【実施例】
【0090】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
以降、実施例1、3〜6は、それぞれ、参考例1、3〜6に読み替えるものとする。
なお、以下の実施例において、Cy3−Femaleとは、Female DNAに対して、Cy3で標識したものを示す。同様に、Cy5−Femaleとは、Female DNA(あるいはmale)に対して、Cy5で標識したものを示す。また、Cy3−MaleやCy5−Cot−1 DNAも同様に、それぞれの標識化合物で標識した核酸であることを示す。
【0091】
[比較例1] 異常スポットを削除しなかった場合の核酸マイクロアレイの解析結果
<未精製標識試料核酸の調製>
1.7mLマイクロチューブ(プラチナチューブ、ビーエム機器株式会社)に、Human Genomic DNA Female (Promega社, カタログ番号G152)を3μL(0.75μg)、水(Distilled Water DNAse, RNase Free, GIBCO)を8μL、アレイCGH用のラベリングシステム(BioPrime (R) Array CGH Genomic Labeling System(invitrogen))の2.5xRandom Primers Solution (invitrogen)を20μL入れ、ブロックインキュベータ(BI−535A、株式会社アステック)内にて、95℃で5分間熱処理を行った。5分後、マイクロチューブをブロックインキュベータから取り出し、37℃に設定したブロックインキュベータの中へ入れ、15分間静置した。
【0092】
BioPrime(R) Array CGH Genomic Labeling Systemの10xdCTP Nucleotide Mix (invitrogen)を5μL、Cy3−dCTP Bulk Pack 250nmol(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)を3μL、BioPrime (R) Array CGH Genomic Labeling SystemのExo−Klenow Fragment (invitrogen)を1μL添加し、37℃で2時間BLOCK INCUBATOR BI−535A上にて、標識化反応と同時に増幅反応を行った。2時間後、マイクロチューブをインキュベータから取り出し、65℃に設定したBLOCK INCUBATOR BI−535Aにて、加熱処理を行い、反応溶液中に含まれているExo−Klenow Fragmentを失活させた。
【0093】
上記操作をHuman Genomic DNA Male (Promega社, カタログ番号G147)に対しても行い、以上の操作にて、二種の未精製標識試料核酸を得た。なお、Male DNAに対しても、標識化合物として、Cy3−dCTP(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)を用いた。
【0094】
<未精製標識異常検出核酸の調製>
1.7mLマイクロチューブ(プラチナチューブ、ビーエム機器株式会社)にCot−1 DNA (インビトロジェン社、カタログ番号15279−011)を6μg(6μL)、水を5μL、2.5xRandom Primers Solutionを20μL入れ、BLOCK INCUBATOR BI−535A上にて、95℃で5分間熱処理を行った。5分後、マイクロチューブを取り出し、37℃に設定したBLOCK INCUBATOR BI−535Aの中に入れ、15分間静置した。10xdCTP Nucleotide Mixを5μL、Cy5−dCTP Bulk Pack 250nmol(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)を3μL、Exo−Klenow Fragmentを1μL添加し、37℃で2時間BLOCK INCUBATOR BI−535Aにて、標識化反応と共に増幅反応を行った。2時間後、マイクロチューブをインキュベータから取り出し、65℃に設定したBLOCK INCUBATOR BI−535A上にて、15分間加熱処理を行い、反応溶液中に含まれているExo−Klenow Fragmentを失活させた。
【0095】
<標識異常検出核酸Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>
未精製標識異常検出(補正)核酸Cy5−Cot−1 DNAを20μL、未標識核酸Cot−1 DNA 62μL(62μg、invitrogen)を1.7mLマイクロチューブに入れ、3M酢酸ナトリウム(pH5.2)を8μL、−20℃のエタノールを360μL添加し、混合後、10分間−80℃で放置した。その後、TOMY製遠心機MX−300を用いて、15000rpmで30分間、4℃で遠心を行った。遠心後、沈殿物が遠心チューブの底にたまるので、その沈殿物を吸い込まないように注意しながら、上清を除去した。次に、遠心チューブのフタを開けたまま10分間放置し、残存するエタノールを除去した。10分後、ホルムアミドを40%、SSC、デキストラン硫酸を0.075mg/μLに調製したハイブリダイゼーション調製溶液を52μL、10%SDSを8μL添加し、30分間静置した。
30分後、攪拌することで沈殿物を溶解し、その後、十分に攪拌した。
【0096】
<標識試料核酸、標識異常検出核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>
<未精製標識試料核酸の調製>で調製したFemale DNAの未精製標識試料核酸を20μL、<標識異常検出(補正)核酸Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>で調製した溶液を60μL、1.7mLマイクロチューブの中に入れ、十分にVortex処理を行うことで、攪拌を行った。また同様に、<未精製標識試料核酸の調製>で調製したMale DNAの未精製標識試料核酸を20μL、<標識異常検出核酸Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション調製溶液の調製>で調製した溶液を60μL、1.7mLマイクロチューブの中に入れ、十分にVortex処理を行うことで、攪拌を行った。
【0097】
<核酸マイクロアレイの前処理>
使用した核酸マイクロアレイは、BACクローン(RPCI,RP11 BACライブラリ)から調製したプローブDNA800種をそれぞれ2つずつガラス基板上にスポットした、合計1600個のスポットを有している。以下核酸マイクロアレイの作製方法。まず、BACクローンを大量培養後、イオン交換カラム(QIAGEN社、Plasmid Midi Kit 100 Cat.No.12145)を用いて抽出・精製しBAC DNAを得た。その後、BAC DNAを4塩基認識酵素、RsaI、DpnI、HaeIIIで消化した後、アダプターを加えてライゲーションをおこなう。次に、アダプターの一方のオリゴヌクレオチドと同一配列を有するプライマーを用いて、PCR法により増幅することによりプローブDNAが得られる。プローブDNAの長さは1000〜3000bp程度である。プローブDNAのガラス基板へのスポットはGENESHOT(日本ガイシ株式会社、名古屋)を使用した。
