特許第5766283号(P5766283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5766283改善された色安定性を有する吸水性ポリマー粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766283
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】改善された色安定性を有する吸水性ポリマー粒子
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20150730BHJP
   C08L 101/08 20060101ALI20150730BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20150730BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20150730BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20150730BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   C08J3/12 ACER
   C08L101/08
   A61F13/18 307B
   A41B13/02 D
   A61F13/18 360
   A41B13/02 S
【請求項の数】13
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-514660(P2013-514660)
(86)(22)【出願日】2011年6月10日
(65)【公表番号】特表2013-530281(P2013-530281A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2011059710
(87)【国際公開番号】WO2011157656
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年6月9日
(31)【優先権主張番号】10165823.5
(32)【優先日】2010年6月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト ヘアファート
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マーク エリオット
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−516883(JP,A)
【文献】 特表平07−507825(JP,A)
【文献】 特開平07−310095(JP,A)
【文献】 特表2008−518068(JP,A)
【文献】 特開昭52−038551(JP,A)
【文献】 特表2008−508232(JP,A)
【文献】 特開平11−043508(JP,A)
【文献】 特開2008−018328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28;99/00
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
A61F 13/15,13/472,13/49,13/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1つの、エチレン系不飽和の、酸基を含有するモノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)少なくとも1つの開始剤、
d)任意に、a)で挙げられたモノマーと共重合可能な1以上のエチレン系不飽和モノマー、及び
e)任意に、1以上の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによる、吸水性ポリマー粒子の製造法であって、以下:
i)該モノマー溶液を重合させてポリマーゲルにする工程、
ii)任意に、得られたポリマーゲルを破砕する工程、
iii)該ポリマーゲルを乾燥させる工程、
iv)乾燥させたポリマーゲルを粉砕及び分級してポリマー粒子にする工程、及び
v)任意に、分級したポリマー粒子を熱により表面後架橋させる工程
を含む方法において、少なくとも1つの蛍光増白剤を、工程iv)の後で、かつ工程v)の前、間又は後に添加することを特徴とする方法。
【請求項2】
蛍光増白剤を、工程v)の後に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
蛍光増白剤が、一般式(1)〜(8)
【化1】
【化2】
[式中、
1は、それぞれ互いに独立して、式
【化3】
の基を意味し;
2は、それぞれ互いに独立して、水素、式
【化4】
の基を意味し;
3は、非置換もしくは置換されたC1〜C12−アルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基を意味し;
4は、それぞれ互いに独立して、M、又は、非置換もしくは置換されたC1〜C12−アルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基を意味し;
5は、水素、非置換もしくは置換されたC1〜C12−アルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基、又は、−NR78を意味し;
ここで、R7及びR8は、互いに独立して、水素、又は、非置換もしくは置換されたC1〜C12−アルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基を意味するか、又は、R7及びR8は、窒素原子と一緒に、複素環式環、特にモルホリノ基又はピペリジノ基を形成し、
6は、水素、又は、非置換もしくは置換されたC1〜C12−アルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基を意味し;
9及びR10は、互いに独立して、水素、−C1〜C4−アルキル、フェニル、又は、式
【化5】
の基を意味し;
11は、水素、−Cl、又は、SO3Mを意味し;
12は、それぞれ互いに独立して、−CN、−SO3M、−S(C1〜C4−アルキル)2、又は、−S(アリール)2を意味し;
13は、それぞれ互いに独立して、水素、−SO3M、−O−(C1〜C4−アルキル)、−CN、−Cl、−COO−(C1〜C4−アルキル)、又は、−CON(C1〜C4−アルキル)2を意味し;
14は、それぞれ互いに独立して、水素、−C1〜C4−アルキル、−Cl、又は、−SO3Mを意味し;
15及びR16は、互いに独立して、水素、−C1〜C4−アルキル、−SO3M、−Cl、又は、−O−(C1〜C4−アルキル)を意味し;
17は、それぞれ互いに独立して、水素、又は、−C1〜C4−アルキルを意味し;
18は、水素、−C1〜C4−アルキル、−CN、−Cl、−COO−(C1〜C4−アルキル)、−CON(C1〜C4−アルキル)2、アリール、又は、−O−アリールを意味し;
Bは、
【化6】
を意味し;
Mは、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノ−C1〜C4−アルキルアンモニウム、ジ−C1〜C4−アルキルアンモニウム、トリ−C1〜C4−アルキルアンモニウム、テトラ−C1〜C4−アルキルアンモニウム、モノ−C1〜C4−ヒドロキシアルキルアンモニウム、ジ−C1〜C4−ヒドロキシアルキルアンモニウム、トリ−C1〜C4−ヒドロキシアルキルアンモニウム、又は、C1〜C4−アルキル基とC1〜C4−ヒドロキシアルキル基とからの混合物で二置換もしくは三置換されたアンモニウムを意味し;かつ、
1、n2及びn3は、それぞれ互いに独立して、0又は1を意味する]
の化合物である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
蛍光増白剤を、吸水性ポリマー粒子に対して0.001〜2質量%添加する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
蛍光増白剤が、270〜400nmの範囲内の電磁波を吸収し、かつ、400〜450nmの範囲内の電磁波を放出する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
さらに少なくとも1つの色安定剤を添加する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
色安定剤が、次亜リン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸二ナトリウム、カルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]、トリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット、グリオキシル酸ナトリウム、及び、1−ヒドロキシ−1,1’−エチリデンジホスホン酸からなる群から選択されている、請求項に記載の方法。
【請求項8】
色安定剤を、吸水性ポリマー粒子に対して0.001〜5質量%添加する、請求項又はに記載の方法。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法により得られる、少なくとも1つの蛍光増白剤で被覆されている吸水性ポリマー粒子。
【請求項10】
以下:
