特許第5764937号(P5764937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764937
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】シリコン単結晶ウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20150730BHJP
   C30B 33/02 20060101ALI20150730BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   C30B29/06 B
   C30B29/06 A
   C30B33/02
   H01L21/324 X
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-11790(P2011-11790)
(22)【出願日】2011年1月24日
(65)【公開番号】特開2012-153548(P2012-153548A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2012年12月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】曲 偉峰
(72)【発明者】
【氏名】田原 史夫
(72)【発明者】
【氏名】大井 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】杉澤 修
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−146498(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/025342(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/06
C30B 33/02
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョクラルスキー法により育成されたV領域のシリコン単結晶インゴットから得られた酸素濃度7ppma未満、窒素濃度1×1013〜1×1014atoms/cmのシリコン単結晶ウェーハに対して、非窒化性雰囲気下、1150〜1300℃で、1〜120分の熱処理を行い、該熱処理を行うことにより、前記シリコン単結晶ウェーハのバルク中の欠陥サイズ15nm以上の結晶欠陥の密度を2×10/cm以下とすることを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
【請求項2】
前記熱処理を行うことにより、前記シリコン単結晶ウェーハの抵抗率の面内ばらつきを5%以下とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
【請求項3】
前記シリコン単結晶ウェーハを、導電型がN型で、IGBT向けデバイスに用いるものとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばIGBT用のシリコン単結晶ウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のような縦型シリコンデバイス向けのウェーハとしては、一般にFZ法(Floating Zone Method)により製造された導電型がN型のウェーハが用いられている。IGBTは、ウェーハを縦方向に使うデバイスであるため、ウェーハのバルクの品質に影響される。このため、欠陥の少ないウェーハを得られやすいFZ法が用いられている。
【0003】
しかし、FZ法ではウェーハの大口径化は困難で、大量生産には適さない。このため、CZ法(Czochralski Method)で製造された、欠陥領域がN領域で、窒素ドープ、低酸素濃度のウェーハ(特許文献1)や、N領域、低酸素濃度で、RTA処理されたウェーハ(特許文献2)が提案がされている。
【0004】
なお、CZ法におけるウェーハの欠陥領域は、シリコン単結晶インゴットの引き上げ速度に大きく依存して変化するものである。引き上げ速度が高速な領域ではVacancyと呼ばれる点欠陥である空孔が凝集したボイドと考えられるグローイン欠陥が、結晶径方向のほぼ全域に高密度に存在し、これらの欠陥が存在する領域はV領域と呼ばれている。また、引き上げ速度を遅くしていくと、結晶周辺部に発生していたOSFリングが結晶内部に向かって収縮していき、ついには消滅する。更に引き上げ速度を遅くすると、VacancyやInterstitial Silicon(格子間シリコン)の過不足が少ないN(Neutral)領域が出現する。
このN領域のシリコン単結晶を得るための引き上げ速度の幅は狭く、歩留まりが悪いため、高コストのウェーハとなるが、結晶中に欠陥がほとんど無いためIGBT用のウェーハとして用いられていた。
【0005】
IGBT用ウェーハに対して、ウェーハ面内及び縦方向で抵抗率のばらつきが大きいと、素子間で抵抗率の差が生じ、破損の原因となってしまう。
