(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内側シール部材及び前記外側シール部の少なくとも一方には、前記シールホルダに前記固定リングを取付ける時に生じる締付け力で押し潰されて前記シールホルダに圧接する圧接部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の基板ホルダ。
【背景技術】
【0002】
例えば、TAB(Tape Automated Bonding)やフリップチップにおいては、配線が形成された半導体チップの表面の所定箇所(電極)に金、銅、はんだ、或いはニッケル、更にはこれらを多層に積層した突起状接続電極(バンプ)を形成し、このバンプを介してパッケージの電極やTAB電極と電気的に接続することが広く行われている。このバンプの形成方法としては、電解めっき法、蒸着法、印刷法、ボールバンプ法といった種々の手法があるが、半導体チップのI/O数の増加、細ピッチ化に伴い、微細化が可能で性能が比較的安定している電解めっき法が多く用いられるようになってきている。
【0003】
ここで、電解めっき法は、半導体ウエハ等の基板の被めっき面を下向き(フェースダウン)にして水平に置き、めっき液を下から噴き上げてめっきを施す噴流式またはカップ式と、めっき槽の中に基板を垂直に立て、めっき液をめっき槽の下から注入しオーバーフローさせつつめっきを施すディップ式に大別される。ディップ方式を採用した電解めっき法は、めっきの品質に悪影響を与える泡の抜けが良く、フットプリントが小さいという利点を有しており、このため、めっき穴の寸法が比較的大きく、めっきにかなりの時間を要するバンプめっきに適していると考えられる。
【0004】
従来のディップ方式を採用した電解めっき装置にあっては、気泡が抜けやすくできる利点を有しており、半導体ウエハ等の基板をその端面と裏面をシールし表面(被めっき面)を露出させて着脱自在に保持する基板ホルダを備え、この基板ホルダを基板ごとめっき液中に浸漬させて基板の表面にめっきを施すようにしている。
【0005】
基板ホルダは、めっき液中に浸漬させて使用するため、基板ホルダで基板を保持した時に、基板の裏面側へめっき液が周り込まないよう、基板の外周部及び裏面を確実にシールする必要がある。このため、出願人は、固定保持部材と可動保持部材との間に基板を介在させ、可動保持部材に取付けた内側シール部材を基板の周縁部に、可動保持部材に取付けた外側シール部材を固定保持部材にそれぞれ圧接させてシールしながら基板を着脱自在に保持するようにした基板ホルダを提案している(特許文献1,2等参照)。
【0006】
この種の基板ホルダにあっては、シール部材と該シール部材を取付ける他の部材(例えばシールホルダや固定リング)との間を確実にシールして、この間から液漏れが生じることを確実に防止する必要がある。
【0007】
このため、例えば、
図1に示すように、可動保持部材100には、リング状のシールホルダ102と、該シールホルダ102に内側シール部材104と外側シール部材106を個別に取付けるための2つの固定リング108,110が備えられている。そして、シールホルダ102の上面と上側固定リング108との間に内側シール部材104を介在させつつ、ボルト112を締付けてシールホルダ102に上側固定リング108を取付けることで、内側シール部材104をシールホルダ102及び上側固定リング108に均一に密着させる。また、シールホルダ102の下面と下側固定リング110との間に外側シール部材106を介在させつつ、ボルト114を締付けてシールホルダ102に下側固定リング110を取付けることで、外側シール部材106をシールホルダ102及び下側固定リング110に均一に密着させる。これにより、シールホルダ102と内側シール部材104及びシールホルダ102と外側シール部材106との間をそれぞれシールしつつ、可動保持部材100と固定保持部材116との間に基板Wの外周部を挟持して基板Wを保持する時、内側シール部材104の内周端部が基板Wの周縁部に、外側シール部材106の外周端部が固定保持部材116の上面にそれぞれ圧接してシールするようにした構成が一般に採用されていた。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を
図2乃至
図16を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態の基板ホルダを備えためっき装置の全体配置図を示す。
