特許第5765510号(P5765510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DIC株式会社の特許一覧

特許5765510ガスバリア性接着剤用樹脂組成物、及び接着剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5765510
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】ガスバリア性接着剤用樹脂組成物、及び接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20150730BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20150730BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20150730BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   C09J175/06
   C09J11/04
   B32B27/00 D
   B32B27/40
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-516140(P2015-516140)
(86)(22)【出願日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】JP2014080045
【審査請求日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-244919(P2013-244919)
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】下口 睦弘
(72)【発明者】
【氏名】大久保 智雄
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−89734(JP,A)
【文献】 特開2004−35595(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/027609(WO,A1)
【文献】 特開2004−10655(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/162160(WO,A1)
【文献】 国際公開第97/30100(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 27/00− 27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に2個以上の水酸基を有する樹脂(A)と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなるガスバリア性接着剤用樹脂組成物において、
樹脂(A)の主骨格がポリエステル又はポリエステルポリウレタン構造であって、ポリエステル構成モノマー成分の多価カルボン酸全成分に対して、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の使用率が70〜100質量%であり、
ポリイソシアネート(B)が、芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)との混合物であるガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項2】
ポリイソシアネート化合物(b2)が、ジイソシアネート化合物である請求項1に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項3】
オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つである請求項1又は2に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項4】
樹脂(A)が、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A1)である請求項1〜3の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項5】
ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が20〜250であり、酸価が20〜200である請求項4に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項6】
樹脂(A)が、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)である請求項1〜3の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項7】
ポリエステルポリオール(A2)を構成する重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、マレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸である請求項6に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項8】
ポリエステルポリオール(A2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部である請求項6又は7に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項9】
樹脂(A)が、一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)である請求項1〜3の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一般式(2)
【化2】
(式(2)中、nは1〜5の整数を表し、Xは、置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれるアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但し、R〜Rのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。)
【請求項10】
前記一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)のグリセロール残基を、酸素バリア性ポリエステル樹脂組成物中に5質量%以上含有する請求項9に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項11】
樹脂(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)である請求項1〜3の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項12】
オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つの多価カルボン酸又はその無水物である請求項11に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項13】
樹脂(A)が、一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)である請求項1〜3の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【化3】
(一般式(3)中、R〜Rは各々独立して、−(CHn1−OH(但しn1は2〜4の整数を表す)、又は一般式(4)
【化4】
(一般式(4)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。)で表される基を表す。但しR、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。)
【請求項14】
3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)が、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種のモノマー、オリゴマー、これらのイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物からなる群から選ばれる請求項1〜13の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項15】
芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)が、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート及びメタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジソシアナートの水素添加物から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネート、一価のアルコールとの反応性生物(アロファネート基含有のポリイソシアネート)と2個の水酸基を有するアルコールとの反応生成物からなる群から選ばれる請求項1〜14の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項16】
さらに板状無機化合物を含有する請求項1〜15の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項17】
板状無機化合物が、層間が非イオン性であるか、或いは水に対して非膨潤性である請求項16に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項18】
板状無機化合物が、平均粒径0.1μm以上の粒子を含有するものである請求項16又は17に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
【請求項19】
請求項1〜18に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物を用いた接着剤。
【請求項20】
請求項19に記載の接着剤を用いたガスバリア性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性接着剤用樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた接着剤、及びガスバリア性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装材料として各種プラスチックフィルム、金属、ガラス蒸着フィルム、金属箔等を多層ラミネートして複合フィルム化した材料が使用されてきた。これらの各種プラスチックフィルム、金属、ガラス蒸着フィルム、金属箔等を貼り合わせる方法としては、一方の材料面に接着剤を塗布後、溶剤を蒸発乾燥除去し、他の材料を加熱、圧着しながら積層するドライラミネーションと呼ばれる技術がある。この技術は、任意のフィルム同士を自由に貼り合わせることができ、目的に応じた性能を有する複合フィルムを得ることができるため、高性能が要求される食品の包装材料の製造に広く用いられている。
【0003】
ここで使用される接着剤は、(1)プラスチックフィルム、アルミ蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、及びアルミ箔に対する接着性、(2)トンネリングを防ぐための初期接着性、(3)接着剤の硬化速度、(4)ポットライフ、(5)耐内容物性、(6)ボイル、レトルト耐性等に対して高い性能が要求される。更に最近では、接着剤由来の各種不純物が内容物へ移行し香りや味覚に悪影響を与えることのない、(7)低臭味性が重要視されるようになってきた。
【0004】
また、ここで使用される接着剤は、主として二液反応型ポリウレタン系接着剤である。この接着剤の主たる成分としては、高分子末端に水酸基を有するポリオール成分とイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分からなり、水酸基とイソシアネート基との反応によりウレタン結合を形成し硬化する。具体的には、ポリエーテルポリウレタンポリオールや、脂肪族酸由来のポリエステル結合濃度が接着剤固形分に対し2〜4mg当量/gになるようなポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール又はこれらの二種以上の混合物とポリイソシアネート化合物を組み合わせたものが知られている(特許文献1)。
【0005】
更に近年は、環境対応に対する試みが行われ、有機溶剤の使用量が少ないハイソリッド型やノンソルベンと型の接着剤を各接着剤メーカーでは鋭意開発を行っているが初期接着性、接着強度、良好な耐熱性・耐内容物性、印刷適性等のバランスを得ることが課題となっている。
【0006】
背景技術として、例えば、特許文献2には、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、無機物から得られる組成物の記載はあるが、接着剤樹脂にはバリア性能を有する記載は無い。また無機物は酸化珪素、または酸化アルミニウムであり、粒径が1μm未満、好ましくは5〜50nmとの無機物の性状の記載がある。
【0007】
特許文献3には、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、無機物から得られる組成物の記載はあるが、接着剤樹脂にはバリア性能を有する記載は無い。また、無機物は層間に陽イオンを有するモンモリロナイトが記載されており、本願の層間が非イオン性である点で異なる。更に従来技術ではバリア性に関する実施例、データの記載が無く、バリア性を有する具体的な根拠がない。
【0008】
特許文献4には、3官能以上の材料を7重量%以上含むことでバリア性を確保することが記載されているが、レトルト用で一般的なフィルム構成であるPET/CPPであり、実用に耐えうるラミネート強度が得られていない。
【0009】
特許文献5に記載の技術では、金属蒸着フィルムに対する密着性を向上させる為にシランカップリング剤等を使用しているが、接着剤自体がバリア性を有する記載は無い。
【0010】
特許文献6に記載の技術では、ジイソシアネートとして芳香族環を含有しているので、酸素バリア性は良好であるが、塗膜の柔軟性がない為、十分な接着力が確保できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−290631号公報
【特許文献2】特許3829526号公報
【特許文献3】特許3906095号公報
【特許文献4】特許4054972号公報
【特許文献5】特許4226852号公報
【特許文献6】特願2012−253222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、前記背景技術に鑑み、金属系原反に対して、高いガスバリア性とラミネート強度を有する接着剤用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、1分子中に2個以上の水酸基を有する樹脂(A)と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなるガスバリア性接着剤用樹脂組成物において、
前記ポリイソシアネート(B)が、3価以上の芳香族環を分子内に有するポリイソシアネート化合物(b1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)との混合物であるガスバリア性接着剤用樹脂組成物により上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、金属系原反に対して、高いガスバリア性とラミネート強度を有する接着剤用樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、前記課題を解決するため、下記の項目からなるものである。
1.1分子中に2個以上の水酸基を有する樹脂(A)と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなるガスバリア性接着剤用樹脂組成物において、
前記ポリイソシアネート(B)が、3価以上の芳香族環を分子内に有するポリイソシアネート化合物(b1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)との混合物であるガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
2.ポリイソシアネート化合物(b2)が、ジイソシアネート化合物である1.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
3.樹脂(A)の主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタン構造を有する1.又は2.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
4.樹脂(A)が芳香族環を有する1.〜3.の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
5.樹脂(A)の主骨格がポリエステル又はポリエステルポリウレタン構造であって、
ポリエステル構成モノマー成分の多価カルボン酸全成分に対して、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の使用率が70〜100質量%であることを特徴とする4.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
6.オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つである5.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
7.樹脂(A)が、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A1)である1.〜3.の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
8.ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が20〜250であり、酸価が20〜200である7.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
9.樹脂(A)が、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)である1.〜3.の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
10.ポリエステルポリオール(A2)を構成する重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、マレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸である9.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
11.ポリエステルポリオール(A2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部である9.又は10.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
12.樹脂(A)が、一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)である1.〜3.の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
【0016】
【化1】
【0017】
(式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一般式(2)
【0018】
【化2】
【0019】
(式(2)中、nは1〜5の整数を表し、Xは、置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれるアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但し、R〜Rのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。)
13.前記一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)のグリセロール残基を、酸素バリア性ポリエステル樹脂組成物中に5質量%以上含有する12.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
14.樹脂(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)である1.〜3.の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
15.オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つの多価カルボン酸又はその無水物である14.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
樹脂(A)が、一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)である1.〜3.の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
【0020】
【化3】
【0021】
(一般式(3)中、R〜Rは各々独立して、−(CHn1−OH(但しn1は2〜4の整数を表す)、又は一般式(4)
【0022】
【化4】
【0023】
