特許第5764583号(P5764583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧

特許5764583光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム
<>
  • 特許5764583-光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム 図000002
  • 特許5764583-光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム 図000003
  • 特許5764583-光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム 図000004
  • 特許5764583-光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム 図000005
  • 特許5764583-光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム 図000006
  • 特許5764583-光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム 図000007
  • 特許5764583-光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム 図000008
  • 特許5764583-光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764583
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   H04N5/225 C
   H04N5/225 F
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-9554(P2013-9554)
(22)【出願日】2013年1月22日
(65)【公開番号】特開2014-143492(P2014-143492A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2014年5月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成24年7月24〜27日神戸国際展示場1・2・3号館において開催された下水道展’12神戸で公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】三島 誠良
【審査官】 ▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−080933(JP,A)
【文献】 特開2007−266744(JP,A)
【文献】 特開2012−009953(JP,A)
【文献】 特開2009−284418(JP,A)
【文献】 特開2010−011339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送路を介して光を受けることにより電力が供給される光給電型カメラ装置であって、
前記光伝送路を介して伝送された光を電力に変換する光/電力変換手段と、
前記光/電力変換手段から受けた電力を蓄える蓄電手段と、
前記蓄電手段の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記蓄電手段によって蓄えられた電力に基づいて撮像動作を実行する撮像手段と、
前記撮像手段にて撮像されて得られた画像信号を外部に出力すると共に、画像出力完了を示す信号を出力する画像出力手段と、
前記電圧検出手段および前記画像出力手段からの信号に基づいて、前記撮像手段に供給する電力を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段で検出された前記蓄電手段の電圧が所定値以上であるときに前記蓄電手段から前記撮像手段への電力供給を行い、前記画像出力手段から画像出力完了を示す信号を受信したときに、前記撮像手段への電力供給を停止することを特徴とする、光給電型カメラ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記蓄電手段と前記撮像手段の間に設けられたスイッチを有し、前記前記蓄電手段の電圧が所定値以上であるときに前記スイッチをONにし、前記画像出力手段から画像出力完了を示す信号を受信したときに前記スイッチをOFFにすることを特徴とする、請求項1記載の光給電型カメラ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、所定時間を計測するタイマを有し、前記スイッチをOFFにしたときから所定時間が経過したときに前記スイッチを再びONにして、前記撮像手段への電力供給を再開することを特徴とする、請求項2記載の光給電型カメラ装置。
【請求項4】
外部に光を送出するセンタ装置と、該センタ装置に光伝送路を介して接続された光給電型カメラ装置とを備える光給電型カメラシステムであって、
前記光給電型カメラ装置は、