a’)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1つの重合された、エチレン系不飽和の、酸基を含有するモノマー、
b’)少なくとも1つの重合された架橋剤、
c’)任意に、a)で挙げられたモノマーと共重合された1以上のエチレン系不飽和モノマー、及び
d’)任意に、1以上の水溶性ポリマー
を含有する吸水性ポリマー粒子であって、少なくとも1つの蛍光増白剤を含有し、かつ少なくとも1つの蛍光増白剤で被覆されている、吸水性ポリマー粒子。
【請求項11】
吸水性ポリマー粒子が、さらに少なくとも1つの色安定剤を含有しているか、又は、少なくとも1つの色安定剤で被覆されている、請求項10に記載のポリマー粒子。
【請求項12】
吸水性ポリマー粒子が、少なくとも15g/gの遠心分離保持力を有する、請求項から1までのいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項13】
請求項から1までのいずれか1項に記載の吸水性ポリマー粒子を含有する、衛生用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された色安定性を有する吸水性ポリマー粒子及びその製造法に関し、その際、該吸水性ポリマー粒子は少なくとも1つの蛍光増白剤を含有する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子は、おむつ、タンポン、生理用ナプキン及びその他の衛生用品の製造に使用されるが、農業園芸における保水剤としても使用される。吸水性ポリマー粒子は、しばしば、「吸水性樹脂」、「高吸収体」、「高吸収性ポリマー」、「吸水性ポリマー」、「吸収性ゲル化材料」、「親水性ポリマー」、「ヒドロゲル」又は「高吸収剤」とも称される。
【0003】
吸水性ポリマー粒子の製造は、論文"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F. L. Buchholz及びA. T. Graham, Wiley-VCH, 1998, 第71頁〜第103頁に記載されている。
【0004】
吸水性ポリマー粒子の特性は、例えば架橋剤の使用量により調節可能である。架橋剤量が増加するにつれて、遠心分離保持力(Zentrifugenretentionskapazitaet、CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2の圧力下での吸収性(AUL0.3psi)は最大値を通過する。
【0005】
例えば液体通過性(SFC)や49.2g/cm2の圧力下での吸収性(AUL0.7psi)といった応用特性を改善するために、吸水性ポリマー粒子を一般的に表面後架橋させる。これにより粒子表面の架橋度が上昇し、それによって49.2g/cm2の圧力下での吸収性(AUL0.7psi)と遠心分離保持力(CRC)とを少なくとも部分的に切り離すことができる。この表面後架橋は、水性ゲル相中で行うことができる。しかしながら好ましくは、乾燥させ、粉砕し、かつ篩別したポリマー粒子(ベースポリマー)を表面上で表面後架橋剤でコーティングし、熱により表面後架橋させる。これに適した架橋剤は、吸水性ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成し得る化合物である。
【0006】
吸水性ポリマー粒子においてしばしば生じる問題の一つが、比較的高い温度又は比較的高い空気湿度のもとで貯蔵した場合に生じる呈色である。このような条件は、しばしば熱帯もしくは亜熱帯の国々において貯蔵した場合に生じる。そのような条件下では、吸水性ポリマー粒子は黄変傾向にあり、それどころか該ポリマー粒子は、褐色又はほぼ黒色に呈色することさえある。本来は無色である吸水性ポリマー粒子のこのような呈色は、見映えが良くなく望ましくない。それというのも、このような呈色は望ましい薄い衛生用品において顕著であり、消費者は見映えの良くない衛生用品を嫌うためである。呈色の原因は完全には解明されていないが、重合からの残留モノマーなどの反応性化合物、かなりの開始剤の使用、モノマーもしくは中和剤の汚染、表面後架橋剤又は使用されるモノマーの安定剤がその一端を担っているものと考えられる。
【0007】
WO00/55245A1によれば、吸水性ポリマー粒子の色安定性を、無機還元剤の添加により改善することができる。無機還元剤を、例えば重合後にポリマーゲルに、又は、熱による表面後架橋の後に添加することができる。
【0008】
WO2006/058682A1は、熱による表面後架橋の際に酸素が存在することが呈色を招くことを教示している。
【0009】
WO2004/084962A1によれば、重合開始剤としてスルフィン酸を使用することが、得られる吸水性ポリマー粒子の色安定性に有利に作用する。
【0010】
WO2008/092842A1及びWO2008/092843A1は、同じ目的で、塩基性塩での被覆を開示している。
【0011】
WO2009/060062A1によれば、吸水性ポリマー粒子の色安定性を、スルホン酸及びその塩を用いて向上させることができ、その際、スルホン酸ないしその塩は、好ましくは表面後架橋の直前に添加される。
【0012】
WO03/014172A2には、吸水性ポリマー粒子の製造法が記載されており、その際、特にアルデヒドの存在が呈色を招くとされているため、使用されるアクリル酸は予めアルデヒド捕捉剤で処理されている。
【0013】
本発明の課題は、改善された色安定性を有する吸水性ポリマー粒子の製造法を提供することであった。
【0014】
前記課題は、以下:
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1つの、エチレン系不飽和の、酸基を含有するモノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)少なくとも1つの開始剤、
d)任意に、a)で挙げられたモノマーと共重合可能な1以上のエチレン系不飽和モノマー、及び
e)任意に、1以上の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによる、吸水性ポリマー粒子の製造法であって、以下:
i)該モノマー溶液を重合させてポリマーゲルにする工程、
ii)任意に、得られたポリマーゲルを破砕する工程、
iii)該ポリマーゲルを乾燥させる工程、
iv)乾燥させたポリマーゲルを粉砕及び分級してポリマー粒子にする工程、及び
v)任意に、分級したポリマー粒子を熱により表面後架橋させる工程
を含む方法において、工程i)〜v)のうちの一つの、前、間又は後に、少なくとも1つの蛍光増白剤を添加することを特徴とする方法により解決された。
【0015】
好ましくは、蛍光増白剤を、工程iv)の後で、かつ工程v)の前、間又は後に添加する。極めて特に好ましくは、蛍光増白剤を工程v)の後に添加する。
【0016】
蛍光増白剤(漂白剤)は、人の目には不可視の紫外線を、人の目に可視のより長波の光に変換することにより増白性を生じさせる化学化合物である。その際、通常は、太陽光から吸収された紫外光が、薄青色の蛍光として、即ち黄変の補色で、再度放出される。
【0017】
好ましい蛍光増白剤は、270〜400nmの範囲内の電磁波を吸収し、かつ、400〜450nmの範囲内の電磁波を放出する。
【0018】
適した蛍光増白剤は、4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジスルホン酸、4,4’−ジスチリルビフェニレン、クマリン、ジヒドロキノリノン、1,3−ジアリールピラゾリン、ナフタルイミド、エチレン基を介して結合した、ベンゾオキサゾール系、ベンズイソキサゾール系、及びベンゾイミダゾール系、並びに、複素環により置換されたピレン誘導体である。
【0019】
好ましい蛍光増白剤は、一般式(1)〜(8)
【化1】
【0020】
【化2】
[式中、
1は、それぞれ互いに独立して、式
【化3】
の基を意味し;
2は、それぞれ互いに独立して、水素、式
【化4】
の基を意味し;
3は、非置換もしくは置換されたアルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基を意味し;
4は、それぞれ互いに独立して、M、又は、非置換もしくは置換されたアルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基を意味し;
5は、水素、非置換もしくは置換されたアルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基、又は、−NR78を意味し;
ここで、R7及びR8は、互いに独立して、水素、又は、非置換もしくは置換されたアルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基を意味するか、又は、R7及びR8は、窒素原子と一緒に、複素環式環、特にモルホリノ基又はピペリジノ基を形成し、
6は、水素、又は、非置換もしくは置換されたアルキル基、又は、非置換もしくは置換されたアリール基を意味し;
9及びR10は、互いに独立して、水素、−C1〜C4−アルキル、フェニル、又は、式
【化5】
の基を意味し;
11は、水素、−Cl、又は、SO3Mを意味し;
12は、それぞれ互いに独立して、−CN、−SO3M、−S(C1〜C4−アルキル)2、又は、−S(アリール)2を意味し;
13は、それぞれ互いに独立して、水素、−SO3M、−O−(C1〜C4−アルキル)、−CN、−Cl、−COO−(C1〜C4−アルキル)、又は、−CON(C1〜C4−アルキル)2を意味し;
