の末端とR
19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
【0056】
R
17、R
18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特にR
17、R
18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
R
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、エチル基が最も好ましい。
R
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R
17及びR
19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R
19の末端とR
17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R
17と、R
19と、R
19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR
17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0057】
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位;ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。酸分解性基を含む置換基としては、上記で説明した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基が好ましいものとして挙げられる。
【0058】
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
【0059】
なかでも、構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
【0060】
【化6】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;X
1は酸解離性基であり;Y
2は2価の連結基であり;X
2は酸解離性基である。]
【0061】
一般式(a1−0−1)において、Rのアルキル基、ハロゲン化アルキル基は、それぞれ、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
X
1は、酸解離性基であれば特に限定されることはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
X
2は、式(a1−0−1)中のX
1と同様である。
【0062】
Y
2の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の基または原子)で置換されていることを意味する。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
前記Y
2における2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0063】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH
2−]、エチレン基[−(CH
2)
2−]、トリメチレン基[−(CH
2)
3−]、テトラメチレン基[−(CH
2)
4−]、ペンタメチレン基[−(CH
2)
5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−C(CH
2CH
3)
2−CH
2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0064】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0065】
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
前記Y
2における2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香族炭化水素環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0066】
前記Y
2の「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−、−NH−C(=O)−、=N−、一般式−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基[式中、Y
21およびY
22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
Y
2が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アリール基(芳香族基)等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アリール基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−中、Y
21およびY
22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記でY
2における「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Y
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−で表される基としては、式−Y
21−C(=O)−O−Y
22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH
2)
a’−C(=O)−O−(CH
2)
b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合またはエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基がより好ましい。
【0067】
上記のなかでも、Y
2の2価の連結基としては、特に、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
【0068】
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
【0069】
【化7】
[式中、R、R
1’、R
2’、n、YおよびY
2はそれぞれ前記と同じであり、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性基を表す。]
【0070】
式中、X’は、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基と同様のものが挙げられる。
R
1’、R
2’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR
1’、R
2’、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y
2としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるY
2と同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0079】
本発明においては、構成単位(a1)として、下記一般式(a1−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−12)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−13)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−14)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−15)で表される構成単位、および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。
なかでも、下記一般式(a1−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−12)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−13)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−14)で表される構成単位、および下記一般式(a1−0−15)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することがより好ましい。
【0080】
【化16】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R
21はアルキル基であり;R
22は、当該R
22が結合した炭素原子と共に脂肪族単環式基を形成する基であり;R
23は分岐鎖状のアルキル基であり;R
24は、当該R
24が結合した炭素原子と共に脂肪族多環式基を形成する基であり;R
25は炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。R
15およびR
16は、それぞれ独立してアルキル基である。Y
2は2価の連結基であり、X
2は酸解離性基である。]
【0081】
各式中、R、Y
2、X
2についての説明は前記と同じである。
式(a1−0−11)中、R
21のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
R
22が、当該R
22が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族単環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、単環式基であるものと同様のものが挙げられる。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該モノシクロアルカンは、3〜11員環であることが好ましく、3〜8員環であることがより好ましく、4〜6員環がさらに好ましく、5または6員環が特に好ましい。
該モノシクロアルカンは、環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
また、該モノシクロアルカンは、置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基を有していてもよい。
かかる脂肪族単環式基を構成するR
22としては、たとえば、炭素原子間にエーテル基(−O−)が介在してもよい直鎖状のアルキレン基が挙げられる。
【0082】
式(a1−0−11)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−16)〜(a1−1−23)、(a1−1−27)、(a1−1−31)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)、(a1−1−27)、(a1−1−31)、(a1−1−32)、(a1−1−33)で表される構成単位を包括する下記(a1−1−02)で表される構成単位が好ましい。また、下記(a1−1−02’)で表される構成単位も好ましい。
各式中、hは、1〜4の整数であり、1または2が好ましい。
【0083】
【化17】
[式中、R、R
21はそれぞれ前記と同じであり、hは1〜4の整数である。]
【0084】
式(a1−0−12)中、R
23の分岐鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基で挙げた分岐鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、イソプロピル基が最も好ましい。
R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものが挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−26)、(a1−1−28)〜(a1−1−30)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位としては、R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−26)で表される構成単位が好ましい。
【0085】
式(a1−0−13)中、RおよびR
24はそれぞれ前記と同様である。
R
25の直鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基で挙げた直鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
式(a1−0−13)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−1)〜(a1−1−2)、(a1−1−7)〜(a1−1−15)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−13)で表される構成単位としては、R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−1)または(a1−1−2)で表される構成単位が好ましい。
【0086】
式(a1−0−14)中、RおよびR
22はそれぞれ前記と同様である。R
15およびR
16は、それぞれ前記一般式(2−1)〜(2−6)におけるR
15およびR
16と同様である。
式(a1−0−14)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−35)、(a1−1−36)で表される構成単位が挙げられる。
【0087】
式(a1−0−15)中、RおよびR
24はそれぞれ前記と同様である。R
15およびR
16は、それぞれ前記一般式(2−1)〜(2−6)におけるR
15およびR
16と同様である。
式(a1−0−15)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−4)〜(a1−1−6)、(a1−1−34)で表される構成単位が挙げられる。
【0088】
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、前記式(a1−3)または(a1−4)で表される構成単位が挙げられ、特に式(a1−3)で表される構成単位が好ましい。
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、特に、式中のY
2が前記−Y
21−O−Y
22−または−Y
21−C(=O)−O−Y
22−で表される基であるものが好ましい。
かかる構成単位として、好ましいものとしては、下記一般式(a1−3−01)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−02)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−03)で表される構成単位などが挙げられる。
【0089】
【化18】
[式中、Rは前記と同じであり、R
13は水素原子またはメチル基であり、R
14はアルキル基であり、eは1〜10の整数であり、n’は0〜3の整数である。]
【0090】
【化19】
[式中、Rは前記と同じであり、Y
2’およびY
2”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、X’は酸解離性基であり、wは0〜3の整数である。]
【0091】
式(a1−3−01)〜(a1−3−02)中、R
13は、水素原子が好ましい。
R
14は、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14と同様である。
eは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
式(a1−3−01)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−02)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位等が挙げられる。
【0092】
式(a1−3−03)中、Y
2’、Y
2” における2価の連結基としては、前記一般式(a1−3)におけるY
2と同様のものが挙げられる。
Y
2’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
Y
2”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に置換基が結合して第3級炭素原子が形成されている基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
wは0〜3の整数であり、wは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が好ましく、中でも、式(a1−3−03−1)で表される構成単位が好ましい。
【0093】
【化20】
[式中、RおよびR
14はそれぞれ前記と同じであり、a’は1〜10の整数であり、b’は1〜10の整数であり、tは0〜3の整数である。]
【0094】
式(a1−3−03−1)〜(a1−3−03−2)中、a’は前記と同じであり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が特に好ましい。
b’は前記と同じであり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
tは1〜3の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−29)〜(a1−3−32)で表される構成単位が挙げられる。
【0095】
(A1)成分が含有する構成単位(a1)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、15〜70モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。
構成単位(a1)の割合を下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
【0096】
[構成単位(a0)]
構成単位(a0)は、−SO
2−含有環式基を含む構成単位である。
構成単位(a0)は、−SO