ブロッキング溶液(松浪硝子工業株式会社)を約200mL、ガラス容器に入れ、そこへ核酸マイクロアレイを入れ、20分間SLIDE WASHER, SW−4(十慈フィールド株式会社)を用いて、スライドガラスを上下に移動させながら、ブロッキング反応を行った。20分後、核酸マイクロアレイをブロッキング溶液から取り出し、水200mLを入れた容器の中に入れた。3分間、SLIDE WASHERを用いて洗浄し、3分後、再び新しい水を200mL入れた容器の中に入れ、SLIDE WASHERを用いて洗浄した。3分後、エタノールを200mL入れた容器の中に移し、再びSLIDE WASHERを用いて洗浄した。3分後、核酸マイクロアレイを取り出し、卓上遠心機スピンドライヤーmini2350(トミー工業株式会社)を用いて遠心を行い、核酸マイクロアレイを乾燥させた。
【0098】
ブロッキング後、沸騰水に核酸マイクロアレイを2分間浸し、ついで、−20℃の70%エタノールに2分間、−20℃の85%エタノールに2分間、−20℃の100%エタノールに2分間浸し、その後、スピンドライヤーで1分間の遠心を行うことで核酸マイクロアレイを乾燥させた。なお、上記の操作は、二枚の核酸マイクロアレイを同時に処理することで行った。
【0099】
<ハイブリダイゼーション>
<標識試料核酸、標識異常検出核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>で調製した二種の試料溶液を、BLOCK INCUBATOR BI−535A上にて、それぞれ75℃で16分間熱処理を行った。その後、42℃で30分以上熱処理を行った。それぞれの溶液を、ハイブリダイザーを用いてハイブリダイゼーションを行った。
【0100】
ハイブリダイザーは、HYBRIMASTER HS−300(アロカ株式会社)を用いた。ハイブリダイゼーション温度は、37℃、ハイブリダイゼーション時間は、16時間行った。ハイブリダイゼーションの間、ローラーで攪拌するように設定した。Cy3−Female DNAとCy5−Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液を、それぞれの核酸マイクロアレイ上に滴下し、ハイブリダイザーのスタートボタンを押した。洗浄条件は、(1)2×SSCの溶液を5mL、室温、30秒間、(2)50%ホルムアミド/2×SSC(pH7.0)溶液を5mL、50℃、15分間、(3)2×SSC/0.1%SDS(pH7.0)溶液を5mL、50℃、30分間、(4)2×SSCの溶液を5mL、室温、5分間に設定し、洗浄中は、ローラーを用いて攪拌するように設定した。ハイブリダイザーによるハイブリダイゼーションを行った後、マイクロアレイをハイブリダイザーから取り出し、2×SSCを入れた50mLのスミロンチューブの中にマイクロアレイを入れ、数分後、マイクロアレイを取り出して、スピンドライヤー−Mini Model2350で1分間の遠心を行うことで核酸マイクロアレイを乾燥させた。
【0101】
<データ取り込み>
洗浄した二枚のマイクロアレイは、GenePix (R) 4000B(Axon Instruments)を用いて、スキャニングを行った。
【0102】
<データ処理>
下記の式を用いて、データ処理を行った。
未精製標識試料核酸Cy3−Female由来の蛍光値をFF、未精製標識試料核酸Cy3−Male由来の蛍光値をFM、Female側の標識異常検出(補正)核酸の蛍光値をFc1、Male側の標識異常検出(補正)核酸の蛍光値をFc2とすると、補正後のCy3−Male DNAの標識量値FM’を以下の式により計算した。
FM’=FM×Fc1/Fc2
【0103】
さらに以下の式により、Log Ratio(Female/Male)を計算した。
Log Ratio(Female/Male)=Log
2(FF/FM’)
なお、アレイ間で比較するスポット対は、同一のBlock Number、同一のColumn Number、同一のRow Numberを用い、核酸マイクロアレイ上に配置されているすべてのスポットについてLog Ratio(Female/Male)を計算した。
【0104】
また、Ratio(Female/Male)の値{Ratio(Female/Male)は、Female側のスポットの蛍光値とMale側のスポットの蛍光値の比}も下記の式を用いて同様に計算した。
Ratio(Female/Male)=FF/FM’
次に同種のプローブ核酸をスポットした2つのスポットのLog Ratio又はRatio(Female/Male)の平均値を計算した。
なお、ノーマライゼーション法として、グローバルノーマライゼーションを行った。
【0105】
<結果>
図4にLog Ratio値、
図5にFemale/Maleの値を、染色体番号順にプロットした図を示す。なお、
図4,5におけるプロットは、同種のプローブをスポットした2つのスポットの平均値である。○が常染色体に相当する部分を、●がX染色体に相当する部分を示している(以下の図についても同様。)
【0106】
[実施例1] 異常スポットを削除した場合の核酸マイクロアレイの解析結果
比較例1の結果に対して、以下の方法によって異常スポットを数値計算により検出した。
Cy3−Femaleをハイブリダイゼーションした核酸マイクロアレイから得られたCy5−Cot−1 DNA由来の蛍光値をFc1、Cy3−Maleをハイブリダイゼーションした核酸マイクロアレイから得られたCy5−Cot−1 DNA由来の蛍光値をFc2とし、比較値(D
B)として、それらのLog比{Log Ratio(Cot−1/Cot−1)}を以下の式に従って計算した。
Log Ratio(Cot−1/Cot−1)=Log
2(Fc2/Fc1)
なお、Cy3−Femaleをハイブリダイゼーションした核酸マイクロアレイとCy3−Maleをハイブリダイゼーションしたそれぞれの核酸マイクロアレイの同一Block Number、同一Column
Number及び同一Row Numberを持つスポット対同士で比較値(D
B)を計算し、核酸マイクロアレイ上にスポットされたすべてのスポットについて比較値(D
B)を計算した。
【0107】
次に、上記で計算した比較値(D
B)の中間値(M)として平均値を計算し、中間値がゼロになるように、すべての比較値(D
B)を補正した。
次に、中間値(M)と比較値(D
B)との差を計算した後、その計算値に対して、絶対値ABS{Log Ratio(Cot−1/Cot−1)}を全スポット対に対して計算した。中間値をゼロに補正しているので、この値の数値の大きいものほど中間値からの差が大きいことを示しており、この差の大きいものから順番に、全スポット対の数、すなわち本実施例では1600個に対して、3%、5%、10%の個数、すなわち、それぞれ48個、80個、160個のスポット対を異常スポットとした。また、この値が0.6を超えるものすべてのスポット対を異常スポットとした。
異常スポットの検出後、異常スポットに対応する比較例1で計算したLog Ratio(Female/Male)の値を削除した。
【0108】
なお、上記の異常スポットの削除の際、同種のプローブ核酸がスポットされた2つスポットが両方とも異常スポットとして検出された場合は、その両方を削除せず、ABS{ Log Ratio(Cot−1/Cot−1)}の値の大きいLog Ratio(Female/Male)の値を削除し、小さいLog Ratio(Female/Male)の値は削除しなかった。
例えば、異常スポットの削除の個数が全スポットの10%の場合には、2つの同一のプローブ核酸をスポットしたスポットの両方が異常スポットとして検出された例が幾つか見られたが、この場合には、それらの2つのうちの比較値(D
B)がより中間値から遠いほうを異常スポットとした。
さらに具体的には、同一のプローブ核酸をスポットした110番目と111番目の両方のスポット対が異常スポットとして検出されたが、110番の比較値(D
B)が1.45に対して、111番目が0.413となり、本来は両方を異常スポットとするところであるが、より比較値(D