14は、それぞれ互いに独立して、水素、−C1〜C4−アルキル、−Cl、又は、−SO3Mを意味し;
15及びR16は、互いに独立して、水素、−C1〜C4−アルキル、−SO3M、−Cl、又は、−O−(C1〜C4−アルキル)を意味し;
17は、それぞれ互いに独立して、水素、又は、−C1〜C4−アルキルを意味し;
18は、水素、−C1〜C4−アルキル、−CN、−Cl、−COO−(C1〜C4−アルキル)、−CON(C1〜C4−アルキル)2、アリール、又は、−O−アリールを意味し;
Bは、
【化6】
を意味し;
Mは、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノ−C1〜C4−アルキルアンモニウム、ジ−C1〜C4−アルキルアンモニウム、トリ−C1〜C4−アルキルアンモニウム、テトラ−C1〜C4−アルキルアンモニウム、モノ−C1〜C4−ヒドロキシアルキルアンモニウム、ジ−C1〜C4−ヒドロキシアルキルアンモニウム、トリ−C1〜C4−ヒドロキシアルキルアンモニウム、又は、C1〜C4−アルキル基とC1〜C4−ヒドロキシアルキル基とからの混合物で二置換もしくは三置換されたアンモニウムを意味し;かつ、
1、n2及びn3は、それぞれ互いに独立して、0又は1を意味する]
の化合物である。
【0021】
3、R4、R5、R6、R7及びR8において、(非置換もしくは)置換されたアルキル基は、それぞれ、C1〜C12−アルキル、好ましくはC1〜C4−アルキルを意味する。該アルキル基は分枝鎖状であっても非分枝鎖状であってもよく、非置換であっても、ハロゲン、例えばフッ素、塩素又は臭素で、C1〜C4−アルコキシ、例えばメトキシ又はエトキシで、フェニルで、カルボキシルで、C1〜C4−アルコキシカルボニル、例えばアセチルで、モノ−C1〜C4−アルキルアミノで、ジ−C1〜C4−アルキルアミノで、又は−SO3Mで置換されていてもよい。
【0022】
3、R4、R5、R6、R7、R8、R12及びR18において、(非置換もしくは)置換されたアリール基は、好ましくはフェニル基又はナフチル基を意味する。該アリール基は、非置換であっても、C1〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルで、C1〜C4−アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ又はt−ブトキシで、ハロゲン、例えばフッ素、塩素又は臭素で、C2〜C5−アルカノイルアミノ、例えばアセチルアミノ、プロピオニルアミノ又はブチリルアミノで、ニトロで、−SO3Mで、又はジ−C1〜C4−アルキルアミノで置換されていてもよい。
【0023】
一般式(1)〜(8)の化合物は、好ましくは中和された形で存在しており、即ち、好ましくは、Mはアルカリ金属であり、特に好ましくは、ナトリウム又はカリウムである。
【0024】
極めて特に好ましい蛍光増白剤は、以下の化合物である:
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】
吸水性ポリマー粒子に対する蛍光増白剤の使用量は、好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.005〜1質量%、極めて特に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0030】
本発明は、蛍光増白剤の添加が、特に温暖で湿った貯蔵に際する吸水性ポリマー粒子の呈色を効果的に抑制し得るという知見に基づいている。
【0031】
本発明の好ましい一実施態様において、さらに少なくとも1つの色安定剤を添加する。該色安定剤を、同様に、工程i)〜v)のうちの一つの、前、間又は後に、その上、蛍光増白剤の添加とは無関係に添加することができる。
【0032】
好ましくは、この少なくとも1つの色安定剤を、工程iv)の後で、かつ工程v)の前、間又は後に添加する。極めて特に好ましくは、この少なくとも1つの色安定剤を、工程v)の後に添加する。
【0033】
適した色安定剤は、全ての公知の酸化防止剤及び還元剤、並びに還元剤を放出する化合物である。
【0034】
適した酸化防止剤は、立体障害フェノール、例えば、2,6−ビス−tert−ブチル−メチルフェノール、又は、カルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]、又は、有機ホスフィット、例えば、トリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィットである。
【0035】
適した還元剤は、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、グリオキシル酸ナトリウム、及びグリオキシル酸カリウムである。
【0036】
適した還元剤を放出する化合物は、グリオキシル酸の誘導体、例えば2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸二ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸二カリウム、2−ヒドロキシ−2−ホスホノ酢酸二ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−ホスホノ酢酸二カリウム、2,2−ジメトキシ酢酸ナトリウム、2,2−ジメトキシ酢酸カリウム、2,2−ジエトキシ酢酸ナトリウム、及び2,2−ジエトキシ酢酸カリウムである。
【0037】
しかしながら、多価金属カチオンの塩基性塩、例えば水酸化カルシウム、及び、ヒドロキシホスホン酸、例えば1−ヒドロキシ−1,1’−エチリデンジホスホン酸、並びにその部分的に中和された塩及び完全に中和された塩も、適した色安定剤である。
【0038】
吸水性ポリマー粒子に対する色安定剤の使用量は、好ましくは0.001〜5質量%、特に好ましくは0.005〜2質量%、極めて特に好ましくは0.01〜1質量%である。
【0039】
色安定剤の添加によって、吸水性ポリマー粒子の呈色傾向をさらに抑制することができる。
【0040】
以下に、吸水性ポリマー粒子の製造について詳説する:
吸水性ポリマー粒子は、モノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることにより製造され、かつ通常は非水溶性である。
【0041】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、即ち、23℃での水中での溶解度は、典型的には少なくとも1g/100g水、好ましくは少なくとも5g/100g水、特に好ましくは少なくとも25g/100g水、極めて特に好ましくは少なくとも35g/100g水である。
【0042】
適したモノマーa)は、例えばエチレン系不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。極めて好ましいのは、アクリル酸である。
【0043】
その他の適したモノマーa)は、例えばエチレン系不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0044】
不純物は重合に重大な影響を及ぼし得る。従って、使用する原材料が可能な限り高い純度を有することが望ましい。従って、モノマーa)を特別に精製することがしばしば好ましい。適した精製方法は、例えばWO2002/055469A1、WO2003/078378A1及びWO2004/035514A1に記載されている。適したモノマーa)の一つは、例えば、WO2004/035514A1に従って精製された、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を含有するアクリル酸である。
【0045】
モノマーa)の全量に対するアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%、極めて特に好ましくは少なくとも95モル%である。
【0046】
モノマーa)は、通常は重合阻害剤、好ましくはヒドロキノン半エーテルを、貯蔵安定剤として含む。
【0047】
モノマー溶液は、ヒドロキノン半エーテルを、中和されていないモノマーa)に対してそれぞれ、好ましくは250質量ppmまで、好ましくは最高で130質量ppm、特に好ましくは最高で70質量ppm、好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、特に約50質量ppm含有する。例えば、モノマー溶液の製造のために、ヒドロキノン半エーテルの相応の含有量を有する、エチレン系不飽和の、酸基を含有するモノマーを使用することができる。
【0048】
好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はアルファ−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0049】