2−含有環式基を含むことにより、(A1)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の基板への密着性を高める。また、感度、解像性、露光余裕度(ELマージン)、LWR(ラインワイズラフネス)、LER(ラインエッジラフネス)、マスク再現性等のリソグラフィー特性の向上に寄与する。
【0097】
ここで「−SO
2−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO
2−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO
2−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。
−SO
2−含有環式基においては、その環骨格中に−SO
2−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
−SO
2−含有環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
−SO
2−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO
2−を含む環式基、すなわち−O−SO
2−中の−O−S−が環式基の環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環であることが好ましい。
−SO
2−含有環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることが好ましく、4〜15であることがより好ましく、4〜12であることが特に好ましい。ただし、該炭素数は環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
−SO
2−含有環式基は、−SO
2−含有脂肪族環式基であってもよく、−SO
2−含有芳香族環式基であってもよい。好ましくは−SO
2−含有脂肪族環式基である。
−SO
2−含有脂肪族環式基としては、その環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO
2−または−O−SO
2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基が挙げられる。より具体的には、その環骨格を構成する−CH
2−が−SO
2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基、その環を構成する−CH
2−CH
2−が−O−SO
2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基等が挙げられる。
該脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0098】
−SO
2−含有環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”(R”は水素原子又はアルキル基である。)、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であることが好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
−SO
2−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
【0099】
【化21】
[式中、A’は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、zは0〜2の整数であり、R
6はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、R”は水素原子またはアルキル基である。]
【0100】
前記一般式(3−1)〜(3−4)中、A’は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH
2−、−CH
2−O−CH
2−、−S−CH
2−、−CH
2−S−CH
2−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
zは0〜2のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
zが2である場合、複数のR
6はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R
6におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記で−SO
2−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
【0104】
−SO
2−含有環式基としては、上記の中でも、前記一般式(3−1)で表される基が好ましく、前記化学式(3−1−1)、(3−1−18)、(3−3−1)および(3−4−1)のいずれかで表される基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(3−1−1)で表される基が最も好ましい。
【0105】
構成単位(a0)の例として、より具体的には、下記一般式(a0−0)で表される構成単位が挙げられる。
【0106】
【化25】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R
39は−O−又は−NH−であり、R
30は−SO
2−含有環式基であり、R
29’は単結合または2価の連結基である。]
【0107】
式(a0−0)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rにおけるハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
前記式(a0−0)中、R
39は、−O−、又は、−NH−である。
前記式(a0−0)中、R
30は、前記で挙げた−SO
2−含有環式基と同様である。
【0108】
前記式(a0−0)中、R
29’は、単結合又は2価の連結基のいずれであってもよい。本発明の効果に優れることから、2価の連結基であることが好ましい。
R
29’における2価の連結基としては、上述した構成単位(a1)の説明の中で挙げた一般式(a1−0−2)中のY
2における2価の連結基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
29’の2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂環式炭化水素基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)を含むものが好ましい。
該アルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。具体的には、前記Y
2における脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
エステル結合を含む2価の連結基としては、特に、一般式:−R
20−C(=O)−O−[式中、R
20は2価の連結基である。]で表される基が好ましい。すなわち、構成単位(a0)は、下記一般式(a0−0−1)で表される構成単位であることが好ましい。
【0109】
【化26】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R
39は−O−又は−NH−であり、R
20は2価の連結基であり、R
30は−SO
2−含有環式基である。]
【0110】
R
20としては、特に限定されず、たとえば上記一般式(a0−0)中のR
29’における2価の連結基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
20の2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
該直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記のR
29’で好ましいものとして挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
上記の中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子として酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。
直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基またはエチレン基が好ましく、メチレン基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキレン基としては、アルキルメチレン基またはアルキルエチレン基が好ましく、−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−または−C(CH
3)
2CH
2−が特に好ましい。
酸素原子を含む2価の連結基としては、エーテル結合またはエステル結合を含む2価の連結基が好ましく、前記の式−Y
21−O−Y
22−、式−[Y
21−C(=O)−O]
m’− Y
22−または式−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基がより好ましい。Y
21、Y
22、m’は、それぞれ前記と同じである。
なかでも、式−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基が好ましく、式−(CH
2)
c−O−C(=O)−(CH
2)
d−で表される基が特に好ましい。cは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。dは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
【0111】
構成単位(a0)としては、特に、下記一般式(a0−0−11)または(a0−0−12)で表される構成単位が好ましく、式(a0−0−12)で表される構成単位がより好ましい。
【0112】
【化27】
[式中、R、A’、R
6、z、R
39およびR
20はそれぞれ前記と同じである。]
【0113】
式(a0−0−11)中、A’はメチレン基、エチレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましい。
式(a0−0−12)中、R
20としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、または酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。R
20における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記で挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
式(a0−0−12)で表される構成単位としては、特に、下記一般式(a0−0−12a)または(a0−0−12b)で表される構成単位が好ましい。
【0114】
【化28】
[式中、R、R
39およびA’はそれぞれ前記と同じであり、c及びdはそれぞれ前記と同じであり、fは1〜5の整数(好ましくは1〜3の整数)である。]
【0115】
(A1)成分が含有する構成単位(a0)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、当該(A1)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジストパターン形状が良好となり、ELマージン、LWR、マスク再現性等のリソグラフィー特性にも優れることから、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜60モル%であることが好ましく、5〜55モル%がより好ましく、10〜50モル%がさらに好ましく、15〜45モル%が最も好ましい。
【0116】
[構成単位(a2)]
構成単位(a2)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基を含む構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(=O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液(特にアルカリ現像プロセスの場合)との親和性を高めたりする上で有効なものである。
【0117】
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
【0118】
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
【0119】
【化29】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R
29は単結合または2価の連結基であり、s”は0または1〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1の整数である。]
【0120】
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、−SO
2−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”(R”は前記同様)と同様のものが挙げられる。
A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
R
29は単結合または2価の連結基である。2価の連結基としては、前記一般式(a1−0−2)中のY
2で説明した2価の連結基と同様であり、それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、もしくはそれらの組み合わせであることが好ましい。R
29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記Y
2における脂肪族炭化水素基で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
s”は1〜2の整数が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例をそれぞれ例示する。
以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0126】
(A1)成分が含有する構成単位(a2)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0127】
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、10〜45モル%がさらに好ましい。
構成単位(a2)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
【0128】
[構成単位(a3)]
構成単位(a3)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(ただし、上述した構成単位(a1)、(a0)、(a2)に該当するものを除く)である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
【0129】
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
【0130】
【化35】
(式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
【0131】
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
【0132】
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
【0133】
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
【0134】
(A1)成分が含有する構成単位(a3)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
【0135】
[その他の構成単位]
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の構成単位(a1)、構成単位(a0)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)以外のその他の構成単位を有してもよい。
かかるその他の構成単位は、上述の構成単位に分類されない構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
かかるその他の構成単位としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸非解離性の脂肪族多環式基を含む構成単位(a4)、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a5)、スチレンから誘導される構成単位(a6)等が挙げられる。
【0136】
「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して形成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン」とは、α位の炭素原子(フェニル基が結合する炭素原子)に水素原子が結合しているヒドロキシスチレンのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているもの、並びにそれらの誘導体も含む概念とする。具体的には、少なくともベンゼン環と、該ベンゼン環に結合する水酸基が維持されており、たとえば、ヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等の置換基に置換されたもの、ならびに、ヒドロキシスチレンの水酸基が結合したベンゼン環に、さらに炭素数1〜5のアルキル基が結合したものや、この水酸基が結合したベンゼン環に、さらに1〜2個の水酸基が結合したもの(このとき、水酸基の数の合計は2〜3である。)等を包含するものとする。
「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して形成される構成単位を意味する。