このため、IGBT用のウェーハとして、面内抵抗率分布が5%以下のウェーハも提案されている(特許文献3、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2009/025337
【特許文献2】WO2009/025342
【特許文献3】特開2010−62466号公報
【特許文献4】WO2009/028658
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のウェーハは、N領域、低酸素濃度のウェーハに窒素ドープ、RTA処理、中性子照射を行うことにより、バルク中の欠陥を無欠陥とし、面内抵抗率分布を改善するというもので、N領域のウェーハの使用が前提となっていた。従って、コストが高く、歩留まりが悪かった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、大口径に対応可能なCZ法で製造したV領域のウェーハを用いて、バルク中の欠陥を無欠陥とし、さらに中性子照射を行わなくても、中性子照射を行った場合と同程度の面内抵抗率分布とすることにより、IGBT向けに適用可能な低コストのシリコン単結晶ウェーハを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、チョクラルスキー法により育成されたV領域のシリコン単結晶インゴットから得られた酸素濃度7ppma(JEIDA:日本電子工業振興協会による換算係数を使用)未満、窒素濃度1×1013〜1×1014atoms/cmのシリコン単結晶ウェーハに対して、非窒化性雰囲気下、1150〜1300℃で、1〜120分の熱処理を行うことを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの製造方法を提供する。
【0010】
上記のシリコン単結晶ウェーハであれば、V領域のシリコン単結晶を用いても、非窒化性雰囲気下、1150〜1300℃で、1〜120分の熱処理を行うことで、表層のみならず、バルク中の結晶欠陥を効果的に低減することができ、さらに、ウェーハの抵抗率の面内ばらつきも改善することができる。このため、本発明の製造方法では、生産性の良いV領域のシリコン単結晶ウェーハを用い、さらに、中性子照射を行うことなく抵抗率の面内ばらつきも改善して、IGBTに適したウェーハを製造できるため、IGBT用ウェーハ製造の生産性を向上させ、コストを低減できる。
【0011】
このとき、前記熱処理を行うことにより、前記シリコン単結晶ウェーハのバルク中の欠陥サイズ15nm以上の結晶欠陥の密度を2×10/cm以下とすることが好ましい。
このような結晶欠陥の密度とすることで、IGBT等に適した高品質のウェーハとすることができる。
【0012】
このとき、前記熱処理を行うことにより、前記シリコン単結晶ウェーハの抵抗率の面内ばらつきを5%以下とすることが好ましい。
このように、本発明の方法であれば、中性子照射を行うことなく、熱処理で抵抗率の面内ばらつきを改善することができ、低コストで高品質のウェーハにすることができる。
【0013】
このとき、前記シリコン単結晶ウェーハを、導電型がN型で、IGBT向けデバイスに用いるものとすることが好ましい。
本発明の製造方法であれば、このようなIGBT向けデバイスに用いるウェーハを低コストで生産性良く製造することができる。
【0014】
また、本発明は、チョクラルスキー法により育成されたV領域のシリコン単結晶インゴットから得られた酸素濃度7ppma未満、窒素濃度1×1013〜1×1014atoms/cmのシリコン単結晶ウェーハを熱処理して製造されたアニールウェーハであって、該アニールウェーハのバルク中の欠陥サイズ15nm以上の結晶欠陥の密度が2×10/cm以下であることを特徴とするアニールウェーハを提供する。
【0015】
このようなアニールウェーハであれば、歩留まり良く育成できるV領域のシリコン単結晶インゴットから得られるため低コストで、バルク中の結晶欠陥が非常に少ないため、IGBT用のウェーハとして好適である。
【0016】
このとき、前記アニールウェーハの抵抗率の面内ばらつきが、5%以下であることが好ましい。
このようウェーハであれば、デバイスを作製した場合、故障の発生を防止でき、歩留まりが向上するウェーハとなる。
【0017】
このとき、前記アニールウェーハは、導電型がN型で、IGBT向けデバイスに用いるものであることが好ましい。
このように、本発明のアニールウェーハは、IGBT向けデバイスに用いるのに好適である。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、V領域のシリコン単結晶ウェーハを用いて、IGBT向けのアニールウェーハを生産性良く低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1,比較例1において熱処理したウェーハの欠陥の評価結果を示す図である。