(一般式(4)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。)で表される基を表す。但しR、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。)
17.3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)が、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネート、及びこれらの水素添加物から選ばれる少なくとも一種のモノマー、オリゴマー、これらのイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物からなる群から選ばれる1.〜5.の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
18.芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)が、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート及びメタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジソシアナートの水素添加物から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネート、一価のアルコールとの反応性生物(アロファネート基含有のポリイソシアネート)と2個の水酸基を有するアルコールとの反応生成物からなる群から選ばれる1.〜17.の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物。
19.さらに板状無機化合物を含有する1.〜18.の何れかに記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
20.板状無機化合物が、層間が非イオン性であるか、或いは水に対して非膨潤性である19.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
21.板状無機化合物が、平均粒径0.1μm以上の粒子を含有するものである19.又は20.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物、
22.1.〜21.に記載のガスバリア性接着剤用樹脂組成物を用いた接着剤、
23.22.に記載の接着剤を用いたガスバリア性フィルム。
【0024】
[2個以上の水酸基を有する樹脂(A)]
本発明で使用する樹脂(A)は、実質的に2個以上の水酸基を有し、数平均分子量(Mn)が400〜3000の範囲であるものである。これは一般に用いられているドライラミネート用接着剤での分子量範囲の5000〜10000に比べて低いため、合成に要する時間が短い上、合成後の接着剤化のプロセスも移送が容易なことにより簡素化できる利点がある。この樹脂(A)は2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)との固形分の合計が、接着剤用樹脂組成物の総質量中40質量%以上であれば、本発明の目的のひとつであるラミネート操作時の低VOCを達成できるため特に好ましい。
【0025】
樹脂(A)としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、アクリルジオール等が例示できるが、更に重要な付加機能であるガスバリア性を付与するためには、ポリエステルジオール(a0)であることが最も好ましい。このとき、ポリエステルジオール(a0)は、ポリオール成分(a1)と、ポリカルボン酸成分(a2)から合成される実質的に2個の水酸基を有するポリエステルジオールである。
【0026】
(ジオール成分(a1))
本発明で使用するポリエステルジオール(a0)を合成するために用いられる、ジオール成分(a1)は、具体的には、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールの他に、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールの、エチレンオキサイド伸長物、水添化物を例示することができる。尚、これらのジオール成分と、ジカルボン酸との重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことができる。
【0027】
本発明の接着剤に付加機能としてガスバリア機能を接着層に保有させる場合には、ジオール成分(a1)の酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、ガスが透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングリコールが最も好ましい。
【0028】
(ジカルボン酸(a2))
本発明で用いられるポリエステルジオール(a0)は、ジカルボン酸成分として具体的には、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。
【0029】
中でも、一定のガスバリア性を得る為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。これはこの骨格が非対称構造のため、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりガスバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示し、十分な基材密着性が付与され、接着力とガスバリア性に優れると推定される。さらにドライラミネート接着剤として用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで、高固形分率化しやすい上、取扱い性にも優れる特徴を持つ。
【0030】
(多価アルコール その他の成分)
本発明で用いられるポリエステルジオール(a0)は、前記のジオール成分(a1)、ジカルボン酸成分(a2)から重縮合によって得られるが、ごく一部の原料アルコールとして3個以上の水酸基を有する多価アルコール成分を少量用いることは許容される。これらの化合物としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価アルコールとしては三価アルコールが好ましい。また含有率としてはアルコール成分全体の2モル%以下が好ましい。
【0031】
(ポリエステルジオール(a0)の合成方法)
本発明で用いられるポリエステルジオール(a0)はジカルボン酸またはその無水物と、ジオール成分を一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させる、公知慣用の方法により合成される。具体的な一例を示すと、原材料として用いるジオール成分と、ジカルボン酸またはその無水物と一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させる。このとき、各々の原料を多段階に分けて反応させてもよい。また、反応温度にて揮発したジオール成分を追加しながら、水酸基価を±5%以内に入るように調整してもよい。本発明で用いるポリエステルジオールは分子量範囲が400〜3000と通常のドライラミネート用接着剤に比べて低いため合成に要する時間が短く、合成プロセスコストを低減することができる。
【0032】
(ポリエステルジオール(a0)の酸価及び、水酸基価)
本発明では、前記ポリエステルジオール(a0)の水酸基価が35〜290mgKOH/g、酸価が0〜5mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS−K0070に記載の酸価測定法にて、測定することができる。酸価が5mgKOH/gより高いときは、ポリエステルジオールの分子中に片末端の水酸基を含有する分子が多くなることにより、ウレタン伸長反応が生じにくくなり、十分な初期ズリ強度が得られなくなる恐れがある。水酸基価が35mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎる為に粘度が高くなり、高固形含有率(ハイソリッド)化した場合、良好な塗工適性が得られない。逆に水酸基価が300mgKOH/gを超える場合、分子量が小さくなりすぎる為、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、良好な接着強度が得られない。
【0033】
(反応触媒)
反応に用いられる触媒としては、モノブチル酸化錫、ジブチル酸化錫等錫系触媒、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等のチタン系触媒、テトラ−ブチル−ジルコネート等のジルコニア系触媒等の酸触媒が挙げられる。エステル反応に対する活性が高い、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等の上記チタン系触媒と上記ジルコニア触媒を組み合わせて用いることが好ましい。前記触媒量は、使用する反応原料全質量に対して1〜1000ppm用いられ、より好ましくは10〜100ppmである。1ppmを下回ると触媒としての効果が得られにくく、1000ppmを上回ると後のウレタン化の反応を阻害する傾向がある。また、反応は触媒がなくとも進行する場合には無触媒で合成を実施してもよい。
【0034】
(ポリエステルジオール(a0)の分子量)
本発明で用いるポリエステルジオール(a0)の数平均分子量は400〜3000である必要がある。分子量がこの範囲にあることにより接着剤用樹脂組成物の総質量が高いハイソリッド型の接着剤であっても、接着能と各種ラミネート操作とのバランスに優れる。より好ましい数平均分子量が500〜2800であり、更に好ましくは600〜2500である。
【0035】
更にポリエステルジオール(a0)をジイソシアネート化合物との反応によるウレタン伸長を予め行ってもよい。このときの数平均分子量はウレタン伸張後の数平均分子量が400〜3000である必要がある。
【0036】
(硬化剤)
本発明で使用する硬化剤は、芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)の混合物である必要がある。これは、ポリエステルジオール(a0)の分子量の数平均分子量が400〜3000と汎用のドライラミネート用接着剤に比べて比較的小さな範囲であっても、良好な塗工ラミネート特性と、ラミネート強度とを両立させるためである。
【0037】
(芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1))
多官能のイソシアネートは、主剤のポリエステルジオール(a0)を3次元的に架橋させることにより、接着剤を固化接着させる機能を持つ。従って、仮に硬化剤成分として芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)を含まなければ、ボイル、レトルト処理のような熱が加えられる条件下では接着層が剥離(デラミネーション)する問題が生じるおそれがある。多官能イソシアネートの官能基数には特に制限はないが、3官能以上であれは架橋材料として用いる多官能イソシアネートとしての機能は果たすことができるため、一般的に入手が容易である3価のポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0038】
(芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2))
本発明では、硬化剤として前記の芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)を併用することに特徴がある。従来の芳香族環を有するポリイソシアネートでは硬化塗膜が硬くなり、良好な接着強度を得ることが困難であった。これに対し、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)、特にアロファネート体の様なジイソシアネートを併用することでバリア性を維持しつつ、塗膜に柔軟性が付与され、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム等の金属系基材に対する密着性が向上し、且つ、バリア性も向上する。
【0039】
本発明で用いられる芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート及びメタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジソシアナートの水素添加物から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネート、一価のアルコールとの反応性生物(アロファネート基含有のポリイソシアネート)と2個の水酸基を有するアルコールとの反応生成物からなる群から選ばれるものを好ましく用いることが可能である。
【0040】
(芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)の混合比)
芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)の混合比は、用いるポリエステルジオール(a0)の分子量や、芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)や、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)の分子量や、3価以上の芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)の価数等に依存するため、一概には言えない。しかしながらこれらの各種イソシアネートが保有する効果を発揮する観点から、どちらか一方が少なすぎる場合には接着剤としての基本特性に問題が生じる場合がある。例えば、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)が少なすぎる場合には、塗膜の柔軟性が不足し、接着不良等のトラブルが生じる可能性がある。一方、芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)が少なすぎる場合には、架橋点密度が低くなりすぎることから耐ボイル、レトルト適性が悪くなる恐れがある。従って、芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)の混合比はイソシアネート含有率換算で、1:5〜10:1の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、1:3〜5:1である。
【0041】
(芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)の種類)
芳香族環を分子内に有する3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)としては、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種のモノマー、オリゴマー、これらのイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物からなる群から選ばれるものを挙げることができる。
【0042】
3価以上のポリイソシアネート化合物としては、イソシネートモノマーの過剰量を、多官能のアルコール体、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、などの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。
【0043】
中でも、本発明でバリア接着層にガスバリア性を持たせたい場合には、キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの含芳香族イソシアネートが好ましく、メタキシリレンジイソシアネートが最も好ましい。また、これらのイソシアネート化合物を用い多官能化した誘導体を用いても良い。
【0044】
前記、樹脂(A)と前記ポリイソシアネート(B)硬化剤とは、樹脂(A)と硬化剤との割合が樹脂(A)の水酸基と硬化剤の反応成分とが1/0.5〜1/10(当量比)となるように配合することが好ましく、より好ましくは1/1〜1/5である。該範囲を超えて硬化剤成分が過剰な場合、余剰な硬化剤成分が残留することで接着後に接着層からブリードアウトするおそれがあり、一方、硬化剤成分が不足の場合には接着強度不足のおそれがある。
【0045】
(接着剤の生物由来成分)
本発明での接着剤の樹脂成分には非石油成分、特に植物由来成分がふくまれていると低VOC材料に加え、更に環境対応型材料となり好ましい。特に樹脂(A)の合成用モノマーとして、多価アルコール成分として、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が、多価カルボン酸としてコハク酸は現在植物由来成分が工業用レベルで市販されている。これらのモノマーが用いられると、ガスバリア機能も高く、特に好ましい。
【0046】
(接着剤 その他の成分)
本発明の接着剤は、ラミネート適性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、カップリング剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤等が例示できる。
【0047】
(板状無機化合物)
特に、高いガスバリア機能を付与したい場合には本発明の接着剤に板状無機化合物を含有させても良い。板状無機化合物を併用した場合には形状が板状であることによりラミネート強度とバリア性が向上する特徴がある。本発明で使用される板状無機化合物としては、例えば、板状無機化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。
【0048】
層間の電荷はバリア性には直接大きく影響しないが、樹脂に対する分散性が、イオン性無機化合物では大幅に劣り、添加量を増量すると塗工適性が課題となる(チキソ性となる)。これに対し、無電荷の場合は添加量を多くしても、塗工適性が確保できる。粒径に関しては1μm程度より大きい方がバリア性が発現しやすく、nmレベルでは良好なバリア性が得られない。粒径が大きすぎる場合はグラビア印刷等の場合、グラビア版へ板状無機化合物が入らない為、塗工適性が得られない。粒径は1〜100μmが好ましい。更に好ましくは1〜40μmである。本発明での平均粒径とは、ある板状無機化合物の粒度分布を光散乱式測定装置で測定した場合の出現頻度が最も高い粒径を意味する。
【0049】
本発明で使用される板状無機化合物のアスペクト比はガス成分分子の迷路効果によるバリア能の向上のためには高い方が好ましい。具体的には3以上が好ましく、更に好ましくは10以上、最も好ましくは40以上である。また板状無機化合物の含有率は任意であるが50質量%以下であることが好ましい。50質量%を超えるとラミネート操作がしにくくなったり、接着力が不十分になる可能性があるためである。
【0050】
本発明で使用される無機化合物を接着剤に分散させる方法としては公知の分散方法が利用できる。例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントコンディショナー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、ナノミル、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができ、更により好ましくは、高い剪断力を発生させることのできる機器として、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、二本ロール、三本ロール等が上げられる。これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
また、接着剤層の耐酸性を向上させる方法として公知の酸無水物を添加剤として併用することもできる。酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5−(2,5−オキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0052】
また、必要に応じて、更に酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
【0053】
また、塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、硬化した樹脂成分の総量100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲が好ましい。
【0054】
(ハイソリッド型接着剤)
本発明の接着剤は主剤の樹脂(A)の分子量が汎用のドライラミネート用接着剤に比して低いため、樹脂(A)とポリイソシアネート(B)の固形分の合計が、接着剤の総質量中40質量%以上であるハイソリッド型接着剤にしやすい特徴を有する。以降、これを不揮発成分と称する場合もある。
【0055】
接着剤の総量に含まれる接着剤固形分の質量%は、有機溶剤の使用が抑えられ、環境負荷の低減にとっては、高ければ高いほど好ましいが、一般に80質量%を超えると、塗工において粘度が向上しすぎて、好ましくない。
【0056】
また、接着剤中40質量%以下であると、含まれる揮発成分の除去を行わねばならず、使用済みの有機溶剤が多量に発生し、環境負荷の低減の観点からは好ましくない。このため、好ましい範囲として、40〜80質量%を挙げることができる。
【0057】
(ガスバリア機能)
本発明の接着剤は、2個の水酸基を有する樹脂(A)がポリオール成分と、ポリカルボン酸成分から合成される実質的に2個の水酸基を有するポリエステルジオール(a0)であって、前記ポリエステルジオール(a0)がエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むジオール成分(a1)と、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含むジカルボン酸成分(a2)を重縮合した成分を含む場合には、各種ガスに対するガスバリア機能を持つ。遮断できるガスの対象としては、酸素、水蒸気の他、不活性ガス、アルコール、香り成分、各種有機溶剤、等が挙げられる。