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているもの、並びにそれらの誘導体(ただし、上記ヒドロキシスチレンを除く。)を含む概念とする。また、フェニル基の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基等の置換基で置換されたもの等も包含するものとする。
前記のヒドロキシスチレンまたはスチレンにおいて、α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
【0137】
(構成単位(a4))
構成単位(a4)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸非解離性の脂肪族多環式基を含む構成単位である。
構成単位(a4)において、該多環式基は、たとえば、前記の構成単位(a1)の場合に例示した多環式基と同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特に、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)で表される構造のものを例示することができる。
【0138】
【化36】
(式中、Rは前記と同じである。)
【0139】
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4)を1〜30モル%含有させることが好ましく、10〜20モル%含有させることがより好ましい。
【0140】
(構成単位(a5))
構成単位(a5)としては、有機溶剤に対する溶解性が良好で、また、アルカリ現像液に対して溶解性を有するようになり、かつ、エッチング耐性に優れることから、下記一般式(a5−1)で表される構成単位が好適に例示できる。
【0141】
【化37】
[式中、R
60は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり;R
61は炭素数1〜5のアルキル基であり;pは1〜3の整数であり;qは0〜2の整数である。]
【0142】
前記式(a5−1)中、R
60における炭素数1〜5のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。R
60としては、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
pは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
qは0〜2の整数である。これらのうち、qは0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
R
61のアルキル基としては、R
60のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R
61の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。qが2である場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のR
61は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0143】
かかる構成単位(a5)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a5)を50〜90モル%含有させることが好ましく、55〜85モル%含有させることがより好ましく、60〜80モル%含有させることがさらに好ましい。
【0144】
(構成単位(a6))
構成単位(a6)としては、アルカリ現像液に対する溶解性を調整することができ、また、耐熱性やドライエッチング耐性が向上することから、下記一般式(a6−1)で表される構成単位が好適に例示できる。
【0145】
【化38】
[式中、R
60は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり;R
62は炭素数1〜5のアルキル基であり;xは0〜3の整数である。]
【0146】
前記一般式(a6−1)中、R
60は、上記一般式(a5−1)におけるR
60と同様である。
前記式(a6−1)中、R
62のアルキル基は、上記一般式(a5−1)におけるR
61のアルキル基と同様のものが挙げられる。
xは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
xが1である場合、R
62の置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。xが2または3である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のR
62は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0147】
かかる構成単位(a6)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a6)を10〜50モル%含有させることが好ましく、15〜45モル%含有させることがより好ましく、20〜40モル%含有させることがさらに好ましい。
【0148】
本発明に用いるレジスト組成物において、(A)成分は、構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)を含有するものが好ましい。
(A1)成分として具体的には、構成単位(a1)及び構成単位(a2)の繰返し構造からなる高分子化合物;構成単位(a1)及び構成単位(a0)の繰返し構造からなる高分子化合物;構成単位(a1)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)の繰返し構造からなる高分子化合物;構成単位(a1)、構成単位(a0)及び構成単位(a3)の繰返し構造からなる高分子化合物;構成単位(a1)、構成単位(a0)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)の繰返し構造からなる高分子化合物等が例示できる。
【0149】
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0150】
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH
2−CH
2−CH
2−C(CF
3)
2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF
3)
2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いてもよく、公知の方法を利用して合成してもよい。
【0151】
(A)成分中、(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、MEF、真円性(Circularity)、ラフネス低減等のリソグラフィー特性がより向上する。
【0152】
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A1)成分以外の、酸の作用により極性が増大する基材成分(以下「(A2)成分」という。)を含有してもよい。
(A2)成分としては、分子量が500以上2500未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性基と、親水性基とを有する低分子化合物などが挙げられる。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部または全部が上記酸解離性基で置換されたものが挙げられる。
該低分子化合物としては、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
該低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜6核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。特には、トリフェニルメタン骨格を2〜6個有するフェノール化合物が、解像性、ラインエッジラフネス(LWR)に優れることから好ましい。該酸解離性基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
【0153】
本発明に用いるレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
【0154】
・光塩基発生剤成分;(C)成分
本発明のレジストパターン形成方法においては、(C)成分が工程(2)での露光エネルギーにより分解して塩基を発生することで、良好な溶解コントラストを得ることができる。
(C)成分は、放射線の照射により分解して塩基を発生し得るものであればよく、カルバメート基(ウレタン結合)含有のもの、アシルオキシイミノ基含有のもの、イオン系のもの(アニオン−カチオン複合体)、カルバモイルオキシイミノ基含有のもの等が挙げられ、カルバメート基(ウレタン結合)含有のもの、アシルオキシイミノ基含有のもの、イオン系のもの(アニオン−カチオン複合体)が好ましい。
また、分子内に環構造を有しているものが好ましく、当該環構造としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、キサントン、チオキサントン、アントラキノン、フルオレン等の環骨格を有するものが挙げられる。
【0155】
なかでも、(C)成分としては、光分解性の点から、下記一般式(C1)で表される化合物(以下「(C1)成分」という)が特に好ましい。かかる化合物に対して放射線を照射すると、少なくとも、該式(C1)中の窒素原子と、該窒素原子に隣接するカルボニル基の炭素原子との間の結合が切断されてアミンまたはアンモニアと、二酸化炭素とが生成する。分解の後、−N(R
1)(R
2)を有する生成物の沸点が高いことが好ましい。また、−N(R
1)(R
2)を有する生成物の分子量が大きいこと、又は嵩高い骨格を有することが、PEB時の拡散制御の点で好ましい。
【0156】
【化39】
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立に水素原子またはヘテロ原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基であり、R
1およびR
2が相互に結合して隣接する窒素原子とともに環式基を形成してもよく;R
3は1価の光官能基である。]
【0157】
式(C1)中、R
1、R
2における炭化水素基が有していてもよいヘテロ原子は、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
該炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも脂肪族炭化水素基でもよく、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
【0158】
式(C1)中、R
1、R
2における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
R
1、R
2における芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
該芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基;ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基;などが挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
また、該芳香族炭化水素基が、芳香環に結合した脂肪族炭化水素基を有する場合、該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む2価の連結基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。該脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、この後に示す、R
1、R
2における脂肪族炭化水素基の説明で挙げる脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
【0159】
前記芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の芳香環に結合した水素原子を置換する置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、シアノ基、ニトロ基、−NR”
2、−R
9’−N(R
10’)−C(=O)−O−R
5’、含窒素複素環式基等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
【0160】
前記−COOR”、−OC(=O)R”、−NR”
2におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基である。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
−NR”
2における2つのR”は、同じであっても異なっていてもよい。
−R
9’−N(R
10’)−C(=O)−O−R
5’中、R
9’はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基であり、R
10’は水素原子またはヘテロ原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基であり、R
5’は脂肪族環または芳香族環を有する1価の有機基である。
R
9’における炭化水素基としては、たとえば、式(C1)中のR
1における炭化水素基から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
R
10’、R
5’はそれぞれ、式(C1)中のR
2、R
3と同様のものが挙げられる。
−R
9’−N(R
10’)−C(=O)−O−R
5’中、R
10’は、R
9’に結合して環を形成していてもよい。
式(C1)中のR
1およびR
2のうち、たとえばR
1が置換基として−R
9’−N(R
10’)−C(=O)−O−R
5’を有する場合、該式中のR
10’が、式(C1)中のR
2に結合して環を形成していてもよい。
式(C1)中のR
1およびR
2のうち、R
1が置換基として−R
9’−N(R
10’)−C(=O)−O−R
5’を有する場合、式(C1)で表される化合物としては、次の一般式:R
5’−O−C(=O)−N(R
10’)−R
4−N(R
2)−C(=O)−O−R
3[式中、R
2〜R
3、R
10’、R
5’はそれぞれ前記と同じであり、R
4は2価の脂肪族炭化水素基である。]で表される化合物が好ましい。
R
4の2価の脂肪族炭化水素基としては、たとえばこの後に示す、R
1、R
2における脂肪族炭化水素基から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
【0161】
前記置換基としての「含窒素複素環式基」は、環骨格に窒素原子を含む含窒素複素環式化合物から1つ以上の水素原子を除いた基である。含窒素複素環式化合物は、その環骨格に、炭素原子および窒素原子以外のヘテロ原子(たとえば酸素原子、硫黄原子等)を有していてもよい。
含窒素複素環式化合物は、芳香族であってもよく、脂肪族であってもよい。また、脂肪族である場合、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。また、含窒素複素環式化合物は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
含窒素複素環式化合物の炭素数は、3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましい。
単環式の含窒素複素環式化合物の具体例としては、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、テトラゾール、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン等が挙げられる。
多環式の含窒素複素環式化合物の具体例としては、キノリン、イソキノリン、インドール、ピロロ[2,3−b]ピリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール(ベンズイミダゾール)、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、アクリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
該含窒素複素環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえば、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0162】
式(C1)中、R
1、R
2における脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
R
1、R
2における脂肪族炭化水素基は、飽和(アルキル基)であってもよく、不飽和であってもよい。通常は飽和であることが好ましい。また、該脂肪族炭化水素基は、それぞれ、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。該組み合わせとして、たとえば、環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基、などが挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10がさらに好ましい。
直鎖状のアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基として具体的には、例えば、1−メチルエチル基(iso−プロピル基)、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、tert−ブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基として、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
【0163】
該脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部が、ヘテロ原子を含む2価の連結基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。
