【実施例】
【0040】
次に本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0041】
(
参考例1)
アクリル酸ブチルおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを質量比7:3の割合で、酢酸エチル中で常法により共重合させて、主鎖に対して水酸基が結合されたアクリル重合体(A)を含む溶液(アクリル共重合体含有溶液Aa)を得た。
次に、前記アクリル共重合体含有溶液Aaに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、また、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズを加えて、50℃で24時間反応させて、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル重合体A2を含む溶液A2aを得た。このアクリル重合体の水酸基価を後述の方法で測定したところ、35.2mgKOH/gであった。
続いて、前記、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを含む溶液A2の100質量部に対して、光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):2.5質量部と、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):0.5質量部と、分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−1000」(日油株式会社製)):5質量部とを加えて、紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X1を得た。
【0042】
(ダイシングテープの作製)
基材樹脂フィルムとして、片面にコロナ放電処理が施された低密度ポリエチレン製フィルム(厚み:100μm)を用い、コロナ放電処理面に、前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X1を塗布し、80℃で10分間加熱して、加熱架橋させた。これにより、基材樹脂フィルム上に、放射線硬化性粘着剤層としての紫外線硬化型粘着剤層(厚さ:5μm)を形成した。次に、この紫外線硬化型粘着剤層の表面にセパレータを貼り合わせて、紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0043】
(
参考例2)
分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−3000」(日油株式会社製)):4質量部を用いた以外は
参考例1と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0044】
(
参考例3)
分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を4つ有するポリオキシプロピレン−ジグリセリルエーテル(商品名「ユニループDGP−700」(日油株式会社製))を用いた以外は
参考例1と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0045】
(
参考例4)
分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を6つ有するポリオキシプロピレン−ソルビット(商品名「ユニオールHS−1600D」(日油株式会社製))を用いた以外は
参考例1と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0046】
(
参考例5)
モノマー成分として、アクリル酸2−エチルヘキシルと2−ヒドロキシエチルアクリレートを質量比7:3の割合で、酢酸エチル中で共重合させて、主鎖に対して水酸基が結合されたアクリル重合体(A)を含む溶液(アクリル共重合体含有溶液Ab)を得た。
次に、このアクリル共重合体含有溶液Abに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、また、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズを加えて、50℃で24時間反応させて、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル重合体A2を含む溶液A2bを得た。このアクリル重合体の水酸基価を後述の方法で測定したところ、60.3mgKOH/gであった。
続いて、前記、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを含む溶液A2bの100質量部に、光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):2.5質量部と、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):0.5質量部と、分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−3000」(日油株式会社製)):5質量部とを加えて、紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X2を得た。
【0047】
(ダイシングテープの作製)
基材樹脂フィルムとして、片面にコロナ放電処理が施された低密度ポリエチレン製フィルム(厚み:100μm)を用い、コロナ放電処理面に、前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X2を塗布し、80℃で10分間加熱して、加熱架橋させた。これにより、基材樹脂フィルム上に、放射線硬化性粘着剤層としての紫外線硬化型粘着剤層(厚さ:5μm)を形成した。次に、この紫外線硬化型粘着剤層の表面にセパレータを貼り合わせて、紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0048】
(
参考例6)
モノマー成分として、アクリル酸エチルと2−ヒドロキシエチルアクリレートを質量比7:3の割合で、酢酸エチル中で常法により共重合させて、主鎖に対して水酸基が結合されたアクリル重合体(A)を含む溶液(アクリル共重合体含有溶液Ac)を得た。
次に、このアクリル共重合体含有溶液Acに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、また、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズを加えて、50℃で24時間反応させて、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル重合体(A2)を含む溶液A2cを得た。このアクリル重合体の水酸基価を後述の方法で測定したところ、14.6mgKOH/gであった。