図2に示すように、このめっき装置には、半導体ウエハ等の基板Wを収納したカセット10を搭載する2台のカセットテーブル12と、基板Wのオリフラやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるアライナ14と、めっき処理後の基板Wを高速回転させて乾燥させるスピンドライヤ16が備えられている。更に、この近くには、基板ホルダ18を載置して基板Wの該基板ホルダ18との着脱を行う基板着脱部20が設けられ、これらのユニットの中央には、これらの間で基板Wを搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置22が配置されている。
【0022】
そして、基板着脱部20側から順に、基板ホルダ18の保管及び一時仮置きを行うストッカ24、基板Wを純水に浸漬させるプリウェット槽26、基板Wの表面に形成したシード層等の表面の酸化膜をエッチング除去するプリソーク槽28、基板Wの表面を純水で水洗する第1の水洗槽30a、洗浄後の基板Wの水切りを行うブロー槽32、第2の水洗槽30b及びめっき槽34が順に配置されている。このめっき槽34は、オーバーフロー槽36の内部に複数の銅めっきユニット38を収納して構成され、各銅めっきユニット38は、内部に1個の基板Wを収納して、銅めっき等のめっきを施すようになっている。なお、この例では、銅めっきについて説明するが、ニッケルやはんだ、銀、更には金めっきにおいても同様であることは勿論である。
【0023】
更に、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ18を基板Wとともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送装置40が備えられている。この基板ホルダ搬送装置40は、基板着脱部20とストッカ24との間で基板Wを搬送する第1のトランスポータ42と、ストッカ24、プリウェット槽26、プリソーク槽28、水洗槽30a,30b、ブロー槽32及びめっき槽34との間で基板Wを搬送する第2のトランスポータ44を有している。なお、第2のトランスポータ44を備えることなく、第1のトランスポータ42のみを備えるようにしてもよい。
【0024】
また、この基板ホルダ搬送装置40のオーバーフロー槽36を挟んだ反対側には、各銅めっきユニット38の内部に位置してめっき液を攪拌する掻き混ぜ棒としてのパドル(図示せず)を駆動するパドル駆動装置46が配置されている。
【0025】
基板着脱部20は、レール50に沿って横方向にスライド自在な平板状の載置プレート52を備えており、この載置プレート52に2個の基板ホルダ18を水平状態で並列に載置して、この一方の基板ホルダ18と基板搬送装置22との間で基板Wの受渡しを行った後、載置プレート52を横方向にスライドさせて、他方の基板ホルダ18と基板搬送装置22との間で基板Wの受渡しを行うようになっている。
【0026】
基板ホルダ18は、
図3乃至
図10に示すように、例えば塩化ビニル製で矩形平板状の固定保持部材54と、この固定保持部材54にヒンジ56を介して開閉自在に取付けた可動保持部材58とを有している。なお、この例では、可動保持部材58を、ヒンジ56を介して開閉自在に構成した例を示しているが、例えば可動保持部材58を固定保持部材54に対峙した位置に配置し、この可動保持部材58を固定保持部材54に向けて前進させて開閉するようにしてもよい。
【0027】
この可動保持部材58は、基部60とリング状のシールホルダ62とを有し、例えば塩化ビニル製で、下記の押えリング64との滑りを良くしている。シールホルダ62の固定保持部材54と対向する面には、基板ホルダ18で基板Wを保持した時、基板Wの周縁部に圧接してここをシールする内側シール部材66が内方に突出して取付けられている。更に、シールホルダ62の固定保持部材54と対向する面には、内側シール部材66の外方位置で固定保持部材54に圧接してここをシールする外側シール部材68が取付けられている。
【0028】
内側シール部材66及び外側シール部材68は、
図7に示すように、シールホルダ62と、該シールホルダ62にボルト等の締結具69を介して取付けられる単一の固定リング70との間に挟持されてシールホルダ62に取付けられている。つまり、シールホルダ62には、内側シール部材66の外周側の膨出部66aを嵌入する外方に向けて凹んだ嵌入溝62aと、外側シール部材68の内周側の上部膨出部68aを嵌入する上方に向けて凹んだ嵌入溝62bが形成されている。そして、シールホルダ62の嵌入溝62a内に内側シール部材66の外周側の膨出部66aを、シールホルダ62の嵌入溝62b内に外側シール部材68の内周側の上部膨出部68aをそれぞれ嵌入(圧入)することで、シールホルダ62に内側シール部材66及び外側シール部材68を仮止めする。
