特許第5765677号(P5765677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5765677パターン形成装置、及びパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765677
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】パターン形成装置、及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20150730BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20150730BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150730BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
   G03F7/20 501
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   H05B33/10
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-9244(P2014-9244)
(22)【出願日】2014年1月22日
(62)【分割の表示】特願2009-121507(P2009-121507)の分割
【原出願日】2009年5月20日
(65)【公開番号】特開2014-90210(P2014-90210A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2014年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和
(72)【発明者】
【氏名】竹中 修二
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−072153(JP,A)
【文献】 特開2009−060135(JP,A)
【文献】 特開2001−179928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
B29C 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の帯状の基板の表面に、紫外線を含む光エネルギーを受けて硬化する硬化性材料による凹凸状のパターンを形成するパターン形成装置において、
前記基板を前記表面に沿って連続的に搬送する搬送部と、
前記基板の表面に対して所定の隙間で配置される透明板を有し、該透明板を通して前記パターンに対応した前記光エネルギーを、前記基板に向けて照射する点滅可能な複数の発光部を備えた紫外線照射装置と、
前記硬化性材料の液体を、前記基板の搬送方向の上流側に配置されるノズルを通して、前記紫外線照射装置の底面の前記透明板と前記基板の表面との間の隙間に供給する供給部と、
前記基板を所定速度で搬送させるように前記搬送部を制御すると共に、所定のパターン情報に基づく前記パターンに対応した前記光エネルギー、前記基板の搬送の位置に応じて前記基板の表面上の前記硬化性材料の液体に付与されるように前記紫外線照射装置の前記複数の発光部を制御する制御部と、
前記紫外線照射装置に対して前記基板の搬送方向の下流側に配置されるノズルを通して、前記紫外線照射装置の底面の前記透明板と前記基板の表面との間の隙間から、硬化されなかった前記硬化性材料の液体を回収する回収部と、
を備えたパターン形成装置。
【請求項2】
前記供給部は、前記硬化性材料を溜める供給タンクと、前記供給タンクから前記上流側に配置される前記ノズルへ伸びる配管とを有し、
前記回収部は、前記硬化性材料を溜める回収タンクと、前記下流側に配置される前記ノズルから前記回収タンクへ伸びる配管とを有する請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項3】
前記紫外線照射装置の複数の発光部は前記パターンを構成する最小単位の領域ごとに配置され、前記発光部は前記光エネルギーをコリメートするレンズアレイを含む請求項1又は請求項2に記載のパターン形成装置。
【請求項4】
前記基板は光透過機能を有し、前記透明板が配置される前記基板の表面側とは反対側に配置されて、前記複数の発光部からの光エネルギーのうち、前記透明板、前記硬化性材料の液体、及び前記基板を透過した光を再び前記硬化性材料の液体に向けて反射する反射ベースを備える、
請求項3に記載のパターン形成装置。
【請求項5】