適した架橋剤b)は、架橋に適した基を少なくとも2個有する化合物である。このような基は、例えば、ポリマー鎖へのラジカル重合導入が可能なエチレン系不飽和基、及び、モノマーa)の酸基と共有結合を形成し得る官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成し得る多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0050】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマー網目構造へのラジカル重合導入が可能な少なくとも2個の重合性基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(例えばEP0530438A1に記載)、ジアクリレート及びトリアクリレート(例えばEP0547847A1、EP0559476A1、EP0632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリレート基以外にさらなるエチレン系不飽和基を含有する混合型のアクリレート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/032962A2に記載)である。
【0051】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15回エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0052】
極めて特に好ましい架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、グリセリンを複数回エトキシ化及び/又はプロポキシ化し、アクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したジアクリレート及び/又はトリアクリレートである。3〜10回エトキシ化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートが特に好ましい。1〜5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのジアクリレート又はトリアクリレートが極めて特に好ましい。3〜5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレート、特に3回エトキシ化されたグリセリンのトリアクリレートが最も好ましい。
【0053】
架橋剤b)の量は、モノマーa)に対してそれぞれ、好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%、極めて特に好ましくは0.3〜0.6質量%である。架橋剤含有量が増加するにつれて、遠心分離保持力(CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2の圧力下での吸収性(AUL0.3psi)は最大値を通過する。
【0054】
開始剤c)として、重合条件下にラジカルを生じる全ての化合物、例えば、熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤を使用することができる。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウム、及び過酸化水素/亜硫酸水素ナトリウムである。好ましくは、熱開始剤とレドックス開始剤とからの混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸を使用する。しかしながら、還元性成分として、好ましくは、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸二ナトリウム、又は、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸二ナトリウムと2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸二ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムとからの混合物を使用する。このような混合物は、Brueggolite(R) FF6及びBrueggolite(R) FF7(Brueggeman Chemicals; Heilbronn; ドイツ)として入手可能である。
【0055】
エチレン系不飽和の酸基を含有するモノマーa)と共重合可能なエチレン系不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0056】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、改質セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び改質セルロースを使用することができる。
【0057】
通常は、モノマー水溶液を使用する。モノマー溶液の水含有量は、好ましくは40〜75質量%、特に好ましくは45〜70質量%、極めて特に好ましくは50〜65質量%である。モノマー懸濁液、即ち、過剰のモノマーa)、例えばアクリル酸ナトリウムを含有するモノマー溶液を使用することも可能である。水含有量が増加するにつれて、引き続く乾燥時のエネルギー消費が増大し、水含有量が減少するにつれて、重合熱を不十分にしか排出できなくなる。
【0058】
好ましい重合阻害剤は、最適な作用のためには溶存酸素を必要とする。従って、モノマー溶液から、重合前に、不活性化によって、即ち不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素の導通によって溶存酸素を除去することができる。好ましくは、モノマー溶液の酸素含有量を、重合前に、1質量ppm未満に、特に好ましくは0.5質量ppm未満に、極めて特に好ましくは0.1質量ppm未満に低減させる。
【0059】
方法工程i)において、モノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させる。適した反応器は、例えばニーダー型反応器又はバンド型反応器である。ニーダー中で、モノマー水溶液又はモノマー水性懸濁液の重合の際に生じる水性ポリマーゲルを、例えばWO2001/038402A1に記載されているように逆回転撹拌軸によって連続的に破砕する。バンド上での重合は、例えばDE3825366A1及びUS6,241,928に記載されている。バンド型反応器内での重合の場合にはポリマーゲルが生じ、このポリマーゲルをさらなる方法工程ii)において、例えば押出機又はニーダー中で破砕する必要がある。
【0060】
乾燥特性を改善するために、ニーダーを用いて得られた破砕されたポリマーゲルをさらに押出すことができる。
【0061】
しかしながら、モノマー水溶液を液滴化し、生成された液滴を加熱されたキャリヤーガス流中で重合させることも可能である。この場合、WO2008/040715A2及びWO2008/052971A1に記載されているように、方法の重合工程i)と乾燥工程iii)とを統合することができる。
【0062】
得られたポリマーゲルの酸基は、通常は部分的に中和されている。この中和を、好ましくはモノマーの段階で実施する。これを通常は、中和剤を水溶液としてか又は好ましくは固体として混入することにより行う。中和度は、好ましくは25〜95モル%、特に好ましくは30〜80モル%、極めて特に好ましくは40〜75モル%であり、その際、通常の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにその混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりにアンモニウム塩を使用することもできる。アルカリ金属としてはナトリウム及びカリウムが特に好ましく、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにその混合物が極めて特に好ましい。
【0063】
しかしながら、この中和を、重合後に、重合の際に生じるポリマーゲルの段階で実施することもできる。さらに、中和剤の一部をすでにモノマー溶液に添加することによって、重合前に、酸基の40モル%まで、好ましくは10〜30モル%、特に好ましくは15〜25モル%を中和し、そして、重合後にポリマーゲルの段階でようやく所望の最終中和度を調節することも可能である。ポリマーゲルを少なくとも部分的に重合後に中和する場合には、ポリマーゲルを好ましくは機械的に、例えば押出機を用いて破砕し、その際、中和剤を吹付けるか、散布するか又は注ぎ込み、次いで慎重に混合することができる。そのために、得られたゲル材料をさらに数回、均質化のために押出すことができる。
【0064】
得られたこのポリマーゲルを、方法工程iii)において乾燥させる。乾燥機に制限はない。しかしながら、ポリマーゲルを、好ましくはバンド型乾燥機を用いて、残留湿分含有量が好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%、極めて特に好ましくは2〜8質量%となるまで乾燥させる。その際、この残留湿分含有量を、EDANAにより推奨されている試験法No. WSP 230.2−05 "Moisture Content"に従って測定する。残留湿分が高過ぎると、乾燥したポリマーゲルのガラス転移温度Tgが低過ぎてしまい、さらなる加工が困難である。残留湿分が低過ぎると、乾燥したポリマーゲルは脆過ぎてしまい、引き続く破砕工程において小さ過ぎる粒径を有するポリマー粒子(「fines」)が不所望にも多量に生じてしまう。ゲルの固体含有量は、乾燥前には、好ましくは25〜90質量%、特に好ましくは35〜70質量%、極めて特に好ましくは40〜60質量%である。しかしながら、選択的に、乾燥のために、流動層型乾燥機又はパドル型乾燥機を使用することもできる。
【0065】