図2】(a)ウェーハ面内での欠陥のサイズを示すグラフと、(b)窒素濃度による欠陥領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について、実施態様の一例として、詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
まず、本発明のアニールウェーハは、チョクラルスキー法により育成されたV領域のシリコン単結晶インゴットから得られた酸素濃度7ppma未満、窒素濃度1×1013〜1×1014atoms/cmのシリコン単結晶ウェーハを熱処理して製造されたアニールウェーハであって、該アニールウェーハのバルク中の欠陥サイズ15nm以上の結晶欠陥の密度が2×10/cm以下である。
【0022】
このようなアニールウェーハであれば、問題となるような大きさの結晶欠陥がバルク中に非常に少ないため、例えばウェーハの縦方向(厚さ方向)に素子が形成されるIGBT向けのウェーハとして好適である。また、V領域のシリコン単結晶インゴットから得られるものであるため生産性良く製造できる。
【0023】
このとき、本発明のアニールウェーハの抵抗率の面内ばらつきが、5%以下であることが好ましい。
このような中性子照射を用いることなく熱処理により抵抗率の均一性が上記範囲にまで向上されたウェーハであれば、高品質で安価なIGBT用ウェーハとすることができる。
【0024】
このような本発明のアニールウェーハは、導電型がN型であれば、IGBT向けデバイスに用いるウェーハとして好適である。
【0025】
上記のような本発明のアニールウェーハを製造する方法の一例として、本発明のシリコン単結晶ウェーハの製造方法を以下に説明する。
【0026】
本発明のシリコン単結晶ウェーハの製造方法では、チョクラルスキー法により育成されたV領域のシリコン単結晶インゴットから得られた酸素濃度7ppma未満、窒素濃度1×1013〜1×1014atoms/cmのシリコン単結晶ウェーハに対して、非窒化性雰囲気下、1150〜1300℃で、1〜120分の熱処理を行う。
【0027】
本発明において、例えば、MCZ法により、欠陥領域がV領域となるように引き上げ速度等を制御しながら、さらに、酸素濃度が7ppma未満となるように、シリコン単結晶インゴットを育成する。この際、窒素濃度1×1013〜1×1014atoms/cmとなるように窒素をドープする。また、例えば導電型をN型とする場合には、ドーパントとして、P、As、Sb等をドープすることもできる。
そして、このように育成したシリコン単結晶インゴットをスライスし、研磨等を行うことで、酸素濃度7ppma未満、窒素濃度1×1013〜1×1014atoms/cmで、全面がV領域のシリコン単結晶ウェーハを作製することができる。
【0028】
このように、従来ではIGBT用にN領域のウェーハを用いていたが、本発明ではV領域のウェーハを用いることができるため、インゴット育成時の引き上げ速度のマージンを拡大でき、ウェーハ製造の生産性が向上する。また、CZ法を用いるので、大口径のウェーハを得るのが容易である。
【0029】
この際、窒素濃度が1×1013atoms/cm未満では、ウェーハの酸素析出物のサイズが大きくなり、後工程の熱処理によりバルク内部の欠陥の消滅が困難となる。窒素濃度が1×1014atoms/cmより大きい場合には、ウェーハ外周にOSFが形成される。
【0030】
また、本発明のシリコン単結晶ウェーハの酸素濃度は、7ppma未満、好ましくは5ppma以下であり、このような極低酸素濃度であれば熱処理によりウェーハ中の欠陥を十分に消滅させることができ、一方、酸素濃度が7ppma以上になると、熱処理によって欠陥が消滅しにくくなり、特にバルク中の欠陥が多く残ってしまう。
このように、本発明において、酸素濃度と窒素濃度を上記範囲とすることで、ウェーハ中の酸素析出物サイズが、MO601(三井金属製)により、赤外線の散乱強度で評価すると250a.u以下と小さくなり、その後の熱処理により欠陥を消滅しやすくなる。
【0031】
そして、このようなシリコン単結晶ウェーハに対して、例えば縦型熱処理炉で、Ar、H、Ar+O等の非窒化性雰囲気下、1150〜1300℃で1〜120分の熱処理を行う。
この熱処理において、表層の酸素が外方拡散し、さらに、バルク中のグローイン欠陥の内壁の酸化膜が溶解し、空洞の縮小、さらには空洞が埋まることによって、バルク中の欠陥サイズ15nm以上の結晶欠陥の密度を2×10/cm以下とすることができる。
【0032】
このときNH、N等の窒化性雰囲気下で熱処理を行うと、ウェーハ表面に窒化膜が形成されてしまい、酸素の外方拡散を妨げ、欠陥の消滅が十分にできない。
また、熱処理温度は、1150℃未満では欠陥の消滅が不十分で、1300℃を超えると、スリップ転位が発生することがある。さらに、この熱処理温度は1200℃以下がスリップ転位発生を確実に防止できるため、好ましい。熱処理時間は、1分以上であれば欠陥の消滅を効果的に達成でき、120分以下であれば十分であり、またスリップ転位の発生を抑制できる。
【0033】
この熱処理により、ウェーハの抵抗率の面内ばらつきを5%以下とすることができる。