可撓性の帯状の基板の表面に、紫外線を含む光エネルギーを受けて硬化する硬化性材料によって凹凸状のパターンを形成するパターン形成方法において、
前記基板を帯状の方向に連続的に所定速度で搬送することと
前記基板の表面に対して所定の隙間で配置される透明板を通して、前記光エネルギーを前記基板の表面に向けて照射するような点滅可能な複数の発光部を備える紫外線照射装置を配置することと、
前記硬化性材料の液体を、前記基板の搬送方向の上流側に設けた供給部から前記透明板と前記基板の表面との間の前記隙間に供給することと
前記基板を搬送させた状態で、前記紫外線照射装置の前記複数の発光部を制御して、所定のパターン情報に基づく前記パターンに対応する前記光エネルギーを、前記基板の搬送の位置に応じて前記基板上の前記硬化性材料の液体に付与し、前記基板の表面に前記硬化性材料の硬化したパターンを形成することと
前記紫外線照射装置に対して前記基板の搬送方向の下流側に設けた回収部によって、前記基板の表面と前記透明板との間の隙間からノズルを介して、硬化されなかった前記硬化性材料の液体を回収することと、
を備えたパターン形成方法。
【請求項6】
前記紫外線照射装置の複数の発光部は、前記基板を連続的に搬送する方向、及び前記基板の搬送の方向と直交する方向の各々に所定の間隔で配置されて、紫外線のパルス光を発する複数のフラッシュ光源を含む、
請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記複数のフラッシュ光源の各々は、前記基板の搬送の間、前記基板上の同じ位置に対して前記パルス光が複数回照射されるように制御される、
請求項に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性材料を用いて基板に凹凸状のパターンを形成するパターン形成装置、及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に凹凸状のパターンを形成する技術としてナノインプリント技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されるように、ナノインプリント技術は、凹凸状のパターンを有する原版としてのテンプレートを、基板に塗布された紫外線硬化材料等の硬化性材料に押圧する。これにより、テンプレートのパターンに対して凹部と凸部とが反転した凹凸状のパターンが基板上に転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−026873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のナノインプリント技術では、基板にパターンを形成するために、パターンに対応したテンプレートをあらかじめ製作する必要がある。また、相互に異なる複数のパターンを基板に形成する場合には、その複数のパターンごとに異なるテンプレートを用意する必要がある。
【0005】
そこで、本発明の態様は、テンプレートを用いることなく基板に凹凸状のパターンを形成することができるパターン形成装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、可撓性の基板の表面に凹凸状のパターンを形成するパターン形成装置は、基板を表面に沿って連続的に搬送する搬送部と、紫外線を含む光エネルギーを受けて硬化する硬化性材料の液体を、基板の搬送方向の上流側に配置されるノズルを通して基板の表面に均一に供給する供給部と、該供給部のノズルに対して基板の搬送方向の下流側に配置されて、所定のパターン情報に基づくパターンに対応した光エネルギーを、基板の搬送の位置に応じて基板の表面上の硬化性材料の液体に付与する点滅可能な複数の発光部を有し、基板の表面に硬化性材料の硬化したパターンを基板の搬送の間に形成する硬化装置と、該硬化装置に対して基板の搬送方向の下流側に配置されるノズルを通して、基板の表面上の硬化されなかった硬化性材料の液体を回収する回収部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、可撓性の帯状の基板の表面に凹凸状のパターンを形成するパターン形成方法は、基板を帯状の方向に連続的に搬送する搬送工程と、紫外線を受けて硬化する硬化性材料の液体を、基板の搬送方向の上流側に設けた供給部から基板の表面に均一に供給する供給工程と、供給部に対して基板の搬送方向の下流側に設けられた紫外線照射装置によって、基板を搬送させた状態で、所定のパターン情報に基づくパターンに対応する紫外線を、基板の搬送の位置に応じて基板上の硬化性材料の液体に付与し、基板の表面に硬化性材料の硬化したパターンを形成する硬化工程と、該硬化工程で硬化されなかった硬化性材料の液体を、紫外線照射装置に対して基板の搬送方向の下流側に設けた回収部によって回収する回収工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、テンプレートを用いることなく凹凸状のパターンを基板の表面に連続的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施例のパターン形成装置10Aを用いたデバイス製造装置100の説明図である。