この乾燥したポリマーゲルを、方法工程iv)において粉砕及び分級するが、その際、粉砕のために通常は単段又は多段のロールミル、好ましくは二段又は三段のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又はスイングミルを使用することができる。
【0066】
生成物画分として分離したポリマー粒子の中央粒径は、好ましくは少なくとも200μm、特に好ましくは250〜600μm、極めて特に好ましくは300〜500μmである。生成物画分の中央粒径は、EDANAにより推奨されている試験法No. WSP 220.2−05 "Partikel Size Distribution"に従って求めることができ、その際、篩画分の質量割合を累積的にプロットして中央粒径をグラフにより決定する。ここで、中央粒径とは、累積して50質量%となる目開きの値である。
【0067】
少なくとも150μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0068】
小さ過ぎる粒径を有するポリマー粒子は、液体通過性(SFC)を低下させる。従って、小さ過ぎるポリマー粒子(「fines」)の割合が低いことが望ましい。
【0069】
従って通常は、小さ過ぎるポリマー粒子を分離除去し、本方法に返送する。これは好ましくは、重合の前、間又は直後に、即ちポリマーゲルの乾燥前に行う。小さ過ぎるポリマー粒子を、返送の前又は間に、水及び/又は水性界面活性剤で湿潤させることができる。
【0070】
後の方法工程で、例えば、表面後架橋の後、又は他の被覆工程の後で、小さ過ぎるポリマー粒子を分離除去することも可能である。この場合、返送する小さ過ぎるポリマー粒子は、表面後架橋されているか、又は他の方法で、例えば熱分解によるシリカで被覆されている。
【0071】
ニーダー型反応器を重合に使用する場合には、小さ過ぎるポリマー粒子を好ましくは重合の最後の1/3の間に添加する。
【0072】
小さ過ぎるポリマー粒子を、極めて早期に、例えばすでにモノマー溶液に添加した場合、これによって、得られた吸水性ポリマー粒子の遠心分離保持力(CRC)は低下する。しかしながらこれは、例えば架橋剤b)の使用量を適合させることにより補償可能である。
【0073】
小さ過ぎるポリマー粒子を、極めて遅くに、例えば重合反応器に後接続された装置、例えば押出機に初めて添加した場合、この小さ過ぎるポリマー粒子を得られた水性ポリマーゲルに組み込むのは極めて困難である。不十分に組み込まれた小さ過ぎるポリマー粒子は、粉砕の間に、乾燥したポリマーゲルから再度外れるため、分級の際に再度分離除去され、それによって、返送すべき小さ過ぎるポリマー粒子の量が増加する。
【0074】
最高で850μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0075】
最高で600μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0076】
大き過ぎる粒径を有するポリマー粒子によって、膨潤速度は低下する。従って、大き過ぎるポリマー粒子の割合も同様に低いことが望ましい。
【0077】
従って通常は、大き過ぎるポリマー粒子を分離し、乾燥したポリマーゲルの粉砕に返送する。
【0078】
ポリマー粒子を、特性の改善のために、さらなる方法工程v)において熱により表面後架橋させることができる。適した表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成し得る基を含む化合物である。適した化合物は、例えば多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(例えばEP0083022A2、EP0543303A1及びEP0937736A2に記載)、二官能性又は多官能性アルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP0450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。
【0079】
さらに、DE4020780C1には環状カーボネートが、DE19807502A1には2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1にはビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1には2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE19854574A1にはN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1には環状尿素が、DE10334584A1には二環式アミドアセタールが、EP1199327A2にはオキセタン及び環状尿素が、またWO2003/031482A1にはモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が、適した表面後架橋剤として記載されている。
【0080】
好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物、及びプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールとからの混合物である。
【0081】
極めて特に好ましい表面後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン、及び1,3−プロパンジオールである。
【0082】
さらに、DE3713601A1に記載されているような、付加的な重合性エチレン系不飽和基を含む表面後架橋剤を使用することもできる。
【0083】
表面後架橋剤の量は、ポリマー粒子に対してそれぞれ、好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%、極めて特に好ましくは0.05〜0.2質量%である。
【0084】
本発明の好ましい一実施態様において、表面後架橋の前、間又は後に、表面後架橋剤に加えて多価のカチオンを粒子表面に施与する。
【0085】
本発明による方法において使用可能な多価のカチオンは、例えば二価のカチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、四価のカチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが考えられる。硫酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩以外に、多価のカチオンとしてポリアミンを使用することもできる。
【0086】
多価のカチオンの使用量は、ポリマー粒子に対してそれぞれ、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、とりわけ好ましくは0.02〜0.8質量%である。
【0087】
通常は、表面後架橋剤の溶液を乾燥したポリマー粒子に吹付けることによって表面後架橋を実施する。この吹付けに引続き、表面後架橋剤で被覆されたポリマー粒子を熱により乾燥させるが、その際、表面後架橋反応は、乾燥の前にも乾燥の間にも生じうる。
【0088】
表面後架橋剤の溶液の吹付けを、好ましくは、可動式混合器具を備えたミキサー、例えばスクリュー型ミキサー、ディスク型ミキサー及びパドル型ミキサー中で実施する。水平型ミキサー、例えばパドル型ミキサーが特に好ましく、垂直型ミキサーは極めて特に好ましい。水平型ミキサーと垂直型ミキサーとは混合軸の位置により区別され、即ち、水平型ミキサーは水平に配置された混合軸を有しており、垂直型ミキサーは垂直に配置された混合軸を有している。適したミキサーは、例えば水平型Pflugschar(R)ミキサー(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)、Vrieco-Nauta連続式ミキサー(Hosokawa Micron BV; Doetinchem; オランダ)、Processall Mixmillミキサー(Processall Incorporated; Cincinnati; 米国)及びSchugi Flexomix(R)(Hosokawa Micron BV; Doetinchem; オランダ)である。しかしながら、流動層内で表面後架橋剤溶液を吹付けることも可能である。
【0089】
典型的には、表面後架橋剤を水溶液として使用する。非水性溶剤の含有量ないし全溶剤の量によって、ポリマー粒子への表面後架橋剤の浸透深さを調節することができる。溶剤として水のみを使用する場合には、好ましくは界面活性剤を添加する。これによって湿潤挙動が改善され、塊状化傾向が減少する。しかしながら、溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水、及びプロピレングリコール/水を使用するのが好ましく、その際、混合質量比は、好ましくは20:80〜40:60である。
【0090】
熱による表面後架橋を、好ましくは接触型乾燥機中で、特に好ましくはパドル型乾燥機、極めて特に好ましくはディスク型乾燥機中で実施する。適した乾燥機は、例えばHosokawa Bepex(R) Horizontal Paddle Dryer(Hosokawa Micron GmbH; Leingarten; ドイツ)、Hosokawa Bepex(R) Disc Dryer (Hosokawa Micron GmbH; Leingarten; ドイツ)、及びNara Paddle Dryer(NARA Machinery Europe; Frechen; ドイツ)である。さらに、流動層型乾燥機も使用できる。
【0091】
熱による表面後架橋を、ミキサー自体の中で、ジャケットの加熱又は熱風の吹込みによって行なうことができる。後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉、又は加熱可能なスクリューも同様に適している。流動層型乾燥機中で混合及び乾燥を行うのが特に好ましい。
【0092】
好ましい表面後架橋温度は、100〜250℃、好ましくは120〜220℃、特に好ましくは130〜210℃、極めて特に好ましくは150〜200℃の範囲内である。反応ミキサー又は乾燥機中での前記温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも20分、極めて特に好ましくは少なくとも30分であり、通常は最高で60分である。
【0093】
引き続き、この表面後架橋したポリマー粒子を改めて分級することができ、その際、小さ過ぎる及び/又は大き過ぎるポリマー粒子を分離除去し、本方法に返送する。
【0094】
この表面後架橋したポリマー粒子を、特性のさらなる改善のために被覆又は後湿潤させることができる。
【0095】
この後湿潤を、好ましくは30〜80℃、特に好ましくは35℃〜70℃、極めて特に好ましくは40〜60℃で実施する。温度が低過ぎると吸水性ポリマー粒子は塊状化傾向を示し、より高温であると水がすでに顕著に蒸発してしまう。後湿潤に使用する水の量は、好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜8質量%、極めて特に好ましくは3〜5質量%である。後湿潤によってポリマー粒子の機械的安定性が高められ、かつ該粒子の帯静電気傾向が減少する。
【0096】
膨潤速度並びに液体通過性(SFC)の改善に適した被覆は、例えば無機不活性物質、例えば非水溶性金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー、並びに二価又は多価の金属カチオンである。ダスト結合に適した被覆は、例えばポリオールである。ポリマー粒子の望ましくないケーキング傾向への抵抗に適した被覆は、例えば熱分解によるシリカ、例えばAerosil(R) 200、及び界面活性剤、例えばSpan(R) 20である。
【0097】
本発明のもう1つの対象は、本発明による方法により得られた吸水性ポリマー粒子である。
【0098】
本発明のもう1つの対象は、以下:
a’)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1つの重合された、エチレン系不飽和の、酸基を含有するモノマーa)、
b’)少なくとも1つの重合された架橋剤b)、
c’)任意に、a)で挙げられたモノマーと共重合された1以上のエチレン系不飽和モノマーd)、及び
d’)任意に、1以上の水溶性ポリマーe)
を含有する吸水性ポリマー粒子であって、その際、該吸水性ポリマー粒子は、少なくとも1つの蛍光増白剤を含有しており、かつ上記の蛍光増白剤を上記の量で使用することができる。
【0099】
好ましい一実施態様において、本発明によるポリマー粒子は、少なくとも1つの蛍光増白剤で被覆されている。
【0100】
被覆の際、該蛍光増白剤を、例えば、ポリマーゲルと工程i)の後に混合し、好ましくは、ポリマー粒子と工程iv)の後で、かつ工程v)の前、間又は後に混合し、それにより、該吸水性ポリマー粒子内に濃度勾配が得られる。
【0101】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、さらに色安定剤を含有しているか、又は、色安定剤で被覆されていてよく、その際、上記の色安定剤を上記の量で使用することができる。
【0102】
本発明による方法により製造された吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、極めて特に好ましくは少なくとも26g/gの遠心分離保持力(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心分離保持力(CRC)は、通常は60g/g未満である。該遠心分離保持力(CRC)を、EDANAにより推奨されている試験法No. WSP 241.2−05 "Centrifuge Retention Capacity"に従って測定する。
【0103】
本発明による方法により製造された吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、より好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、極めて特に好ましくは少なくとも26g/gの、49.2g/cm2の圧力下での吸収性(AUL0.7psi)を有する。吸水性ポリマー粒子の49.2g/cm2の圧力下での吸収性(AUL0.7psi)は、通常35g/g未満である。この49.2g/cm2の圧力下での吸収性(AUL0.7psi)を、EDANAにより推奨されている試験法No. WSP 242.2−05 "Absorption under Pressure"に類似して測定し、その際、21.0g/cm2の圧力の代わりに49.2g/cm2の圧力に調節する。
【0104】
本発明のもう1つの対象は、本発明による吸水性ポリマー粒子を含有する衛生用品、特に、婦人用衛生用品、軽度及び重度の失禁用の衛生用品、又は小動物用床敷(Kleintierstreu)である。
【0105】
衛生用品は、通常、水不透過性の背面、水透過性の上面、及び、その間に、本発明による吸水性ポリマー粒子と、繊維、好ましくはセルロースとからの吸収性コアを含む。吸収性コア中の本発明による吸水性ポリマー粒子の割合は、好ましくは20〜100質量%、好ましくは50〜100質量%である。
【0106】
吸水性ポリマー粒子を、以下に記載された試験法で試験する。
【0107】
「WSP」で示される標準試験法は、"Worldwide Strategic Partners" EDANA(Avenue Eugene Plasky 157, 1030 Brussels, ベルギー, www.edana.org)と、INDA(1100 Crescent Green, Cary, NC 27518, 米国, www.inda.org)との共同編集による、2005年度版の"Standard Test Methods for the Nonwovens Industry"に記載されている。該出版物は、EDANAからもINDAからも入手可能である。
【0108】
方法:
測定は、別に記載がない限り、23±2℃の環境温度及び50±10%の相対空気湿度で実施すべきである。吸水性ポリマー粒子を測定前によく混合する。
【0109】
遠心分離保持力(Centrifuge Retention Capacity)
遠心分離保持力(CRC)を、EDANAにより推奨されている試験法No. WSP 241.2−05 "Centrifuge Retention Capacity"に従って測定する。
【0110】
49.2g/cm2の圧力下での吸収性(Absorption under Pressure)
49.2g/cm2の圧力下での吸収性(AUL0.7psi)を、EDANAにより推奨されている試験法No. WSP 242.2−05 "Absorption under Pressure"に類似して測定し、その際、21.0g/cm2の圧力(AUL0.3psi)の代わりに49.2g/cm2の圧力(AUL0.7psi)に調節する。
【0111】
液体通過性(Saline Flow Conductivity)
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤したゲル層の液体通過性(SFC)を、EP0640330A1中の記載と同様に、吸水性ポリマー粒子からなる膨潤したゲル層のゲル層透過性として測定するが、その際、上記の特許出願明細書第19頁及び図8に記載の装置を、ガラスフリット(40)をもはや使用せず、プランジャー(39)が円筒体(37)と同じプラスチック材料からなり、今や全載置面にわたって均一に分布するように21個の同じ大きさの孔を含むように十分に変更した。測定の手順並びに評価は、EP0640330A1を変更せずにそのままである。流量は自動的に検知される。
【0112】
液体通過性(SFC)は、次のように計算される:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
上記式中、Fg(t=0)は、NaCl溶液の流量(g/s)であり、これは、流量測定のデータFg(t)の線形の回帰分析に基づいてt=0に対する外挿法によって得られ、L0は、ゲル層の厚さ(cm)であり、dは、NaCl溶液の密度(g/cm3)であり、Aは、ゲル層の面積(cm2)であり、かつWPは、ゲル層上の静水圧力(dyn/cm2)である。
【0113】
ゲル層透過性(Gel Bed Permeability)
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤したゲル層のゲル層透過性(GBP)を、US2005/0256757に記載されている(段落[0061]及び[0075])通りに、吸水性ポリマー粒子からの膨潤したゲル層のゲル層透過性として測定する。
【0114】
CIE色数(L、a、b)