第1光伝送路を介して伝送された光を電力に変換する光/電力変換手段と、
前記光/電力変換手段から受けた電力を蓄える蓄電手段と、
前記蓄電手段の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記蓄電手段によって蓄えられた電力に基づいて撮像動作を実行する撮像手段と、
前記撮像手段にて撮像されて得られた画像信号を前記センタ装置に出力すると共に、画像出力完了を示す信号を出力する画像出力手段と、
前記電圧検出手段および前記画像出力手段からの信号に基づいて、前記撮像手段に供給する電力を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段で検出された前記蓄電手段の電圧が所定値以上であるときに前記撮像手段への電力供給を行い、前記画像出力手段から画像出力完了を示す信号を受信したときに、前記撮像手段への電力供給を停止し、
前記センタ装置は、
前記第1光伝送路を介して光を前記光/電力変換手段に送出する光源ユニットと、画像出力手段から出力された光を第2光伝送路を介して受ける受信手段とを有すること、
を特徴とする、光給電型カメラシステム。
【請求項5】
前記センタ装置に接続され、前記受信手段で受けた画像信号に応じた画像を表示する表示手段を更に備えることを特徴とする、請求項記載の光給電型カメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山、河川あるいはダム近傍などの遠隔地に設置された光給電型カメラ装置に関し、特に、外部から光ファイバを介して電力が供給される光給電型カメラ装置、および該光給電型カメラ装置を備える光給電型カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光給電型システムは、例えば電力供給元であるセンタ装置と、該センタ装置に接続された電力供給先である端末装置とで構成され、センタ装置から光ファイバを介して端末装置に電力を供給することで、端末装置の動作が可能となっている。
【0003】
図8は、従来の光給電型システムの構成の一例を示すブロック図である。
図8において、従来の光給電型システムは、センサユニット80と、該センサユニットと光ファイバを介して接続された測定装置90とで構成されている。センサユニット80は、水中の溶存酸素等の物理量を測定するセンサ82と、センサ82に接続されてセンサ82の出力信号に応じた光信号を出力する光出力器83と、センサ82に電気エネルギーを供給する光−電力変換器84とを有している。
【0004】
本光給電型システムにおいて、測定装置90の光源95から出た連続光は、光ファイバを介して光方向性結合器91の入出力ポート91cに入射した後にその内部で光路がシフトされて入出力ポート91aから出力され、さらに光ファイバ内を伝搬して第1の光方向性結合器86の入出力ポート86cに入力する。入出力ポート86cに入射した光は、電力供給用光として入出力ポート86aから光ファイバ内を伝搬して光−電力変換器84に照射される。光−電力変換器84は、入射した光のエネルギーを電気エネルギーに変換してセンサ82に電力を供給し、これによりセンサ82にて所定の物理量が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4851330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて近年、天変地異による災害を防止する観点から、現地で電力を得ることが困難な遠隔地にカメラを設置し、山、河川あるいはダムなどの被写体を長時間かつできるだけ短いスパンで撮像したいといったニーズがある。しかしながら、上記従来の光給電型システムは、所定の物理量を測定するためのセンサに電力を供給する構成であり、当該センサで消費される電力は比較的小さい。よって、消費電力が大きいカメラ等の撮像装置が電力供給先として使用される場合、電力不足による動作信頼性の低下を招くこととなる。特に、1〜数秒間隔といった短いスパンで撮像して画像を外部に送信する場合には、撮像装置の消費電力が増大し、電力供給が更に不足することとなる。一方、電力供給元である装置の給電能力を増大させようとすると、光源パワーを増大させる必要があり、大幅に製造コストが増大することとなる。
【0007】
本発明の目的は、製造コストの増大を防止しつつ、遠隔地にある被写体を1〜数秒間隔といった短いスパンでも撮像することができ、信頼性を向上することができる光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の光給電型カメラ装置は、光伝送路を介して光を受けることにより電力が供給される光給電型カメラ装置であって、前記光伝送路を介して伝送された光を電力に変換する光/電力変換手段と、前記光/電力変換手段から受けた電力を蓄える蓄電手段と、前記蓄電手段の電圧を検出する電圧検出手段と、前記蓄電手段によって蓄えられた電力に基づいて撮像動作を実行する撮像手段と、前記撮像手段にて撮像されて得られた画像信号を外部に出力すると共に、画像出力完了を示す信号を出力する画像出力手段と、前記電圧検出手段および前記画像出力手段からの信号に基づいて、前記撮像手段に供給する電力を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電圧検出手段で検出された前記蓄電手段の電圧が所定値以上であるときに前記蓄電手段から前記撮像手段への電力供給を行い、前記画像出力手段から画像出力完了を示す信号を受信したときに、前記撮像手段への電力供給を停止することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記制御手段は、前記蓄電手段と前記撮像手段の間に設けられたスイッチを有し、前記前記蓄電手段の電圧が所定値以上であるときに前記スイッチをONにし、前記画像出力手段から画像出力完了を示す信号を受信したときに前記スイッチをOFFにする。