図2】第1の実施例のパターン形成装置10Aの斜視図である。
図3】(a)は、パターン形成装置10Aの断面図である。 (b)は、パターン形成装置10Aにより凹凸状のパターンが形成された帯状の基板FBの側面図である。
図4】第1の実施例のデバイス製造装置100によるデバイス製造方法を示したフローチャートである。
図5】第2の実施例のパターン形成装置10Fを用いたデバイス製造装置110の説明図である。
図6】第2の実施例のパターン形成装置10Fの一例の斜視図である。
図7】(a)は、第2の実施例のパターン形成装置10Fの断面図である。 (b)は、帯状の基板FBにおいて第2の実施例のパターン形成装置10Fにより凹凸状のパターンが形成される際の硬化した紫外線硬化樹脂SRの厚さを示したグラフである。
図8】パターン形成装置10Fの配管の配置を変えた一例の平面図である。
図9】第3の実施例のパターン形成装置10Gの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施例)
<デバイス製造装置100>
第1の実施例のパターン形成装置10Aを用いたデバイス製造装置100について、図1を参照しながら説明する。図1は、第1の実施例のパターン形成装置10Aを用いたデバイス製造装置100の説明図である。デバイス製造装置100は、パターン形成装置10Aとは反対側の帯状の基板FBの片面に凹凸パターンを形成する。
【0011】
第1の実施例のデバイス製造装置100は、図1に示されたようにロール状に巻かれた可撓性の帯状の基板FBを送り出すための供給ロールRLと複数の搬送ローラFRとを備えている。また、供給ロールRLと複数の搬送ローラFRとが所定速度で回転することで、帯状の基板FBは矢印方向に沿って搬送される。第1の実施例において、デバイス製造の全ての工程が帯状の基板FBの片面に実施されるように、パターン形成装置10Aが−Z側に設けられ、液滴塗布装置60及び印刷ローラPRが+Z側に設けられている。
【0012】
本実施形態で用いる帯状の基板FBは、耐熱性の樹脂フィルムであり、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂で光透過機能があるものを使うことができる。さらに帯状の基板FBは、熱を受けても寸法が変わらないように無機フィラーを樹脂フィルムに混合して、熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。帯状の基板FBは例えば長さ200m、幅2m、厚さ100μmである。帯状の基板FBの少なくとも片面は、後述する液状の硬化性樹脂が接するため、撥水処理されていることが好ましい。
【0013】
なお、本実施形態において、帯状の基板FBは、ロール状に巻かれた可撓性の帯状の基板に限定されず、ガラスプレート又はシリコンなどの半導体ウエハのような基板であってもよい。また、本実施形態における帯状の基板FBは、ロール状に巻かれている必要もない。さらに、本実施形態におけるデバイス製造装置100は、帯状の基板FBを供給ロールRL1及びRL2から搬送する構成に限らず、所定の大きさの帯状の基板FBを交換、又は複数の所定の大きさの帯状の基板FBを個別に搬送するような構成であってもよい。
【0014】
まず、帯状の基板FBが供給ロールRLを介して第1の実施例のパターン形成装置10Aに搬送される。パターン形成装置10Aにより凹凸状のパターンが形成される。パターン形成装置10Aは、一定間隔で上下動しながらパターンが形成する。そのため、帯状の基板FBの搬送途中には、必要な箇所に帯状の基板FBのたまり部D1が設けられる。パターン形成装置10Aについては、図2などで後述する。
【0015】
パターン形成装置10Aを通過した帯状の基板FBは、供給ロールRLを介して液滴塗布装置60に搬送される。なお、液滴塗布装置60はメタルインクMTをゲート電極用の凹凸状のパターンに塗布する。液滴塗布装置60は、インクジェット方式又はディスペンサー方式を採用することができる。インクジェット方式としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。搬送ローラFRが回転することで帯状の基板FBが矢印方向に送り出され、温風ヒータHTに搬送される。温風ヒータHTは、200度前後の温風を噴出し、メタルインクMTを焼成する。これによりゲート電極が乾燥される。