【0029】
そして、前述のようにしてシールホルダ62に仮止めした内側シール部材66及び外側シール部材68の腹部をシールホルダ62との間に挟持できるような形状の固定リング70を、締結具(ボルト)69を締付けて、シールホルダ62に取付けることで、内側シール部材66及び外側シール部材68がシールホルダ62に取付けられている。
【0030】
このように、内側シール部材66及び外側シール部材68を1つの固定リング70によってシールホルダ62に取付けることで、固定リング70を介して内側シール部材66及び外側シール部材68をシールホルダ62に取付けるのに要するボルト等の締結具69の総数を減少させて、特にシール部材66,68の交換等のメンテナンス性を大幅に改善することができる。
【0031】
しかも、内側シール部材66の外周側の膨出部66a及び外側シール部材68の内周側の上部膨出部68aをシールホルダ62に設けた嵌入溝62a,62b内にそれぞれ嵌入(圧入)することで、内側シール部材66とシールホルダ62との間を嵌合溝62a内に嵌入(圧入)した膨出部66aで、外側シール部材68とシールホルダ62との間を嵌合溝62b内に嵌入(圧入)した上部膨出部68aでそれぞれシールすることができる。また、内側シール部材66及び外側シール部材68のシールホルダ62からの脱落を固定リング70で防止することができる。この場合、締結具69を内側シール部材66及び外側シール部材68のシールホルダ62からの脱落を防止するだけの数で済ますことができる。
【0032】
可動保持部材58のシールホルダ62の外周部には、段部が設けられ、この段部に、押えリング64がシールリングスペーサ65を介して回転自在に装着されている。なお、押えリング64は、シールホルダ62の側面に外方に突出ように取付けられた押え板72(
図4参照)により、脱出不能に装着されている。この押えリング64は、酸に対して耐食性に優れ、十分な剛性を有する、例えばチタンから構成され、シールリングスペーサ65は、押えリング64がスムーズに回転できるように、摩擦係数の低い材料、例えばPTEFで構成されている。
【0033】
押えリング64の外側方に位置して、固定保持部材54には、内方に突出する突出部を有する逆L字状のクランパ74が円周方向に沿って等間隔で立設されている。そして、押えリング64の表面及び該表面を覆うように位置するクランパ74の内方突出部の下面は、回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜するテーパ面となっている。押えリング64の円周方向に沿った複数箇所(例えば4箇所)には、上方に突出するポッチ64aが設けられている。これにより、回転ピン(図示せず)を回転させてポッチ64aを横から押し回すことにより、押えリング64を回転させることができるようになっている。
【0034】
これにより、可動保持部材58を開いた状態で、固定保持部材54の中央部に基板Wを挿入し、ヒンジ56を介して可動保持部材58を閉じ、押えリング64を時計回りに回転させて、押えリング64の外周部をクランパ74の内方突出部の内部に滑り込ませることで、押えリング64とクランパ74にそれそれぞれ設けたテーパ面を介して、固定保持部材54と可動保持部材58とを互いに締付けてロックし、押えリング64を反時計回りに回転させて逆L字状のクランパ74の突出部から引き抜くことで、このロックを解くようになっている。そして、このようにして可動保持部材58をロックした時、内側シール部材66の内周面側の下方突出部下端が基板ホルダ18で保持した基板Wの周縁部に、外側シール部材68にあっては、その外周側の下方突出部下端が固定保持部材54の表面にそれぞれ圧接し、シール部材66,68を均一に押圧して、ここをシールするようになっている。
【0035】
固定保持部材54の周縁部には、基板Wの大きさに合わせてリング状に突出し、表面が基板Wの周縁部に当接して該基板Wを支持する支持面80となる突条部82が設けられており、この突条部82の円周方向に沿った所定位置に凹部84が設けられている。
【0036】
この例では、