従来では、このような面内均一な抵抗率を得るためには、中性子照射が必要で、この処理によりコストが高くなっていた。しかし、本発明者らは、以下のような知見から熱処理による抵抗率均一化の方法を見出した。
【0034】
P等のドーパントの拡散は、ドーパント単体での拡散ではなく、ドーパントとI(Si)(格子間シリコン)のペアで拡散する。特に、Vacancyが存在する場合、ドーパント+I(Si)の拡散を促進する。
従って、本発明の窒素ドープ+低酸素ウェーハに対して上記の高温熱処理を行うと、窒素の外方拡散が起こり、さらに、酸素が少ないため、過剰なVacancyが発生する。この大量のVacancyの発生により、ドーパント+I(Si)の拡散が促進され、抵抗率が均一方向に変化することを見出した。
このような本発明の熱処理により中性子照射と同等以上の抵抗率均一化が可能で、IGBT用ウェーハの製造コストを効果的に低減することができる。
【0035】
以上のような本発明のシリコン単結晶ウェーハの製造方法であれば、導電型をN型とすることでIGBT向けデバイスに用いるのに好適なウェーハを低コストで生産性良く製造することができる。
ただし、本発明のアニールウェーハ及びシリコン単結晶ウェーハの製造方法で製造したウェーハは、IGBT以外のデバイスにも用いることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
(酸素濃度の臨界的意義の証明)
チョクラルスキー法により得られた、窒素濃度5×1013atoms/cmでV領域のシリコン単結晶ウェーハを、酸素濃度が4ppma,6ppma,8ppma(JEIDA)の三種類用意して、Ar雰囲気下、1170℃、1時間の熱処理を行った。
【0037】
この熱処理したウェーハについて、MO601(三井金属製)を用いて、サイズが15nm以上の結晶欠陥の密度を評価した。MO601は表層5μm付近の欠陥評価が可能である。
評価の際、バルク中の欠陥評価は、深さ方向研磨(50μm、100μm狙い)し、MO601で評価を行った。この評価方法は研磨面の全面評価が可能である。
評価結果を図1,表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
図1,表1に示すように、酸素濃度8ppmaの場合には、熱処理を行っても、特にバルク中に欠陥が残ってしまい、バルク中の欠陥密度を2×10/cm以下とすることはできなかった。一方、46ppmaの場合には、欠陥密度は2×10/cm以下となり、特に5ppma以下の場合には、バルク中にも欠陥が検出されなかった。従って、酸素濃度は7ppma未満、特には5ppma以下が好ましいことが分かる。
【0040】
(実施例2、比較例2)
(窒素濃度の臨界的意義の証明)
チョクラルスキー法により得られた、酸素濃度が4ppma(JEIDA)でV領域のシリコン単結晶ウェーハを、窒素濃度が1×1013atoms/cm未満、2×1013atoms/cm、5×1013atoms/cm、2×1014atoms/cmの4種類用意して、Ar雰囲気下、1170℃、1時間の熱処理を行った。
実施例1、比較例1と同様の方法で欠陥評価を行った結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
表2から分かるように、窒素濃度が1×1013atoms/cm未満の場合には、欠陥のサイズが大きく、熱処理後にも、表層及びバルクに欠陥が残ってしまう。
図2(a)に熱処理前のシリコン単結晶中の欠陥のサイズを示すグラフと、(b)その表面の欠陥領域をMO601で測定した結果を示す。図2(b)に示すように、同じ条件で引き上げた単結晶から得られたウェーハにもかかわらず、窒素濃度が2×1014atoms/cmの方は、窒素濃度が過剰で、V領域の外周にOSFが形成されてしまっている。すなわち、図2(a)に示すように、外周部分の欠陥サイズが窒素濃度が2×1014atoms/cmの場合の方が大きくなっている。このように、窒素濃度が1×1014atoms/cmを超えると、外周にOSFが形成された。
【0043】
(実施例3、比較例3)
チョクラルスキー法により得られた、窒素濃度が5×1013atoms/cm、酸素濃度が4ppma(JEIDA)でV領域のシリコン単結晶ウェーハを用意して、Ar雰囲気下、1時間の熱処理を行った。熱処理温度は1130、1150、1170、1200、1300℃より高い温度(>1300℃)でそれぞれ行った。
実施例1、比較例1と同様の方法で欠陥評価を行った。また、面内抵抗率分布を平面SRで測定した。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表3に示すように、熱処理温度が1130℃では、欠陥が残ってしまっており、また、抵抗率の均一化も不十分である。一方、1150〜1200℃では欠陥が消滅し、抵抗率が均一になっている。また、熱処理温度が1300℃より高いと、スリップ転位が発生してしまった。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
図1
図2