【0016】
また、液滴塗布装置60の上流及び下流にはアライメントカメラCA1及びCA2がそれぞれ配置されている。アライメントカメラCA1及びCA2は、帯状の基板FBに設けられたアライメントマークAM(図示しない)を観察するための観察光を照射する照明光源と画像を撮像するCCDとを備えている。さらに、液滴塗布装置60はアライメントカメラCA1及びCA2の検出結果に基づいてX軸方向及びY軸方向の位置調整を行う。液滴塗布装置60を通過した帯状の基板FBは、印刷ローラPRに搬送される。
【0017】
印刷ローラPRによるオフセット印刷法などにより、帯状の基板FBに絶縁体ISの層が形成される。この絶縁体ISは温風ヒータHTなどを使用して乾燥される。また、印刷ローラPRの上流及び下流にもアライメントカメラCA3及びCA4がそれぞれ配置されている。また、印刷ローラPRはアライメントカメラCA3及びCA4の検出結果に基づいてX軸方向及びY軸方向の位置調整を行う。
【0018】
さらに、デバイス製造装置100は搬送制御部70を有する。なお、搬送制御部70は供給ロールRLと、パターン形成装置10Aと、液滴塗布装置60と、印刷ローラPRとにそれぞれ接続されている。これにより、搬送制御部70が供給ロールRL及び印刷ローラPRの速度を制御することができる。また、搬送制御部70は、複数のアライメントカメラCA(CA1〜CA4)からアライメントマーク(図示しない)の検出結果を受け取り、液滴塗布装置60などの位置を制御する。このような工程を経ることにより、デバイス製造装置100は有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子又は電界放出ディスプレイ(FED:フィールドエミッション・ディスプレイ)などフラットパネル表示素子を製造することができる。
【0019】
以下、図1の破線で囲まれた第1の実施例のパターン形成装置10Aについて、図2を参照しながら詳述する。
<パターン形成装置10A>
図2は、第1の実施例のパターン形成装置10Aの説明図である。図2は、第1の実施例のパターン形成装置10Aの斜視図である。図2では、帯状の基板FBは、矢印で示されるように−X軸方向に搬送されている。
【0020】
図2は、図1で破線に囲まれた部分の斜視図である。図2に示されたように、パターン形成装置10Aは硬化装置である紫外線照射装置11と接触装置の一部である紫外線硬化性材料容器12とが設けられている。紫外線照射装置11が帯状の基板FBの+Z側に、紫外線硬化性材料容器(以下材料容器という)12が帯状の基板FBの−Z側に配置されている。
【0021】
紫外線照射装置11は、その底面が紫外線を透過する平面の透明板が配置され、その透明板に向けて複数の紫外線LED光源13が配置されている。紫外線LED光源13はエネルギーとして紫外線を含む光を発光するLEDであり、図示しない制御装置により点滅する。図2では、X軸方向に8つY軸方向に6つの48個の紫外線LED光源13が描かれているが、実際には紫外線照射装置11は、数千から数万個の紫外線LED光源13を格子状に配置している。また、第1の実施例では硬化性材料として液状の紫外線硬化樹脂LRが用いられる。
【0022】
なお、紫外線照射装置11は紫外線LED光源13の代わりに光ファイバ束を配置してもよい。光ファイバ束の入射端がレーザ又は高圧水銀ランプなどの紫外線光源に配置され、光ファイバ束の射出端が格子状に配置されていれば、紫外線照射装置11は紫外線LED光源13と同様に紫外線を照射することができる。
【0023】
図2に示されるように、紫外線照射装置11は+Z側の四隅に紫外線照射装置11の高さの調整が可能である高さ調整部18がそれぞれ設けられている。紫外線照射装置11はこの高さ調整部18によりZ軸方向に移動可能である。また、材料容器12の四隅には4つの回転ローラ19が設けられている。4つの回転ローラ19は、帯状の基板FBの短手方向(Y軸方向)の端部のみに接する。
【0024】
図3(a)は、図2に示されたパターン形成装置10Aの断面図である。図3(b)は、パターン形成装置10Aにより凹凸状のパターンが形成された帯状の基板FBの側面図である。
【0025】
帯状の基板FBが所定距離だけ搬送された後、高さ調整部18によって紫外線照射装置11が−Z軸方向に移動する。すると、紫外線照射装置11の底面が帯状の基板FBに接して、紫外線照射装置11が帯状の基板FBを平面状に保持する状態となる。さらに、紫外線照射装置11が−Z軸方向に移動し且つ帯状の基板FBが伸張しないように所定量だけX軸方向に送り出される。すると、帯状の基板FBが撓んで液状の紫外線硬化樹脂LRに対向して接した状態になる。図3(a)は、帯状の基板FBが撓んで液状の紫外線硬化樹脂LRに接した状態を示している。帯状の基板FBの撥水処理された片面(−Z側の表面)は材料容器12に収納している液状の紫外線硬化樹脂LRに接している。帯状の基板FBと液状の紫外線硬化樹脂LRとが接した状態において、紫外線LED光源13(光源131〜138)のうち所定の紫外線LED光源13が一定時間点灯する。すると帯状の基板FBに紫外線が照射された液状の紫外線硬化樹脂LRが硬化し、帯状の基板FBに固着する。
【0026】
詳しく説明すると、図3(a)に示される状態において、紫外線LED光源132及び135が消灯しているため、紫外線LED光源132及び135の直下部分の液状の紫外線硬化樹脂LRが硬化されない。一方他の紫外線LED光源131、133、134、136〜138は所定時間点灯されているため、それらの紫外線LED光源下の液状の紫外線硬化樹脂LRは硬化される。
【0027】
その後、高さ調整部18によって紫外線照射装置11が+Z軸方向に移動する。帯状の基板FBが撓んで液状の紫外線硬化樹脂LRに接した状態から液状の紫外線硬化樹脂LRに接しない状態になる。紫外線によって硬化された紫外線硬化樹脂SRは、帯状の基板FBに固着されている。一方、液状の紫外線硬化樹脂LRは撥水性の帯状の基板FBに付着していない。したがって、図3(b)に示されたように帯状の基板FBの下側(−Z軸側)の片面に厚さHの硬化された紫外線硬化樹脂SRが形成されている。硬化された紫外線硬化樹脂SRは、紫外線LED光源13からの光がコリメートされていないため、その断面は台形状に形成される。このようにして、帯状の基板FBに凹凸状のパターンが形成される。
次に、第1の実施例のデバイス製造装置100によりデバイスを製造する方法について、図4を参照しながら説明する。
【0028】
<<デバイス製造方法>>
図4は、第1の実施例のデバイス製造装置100によるデバイス製造方法を示したフローチャートである。なお、第1の実施例のデバイス製造装置100によるデバイス製造方法は、第1の実施例のパターン形成装置10Aにより帯状の基板FBに凹凸状のパターンを形成する工程と、液滴塗布装置60によりメタルインクMTをゲート電極用の凹凸状のパターンに塗布する工程と、印刷ローラPRにより帯状の基板FBに絶縁体ISの層を形成する工程とを含む。
【0029】
まず、第1の実施例のパターン形成装置10Aにより帯状の基板FBに凹凸状のパターンを形成する工程について、ステップS111〜S115を参照しながら説明する。
ステップS111において、搬送制御部70が供給ロールRLを介して帯状の基板FBを所定量だけパターン形成装置10Aに搬送する(図1を参照)。
【0030】
ステップS112において、高さ調整部18は紫外線照射装置11を−Z軸方向に移動される。このときに帯状の基板FBが撓むように供給ロールRLが多少回転する。これにより、帯状の基板FBと材料容器12内の液状の紫外線硬化樹脂LRとが接する(図3(a)を参照)。
【0031】
ステップS113において、パターン情報に基づいて複数の紫外線LED光源13が所定時間のみ点灯される。第1の実施例では、紫外線LED光源131、133、134、136〜138が点灯される(図3(a)を参照)。したがって、これらの点灯された紫外線LED光源13の直下に位置している液状の紫外線硬化樹脂LRが硬化され、硬化した紫外線硬化樹脂SRが帯状の基板FBに形成される。したがって、この硬化した紫外線硬化樹脂SRは帯状の基板FBの片面に接着して形成される。また、所定時間紫外線LED光源13が点灯されるため、以下の工程に必要な厚さHとなる(図3(b)を参照)。
【0032】
ステップS114において、ステップS113で点灯された紫外線LED光源13(131、133、134、136〜138)が消灯する。
ステップS115において、高さ調整部18により紫外線照射装置11が+Z軸方向に移動し最初の位置に戻る。このときに帯状の基板FBが液状の紫外線硬化樹脂LRから離れるように供給ロールRLが多少回転する。これにより、帯状の基板FBと液状の紫外線硬化樹脂LRとが離れる。このとき、予めに帯状の基板FBに対して撥水処理が実施されるため、液状の紫外線硬化樹脂LRが帯状の基板FBに付着していない。すなわち、液状の紫外線硬化樹脂LRが重力により、帯状の基板FBから離間する。
【0033】
この工程までが、パターン形成装置10Aにより帯状の基板FBに凹凸状のパターンを形成する工程である。次に、液滴塗布装置60によりメタルインクMTをゲート電極用の凹凸状のパターンに塗布する工程について、図1を参照しながらステップS116〜S118で説明する。
【0034】
ステップS116及びS117において、搬送制御部70が供給ロールRLを介して帯状の基板FBを液滴塗布装置60に搬送し、アライメントカメラCA1及びCA2により帯状の基板FBのアライメントマーク(図示しない)を検出する。アライメントカメラCAの検出結果に基づいて液滴塗布装置60からのメタルインクMTの塗布のタイミングが調整される。
【0035】
ステップS118において、液滴塗布装置60がステップS111〜S115で形成されたゲート電極用の凹凸状のパターンにメタルインクMTを塗布する。また、搬送ローラFRが回転することで帯状の基板FBが温風ヒータHTに搬送され、温風ヒータHTから噴出する200度前後の温風によってメタルインクMTが焼成される。これにより、ゲート電極が形成される。
次に、印刷ローラPRにより帯状の基板FBに絶縁体ISの層を形成する工程について、図1を参照しながらステップS119〜S121で説明する。
【0036】
ステップS119及びS120において、搬送制御部70が供給ロールRLを介して帯状の基板FBを印刷ローラPRに搬送し、アライメントカメラCA3及びCA4により帯状の基板FBのアライメントマーク(図示しない)を検出する。アライメントカメラCAの検出結果に基づいて印刷ローラPRの位置が調整される。
【0037】
ステップS121において、印刷ローラPRにより帯状の基板FBに絶縁体ISの層が形成される。また、搬送ローラFRが回転することで帯状の基板FBが温風ヒータHTに搬送され、温風ヒータHTから噴出する200度前後の温風によって絶縁体ISの層が乾燥される。以下に続く複数の工程を経ることにより、デバイス製造装置100はフラットパネル表示素子を製造することができる。
【0038】
(第2の実施例)
<デバイス製造装置110>
第2の実施例のパターン形成装置10Fを用いたデバイス製造装置110について、図5を参照しながら説明する。図1で示されたデバイス製造装置100は、パターン形成装置の反対側の帯状の基板FBの片面に凹凸パターンを形成していた。デバイス製造装置110は、パターン形成装置10F側の帯状の基板FBの片面に凹凸パターンを形成する。この点で、デバイス製造装置100とデバイス製造装置110とは大きく異なる。
【0039】
デバイス製造装置110は、図5に示されたようにロール状に巻かれた可撓性の帯状の基板FBを送り出すための供給ロールRLを備えている。また、供給ロールRLが所定速度で回転することで、帯状の基板FBは矢印に示されたように搬送される。第2の実施例のデバイス製造装置110は、パターン形成装置10Fが、パターン形成装置10F側の帯状の基板FBの片面に凹凸パターンを形成するため、表裏を逆転させる必要はない。その他の構成は第1の実施例のデバイス製造装置100と同じである。このため、図5の破線に囲まれた部分のパターン形成装置10Fについて、図6図8を参照しながら説明し、他の部分に対して説明を省略する。
【0040】
<パターン形成装置10F>
図6は、第2の実施例のパターン形成装置10Fの一例の斜視図である。図7(a)はパターン形成装置10Fの断面で、(b)は帯状の基板FBにおいてパターン形成装置10Fにより凹凸状のパターンを形成される際の硬化された紫外線硬化樹脂SRの厚さを示したグラフである。なお、図7(b)において縦軸は硬化された紫外線硬化樹脂SRの厚さを示し、横軸は帯状の基板FBの移動方向を示す。
【0041】
図6に示されたように、パターン形成装置10Fは帯状の基板FBの+Z側から液状の紫外線硬化樹脂LRを供給する。また、パターン形成装置10Fの紫外線照射装置41はその底面が紫外線を透過する透明板が配置され、その透明板に向けて等間隔Lで複数のフラッシュ光源81が配置されている。フラッシュ光源81は、瞬間的に点灯しそして消灯するパルス照射を行う。フラッシュ光源81はパルス光を照射できるものであれば、紫外線LEDでも、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を使ってもよい。各々のフラッシュ光源81の直下にはレンズアレイ14が設けられる。フラッシュ光源81からの紫外線を含む光はレンズアレイ14によりコリメート光となって、液状の紫外線硬化樹脂LRに照射される。個々のフラッシュ光源81は図示しない制御装置により点滅する。図7では、X軸方向に5つY軸方向に6つの30個のフラッシュ光源81が描かれているが、実際には紫外線照射装置41は、数千から数万個のフラッシュ光源81を有している。なお、フラッシュ光源81はパルス発光できる光源であれば、別の光源であってもよい。