図6に示すように、固定保持部材54の基板Wの周縁部に沿った位置に突条部82を設け、更に、固定保持部材54の基板Wの中央部に対応する位置にも突条部82aを設け、この突条部82aの上面で基板Wの中央部を支持することで、基板Wを水平に保持し易くなるようにしている。基板が反っていたり、めっきにより基板に反りが発生したりする場合があり、このような反りのある基板を、中央部に突条部82aを設けた固定保持部材54を有する基板ホルダ18で保持すると、基板の外周部が浮いて、基板の位置異常として誤検知することがある。そこで、このような場合には、中央部の突条部82aの高さを低くするか、または中央部の突条部82aを省略することで対処することができる。
【0037】
そして、
図4に示すように、この各凹部84内に、ハンド120に設けた外部接点から延びる複数の配線にそれぞれ接続した複数(図示では12個)の導電体(電気接点)86が配置されて、固定保持部材54の支持面80上に基板Wを載置した際、この導電体86の端部が基板Wの側方で固定保持部材54の表面にばね性を有した状態で露出して、
図7に示す電気接点88の下部に接触するようになっている。
【0038】
導電体86に電気的に接続される電気接点88は、ボルト90を介して可動保持部材58の固定リング70に固着されている。この電気接点88は、板ばね形状に形成され、内側シール部材66の外方に位置して、内方に板ばね状に突出する接点部を有しており、この接点部において、その弾性力によるばね性を有して容易に屈曲し、しかも固定保持部材54と可動保持部材58で基板Wを保持した時に、電気接点88の接点部が、固定保持部材54の支持面80上に支持された基板Wの外周面に弾性的に接触するように構成されている。
【0039】
図3及び
図5に示すように、基板ホルダ18で保持される基板Wの外周部に対応する固定保持部材54と可動保持部材58との間には、ヒンジ56に最も近い側(以下、上側という)とヒンジ56から最も離れた側(以下、下側という)の上下2箇所に位置して、アライメントブロック130とアライメント溝132からなるアライメント機構134が備えられている。
図3には、下側のアライメント機構134のアライメントブロック130と、上側のアライメント機構134のアライメント溝132のみが図示されている。
【0040】
図8乃至
図10に示すように、アライメントブロック130は、固定保持部材54の上面に取付けたベース板136の一部を外方に矩形状に突出させて構成されており、アライメント溝132は、可動保持部材58のシールホルダ62に取付けた固定リング70の内周面に矩形溝状に設けられている。アライメント機構134は、可動保持部材58を閉じた時に、固定リング70の内周面に設けたアライメント溝132にベース板136に設けたアライメントブロック130が嵌合するように構成されている。この場合、アライメントブロック130の幅W
1とアライメント溝132の幅W
2の嵌合い公差でずれの許容範囲が決まり、この許容範囲を、例えば±0.06mmに抑えることができる。
【0041】
アライメントブロック130の上面の両側部にはテーパ面130aが設けられ、アライメント溝132の固定保持部材54側の両側面には面取り部132aが形成されている。これにより、可動保持部材58を閉じた時に、アライメント溝132にアライメントブロック130がスムーズに嵌合できるようになっている。
【0042】
このように、固定保持部材54と可動保持部材58との間に、固定保持部材54に設けたアライメントブロック130と可動保持部材58に設けたアライメント溝132が互い嵌合するようにしたアライメント機構134を設けることで、基板Wを載置する固定保持部材54と、シール部材66,68及び電気接点88を有する可動保持部材58と間の芯出しを行い、基板Wに対するシール部材66,68のシール位置及び電気接点88のコンタクト位置を正確にして、エッジエクスクルージョンを極力小さくすることができる。
【0043】
つまり、アライメント機構134がないと、可動保持部材58を固定保持部材54にロックするときに、固定保持部材54と可動保持部材58との間にずれが生じることがあり、このように固定保持部材54と可動保持部材58との間にずれが生じると、固定保持部材54上に搭載された基板Wと可動保持部材58に固定されているシール部材66,68及び電気接点88との間にずれが生じてしまう。この例によれば、アライメント機構134を備えて、固定保持部材54と可動保持部材58と間の芯出しを行うことで、このような弊害を防止することができる。
【0044】
なお、この例では、アライメント機構134を2つ備えているが、アライメント機構134は、少なくとも1つあればよく、上下の他に左右の計4個備えることが望ましい。特に、互いに可動保持部材と固定保持部材とを互いに分離させた分離式の基板ホルダでは、上下及び左右の計4個のアライメント機構を備えることが望ましい。