ヘテロ原子を含む2価の連結基において、ヘテロ原子としては、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部を置換するヘテロ原子として挙げたものと同様のものが挙げられる。ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、たとえば、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−、−NH−、−NR
04−(R
04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−NH−C(=O)−、=N−等の、ヘテロ原子を含む2価の非炭化水素基が挙げられる。また、これらの「ヘテロ原子を含む2価の非炭化水素基」と2価の脂肪族炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の脂肪族炭化水素基としては、上述した脂肪族炭化水素基から水素原子を1個除いた基が挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
後者の例における脂肪族炭化水素基の置換基としては、たとえば、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0164】
前記一般式(C1)中、R
1およびR
2が相互に結合して隣接する窒素原子とともに環式基を形成してもよい。
該環式基は、芳香族環式基であってもよく、脂肪族環式基であってもよい。脂肪族環式基である場合、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。通常、飽和であることが好ましい。
該環式基は、その環骨格に、R
1およびR
2が結合した窒素原子以外の窒素原子を有していてもよい。また、環骨格に、炭素原子および窒素原子以外のヘテロ原子(たとえば酸素原子、硫黄原子等)を有していてもよい。
該環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
単環式である場合、該環式基の骨格を構成する原子の数は、4〜7が好ましく、5〜6がより好ましい。すなわち、該環式基は、4〜7員環が好ましく、5〜6員環がより好ましい。単環式の環式基の具体例としては、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピペラジン等の、環構造中に−NH−を有する複素単環式化合物の該−NH−から水素原子を除いた基が挙げられる。
多環式である場合、該環式基は、二環式、三環式または四環式であることが好ましく、また、該環式基の骨格を構成する原子の数は、7〜12が好ましく、7〜10がより好ましい。多環式の含窒素複素環式基の具体例としては、インドール、イソインドール、カルバゾール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、ベンゾトリアゾール等の、環構造中に−NH−を有する複素多環式化合物の該−NH−から水素原子を除いた基が挙げられる。
該環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえば、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
1およびR
2が相互に結合して隣接する窒素原子とともに形成する環式基としては、特に、下記一般式(II)で表される基が好ましい。
【0165】
【化40】
[式中、R
5およびR
6はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり;R
7は、炭素原子が酸素原子または窒素原子で置換されていてもよく、水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン基である。]
【0166】
式(II)中、R
5、R
6におけるアルキル基としては、前記R
1、R
2における脂肪族炭化水素基の説明で挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
R
7において、炭素原子が酸素原子または窒素原子で置換されていてもよいアルキレン基としては、たとえば、−CH
2−、−CH
2−O−、−CH
2−NH−、−CH
2−CH
2−、−CH
2−O−CH
2−、−CH
2−NH−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−O−CH
2−、−CH
2−CH
2−NH−CH
2−等が挙げられる。
該アルキレン基の水素原子を置換する置換基としては、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。該置換基で置換される水素原子は、炭素原子に結合した水素原子であってもよく、窒素原子に結合した水素原子であってもよい。
【0167】
式(C1)中、R
3は1価の光官能基である。
ここでいう「光官能基」とは、工程(2)で行う露光の露光エネルギーを吸収する基のことをいう。
当該光官能基としては、環含有基が好ましく、炭化水素環であってもよく複素環であってもよく、好ましくは上記R
1およびR
2について説明した環構造を有する基、その他芳香族環を有する基が挙げられる。環含有基の環骨格として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、インデン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、キサントン、チオキサントン、アントラキノン等が好ましいものとして挙げられる。
また、これらの環骨格は置換基を有していてもよく、置換基としては、塩基発生効率の点から、ニトロ基が特に好ましい。
【0168】
(C1)成分としては、特に、下記一般式(C1−11)又は(C1−12)のいずれかで表される化合物から選ばれるものが好ましい。
【0169】
【化41】
[式中、R
4a〜R
4bはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいベンゼン、ビフェニル、インデン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、キサントン、チオキサントンおよびアントラキノンから選ばれる環骨格であり、R
1aおよびR
2aはそれぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基またはシクロアルキル基であり、R
11aは炭素数1〜5のアルキル基であり、m”は0または1であり、n”は0〜3であり、p”はそれぞれ0〜3である。]
【0170】
式(C1−11)、(C1−12)中、R
4a〜R
4bは、置換基としてニトロ基を有することが塩基発生効率の点で好ましく、オルト位に置換されていることが特に好ましい。
R
1a、R
2aとしては、それぞれ、炭素数5〜10のシクロアルキル基であることが、発生する塩基の拡散長制御の点で好ましい。
m”は1が好ましい。n”は0〜2が好ましい。p”は0または1が好ましい。
【0171】
以下に、(C1)成分の具体例を示す。
【0174】
また、(C)成分のなかで好適なものとして、下記一般式(C2)で表される化合物(以下「(C2)成分」という)も挙げられる。
(C2)成分は、工程(2)での露光により露光エネルギーを吸収した後、(−CH=CH−C(=O)−)部分がシス体へと異性化し、さらに加熱によって環化し、塩基(NHR
1R
2)を生成する。
(C2)成分は、塩基の発生とともに、工程(4)でアルカリ現像液に対する難溶化効果が得られやすいことから好ましい。
【0175】
【化44】
[式(C2)中、R
1及びR
2は、上記式(C1)中のR
1及びR
2と同様であり、R
3’はオルト位に水酸基を有する芳香族環式基である。]
【0176】
前記式(C2)中、R
1及びR
2は、相互に結合して隣接する窒素原子とともに前記式(II)で表される環式基を形成していることが好ましい。または、R
1及びR
2は、好ましくは、前記式(C1−12)におけるR
1a及びR
2aと同様のものが挙げられる。
R
3’における芳香族環式基は、上記式(C1)におけるR
3で例示した芳香族環を有する基と同様のものが挙げられ、その環骨格としてはベンゼン、ビフェニル、インデン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレンが好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
R
3’の芳香族環式基は、オルト位の水酸基以外にも置換基を有していてもよく、該置換基としてはハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、その他アルキル基等の1価の有機基が挙げられる。
【0177】
以下に、(C2)成分の具体例を示す。
【0179】
また、(C)成分のなかで好適なものとして、下記一般式(C3)で表される化合物(以下「(C3)成分」という)も挙げられる。
(C3)成分は、工程(2)での露光により露光エネルギーを吸収した後、脱炭酸し、その後、水と反応してアミン(塩基)を生じるものである。
【0180】
【化46】
[式中、R
aおよびR
dは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であり(ただし、R
aおよびR
dがともに置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である場合は、互いに結合して環を形成するものとし);R
bは置換基を有していてもよいアリール基または脂肪族環式基である。]
【0181】
前記式(C3)中、R
aは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。
R
aの置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1〜2であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0182】
前記式(C3)中のR
aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記式(C3)中のR
aにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
前記式(C3)中のR
aにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0183】
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
【0184】
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
【0185】
前記式(C3)中のR
aにおける、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)は置換基を有していてもよい炭素数3〜30の脂肪族環式基である。
前記式(C3)中のR
aにおいて、脂肪族環式基は、当該脂肪族環式基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族環式基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
前記式(C3)中のR
aにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−等が挙げられる。これらの置換基は、環構造中に含まれていてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0186】
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であり、5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
【0187】
【化47】
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R
94−または−S−R
95−であり、R
94およびR
95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
【0188】
前記式中、Q”、R
94およびR
95におけるアルキレン基としては、それぞれ、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は1〜5であり、1〜3であることが好ましい。
該アルキレン基として具体的には、たとえば、メチレン基[−CH
2−];−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−]等が挙げられる。
【0189】
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0190】
前記式(C3)中のR
aの、置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
【0191】
前記式(C3)中のR
aが置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である場合、隣接する炭素原子と環を形成していてもよい。形成される環としては、単環でも多環でもよい。炭素数は(結合した炭素原子を含めて)5〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。
具体的には、(結合した炭素原子も環の一部と見なして)上述したR
aにおける環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)のうち、炭素数5〜30の脂肪族環式基が挙げられる。
【0192】
前記式(C3)中のR
aは、水素原子または置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基がより好ましい。
【0193】
前記式(C3)中のR
bにおける、アリール基としては、前記式(C3)中のR
aにおける芳香族炭化水素基として挙げたものから、アリールアルキル基を除いたものが挙げられる。R
bにおけるアリール基として、より好ましくはフェニル基である。
前記式(C3)中のR
bにおける、脂肪族環式基としては、前記式(C3)中のR
aにおける、脂肪族環式基と同様である。R
bにおける脂肪族環式基として、好ましくは脂肪族多環式基であり、より好ましくはポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であり、特に好ましくはアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基である。
R
bの芳香族炭化水素基や脂肪族環式基が有していてもよい置換基としては、前記式(C3)中のR
aにおいて挙げた置換基と同様のものが挙げられる。
【0194】
前記式(C3)中のR
dとしては、前記式(C3)におけるR
aと同様のものが挙げられる。
前記式(C3)中のR
dは、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
前記式(C3)中のR
dは、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよいフェニル基がより好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基が最も好ましい。
【0195】
前記式(C3)中のR
aおよびR
dがともに置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である場合は、互いに結合して環を形成する。形成される環としては、単環でも多環でもよい。炭素数は、前記式(C3)中でR
aおよびR
dが結合した炭素原子も含めて、5〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。
具体的には、前記式(C3)中でR
aおよびR
dが結合した炭素原子も当該形成された環の一部であると見なして、上述したR
aにおける環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)のうち、炭素数5〜30の脂肪族環式基が挙げられる。
【0196】
以下に、(C3)成分の具体例を示す。
【0199】
また、(C)成分のなかで好適なものとして、以下に示すアシルオキシイミノ基含有のもの(C4)も挙げられる。
【0200】
【化50】
[式中、R
11、R
12、R
43、R
44はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、n7〜n10はそれぞれ独立に0〜3である。]
【0201】
また、(C)成分は、上記で例示したもの以外のものとして、これまで化学増幅型レジスト用の光塩基発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような光塩基発生剤としては、イオン系のもの(アニオン−カチオン複合体)、トリフェニルスルホニウム化合物、トリフェニルメタノール;ベンジルカルバメートおよびベンゾインカルバメート等の光活性なカルバメート;o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、アロマティックスルホンアミド、アルファーラクタムおよびN−(2−アリルエチニル)アミド等のアミド;オキシムエステル、α−アミノアセトフェノン、コバルト錯体など;特開2007−279493号公報に記載されているもの等が挙げられる。
【0202】
(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、(C)成分としては、(C1)成分がより好ましく、前記の一般式(C1−11)又は(C1−12)のいずれかで表される化合物から選ばれる1種以上がさらに好ましく、一般式(C1−12)で表される化合物が特に好ましい。
レジスト組成物中、(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.05〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。
(C)成分の含有量が下限値以上であることにより、レジスト膜の露光部の残膜性がより良好となり、本発明の効果がより向上する。他方、(C)成分の含有量が上限値以下であることにより、レジスト膜の透明性を維持することができる。