B)が中間値から遠い110番目のスポットの方のみを削除した。110番目のLog Ratio(Female/Male)値が−0.467に対して、111番目が−0.191となり、これらの値はより0に近い方が正解なので、比較値(D
B)が中間値から近いほうを残すことの有効性をこの結果は示している。
次に、比較例1と同様に、同種のプローブ核酸をスポットした2つのスポットのLog Ratio(Female/Male)の平均値を計算した。
【0109】
<結果>
以上の結果を
図6〜11に示す。
図6は、全体のスポット対1600個のうち、比較値と中間値との差が大きいものから上位3%(48個)に相当する比較値を持つスポット対を異常スポットとして削除した場合のプロットを示す。
図7は、同様に大きいものから上位5%(80個)に相当する比較値を持つスポット対を異常スポットとして削除した場合のプロットを示す。
図8は、同様に大きいものから上位10%(160個)に相当する比較値を持つスポット対を異常スポットとして削除した場合のプロットを示す。
【0110】
図4と、
図6〜8とを比較すると、Log Ratioが±0.25の範囲外のスポットが
図4では多数確認されたが、
図6〜8では数点程度にまで減少している。
また、常染色体部分のバラツキ(理論上はX軸上にすべての点が集まる)が、異常スポットを削除することによって減少していることがわかる。
さらに、異常スポットを5%、10%削除した
図7と8では、常染色体とX染色体部分との分離が良くなった。すなわち、異常スポットを削除していない
図4では、常染色体部分の○のLog Ratioの部分とX染色体部分の●の部分とが多くのスポット対から計算された比較値が重なっているのに対して、異常スポットを3%削除した
図6の結果では、1点のみが重なっているだけで、更に、
図7と
図8の5%以上の異常スポットを削除した場合には、X染色体部位のLog Ratio値下限と常染色体部位のLog Ratio値の上限とが十分に離れている。
これらの結果は、仮に、X染色体部分が増幅若しくは欠失部分に相当すると仮定すると、異常スポットを削除することによって、診断精度の高い核酸マイクロアレイが得られることを示している。
【0111】
図9には、比較値と中間値の差によって異常スポットを削除する際に、閾値を予め設定してその範囲外のものを異常スポットとする方法を用いた場合を示す(つまり、この場合は異常スポットの数が実験ごとに異なる。)。ここでは、中間値と比較値との差が0.6以上の比較値を持つスポット対を異常スポットとして判定した。
図4と比較すると、常染色体部分のバラツキが小さくなり、常染色体とX染色体との分離が良くなっていることがわかる。
【0112】
さらに、
図10に、異常スポット削除率と常染色体部位の分散値(STDEV)との関係を示す。異常スポットを削除しなかった場合には、STDEVが約0.13となり、異常スポットを削除したものは、0.9〜1.2と小さくなった。
これらの結果は、異常スポットを削除することによってデータのバラツキが減少し、より精度の高い核酸マイクロアレイの結果が得られることを示している。
【0113】
また、
図11に、全体スポットのうち3%のスポットを異常スポットとして削除した場合のRatio(Female/Male)値をプロットしたものを示す。
図5と比較すると異常スポットを削除することで常染色体部分とX染色体部分とがよりはっきりと分離していることがわかる。
【0114】
[実施例2] 標識異常検出核酸を用いた核酸マイクロアレイの品質検査
本実施例では、核酸マイクロアレイ1を製造者が所有し、核酸マイクロアレイ2と3とを使用者が所有していると仮定する。
<未精製標識試料核酸の調製>
比較例1の<未精製標識試料核酸の調製>と同様の方法で、Cy3−Female DNAとCy3−Male DNAとを調製した。
【0115】
<未精製標識異常検出(補正)核酸の調製>
比較例1の<未精製標識異常検出(補正)核酸の調製>と同様の方法で、Cy5−Cot−1 DNAを調製した。なお、核酸マイクロアレイ1〜3にハイブリダイゼーションする標識異常検出(補正)核酸Cy5−Cot−1 DNAはすべて同一の調製ロットから小分けしたものを使用した。
【0116】
<標識異常検出(補正)核酸Cy5−Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>
比較例1の<標識異常検出(補正)核酸Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>と同様の方法で調製した。
【0117】
<標識試料核酸、標識異常検出(補正)核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>
比較例1の<標識試料核酸、標識異常検出(補正)核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>と同様の方法で調製した。ただし、標識異常検出(補正)核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液は、標識異常検出(補正)核酸Cy5−Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液に未精製標識試料核酸の代わりに20μLの水を添加し、混合することで調製した。
【0118】
<核酸マイクロアレイの前処理>
比較例1の<核酸マイクロアレイの前処理>と同様の方法で前処理を行った。なお、ここでは、576種のBACプローブDNAを3個ずつスポットした核酸マイクロアレイを用いた。
【0119】
<ハイブリダイゼーション>
比較例1の<ハイブリダイゼーション>と同様の方法でハイブリダイゼーションを行った。ただし、核酸マイクロアレイ1に対しては、Cy5−Cot−1を含むハイブリダイゼーション用溶液をハイブリダイゼーションさせた。核酸マイクロアレイ2に対しては、Cy5−Cot−1 DNAとCy3−Female DNAとを含むハイブリダイゼーション用溶液をハイブリダイゼーションさせた。核酸マイクロアレイ3に対しては、Cy5−Cot−1 DNAとCy3−Male DNAとを含むハイブリダイゼーション用溶液をハイブリダイゼーションさせた。
【0120】
<データ取り込み>
比較例1の<データ取り込み>と同様の方法でデータの取り込みを行った。
【0121】
<データ処理及び結果>
核酸マイクロアレイ1のCy5−Cot−1 DNA由来の蛍光値をFc1、核酸マイクロアレイ2のCy5−Cot−1 DNA由来の蛍光値をFc2、核酸マイクロアレイ3のCy5−Cot−1 DNA由来の蛍光値をFc3とし、核酸マイクロアレイ1と2との間、核酸マイクロアレイ1と3との間で、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるスポット対間で下記の式を用いて、比較値{Log Ratio(Cot−1/Cot−1)}を計算した。
核酸マイクロアレイ1と2の間に対するLog Ratio(Cot−1/Cot−1)=Log
2(Fc1/Fc2)
核酸マイクロアレイ1と3の間に対するLog Ratio(Cot−1/Cot−1)=Log
2(Fc1/Fc3)
【0122】
次に、それぞれのアレイ間のLog Ratio(Cot−1/Cot−1)の平均値を計算し、その平均値がゼロになるようにすべてのLog Ratio(Cot−1/Cot−1)を補正した。次に、すべてのスポット対に対して、個々のスポット対と平均値との差の絶対値を計算することで、Log Ratio(Cot−1/Cot−1)差を得た。その結果を図示したものが
図12である。