【0045】
なお、図示しないが、基板ホルダ18には、基板Wの位置決め(センタリング)機能を担う芯出スプリングと、めっき後の基板Wを基板ホルダ18から取出す際に、基板Wが内側シール部材66に引っ付いて基板Wと共に持ち上がることを防止する引っ付き防止機能が備えられている。電気接点88に、基板Wの位置決め機能と、前記引っ付き防止機能を持たせるようにしてもよい。
【0046】
可動保持部材58の開閉は、図示しないシリンダと可動保持部材58の自重によって行われる。つまり、固定保持部材54には通孔54aが設けられ、載置プレート52の上に基板ホルダ18を載置した時に該通孔54aに対向する位置にシリンダが設けられている。これにより、シリンダロッドを伸展させ、通孔54aを通じて押圧棒で可動保持部材58のシールホルダ62を上方に押上げることで可動保持部材58を開き、シリンダロッドを収縮させることで、可動保持部材58をその自重で閉じるようになっている。
【0047】
基板ホルダ18の固定保持部材54の端部には、基板ホルダ18を搬送したり、吊下げ支持したりする際の支持部となる一対の略T字状のハンド120が連接されている。そして、ストッカ24内においては、この周壁上面にハンド120の突出端部を引っ掛けることで、これを垂直に吊下げ保持し、この吊下げ保持した基板ホルダ18のハンド120を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で把持して基板ホルダ18を搬送するようになっている。なお、プリウェット槽26、プリソーク槽28、水洗槽30a,30b、ブロー槽32及びめっき槽34内においても、基板ホルダ18は、ハンド120を介してそれらの周壁に吊下げ保持される。
【0048】
このように構成しためっき装置による一連のめっき処理を説明する。先ず、カセットテーブル12に搭載したカセット10から、基板搬送装置22で基板を1枚取出し、アライナ14に載せてオリフラやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。このアライナ14で方向を合わせた基板を基板搬送装置22で基板着脱部20まで搬送する。
【0049】
基板着脱部20においては、ストッカ24内に収容されていた基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で2基同時に把持して、基板着脱部20まで搬送する。そして、基板ホルダ18を水平な状態として下降させ、これによって、2基の基板ホルダ18を基板着脱部20の載置プレート52の上に同時に載置し、シリンダを作動させて基板ホルダ18の可動保持部材58を開いた状態にしておく。
【0050】
この状態で、中央側に位置する基板ホルダ18に基板搬送装置22で搬送した基板を挿入し、シリンダを逆作動させて可動保持部材58を閉じ、しかる後、ロック・アンロック機構で可動保持部材58をロックする。このようにロック・アンロック機構で可動保持部材58をロックするとき、前述のように、固定保持部材54に設けたアライメントブロック130と可動保持部材58に設けたアライメント溝132が互い嵌合しているので、固定保持部材54と可動保持部材58との間にずれが生じることが防止される。そして、一方の基板ホルダ18への基板の装着が完了した後、載置プレート52を横方向にスライドさせて、同様にして、他方の基板ホルダ18に基板を装着し、しかる後、載置プレート52を元の位置に戻す。
【0051】
これにより、基板Wは、そのめっき処理を行う面を基板ホルダ18の開口部から露出させた状態で、周囲をシール部材66,68でめっき液が浸入しないようにシールされ、シール部材66,68によってめっき液に触れない部分において複数の電気接点88と電気的に導通するように固定される。ここで、電気接点88からは基板ホルダ18のハンド120まで配線が繋がっており、ハンド120の部分に電源を接続することにより基板のシード層等に給電することができる。なお、基板着脱部20は、基板ホルダ18に装着された基板Wと電気接点88との接触状態を確認するセンサを有している。このセンサは、基板Wと電気接点88の接触状態が不良であると判断した時に、その信号をコントローラ(図示せず)に入力する。
【0052】