【0203】
・酸供給成分;(Z)成分
本発明のレジストパターン形成方法においては、レジスト膜に供給される酸を提供する成分である「酸供給成分」を含有するレジスト組成物を用いる。
本発明において、「酸供給成分」とは、その成分自体が酸性を有するもの、すなわちプロトン供与体として作用するもの(以下「酸性化合物成分」又は(G)成分という);熱又は光などにより分解し、酸として機能するもの(以下「酸発生剤成分」又は(B)成分という)を包含する。
【0204】
・・酸性化合物成分;(G)成分
本発明において、(G)成分としては、基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得る酸強度を有する、酸性の塩(以下「(G1)成分」という)、又は、酸性の塩以外の酸(塩を形成していないもの、イオン性でないもの;以下「(G2)成分」という)を用いることができる。
「基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得る酸強度を有するもの」とは、たとえば前記構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)を用いた場合、前記工程(3)でベーク(PEB)を施すことにより、構成単位(a1)中の酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合を開裂させることができる酸を包含する。
【0205】
[(G1)成分]
(G1)成分は、含窒素カチオンと対アニオンとからなるイオン性化合物(塩化合物)が挙げられる。(G1)成分は、塩を形成した状態であっても(G1)成分自体が酸性を有し、プロトン供与体として作用する。
以下、(G1)成分のカチオン部とアニオン部とをそれぞれ説明する。
【0206】
((G1)成分のカチオン部)
(G1)成分のカチオン部は、窒素原子を含有するものであれば特に限定されず、例えば下記一般式(G1c−1)で表されるカチオンが好適に挙げられる。
【0207】
【化51】
[式中、R
101d、R
101e、R
101f、R
101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基もしくはオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基若しくはアリールアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、アルコキシ基、又は硫黄原子によって置換されていてもよい。R
101dとR
101e、又は、R
101dとR
101eとR
101fは、これらが結合して式中の窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R
101dとR
101e、又は、R
101dとR
101eとR
101fは、それぞれ炭素数3〜10のアルキレン基であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する。]
【0208】
式(G1c−1)中、R
101d、R
101e、R
101f、R
101gは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基もしくはオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基若しくはアリールアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアリールオキソアルキル基である。
R
101d〜R
101gのアルキル基としては、上述したR
1、R
2のアルキル基と同様のものが挙げられ、その炭素数は1〜10であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基が特に好ましい。
R
101d〜R
101gのアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
R
101d〜R
101gのオキソアルキル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。
R
101d〜R
101gのオキソアルケニル基としては、オキソ−4−シクロヘキセニル基、2−オキソ−4−プロペニル基等が挙げられる。
R
101d〜R
101gのアリール基としては、上述したR
1、R
2の芳香族炭化水素基におけるアリール基と同様のものが挙げられ、フェニル基又はナフチル基であることが好ましい。アリールアルキル基としては、該アリール基中の水素原子の1つ以上がアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)で置換されたもの等が挙げられる。
R
101d〜R
101gのアラルキル基、アリールオキソアルキル基としては、それぞれ、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等が挙げられる。
【0209】
R
101d〜R
101gのアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基、オキソアルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アラルキル基、アリールオキソアルキル基中の水素原子は、フッ素原子等のハロゲン原子、アルコキシ基、または硫黄原子で置換されていても置換されていなくてもよい。
R
101d〜R
101gがアルキル基及び水素原子との組み合わせのみで構成される場合、該アルキル基の水素原子の少なくとも一部が、フッ素原子等のハロゲン原子、アルコキシ基、硫黄原子で置換されていることが保存安定性、リソグラフィー特性の点で好ましい。
【0210】
また、R
101dとR
101e、又は、R
101dとR
101eとR
101fは、これらが結合して式中の窒素原子と共に環を形成してもよい。形成する環としては、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環、アゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、アゼピン環、ピラジン環、キノリン環、ベンゾキノリン環等が挙げられる。
また、該環骨格中に酸素原子を含んでもよく、具体的には、オキサゾール環、イソオキサゾール環が好適に挙げられる。
【0211】
なかでも、上記式(G1c−1)で表されるカチオン部としては、pKaが7以下の含窒素カチオンが好ましい。
本発明におけるpKaは、酸解離定数であって、対象物質の酸強度を示す指標として一般的に用いられているものをいう。(G1)成分のカチオンのpKa値は常法により測定して求めることができる。また、「ACD/Labs」(商品名、Advanced Chemistry Development社製)等の公知のソフトウェアを用いた計算により推定することもできる。
(G1)成分のpKaは、7以下であるものが好ましく、対アニオンに対して相対的に弱塩基となるように、対アニオンの種類やpKaに応じて適宜決定することができ、具体的にはpKa−2〜7であることが好ましく、−1〜6.5であることがより好ましく、0〜6であることがさらに好ましい。pKaを前記範囲の上限値以下とすることにより、カチオンの塩基性を充分に弱いものとすることができ、(G1)成分自体を酸性化合物とすることができる。また、pKaを前記範囲の下限値以上とすることにより、対アニオンとより塩を形成しやすく、(G1)成分の酸性度を適度なものとすることができ、(G1)成分が過度に酸性であることによる保存安定性の劣化を防ぐことができる。
上記pKaを充足するカチオンとしては、下記一般式(G1c−11)〜(G1c−13)のいずれかで表されるカチオンが特に好ましい。
【0212】
【化52】
[式中、Rf
g1は炭素数1〜12のフッ素化アルキル基である。Rn
g1、R
g2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rn
g1とR
g2とは互いに環を形成していてもよい。Q
a〜Q
cはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子であり、Rn
g3は水素原子またはメチル基である。Rn
g4、Rn
g5はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基または芳香族炭化水素基である。R
g1、R
g2はそれぞれ独立に炭化水素基である。n15、n16はそれぞれ0〜4の整数である。n15、n16が2以上の場合、隣接する炭素原子の水素原子を置換する複数のR
g1、R
g2は結合して環を形成していてもよい。]
【0213】
式(G1c−11)中、Rf
g1は、炭素数1〜12のフッ素化アルキル基であり、アルキル基の水素原子の50%以上がフッ素化された、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることが好ましい。
式(G1c−13)中、Rn
g4、Rn
g5は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基または芳香族炭化水素基であり、式(G1c−1)におけるR
101d、R
101e、R
101f、R
101gについての説明で例示した炭素数1〜5のアルキル基、アリール基と同様である。
式(G1c−12)〜(G1c−13)中、n15、n16は0〜4の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
式(G1c−12)〜(G1c−13)中、R
g1、R
g2は、それぞれ独立に炭化水素基であり、炭素数1〜12のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。アルキル基、アルケニル基としては、上記式(G1c−1)中で説明したものと同様である。
n15、n16が2以上の場合、複数のR
g1、R
g2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。また、n15、n16が2以上の場合、隣接する炭素原子の水素原子を置換する複数のR
g1、R
g2は、結合して環を形成していてもよい。形成する環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。即ち、式(G1c−12)〜(G1c−13)のいずれかで表される化合物は、2以上の環が縮合して形成された縮合環化合物であってもよい。
【0214】
以下に、上記式(G1c−11)〜(G1c−13)のいずれかで表される化合物の具体例を示す。
【0218】
((G1)成分のアニオン部)
(G1)成分のアニオン部は、特に限定されるものではなく、通常、レジスト組成物に用いられる塩のアニオン部の中から適宜選択して使用することができる。
なかでも(G1)成分のアニオン部としては、上述した(G1)成分のカチオン部と塩を形成して(G1)成分となった際、該(G1)成分が上記(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得るものであることが好ましい。
ここで「(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得る」とは、たとえば前記構成単位(a1)を有する(A1)成分を用いた場合、前記工程(3)でベークを施すことにより、構成単位(a1)中の酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合を開裂させることができるものをいう。
即ち、(G1)のアニオン部は、強酸性であることが好ましい。具体的には、アニオン部のpKaが0以下であることがより好ましく、pKa−15〜−1であることがさらに好ましく、−13〜−3であることが特に好ましい。アニオン部のpKaが0以下であることにより、pKa7以下のカチオンに対してアニオンの酸性度を充分に強いものとすることができ、(G1)成分自体を酸性化合物とすることができる。一方、アニオン部のpKaを−15以上とすることにより、(G1)成分が過度に酸性であることによる保存安定性の劣化を防ぐことができる。
【0219】
(G1)成分のアニオン部としては、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンからなる群より選択される少なくとも一種のアニオン基を有するものが好ましい。
具体的には、たとえば、一般式「R
4”SO
3−(R
4”は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。)」で表されるアニオンが挙げられる。
【0220】
前記一般式「R
4”SO
3−」において、R
4”は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。
【0221】
前記R
4”としての直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記R
4”としての環状のアルキル基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
R
4”がアルキル基の場合の「R
4”SO
3−」としては、例えば、メタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート、d−カンファー−10−スルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0222】
前記R
4”としてのハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたものであり、該アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、又はイソペンチル基であることがさらに好ましい。そして、水素原子が置換されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、アルキル基(ハロゲン化前のアルキル基)の水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが好ましく、水素原子の全てがハロゲン原子で置換されていることがより好ましい。
ここで、該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましい。フッ素化アルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるため好ましい。
このような好ましいフッ素化アルキル基として、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が挙げられる。
【0223】
前記R
4”としてのアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R
4”としてのアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
【0224】
前記R
4”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基における水素原子の一部又は全部が置換基(水素原子以外の他の原子又は基)で置換されていてもよいことを意味する。
R
4”における置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0225】
前記置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X
3−Q’−[式中、Q’は酸素原子を含む2価の連結基であり、X
3は置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R
4”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0226】
X
3−Q’−で表される基において、Q’は酸素原子を含む2価の連結基である。
Q’は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO
2−)が連結されていてもよい。
該組み合わせとしては、たとえば、−R
91−O−、−R
92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R
93−O−C(=O)−、−SO
2−O−R
94−O−C(=O)−、−R
95−SO
2−O−R
94−O−C(=O)−(式中、R
91〜R
95はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R
91〜R
95におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH
2−];−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−]等が挙げられる。
Q’としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R
91−O−、−R
92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R
93−O−C(=O)−が好ましい。
【0227】
X
3−Q’−で表される基において、X
3の炭化水素基としては、上記式(C3)中のR
aの炭素数1〜30の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでも、X
3は、置換基を有していてもよい直鎖状のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記式(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)のいずれかで表される基などが好ましい。
【0228】
上記の中でも、前記R
4”としては、ハロゲン化アルキル基、または置換基としてX
3−Q’−を有することが好ましい。
置換基としてX
3−Q’−を有する場合、R
4”としては、X
3−Q’−Y
3−[式中、Q’およびX
3は前記と同じであり、Y
3は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X
3−Q’−Y
3−で表される基において、Y
3のアルキレン基としては、前記Q’で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y
3として、具体的には、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