図12は核酸マイクロアレイ1と2に対して、上記の様に計算して得られたLog Ratio(Cot−1/Cot−1)差を染色体順に図示したものである。(なお、核酸マイクロアレイ1と3の間に対して、上記の様に計算して得られたLog Ratio(Cot−1/Cot−1)差も同様に計算したが、図示していない。)
【0123】
本実施例では、Log Ratio(Cot−1/Cot−1)差が0.6以上のものを品質管理上問題となるスポットと定義し、その値以上のLog Ratio(Cot−1/Cot−1)差を持つ、スポット対を構成している核酸マイクロアレイ2若しくは核酸マイクロアレイ3のスポットを削除した。
図13は、
図12の結果から0.6以上のLog Ratio(Cot−1/Cot−1)差を持つスポット対を削除した結果を示したものである。その結果、約20個のスポットが品質検査上問題となるスポットであった。核酸マイクロアレイ1と3との間でも図示しなかったが同様の計算を行った。
【0124】
次に、核酸マイクロアレイ2と3との間で比較を行った。まず、核酸マイクロアレイ2と3との間で標識異常検出核酸を標識補正核酸として用いて、以下の式を用いることにより核酸マイクロアレイ3にハイブリダイゼーションさせたCy3−Male側の蛍光値の補正を行った。なお、核酸マイクロアレイ2のCy5−Cot−1 DNAの蛍光値をFc2、核酸マイクロアレイ2のCy3−Female DNAの蛍光値をF2、核酸マイクロアレイ3のCy5−Cot−1 DNAの蛍光値をFc3、核酸マイクロアレイ3のCy3−Male DNAの蛍光値をF3とした。
補正後のCy3−Maleの蛍光値=F3×Fc2/Fc3
上記の数式を用いて、核酸マイクロアレイ上の同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるすべてのスポット対に対して計算を行った。
【0125】
次に、Cy3−Female DNAの蛍光値と上記で得られた補正後のCy3−Male DNAの蛍光値とを用いて、以下の式により核酸マイクロアレイ2と3との間で形成可能なすべてのスポット対間でLog Ratio(Female/Male)を計算した。
Log Ratio(Female/Male)=Log
2(Cy3−Female DNAの蛍光値/Cy3−Male DNAの補正後蛍光値)
【0126】
上記によって計算したLog Ratio(Female/Male)を染色体順に図示した結果を、
図14に示した。この結果でも、常染色体とX染色体とが十分に分離しており、良好な結果といえる。
【0127】
次に、核酸マイクロアレイ1と2、核酸マイクロアレイ1と3との間で得られた品質管理上問題となるスポット対を構成しているLog Ratio(Female/Male)を持つスポット対を削除した。なお、ある上記アレイ間のスポット対に対して、どちらか一方のアレイ間にしか品質管理上問題となるスポット対が存在しなかったとしても削除対象とした。
図15は、
図14の結果から核酸マイクロアレイ1と2、核酸マイクロアレイ1と3との間で計算した品質検査上問題のあるスポット対を削除したものである。
図14と比べて、更に常染色体部分のバラツキが低減した。例えば、
図14の0.2以上のLog Ratio(Female/Male)が17個あったが、
図15では、7個にまで減っており、これらのことはより精度の高い核酸マイクロアレイであることを示している。
更に、核酸マイクロアレイ2と3との間で検出した異常スポットを削除する方法とを併用した結果を
図17に示した。Cy3−Female側のCy5−Cot−1 DNAの標識値をFc2、Cy3−Male DNA側のCy5−Cot−1 DNAの標識値をFc3とすると、核酸マイクロアレイ2と3との間で、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるスポット対間でLog Ratio(Cot−1/Cot−1)を用いた下記の計算式により、核酸マイクロアレイ上のすべてのスポット対間で計算を行った。
Log Ratio(Cot−1/Cot−1)=Log
2(Fc2/Fc1)
【0128】
次に、計算したすべてのスポット対間のLog Ratio(Cot−1/Cot−1)からその平均値を算出し、計算によって算出した平均値がゼロになるように、上記の計算したすべてのスポット対間のLog Ratio(Cot−1/Cot−1)を補正した。次に、補正後のLog Ratio(Cot−1/Cot−1)に対して、絶対値を計算し、その値が0.6以上のものを異常スポットとし、対応するスポット対に由来するLog Ratio(Female/Male)の計算結果を、
図16の結果から削除した。その結果を図示したのが
図17である。
なお、
図16は、
図14の中から1100番から1300番を拡大表示したものであり、
図17も
図16と同一の領域を図示したものである。
図16と
図17とを比べると、丸で囲んだ部分、つまり、この部分は、常染色体部分であるので、ゼロに近づくほどノイズが小さく性能の高い核酸マイクロアレイであることを示しており、
図16と比較して、
図17の方がよりLog Ratio(Female/Male)値がX軸から離れたスポット対が減っており、以上の結果は、本実施例の方法によって、バラツキが低減され、より精度の高い核酸マイクロアレイの結果が得られることを示している。
【0129】
[実施例3] 同一のプローブをスポットしたスポットで、すべてのスポットが異常スポットと判断された場合、少なくとも一つのスポットを残しておく場合
<未精製標識試料核酸の調製>
比較例1の<未精製標識試料核酸の調製>と同様の方法で、Cy3−Sample AとCy3−Sample
Bとを調製した。なお、SampleAは、性別は女で7番染色体に欠失を持つ患者検体を不死化して培養した細胞から採取したDNA、SampleBは、性別は女で遺伝子変異のない人の血液から採取したDNAである。
【0130】
<未精製標識異常検出核酸(標識補正核酸)の調製>
比較例1の<未精製標識異常検出(補正)核酸の調製>と同様の方法で、Cy5−Cot−1 DNAを調製した。なお、核酸マイクロアレイ1、2にハイブリダイゼーションする標識異常検出(補正)核酸Cy5−Cot−1 DNAはすべて同一の調製ロットから小分けしたものを使用した。
【0131】
<標識異常検出(補正)核酸Cy5−Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>
比較例1の<標識異常検出核酸(標識補正核酸)Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>と同様の方法で調製した。
【0132】
<標識試料核酸、標識異常検出(補正)核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>
比較例1の<標識試料核酸、標識異常検出(補正)核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>と同様の方法で調製した。
【0133】
<核酸マイクロアレイの前処理>
比較例1の<核酸マイクロアレイの前処理>と同様の方法で前処理を行った。なお、ここでは、632種のBACプローブDNAを3個ずつスポットした核酸マイクロアレイを2枚用いた。
【0134】
<ハイブリダイゼーション>
比較例1の<ハイブリダイゼーション>と同様の方法でハイブリダイゼーションを行った。
【0135】
<データ取り込み>
比較例1の<データ取り込み>と同様の方法でデータの取り込みを行った。
【0136】
<データ処理及び結果>