【0010】
また好ましくは、前記制御手段は、所定時間を計測するタイマを有し、前記スイッチをOFFにしたときから所定時間が経過したときに前記スイッチを再びONにして、前記撮像手段への電力供給を再開することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の光給電型カメラシステムは、外部に光を送出するセンタ装置と、該センタ装置に光伝送路を介して接続された光給電型カメラ装置とを備える光給電型カメラシステムである。前記光給電型カメラ装置は、第1光伝送路を介して伝送された光を電力に変換する光/電力変換手段と、前記光/電力変換手段から受けた電力を蓄える蓄電手段と、前記蓄電手段の電圧を検出する電圧検出手段と、前記蓄電手段によって蓄えられた電力に基づいて撮像動作を実行する撮像手段と、前記撮像手段にて撮像された画像を前記センタ装置に出力すると共に、画像出力完了を示す信号を出力する画像出力手段と、前記電圧検出手段および前記画像出力手段からの信号に基づいて、前記撮像手段に供給する電力を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電圧検出手段で検出された前記蓄電手段の電圧が所定値以上であるときに前記撮像手段への電力供給を行い、前記画像出力手段から画像出力完了を示す信号を受信したときに、前記撮像手段への電力供給を停止することを特徴とする。前記センタ装置は、前記第1光伝送路を介して光を前記光/電力変換手段に送出する光源ユニットと、画像出力手段から出力された光を第2光伝送路を介して受ける受信手段とを有することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記光給電型カメラシステムは、前記センタ装置に接続され、前記受信手段で受けた画像信号に応じた画像を表示する表示手段を更に備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電圧検出手段で検出された蓄電手段の電圧が所定値以上であるときに、撮像手段への電力供給が行われ、画像出力手段から画像出力完了を示す信号を受信したときに、蓄電手段から撮像手段への電力供給が停止される。すなわち、前回の撮像動作に伴う画像出力完了後に蓄電手段で電力を蓄え、当該蓄電手段の電圧が所定電圧となったときに再び撮像動作を実行するので、撮像手段の消費電力が大きい場合でも、正常な撮像動作に必要な電力を常に撮像手段に供給することができる。また、1〜数秒間隔といった短いスパンで撮像して画像を外部に送信する場合にも、上記制御を実行することで、撮像回路への十分な電力供給を行うことができる。また、光給電型カメラ装置の構成にて電力供給の不足を防止することが可能であるため、電力供給元である装置の給電能力を増大させる必要もない。
【0014】
また、蓄電手段の電圧が所定電圧となり、かつ蓄電手段から撮像手段への電力供給を停止してから所定時間が経過したときに、前記撮像手段への電力供給を再開するので、光源の光パワーの変動や各種部材の経年劣化等に因らず、長期に亘って一定間隔で撮像動作を実行することが可能となる。
【0015】
したがって、製造コストの増大を防止しつつ、遠隔地にある被写体を1〜数秒間隔といった短いスパンでも撮像することができ、信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る光給電型カメラシステムの構成を概略的に示す図である。
図2図1の光給電型カメラ装置の構成を示すブロック図である。
図3図2の電源回路の構成を示す回路図である。
図4図2の給電型カメラ装置で実行される電源制御処理を示すフローチャートである。
図5図4の電源制御処理を繰り返して実行した場合の蓄電部の電圧変化を示すグラフである。
図6】本発明の第2実施形態に係る光給電型カメラシステムの構成を概略的に示す図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る光給電型カメラシステムの構成を概略的に示す図である。
図8】従来の光給電型システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光給電型カメラシステムの構成を概略的に示す図であり、図2は、図1の光給電型カメラ装置の構成を示すブロック図である。なお、図1における光給電型カメラシステムは、その一例を示すものであり、本発明に係る光給電型カメラシステムおよび光給電型カメラ装置の構成は、図1図2のものに限られないものとする。
【0019】