2CF
3)−、−C(CF
3)
2−、−CF
2CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
3)CF(CF
3)−、−C(CF
3)
2CF
2−、−CF(CF
2CF
3)CF
2−、−CF(CF
2CF
2CF
3)−、−C(CF
3)(CF
2CF
3)−;−CHF−、−CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2−、−CH(CF
3)CH
2−、−CH(CF
2CF
3)−、−C(CH
3)(CF
3)−、−CH
2CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2CF
2−、−CH(CF
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CF
3)CH
2−、−CH(CF
3)CH(CF
3)−、−C(CF
3)
2CH
2−;−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−等が挙げられる。
【0229】
Y
3としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2−、−CF
2CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
3)CF(CF
3)−、−C(CF
3)
2CF
2−、−CF(CF
2CF
3)CF
2−;−CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2−;−CH
2CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2CF
2−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、又はCH
2CF
2CF
2−が好ましく、−CF
2−、−CF
2CF
2−又は−CF
2CF
2CF
2−がより好ましく、−CF
2−が特に好ましい。
【0230】
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
【0231】
R
4”がX
3−Q’−Y
3−で表される基であるR
4”SO
3−の具体例としては、たとえば下記式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
【0233】
【化57】
[式中、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、R
7は置換基であり、n1〜n6はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
【0234】
R
7の置換基としては、前記式(C3)中のR
aにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
7に付された符号(r1〜r2、w1〜w6)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR
7はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0235】
また、(G1)成分のアニオン部としては、たとえば下記一般式(G1a−3)で表されるアニオン、下記一般式(G1a−4)で表されるアニオンも好ましいものとして挙げられる。
【0236】
【化58】
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0237】
式(G1a−3)において、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜6であり、より好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
式(G1a−4)において、Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜7、最も好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数又はY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基又はY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基又はアルキル基のフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
【0238】
(G1)成分のアニオン部としては、上記式「R
4”SO
3−」で表されるアニオン(特に、R
4”が 「X
3−Q’−Y
3−」で表される基である上記式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオン)、又は、上記式(G1a−3)で表されるアニオンが特に好ましい。
【0239】
(G1)成分としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物において、(G)成分中の(G1)成分の含有割合は、40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、100質量%でもよい。(G1)成分の含有割合が前記範囲の下限値以上であることにより、保存安定性、及びリソグラフィー特性に優れる。
また、レジスト組成物中の(G1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜15質量部がさらに好ましい。(G1)成分の含有量が上記範囲であることにより、リソグラフィー特性に優れる。
【0240】
[(G2)成分]
(G2)成分は、上記(G1)成分に該当せず、該(G2)成分自体が酸性を有し、プロトン供与体として作用するものである。このような(G2)成分としては、塩を形成していない非イオン性の酸が挙げられる。
(G2)成分としては、基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得る酸強度を有する酸であれば特に限定されるものではないが、(G2)成分のなかで好適なものとしては、たとえば基材成分の酸解離性基との反応性や、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすいことから、イミン系の酸またはスルホン酸系の化合物が好ましく、スルホニルイミド、ビス(アルキルスルホニル)イミド、トリス(アルキルスルホニル)メチド、又はこれらのフッ素原子を有するもの等が挙げられる。
特に、下記一般式(G2−1)〜(G2−3)のいずれかで表される化合物(中でも一般式(G2−2)で表される化合物が好ましい)、前述の一般式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオンの「−SO
3−」が「−SO
3H」になった化合物、前述の一般式(G1a−3)または(G1a−4)で表されるアニオンの「N
−」が「NH」になった化合物、カンファースルホン酸等が好ましい。その他、フッ素化アルキル基含有カルボン酸、高級脂肪酸、高級アルキルスルホン酸、高級アルキルアリールスルホン酸等の酸成分が挙げられる。
【0241】
【化59】
[式(G2−1)中、w’は1〜5の整数である。式(G2−2)中、R
fは水素原子又はアルキル基(ただし、当該アルキル基中の水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基又はアミノ基のいずれかにより置換されていてもよい)を示し、y’は2〜3の整数である。式(G2−3)中、R
fは前記と同じであり、z’は2〜3の整数である。]
【0242】
前記式(G2−1)で表される化合物としては、たとえば(C
4F
9SO
2)
2NH、(C
3F
7SO
2)
2NHが挙げられる。
【0243】
前記式(G2−2)中、R
fにおけるアルキル基の炭素数は、1〜2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
当該アルキル基中の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
前記式(G2−2)で表される化合物としては、たとえば下記化学式(G2−21)で表される化合物が挙げられる。
【0245】
前記式(G2−3)中、R
fは、前記式(G2−2)におけるR
fと同様である。
前記式(G2−3)で表される化合物としては、たとえば下記化学式(G2−31)で表される化合物が挙げられる。
【0247】
フッ素化アルキル基含有カルボン酸としては、たとえばC
10F
21COOH等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、炭素数8〜20のアルキル基を有する高級脂肪酸が挙げられ、具体的には、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
上記炭素数8〜20のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、その鎖中にフェニレン基又は酸素原子等が介在していてもよいし、アルキル基中の水素原子の一部が水酸基やカルボキシ基で置換されていてもよい。
【0248】
高級アルキルスルホン酸としては、平均炭素数が好ましくは9〜21、より好ましくは12〜18のアルキル基を有するスルホン酸が挙げられ、具体的には、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、ペンタデカンスルホン酸、ステアリン酸スルホン酸等が挙げられる。
高級アルキルアリールスルホン酸としては、平均炭素数が好ましくは6〜18、より好ましくは9〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸等が挙げられ、具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸が挙げられる。
その他の酸成分としては、平均炭素数が好ましくは6〜18、より好ましくは9〜15のアルキル基を有するアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸が挙げられ、具体的には、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸等が挙げられる。
【0249】
また、上記以外の(G2)成分として、有機カルボン酸、ならびに、リンのオキソ酸およびその誘導体も挙げられる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、当該炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
【0250】
(G)成分が(G2)成分を含有する場合、(G2)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のなかでも、(G2)成分としては、スルホニルイミド、ビス(アルキルスルホニル)イミド、トリス(アルキルスルホニル)メチド及びこれらのフッ素原子を有するものからなる群より選択される1種以上を用いることがより好ましく、これらのフッ素原子を有するもの1種以上を用いることが特に好ましい。
また、レジスト組成物が(G2)成分を含有する場合、レジスト組成物中の(G2)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。(G2)成分の含有量が下限値以上であることにより、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすくなる。他方、(G2)成分の含有量が上限値以下であることにより、良好な感度が得られやすくなる。
【0251】
・・酸発生剤成分;(B)成分
本発明において、酸供給成分(Z)としては、熱又は光などにより分解し、酸として機能する酸発生剤成分(以下「(B)成分」ともいう)も用いることができる。
(B)成分は、上記(G)成分とは異なり、工程(2)での露光や、工程(3)でのベーク(PEB)の後に酸を発生するものである。(B)成分は、そのもの自体が酸性を有している必要はない。
【0252】
(B)成分は、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを用いることができる。
このような酸発生剤としては、加熱により酸を発生する熱酸発生剤、露光により酸を発生する光酸発生剤などが挙げられ、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
これらの酸発生剤成分は、一般的に光酸発生剤(PAG)として知られているが、熱酸発生剤(TAG)としても機能する。したがって、本発明において使用可能な酸発生剤成分としては、従来、化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として公知のものの中から任意のものを利用することができる。
「加熱により酸を発生する熱酸発生剤」とは、好ましくは工程(3)におけるPEB温度以下、具体的には200℃以下、より好ましくは50〜150℃の加熱により酸を発生する成分を意味する。加熱温度がPEB温度以下のものを選択することで、操作が容易となる。また、熱酸発生剤からの酸の発生と基材成分の脱保護反応のそれぞれを異なる温度で制御しやすくなる。より好ましくは50℃以上のものを選択することで、レジスト組成物中での安定性が良好となる。
【0253】
(B)成分のオニウム塩系酸発生剤としてはアニオン部に、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンからなる群より選択される少なくとも一種のアニオン基を有するものが好ましい。さらに具体的には上記(G1)で挙げたものと同様のアニオンが挙げられる。
また、カチオン部には、下記の一般式(b−c1)又は一般式(b−c2)で表されるものが挙げられる。
【0254】
【化62】
[式中、R
1”〜R
3”,R
5”〜R
6”はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。式(b−c1)におけるR
1”〜R
3”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R
4”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。]
【0255】
式(b−c1)中、R
1”〜R
3”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。R
1”〜R
3”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
【0256】
R
1”〜R
3”のアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基;該無置換のアリール基の水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’等で置換された置換アリール基等が挙げられる。R
6’、R
7’、R
8’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。
R
1”〜R
3”において、無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
R
1”〜R
3”の置換アリール基における置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアリール基としては、前記R
1”〜R
3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
【0257】
置換アリール基におけるアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−C(R
47)(R
48)−O−R
49
[式中、R
47、R
48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R
49はアルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R
47、R
48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R
47、R
48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
R
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R
49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
【0258】
置換アリール基におけるアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−R
50−C(=O)−O−R
56
[式中、R
50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R
56は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R
50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
R
56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
さらに、前記一般式:−O−R
50−C(=O)−O−R
56におけるR
56を、R
56’で置き換えた基も挙げられる。R
56’は、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基である。
R
56’におけるアルキル基は、前記R
49のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R
56’におけるフッ素化アルキル基は、前記R
49のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
R
56’における、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基としては、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたもの等が挙げられる。
R