核酸マイクロアレイ1のCy3−Sample A由来の蛍光値をF1、Cy5−Cot−1 DNA由来の蛍光値をFc1、核酸マイクロアレイ2のCy3−Sample B由来の蛍光値をF2、Cy5−Cot−1 DNA由来の蛍光値をFc2とし、以下の式を用いて、補正後のCy3−Sample Bの蛍光値を得た。
補正後のCy3−Sample Bの蛍光値(F2’)=F2×Fc1/Fc2
この数式を用いて、核酸マイクロアレイ1と核酸マイクロアレイ2との間で、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるすべてのスポット対間について、補正後のCy3−Sample Bの蛍光値を得た。
【0137】
次に、上記計算によって得た補正後のCy3−Sample Bの蛍光値を用いて、核酸マイクロアレイ上のすべてのスポット対間の比較値、すなわち、以下の数式を用いて、Log Ratio(Sample A/Sample B)を得た。
Log Ratio(Sample A/Sample B)=Log2(F1/F2’)
【0138】
次に、計算したLog Ratio(Sample A/Sample B)の平均値を計算し、その平均値がゼロとなるように、すべてのLog Ratio(Sample A/Sample B)値を補正した。
次に核酸マイクロアレイ1と2との間で、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるスポット対間で下記の式を用いて、核酸マイクロアレイ1と2間でアレイ上の全スポット対に対して、Log Ratio(Cot−1/Cot−1)を計算した。
核酸マイクロアレイ1と2の間に対するLog Ratio(Cot−1/Cot−1)=Log
2(Fc1/Fc2)
このLog Ratio(Cot−1/Cot−1)値が0.6以上のものを異常スポットとした。
【0139】
次に、削除対象とするスポット対の一例を
図18に示した。染色体IDが834から836番(0番からはじまっている数字)は同一のプローブ核酸をスポットしたスポット対であるが、そのLog Ratio(Cot−1/Cot−1)値は、すべて0.6以上であり、すべてが削除対象の異常スポットであった。
これらの中で、少なくとも一つのスポット対を残す方法の一例として、本実施例では、Log Ratio(Cot−1/Cot−1)値の最も小さな値を残すことを行っており、上記の例では、染色体IDが834番を本実施例では残している。
これらのLog Ratio(Cot−1/Cot−1)値を持つLog Ratio(Sample A/Sample B)値は、染色体IDの若いもの順に0.058、0.201、0.169となり、本染色体番号に対する部位は欠失も増幅もない部分、すなわちLog Ratio(Sample A/Sample B)値がゼロに近ければ近いほど正解に近いことを示しており、本実施列で選択した834番は、3つの中でLog Ratio(Sample A/Sample B)値が最も小さな値を示しており、本実施例で行った最も低いLog Ratio(Cot−1/Cot−1)値を持つLog Ratio(Sample A/Sample B)値のみ残し、それ以外の異常スポットと判定されたスポット対を削除する方法が好ましいことをこれらの結果は示している。
以下、ID番号が、1536から1538番、1704から1706番、1863から1865番も同様に、最も中間値に近いLog Ratio(Cot−1/Cot−1)値を残すことで、そのプローブ核酸に由来する情報が消失してしまうことを防いでいる。
【0140】
[実施例4] 同一アレイ内及び異なるアレイ間で異常スポットを削除した場合の解析結果
<未精製標識試料核酸の調製>
比較例1の<未精製標識試料核酸の調製>と同様の方法で、Cy3−Sample A DNAとCy3−Sample B DNAとを調製した。なお、Sample A DNAは、欠失部位を持つ患者検体から採取したもの、Sample B DNAは、正常人から採取した検体を用いた。
【0141】
<未精製標識異常検出(補正)核酸の調製>
比較例1の<未精製標識異常検出(補正)核酸の調製>と同様の方法で、Cy5−Cot−1 DNAを調製した。なお、核酸マイクロアレイ1、2にハイブリダイゼーションする標識異常検出(補正)核酸Cy5−Cot−1 DNAはすべて同一の調製ロットから小分けしたものを使用した。
【0142】
<標識異常検出(補正)核酸Cy5−Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>
比較例1の<標識異常検出核酸(標識補正核酸)Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>と同様の方法で調製した。
【0143】
<標識試料核酸、標識異常検出(補正)核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>
比較例1の<標識試料核酸、標識異常検出(補正)核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>と同様の方法で調製した。
【0144】
<核酸マイクロアレイの前処理>
比較例1の<核酸マイクロアレイの前処理>と同様の方法で前処理を行った。なお、ここでは、662種のBACプローブDNAを3個ずつスポットした核酸マイクロアレイを2枚用いた。
【0145】
<ハイブリダイゼーション>
比較例1の<ハイブリダイゼーション>と同様の方法でハイブリダイゼーションを行った。
【0146】
<データ取り込み>
比較例1の<データ取り込み>と同様の方法でデータの取り込みを行った。
【0147】
<データ処理及び結果>
一枚目の核酸マイクロアレイに対して、同一プローブ核酸をスポットしたスポット間で考えられる組み合わせから構成されたスポット対間で、Cy5−Cot−1 DNAに由来する蛍光値を用いて、Log Ratio(Cot−1/Cot−1)を計算した。例えば、本実施例の場合は同一プローブ核酸をスポットしたスポットの数が3個であるので、スポットA,B,Cとすると、下記の式を用いてLog Ratio(Cot−1/Cot−1)を計算した。なお、蛍光値はバックグラウンド蛍光値を差し引いたものを用いた。
スポットAとB間 Log Ratio(Cot−1 A/Cot−1 B)
スポットAとC間 Log Ratio(Cot−1 A/Cot−1 C)
スポットBとC間 Log Ratio(Cot−1 B/Cot−1 C)
【0148】
次に、核酸マイクロアレイ上に存在するすべてのスポット対間に対して、上記の式によってLog Ratio(Cot−1/Cot−1)値を計算し、次にその平均値がゼロになるようにすべての計算値を補正し、更にそれらの値の絶対値を計算した。
【0149】
上記計算式によって計算したLog Ratio(Cot−1/Cot−1)の値が0.6以上のものを削除対象スポット(本実施例では、核酸マイクロアレイ内での異常スポット削除と、核酸マイクロアレイ間での異常スポット削除とが混同しないように、あえて前者を削除対象スポットと呼んだ。)とした。例えば、スポットAとBの間のLog Ratio(Cot−1 A/Cot−1 B)の値、スポットAとCとの間のLog Ratio(Cot−1 A/Cot−1 C)の値の両方ともが0.6以上の場合には、スポットAを削除対象スポットとした。また、スポットAとBとの間のLog Ratio(Cot−1 A/Cot−1 B)の値のみが0.6以上の場合には、残る組み合わせの中で最も大きなLog Ratio(Cot−1/Cot−1)の値をとるスポット間とを考慮して、削除対象スポットを決定した。例えば、スポットAとCとの間のLog Ratio(Cot−1 A/Cot−1 B)の値が次に大きな値であった場合には、スポットAを削除対象スポットとした。また、すべての考えられるスポット間の組み合わせのLog Ratio(Cot−1/Cot−1)値が0.6以上の場合には、全スポットを削除対象スポットとした。さらに、削除対象スポットに由来するCy3−Sample側の蛍光値を削除した。