続いて、前記、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを含む溶液A2cの100質量部に対して、光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):2.5質量部と、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):0.5質量部と、分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−3000」(日油株式会社製)):5質量部とを加えて、紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X3を得た。
【0049】
(ダイシングテープの作製)
基材樹脂フィルムとして、片面にコロナ放電処理が施された低密度ポリエチレン製フィルム(厚み:100μm)を用い、コロナ放電処理面に、前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X3を塗布し、80℃で10分間加熱して、加熱架橋させた。これにより、基材樹脂フィルム上に、放射線硬化性粘着剤層としての紫外線硬化型粘着剤層(厚さ:5μm)を形成した。次に、この紫外線硬化型粘着剤層の表面にセパレータを貼り合わせて、紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0050】
(
参考例7)
モノマー成分として、アクリル酸2−エチルヘキシルと2−ヒドロキシエチルアクリレートを質量比8:2の割合で、酢酸エチル中で共重合させて、主鎖に対して水酸基が結合されたアクリル重合体(A)を含む溶液(アクリル共重合体含有溶液Ad)を得た。
次に、前記アクリル共重合体含有溶液Adに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、また、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズを加えて、50℃で24時間反応させて、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル重合体(A2)を含む溶液(アクリル共重合体含有溶液A2d)を得た。このアクリル重合体(A2)の水酸基価を後述の方法で測定したところ、9.8mgKOH/gであった。
続いて、前記、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを含む溶液A2dの100質量部に対して、光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):2.5質量部と、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):0.5質量部と、分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−3000」(日油株式会社製)):5質量部とを加えて、紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X4を得た。
【0051】
(ダイシングテープの作製)
基材樹脂フィルムとして、片面にコロナ放電処理が施された低密度ポリエチレン製フィルム(厚み:100μm)を用い、コロナ放電処理面に、前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X4を塗布し、80℃で10分間加熱して、加熱架橋させた。これにより、基材樹脂フィルム上に、放射線硬化性粘着剤層としての紫外線硬化型粘着剤層(厚さ:5μm)を形成した。次に、この紫外線硬化型粘着剤層の表面にセパレータを貼り合わせて、紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0052】
(
参考例8)
モノマー成分として、アクリル酸エチルと2−ヒドロキシエチルアクリレートを質量比6:4の割合で、酢酸エチル中で共重合させて、主鎖に対して水酸基が結合されたアクリル重合体(A)を含む溶液(アクリル共重合体含有溶液Ae)を得た。
次に、前記アクリル共重合体含有溶液Aeに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、また、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズを加えて、50℃で24時間反応させて、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル重合体(A2)を含む溶液A2eを得た。このアクリル重合体の水酸基価を後述の方法で測定したところ、68.7mgKOH/gであった。
続いて、前記、側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを含む溶液A2eの100質量部に対して、光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):2.5質量部と、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):0.5質量部と、分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−3000」(日油株式会社製)):5質量部とを加えて、紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X5を得た。
【0053】
(ダイシングテープの作製)
基材樹脂フィルムとして、片面にコロナ放電処理が施された低密度ポリエチレン製フィルム(厚み:100μm)を用い、コロナ放電処理面に、前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X5を塗布し、80℃で10分間加熱して、加熱架橋させた。これにより、基材樹脂フィルム上に、放射線硬化性粘着剤層としての紫外線硬化型粘着剤層(厚さ:5μm)を形成した。次に、この紫外線硬化型粘着剤層の表面にセパレータを貼り合わせて、紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0054】
(
参考例9)
モノマー成分として、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシルと2−ヒドロキシエチルアクリレートを質量比5:14:1の割合で、酢酸エチル中で共重合させて、主鎖に対して水酸基が結合されたアクリル重合体(A)を含む溶液(アクリル重合体含有溶液Af)を得た。このアクリル重合体の水酸基価を後述の方法で測定したところ、22.5であった。