56’について、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R
56’について、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基として具体的には、前述の式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
R
56’について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子が酸素原子(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
【0259】
−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’におけるR
6’、R
7’、R
8’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。
直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基は、炭素数1〜25であり、炭素数1〜15であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、第3級アルキル基を除き、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
R
6’、R
7’、R
8’における炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基としては、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該環状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。具体的には、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基等のラクトン含有単環式基や、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基等のラクトン含有多環式基等が挙げられる。
後者の例における置換基としては、上述した直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有してもよい置換基として挙げたものと同様のもの、低級アルキル基等が挙げられる。
また、R
6’、R
7’、R
8’は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と、環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組合せとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
R
6’、R
7’、R
8’における直鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。
R
6’、R
7’、R
8’における分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
該直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
7’、R
8’においては、上記のなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、又は炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基が好ましい。
【0260】
R
1”〜R
3”のアルキル基としては、たとえば、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。なかでも、解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
【0261】
R
1”〜R
3”のアルケニル基としては、たとえば、炭素数2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
【0262】
R
1”〜R
3”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
【0263】
前記式(b−c1)で表される化合物におけるカチオン部のなかで好適なものとして、具体的には以下に示すものが挙げられる。
【0269】
【化68】
[式中、g1は繰返し数を示し、1〜5の整数である。]
【0271】
【化70】
[式中、g2、g3は繰返し数を示し、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
【0276】
【化75】
[式中、R
Cは、上記置換アリール基についての説明のなかで例示した置換基(アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’)である。]
【0277】
前記式(b−c2)中、R
5”〜R
6”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。
R
5”〜R
6”のアリール基としては、R
1”〜R
3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R
5”〜R
6”のアルキル基としては、R
1”〜R
3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R
5”〜R
6”のアルケニル基としては、R
1”〜R
3”のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
前記式(b−c2)で表される化合物におけるカチオン部の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム等が挙げられる。
【0278】
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射(露光)によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
【0279】
【化76】
(式(B−1)中、R
31、R
32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
【0280】
R
31、R
32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
R
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R
32のアルキル基、アリール基としては、前記R
31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
R
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0281】
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
【0282】
【化77】
[式(B−2)中、R
33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R
34はアリール基である。R
35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
【0283】
【化78】
[式(B−3)中、R
36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R
37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R
38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
【0284】
前記一般式(B−2)において、R
33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
R
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
【0285】
前記一般式(B−3)において、R
36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R
33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
R
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R
34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
【0286】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
【0288】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
【0289】
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(B)成分を含有する場合、レジスト組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分が熱酸発生剤の場合は、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。(B)成分が光酸発生剤の場合は、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、(B)成分の含有量が下限値以上であると、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすくなり、解像性がより向上する。他方、上限値以下であると、感度が良好となるため好ましい。また、光酸発生剤の場合は、上限値以下とすることでレジスト膜の透明性が良好となる。
【0290】
レジスト組成物が(B)成分を含有する場合、(G)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の含有割合は、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
【0291】
・その他の成分
本発明のレジストパターン形成方法に用いるレジスト組成物には、前述した成分以外の成分、たとえば酸増殖剤成分、フッ素添加剤、アミン等を配合してもよい。
【0292】
・・酸増殖剤成分;(H)成分
本発明のレジストパターン形成方法において、(H)成分は酸によって分解されて遊離酸が生成し、この遊離酸によって(H)成分はさらに分解されて遊離酸を生成する。このようにして、酸の作用により、(H)成分は連鎖的に分解し、多数の遊離酸分子を生成する。
【0293】
(H)成分としては、酸の作用により分解し、新たに酸を自ら発生させて自己触媒的に酸を増殖するものであればよく、たとえば架橋炭素環骨格構造を有する化合物が好適なものとして挙げられる。
ここで、「架橋炭素環骨格構造を有する化合物」とは、その分子内に複数の炭素環同士の橋かけ結合による構造(以下単に「架橋炭素環」ということがある。)を有する化合物を示す。
該架橋炭素環骨格構造を有する化合物は、橋かけ結合を有していることにより、分子が剛直化され、該化合物の熱安定性が向上する。
炭素環の個数としては、2〜6個が好ましく、より好ましくは2〜3個である。
架橋炭素環は、その水素原子の一部又は全部が、アルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよい。当該アルキル基としては、炭素数1〜6が好ましく、1〜3がより好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。当該アルコキシ基としては、炭素数1〜6が好ましく、1〜3がより好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、架橋炭素環は、二重結合等の不飽和結合を有していてもよい。
【0294】
本発明において、架橋炭素環は、その環上に、水酸基と、該水酸基が結合している炭素原子の隣接位の炭素原子に下記一般式(Hs)で表されるスルホナート基とを有するものが特に好ましい。
【0295】
【化80】
[式中、R
0は脂肪族基、芳香族基又は複素環式基を示す。]
【0296】
前記式(Hs)中、R
0は、脂肪族基、芳香族基又は複素環式基を示す。
R
0において、脂肪族基としては、たとえば鎖状もしくは環状のアルキル基またはアルケニル基が挙げられ、炭素数は1〜12が好ましく、より好ましくは1〜10である。
芳香族基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよく、具体的には、たとえばアリール基等が挙げられる。
複素環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよく、従来公知の各種の複素環式化合物から誘導されるものが挙げられる。
上記の脂肪族基、芳香族基及び複素環式基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記脂肪族基及び前記芳香族基として具体的には、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アシル基、ヘキシル基、ビニル基、プロピレン基、アリル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ炭化水素基、トリシクロ炭化水素基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチル基、ナフチルメチル基又はそれらの置換体等が挙げられる。
前記複素環式基としては、各種の複素環式化合物、たとえばフラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール等の1つのヘテロ原子を含む五員環化合物又はその縮合環化合物;オキサゾール、チアゾール、ピラゾール等の2つのヘテロ原子を含む五員環化合物又はその縮合環化合物;ピラン、ピロン、クマリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン等の1つのヘテロ原子を含む六員環化合物又はその縮合環化合物;ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フタルジン等の2つのヘテロ原子を含む六員環化合物又はその縮合環化合物等から誘導された各種のものが挙げられる。
【0297】
本発明において、(H)成分が、その架橋炭素環上に、水酸基と、前記一般式(Hs)で表されるスルホナート基とを有する場合、かかる(H)成分は、酸の作用により分解して、新たに酸(R
0SO
3H)を発生させる。
このように、一回の反応で1つの酸が増えて、そして、反応の進行に伴って加速的に反応が進み、(H)成分は連鎖的に分解する。
かかる場合において、発生する酸の強度は、酸解離定数(pKa)として3以下であることが好ましく、2以下であることが特に好ましい。pKaが3以下であれば、発生した酸自体が自己分解をより誘起しやすくなる。逆に、これより弱い酸であると、自己分解を引き起こしにくくなる。
上記反応によって遊離される酸(R
0SO
3H)としては、たとえばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、p−ニトロベンゼンスルホン酸、2−チオフェンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0298】
(H)成分として、より具体的には、下記一般式(H1)〜(H4)で表される化合物(以下、それぞれの一般式に対応する化合物を、化合物(H1)〜(H4)という。)が挙げられる。
【0299】
【化81】
[式中、R
51は水素原子、脂肪族基又は芳香族基を示し;R
52は脂肪族基、芳香族基又は複素環式基を示す。]
【0300】
前記一般式(H1)〜(H3)中、R
51は、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を示す。R
51において、脂肪族基および芳香族基は、上記R
0の脂肪族基、芳香族基とそれぞれ同様のものが挙げられる。R
51は、なかでも脂肪族基又は芳香族基が好ましく、脂肪族基がより好ましく、なかでも低級アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
前記一般式(H1)〜(H4)中、R
52は、脂肪族基、芳香族基又は複素環式基を示し、上記R
0と同様のものが挙げられる。R
52は、なかでも脂肪族基又は芳香族基が好ましく、脂肪族基がより好ましい。
【0301】
化合物(H1)〜(H4)において、化合物(H1)はビシクロ化合物の1,3位に架橋結合を有し、化合物(H2)および化合物(H3)はビシクロ化合物の1,4位に架橋結合を有し、化合物(H4)はビシクロ化合物(デカリン)の1,6位に架橋結合をそれぞれ有する。
したがって、化合物(H1)〜(H4)において、そのシクロヘキサン環のコンホーメーション変化は高度に抑制され、その環構造は剛直性を示す。
【0302】
かかる(H)成分において、たとえば化合物(H1)〜(H4)等の、架橋炭素環上に、水酸基と、該水酸基が結合している炭素原子の隣接位の炭素原子に前記一般式(Hs)で表されるスルホナート基とを有する化合物は、ジオール化合物に、スルホン酸のハロゲン化物を作用させることによって容易に合成される。このジオール化合物には、シス、トランス2つの異性体が存在するが、シス異性体の方が熱的により安定であり、好適に用いられる。また、当該化合物は、酸が共存しない限り安定に保存することができる。
【0303】
(H)成分の好適な具体例を以下に挙げる。
【0307】
(H)成分としては、上記のなかでも、本発明の効果が良好なことから、化合物(H1)又は化合物(H2)が好ましく、化合物(H1)がより好ましい。具体的には、化学式(H1−1)〜(H1−9)で表される化合物から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、なかでも化学式(H1−9)で表される化合物が最も好ましい。
【0308】
(H)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いるレジスト組成物が(H)成分を含有する場合、(H)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。(H)成分の含有量が下限値以上であることにより、解像性がより向上する。他方、(H)成分の含有量が上限値以下であることにより、感度がより良好となる。