【0150】
もう一枚の核酸マイクロアレイに対しても同様の工程によって、削除対象スポットを決定し、削除した。
次に、核酸マイクロアレイ1のCy3−Sample A DNA由来の蛍光値をF1、Cy5−Cot−1 DNA由来の蛍光値をFc1、核酸マイクロアレイ2のCy3−Sample B DNA由来の蛍光値をF2、Cy5−Cot−1 DNA由来の蛍光値をFc2とし、以下の式を用いて、補正後のCy3−Sample B DNAの蛍光値を得た。
補正後のCy3−Sample B DNAの蛍光値(F2’)=F2×Fc1/Fc2
この数式を用いて、核酸マイクロアレイ1と核酸マイクロアレイ2との間で、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるすべてのスポット対間について、補正後のCy3−Sample B DNAの蛍光値を得た。
【0151】
次に、上記計算によって得た補正後のCy3−Sample B DNAの蛍光値を用いて、核酸マイクロアレイ上のすべてのスポット対間の比較値、すなわち、以下の数式を用いて、Log Ratio(Sample A/Sample B)を得た。
Log Ratio(Sample A/Sample B)=Log2(F1/F2’)
【0152】
次に、計算したLog Ratio(Sample A/Sample B)の平均値を計算し、その平均値がゼロとなるように、すべてのLog Ratio(Sample A/Sample B)値を補正した。
X軸に染色体番号を、Y軸に上記式によって計算したLog Ratio(Sample A/Sample B)値をプロットしたのが、
図19である。なお、
図19は、同種のプローブがスポットされた3スポットにおける比較値の平均値をプロットしたものを示している。また、○が常染色体、●がX染色体に相当する部分を示している(以下の図でも同様。)。
【0153】
次に、核酸マイクロアレイ1と2との間で、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるスポット対間で下記の式を用いて、核酸マイクロアレイ1と2間でアレイ上の全スポット対に対して、Log Ratio(Cot−1/Cot−1)を計算した。
核酸マイクロアレイ1と2の間に対するLog Ratio(Cot−1/Cot−1)=Log
2(Fc1/Fc2)
【0154】
次に、上記計算結果から得たLog Ratio(Cot−1/Cot−1)の平均値を計算し、その平均値がゼロとなるように、すべてのLog Ratio(Cot−1/Cot−1)値を補正した。この値が0.6を超えるスポット対を異常スポットとした。また、削除対象スポットをどちらかの核酸マイクロアレイ若しくはその両方に持つスポットに由来するスポット対も異常スポットとした。
次に、これらの異常スポットに由来するLog Ratio(Sample A/Sample B)値を削除した。
【0155】
X軸に染色体番号を、Y軸に方法によって異常スポットを削除したLog Ratio(Sample A/Sample B)値をプロットしたのが、
図20である。
図19は
図20と比較して、○でプロットした常染色体部分(この部分はゼロに近づくほど良い)のバラツキが多いように見える。
また、
図19の分散度(STDEV)の値が0.134に対して、
図20の分散度が0.126となり、明らかに、異常スポットを削除することによって、データのバラツキが減少している。
以上の結果は、本実施例の方法によって、バラツキが低減され、より精度の高い核酸マイクロアレイの結果が得られることを示している。
【0156】
[実施例5] 標識異常検出核酸として正常細胞由来の核酸を使用した場合の解析結果
<DNAの制限酵素による切断>
1.5μgの試料核酸(正常であることが既知の正常試料核酸(female))を1.5mLマイクロチューブ(プラチナチューブ、ビーエム機器株式会社)に入れ、制限酵素DpnII用バッファーを5μL、制限酵素DpnIIを1.5μL(20U)加え、更に水を添加することで全量を50μLにした。このマイクロチューブを37℃に設定したブロックインキュベータBI−535A(株式会社アステック)に入れ、2時間酵素反応を行った。2時間後、ブロックインキュベータからマイクロチューブを取り出した。
【0157】
<制限酵素処理したDNAの精製>
精製は、NucleoSpinキット(日本ジェネティクス株式会社)を用いて行った。制限酵素により断片化したDNAの全量50μLに対して、100μLのNTバッファーを添加し、混合後、軽くスピンダウンを行った。この溶液をNucleoSpinのカートリッジに全量添加し、微量高速冷却遠心機MX−300(株式会社トミー精工)に入れ、11000rpmで1分間遠心を行った。通過液を捨て、カートリッジに洗浄液NT−3バッファーを600μL添加し、再び、MX−300を用いて11000rpmで1分間遠心処理を行った。通過液を捨て、もう一度、MX−300を用いて11000rpmで2分間、カラム中に残留している溶液を完全に除去するために遠心を行った。カートリッジを遠心機から取り出し、水を46μLカートリッジに添加し、1分間のインキュベーションを行った後、11000rpmで1分間遠心を行った。
【0158】
<標識化DNAの調製>
標識は、BioPrime Array CGH Genomic Labeling System(invitrogen社)を用いた。制限酵素処理をし、精製を行ったDNA 21μLを1.5mLマイクロチューブにいれ、そこへ、BioPrimeキットに付属の10xdCTP nucleotide mixを20μL入れ、95℃に加熱したブロックインキュベータ上で5分間過熱した。5分後、マイクロチューブをブロックインキュベータから取り出し、氷上にて急冷した。10分間急冷した後、BioPrimeキット付属の10xdCTP nucleotide mixを5μL、1mMCy dCTP (GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)を3μL、BioPrimeキット付属のExo−Klenowを1μL添加し、軽く攪拌、スピンダウンを行った後、37℃に加熱したブロックインキュベータ上で2時間標識化反応を行った。
【0159】
<標識化DNAの精製>
精製は、制限酵素処理したDNAの精製と同様の方法で行った。ただし、DNAの脱着溶液として、水60μLを使用した。
上記工程は、試料核酸を2種(検体試料と正常試料、即ちSample AとB)及び補正核酸に対して行った。ただし、試料核酸に対しては、Cy3で標識し、異常検出(補正)核酸に対しては、Cy5で標識した。なお、本実施例では、試料核酸(Sample AとB)を標識した試料が標識試料核酸、正常試料核酸(female)を標識した試料が標識異常検出(補正)核酸に相当する。
【0160】
<精製標識化DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>