続いて、前記、アクリル系ポリマーを含む溶液Afの100質量部に対して、紫外線硬化性化合物としてペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジイソシアネートを反応させて得た紫外線硬化性オリゴマー:50質量部と、光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):2.5質量部と、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):1.0質量部と、分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−1000」(日油株式会社製)):8質量部とを加えて、紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X6を得た。
【0055】
(ダイシングテープの作製)
基材樹脂フィルムとして、片面にコロナ放電処理が施された低密度ポリエチレン製フィルム(厚み:100μm)を用い、コロナ放電処理面に、前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液X6を塗布し、80℃で10分間加熱して、加熱架橋させた。これにより、基材樹脂フィルム上に、放射線硬化性粘着剤層としての紫外線硬化型粘着剤層(厚さ:5μm)を形成した。次に、この紫外線硬化型粘着剤層の表面にセパレータを貼り合わせて、紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0056】
(
参考例10)
分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を6つ有するポリオキシプロピレン−ソルビット(商品名「ユニオールHS−1600D」(日油株式会社製))を用いた以外は
参考例9と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0057】
(
参考例
11)
側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを含む溶液A2の100質量部に対して、さらに有機金属化合物のジルコニウムキレート(商品名「ZC−150」(マツモトファインケミカル(株)社製)):0.0005質量部を加えた以外は
参考例2と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0058】
(
参考例12〜15)
参考例11で使用した有機金属化合物の添加量を下記表2に記載の量に変更した以外は
参考例11と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを各々作製した。
【0059】
(
参考例16)
側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを含む溶液A2の100質量部に対して、さらに有機金属化合物のジルコニウムキレート(商品名「ZC−150」(マツモトファインケミカル(株)社製)):0.1質量部を加えた以外は
参考例4と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0060】
(
参考例17)
有機金属化合物を、ジルコニウムアルコキシド(商品名「ZA−45」(マツモトファインケミカル(株)社製))に変更した以外は
参考例13と同様にして紫外線硬化型の各ダイシングテープを作製した。
【0061】
(
参考例18、19)
有機金属化合物を、下記表2に記載のチタンキレート(商品名「TC−750」(マツモトファインケミカル(株)社製))、チタンアルコキシド(商品名「TA−10」(マツモトファインケミカル(株)社製))に変更した以外は
参考例13、18と同様にして紫外線硬化型の各ダイシングテープを作製した。
【0062】
(
参考例20)
アクリル系ポリマーを含む溶液Afの100質量部に対して、さらに実施例
1で使用した有機金属化合物のジルコニウムキレート:0.1質量部を加えた以外は
参考例9と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0063】
(実施例
1)
分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−3000」(日油株式会社製))の量を1.5質量部、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製)の量を0.25質量部に変更した以外は
参考例2と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0064】
(
参考例
21)
分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−1000」(日油株式会社製))の量を4質量部、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製)の量を0.5質量部に変更した以外は
参考例9と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0065】
(比較例1)
ポリプロピレンオキシドの添加を行わない以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0066】
(比較例2)
分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールの代わりに、分子内に水酸基を2つ有するポリプロピレングリコール(商品名「ポリプロピレングリコール1000」(純正化学株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0067】
(比較例3)
分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールの代わりに、分子内に水酸基を2つ有するポリエチレンオキシド(商品名「エクセノール2020」(旭硝子株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0068】
(比較例4)
分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールの代わりに、分子内に水酸基を2つ有するポリエチレンオキシド(商品名「エクセノール2020」(旭硝子株式会社製))を用いた以外は、実施例5と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0069】
(比較例5)
モノマー成分として、メタクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルを質量比1:3の割合で、酢酸エチル中で共重合させて、アクリル重合体を含む溶液(アクリル系共重合体含有溶液Ya)を得た。このアクリル重合体の水酸基価を後述の方法で測定したところ、0mgKOH/gであった。