【0309】
(H)成分と(G)成分とを併用する場合、(H)成分と(G)成分との混合割合は、モル比で9:1〜1:9であることが好ましく、9:1〜5:5であることがより好ましく、9:1〜6:4であることが特に好ましい。(H)成分の割合が前記範囲の下限値以上であると、解像性がより向上する。一方、(H)成分の割合が前記範囲の上限値以下であると、感度がより良好となる。
また、(H)成分と(B)成分とを併用する場合、(H)成分と(B)成分との混合割合は、モル比で9:1〜1:9であることが好ましく、9:1〜5:5であることがより好ましく、9:1〜6:4であることが特に好ましい。(H)成分の割合が前記範囲の下限値以上であると、解像性がより向上する。一方、(H)成分の割合が前記範囲の上限値以下であると、感度がより良好となる。
【0310】
・・フッ素添加剤;(F)成分
本発明のレジストパターン形成方法においては、レジスト組成物に、レジスト膜に撥水性を付与するため、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を配合できる。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。かかる重合体としては、構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);下記式(f1)で表される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体;下記式(f1)で表される構成単位と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、下記式(f1)で表される構成単位と共重合される前記構成単位(a1)としては、前記式(a1−0−11)で表される構成単位が好ましく、前記式(a1−1−32)で表される構成単位が特に好ましい。
【0311】
【化85】
[式中、Rは前記同様であり、R
45およびR
46はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、複数のR
45またはR
46は同じであっても異なっていてもよい。a1は1〜5の整数であり、R
7”はフッ素原子を含む有機基である。]
【0312】
式(f1−1)中、Rは前記同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、R
45、R
46のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。R
45、R
46の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。R
45、R
46の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもR
45、R
46としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、a1は1〜5の整数であって、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
【0313】
式(f1−1)中、R
7”はフッ素原子を含む有機基であって、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、特に好ましい。
なかでも、R
7”としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基が特に好ましく、メチル基、−CH
2−CF
3、−CH
2−CF
2−CF
3、−CH(CF
3)
2、−CH
2−CH
2−CF
3、−CH
2−CH
2−CF
2−CF
2−CF
2−CF
3が最も好ましい。
【0314】
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
【0315】
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いるレジスト組成物が(F)成分を含有する場合、(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜10質量部の割合で用いられる。
【0316】
・・アミン;(D)成分
本発明のレジストパターン形成方法においては、レジスト組成物に、含窒素有機化合物成分(D)(以下「(D)成分」という。)を配合できる。
レジスト組成物が、酸供給成分として(G)成分を含有する場合、レジスト組成物の液中で、該(G)成分等によって(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増加してしまうおそれがある。この現象の発生は(G)成分等の酸性度を適度なものに調整することにより抑制することも可能であるが、(D)成分を添加し、レジスト組成物液中の(G)成分の酸性度を低下させることによっても抑制することが可能となる。(D)成分を用いる場合であれば、(G)成分等の材料選択の自由度が高まり、好ましい。
加えて、レジスト組成物の保存中に、(D)成分が存在することにより、レジスト組成物液調製後の保存安定性が高まる。また、工程(3)における中和前にレジスト膜から(D)成分が除去されることにより、工程(3)における(C)成分から発生した塩基と(Z)成分由来の酸との中和を、(D)成分が妨げることがないため、特に良好なリソグラフィー特性やパターン形状を得ることができる。
【0317】
(D)成分としては、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、(D)成分としては、そのpKaが上述した(G1)成分のカチオンのpKaと同等又はそれ以下であるものが好ましい。即ち、(D)成分のpKaは、7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。
レジスト組成物が(G1)成分を含有する場合は、(G1)成分のカチオンと(D)成分とが塩交換を起こさないようにするため、(D)成分は、(G1)成分のカチオンのpKaと同等又はそれ以下であるものがさらに好ましい。
レジスト組成物が(G2)成分を含有する場合は、(G2)成分の酸性度を極端に低下させないよう、(D)成分はその塩基性が低い方が好ましく、そのpKaは7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。
かかるpKaを充足する(D)成分としては、上記(G1)成分についての説明で例示した式(G1c−1)において、窒素原子(N)に結合した「H
+」を1つ除いたアミンが挙げられる。具体的には、上記の式(G1c−11)及び(G1c−13)で挙げた具体例において末端の「NH
3+」が「NH
2」となった化合物;上記の式(G1c−12)で挙げた具体例において環中の「NH
+」が「N」となった化合物が好ましい。
【0318】
加えて、(D)成分は、比較的低い沸点を有するアミンであることが好ましい。比較的低い沸点を有するアミンを用いることにより、工程(1)で支持体上にレジスト膜を形成する際、(D)成分をレジスト膜中から除去することが容易となる。
かかる沸点を充足する(D)成分としては、沸点が130℃以下のアミンが好ましく、100℃以下のアミンがより好ましく、90℃以下のアミンが特に好ましい。
【0319】
上記のpKa及び沸点を充足する(D)成分の具体例としては、ヘプタフルオロブチルアミン(1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミン)、トリフルオロエチルアミン(2,2,2−トリフルオロエチルアミン)、1H,1H−ペルフルオロペンチルアミン、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン等のフッ素化アルキル基を有する脂肪族アミン化合物;ピリジン、ペンタフルオロピリジン等のピリジン系化合物;オキサゾール、イソオキサゾール等のオキサゾール系化合物などが挙げられる。
【0320】
(D)成分は、一種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いるレジスト組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.01〜20.0質量部であることが好ましく、1〜15質量部がより好ましく、2〜10質量部が特に好ましい。上記範囲とすることにより、保存安定性を向上させることができ、得られるリソグラフィー特性やレジストパターン形状も向上する。
【0321】
本発明に用いるレジスト組成物には、さらに、所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤などを適宜、添加含有させることができる。
【0322】
増感剤として具体的には、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン等のベンゾベンゾフェノン系増感剤;カルバゾール系増感剤、アセトフェン系増感剤、ナフタレン系増感剤、フェノール系増感剤、9−エトキシアントラセン等のアントラセン系増感剤、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン、フェノチアジン、アントロン等の公知の増感剤を用いることができる。レジスト組成物中の増感剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが好ましい。
塩基増殖剤は、塩基の作用により連鎖反応的に分解し、少量の塩基により多量の塩基を発生するものである。このため、塩基増殖剤の配合により、レジスト組成物の感度を向上させることができる。塩基増殖剤としては、たとえば特開2000−330270号公報や、特開2008−174515号公報に記載されるものを用いることができる。
【0323】
・・有機溶剤;(S)成分
本発明に用いるレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下「(S)成分」ともいう)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0324】
上記本発明のレジストパターン形成方法によれば、これまでポジ型とされる化学増幅型レジスト組成物とアルカリ現像液とを組み合わせた現像プロセスによって、高解像性のネガ型のレジストパターンを形成できる。
本発明においては、微細パターンの形成において、レジスト組成物を支持体上に塗布してレジスト膜を形成した後、プレベーク(PAB)を行わず、該レジスト膜を露光し、次にベーク(PEB)し、アルカリ現像することにより、より高コントラスト像が形成される。このように、本発明においては、プレベーク(PAB)を行わないことにより、形成されるレジストパターンの高コントラスト化が図られ、解像性が高まる。
【0325】
また、本発明のレジストパターン形成方法によれば、膜厚方向で光学強度の弱い領域が生じやすいレジストパターン(孤立トレンチパターン、微細かつ密集したコンタクトホールパターン等)の解像性が良好となる。
さらに、本発明のレジストパターン形成方法によれば、該レジストパターンの高密度化も可能であり、たとえばホール間の距離が30〜50nm程度であるような、個々のホールが近接したコンタクトホールパターンを良好な形状で形成できる。
加えて、本発明のレジストパターン形成方法は、既存の露光装置や既存の設備等を用いて実施できる。
本発明のレジストパターン形成方法は、工程(1)でレジスト組成物を支持体上に塗布してレジスト膜を形成する際と、レジスト膜を露光する際との間で、プレベークを行わない方法であることから、通常のレジストパターン形成方法よりも工程数を少なくすることができる。
本発明のレジストパターン形成方法において、二重露光法を利用すれば、リソグラフィー工程およびパターニング工程を少なくとも2回ずつ行うタイプのダブルパターニングに比べて、工程数を少なくすることができる。
【0326】
また、本発明においては、レジスト液を基板に供給後の回転時間を50秒以上とすることにより、成膜性が良好になり、形成されたレジスト膜からの物質溶出を抑制できるので、特に液浸露光プロセスにおいてディフェクトの発生を低減出来ることが期待される。本発明の方法において形成されたレジスト膜からの物質溶出を抑制できる理由は明らかではないが、レジスト膜形成時の回転時間、特に本回転時間を長くすることにより、レジスト膜中の残存溶剤量を抑制できることに起因していると推測される。
また、本発明のレジストパターン形成方法においては、プレベーク(PAB)を行わない替わりに、レジスト液を基板に供給後の回転時間を50秒以上と従来の回転時間よりも延長したことにより、膜の剥がれのリスクを低減することができると期待される。
【実施例】
【0327】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0328】
<レジスト組成物の調製>
表2に示す各成分を混合して溶解することによりレジスト組成物を調製した。
【0329】
【表2】
【0330】
表2中、[ ]内の数値は配合量(質量部)であり、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
(A)−1:下記化学式(A1−1)で表される共重合体。Mw7000,Mw/Mn1.57。該化学式中、構成単位( )の右下の数値はその構成単位の割合(モル%)を示す。
(A)−2:下記化学式(A1−2)で表される共重合体。Mw7000,Mw/Mn1.56。該化学式中、構成単位( )の右下の数値はその構成単位の割合(モル%)を示す。
【0331】
【化86】
【0332】
(C)−1:下記化学式(C)−1で表される化合物。
(G)−1:下記化学式(G)−1で表される化合物(pKa=−11.55)。
(G)−2:下記化学式(G)−2で表される化合物(カチオンpKa=5.6、アニオンpKa=−11.55)。
(D)−1:ヘプタフルオロブチルアミン(CF
3CF
2CF
2CH
2NH
2、沸点=69℃、pKa=5.6)。
(F)−1:下記化学式(F)−1で表される重合体。Mw24000,Mw/Mn1.38。該化学式中、構成単位( )の右下の数値はその構成単位の割合(モル%)を示す。
【0333】
【化87】
【0334】
【化88】
【0335】
【化89】
【0336】
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
【0337】
[実施例1〜14、参考例1:溶出の評価]
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチのシリコンウェーハ上に、上記レジスト組成物(1)〜(3)のいずれかを、スピンナーを用いて塗布し、表2に示す本回転時間及び回転時間(合計回転時間)スピンナーを回転させ、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。各実施例・比較例のレジスト膜を形成後、23℃、60秒間の条件下で静置し、参考例1では、90℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)を行った。 次に、VRC310S(商品名、エス・イー・エス株式会社製)を用いて、純水1滴(150μL)を室温下で、ウェーハの中心から円を描くように等線速で液滴を移動させた(液滴が接触したレジスト積層体表面の総接触面積221.56cm
2)。
その後、その液滴を採取して、分析装置Agilent−HP1100 LC−MSD(商品名、Agilent Technologies社製)により(Z)成分を分析し、レジスト膜からの式(G)−1で表される化合物の溶出量(×10
−12mol/cm
2・s
−1)を求めた。その結果を表3に示す。
【0338】
【表3】
【0339】
実施例1〜3、及び参考例1については、表1の各ステップと同様の条件でスピンコートを行った。
実施例1〜3と全回転時間が同じ実施例4、5については、本回転時間を表3記載の時間に変更した他、実施例5については、表1に示す回転工程中のステップ4を15秒に変更、実施例4についてはステップ4およびステップ9をそれぞれ15秒に変更し、全回転時間を55秒に調整した。
他の例については、実施例1〜3の各ステップのうち、本回転時間のみを表3に記載のとおり変更した。
【0340】
[実施例15:レジストパターン形成(1)]
・工程(1)
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚79nmの有機系反射防止膜を形成した。
次に、上記のレジスト組成物(3)を、実施例3の条件で、該有機系反射防止膜上にスピンコートして、膜厚100nmレジスト膜を形成した。
・工程(2)
次に、前記で形成されたレジスト膜にプレベーク(PAB)を行わず、該レジスト膜に対し、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60、2/3Annular)により、スペース幅130nm(ピッチ260nm)のSLパターンをターゲットとするフォトマスク(ハーフトーン)を介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を照射した。
・工程(3)
次に、90℃で60秒間のベーク(露光後加熱,PEB)処理を行った。
・工程(4)
次いで、23℃にて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)で30秒間のアルカリ現像を行った。
【0341】
[参考例2:レジストパターン形成(2)]
・工程(1)について、上記のレジスト組成物(3)を、参考例1の条件によりスピンコートした他は、上記実施例15と同様にして、パターン形成を行った。
その結果、実施例15のパターン形成方法では130nmの1:1SLパターンが形成できたのに対し、参考例2のパターン形成方法では130nmの1:1SLパターンは解像しなかった。
【0342】
上記の結果から、本発明にかかるレジストパターン形成方法では、従来のプレベークの工程を含むレジストパターン形成方法よりも高解像のパターンを形成することができることが確認できた。さらに、表3の結果から、回転時間が50秒以上の実施例1〜14では、プレベークを行っている比較例1と同程度かそれ以上に溶出量が少なく、プレベークなしでも成膜性が十分良好であることが確認できた。
さらに、回転時間を長くするほど、溶出量が低くなることが確認できた。一方、回転時間が50秒未満の比較例1〜3では、溶出量が高く、成膜性が不十分であった。
また、レジスト組成物(1)を用い、全回転時間を55秒とした実施例1,4,5について、主回転時間が長くなるほど溶出量が低くなり成膜性が良好になることが確認できた。