試料核酸及び異常検出(補正)核酸由来の精製した標識化DNAをそれぞれ28μLずつ1.5mLマイクロチューブに入れ、そこへ、ヒトCot−1 DNAを65μL、3M 酢酸ナトリウム(pH5.2)を12μL、−20℃のエタノールを310μL添加し、軽く攪拌した後、−80℃で10分間静置し、MX−300を用いて、15000rpm、4℃で30分間遠心を行った。遠心後、マイクロチューブを取り出し、沈殿物をとらない様に上清を捨てた後、マイクロチューブ及び沈殿物中のエタノールを蒸発させるために10分間マイクロチューブのフタを空けたまま、暗所に置いた。次に、マイクロチューブに、ハイブリバッファーMM#1を63μL、100mg/μLの酵母tRNAを9μL、20% SDSを18μL添加し、30分間暗所で静置した。30分後、沈殿物が完全に溶けるまで攪拌を行った。
この様にすることで、検体試料由来の標識試料核酸と異常検出(補正)核酸由来の標識異常検出核酸(標識補正核酸)との混合物、正常試料由来の標識試料核酸と異常検出(補正)核酸由来の標識異常検出(補正)核酸との混合物の2種の精製標識化DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液を得た。
【0161】
<核酸マイクロアレイの前処理>
核酸マイクロアレイの前処理は、比較例1の<核酸マイクロアレイの前処理>と同様の方法で行った。なお、核酸マイクロアレイとしては、BACクローンから調製したプローブDNAを日本ガイシ株式会社にてスポットした、662種のプローブDNAを3スポットずつスポットした、合計1986個のスポット数を持つ、核酸マイクロアレイを用いた。
【0162】
<プレハイブリダイゼーション>
精製標識化DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液を75℃で8分間加熱し、42℃で30分間加熱することでプレハイブリダイゼーションを行った。
【0163】
<ハイブリダイザーを用いたハイブリダイゼーション>
ハイブリダイザーは、HYBRIMASTER HS−300(アロカ株式会社)を用いた。ハイブリダイザーに核酸マイクロアレイを設置後、プレハイブリダイゼーションした溶液を核酸マイクロアレイ上に塗布した。ハイブリダイゼーション温度は、42℃、ハイブリダイゼーション時間は、48時間行った。ハイブリダイゼーションの間、ローラーで攪拌するように設定した。Cy3−Sample A DNAとCy3−Sample B DNAを含むハイブリダイゼーション用溶液を、それぞれの核酸マイクロアレイ上に滴下し、ハイブリダイザーのスタートボタンを押した。洗浄条件は、(1)2×SSCの溶液を5mL、室温、30秒間、(2)50%ホルムアミド/2×SSC(pH7.0)溶液を5mL、50℃、15分間、(3)2×SSC/0.1%SDS(pH7.0)溶液を5mL、50℃、30分間、(4)2×SSCの溶液を5mL、室温、5分間に設定し、洗浄中は、ローラーを用いて攪拌するように設定した。ハイブリダイザーによるハイブリダイゼーションを行い、スピンドライヤー−Mini
Model2350で1分間の遠心を行うことで核酸マイクロアレイを乾燥させた。
【0164】
<データ取り込み>
比較例1の<データ取り込み>と同様の方法でデータの取り込みを行った。
【0165】
<データ処理及び結果>
核酸マイクロアレイ1のCy3−Sample A由来の蛍光値と核酸マイクロアレイ2のCy3−Sample B由来の蛍光値との間で、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるスポット対間で下記の式を用いて、核酸マイクロアレイ1と2の間でアレイ上の全スポット対に対して、Log Ratio(Sample A/Sample B)を計算した。X軸に染色体番号を、Y軸にこのLog Ratio(Sample A/Sample B)値をプロットしたのが、
図21である。
すなわち、いかなる補正も行っていない場合の結果を示した。
核酸マイクロアレイ1のCy3−Sample A DNA由来の蛍光値をF1、Cy5−Female DNA由来の蛍光値をFc1、核酸マイクロアレイ2のCy3−Sample B DNA由来の蛍光値をF2、Cy5−Female DNA由来の蛍光値をFc2とし、以下の式を用いて、補正後のCy3−Sample B DNAの蛍光値を得た。
補正後のCy3−Sample B DNAの蛍光値(F2’)=F2×Fc1/Fc2
この数式を用いて、核酸マイクロアレイ1と核酸マイクロアレイ2との間で、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるすべてのスポット対間について、補正後のCy3−Sample B DNAの蛍光値を得た。
【0166】
次に、上記計算によって得た補正後のCy3−Male DNAの蛍光値を用いて、核酸マイクロアレイ上のすべてのスポット対間の比較値、すなわち、以下の数式を用いて、Log Ratio(Sample A/Sample B)を得た。
Log Ratio(Sample A/Sample B)=Log2(F1/F2’)
次に、計算したLog Ratio(Sample A/Sample B)の平均値を計算し、その平均値がゼロとなるように、すべてのLog Ratio(Sample A/Sample B)値を補正した。
X軸に染色体番号を、Y軸に同一プローブ核酸をスポットしたスポット対間で平均値を計算したLog Ratio(Sample A/Sample B)値をプロットしたのが
図22である。
次に核酸マイクロアレイ1と2との間で、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberから構成されるスポット対間で下記の式を用いて、核酸マイクロアレイ1と2間でアレイ上の全スポット対に対して、Log Ratio(Cot−1/Cot−1)を計算した。
核酸マイクロアレイ1と2の間に対するLog Ratio(Cot−1/Cot−1)=Log
2(Fc1/Fc2)
次に、上記計算結果から得たLog Ratio(Cot−1/Cot−1)の平均値を計算し、その平均値がゼロとなるように、すべてのLog Ratio(female/female)値を補正した。
上記結果から得た補正Log Ratio(Cot−1/Cot−1)値が0.6を超える補正Log Ratio(female/female)値を持つスポット対から構成されたLog Ratio(Sample A/Sample B)値を異常スポットとし、
図22のグラフ上から削除した結果が
図23である。
図21と
図22とを比較すると、標識異常検出(補正)核酸を用いた標識値の補正により、データのバラツキが大幅に減少していることがわかる。
さらに、
図22と
図23とを比較すると、標識異常検出(補正)核酸を用いた異常スポットの削除法により、更にデータのバラツキが低減していることがわかる。
以上の結果は、本実施例の方法によって、バラツキが低減され、より精度の高い核酸マイクロアレイの結果が得られることを示している。
【0167】
[実施例6] 標識異常検出核酸としてベクター由来の核酸を用いた場合の解析結果
<未精製標識試料核酸の調整>
比較例1の<未精製標識試料核酸の調整>と同様の方法で行った。
【0168】
<異常検出核酸の調整>
RPCI‐11 vectorより1クローンを選択し、LB培地に100mg/mLになるようにクロラムフェニコールを添加し、BE−43FL(タイテック社製培養器)を用いて、37℃で一晩培養した。これをQIAgen社のQIAamp miniprep kitを用いてBACを抽出した。抽出したBACをニッポンジーン社の制限酵素NotI用いて消化し、アガロース電気泳動に供した。7kb付近の断片を切り出し、MN社のNucleospinカラムを用いてアガロース中から精製した。これをインビトロジェン社T4 DNA ligaseを用いて、4℃で一晩ligationを実施し、pBAC10Lを取得した。