続いて、前記、アクリル系ポリマーを含む溶液Fの100質量部に、紫外線硬化性化合物としてペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジイソシアネートを反応させて得た紫外線硬化性オリゴマー:50質量部と、光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):2.5質量部と、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):1.0質量部と、分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールとして、分子内に水酸基を3つ有するポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−1000」(日油株式会社製)):8質量部とを加えて、紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液Y1を得た。
【0070】
(ダイシングテープの作製)
基材樹脂フィルムとして、片面にコロナ放電処理が施された低密度ポリエチレン製フィルム(厚み:100μm)を用い、コロナ放電処理面に、前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液Y1を塗布し、80℃で10分間加熱して、加熱架橋させた。これにより、基材樹脂フィルム上に、放射線硬化性粘着剤層としての紫外線硬化型粘着剤層(厚さ:5μm)を形成した。次に、この紫外線硬化型粘着剤層の表面にセパレータを貼り合わせて、紫外線硬化型のダイシングテープを作製した。
【0071】
(比較例6)
ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製)を添加しない以外は実施例5と同様にして、ダイシングテープを作製した。
【0072】
(参考例
22)
側鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを含む溶液A2の100質量部に対して、さらに有機金属化合物のジルコニウムキレート(商品名「ZC−150」(マツモトファインケミカル(株)社製)):11質量部を加えた以外は
参考例2と同様にして紫外線硬化型のダイシングテープを作製したが、基材樹脂フィルム上への塗布前に粘着剤がゲル化してしまい、ダイシングテープの作成ができなかった為、各種評価を実施することができなかった。
【0073】
(水酸基価)
上記アクリル重合体の水酸基価を、JIS K 0070に記載のピリジン−無水酢酸によるアセチル化法で測定した。
【0074】
(粘着力)
実施例1〜22および比較例1〜6で得られたダイシングテープについて、23℃、50%RHの条件下でSiミラー面に貼付した後、23℃、50%RHの条件下で1時間経過後の、放射線硬化前における接着力(剥離力)(対Siミラー面、剥離角度:90°、引張速度:50mm/min、23℃、50%RH)を測定した。
【0075】
(ピックアップ性)
実施例1〜22および比較例1〜6で得られたダイシングテープについて、以下の手順に従って試験を行い、ピックアップ性について評価した。
(1)8インチのシリコンウエハの裏面を2軸にて30μm研削後、シリコンウエハの最終厚みが50μmとなるまで研削した。
(研磨条件)
グラインダー:DISCO社製、商品名「DFG−840」
1軸:#600砥石(回転数:4800rpm、ダウンスピード:P1:3.0μm/sec、P2:2.0μm/sec)
2軸:#2000砥石(回転数:5500rpm、ダウンスピード:P1:0.8μm/sec、P2:0.6μm/sec)
【0076】
(2)(1)の研削終了後5分以内に、各例のダイシングテープを、前記(1)で得られた半導体ウエハの研削面に貼着すると共に、リングフレームに固定した。
(3)(2)でリングフレームに固定された半導体ウエハを、ダイシング装置(ディスコ社製DAD340)を用いて、設定した分割予定ラインに沿って15×10mm角にフルカットした。
(ダイシング条件)
ダイサー:DISCO社製、商品名「DFD−340」
ブレード:DISCO社製、商品名「27HECC」
ブレード回転数:40000rpm
ダイシング速度:100mm/sec
ダイシング深さ:25μm
カットモード:ダウンカット
ダイシングサイズ:15.0×10.0mm
【0077】
(4)ダイシングテープを貼着してから7日間経過した後、ダイシングテープの基材フィルム側から、紫外線を100mJ/mm
2照射して粘着剤層を硬化させた後、個片化した半導体チップを、ダイスピッカー装置(キャノンマシナリー社製CAP−300II)を用いてピックアップする。任意の半導体チップ50個を、下記のピックアップ条件でピックアップし、ピックアップが成功した半導体チップ数をカウントし、50個全ての半導体チップのピックアップが成功した場合を○、45〜49個の半導体チップのピックアップが成功した場合を△とし、それ以外は×として、ピックアップ性を評価した。○および△をピックアップ性合格とした。
(ピックアップ条件)
ダイボンダー:NEC社製「CPS−100」
ピン数:4本
ピンの間隔:7.8×7.8mm
ピン先端曲率:0.25mm
ピン突き上げ量:0.40mm
【0078】
<ダスト浸入評価方法>
ピックアップ評価においてピックアップしたチップについて、光学顕微鏡を用いてチップの裏面を観察し、端部に切削ダストの付着が見られるチップの数をカウントし、50個全ての半導体チップで切削ダストの付着が見られなかった場合を○、45〜49個の半導体チップで切削ダストの付着が見られなかった場合を△とし、それ以外は×として、ダスト浸入の評価とした。○及び△をダスト浸入合格とした。
【0079】
(耐汚染性)
実施例1〜22および比較例1〜6で得られたダイシングテープについて、以下の手順に従って試験を行い、耐汚染性の評価試験を行った。
(1)5インチの半導体ウエハにダイシングテープを貼合した。
(2)ダイシングテープ貼合から7日間経過した後、ダイシングテープの基材フィルム側から、紫外線を100mJ/mm
2照射して粘着剤層を硬化させた後、ダイシングテープを剥離した。
(3)下記の条件でX線光電子分光分析を実施、元素ピークの強度比から有機物汚染物量の反定量分析を行い、C1sのatom%が30%未満のものを○、30%以上60%未満のものを△、60%以上のものを×とした。○および△を耐汚染性合格とした。
(X線光電子分光分析)
励起X線:単色化AlKα線(1486.6eV)
脱出角:45°
wide scan:1350〜0eV
narrow scan:C1s、N1s、O1s、Si2p
測定領域:1.1mmΦ
【0080】
得られた結果をまとめて下記表1〜3に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
表3に示されるように、分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールを含まない粘着剤層を使用した場合は、ピックアップ性と耐汚染性のいずれかが不合格であった(比較例1〜4)。分子内に水酸基を3つ以上有するポリエーテルポリオールを含んだ場合であっても、主鎖に対して水酸基が結合されたアクリル重合体を使用しない場合は、耐汚染性に問題を生じた。比較例5はポリイソシアネート架橋剤を使用していないために、耐汚染性に問題を生じた。
これに対して、実施例
1のダイシングテープは、ピックアップ性及び耐汚染性に優れていた。