次に、基板Wを装着した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で2基同時に把持し、ストッカ24まで搬送する。そして、基板ホルダ18を垂直な状態となして下降させ、これによって、2基の基板ホルダ18をストッカ24に吊下げ保持(仮置き)する。これらの基板搬送装置22、基板着脱部20及び基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42においては、前記作業を順次繰り返して、ストッカ24内に収容された基板ホルダ18に順次基板を装着し、ストッカ24の所定の位置に順次吊り下げ保持(仮置き)する。
【0053】
なお、図示しないが、2基の基板ホルダ18を水平に載置する基板着脱部20の代わりに、トランスポータ42で搬送された2基の基板ホルダを鉛直に支持するフィキシングステーションを備え、基板ホルダを鉛直に保持したフィキシングステーションを90°回転させて基板ホルダを水平な状態となすようにしてもよい。
【0054】
また、この例では、1つのロック・アンロック機構を備えた例を示しているが、2つのロック・アンロック機構を備え、互いに隣接した位置に配置される2基の基板ホルダのロック・アンロック機構によりロック・アンロックを同時に行うようにしてもよい。
【0055】
一方、基板ホルダ搬送装置40の他方のトランスポータ44にあっては、基板を装着しストッカ24に仮置きした基板ホルダ18を2基同時に把持し、プリウェット槽26まで搬送して下降させ、これによって、2基の基板ホルダ18をプリウェット槽26内に入れる。
【0056】
なお、この時、基板着脱部20に備えられていた基板と電気接点88との接触状態を確認するセンサで、この接触状態が不良であると判断した基板を収納した基板ホルダ18は、ストッカ24に仮置きしたままにしておく。これにより、基板ホルダ18に基板を装着した時に該基板と電気接点88との間に接触不良が生じても、装置を停止させることなく、めっき作業を継続することができる。この接触不良を生じた基板にはめっき処理が施されないが、この場合には、カセットを戻した後にめっき未処理の基板をカセットから排除することで、これに対処することができる。
【0057】
次に、この基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、プリソーク槽28に搬送し、プリソーク槽28で酸化膜をエッチングし、清浄な金属面を露出させる。更に、この基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、水洗槽30aに搬送し、この水洗槽30aに入れた純水で基板の表面を水洗する。
【0058】
水洗が終了した基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、めっき液を満たしためっき槽34に搬送し、めっきユニット38に吊り下げ保持する。基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ44は、上記作業を順次繰り返し行って、基板を装着した基板ホルダ18を順次めっき槽34のめっきユニット38に搬送して所定の位置に吊下げ保持する。
【0059】
全ての基板ホルダ18の吊下げ保持が完了した後、オーバーフロー槽36のめっき液を循環させ、かつ、オーバーフローさせながら、めっき槽34内のアノード(図示せず)と基板Wとの間にめっき電圧を印加し、同時にパドル駆動装置46によりパドルを基板の表面と平行に往復移動させることで、基板の表面にめっきを施す。この時、基板ホルダ18は、めっきユニット38の上部でハンド120により吊り下げられて固定され、めっき電源から導電体86及び電気接点88を通して、シード層等に給電される。
【0060】
めっきが終了した後、めっき電源の印加、めっき液の供給及びパドル往復運動を停止し、めっき後の基板Wを装着した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ44で2基同時に把持し、前述と同様にして、水洗槽30bまで搬送し、この水洗槽30bに入れた純水に浸漬させて基板の表面を純水洗浄する。次に、この基板Wを装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、ブロー槽32に搬送し、ここで、エアーの吹き付けによって基板ホルダ18に付着した水滴を除去する。しかる後、この基板Wを装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、ストッカ24の所定の位置に戻して吊下げ保持する。
【0061】
基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ44は、上記作業を順次繰り返し、めっきが終了した基板を装着した基板ホルダ18を順次ストッカ24の所定の位置に戻して吊下げ保持する。