本発明の光給電型カメラシステム1は、センタ装置2と、センタ装置2に線路3を介して接続されたモニタ4と、センタ装置2に光伝送路6,7を介して接続された光給電型カメラ装置5とを備えている。本実施形態の光給電型カメラシステム1は、光給電装置であるセンタ装置2から光給電型カメラ装置5に電力供給を行い、光給電型カメラ装置5にて撮像した画像を信号処理して画像信号とし、該画像信号をE/O変換してセンタ装置2に出力し、センタ装置2にてO/E変換して画像信号を出力し、モニタ4にて当該画像を表示する構成となっている。
【0020】
具体的には、センタ装置2は、光伝送路6を介して光を光給電型カメラ装置5に送出する光源ユニット8と、光給電型カメラ装置5から出力された光を光伝送路7を介して受信する受信装置9とを有している。光給電型カメラ装置5は、例えば、現地で電力を得ることが困難な遠隔地に設置される。光伝送路6は、電力供給用の光ファイバで構成されており、例えば長さ10km〜20kmのシングルモードファイバ(SMF)等である。光伝送路7は、画像信号送信用の光ファイバであり、例えば長さ10km〜20kmである。
【0021】
センタ装置2の光源ユニット8(光源)は、例えば出力400mW、波長1480nmの光を出力するLDで構成され、当該光を光給電型カメラ装置5に送出することで、該光給電型カメラ装置5に給電を行う。光給電型カメラ装置5は、光源ユニット8から送出された光を受けて、所定スパンで撮像動作を実行する。本実施形態では、例えば有効画素数640×480の撮像素子が使用される。また光給電型カメラ装置5は、撮像動作によって得られた画像信号を光に変換し、例えば波長1310nmの光をセンタ装置2の受信装置9に随時出力する。受信装置9は、光給電型カメラ装置5からの画像信号を線路3を介してモニタ4に送信する。モニタ4は、受信装置9から送信された画像を表示する。ここで、図1では、光伝送路6,7は別々のものとして記載されているが、1本のSMF等で構成し、1480nmと1310nmの光を合分波するWDMカプラ等をその両端に設けてセンタ装置2と光給電型カメラ装置5の入出力端の光伝送路6,7と接続させても良い。
【0022】
光給電型カメラ装置5は、図2に示すように、光給電用PD11(光/電力変換手段)、電源回路12(制御手段)、撮像回路13(撮像手段)、出力回路14(画像出力手段)、出力用LD15を有している。なお本実施形態では、説明の便宜上、光給電用PD11が電源回路12と別個に設けられているが、光給電用PDが電源回路12に設けられてもよい。
【0023】
光給電用PD11は、センタ装置2の光源ユニット8から送出された光を電力に変換して電源回路12に出力する。電源回路12は、光給電用PD11から出力された電力を撮像回路13および後述の出力回路に出力すると共に、撮像回路13に出力する電力を制御する。
【0024】
また、撮像回路13は、電源回路12から出力された電力に基づいて撮像動作を実行し、当該撮像動作にて得られた画像信号を出力回路14に出力する。そして撮像回路13は、出力回路14への画像信号出力が完了すると、当該画像信号が出力回路14に出力されたことを示す画像出力完了信号を電源回路12に出力する。出力回路14は、撮像回路13から出力された画像信号を出力用LD15に出力する。出力用LD15は、出力回路14からの画像信号を光に変換して、センタ装置2の受信装置9に出力する。
【0025】
図3は、図2の電源回路12の構成を示す回路図である。
【0026】
図3において、電源回路12は、PD21からの電力を蓄電するコンデンサ等の蓄電部22と、電源用IC23と、蓄電部22の電圧を検出する電圧検出部24と、蓄電部22と出力ポート26の間に設けられたFET等のスイッチ25と、電源用IC23、電圧検出部24、スイッチ25、入力ポート28およびタイマ29に接続され、電源回路の動作を制御するMPU等の制御部27とを有している。
【0027】
PD21は、図2の光給電用PD11に対応するものであり、光源ユニット8から出力された連続光を受光する。PD21の給電能力は、例えば約75mWである。蓄電部22に蓄電される電力はPD11の給電能力に依存し、蓄電部22の最大電圧は、例えば3.9Vである。
【0028】
電圧検出部24は、蓄電部22の電圧を検出し、検出電圧に応じた信号を制御部27に送信する。また、スイッチ25は、制御部27から送信された信号に応じてON/OFFを切り替える。本実施形態では、スイッチ25がON状態のとき、蓄電部22の電力が出力ポート26に供給され、スイッチ25がOFF状態のとき、蓄電部22の電力が出力ポート26に供給されない構成となっている。出力ポート26は撮像回路13に接続されており、スイッチ25がON状態のとき、蓄電部22の電力が出力ポート26を介して撮像回路13に出力される。入力ポート28は撮像回路13に接続されており、撮像回路13から1画像に対応する画像信号が出力回路14に出力され、その後撮像回路13から画像出力完了信号を受信する。
【0029】
制御部27は、電圧検出部24から出力された信号とタイマ29から出力された信号とに基づいて、スイッチ25をONにする。また、制御部27は、撮像回路13から送信された画像出力完了信号に応じてスイッチ部25をOFFにする。
【0030】