【0058】
(接着剤の形態)
本発明の接着剤は、溶剤型である必要がある。接着剤用の溶剤はポリエステルポリオール及び硬化剤の製造時に反応媒体として使用してもよい。更に塗装時に希釈剤として使用される。使用できる溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。これらのうち通常は酢酸エチルやメチルエチルケトンを使用するのが好ましい。
【0059】
以下具体的用途の1つとしてフィルムラミネート用接着剤について説明する。
【0060】
本発明の接着剤は、フィルムラミネート用接着剤として使用できる。ラミネートされた積層フィルムは、ガスバリア性に優れるため、ガスバリア用積層フィルムとして使用できる。
【0061】
本発明で使用する積層用のフィルムは、特に限定はなく、所望の用途に応じた熱可塑性樹脂フィルムを適宜選択することができる。例えば食品包装用としては、PETフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理を施してあってもよい。延伸処理方法としては、押出成膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸或いは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また、逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的にはロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
また、フィルム以外に紙、板紙、コート紙、木材、皮革等の多孔質の基材を使用することも出来るが、この場合は接着剤が基材に浸透する為、接着剤の塗布量を多くする必要がある。
【0062】
本発明の接着剤は、同種または異種の複数の樹脂フィルムを接着してなる積層フィルム用の接着剤として好ましく使用できる。樹脂フィルムは、目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば包装材として使用する際は、最外層をPET、OPP、ポリアミドから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用し、最内層を無延伸ポリプロピレン(以下CPPと略す)、低密度ポリエチレンフィルム(以下LLDPEと略す)から選ばれる熱可塑性樹脂フィルムを使用した2層からなる複合フィルム、或いは、例えばPET、ポリアミド、OPPから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、OPP、PET、ポリアミドから選ばれた中間層を形成する熱可塑性樹脂フィルム、CPP、LLDPEから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した3層からなる複合フィルム、さらに、例えばOPP、PET、ポリアミドから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、PET、ナイロンから選ばれた第1中間層を形成する熱可塑製フィルムとPET、ポリアミドから選ばれた第2中間層を形成する熱可塑製フィルム、LLDPE、CPPから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した4層からなる複合フィルムは、ガスバリア用フィルムとして、食品包装材として好ましく使用できる。
【0063】
また、フィルム表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理を施してもよい。
【0064】
また、本発明の接着剤は積層フィルム作製後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、硬化剤としてポリイソシアネートを使用する場合であれば、室温〜80℃で、12〜240時間の間であり、この間に接着強度が生じる。
【0065】
本発明の接着剤でガスバリア性を有する構造を選択した場合は、さらに高いバリア機能を付与するために、必要に応じてアルミニウム等の金属、或いはシリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルムや、ポリビニルアルコールや、エチレン・ビニールアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムを併用して、よりガスバリア機能を増しても良い。
【実施例】
【0066】
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。例中断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
【0067】
(製造例1)樹脂(A):EGOPA(0.9K)の製造例
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール80.12部、無水フタル酸148.12部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.02部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量900のポリエステルポリオール「EGOPA(0.9K)」を得た。水酸基価は124.7であった。
【0068】
(製造例2)樹脂(A):THEI(OPAEG)3の製造例
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸1136.5部、エチレングリコール495.3部、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート668.1部及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppmに相当する量を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量約860、水酸基価195.4mgKOH/g、酸価0.9mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。樹脂(A)1分子当たりの設計上の官能基の数 水酸基:3個、カルボキシ基:0個
【0069】
(製造例3)樹脂(A):Gly(OPAEG)2MAの製造例
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸1316.8部、エチレングリコール5
73.9部、グリセリン409.3部及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppmに相当する量を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価339.9mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。次いで温度を120℃まで下げ、これに無水マレイン酸421.8部を仕込み120℃を保持した。酸価が無水マレイン酸の仕込み量から計算した酸価の概ね半分になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量約520、水酸基価216.6mgKOH/g、酸価96.2mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。樹脂(A)1分子当たりの設計上の官能基の数 水酸基:2個、カルボキシ基:1個