【0062】
一方、基板ホルダ搬送装置40の他方のトランスポータ42にあっては、めっき処理後の基板Wを装着しストッカ24に戻した基板ホルダ18を2基同時に把持し、前記と同様にして、基板着脱部20の載置プレート52の上に載置する。この時、基板着脱部20に備えられていた基板と電気接点88との接触状態を確認するセンサで、この接触状態が不良であると判断した基板を装着しストッカ24に仮置きしたままの基板ホルダ18も同時に搬送して載置プレート52の上に載置する。
【0063】
そして、中央側に位置する基板ホルダ18の可動保持部材58のロックを、ロック・アンロック機構を介して解き、シリンダを作動させて可動保持部材58を開く。この時、前述のように、基板Wが可動保持部材58にくっついたまま可動保持部材58が開くことが防止される。この状態で、基板ホルダ18内のめっき処理後の基板Wを基板搬送装置22で取出して、スピンドライヤ16に運び、このスピンドライヤ16の高速回転によってスピンドライ(水切り)した基板を基板搬送装置22でカセット10に戻す。
【0064】
そして、一方の基板ホルダ18に装着した基板をカセット10に戻した後、或いはこれと並行して、載置プレート52を横方向にスライドさせて、同様にして、他方の基板ホルダ18に装着した基板をスピンドライしてカセット10に戻す。
【0065】
載置プレート52を元の状態に戻した後、基板を取出した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で2基同時に把持し、前記と同様にして、これをストッカ24の所定の場所に戻す。しかる後、めっき処理後の基板を装着しストッカ24に戻した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40で2基同時に把持し、前記と同様にして、基板着脱部20の載置プレート52の上に載置して、前記と同様な作業を繰り返す。
【0066】
そして、めっき処理後の基板を装着しストッカ24に戻した基板ホルダ18から全ての基板を取出し、スピンドライしてカセット10に戻して作業を完了する。
【0067】
図11は、本発明の他の実施形態の基板ホルダの要部を拡大して示す要部拡大断面図である。この例において、内側シール部材66のシールホルダ62との当接面(上面)に2条のシール用突起66bを、外側シール部材68のシールホルダ62との当接面(上面)にも2条のシール用突起68bをそれぞれ設けている。そして、締結具(ボルト)69を締付ける時の固定リング70のシールホルダ62に向けた移動(上昇)によって、内側シール部材66のシールホルダ62との当接面(上面)に設けたシール用突起66bと、外側シール部材68のシールホルダ62との当接面(上面)に設けたシール用突起68bをそれぞれ押し潰し、これによって、内側シール部材66とシールホルダ62と間をシール用突起66bで、外側シール部材68とシールホルダ62との間をシール用突起68bでそれぞれシールするようにしている。
【0068】
この例の場合、内側シール部材66と外側シール部材68は、それらの腹部において、シールホルダ62と固定リング70との間に挟持されて固定される。
【0069】
図12は、本発明の更に他の実施形態の基板ホルダの要部を拡大して示す要部拡大断面図である。この例において、内側シール部材66の外周側における下方延出部の上肩部は、シールホルダ62の傾斜部62cに圧接する圧接部66cとなり、外側シール部材68の内周側の上方延出部上端は、シールホルダ62の水平部62dに圧接する圧接部68cとなるようになっている。
【0070】
この例にあっては、前述の
図11に示す例とほぼ同様に、締結具(ボルト)69を締付ける時の固定リング70のシールホルダ62に向けた移動(上昇)によって、内側シール部材66の圧接部66cをシールホルダ62の傾斜部62cに圧接させてシールホルダ62と内側シール部材66との間をシールし、外側シール部材68の圧接部68cをシールホルダ62の水平部62dに圧接させてシールホルダ62と外側シール部材66との間をシールするようになっている。
【0071】
この例の場合、内側シール部材66の上面側に位置して該内側シール部材66を包囲するシールホルダ62の被覆厚さTをより薄くすることができる。これにより、基板ホルダ18の軽量化を図るとともに、基板ホルダ18で保持した基板Wが形成する平面からアノード側に突出する部分の厚みをより小さくして、例えばめっき槽内のめっき液を攪拌するパドルを基板により近づけ、これによって、基板Wのより近傍でパドルによるめっき液のより強い攪拌を行うことができる。