【0042】
第2の実施例のパターン形成装置10Fは、紫外線照射装置41の+Z側に液状の紫外線硬化樹脂LRを供給する供給部42及び液状の紫外線硬化樹脂LRを回収する回収部43を有している。また、供給部42は供給タンク45と3本の配管Pとを有している。3本の配管Pは帯状の基板FBの搬送方向の上流側で、紫外線照射装置41と帯状の基板FBとの隙間に伸びている。そして、供給タンク45に溜められた液状の紫外線硬化樹脂LRは、3本の配管Pに示される矢印方向に供給される。
【0043】
回収部43は回収タンク47と3本の配管Pとを有している。3本の配管Pは帯状の基板FBの搬送方向の下流側で、紫外線照射装置41と帯状の基板FBとの隙間に伸びている。そして、硬化されなかった液状の紫外線硬化樹脂LRは、3本の配管Pに示される矢印方向に回収され、回収タンク47に溜められる。なお、供給タンク45と回収タンク47とは互いに連通していてもよい。また、配管Pの先端にはノズル(不図示)が設けられ、このノズルにより紫外線照射装置41と帯状の基板FBとの隙間に液状の紫外線硬化樹脂LRを供給したり回収したりする。その他、供給部42の配管P及び回収部43の配管Pには流量計46及び流量計48(図5を参照)がそれぞれ設けられている。
【0044】
また、帯状の基板FBの下側には、帯状の基板FBが撓まないように反射ベース83が配置されている。反射ベース83は、その表面がミラーになっている。このため、フラッシュ光源81の光を効率的に液状の紫外線硬化樹脂LRに与えることができる。つまりフラッシュ光源81の光は液状の紫外線硬化樹脂LRに与えられ、一部の光が帯状の基板FBを透過するが、その透過した光は反射ベース83で反射されて、再び液状の紫外線硬化樹脂LRに与えられる。
【0045】
<パターン形成装置10Fの動作>
図7を参照しながら第2の実施例のパターン形成装置10Fによって帯状の基板FBに凹凸状のパターンを形成する方法を説明する。図7(a)に示されるように第2の実施例において帯状の基板FBは連続に搬送される。そして紫外線照射装置41の−X側(上流側)から液状の紫外線硬化樹脂LRを供給し、+X側(下流側)から硬化されなった液状の紫外線硬化樹脂LRを回収する。流量計46及び流量計48(図5を参照)は、帯状の基板FBの大きさ及び搬送速度などを考慮して、液状の紫外線硬化樹脂LRの供給量及び回収量を調節する。また、フラッシュ光源81(811〜815)はX軸方向に間隔Lで配置されている。
【0046】
パターンの一点に着目して詳しく説明すると次のとおりである。
帯状の基板FBがフラッシュ光源811の直下を通過する際に、フラッシュ光源811が瞬間的に点灯する。すると、図7(b)のグラフに示されたように、フラッシュ光源811の直下に位置する帯状の基板FBの片面に厚さ1/5Hの硬化された紫外線硬化樹脂SRが形成される。そして帯状の基板FBが連続的に搬送されていき距離L移動した際に、フラッシュ光源812が瞬間的に点灯する。これにより、フラッシュ光源812の直下に到着した厚さ1/5Hの硬化した紫外線硬化樹脂SRにさらに厚さ1/5Hの硬化された紫外線硬化樹脂SRが積み重ねられる。同様に、硬化された紫外線硬化樹脂SRはフラッシュ光源813の直下で厚さ3/5Hとなり、フラッシュ光源814の直下で厚さ4/5Hとなる。その後、硬化された紫外線硬化樹脂SRはフラッシュ光源815の直下で所定の厚さHとなる。このとき、フラッシュ光源81は、先の図4中のステップS113で説明したように、パターン情報に基づいて所定時間のみ点灯される。硬化された紫外線硬化樹脂SRは、フラッシュ光源81(例えば紫外線LED光源)からの光がレンズアレイ14でコリメートされているため、その断面は長方形に形成される。このようにして、帯状の基板FBに凹凸状のパターンが形成される。
【0047】
最後に、回収部43は紫外線照射装置41と帯状の基板FBとの隙間の硬化されなかった液状の紫外線硬化樹脂LRを回収する。その結果、帯状の基板FBの裏面には厚さHである矩形の紫外線硬化樹脂SRが形成される。
【0048】
また、第2の実施例では紫外線照射装置41の上流側から液状の紫外線硬化樹脂LRを供給し、下流側から硬化されなかった液状の紫外線硬化樹脂LRを回収した。しかし、液状の紫外線硬化樹脂LRの供給及び回収は、図6又は図7に示された方法に限られない。
【0049】
図8は、別の液状の紫外線硬化樹脂LRの供給及び回収方法を示した図である。図8では、説明を容易にするため、供給部42及び回収部43などがすべてXY平面上に書かれている。