ここで、上記のように構成される光給電型カメラシステム1では、光給電型カメラ装置5の消費電力が約250mWである場合には、上述のようにPD21からの供給電力が約75mWであることから、光給電型カメラ装置5への電力供給が十分でないこととなる。この点を解消するべく、本発明では、センタ装置2から供給される小さい電力を蓄電部22にて蓄電し、この蓄電電圧を間欠的に使用することで、光給電型カメラ装置5での確実な撮像動作を実現している。
【0031】
次に、図2の光給電型カメラ装置5で実行される電源制御処理を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0032】
図4において、先ず制御部27は、蓄電部22、すなわち蓄電用コンデンサの電圧を監視し(ステップS41)、検出電圧が所定電圧以上である否かを判定する(ステップS42)。検出電圧が所定値以上であれば、制御部27はスイッチ25をONにする。これにより、蓄電部22の電力が撮像回路13に供給され、撮像回路13にて1画像分の撮像動作が実行される(ステップS43)。上記撮像動作が実行されると、撮像回路13は、1画像に対応する画像信号を出力回路14に出力すると共に、画像出力完了信号を電源回路12に出力する(ステップS44)。そして制御部27は、画像出力完了信号を受信すると、スイッチ25をOFFにし、蓄電部22から撮像回路13への電力供給を停止する(ステップS45)。その後、制御部27は、スイッチ25をOFFにしたときから所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS46)。所定時間が経過していれば一旦本処理を終了し、その後上記ステップS41,S42の処理を実行して、蓄電部22への電力供給を再開する。
【0033】
図5は、図4の電源制御処理を繰り返して実行した場合の蓄電部の電圧変化を示すグラフである。
【0034】
図5のグラフに示すように、蓄電部22の電圧0Vの初期状態から、スイッチ25のOFF状態でPD21にて連続光を受けると、蓄電部22の電圧Vは上昇していく。そして、蓄電部22の電圧Vが、所定電圧、例えば撮像回路13が確実に動作可能な電圧3.3Vに達したときにスイッチ25がONとなり、撮像回路13のカメラが所定期間動作する(図中の符号51)。この1回目の撮像動作の実行により、所定期間51の間に電圧Vが下降する。このとき、撮像動作終了後の蓄電部22の電圧Vは、撮像回路13が正常に動作する最低電圧2.9Vよりも大きいため、当該撮像動作は正常に行われる。
【0035】
なお、蓄電部22の電圧上昇量ΔV1と1回の撮像動作による電圧降下量ΔV2はいずれも推定可能なため、撮像動作終了後の蓄電部22の電圧Vが、撮像回路13が正常に動作する最低電圧よりも大きくなるように、1回目の撮像動作が実行される。
【0036】
その後、画像出力完了信号に基づいてスイッチ25がOFFになると、蓄電部22の電圧Vは再び上昇し、PD21の最大電圧、例えば3.9Vに到達する。スイッチ25がOFFになってから電圧Vが3.9Vになるまでの期間(図中の符号52)は、タイマ29によって設定された期間であり、この期間中撮像回路13のカメラは動作しない。そして、2回目の撮像動作が実行されると、1回目の撮像動作と同様に電圧Vが下降する。以後、蓄電部22の電圧Vが3.9Vに到達したときに撮像動作を実行することで、正常な撮像動作が繰り返して実行され、被写体画像が所定間隔で更新される。
【0037】
また、蓄電部22の電圧Vのみを入力パラメータとして撮像動作を制御すると、PD21に供給される光パワーの変動や各種部材の経年劣化等の影響により、撮像動作のタイミングにばらつきが生じることがある。この場合には、蓄電部22の電圧Vが3.9Vに到達し、かつタイマ29にて計測された所定時間が経過したときに撮像動作を実行すれば、正常な撮像動作を一定間隔で確実に実行することが可能となる。
【0038】
なお本実施形態で設定される所定電圧は3.9Vであるが、これに限らず、撮像回路13が正常に動作する最低電圧に、1回の撮像動作による電圧降下量ΔV2を加えた値以上の値を、所定電圧として設定してもよい。
【0039】
本発明では、上記蓄電部の電圧監視およびインターバル制御により、例えば光伝送路6,7の長さが10kmの場合、センタ装置2の光源出力400mW、線路損失−0.3dB/Kmの条件で、画像更新時間1.0秒以下を実現し、また、光伝送路6,7の長さ20kmでは、同条件で画像更新時間1.5秒以下を実現している。
【0040】
上述したように、本実施形態によれば、制御部27は、電圧検出部24で検出された蓄電部22の電圧が所定電圧であるときに撮像回路13への電力供給を行い、出力回路14から画像出力完了を示す信号を受信したときに、撮像回路13への電力供給を停止する。すなわち、前回の撮像動作に伴う画像出力完了後に蓄電部22で電力を蓄え、当該蓄電部の電圧が所定電圧となったときに再び撮像動作を実行するので、撮像回路13の消費電力が大きい場合でも、正常な撮像動作に必要な電力を常に撮像回路13に供給することができる。また、1〜数秒間隔といった短いスパンで撮像して画像を外部に送信する場合にも、上記制御を実行することで、撮像回路13への十分な電力供給を行うことができる。また、光給電型カメラ装置5の構成にて電力供給の不足を防止することが可能であるため、センタ装置2の給電能力を増大させる必要もない。