pBAC10Lをインビトロジェン社DH−10Bケミカルコンピテントセルに加え、氷上で30分静置後、42℃で30秒加湿し、再度氷上に2分静置した。これにSOC培地600μL添加し、100mg/mLクロラムフェニコール入りLB培地に植菌した。これを37℃で一晩培養後、QIAprep spin miniprep kitを用いてBAC DNAを抽出しベクター由来の異常検出核酸を取得した。
【0169】
<未精製標識異常検出核酸の調整>
1.7mLマイクロチューブ(プラチナチューブ、ビーエム機器株式会社)に、<異常検出核酸の調整>で調整したベクター由来の異常検出核酸を6μg(6μL)、水を5μL、2.5xRandom Primers Solutionを20μL入れ、BLOCK INCUBATOR BI−535A上にて、95℃で5分間熱処理を行った。5分後、マイクロチューブを取り出し、37℃に設定したBLOCK INCUBATOR BI−535Aの中に入れ、15分間静置した。10xdCTP Nucleotide Mixを5μL、Cy5−dCTP Bulk Pack 250nmol(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)を3μL、Exo−Klenow Fragmentを1μL添加し、37℃で2時間BLOCK INCUBATOR BI−535Aにて、標識化反応と共に増幅反応を行った。2時間後、マイクロチューブをインキュベータから取り出し、65℃に設定したBLOCK INCUBATOR BI−535A上にて、15分間加熱処理を行い、反応溶液中に含まれているExo−Klenow Fragmentを失活させた。
【0170】
<標識異常検出核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調整>
上記<未精製標識異常検出核酸の調整>で調整した未精製標識異常検出核酸Cy5−ベクターDNAを20μL、未標識Cot−1 DNA 62μL(62μg、invitrogen)を1.7mLマイクロチューブに入れ、3M酢酸ナトリウム(pH5.2)を8μL、−20℃のエタノールを360μL添加し、混合後、10分間−80℃で放置した。その後、TOMY製遠心機MX−300を用いて、15000rpmで30分間、4℃で遠心を行った。遠心後、沈殿物が遠心チューブの底にたまるので、その沈殿物を吸い込まないように注意しながら、上清を除去した。次に、遠心チューブのフタを開けたまま10分間放置し、残存するエタノールを除去した。10分後、ホルムアミドを40%、SSC、デキストラン硫酸を0.075mg/μLに調製したハイブリダイゼーション調製溶液を52μL、10%SDSを8μL添加し、30分間静置した。30分後、攪拌することで沈殿物を溶解し、その後、十分に攪拌した。
【0171】
<標識試料核酸、標識異常検出核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調整>
上記<未精製標識試料核酸の調製>で調製したFemale DNAの未精製標識試料核酸を20μL、<標識異常検出核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製>で調製した溶液を60μL、1.7mLマイクロチューブの中に入れ、十分にVortex処理を行うことで、攪拌を行った。また同様に、<未精製標識試料核酸の調製>で調製したMale DNAの未精製標識試料核酸を20μL、上記<標識異常検出核酸Cot−1 DNAを含むハイブリダイゼーション調製溶液の調製>で調製した溶液を60μL、1.7mLマイクロチューブの中に入れ、十分にVortex処理を行うことで、攪拌を行った。
【0172】
<CGHアレイの前処理>
CGHアレイの前処理は、比較例1の<核酸マイクロアレイの前処理>と同様の方法で行った。なお、CGHアレイとしては、BACクローンから調製したプローブDNAを日本ガイシ株式会社にてスポットした、712種のプローブDNAを各3セット、合計2136個のスポットを持つ、核酸マイクロアレイを用いた。
【0173】
<ハイブリダイゼーション>
比較例1の<ハイブリダイゼーション>と同様の方法で行った。
<データ取り込み>
比較例1の<データ取り込み>と同様の方法で行った。
【0174】
<データ処理及び結果>
CGHアレイ1のCy3−Male由来の蛍光値とCGHアレイ2のCy3−Female由来の蛍光値とに基づき、CGHアレイ1と2上の全スポット対について、Log Ratio(Female/Male)を計算した。
具体的には、以下の数式を用いた。
Log Ratio(Female/Male)=Log
2[(Cy3−Female由来の蛍光値)/(Cy3−male由来の蛍光値)]
各スポット対は、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberを有する、CGHアレイ1上のスポット及びCGHアレイ2上のスポットである。
X軸に染色体番号を、Y軸にこのLog Ratio(Female/Male)値をプロットしたのが、
図24である。すなわち、いかなる補正も行っていない場合の結果を示した。
CGHアレイ1のCy3−Male由来の蛍光値をF1、Cy5−ベクターDNA由来の蛍光値をFc1、CGHアレイ2のCy3−FemaleDNA由来の蛍光値をF2、Cy5−ベクターDNA由来の蛍光値をFc2とし、以下の式を用いて、補正後のCy3−FemaleDNAの蛍光値を得た。
補正後のCy3−FemaleDNAの蛍光値(F2’)=F2×Fc1÷Fc2
この数式を用いて、CGHアレイ1とCGHアレイ2上のすべてのスポット対間について、補正後のCy3−FemaleDNAの蛍光値を得た。
次に、CGHアレイ上のすべてのスポット対間の比較値、すなわち、上記計算によって得た補正後のCy3−Male DNAの蛍光値を用いて、以下の数式からLog Ratio(Female/Male)を得た。
Log Ratio(Female/Male)=Log
2(F1÷F2’)
次に、計算したLog Ratio(Female/Male)の平均値を計算し、その平均値がゼロとなるように、すべてのLog Ratio(Female/Male)値を補正した。
X軸に染色体番号を、Y軸に補正後のLog Ratio(Female/Male)値をプロットしたのが
図25である。
次にCGHアレイ1と2間でアレイ上の全スポット対に対して、下式を用いてLog Ratio(ベクターDNA/ベクターDNA)を計算した。各スポット対は、同一Block Number、同一Column Number、同一Row Numberを有する、CGHアレイ1上のスポット及びCGHアレイ2上のスポットである。
CGHアレイ1と2の間に対するLog Ratio(ベクターDNA/ベクターDNA)=Log
2(Fc1÷Fc2)
次に、上記計算結果から得たLog Ratio(Cot−1/Cot−1)の平均値を計算し、その平均値がゼロとなるように、すべてのLog Ratio(ベクターDNA/ベクターDNA)値を補正した。
上記結果から得た補正Log Ratio(ベクターDNA/ベクターDNA)値が0.6を超えるスポット対を異常スポットとし、該異常スポットのLog Ratio(Female/Male)値を
図25のグラフ上から削除した結果が
図26である。
【0175】
図24と
図25とを比較すると、標識異常検出核酸を用いた標識値の補正により、データのバラツキが大幅に減少していることがわかる。
さらに、
図25と
図26とを比較すると、標識異常検出(補正)核酸を用いた異常スポットの削除法により、更にデータのバラツキが低減していることがわかる。
以上の結果は、本実施例の方法によって、バラツキが低減され、より精度の高いCGHアレイの結果が得られることを示している。