【0050】
図8に示されたように、供給部42の3本の配管Pが紫外線照射装置41の−X側(上流側)に接続され、さらに3本の配管Pが紫外線照射装置41の+X側に接続されている。また、回収部43の2本の配管Pが紫外線照射装置41の−X側に接続され、他の2本の配管が紫外線照射装置41の+X側に接続されている。これにより、紫外線照射装置41の搬送方向の両側から液状の紫外線硬化樹脂LRを供給したり回収したりする。
【0051】
なお、図8のパターン形成装置10EのA−A断面図は、図7(a)と同じであるためパターン形成装置10Eの動作について説明を省略する。
【0052】
(第3の実施例)
図5に示されたデバイス製造装置110は、パターン形成装置10Fに代えて図9に示されたパターン形成装置10Gを配置することもできる。
第3の実施例のパターン形成装置10Gについて図9を参照しながら説明し、その他の部分に対して説明を省略する。
【0053】
パターン形成装置10Gは第2の実施例と同じ構成である紫外線照射装置41と、液状の紫外線硬化樹脂LRを供給する供給部42Gと、液状の紫外線硬化樹脂LRの回収する回収部43とを備える。供給部42Gは紫外線照射装置41の−X側(上流側)に紫外線照射装置41から離れて配置され、帯状の基板FBの表面に液状の紫外線硬化樹脂LRを供給する。供給部42Gは供給タンク45と1本の幅広の配管PPとを有している。配管PPの先端にはノズル(不図示)が設けられ、このノズルにより帯状の基板FBの表面に均一に液状の紫外線硬化樹脂LRを供給する。配管PPには流量計46(図5を参照)が設けられている。帯状の基板FBの表面に供給された液状の紫外線硬化樹脂LRは、帯状の基板FBに載ったまま紫外線照射装置41に搬送される。紫外線照射装置41は、フラッシュ光源81の光を照射して硬化された紫外線硬化樹脂SRを形成する。これにより、帯状の基板FBの表面に凹凸パターンが形成される。硬化されなかった液状の紫外線硬化樹脂LRは、3本の配管Pに示される矢印方向に回収され、回収部43の回収タンク47に溜められる。その他の構成は第2の実施例と同じであるため、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上、第1の実施例から第3の実施例まで最適な実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、その技術的範囲内において実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0055】
例えば、デバイス製造装置100又は110は、デバイスの一つとしてフラットパネル表示素子を製造するため、基板に形成された凹凸パターンにメタルインクを塗布した。しかし、デバイス製造装置100又は110は、半導体ウエハに形成された凹凸パターンに対してエッチングを行って半導体素子を製造することもできる。
【0056】
また、例えば第1の実施例から第3の実施例のパターン形成装置は、液状の紫外線硬化樹脂LRを使用した。しかし、液状でなくてもゲル状の樹脂であってもよく、基板の表面で硬化されていない状態で供給されるものであれば良い。また、第1の実施例から第3の実施例のパターン形成装置は、エネルギーの一つとして紫外線を照射する光源を使用した。しかし、紫外線により硬化する樹脂ではなく、熱により硬化する熱硬化性樹脂を使用する場合にはエネルギーの一つとして熱を発生する発熱部を使用してもよい。熱硬化性樹脂が基板に供給される場合には、パターン形成装置は、複数の発熱部を格子状に配置した発熱アレイを、紫外線LED光源13又はフラッシュ光源81に代えて配置すればよい。
【符号の説明】
【0057】
10(10A、10F、10G) … パターン形成装置
11、21、 … 紫外線照射装置
12、22、32 … 材料容器
13(131〜138) … 紫外線LED光源
14 … レンズアレイ
19 … 固定ローラ
41 … 紫外線照射装置
42 … 供給部
43 … 回収部
46、48 … 流量計
60 … 液滴塗布装置
70 … 搬送制御部
81(811〜815) … フラッシュ光源
100、110 … デバイス製造装置
CA … アライメントカメラ
FB … 基板
FR … 搬送ローラ
HT … 温風ヒータ
IS … 絶縁体
LR … 液状の紫外線硬化樹脂
MT … メタルインク
P、PP … 配管
PR … 印刷ローラ
RL … 供給ロール
SR … 硬化された紫外線硬化樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9