【0070】
(製造例4)ジイソシアネート化合物b1−a アロファネート基含有ポリイソシアネートの製造例
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの反応器に、窒素雰囲気下、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)930g、ヘキサノール50g、およびトリス(トリデシル)ホスファイト0.5gを仕込み、80℃で2時間ウレタン化反応を行った。
次に、反応液にアロファネート化触媒としてオクチル酸ビスマス0.05gを添加し、100℃で反応させた後、塩化ベンゾイル0.03gを添加して反応を停止させた。
反応時間は7時間であった。
得られた反応液960gを薄膜蒸留装置(真空度:0.05kPa、温度140℃)を用いて蒸留し、未反応のHDIを除去し、淡黄色の化合物214gを得た。この化合物のイソシアネート基含有量をJIS K7301に記載のイソシアネート基含有率試験により測定したところ、19.1%であった。
また、遊離HDI含有量は0.5%であった。
【0071】
(硬化剤)
本発明において、硬化剤として以下を用いた。
・タケネートD110N:XDI系ポリイソシアネート、不揮発分/約75%(三井化学社製)
・タケネートD−178N:ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体、不揮発分/100%(三井化学社製)
・タケネート500:メタキシリレンジイソシアネート、不揮発分/100%(三井化学製)
・デュラネートD101:HDI系2官能型ポリイソシアネート、不揮発分/100%(旭化成ケミカルズ製)
・ジイソシアネート化合物b1−a:製造例4のジイソシアネート
・BasonatHA300:ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体、不揮発分/100%(BASF社製)
・デスモジュール N3200:ヘキサメチレンジジイソシアネートのビウレット体(住化バイエルウレタン製)、不揮発分/100%
【0072】
(添加剤)
本発明において、添加剤として以下を用いた。
・Z6040:3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング製)
・KBE903:3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)
【0073】
(その他)
その他、実施例、比較例にて下記の物質を使用した。
・HM6025:平均粒径10μmの白雲母(Heng Hao社製)
・BARRISURF HX:平均粒径1.5μmのカオリン(IMERYS社製)
・ディックドライLX−703L:ポリエステルポリオール、不揮発分/約62%、Mn約7000、水酸基価11mgKOH/g(DICグラフィックス社製)
【0074】
(実施例1〜8)
表1、2中の実施例1〜8の配合比に従い、溶剤型接着剤を得た。本接着剤は後述の方法で塗工ラミネートを実施し本発明での接着剤を用いた積層フィルムを得た。
【0075】
(比較例1〜3)
表3中の比較例1〜2の配合比に従い、溶剤型接着剤を得た。本接着剤も後述の方法で塗工ラミネートを実施し本発明での接着剤を用いた積層フィルムを得た。
【0076】
(塗工方法、エージング方法)
前記の各種実施例、比較例溶剤型接着剤を、ドライラミネーター((株)武蔵野機械設計事務所、400m/mドライラミテストコーター)により塗工ラミネート試験を行った。試験条件はグラビア版印刷方式、ラインスピード60m/分、塗工幅30cm、乾燥炉温度60℃で実施した。このときの塗布量は、実施例、及び比較例では塗布量約5.0g/m(固形分)である。次いで、この複合フィルムを40℃/3日間のエージングを行い、接着剤の硬化を行って各種積層フィルムを得た。
【0077】
表中記載の略称は、それぞれ以下を表す。
(基材フィルム)
・PET:東洋紡績(株) E51002 12μm
・Ny:ユニチカ(株) エンブレムON−BC 15μm
・PET−SiO2:三菱樹脂(株) テックバリアT 12μm
(シーラントフィルム)
・CPP70:東レフィルム加工(株) トレファンNO ZK93KM 70μm
・PE:L−LDPE、東セロ(株) TUX−HC 60μm
・VM−CPP:東レフィルム加工(株) VM−CPP2203 25μm
【0078】
(評価方法)
(1)ラミネート強度
エージングが終了した積層フィルムを、塗工方向と垂直に15mm幅に切断し、基材フィルムとシーラントフィルムとの間を、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180度剥離方法およびT型剥離法で剥離した際の引っ張り強度を接着強度とした。
【0079】
(2)ヒートシール強度
エージングが終了した積層フィルムをシーラントフィルムが内側になるように重ね、ヒートシーラー(テスター産業(株)、TP−201−B)を用い、10mm幅のシールバーで0.1MPa、1秒、シーラントがCPPの場合は200℃、PEの場合は180℃、VM−CPPの場合は160℃の条件でヒートシールした。これを15mm幅に切断し、(1)の接着強度測定と同条件、同試験装置を用いヒートシール部分を剥離した際の引っ張り強度をヒートシール強度とした。接着強度の単位はN/15mmとした。
【0080】
(3)酸素透過率
エージングが終了した積層フィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN1/50を用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃0%RHおよび23℃90%RHの雰囲気下で測定した。なおRHとは、相対湿度を表す。
【0081】
(4)水蒸気透過率
エージングが終了した積層フィルムを、モコン社製水蒸気透過率測定装置PARMATRAN−W3/33MGを用いてJIS−K7129(赤外線法)に準じ、40℃90%RHの雰囲気下で測定した。なおRHとは、湿度を表す。
【0082】
各実施例での接着剤の配合、及び評価結果を表1、2に、比較例の結果を表3に示した。
【0083】
【表1】





【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の接着剤は合成操作が容易な低分子量のジオール化合物を用いつつ、ラミネート時の低VOCを達成した環境対応型接着剤として産業上の利用可能性がある。
更に、一定のガスバリア性を有するため、環境対応性に優れた食品包装材等に使用が可能なフィルムラミネート用接着剤、工業材料用接着剤等としての利用が可能である。
【要約】
本発明の課題は、高いガスバリア性とラミネート強度を有する接着剤用樹脂組成物を提供することにある。
1分子中に2個以上の水酸基を有する樹脂(A)と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなるガスバリア性接着剤用樹脂組成物において、前記ポリイソシアネート(B)が、3価以上の芳香族環を分子内に有するポリイソシアネート化合物(b1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(b2)との混合物であるガスバリア性接着剤用樹脂組成物により上記課題を解決した。