色測定を、CIELAB法(Hunterlab,第8巻、1996年度、第7号、第1〜4頁)に相応して色度計のモデル"LabScan XE S/N LX17309" (HunterLab, Reston, 米国)を用いて実施する。その際、色を、三次元系の座標L、a及びbにより表す。ここで、Lは、明度を示し、L=0は黒色を意味し、かつL=100は白色を意味する。a及びbの値は、赤色/緑色の色軸もしくは黄色/青色の色軸上の色の位置を示し、その際、+aは赤色を表し、−aは緑色を表し、+bは黄色を表し、かつ−bは青色を表す。式HC60=L−3bにより、HC60値を算出する。
【0115】
該色測定は、DIN5033−6による3領域法に相当する。
【0116】
エージング試験
測定1(最初の色):9cmの内径を有するプラスチック皿に吸水性ポリマー粒子を満たし、これを次いでナイフを用いて縁上で平らにならし、CIE色数並びにHC60値を測定する。
【0117】
測定2(エージング後):9cmの内径を有するプラスチック皿に吸水性ポリマー粒子を満たし、これを次いでナイフを用いて縁上で平らにならす。次いで、この皿を、開いたままで60℃に調温した環境制御棚内に86%の一定の相対空気湿度で置く。この皿を、21日が経過した後に取り出す。室温に冷却した後に、CIE色数並びにHC60値を測定する。
【実施例】
【0118】
実施例
実施例1
HySorb(R) B 7055(BASF SE, Ludwigshafen, ドイツ)を、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水中のTinopal(R) CBS-X(4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル二ナトリウム;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)の2.5質量%溶液 1.0質量%で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を篩別して850μm未満の粒径にした。
【0119】
実施例2
HySorb(R) B 7055(BASF SE, Ludwigshafen, ドイツ)を、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水中のTinopal(R) CBS-X(4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル二ナトリウム;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)の2.5質量%溶液 2.0質量%で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を篩別して850μm未満の粒径にした。
【0120】
実施例3
HySorb(R) B 7055(BASF SE, Ludwigshafen, ドイツ)を、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水中のTinopal(R) CBS-X(4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル二ナトリウム;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)の2.5質量%溶液 4.0質量%で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を、真空乾燥棚内で、80℃でかつ250ミリバールで60分間乾燥させ、かつ、篩別して850μm未満の粒径にした。
【0121】
実施例4
HySorb(R) B 7055(BASF SE, Ludwigshafen, ドイツ)を、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水中のTinopal(R) CBS-X(4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル二ナトリウム;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)の2.5質量%溶液 1.0質量%、及び、脱塩水中の次亜リン酸ナトリウムの30質量%溶液 2.0質量%で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を篩別して850μm未満の粒径にした。
【0122】
実施例5
HySorb(R) B 7055(BASF SE, Ludwigshafen, ドイツ)を、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水中のTinopal(R) CBS-X(4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル二ナトリウム;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)の2.5質量%溶液 1.0質量%、及び、脱塩水中の2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸二ナトリウムの5質量%溶液 1.0質量%で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を篩別して850μm未満の粒径にした。
【0123】
実施例6
HySorb(R) B 7055(BASF SE, Ludwigshafen, ドイツ)を、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水89質量%と、Tinopal(R) MSP液体(ヘキサナトリウム−2,2’−{ビニレンビス[(3−スルホナト−4,1−フェニレン)イミノ[6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−4,2−ジイル]−イミノ]}ビス(ベンゼン−1,4−ジスルホネート);CAS番号52301−70−9;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)11質量%とからの混合物1.0質量%で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を篩別して850μm未満の粒径にした。
【0124】
実施例7
HySorb(R) B 7055(BASF SE, Ludwigshafen, ドイツ)を、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水中のTinopal(R) SFP(ヘキサナトリウム−2,2’−{ビニレンビス[(3−スルホナト−4,1−フェニレン)イミノ[6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,2−ジイル]イミノ]}ビス(ベンゼン−1,4−ジスルホネート);CAS番号41098−56−0;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)の2.0質量%溶液 1.0質量%で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を篩別して850μm未満の粒径にした。
【0125】
実施例8
HySorb(R) B 7055(BASF SE, Ludwigshafen, ドイツ)を、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水90質量%と、Tinopal(R) NFW液体(ジナトリウム−4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)10質量%とからの混合物1.0質量%で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を篩別して850μm未満の粒径にした。
【0126】
実施例1〜8で被覆した吸水性ポリマー粒子について、エージング試験を行った。結果を第1表にまとめる。
【0127】
実施例1〜8で使用したHySorb(R) B 7055型の吸水性ポリマー粒子は、L=93.4、a=3.7、及びb=4.8のCIE色数、並びに、79.1のHC60値を有していた。HySorb(R) B 7055は、市販の表面後架橋した吸水性ポリマー粒子である。
【0128】
【表1】
【0129】
この結果は、蛍光増白剤の、及び還元剤でのさらなる被覆の、有利な効果を証明している。
【0130】
実施例9(比較例)
2Lのステンレス鋼ビーカーに、50質量%苛性ソーダ液326.7g、及び、凍結した脱塩水675gを装入した。撹拌しながら、アクリル酸392.0gを添加し、その際、温度が35℃を超過しないように添加速度を調整した。次いで、この混合物を撹拌しながら冷浴を用いて冷却した。この混合物の温度が20℃まで低下したら、3回エトキシ化されたグリセリントリアクリレート1.08gと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR(R) 1173,Ciba Speciality Chemicals Inc.,Basel, スイス)0.041gと、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE(R)651, Ciba Speciality Chemicals Inc.,Basel, スイス)0.014gとを添加した。さらに冷却し、15℃に達したら、この混合物から、窒素を導通することによりガラスフリットを用いて酸素を除去した。0℃に達したら、過硫酸ナトリウム(脱塩水5ml中に溶解)0.51gと、30質量%過酸化水素溶液(脱塩水6ml中に溶解)0.2gとを添加し、そして、モノマー溶液をガラス皿に移した。このガラス皿は、モノマー溶液の5cmの層厚が生ずるようなサイズであった。引き続き、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸二ナトリウムと、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸二ナトリウムと、亜硫酸水素ナトリウム(Brueggolit(R) FF6, Brueggeman Chemicals; Heilbronn; ドイツ)とからなる、脱塩水5ml中に溶解された混合物0.047gを添加し、そしてこのモノマー溶液をガラス棒で軽く撹拌した。このモノマー溶液を有するガラス皿をUVランプ下に置き(UV強度=25mW/cm2)、その際に、重合が開始した。16分後に、得られたポリマーゲルを、6mmの有孔板を備えた商慣習の肉挽き機によって3回押出し、そして強制通風式乾燥棚内で160℃で1時間にわたり乾燥させた。乾燥したポリマーゲルを、次いで粉砕し、篩別して150〜850μmの粒径にした。
【0131】
このベースポリマーを、表面後架橋のために、加熱ジャケットを備えた、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり450回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、エチレングリコールジグリシジルエーテル(Denacol(R) EX-810, Nagase ChemteX Corporation,大阪,日本)0.10質量%と、1,2−プロパンジオール1.50質量%と、脱塩水2.8質量%と、硫酸アルミニウム水溶液(26.8質量%濃度)0.4質量%とからなる混合物(それぞれベースポリマーに対して)で被覆した。
【0132】
吹付けの後に、生成物温度を150℃に高め、そしてこの反応混合物を60分間にわたりこの温度でかつ1分間当たり80回転のシャフト回転数で保持した。得られた生成物を、再び環境温度に冷却して篩別した。表面後架橋した吸水性ポリマー粒子を篩別して150μm〜850μmの粒径にしたところ、以下の特性を有していた:
【表2】
【0133】
得られた吸水性ポリマー粒子は、L=88.7、a=−0.4、及びb=9.0のCIE色数、並びに、61.7のHC60値を有していた。
【0134】
実施例10
実施例9と同様に行った。ポリマーゲルの押出しの前に、脱塩水中のTinopal(R) CBS-X(4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル二ナトリウム;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)の2.5質量%溶液 6.3gを添加した。
【0135】
実施例11
実施例10で得られた吸水性ポリマー粒子100gを、ポリエチレン製の試料瓶(容量500ml)内で、カルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]0.060gと混合した。この瓶の内容物を、T2C型のタンブルミキサー(Willy A. Bachofen AG Maschinenfabrik, Basel; スイス)を用いて15分間緊密に混合した。
【0136】
実施例12
実施例10で得られた吸水性ポリマー粒子100gを、ポリエチレン製の試料瓶(容量500ml)内で、トリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット0.090gと混合した。この瓶の内容物を、T2C型のタンブルミキサー(Willy A. Bachofen AG Maschinenfabrik, Basel; スイス)を用いて15分間緊密に混合した。
【0137】
実施例9〜12で製造した吸水性ポリマー粒子について、エージング試験を行った。結果を第2表にまとめる。
【0138】
【表3】
【0139】
この結果は、蛍光増白剤の、及び還元剤でのさらなる被覆の、有利な効果を証明している。
【0140】
実施例13(比較例)
アクリル酸ナトリウム水溶液(37.5質量%濃度)14.3kgと、アクリル酸1.4kgと、脱塩水350gとを、3回エトキシ化されたグリセリントリアクリレート8.5gと混合した。この溶液を、窒素雰囲気で満たされた加温された液滴化塔(180℃、高さ12m、直径2m、ガス速度0.1m/s(並流)、直径40mm、内部高さ2mmを有し、各200μmの直径の60個の孔を有する液滴化プレートを備えた液滴化装置)において、32kg/hの計量供給速度で液滴化した。この溶液の温度は25℃であった。この液滴化装置の直前で、モノマー溶液を、スタティックミキサーにより2つの開始剤溶液と混合した。開始剤1として、脱塩水中の2,2’−アゾビス−[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリドの3質量%の溶液を使用し、開始剤2として、脱塩水中のペルオキソ二硫酸ナトリウムの6.1質量%の溶液を使用した。開始剤溶液1の計量供給速度は0.932kg/hであり、開始剤溶液2の計量供給速度は0.629kg/hであった。得られたポリマー粒子を篩別して150〜850μmの粒径にすることによって、場合により形成されたアグロメレートを分離除去したところ、以下の結果を有していた:
【表4】
【0141】
得られた吸水性ポリマー粒子は、L=93.1、a=0.5、及びb=3.2のCIE色数、並びに、83.5のHC60値を有していた。
【0142】
実施例14
実施例13と同様に行った。モノマー溶液に、さらに、脱塩水中のTinopal(R) CBS-X(4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル二ナトリウム;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)の2.5質量%溶液66.1gを添加した。
【0143】
実施例15
実施例14の吸水性ポリマー粒子1000gを、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水40g中の2−ヒドロキシ−2−ホスホナト酢酸0.5gの溶液で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を篩別して850μm未満の粒径にした。
【0144】
実施例16
実施例14の吸水性ポリマー粒子1000gを、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、脱塩水15g中のグリオキシル酸ナトリウム1.5gの溶液で被覆した。この吹付け後、1分間当たり80回転のシャフト回転数でさらに15分間、後混合した。得られた生成物を篩別して850μm未満の粒径にした。
【0145】
実施例17
実施例13と同様に行った。モノマー溶液に、さらに、脱塩水中のTinopal(R) CBS-X(4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル二ナトリウム;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス)の2.5質量%溶液66.1g、及び、脱塩水50g中の1−ヒドロキシ−1,1’−エチリデンジホスホン酸2.75gを添加した。
【0146】
実施例18
実施例13で得られた吸水性ポリマー粒子(ベースポリマー)1000gを、表面後架橋のために、加熱ジャケットを備えた、Pflugschar(R)ミキサーM5型(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; ドイツ)内で、23℃でかつ1分間当たり450回転のシャフト回転数で、2成分スプレーノズルを用いて、以下の溶液で被覆した(それぞれベースポリマーに対して):
1,3−プロパンジオール 1.0質量%
乳酸アルミニウム水溶液(25質量%濃度) 2.0質量%
水性のTinopal(R) CBS-X(4,4’−ビス(2−スルホスチリル)−ビフェニル二ナトリウム;CAS番号27344−41−8;Ciba Speciality Chemicals Inc.; Basel; スイス) 2.0質量%
吹付けの後に、生成物温度を170℃に高め、そしてこの反応混合物を60分間にわたりこの温度でかつ1分間当たり60回転のシャフト回転数で保持した。得られた生成物を、再び環境温度に冷却して篩別した。表面後架橋した吸水性ポリマー粒子を篩別して150μm〜850μmの粒径にしたところ、以下の特性を有していた:
【表5】
【0147】
得られた吸水性ポリマー粒子は、L=92.7、a=0.6、及びb=8.2のCIE色数、並びに、68.1のHC60値を有していた。
【0148】
実施例13〜18で製造した吸水性ポリマー粒子について、エージング試験を行った。結果を第3表にまとめる。
【0149】
【表6】
【0150】
この結果は、蛍光増白剤の、及び還元剤の付加的な使用の、有利な効果を証明している。
【0151】
2010年6月14日付けで出願された米国仮特許出願第61/354267号は、文献指摘により本願に援用される。上記の教示に関しては、本発明の多数の変更及び改変が可能である。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、本願明細書中に特に記載されているもの以外の形で実施できることを前提にしてよい。