【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、管状体の外周を覆うように被覆した非難燃被覆材からなる内層と、該内層の外周を覆うように被覆した難燃被覆材からなる外層とで構成する被覆層を備えた難燃性被覆管であって、前記被覆層の厚みを、10mm〜40mmの範囲に含まれる厚みに設定するとともに、前記内層の厚みを、前記被覆層全体の厚みに対して1/3〜2/3の厚みに設定し、前記外層の酸素指数を25以上に設定し、前記内層と前記外層との接合面間
の一部に、該内層と外層との接合面が接合されていない非接合部を備え、前記外層に比べて前記内層が固いことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、被覆層全体を難燃被覆材のみで構成するよりも安価であり、かつ、その難燃被覆材で被覆層全体を構成したものとほぼ同等の難燃性を得ることができる。
詳述すると、管状体の外周に被覆した内層を非難燃被覆材にて構成し、該内層の外周に被覆した外層を難燃被覆材にて構成するとともに、前記被覆層の厚みを、10mm〜40mmの範囲に含まれる厚みに設定するとともに、内層の厚みを、被覆層全体の厚みに対して1/3〜2/3の厚みに設定しているので、被覆層全体を難燃被覆材のみで構成するよりも、難燃性に優れた難燃性被覆管を安価に製造することができる。
【0009】
また、管状体の外周に被覆した非難燃被覆材からなる内層を、難燃被覆材からなる外層にて覆っているため、難燃被覆材の難燃性により非難燃被覆材まで延焼することを防止でき、難燃被覆材にて管状体の外周全体を覆ったものとほぼ同等の延焼防止効果が得られる。
【0010】
この結果、管状体の外周全体を、例えば難燃性樹脂発泡体等の難燃被覆材のみで覆うよりも安価に製造することができる。
なお、上述の管状体は、例えば銅、鉄、ステンレス等の金属材料で構成している。
【0011】
また、前記外層の酸素指数を25以上に設定することにより、難燃性被覆管の難燃性をさらに向上させることができる。
詳述すると、外層の酸素指数を25以上に設定することにより、内層を難燃性の被覆材に変更することなく、難燃性被覆管全体の難燃性を高めることができる。
この結果、難燃性が高く、安価な難燃性被覆管を得ることができる。
【0012】
また、前記内層と前記外層との接合面間の少なくとも一部に、該内層と外層との接合面が接合されていない非接合部を備えたため、内層と外層との接合面に付加される応力を緩和する効果が得られる。
【0013】
詳述すると、内層と外層とからなる2層構造の被覆層を、例えば管状体の曲がっている部分に被覆する場合、あるいは、被覆層で覆われた被覆管を曲げて施工する場合、被覆層に付与される応力が、非接合部において内層と外層とにそれぞれ分散して付与されるため、応力が接合面の一部に集中することがなく、応力を緩和する効果が得られる。
【0014】
この結果、外層に変形が生じにくく、厚み方向の変形量も少なくなるので、被覆材を、管状体の外面に対してほぼ均等な厚みに被覆された状態に維持することができる。
また、非接合部と対応する内層と外層との間に空気層が形成されるので、被覆層による断熱効果を向上させることができる。
【0015】
また、外層に比べて内層の方が固いので、被覆層を、管状体の曲がっている部分に装着する場合、あるいは、被覆層で覆われた難燃性被覆管を曲げて施工する場合、外層が、内層によって内側から支持されているため、外層が内側へ変形しにくく、また、外層の厚み変化が少ないので、管状体の外周に対してほぼ均等な厚みに被覆することができる。
この結果、管状体の外面全体を、難燃性または不燃性の被覆材にてほぼ均等に被覆することができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記内層の非難燃被覆材を、ポリエチレン又はポリプロピレンで構成し、前記外層の難燃被覆材を、エチレン酢酸ビニル共重合体で構成することができる。
この発明によれば、内層と外層とからなる被覆層を、管状体の外周に対して安定した状態に取り付けることができる。
【0017】
詳述すると、外層に比べて内層の方が固いので、被覆層を、例えば管状体の曲がっている部分に装着する場合、あるいは、被覆層で覆われた被覆管を曲げて施工する場合、外層が、内層によって内側から支持されているため、外層が内側へ変形しにくく、また、外層の厚み変化が少ないので、管状体の外周に対してほぼ均等な厚みに被覆することができる。
この結果、管状体の外面全体を、難燃性または不燃性の被覆材にてほぼ均等に被覆することができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記非難燃被覆材の両端部を接合してなる内層のシーム部と、前記難燃被覆材の両端部を接合してなる外層のシーム部とを、前記管状体の軸芯を中心として周方向の異なる位置に配置することができる。
【0019】
この発明によれば、内層のシーム部と外層のシーム部とに応力を分散させて、該各層のシーム部が同時に剥離することを防止できる。
詳述すると、2層構造の被覆層を、例えば管状体の曲がっている部分に被覆する場合、あるいは、被覆層で覆われた被覆管を曲げて施工する場合、内層のシーム部と外層のシーム部とが周方向の同一位置に配置されていると、上述の曲げによる応力が各層のシーム部に対して集中して付与されるため、同時に剥離が生じ易い。
【0020】
これに対して本発明は、内層のシーム部と外層のシーム部とを周方向の異なる位置に配置しているため、上述の曲げによる応力が各層のシーム部に対して分散して付与されることになり、内層のシーム部と外層のシーム部とが同時に剥離するリスクを回避することができる。
この結果、管状体の外周面に内層が被覆され、該内層の外周に外層が被覆された状態を確実に維持することができる。
【0021】
また、この発明の態様として、前記内層と前記外層とを異なる色に配色することができる。
この発明によれば、難燃性被覆管の製造時において、内層用の非難燃被覆材と、外層用の難燃被覆材の取り扱いが容易かつ的確に行えるとともに、被覆材の配置間違いが起きることを防止できる。
【0022】
詳述すると、例えば紫色、橙色、赤色、青色、黄色、緑色等の中から選択した色にて、内層を構成する非難燃被覆材と、外層を構成する難燃被覆材とを異なる色に予め配色しておくことで、その被覆材の色を見るだけで、内層用の非難燃被覆材であるか、外層用の難燃被覆材であるか即見分けることができる。
これにより、非難燃被覆材からなる内層を管状体の外周に被覆し、該内層の外周に難燃被覆材からなる外層を被覆する作業が的確に行え、製造作業の向上を図ることができる。