【0041】
また、蓄電部22の電圧が所定電圧となり、かつ蓄電部から撮像回路13への電力供給を停止してから所定時間が経過したときに、撮像回路13への電力供給を再開するので、光源ユニット8の光パワーの変動や各種部材の経年劣化等に因らず、長期に亘って一定間隔で撮像動作を実行することが可能となる。さらに、本システムでは金属線を使用しないため、光給電型カメラ装置5を落雷、電磁誘導、ノイズ等の影響を受けやすい場所に設置しても、落雷による破壊や、ノイズ等の影響による不具合を軽減することができる。また、既設の光ファイバ線路を使用することができ、光給電型カメラ装置5を簡便かつ安価に設置することができる。
【0042】
図6は、本発明の第2実施形態に係る光給電型カメラシステムの構成を概略的に示す図である。なお、本実施形態における光給電型カメラシステムの構成は、第1実施形態の光給電型カメラシステムの構成と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付し、以下に異なる部分を説明する。
【0043】
図6の光給電型カメラシステムは、センタ装置と光給電型カメラ装置との間に設けられた光分配器63を備えており、この光分配器63にてセンタ装置から送出された光を等分し、光給電型カメラ装置に送出している。
【0044】
本実施形態における光給電型カメラ装置の電源回路60は、PD61,PD62を有しており、PD61,PD62は、光分配器63に2つの光伝送路を介して接続され、光分配器63によって分配された光(波長:1480nm)をそれぞれ受光する。この場合、分配前の光強度は1つのPDの最大受光量より大きく、分配後の光強度は1つのPDの最大受光量より小さくすると良い。すなわち本構成では、PDを2つ設けることで、蓄電部22の電圧Vをより速い間隔でPDの最高電圧(3.9V)にすることができ、正常な撮像動作をより短い間隔で繰り返し実行することが可能となる。
【0045】
なお図6ではPDが2つ設けられる構成を例にとって示したが、これに限らず、3個以上のPDが設けられてもよい。この場合、光分配器は、センタ装置から送出された光を、PDの数に応じて分配(例えば等分)する構成となる。
【0046】
図7は、本発明の第3実施形態に係る光給電型カメラシステムの構成を概略的に示す図である。第1実施形態では、タイマ29が光給電型カメラ装置5の電源回路12内に設けられているが(図3)、本実施形態では、タイマの設定および調整をセンタ装置で行う構成となっている。
【0047】
図7の光給電型カメラシステムは、波長1480nmの光を送出する電力用光源ユニット73と、波長1550nmの光を送出する信号用光源ユニット74と、電力用光源ユニット73および信号用光源ユニット74からのそれぞれの光を合波するWDMカプラ75と、WDMカプラ75から送出された光を、波長1480nmと波長1550nmの光に分波するWDMカプラ76とを備えている。MPU27には外部に設けられた不図示のタイマが接続されており、タイマ設定値に応じた信号が信号用光源ユニット74で波長1550nmの光に変換され、光給電型カメラ装置に送出される。
【0048】
本実施形態における光給電型カメラ装置の電源回路70は、PD71,PD72を有しており、PD71は、WDMカプラ76によって分波された波長1480nmの光を受光し、PD72は、WDMカプラ76によって分波された波長1550nmの光を受光する。PD72は制御部27に接続されており、受光した光を信号に変換して制御部27に送信する。
【0049】
本構成によれば、タイマ設定値に応じた光信号がセンタ装置から光給電型カメラ装置に送出されるので、タイマ設定あるいは調整をセンタ装置側で行うことができる。よって、光給電型カメラ装置を遠隔地に設置する際、作業者が遠隔地でタイマ設定や調整を行う時間を省くことができ、また、光給電型カメラ装置を設置してから長期間が経過した後に画像更新時間の調整を行う場合に、作業者が再度遠隔地に行く必要がない。よって、正常な撮像動作を一定間隔で確実に実行することができ、かつ利便性が格段に向上する光給電型カメラシステムを提供することができる。
【0050】
以上、上記実施形態に係る光給電型カメラ装置および光給電型カメラシステムについて述べたが、本発明は記述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 光給電型カメラシステム
2 センタ装置
3 線路
4 モニタ
5 光給電型カメラ装置
6,7 光伝送路
8 光源ユニット
9 受信装置
11 光給電用PD
12 電源回路
13 撮像回路
14 出力回路
15 出力用LD
21 PD
22 蓄電部
23 電源用IC
24 電圧検出部
25 スイッチ
26 出力ポート
27 制御部
28 入力ポート
29 タイマ
60 電源回路
61 PD
62 PD
63 光分配器
70 電源回路
71 PD
72 PD
73 電力用光源ユニット
74 信号用光源ユニット
75 WDMカプラ
76 WDMカプラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8