【0072】
図13は、本発明の更に他の実施形態の基板ホルダの要部を拡大して示す要部拡大断面図である。この例において、内側シール部材66は、
図7に示す例とほぼ同様に、その外周側の膨出部66aをシールホルダ62に設けた嵌入溝62a内に嵌入させ、この嵌入溝62a内に位置する膨出部66aでシールホルダ62と内側シール部材66との間をシールし、外側シール部材68は、
図12に示す例とほぼ同様に、その内周側の上方延出部上端に設けた圧接部68cをシールホルダ62の水平部62dに圧接させて、シールホルダ62と外側シール部材68との間をシールするようにしている。
【0073】
図14は、本発明の更に他の実施形態の基板ホルダの要部を拡大して示す要部拡大断面図である。この例において、内側シール部材66は、
図11に示す例とほぼ同様に、そのシールホルダ62との当接面に設けたシール用突起66bをシールホルダ62に圧接させて、シールホルダ62と内側シール部材66との間をシールし、外側シール部材68は、
図12に示す例とほぼ同様に、その内周側の上方延出部上端に設けた圧接部68cをシールホルダ62の水平部62dに圧接させて、シールホルダ62と外側シール部材68との間をシールするようにしている。
【0074】
図15は、本発明の更に他の実施形態の基板ホルダの要部を拡大して示す要部拡大断面図である。この例において、内側シール部材66と外側シール部材68は、円筒状の連結部92を介して一体に成形されてシールホルダ62と固定リング70との間に挟持されてシールホルダ62に取付けられている。各締結具69の周囲には、締結具69の外周面と該締結具69が貫通する貫通穴の内周面との間をシールするシールリング94が配置されている。
【0075】
このように、内側シール部材66と外側シール部材68とを円筒状の連結部92を介して一体に成形した場合、一体成形されたシール部材の内周面側(固定リング70と接する側)は、内側シール部材66が基板ホルダ18で保持された基板Wの外周部に、外側シール部材68が固定保持部材54にそれぞれ圧接してシールされているため、一体成形されたシール部材の外周面側(シールホルダ62と接する側)にめっき液が入り込んだとしても内周面側には流入しない。このため、一体成形された内側シール部材66及び外側シール部材68とシールホルダ62との間のシール機構は不要となる。このため、部品点数を削減するとともに、シール部材66,68とシールホルダ62との間に設けられるシール機構を無くして、構造の簡素化を図ることができる。
【0076】
図16は、本発明の更に他の実施形態の基板ホルダの要部を拡大して示す要部拡大断面図である。この例において、内側シール部材66の外周側の下方延出部下端を横方向膨出部66dとなし、シールホルダ62の該横方向膨出部66dに対応する位置に嵌入溝62eを、固定リング70の該横方向膨出部66dに対応する位置に嵌入溝70aをそれぞれ設けている。外側シール部材68にあってもほぼ同様に、外側シール部材68の内周側の上方延出部上端を横方向膨出部68dとなし、シールホルダ62の該横方向膨出部68dに対応する位置に嵌入溝62fを、固定リング70の該横方向膨出部68dに対応する位置に嵌入溝70bをそれぞれ設けている。そして、内側シール部材66の横方向膨出部66dをシールホルダ62の嵌入溝62e及び固定リング70の嵌入溝70a内に位置させることで、シールホルダ62と内側シール部材66との間をシールし、外側シール部材68の横方向膨出部68dをシールホルダ62の嵌入溝62f及び固定リング70の嵌入溝70b内に位置させることで、シールホルダ62と外側シール部材68との間をシールするようにしている。
【0077】
この例の場合、締結具69を介して、シールホルダ62に内側シール部材66及び外側シール部材68を取付けた時、シールホルダ62と内側シール部材66との間、及びシールホルダ62と外側シール部材68との間には、基本的に鉛直方向の力が作用しないので、締結具69の本数を、例えば2〜4本程度の最小限となすことができる。
【0078】
更に、この例では、前述の
図12に示す例と同様に、内側シール部材66の上面側に位置して該内側シール部材66を包囲するシールホルダ62の被覆厚さT(
図12参照)をより薄くすることができる。
【0079】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことはいうまでもない。