特許第5766728号(P5766728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5766728高い演色評価数値を有する温白色発光装置の形成方法及び関連発光装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766728
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】高い演色評価数値を有する温白色発光装置の形成方法及び関連発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20150730BHJP
【FI】
   H01L33/00 410
【請求項の数】10
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2012-557148(P2012-557148)
(86)(22)【出願日】2011年3月7日
(65)【公表番号】特表2013-522875(P2013-522875A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】US2011027362
(87)【国際公開番号】WO2011112494
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2012年11月6日
(31)【優先権主張番号】13/017,983
(32)【優先日】2011年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/720,390
(32)【優先日】2010年3月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】クリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ ブライアン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カバル ジャスパー
(72)【発明者】
【氏名】ドノフリオ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】キャノン ナサニエル オー
【審査官】 佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−263201(JP,A)
【文献】 特開2006−049799(JP,A)
【文献】 特開2006−016251(JP,A)
【文献】 特表2010−507880(JP,A)
【文献】 特表2009−539219(JP,A)
【文献】 特開2009−111131(JP,A)
【文献】 特開2009−123908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置であって、
固体光源と、
前記固体光源によって放出された放射線の少なくとも一部をダウンコンバートするための受容発光媒体とを含み、
該受容発光媒体は、
該固体光源によって放出された該放射線を535ナノメートルと545ナノメートルの間の緑色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートし、500ナノメートル未満に及ぶ半値全幅発光帯域幅を有するLu3Al512:Ce燐光体と、
該固体光源によって放出された該放射線を545ナノメートルと565ナノメートルの間の黄色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートするY3Al512:Ce燐光体と、
該固体光源によって放出された該放射線を600ナノメートルと660ナノメートルの間にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第3の燐光体と、
を含み、
第2の燐光体及び第3の燐光体が共同して、該固体光源によって放出された該放射線を580ナノメートルよりも大きいピーク波長を有する放射線にダウンコンバートすることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記固体光源は、青色範囲に主波長を有する光を放出する発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第3の燐光体は、(Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+燐光体を含むことを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項4】
発光装置によって放出される前記光は、1931 CIE色度図上のccx座標値が0.385と0.485の間であり、ccy座標値が0.380と0.435の間であり、黒体軌跡の7つのマクアダム楕円内にある色点と、少なくとも90のCRI値と、約2500Kと約3300Kの間の相関色温度とを有することを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記受容発光媒体は、共形受容発光媒体を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記受容発光媒体は、熱硬化可能な結合剤材料を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
少なくとも1つの反射部分を含むサブマウントを更に含み、
前記固体光源は、前記サブマウント上に装着され、
前記受容発光媒体は、前記少なくとも1つの反射部分上に共形的に被覆される、
ことを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項8】
Lu3Al512:Ce燐光体に対するY3Al512:Ce燐光体の比は、重量比で3:1と1:3の間である
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
発光装置によって放出されるスペクトルが、青色範囲の第1のピーク、前記緑色範囲に関連付けられた前記波長よりも長い波長の第2のピークを含む可視スペクトルにおける2つの異なるピークを有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1、第2、及び第3の燐光体に関連付けられた前記光放出のスペクトルが、単一のピークを含み、
前記第1の燐光体に関連付けられた前記光放出の前記スペクトルは、前記シアン色範囲にピークを発生しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2010年3月9日出願の米国特許出願第12/720,390号の一部継続出願として「35 U.S.C.§120」の下での優先権を請求するものであり、この特許の開示内容は、全体が引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、発光装置に関し、より具体的には、高い演色評価数(CRI)値を有する発光装置を形成する方法、及びこのような高いCRI値を有する発光装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LED)は、光を発生させることができる公知の固体照明装置である。LEDは、一般的に、半導体又は例えばサファイア、シリコン、炭化珪素、窒化ガリウム、又は砒化ガリウム基板のような非半導体基板上にエピタキシャル成長することができる複数の半導体層を含む。これらのエピタキシャル層内に1つ又はそれよりも多くの半導体p−n接合が形成される。十分な電圧がp−n接合にわたって印加された時に、n型半導体層内の電子及びp型半導体層内の正孔が、p−n接合に向けて流動する。電子及び正孔が互いに向けて流動する時に、電子の一部は、正孔と「衝突」して再結合することになる。これが発生する度に光の光子が放出され、このようにして、LEDは光を発生させる。LEDによって発生された光の波長分布は、一般的に、使用される半導体材料及び装置の「活性領域」(すなわち、電子及び正孔が再結合する区域)を形成する薄いエピタキシャル層の構造に依存する。
【0004】
LEDは、緊密に「ピーク」波長(すなわち、LEDの放射測定放出スペクトルが光検出器により検出された時に最大値に到達する単一の波長)を中心とする狭い波長分布を一般的に有する。例えば、一般的なLEDのスペクトルパワー分布は、例えば、約0〜30nmの全幅を有することができ、幅は、最大照度の半分で測定される(半値全幅又は「FWHM」幅と呼ぶ)。従って、LEDは、それらの「ピーク」波長により、又は代替的にそれらの「主」波長により識別されることが多い。LEDの主波長は、ヒトの眼により察知される時にLEDによって放出された光と同じ知覚色を有する単色光の波長である。従って、主波長は、主波長が光の異なる波長に対するヒトの眼の感度を考慮するという点でピーク波長と異なっている。
【0005】
殆どのLEDは、単一の色を有する光を放出するように見える殆ど単色の光源であるので、異なる色の光を放出する複数のLEDを含むLED灯が、白色光を発生させる固体発光装置を提供するのに使用されている。これらの装置において、個々のLEDチップによって放出された光の異なる色が結合して白色光の望ましい強度及び/又は色を生成する。例えば、赤色、緑色、青色の発光LEDに同時に通電することにより、得られる結合光は、例えば、光源の赤色、緑色、及び青色のLEDの相対強度、ピーク波長、及びスペクトルパワー分布に基づいて、白色又はほぼ白色に現れる場合がある。
【0006】
白色光はまた、LEDによって放出された光の一部を他の色の光に変換する発光材料で単色LEDを取り囲むことによって生成することができる。発光材料によって放出される異なる色の光と共に発光材料を通過する単色LEDによって放出された光の組合せにより、白色又は殆ど白色の光を生成することができる。例えば、単一の青色発光LEDチップ(例えば、インディアム窒化ガリウム及び/又は窒化ガリウムから作られる)は、例えば、LEDによって放出された青色光の一部の波長を「ダウンコンバート」してその色を黄色に変えるセリウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(化学式Y3Al5O12:Ceを有し、一般的にYAG:Ceと呼ぶ)のような黄色燐光体、ポリマー、又は色素と組み合わせて使用することができる。インディアム窒化ガリウムから作られた青色LEDは、高効率(例えば、60%もの高い外部量子効率)を示す。青色LED/黄色燐光体ランプにおいて、青色LEDチップは、約450〜460ナノメートルの主波長で発光を生成し、燐光体は、青色発光に応答して約550ナノメートルのピーク波長で黄色の蛍光を発生させる。青色光の一部は、ダウンコンバートされることなく、燐光体を(及び/又は燐光体粒子の間を)通過し、一方、光の実質的な部分は、燐光体により吸収され、燐光体は、励起して黄色光を放出する(すなわち、青色光が、黄色光にダウンコンバートされる)。青色光と黄色光の組合せは、観測者には白色に現れる場合がある。このような光は、色が冷白色であるとして一般的に察知される。別の手法では、多色燐光体又は色素でLEDを取り囲むことによって紫光又は紫外線発光LEDからの光を白色光に変換することができる。いずれの場合でも、光の演色特性を改善するために、すなわち、特に単色LEDが青色光又は紫外線を放出する時に光をより「暖かく」見せるために、赤色発光燐光体粒子(例えば、CaAlSiN3(CASN)ベースの燐光体)を追加することができる。
【0007】
上述のように、燐光体は、1つの公知の部類の発光材料である。燐光体は、1つの波長の光を吸収し、吸収と再発光の間の遅延と無関係にかつ関わっている波長と無関係に可視スペクトルの異なる波長で光を再放出するあらゆる材料を指すことができる。従って、「燐光体」という用語は、時には蛍光性及び/又は燐光性という材料を指すために本明細書で使用する場合がある。一般的に、燐光体は、第1の波長を有する光を吸収することができ、第1の波長と異なる第2の波長を有する光を再放出することができる。例えば、「ダウンコンバージョン」燐光体は、より短い波長を有する光を吸収してより長い波長を有する光を再放出することができる。
【0008】
LEDは、LEDを覆うためにLEDの上に燐光体含有封入材料(例えば、エポキシ樹脂又はシリコーン)を分注することによって燐光体層と結合されている。しかし、燐光体層の幾何学形状及び/又は厚みを制御することは困難である可能性がある。その結果、異なる角度でLEDから放出された光は、異なる量の発光材料を通過する可能性があり、これは、視野角の関数として不均一な色温度を有するLEDをもたらす可能性がある。幾何学形状及び厚みが制御しにくいので、同じか又は類似の発光特性を有するLEDを一貫して再現することは同じく困難である可能性がある。
【0009】
LED上へ燐光体層を被覆する別の従来の方法は、ステンシル印刷によるものである。ステンシル印刷手法において、複数のLEDは、隣接LED間の望ましい距離で基板上に配置される。LEDに整列する開口部を有するステンシルが設けられ、正孔はLEDよりも僅かに大きく、ステンシルは、LEDより肉厚である。ステンシルは、基板上に位置決めされ、LEDの各々は、ステンシルの開口部のそれぞれの1つに位置する。組成物が、次に、ステンシル開口部に堆積され、LEDを覆い、一般的な組成物は、熱又は光により硬化することができるシリコーンポリマー内の燐光体である。正孔が埋められた後に、ステンシルが基板から除去され、ステンシル組成物が固体状態に硬化する。
【0010】
上述の容積分注方法と同様に、ステンシル印刷方法も、燐光体含有ポリマーの幾何学形状及び/又は層厚を制御する際に問題を呈する場合がある。ステンシル組成物は、ステンシル開口部を完全には満たさない可能性があり、結果として不均一な層になる。燐光体含有組成物はまた、ステンシル開口部に張り付くこともあり、それによってLED上に残る組成物の量が減る場合がある。これらの問題は、不均一な色温度を有するLED、及び同じか又は類似の発光特性を一貫して再現することが困難であるLEDをもたらす可能性がある。
【0011】
LEDを燐光体で被覆する別の従来の方法は、電泳塗装(EPD)を利用する。燐光体粒子は、電解液ベースの溶液中に懸濁される。複数のLEDを電解液中に浸漬させる。電源からの一方の電極をLEDに結合し、他方の電極を電解液中に配置する。電源からバイアスを電極にわたって印加し、それによって電流が溶液を通過してLEDに至る。それによって燐光体粒子をLEDに引き寄せる電界が作成され、LEDが変換材料で覆われる。
【0012】
LEDが燐光体粒子により覆われた後に、それらは、LED及びそれらの燐光体粒子を保護樹脂により覆うことができるように電解液から取り出される。それによって付加的な段階が工程に追加され、燐光体粒子が樹脂の適用の前に乱される可能性もある。堆積工程中に、電解液内の電界が変わる可能性もあり、そのために異なる濃度の燐光体粒子がLEDにわたって堆積される可能性がある。更に、電解液内の電界は、粒径により選択的に作用する場合があり、それによって異なる粒径の混合した燐光体を堆積させることが益々困難になる。燐光体粒子は、溶液中に沈殿する可能性もあり、これはまた、LEDにわたって異なる燐光体粒子濃度をもたらす可能性がある。電解液を掻き混ぜて沈殿を防止することができるが、それによって既にLED上にある粒子を乱す危険が生じる。
【0013】
LEDの更に別の被覆方法は、インクジェット印刷器具のものと類似のシステムを使用する液滴堆積を利用する。液体燐光体含有材料の液滴は、印字ヘッドから噴霧される。燐光体含有液滴は、熱気泡により及び/又は圧電性結晶振動により印字ヘッド内で発生された圧力に応答して印字ヘッド上にノズルから噴射される。しかし、インクジェット式印字ヘッドからの燐光体含有組成物の流動を制御するために、印字ヘッドノズルは、比較的小さいことが必要である場合がある。実際に、燐光体粒子のサイズ及び/又は形状をそれらがノズル内に引っ掛かって印字ヘッドを目詰まりさせるのを防止するように設計することが望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第7,564,180号明細書
【特許文献2】米国特許第7,456,499号明細書
【特許文献3】米国特許第7,213,940号明細書
【特許文献4】米国特許第7,095,056号明細書
【特許文献5】米国特許第6,958,497号明細書
【特許文献6】米国特許第6,853,010号明細書
【特許文献7】米国特許第6,791,119号明細書
【特許文献8】米国特許第6,600,175号明細書
【特許文献9】米国特許第6,201,262号明細書
【特許文献10】米国特許第6,187,606号明細書
【特許文献11】米国特許第6,120,600号明細書
【特許文献12】米国特許第5,912,477号明細書
【特許文献13】米国特許第5,739,554号明細書
【特許文献14】米国特許第5,631,190号明細書
【特許文献15】米国特許第5,604,135号明細書
【特許文献16】米国特許第5,523,589号明細書
【特許文献17】米国特許第5,416,342号明細書
【特許文献18】米国特許第5,393,993号明細書
【特許文献19】米国特許第5,359,345号明細書
【特許文献20】米国特許第5,338,944号明細書
【特許文献21】米国特許第5,210,051号明細書
【特許文献22】米国特許第5,027,168号明細書
【特許文献23】米国特許第4,966,862号明細書
【特許文献24】米国特許第4,918,497号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2009/0184616号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第2009/0080185号明細書
【特許文献27】米国特許出願公開第2009/0050908号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2009/0050907号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2008/0308825号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2008/0198112号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2008/0179611号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2008/0173884号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第2008/0121921号明細書
【特許文献34】米国特許出願公開第2008/0012036号明細書
【特許文献35】米国特許出願公開第2007/0253209号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2007/0223219号明細書
【特許文献37】米国特許出願公開第2007/0170447号明細書
【特許文献38】米国特許出願公開第2007/0158668号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2007/0139923号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第2006/0221272号明細書
【特許文献41】米国特許出願出願番号第11/656,759号明細書
【特許文献42】米国特許出願出願番号第11/899,790号明細書
【特許文献43】米国特許出願第11/473,089号明細書
【特許文献44】米国特許出願出願番号第11/982,275号明細書
【特許文献45】米国特許仮出願第61/173,550号明細書
【特許文献46】米国特許出願出願番号第12/717,048号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
LEDは、例えば、液晶ディスプレイのためのバックライト照明、表示灯、自動車前照灯、懐中電灯、特殊照明用途、及び更に一般的な点灯及び照明用途における従来の白熱及び/又は蛍光照明の代替品も含む多くの用途に使用される。これらの用途の多くにおいて、燐光体又は他の発光媒体を使用して特定の性質を有する光を発生させる光源を提供することが望ましい場合がある。燐光体又は他の発光媒体をそのような照明光源にそれらが優れた適合性及び/又は均一性を有するように適用することも望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一部の実施形態により、固体光源が加熱される発光装置を形成する方法を提供する。次に、発光溶液を加熱された固体光源に適用して発光装置を形成する。発光溶液は、固体光源によって放出された放射線をシアン色範囲内に及ぶFWHM帯域幅を有する緑色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第1の材料と、固体光源によって放出された放射線を他の色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする少なくとも1つの付加的な材料とを含む。
【0017】
一部の実施形態では、発光溶液は、固体光源が少なくとも約摂氏90度の温度である間に固体光源に適用することができる。一部の実施形態では、本方法は、更に、発光溶液を硬化させて固体光源上に受容発光媒体をもたらす段階を伴っている。発光溶液は、結合剤材料及び/又は溶剤を含むことができる。発光溶液を硬化する段階は、溶剤の少なくとも一部を蒸発させることができる。
【0018】
一部の実施形態では、第1の材料は、固体光源によって放出された放射線を525ナノメートルと550ナノメートルの間にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートし、かつ500ナノメートルよりも小さいFWHM帯域幅を有する第1の燐光体とすることができる。少なくとも1つの付加的な材料は、固体光源によって放出された放射線を580ナノメートルを超える少なくとも1つのピーク波長を有する放射線に一緒にダウンコンバートする第2の燐光体及び第3の燐光体とすることができる。一部の実施形態では、第2の燐光体は、固体光源によって放出された放射線を530ナノメートルと585ナノメートルの間にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートすることができ、第3の燐光体は、固体光源によって放出された放射線を600ナノメートルと660ナノメートルの間にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートすることができる。
【0019】
一部の実施形態では、固体光源は、青色範囲に主波長を有する光を放出する発光ダイオードとすることができ、発光装置は、約2500Kと4500Kの間の相関色温度を有する温白色光を放出することができ、かつ少なくとも90のCRI値を有する。発光溶液は、揮発性溶剤と結合剤材料とを含む溶液中に懸濁された波長変換粒子とすることができる。加熱された固体光源内の熱エネルギを通じて揮発性溶剤を蒸発させることができる。他の実施形態では、発光溶液は、不揮発性溶剤と結合剤材料とを含む溶液中に懸濁された波長変換粒子とすることができる。このような実施形態では、不揮発性溶剤及び/又は結合剤を加熱された固体光源内の熱エネルギを通じて硬化させることができる。
【0020】
一部の実施形態では、固体光源は、上面と上面上のワイヤ結合パッドとを有する特異化された発光ダイオードとすることができる。特異化された発光ダイオードを加熱する前にワイヤ結合パッドにワイヤを接合することができる。他の実施形態では、固体光源は、発光ダイオードウェーハとすることができる。このウェーハは、発光溶液がそれに適用された後に複数の発光ダイオードチップに特異化することができる。一部の実施形態では、加熱された固体光源上に第1の霧化発光溶液の層を噴霧し、次に、第1の霧化発光溶液の層を硬化させ、次に、第1の霧化発光溶液の硬化層上に第2の霧化発光溶液の層を噴霧することにより、発光溶液を加熱された固体光源に適用することができる。
【0021】
一部の実施形態では、第1の燐光体は、第1のアルミニウムガーネットベースの燐光体とすることができ、第2の燐光体は、第2のアルミニウムガーネットベースの燐光体とすることができ、第3の燐光体は、窒化物又はオキシ窒化物ベースの燐光体とすることができる。一部の実施形態では、第1の燐光体は、セリウム活性化燐光体とすることができ、第2の燐光体は、セリウム活性化燐光体とすることができ、第3の燐光体は、ユーロピウム活性化燐光体とすることができる。
【0022】
本発明の更に別の実施形態により、青色範囲に主波長を有する光を放出する発光ダイオード(LED)と、LEDによって放出された光の少なくとも一部をダウンコンバートするように構成された共形受容発光媒体とを含む発光装置を提供する。受容発光媒体は、LEDによって放出された放射線を緑色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする少なくとも第1の燐光体と、LEDによって放出された放射線を緑色範囲よりも上の波長を有する第2の色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第2の燐光体と、LEDによって放出された放射線を緑色範囲よりも上の波長を有する第3の色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第3の燐光体と、共形受容発光媒体層がLEDに適用される時にLED内の熱エネルギにより硬化する結合剤材料とを含む。
【0023】
一部の実施形態では、第1の燐光体は、シアン色範囲内に及ぶFWHM帯域幅を有する。第2の燐光体は、LEDによって放出された放射線を黄色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートすることができ、第3の燐光体は、LEDによって放出された放射線を赤色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートすることができる。受容発光媒体内に含まれた燐光体及びLEDは、約2500Kと3300Kの間に相関色温度を有し、かつ少なくとも90のCRIを有する温白色光を一緒に放出するように構成することができる。第1の燐光体は、LuAG:Ce燐光体とすることができ、LEDの主波長は、約460ナノメートルと470ナノメートルの間に存在する。共形受容発光媒体は、LEDのすぐ上にある第1の共形受容発光媒体層と、第1の共形受容発光媒体層上にある第2の共形受容発光媒体層とを含むことができ、第1の共形受容発光媒体層及び第2の共形受容発光媒体層のうちの少なくとも一方は、光拡散粒子を含む。本発明の様々な実施形態による発光装置は、高い演色評価数を有する温白色光を提供するように設計することができる。
【0024】
本発明の更に別の実施形態により、サブマウントと、サブマウント上に取り付けられたLEDと、LED上及びサブマウント上に共形的に被覆された受容発光媒体とを含むパッケージ式発光装置を提供する。この受容発光媒体は、LEDによって放出された放射線を第1のピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする少なくとも第1の材料と、LEDによって放出された放射線を第2のピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第2の材料と、LEDによって放出された放射線を第3のピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第3の材料とを含む。
【0025】
一部の実施形態では、LEDは、青色範囲に主波長を有する光を放出し、第1の材料は、LEDによって放出された放射線をシアン色範囲内に及ぶFWHM帯域幅を有して緑色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする。第2の材料は、LEDによって放出された放射線を黄色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートすることができる。第3の材料は、LEDによって放出された放射線を赤色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートすることができる。一部の実施形態では、パッケージ式発光装置は、更に、サブマウント上に取り付けられた付加的なLEDを含む。付加的なLEDは、例えば、赤色範囲又は青色範囲に主波長を有する光を放出することができる。
【0026】
本発明の更に別の実施形態により、サブマウントと、サブマウント上に取り付けられたLEDと、LED上に及びサブマウント上に共形的に被覆された受容発光媒体とを含むパッケージ式発光装置を提供する。受容発光媒体は、固体光源によって放出された放射線をシアン色範囲内に及ぶFWHM帯域幅を有して緑色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第1の材料と、LEDによって放出された放射線を緑色範囲よりも上の波長を有する色範囲に第2のピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第2の材料とを含むことができる。
【0027】
本発明の付加的な実施形態により、サブマウントと、サブマウント上に取り付けられた青色範囲に主波長を有する光を放出する少なくとも2つのLEDと、少なくとも2つの青色LEDによって放出された光を受け取るために取り付けられた共形受容発光媒体とを含むパッケージ式LEDを提供する。共形受容発光媒体は、少なくとも2つの青色LEDによって放出された放射線をシアン色範囲内に及ぶFWHM帯域幅を有して緑色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第1の燐光体と、少なくとも2つの青色LEDによって放出された放射線を緑色範囲よりも上の波長を有する第2の色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第2の燐光体とを含むことができる。一部の実施形態では、第2の燐光体は、少なくとも2つの青色LEDによって放出された放射線を黄色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートすることができ、共形受容発光媒体は、少なくとも2つの青色LEDによって放出された放射線を赤色範囲にピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする少なくとも第3の燐光体を更に含むことができる。
【0028】
本発明の付加的な実施形態により、LEDがサブマウント上に取り付けられたパッケージ式LEDを形成する方法を提供する。LEDによって放出された放射線を第1のピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする少なくとも第1の材料と、LEDによって放出された放射線を第2のピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第2の材料と、LEDによって放出された放射線を第3のピーク波長を有する放射線にダウンコンバートする第3の材料とを含む発光溶液が調製される。この発光溶液は、次に、LEDの上及びサブマウント上に共形的に被覆される。
【0029】
一部の実施形態では、発光溶液は、LED上に及びサブマウン上に噴霧される。一部の実施形態では、LEDは、発光溶液がLEDの上へ噴霧された時にLEDが少なくとも摂氏約90度の温度であるように加熱される。加熱されたLEDからの熱は、発光溶液を硬化してLED上に共形受容発光媒体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】planckian軌跡の位置を示す「1931 CIE」色度図のグラフである。
図2】波長の関数としての従来の温白色固体照明装置によって放出された放射線の強度を示すグラフである。
図3】波長の関数としての異なる主波長を有する青色LEDを使用する3つの温白色固体照明装置によって放出される放射線の強度を示すグラフである。
図4】波長の関数としての本発明の実施形態による3つの異なる固体照明装置によって放出された放射線の強度を示すグラフである。
図5A】複数の従来の固体発光装置のメジアンCRIと比較した時の本発明の実施形態による複数の固体発光装置のメジアンCRIを示す図表である。
図5B図5Aを生成するのに使用される装置のメジアン光束を示す図表である。
図6A】複数の従来の固体発光装置及び本発明の実施形態による複数の固体発光装置の測定されたCRIを示す図表である。
図6B図6Aの図表からのデータのグラフである。
図7A】装置内に含まれた青色LEDの主波長の関数としての様々な固体発光装置のメジアンCRIを示すグラフである。
図7B】同じ主波長を有する青色LEDを有する従来の固体発光装置の光束の百分率としての図7Aの固体発光装置の光束を示すグラフである。
図8A】本発明の実施形態による固体発光装置の図である。
図8B】本発明の実施形態による固体発光装置の図である。
図8C】本発明の実施形態による固体発光装置の図である。
図8D】本発明の実施形態による固体発光装置の図である。
図9A】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含むパッケージ式発光装置の図である。
図9B】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含むパッケージ式発光装置の図である。
図9C】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含むパッケージ式発光装置の図である。
図9D】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含むパッケージ式発光装置の図である。
図10A】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含む別のパッケージ式発光装置の図である。
図10B】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含む別のパッケージ式発光装置の図である。
図10C】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含む別のパッケージ式発光装置の図である。
図10D】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含む別のパッケージ式発光装置の図である。
図11A】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含む更に別のパッケージ式発光装置の図である。
図11B】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含む更に別のパッケージ式発光装置の図である。
図11C】本発明の実施形態による複数のLEDチップを含む更に別のパッケージ式発光装置の図である。
図12A】本発明のある一定の実施形態によるLEDチップウェーハに発光媒体を適用するのに使用することができる製造段階を示す断面図である。
図12B】本発明のある一定の実施形態による発光媒体をLEDチップウェーハに適用するのに使用することができる製造段階を示す断面図である。
図12C】本発明のある一定の実施形態による発光媒体をLEDチップウェーハに適用するのに使用することができる製造段階を示す断面図である。
図12D】本発明のある一定の実施形態による発光媒体をLEDチップウェーハに適用するのに使用することができる製造段階を示す断面図である。
図12E】本発明のある一定の実施形態による発光媒体をLEDチップウェーハに適用するのに使用することができる製造段階を示す断面図である。
図13】本発明の更に別の実施形態による受容発光媒体をLEDチップウェーハに適用する作業を示す流れ図である。
図14A】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14B】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14C】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14D】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14E】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14F】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14G】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14H】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14I】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14J】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14K】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図14L】本発明の一部の実施形態による発光装置への受容発光媒体の適用を示す一連の概略図である。
図15A】本発明の一部の実施形態による受容発光媒体の適用を示す図である。
図15B】本発明の一部の実施形態による受容発光媒体の適用を示す図である。
図16】本発明の一部の実施形態による作業を示す流れ図である。
図17】本発明の一部の実施形態による受容発光媒体を堆積させる加圧堆積システムを示す概略図である。
図18】本発明の実施形態によるスプレーノズルを示す概略図である。
図19】本発明の一部の実施形態による発光装置上で受容発光媒体を堆積させるバッチ堆積システムを示す概略図である。
図20A】本発明の一部の実施形態による受容発光媒体のウェーハへの適用を示す概略図である。
図20B】本発明の一部の実施形態による受容発光媒体のウェーハへの適用を示す概略図である。
図20C】本発明の一部の実施形態による受容発光媒体のウェーハへの適用を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態は、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して以下でより完全に説明する。しかし、本明細書で定める実施形態に限定されたものと本発明を解釈すべきでない。むしろ、本発明の開示が徹底的かつ完全であり、かつ当業者に本発明の範囲を完全に伝達されるようにこれらの実施形態を示すものである。図面では、層及び領域の厚みは、明瞭さを期すために誇張されている。同様の数字は、全体にわたって同様の部分を指す。本明細書で使用する時の「及び/又は」という用語は、関連の記載品目の1つ又はそれよりも多くのいずれか又は全ての組合せを含む。
【0032】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的したものであり、本発明の制限であることを意図していない。本明細書で使用する時に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その語が明示的に他の場合を示さない限り複数形も含むことを意図とする。本明細書に使用する時の用語「comprises」及び/又は「including」及びその派生語は、定まった特徴、作業、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又はそれよりも多くの他の特徴、作業、要素、構成要素、及び/又はその群の存在又は追加を排除しないことは更に理解されるであろう。
【0033】
層、領域又、は基板のような要素が別の要素「上に」あるか又は別の要素「の上に」延びるという時に、それは、他の要素のすぐ上にあるか、又は他の要素のすぐ上に延びることができ、又は介在要素も存在することができることは理解されるであろう。これとは対照的に、要素が別の要素「のすぐ上に」あるか、又は別の要素「のすぐ上に延びる」という時は、介在する要素は存在しない。要素が別の要素に「結合された」又は「連結された」という時は、他の要素に直接に結合されるか又は直接に連結することができ、又は介在要素が存在することができることも理解されるであろう。これとは対照的に、要素が別の要素に「直接に結合された」又は「直接に連結された」という時は、介在する要素は存在しない。
【0034】
第1、第2のような用語を本明細書で使用して様々な要素、構成要素、領域、及び/又は層を説明することができるが、これらの要素、構成要素、領域、及び/又は層は、これらの用語により制限すべきでないことは理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領、域又は層を別の要素、構成要素、領域、又は層と区別するためにだけに使用するものである。従って、以下に説明する第1の要素、構成要素、領域、又は層は、本発明の教示から逸脱することなく第2の要素、構成要素、領域、又は層と呼ぶことができる。
【0035】
更に、相対的な用語「下側」又「底部」及び「上側」又は「上部」は、図に示すように別の要素との1つの要素の関係を説明するために本明細書で使用する場合がある。相対的な用語は、図に示す向きに加えて装置の異なる向きを包含するように意図していることは理解されるであろう。例えば、図中の装置がひっくり返された場合に、他の要素の「下側」であると説明した要素は、他の要素の「上側」に向くことになる。例示的な用語は「下側」は、従って、図の特定の向きに基づいて「下側」及び「上側」の両方の向きを包含する。
【0036】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する全ての専門用語及び科学用語は、本明細書が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。用語は、一般的に用いられる辞書内で定義されるような本明細書及び関連技術の関連における意味と合致する意味を有すると解釈すべきであり、かつ明示的に本明細書で定義されていない限り、理想化された又は過度に格式ばった意味で解釈しないことは更に理解されるであろう。
【0037】
本発明の実施形態は、本発明の理想とされた実施形態(及び中間構造体)の概略図である断面図を参照して本明細書に説明する。層の厚み及び図面内の領域は、明瞭さを期すために誇張される場合がある。更に、例えば、製造技術及び/又は公差の結果として、図の形状からの変形を予想することができる。従って、本発明の実施形態は、本明細書に示す領域の特定の形状に限定されると解釈すべきでなく、例えば、製造から生じる形状の偏りを含むべきである。
【0038】
本明細書で使用する時の「固体発光装置」という用語は、発光ダイオード、レーザダイオード、及び/又は他の半導体装置を含むことができ、これは、1つ又はそれよりも多くの半導体層を含むことができ、これは、シリコン、炭化珪素、窒化ガリウム、及び/又は他の半導体材料、任意的な基板を含むことができ、これは、サファイア、シリコン、炭化珪素、及び/又は他のマイクロエレクトロニクス基板、1つ又はそれよりも多くの接触層を含むことができ、これは、金属及び/又は他の導電材料を含むことができる。固体発光装置の設計及び製造は、当業者に公知である。「発光装置」という表現は、本明細書で使用する時に、光を放出することができる装置であることを除き、限定されたものではない。
【0039】
本発明の実施形態による固体発光装置は、ノースカロライナ州ダーラム所在のCreeインコーポレーテッドにより製造及び/又は販売される装置のような炭化珪素、サファイア、又は窒化ガリウム基板の上で製造されたIII〜V族窒化物(例えば、窒化ガリウム)ベースのLED又はレーザを含むことができる。このようなLED及び/又はレーザは、発光がいわゆる「フリップチップ」の向きの基板を通じて行われるように作動するように構成される場合がある(又は構成されない場合もある)。本発明の実施形態による固体発光装置は、陰極接点がチップの片側に、陽極接点がチップの反対側にある垂直装置と、両方の接点が装置の同じ側である装置を含む。本発明の一部の実施形態は、米国特許第7,564,180号明細書、米国特許第7,456,499号明細書、米国特許第7,213,940号明細書、米国特許第7,095,056号明細書、米国特許第6,958,497号明細書、米国特許第6,853,010号明細書、米国特許第6,791,119号明細書、米国特許第6,600,175号明細書、米国特許第6,201,262号明細書、米国特許第6,187,606号明細書、米国特許第6,120,600号明細書、米国特許第5,912,477号明細書、米国特許第5,739,554号明細書、米国特許第5,631,190号明細書、米国特許第5,604,135号明細書、米国特許第5,523,589号明細書、米国特許第5,416,342号明細書、米国特許第5,393,993号明細書、米国特許第5,359,345号明細書、米国特許第5,338,944号明細書、米国特許第5,210,051号明細書、米国特許第5,027,168号明細書、米国特許第5,027,168号明細書、米国特許第4,966,862号明細書、及び/又は米国特許第4,918,497号明細書、及び米国特許出願公開第2009/0184616号明細書、米国特許出願公開第2009/0080185号明細書、米国特許出願公開第2009/0050908号明細書、米国特許出願公開第2009/0050907号明細書、米国特許出願公開第2008/0308825号明細書、米国特許出願公開第2008/0198112号明細書、米国特許出願公開第2008/0179611号明細書、米国特許出願公開第2008/0173884号明細書、米国特許出願公開第2008/0121921号明細書、米国特許出願公開第2008/0012036号明細書、米国特許出願公開第2007/0253209号明細書、米国特許出願公開第2007/0223219号明細書、米国特許出願公開第2007/0170447号明細書、米国特許出願公開第2007/0158668号明細書、米国特許出願公開第2007/0139923号明細書、及び/又は米国特許出願公開第2006/0221272号明細書に説明されているような固体発光装置、装置パッケージ、固定具、発光材料/元素、電源、制御要素、及び/又は方法を使用することができる。
【0040】
可視光は、多くの異なる波長を有する光を含むことができる。可視光線の知覚色は、図1に示す「1931 CIE」色度図のような2次元色度図を参照して示すことができる。色度図により、色を色の加重和と定義する有用な基準が得られる。
【0041】
図1に示すように、「1931 CIE」色度図上の色は、全体的にU字形の区域に該当するx座標及びy座標(すなわち、色度座標又は色点)により定義される。その区域の外側又はその近くの色は、単一の波長又は非常に小さい波長分布を有する光で構成された飽和色である。区域の内部の色は、異なる波長の混合物で構成された非飽和色である。多くの異なる波長の混合物とすることができる白色光は、一般的に、図1で10と説明された領域において図の中心の近くに見られる。領域10のサイズにより検証されるように、「白色」と考えることができる光の多くの異なる色調がある。例えば、ナトリウム蒸気照明装置によって発生された光のような何らかの「白色」光は、色は黄色がかったように見える場合があり、一方、一部の蛍光照明装置によって発生された光のような他の「白色」光は、色はより青っぽく見える場合がある。
【0042】
一般的に緑色に見えるか、又は実質的な緑色成分を含む光は、白色領域10より上方にある領域11、12、及び13内にプロットされ、一方、白色領域10より下方の光は、一般的に桃色、紫、又は深紅色に見える。例えば、図1の領域14及び15内にプロットされた光は、一般的に深紅色(すなわち、赤色紫又は紫がかった赤色)に見える。
【0043】
2つの異なる光源からの光の2成分組合せは、2つの成分色のいずれかと異なる色を有するように現れる場合があることが更に公知である。結合光の色は、2つの光源の波長及び相対強度に依存する場合がある。例えば、青色光源及び赤色光源の組合せによって放出された光は、観測者には紫又はマジェンタに現れる場合がある。同様に、青色光源及び黄色の光源の組合せによって放出された光は、観測者には白色に現れる場合がある。
【0044】
図1のグラフ内の各点は、その色を有する光を放出する光源の「色点」と呼ばれる。図1に示すように、「黒体」軌跡16と呼ぶ色点の軌跡が存在し、様々な温度に加熱される黒体放射体によって放出された光の色点の位置に対応する。黒体軌跡16は、「planckian」軌跡とも呼ばれ、その理由は、黒体軌跡に沿ってある色度座標(すなわち、色点)は、プランクの方程式、E(λ)=Aλ-5/(eB/T−1)に従うからであり、ここで、Eは、放出強度であり、λは、放出波長であり、Tは、黒体の色温度であり、A及びBは定数である。黒体軌跡16の上又はその近くにある色座標により、観測者には感じの良好な白色光になる。
【0045】
加熱された物体が光り輝く時に、初めは赤みがかり、次に、黄色がかり、次に、白く、最後に青っぽく輝くが、その理由は、黒体放射体のピーク出力光に関連の波長が、温度の増大と共に漸進的に短くなるからである。これが発生するのは、黒体放射体のピーク出力光に関連の波長が、ウィーンの変位則に従って温度の増大と共に漸進的に短くなるからである。黒体軌跡上に又はその近くにある光を発生させる発光体は、従って、相関色温度(CCT)に関して説明することができる。本明細書で使用する時に、「白色光」という用語は、白色として察知される光を指す。この光は、「1931 CIE」色度図上の黒体軌跡の7つのマクアダム楕円内のあり、かつ2000K〜10,000Kの範囲のCCTを有する。4000KのCCTを有する白色光は、色が黄色がかって見える場合があり、一方、8000K又はそれよりも大きいCCTを有する白色光は、色がより青っぽく見える場合があり、「冷」白色光という場合がある。「温」白色光は、約2500Kと4500Kの間のCCTを有する白色光を説明するのに使用することができ、この白色光は、色が赤みがかっているか又は黄色がかっている。温白色光は、一般的に観測者には感じの良い色である。2500K〜3300KのCCTを有する温白色光は、特定の用途に対して好ましい場合がある。
【0046】
照明される物体内の色を正確に再現する光源の機能は、通常は、演色評価数(CRI)を使用して特徴付けられる。光源のCRIは、8つの基本色を照明した時に照明システムの演色が基準黒体放射体のそれとどのように比較されるかに関する相対測定値の修正された平均値である。従って、CRIは、特定のランプにより照明された時の物体の表面色のシフトの相対的な尺度である。CRIは、照明システムにより照明された1組の試験色の色座標が黒体放射体によって照明された同じ試験色の座標と同じである場合は100を等しい。日光は、一般的にほぼ100のCRIを有し、白熱電球は約95のCRIを有し、蛍光照明は、一般的に約70〜85のCRIを有し、一方、単色光源は、本質的にゼロのCRIを有する。50未満のCRIを有する一般照明用途のための光源は、一般的に非常に乏しいものと考えられ、経済的な問題により他の代替が排除される用途においてのみ使用される。70と80の間のCRI値を有する光源は、物体の色が重要ではない一般照明の用途を有し、何らかの一般的な内部照明に対して、80より大きいCRI値で問題はない。色座標が完全放射体軌跡16の4つのマクアダム偏差楕円内であり、かつ85を超えるCRIを有する光源の方が一般照明目的に適切である。CRI値が90を超える光源の方が色調が大きい。
【0047】
バックライト、一般照明、及び様々な他の用途に対して、光源によって照明される物体が人間の眼により自然の発色を有するように見えるように、多くの場合に比較的高いCRIを有する白色光を発生させる光源を設けることが望ましい。従って、このような光源は、赤色、緑色、及び青色の発光装置を含む固体照明装置のアレイを一般的に含むことができる。赤色、緑色、及び青色の発光装置が同時に通電された時に、得られる結合光は、赤色、緑色、及び青色の光源の相対強度に基づいて白色又はほぼ白色に現れる場合がある。しかし、赤色、緑色、及び青色の発光体の組合せである光さえも、特に発光体が飽和光を発生させる時には低いCRIを有する場合があり、その理由は、このような光は、多くの可視波長からの寄与がないと考えられるからである。
【0048】
本発明の一部の実施形態により、高いCRI値を有する温白色光を放出するLED及び他の固体発光装置を提供する。本発明の実施形態による固体照明装置は、90を超えるCRI値を有する光を放出することができ、かつ「1931 CIE」色度図の上に黒体軌跡の7つのマクアダム楕円内にあり、かつ約2500Kと約4500Kの間の相関色温度を有する色点を有することができる。他の実施形態では、固体照明装置は、90を超えるCRI値を有する光を放出することができ、かつ「1931 CIE」色度図上の0.385及び0.485ccxと0.380及び0.435ccyの間に存在する色点を有することができ、かつ約2500Kと約4500Kの間の相関色温度を有することができる。一部の実施形態では、相関色温度は、約2500Kと約3300Kの間に存在する。本発明の実施形態によるLEDは、類似のLEDを使用して類似の色点を有する従来の単一ダイLEDと比較すると、比較的高い光束でこれらの高いCRI値及び温白色光出力をもたらすことができ、その理由は、このような従来のLEDの方が、一般的にCRI値が低いか又は光束が低減しているからである。
【0049】
本発明の一部の実施形態によるLEDは、高い値CRI値を有する温白色光を供給する発光媒体を使用する。本明細書で、「発光媒体」という用語は、例えば、燐光体のような1つ又はそれよりも多くの発光材料を含む媒体を指す。広範な発光材料が公知であり、例示的な材料は、例えば、米国特許第6,600,175号明細書及び米国特許出願公開第2009/0184616号明細書に開示されている。燐光体に加えて、他の発光材料には、シンチレータ、昼光反射テープ、ナノ粒子燐光体、量子ドット、及び(例えば、紫外線)光で照明されると可視スペクトルで光を発するインクがある。例示的な発光媒体には、固体発光装置上に被覆された発光材料を含む層、及び部分的又は完全に1つ又はそれよりも多くの固体発光装置の上に配置された発光材料を含む透明封入剤(例えば、エポキシベース又はシリコーンベースの硬化可能な樹脂)がある。
【0050】
現在、青色範囲に主波長を有する放射線(例えば、465ナノメートルの主波長を有する放射線)を放出するLEDを含む単一ダイ固体照明装置が利用可能である。発光媒体は、ダイ上に、その上方に、及び/又はその周りに被覆又は配置され、又はLEDによって放出された青色光を受け取るように他の方法で配置される(本明細書で、LEDのような固体光源によって放出された光を受け取るように配置される発光媒体を「受容発光媒体」と呼ぶ)。受容発光媒体は、例えば、YAG:Ce燐光体粒子を有するシリコーン、その中に懸濁した(Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+燐光体粒子のような封入材料を含む。YAG:Ce燐光体粒子は、黄色光にLEDから受け取られた青色光をダウンコンバートし、(Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+燐光体粒子は、赤色光にLEDから受け取られた青色光をダウンコンバートする。図2は、波長の関数としてこのような固体照明装置によって放出された放射線の強度を示すグラフである。図2のグラフを生成するのに使用される例示的な装置は、456ナノメートルの主波長を有する青色LEDを使用して、80.1のCRIを有する温白色光を発生させる。ダウンコンバートされることなく終わりまで発光媒体を(又はその周りを)通過する青色LEDからの光は、456ナノメートルの図2の曲線Aでの狭いピークを生成する。黄色及び赤色の燐光体によりダウンコンバートされる青色LEDからの光は、600ナノメートルのすぐ上の図2の曲線A内の広いピークを生成する。本明細書において、図2のグラフを生成するのに使用される装置のような黄色燐光体と赤色燐光体とを有する受容発光媒体を含む単一ダイ固体照明装置は、黄色/赤色燐光体装置と呼ばれる。
【0051】
黄色光にLEDから受け取られた青色光をダウンコンバートする燐光体粒子及び赤色光にLEDから受け取られた青色光をダウンコンバートする燐光体粒子を含む受容蛍光シリコーン封入材料を有する青色範囲に主波長を有する放射線を放出するLEDを含む単一ダイ固体照明装置も現在利用可能である。これらの装置は、例えば、84〜94間のCRIのような大幅により高いCRI値を有する温白色光を生成する。本明細書において、これらの装置は、緑色/赤色燐光体装置と呼ばれる。しかし、緑色範囲にピーク波長を有する光を放出する燐光体は様々な他の燐光体よりも効率的ではない場合があるので、緑色/赤色燐光体装置は、類似の黄色/赤色燐光体装置の光束値より有意に低い(例えば、25〜30%又はそれよりも多く)光束値を有する場合がある。
【0052】
従来の黄色/赤色燐光体装置のCRI値を増大させるために、装置内に含まれる青色LEDの主波長を増大させる。特に、図3は、3つの異なる黄色/赤色燐光体装置によって放出された放射線の強度を示すグラフであり、ここで、3つの装置の間の唯一の差異は、その中で含まれる青色LEDの主波長である。
【0053】
図3では、曲線Aは、456ナノメートルの主波長を有する青色LEDを有する固体発光装置の出力を示す(曲線Aは、図2のグラフの曲線Aと同一である)。曲線Bは、464ナノメートルの主波長を有する青色LEDを有する固体発光装置の出力を示し、曲線Cは、472ナノメートルの主波長を有する青色LEDを有する固体装置の出力を示している。曲線A〜Cを生成するのに使用した装置において、装置の各々が図1に示す「1931 CIE」色度図上でほぼ同じ位置であった色を有する光を発生させるように黄色燐光体と赤色燐光体の比を変更する。特に、青色LEDによって放出された光の主波長を増大させる時に、含まれる赤色燐光体を増大して黄色燐光体を低減するように黄色と赤色の燐光体の比を変更する。従って、曲線Bを生成するのに使用した装置の受容発光媒体の方が、赤色と黄色の燐光体の比は、曲線Aを生成するのに使用した装置の受容発光媒体よりも高く、曲線Cを生成するのに使用した装置の受容発光媒体の方が、赤色と黄色の燐光体の比は、曲線Bを生成するのに使用した装置の受容発光媒体よりも高い。
【0054】
曲線A〜Cの各々に対して、y軸は、装置の正規化した光束を表し、ここで、各波長での光束は、その特定の曲線のピーク発光波長での光束の百分率としてグラフに示されている。従って、図3は、各装置に対して波長の関数としての光束の相対強度を示すが、3つの装置間の相対的な光束値を示すものではない。
【0055】
図3の曲線A及びBに示すように、青色LEDの主波長を456ナノメートル(曲線A)から464ナノメートル(曲線B)まで増大させた時に、シアン色範囲(シアン色範囲を本明細書では約480ナノメートルと500ナノメートルの間にピーク波長を有する光と定義)内の光束の百分率が、456ナノメートルの青色LEDを含む装置と比較すると増大する。図3にも示すように、この変更により、装置のCRIが曲線Aの装置の80.1から曲線Bの装置の84.3まで増大する。
【0056】
図3の曲線Cに示すように、青色LEDの主波長を更に472ナノメートルに増大させた時に、青色LEDの主波長がこの時点でちょうどシアン色範囲の外側にあるように、シアン色範囲の光束の百分率が更に増大する。従って、図3の曲線Cを生成するのに使用した装置に対して、シアン範囲の光束は、赤色及び黄色燐光体の組合せによって放出された光のピークでの光束の約半分であり、一方、曲線Aを生成するのに使用した装置に対して、シアン範囲の光束は、赤色及び黄色燐光体の組合せによって放出された光のピークでの光束の約10〜20%に過ぎない。図3に更に示すように、472ナノメートルに青色LEDの主波長を更にシフトすることにより、装置のCRIは、更に88.1に増大する。
【0057】
図3の曲線Cの装置はCRIの改善を示すが、90を超えるCRI値を有する単一ダイ温白色LEDが望ましい用途がある。本発明の実施形態により、温白色光を放出し、かつ例えば90を超えることができるCRI値のような比較的高いCRI値を有する単一ダイ固体発光装置を提供する。
【0058】
一部の実施形態では、これらの固体発光装置は、第1、第2、及び第3の燐光体がその中に含まれる受容発光媒体を含む青色LEDを含む。第1の燐光体は、緑色範囲にピーク波長を有する光に青色LEDから受け取られた光をダウンコンバートすることができる。この燐光体は、FWHM放出スペクトルが少なくともシアン色範囲の一部に該当するように十分に広いFWHM帯域幅を有することができる。一部の実施形態では、この第1の燐光体は、LuAG:Ce燐光体(すなわち、セリウムドープLuAG)を含むことができる。LuAG:Ce燐光体は、535〜545ナノメートルのピーク発光波長と約110〜115ナノメートルの間のFWHM帯域幅とを有することができる。従って、LuAG:Ce燐光体のFWHM帯域幅は、全てのシアン色範囲内に及ぶことができる。第2の燐光体は、緑色範囲にピーク波長を有する光に青色LEDから受け取られた光をダウンコンバートすることができる。一部の実施形態では、この第2の燐光体は、YAG:Ce燐光体を含むことができる。第3の燐光体は、赤色範囲にピーク波長を有する光に青色LEDから受け取られた光をダウンコンバートすることができる。一部の実施形態では、この第3の燐光体は、(Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+燐光体を含むことができる。
【0059】
一部の実施形態では、LuAG:Ce燐光体及びYAG:Ceは、ルテチウム、イットリウム、アルミニウム、及び酸素を含む単一のセリウムドープ構造体内で一緒に成長させることができる。例えば、LuAG:Ce燐光体及びYAG:Ceは、Lu1-xxAl512:Ce材料として一緒に実施することができる。そのような材料は、LuAG:Ce燐光体のような光を放出する第1の燐光体及びYAG:Ce燐光体のような光を放出する第2の燐光体として作用する(これによってLuAG:Ce燐光体のピーク波長とYAG:Ce燐光体のピーク波長の間のピークを有する結合スペクトルが得られる)。従って、第1及び第2の燐光体は、2つの別々の燐光体、すなわち、一緒に混合される2つの別々の燐光体、及び/又は両方の燐光体が同じ構造体内で共に成長する組成物を含むことができることが認められるであろう。
【0060】
本発明の一部の実施形態により、第1の燐光体は、第1のアルミニウムガーネットベースの燐光体を含むことができ、第2の燐光体は、第2のアルミニウムガーネットベースの燐光体を含むことができ、第3の燐光体は、窒化物又はオキシ窒化物ベースの燐光体を含むことも認められるであろう。これらの一部の実施形態では、第1の燐光体は、緑色範囲の光を放出することができ、第2の燐光体は、黄色の色の光を放出することができる。一部の実施形態では、第1の燐光体はLuAG:Ce燐光体を含むことができ、又はあらゆる他のアルミニウムガーネットベースの燐光体を含むことができ、第2の燐光体は、YAG:Ceを含むことができ、又はあらゆる他のアルミニウムガーネットベースの燐光体を含むことができる。第3の燐光体は、あらゆる適切な窒化物ベース又はオキシ窒化物ベースの燐光体を含むことができ、かつカルシウム及びストロンチウムベースの窒化物ベース又はオキシ窒化物ベースの燐光体に限定されない。第1及び第2のアルミニウムガーネットベースの燐光体の使用は、特定的な実施例では特定の利点を有することができ、その理由は、2つのアルミニウムガーネットベースの燐光体が例えば結合剤内で共に混合された時により優れた適合性を有することができるからであり、かつアルミニウムガーネットベースの燐光体が、より優れた安定性を示し、かつ発光媒体における使用に向けて他の望ましい特徴を有することができるからであることは理解されるであろう。
【0061】
図4は、波長の関数としての本発明の実施形態による3つの異なる固体照明装置によって放出された放射線の強度を示すグラフである。図4では、固体装置の全ては、464ナノメートルの主波長を有する青色LEDを使用する。曲線Dを生成するのに使用する装置において、発光装置は、黄色燐光体(YAG:Ce)と赤色燐光体((Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+)とを有する受容発光媒体を含む黄色/赤色燐光体装置であり、曲線Eを生成するのに使用する装置において、LEDは、緑色燐光体(LuAG:Ce)、黄色燐光体(YAG:Ce)、及び赤色燐光体((Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+)(本明細書では「緑色/黄色/赤色燐光体装置」)を有する受容発光媒体を含み、曲線Fを生成するのに使用する装置において、LEDは、緑色燐光体(LuAG:Ce)及び赤色燐光体((Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+)(本明細書では「緑色/赤色燐光体装置」)を有する受容発光媒体を含む。
【0062】
曲線Dに示すように、黄色/赤色燐光体装置は、86.6のCRI値を示している。この装置は、図2の曲線Bを生成するのに使用される装置と類似のものであるが、図1の「1931 CIE」色度図上で異なる位置で色点を有するのでCRIの改善を示している。しかし、装置は、依然としてシアン色範囲の光束の百分率が比較的低く、90を超えるCRIをもたらさない。
【0063】
これとは対照的に、曲線E及びFの装置は、両方とも90よりも大きいCRI値をもたらす。特に、曲線Eを生成するのに使用した緑色/黄色/赤色燐光体装置は、90.6のCRI値をもたらし、曲線Fを生成するのに使用した緑色/赤色燐光体装置は、91.4のCRI値をもたらす。各々の場合に、これらの装置は、シアン色範囲の光束の百分率が増大するが、これは、シアン色範囲に著しい放出量を有した緑色燐光体の介在に起因するものである。曲線Fは、曲線Fを生成するのに使用される装置内に黄色燐光体がないことによってスペクトルの主要なピーク(すなわち、600及び700ナノメートルの間のピーク)が右に(すなわち、高い方の波長に)シフトすることも示している。曲線D〜Fを生成するのに使用した装置において、装置の各々が、図1に示す「1931 CIE」色度図上でほぼ同じ位置であった色を有する光を発生させるように黄色燐光体と赤色燐光体の比が変更される。緑色燐光体を含む装置において赤色燐光体の百分率を増大させることによってこれをもたらす。
【0064】
図4から分るように、曲線E及びFを生成するのに使用した固体発光装置において、発光媒体内の緑色燐光体の介在は、従来の黄色/赤色燐光体装置によって放出された光に存在することができるシアン色範囲のスペクトル間隙の一部を「埋める」一助をすることができる。従って、本発明の実施形態による発光装置は、高いCRI値を示すことができる。
【0065】
図5A及び図5Bは、緑色/黄色/赤色燐光体装置を供給する発光媒体内の緑色燐光体の介在が、従来の黄色/赤色燐光体装置と比較すると装置の性能にどのように影響を与えるかを示す更に別のデータを示す。特に、図5Aは、同じ2つの温白色カラービンに該当する複数の従来の黄色/赤色燐光体装置のメジアンCRIと比較した2つの異なる温白色カラービン(カラービンは、「1931 CIE」色度図上の領域を指す)に該当する本発明の実施形態による複数の緑色/黄色/赤色燐光体装置のメジアンCRIを示している。図5Aに示すように、第1のカラービンにおいて、緑色燐光体の追加により、平均5%(85から90に)CRIが増大し、一方、第2のカラービンにおいて、緑色燐光体の追加により、平均7%(83から90に)CRIが増大する。従って、緑色燐光体の追加により、その結果として6%のCRIの平均的な増大となる。
【0066】
図5Bは、図5Aを生成するのに使用した装置のメジアン光束(ルーメン単位で)を示している。図5Bに示すように、第1の温白色カラーピンに該当する緑色/黄色/赤色燐光体装置の光束は、同じカラーピンに該当する黄色/赤色燐光体装置のメジアン光束より10%下回る。第2のカラーピンに対して、緑色燐光体の追加により、光束が平均14%減少する。従って、緑色燐光体の追加により、その結果として12%のCRIの平均的な減少となった。光束内のこの減少は、従来の緑色/赤色燐光体装置によって示される光束の減少を有意に下回るものであり、この減少は、25〜30%又はそれよりも多い場合がある。
【0067】
図6A及び図6Bは、本発明の実施形態による黄色/赤色燐光体装置及び緑色/黄色/赤色燐光体装置に及ぼす青色LEDの主波長の影響を示している。特に、図6Aの図表は、青色LEDの3つの主波長の各々での複数の黄色/赤色燐光体装置の測定されたCRI(458、462、及び466ナノメートル)、並びに青色LEDの7つの主波長の各々(455、457、462、464、470、471、及び474ナノメートル)での複数の緑色/黄色/赤色燐光体装置の測定されたCRIを示している。図6Bは、グラフ表示で図6Aの図表からのデータを示し、かつ黄色/赤色燐光体装置(曲線G)及び緑色/黄色/赤色燐光体装置(曲線H)のCRI値が青色LEDの主波長の関数としてどのように変わるかをより良好に示すように構成された曲線を示す。
【0068】
図6Bに示すように、緑色/黄色/赤色燐光体装置は、同じ波長では黄色/赤色燐光体装置より一般的にCRI値が高い。更に、緑色/黄色/赤色燐光体装置によって示されるCRI値は、黄色/赤色燐光体装置によって示されるCRI値より緩やかにピーク値から下降している。従って、本発明の実施形態による固体照明装置の方が高いCRI値を示すことができ、装置内に含まれた青色LEDの主波長のより広い範囲にわたって満足できるCRI性能を示すことができる。
【0069】
図7A及び図7Bは、装置内に含まれた青色LEDの主波長の関数としての従来の黄色/赤色燐光体装置と比較した本発明の実施形態により製造された緑色/黄色/赤色燐光体装置のCRI及び光束の差を更に示すグラフである。図7Aは、青色LEDの主波長の関数としての様々な装置のメジアンCRI値を示し、一方、図7Bは、同じ主波長を有する青色LEDを有する黄色/赤色燐光体装置の光束の百分率としての緑色/黄色/赤色燐光体装置の光束を示している。
【0070】
特に、図7Aの曲線Iは、緑色/黄色/赤色燐光体装置のCRIを示し、一方、曲線Jは、従来の黄色/赤色燐光体装置のCRIを示している。図7Aから明らかなように、緑色/黄色/赤色燐光体装置は、471ナノメートル未満の主波長を有する青色LEDに向けてより高いCRI値をもたらす。ピークCRIは、約464ナノメートルの波長に示されており、CRI値は、従来の黄色/赤色燐光体装置のCRI値よりも5.1%高い。CRI値内の改善は、464ナノメートルよりも小さい主波長の方が高い(すなわち、456ナノメートルで7.8%の改善)。図7Aは、更に、曲線Nと説明された単一のデータ点を含み、曲線Nは、464ナノメートルの主波長を有する青色LEDを使用した緑色/赤色燐光体装置の測定されたCRI値を示している。図7Aに示すように、この装置は、ほぼ92、すなわち、464ナノメートルで主波長を有する青色LEDを有する黄色/赤色燐光体装置のCRI値よりも7.1%大きく、更に高いCRI値を示している。
【0071】
図7Bをここで参照すると、曲線Lは、いくつかの従来の黄色/赤色燐光体装置の光束(ルーメン単位で)を示している。これらの光束値の全ては、0に正規化されたものである。曲線Mは、いくつかの緑色/黄色/赤色燐光体装置の光束(ルーメン単位で)を示し、光束値は、同じ主波長の青色LEDを有する黄色/赤色燐光体装置の光束値からの百分率の変化としてグラフに示されている。図7Aに示すように、緑色/黄色/赤色燐光体装置では、黄色/赤色燐光体装置と比較すると光束が減少している。光束の減少は、青色LEDの主波長が低いほど大きい(すなわち、類似の黄色/赤色燐光体装置と比較した光束の減少は、472ナノメートルの主波長を有する青色LEDに対しては8.2%であり、一方、類似の黄色/赤色燐光体装置と比較した光束の減少は、456ナノメートルの主波長を有する青色LEDに対しては12.5%である)。図7Bは、更に、曲線Nで説明された単一のデータ点を含み、曲線Nは、464ナノメートルの主波長を有する青色LEDを使用した緑色/赤色燐光体装置の正規化された光束を示している。図7Bに示すように、この装置は、従来の黄色/赤色燐光体装置と比較すると31.3%の光束の著しい損失を示している。従って、本発明の実施形態による緑色/黄色/赤色燐光体装置は、従来の黄色/赤色燐光体装置と比較すると確かに光束の損失を示しているが、この損失は、約8〜12%にすぎず、一方、曲線Nの従来の緑色/赤色燐光体装置及び緑色/赤色燐光体装置によって示される光束の比較損失は、2倍又はそれよりも大きい程度である。
【0072】
上述のように、一部の実施形態では、受容発光媒体は、主として緑色範囲である535ナノメートルと545ナノメートルの間のピーク周波数及び110−115ナノメートルのFWHMを有する光を放出するLuAG:Ce燐光体と、主として黄色範囲である545ナノメートルと565ナノメートルの間のピーク周波数及び115−120ナノメートルのFWHMを有する光を放出するaYAG:Ce燐光体と、主として赤色範囲である630ナノメートルと650ナノメートルの間のピーク周波数及び85−95ナノメートルのFWHMを有する光を放出する(Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+燐光体とを含むことができる。一部の実施形態では、LuAG:Ce燐光体とYAG:Ce燐光体の比は、重量比で約3:1と1:3の間とすることができる。より詳細な実施形態では、LuAG:Ce燐光体とYAG:Ce燐光体の比は、重量比で約1.5:1と1:1.5の間とすることができる。一部の実施形態では、LuAG:Ce燐光体及びYAG:Ce燐光体と赤色燐光体の組合せの比は、重量比約1:1と9:1の間とすることができる。
【0073】
本発明の実施形態では、例えば、青色又は紫外線LEDのような固体光源と、少なくとも固体光源によって放出された放射線の少なくとも一部をダウンコンバートする受容発光媒体とを含む発光装置を提供する。発光媒体は、シアン色範囲内に及ぶFWHM帯域幅を有して緑色範囲にピーク波長を有する放射線に固体光源によって放出された放射線をダウンコンバートする第1の燐光体のような材料と、他の色範囲にピーク波長を有する放射線に固体光源によって放出された放射線をダウンコンバートする1つ又はそれよりも多くの付加的な材料とを含むことができる。
【0074】
一部の実施形態では、第1の燐光体は、525ナノメートルと550ナノメートルの間にピーク波長を有する放射線に固体光源によって放出された放射線をダウンコンバートすることができ、かつ500ナノメートルよりも小さいFWHM帯域幅を有する。一部の実施形態では、1つ又はそれよりも多くの付加的な材料は、580ナノメートルを超えるピーク波長を有する放射線に共に固体光源によって放出された放射線をダウンコンバートする第2及び第3の燐光体とすることができる。一部の実施形態では、第2の燐光体は、ピーク波長と黄色範囲とを有する放射線に固体光源によって放出された放射線をダウンコンバートすることができ、第3の燐光体は、ピーク波長と赤色範囲とを有する放射線に固体光源によって放出された放射線をダウンコンバートすることができる。第1の燐光体は、LuAG:Ce燐光体とすることができ、第2の燐光体は、YAG:Ce燐光体とすることができ、第3の燐光体は、(Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+とすることができる。このような発光装置は、約2500Kと4500Kの間の相関色温度と、少なくとも90のCRI値と、「1931 CIE」色度図上の黒体軌跡の7つのマクアダム楕円内にある色点とを有する温白色光を放出することができる。一部の実施形態では、相関色温度は、約2500Kと約3300Kの間とすることができる。
【0075】
本発明の更に別の実施形態では、青色範囲に主波長を有する光を放出するLEDと、LEDによって放出された光の少なくとも一部をダウンコンバートするように構成された等角受容発光媒体とを含む発光装置を提供する。受容発光媒体は、緑色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートする少なくとも第1の燐光体と、緑色範囲よりも上の波長を有する第2の色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートする第2の燐光体と、緑色範囲よりも上の波長を有する第3の色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートする第3の燐光体とを含むことができる。第1の燐光体は、シアン色範囲内に及ぶFWHM発光帯域幅を有することができる。
【0076】
一部の実施形態では、受容発光媒体及びLED内に含まれた燐光体は、約2500Kと4500Kの間(代替的に、約2500K及び3300Kの間でさえも)の相関色温度を有し、及び/又は少なくとも90のCRIを有する温白色光を一緒に放出するように構成される。一部の実施形態では、第2の燐光体は、黄色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートし、第3の燐光体は、赤色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートする。第1の燐光体は、LuAG:Ce燐光体とすることができ、第2の燐光体は、YAG:Ce燐光体を含み、第3の燐光体は、(Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+燐光体を含む。
【0077】
更に別の実施形態では、青色範囲に主波長を有する光を放出するLEDと、LEDによって放出された光の少なくとも一部をダウンコンバートするように構成された受容発光媒体とを含む発光装置を提供する。受容発光媒体は、緑色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートする第1の材料と、緑色範囲よりも上の波長を有する第2の色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートする第2の材料とを含む。発光装置によって放出されたスペクトルは、青色範囲の第1のピーク、及び緑色範囲に関連の波長よりも長い波長の第2のピークを含む可視スペクトル内の2つの異なるピークを有する。
【0078】
一部の実施形態では、第1の材料は、緑色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートし、FWHM発光帯域幅としてシアン色範囲内に及ぶ例えばLuAG燐光体のような第1の燐光体とすることができ、第2の材料は、黄色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートする例えばaYAG:Ce燐光体のような第2の燐光体、及び赤色範囲にピーク波長を有する放射線にLEDによって放出された放射線をダウンコンバートする例えば(Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+燐光体のような第3の燐光体とすることができる。LEDは、約2500Kと4500Kの間(代替的に、約2500K及び3300Kの間でさえも)の相関色温度及び少なくとも90のCRIを有する温白色光を放出することができる。
【0079】
一部の実施形態では、LED(代替的に、他の固体発光装置)は、約430ナノメートル〜470ナノメートル間の主周波数を有する光を放出することができる。第1の燐光体は、約525〜545ナノメートル間のピーク周波数を有する光を放出することができる。第2の燐光体は、約545〜585ナノメートル間のピーク周波数を有する光を放出することができる。第3の燐光体は、約600〜650ナノメートル間のピーク周波数を有する光を放出することができる。
【0080】
緑色、黄色、及び赤色の燐光体の燐光体粒子は、直径(直径という用語は粒子が球面形状を必ずしも有するというわけではないので緩く使用)が変動する場合があり、約1ミクロン〜約30ミクロンの範囲である場合があり、粒子の約半分は、直径が約4ミクロン〜約20ミクロンの間である。一部の実施形態では、緑色、黄色、及び赤色の燐光体の粒子の少なくとも半分は、2ミクロンと20ミクロンの間の範囲のサイズ(直径)を有することができる。
【0081】
図8A図8Dを参照して本発明の実施形態による発光媒体を含む固体発光装置30に対してここに説明する。固体発光装置30は、パッケージ式LEDを含む。特に、図8Aは、レンズがその上にない固体発光装置30の斜視図である。図8Bは、反対側から見た装置30の斜視図である。図8Cは、レンズがLEDチップを覆う装置30の側面図である。図8Dは、装置30の底部斜視図である。
【0082】
図8Aに示すように、固体発光装置30は、単一のLEDチップ又は「ダイ」34が取り付けられた基板/サブマウント(サブマウント)32を含む。サブマウント32は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、有機絶縁体、プリント回路基板(PCB)、サファイア、又はシリコンのような多くの異なる材料で形成することができる。LED34は、異なる方法で配置された多くの異なる半導体層を有することができる。LED構造体及び製造及び作動は、一般的に当業技術で公知であり、従って、本明細書では簡潔に説明するに過ぎない。LED34の層は、例えば、金属有機化学気相堆積法(MOCVD)のような公知の工程を用いて製造することができる。LED34の層は、全てが成長基板上で連続的に形成される第1及び第2の逆にドープされたエピタキシャル層間に挟持された少なくとも1つの活性層/領域を含むことができる。一般的に、多くのLEDを例えばサファイア、炭化珪素、窒化アルミニウム(A1N)、又は窒化ガリウム(GaN)基板のような成長基板上で成長させて成長した半導体のウェーハをもたらし、このウェーハは、次に、個々のLEDダイに特異化することができ、個々のLEDダイをパッケージ内に取り付けて個々のパッケージ式LEDをもたらす。成長基板は、最終特異化LEDの一部として残ることができ、又は代替的に、成長基板は、完全に又は部分的に除去することができる。成長基板が残る実施形態では、光抽出を容易にするように成形及び/又はテクスチャ加工することができる。
【0083】
バッファ層、核生成層、接触層、及び電流拡散層、並びに光抽出層及び要素を含むがこれらに限定されない付加的な層及び要素をLED34内に含めることができることも理解される。逆ドープ層は、複数の層及び副層、並びに規則格子構造及び中間層を含むことができることも理解される。活性領域は、例えば、単一の量子井戸(SQW)、複数の量子井戸(MQW)、二重異構造、及び/又は規則格子構造を含むことができる。活性領域及びドープ層は、例えば、GaN、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、及び/又はアルミニウムインジウム窒化ガリウム(AlInGaN)のようなIII族窒化物ベースの材料システムを含む異なる材料システムから製造することができる。一部の実施形態では、ドープ層はGaN及び/又はAlGaN層であり、活性領域はInGaN層である。
【0084】
LED34は、約380nm〜約475nmの範囲に主波長を有する放射線を放出する紫外線LED、紫色LED、又は青色LEDとすることができる。
【0085】
LED34は、上面上の導電電流拡散構造体36、並びにワイヤ結合に向けて上面でアクセス可能である1つ又はそれよりも多くの接点38を含むことができる。拡散構造体36及び接点38は、両方とも、酸化物及び透明導電酸化物を導電化するAu、Cu、Ni、In、Al、Ag又はその組合せのような導電材料で製造することができる。電流拡散構造体36は、LED34上でパターンに配置された導電フィンガ37を含むことができ、フィンガは、接点38からLED34の上面に電流拡散を容易にするために離間している。作動時は、電気信号が、以下に説明するようにワイヤ結合を通じて接点38に印加され、電気信号は、電流拡散構造体36のフィンガ37を通じてLED34に拡散する。電流拡散構造体は、LEDに使用されることが多く、上面はp型であるが、n型材料に対しても使用することができる。
【0086】
LED34は、本発明の実施形態により、発光媒体39で被覆することができる。上述のように、この受容発光媒体39は、LEDがLED及び燐光体からの光の組合せを放出するように、LED光の少なくとも一部を吸収して光の異なる波長を放出する複数の燐光体(又は他の発光材料)を含むことができる。一部の実施形態では、受容発光媒体39は、その中で混合される(一緒に及び/又は別々の層で)緑色燐光体の粒子、黄色燐光体の粒子、及び赤色燐光体の粒子を含む。受容発光媒体39は、本発明の開示内に説明した受容発光媒体のいずれかを含むことができることは理解されるであろう。
【0087】
受容発光媒体39は、多くの異なる方法を用いてLED34上に被覆することができ、適切な方法は、両方とも「ウェーハレベル燐光体被覆方法及びその方法を利用して製造した装置」という名称の米国特許出願出願番号第11/656,759号明細書及び米国特許出願出願番号第11/899,790号明細書に説明されている。代替的に、受容発光媒体39は、電泳塗装(EPD)のような他の方法を用いてLED34上に被覆することができ、適切なEPD方法は、「半導体装置の閉ループ電泳塗装」という名称の米国特許出願第11/473,089号明細書に説明されている。LED34上に受容発光媒体39を被覆するか又は他の方法で適用するいくつかの例示的な方法に対して以下に説明する。
【0088】
環境的及び機械的保護を行うために、LED34にわたって光学要素又はレンズ70(図8C図8Dを参照されたい)をサブマウント32の上面40上に形成する。レンズ70は、「発光ダイオードパッケージ及びその製造方法」という名称の米国特許出願出願番号第11/982,275号明細書に説明されているような異なる成形技術を用いて成型することができる。レンズ70は、例えば、半球状のような多くの異なる形状とすることができる。シリコーン、プラスチック、エポキシ、又はガラスのような多くの異なる材料をレンズ70に使用することができる。光抽出を改善するためにレンズ70をテクスチャ加工することができる。一部の実施形態では、レンズ70は、受容発光媒体39を含むことができ、及び/又はLEDチップ34上へ直接に発光媒体39を被覆する代わりに及び/又はそれに加えてLED34の上に所定の位置に発光媒体39を保持するのに使用することができる。
【0089】
固体発光装置30は、異なるサイズ又は配置面積を有するLEDパッケージを含むことができる。一部の実施形態では、LEDチップ34の表面積は、サブマウント32の表面積の10%よりも多く又は15%でさえ覆うことができる。一部の実施形態では、LEDチップ34の幅Wとレンズ70の直径D(代替的に、正方形レンズに対しては幅D)の比は、0.5を超えることができる。例えば、一部の実施形態では、固体発光装置30は、ほぼ3.45mm2であるサブマウント32及びほぼ2.55mmの最大直径を有する半球レンズを有するLEDパッケージを含むことができる。LEDパッケージは、ほぼ1.4mm2であるLEDチップを保持するように配置することができる。この実施形態では、LEDチップ34の表面積がサブマウント32の表面を覆う割合は16%を超える。
【0090】
サブマウント32の上面40は、一体型第1の接触パッド44を有するダイ取付パッド42を含むことができるパターン化された導電特徴部を有することができる。第2の接触パッド46も、サブマウント32の上面40上に含まれ、LED34は、ダイ取付パッド42のほぼ中心部に取り付けられる。取付パッド42及び第1及び第2の接触パッド44、46は、例えば、銅のような金属又は他の導電材料を含むことができる。銅製パッド42、44、46は、銅製シード層上にメッキすることができ、銅製シード層は、チタン接着層上に形成される。パッド42、44、46は、標準的なリソグラフィ工程を用いてパターン化することができる。これらのパターン化された導電特徴は、公知の接触方法を用いたLED34との電気接続のための導電路になる。LED34は、公知の方法及び材料を用いて取付パッド42に取り付けることができる。
【0091】
間隙48(図8Aを参照されたい)は、サブマウント32の表面までの第2の接触パッド46と取付パッド42の間に含まれる。電気信号は、第2のパッド46及び第1のパッド44を通じてLED34に印加され、第1のパッド44上の電気信号は、取付パッド42を通じてLED34に直接に伝わり、第2のパッド46から信号は、ワイヤ結合を通じてLED34に入る。間隙48により、LED34に印加された信号の短絡を防止するために、第2のパッド46と取付パッド42の間の絶縁が行われる。
【0092】
図8C及び8Dを参照すると、それぞれ、少なくとも部分的に第1及び第2の接触パッド44、46と整列すべきサブマウント32の裏面54上に形成された第1及び第2の表面マウントパッド50、52を通じて第1及び第2の接触パッド44、46に外部電気接点を設けることにより、電気信号をパッケージ30に印加することができる。第1の取付パッド50に印加される信号が第1の接触パッド44に誘導されるように、第1の取付パッド50と第1の接触パッド44の間にサブマウント32を通じて導電性バイア56を形成する。同様に、2つのパッド間に電気信号を誘導するために、第2の取付パッド52及び第2の接触パッド46の間に導電バイア56を形成する。第1及び第2の取付のためのパッド50、52は、LEDパッケージ30の表面取付を可能にするものであり、LED34に印加すべき電気信号は、第1及び第2の装着パッド50、52にわたって印加される。
【0093】
パッド42、44、46は、LED34から離れる方向に熱を誘導するために熱伝導経路の拡張を提供する。取付パッド42がLED34よりもサブマウント32の表面の方を多く覆い、取付パッドは、LED34の端部からサブマウント32の端部に向けて延びる。接触パッド44、46も、バイア56とサブマウント32の端部の間にサブマウント32の表面を覆う。パッド42、44、46を拡張することにより、LED34から熱拡散を改善することができ、これは、LEDの作動寿命を改善し、及び/又はより高い作動電力を可能にすることができる。
【0094】
LEDパッケージ30は、第1及び第2の装着パッド50、52の間に、サブマウント32の裏面54上の金属被覆された領域66を更に含む。金属被覆された領域66は、熱伝導材料で製造することができ、かつLED34と少なくとも部分的に垂直方向に整列することができる。一部の実施形態では、金属被覆された領域66は、サブマウント32の上面上の要素、及びサブマウント32の裏面上の第1及び第2の装着パッド50、52と電気的に接点していない。LEDからの熱が取付パッド42及びパッド44、46によりサブマウント32の上面40上に拡散するが、より多くの熱が、LED34のすぐ下及びその周りのサブマウント32に入る。金属被覆された領域66は、この熱が金属被覆された領域66に拡散することを可能にすることによってこの消散を補助することができ、熱は、より容易に消散することができる。熱は、バイア56を通じてサブマウント32の上面40から伝わることができ、熱は、第1及び第2の装着パッド50、52に拡散することができ、熱は、消散することができる。
【0095】
図9A図9Dは、本発明の実施形態による複数のLEDチップと1つ又はそれよりも多くの受容発光媒体とを含むパッケージ式発光装置100を示している。図9Aは、パッケージ式発光装置100の斜視図である。図9Bは、パッケージ式発光装置100の平面図である。図9Cは、パッケージ式発光装置100の側面図である。図9Dは、パッケージ式発光装置100の下面図である。図9A図9Cの一部の要素は、様々な他の実施形態では省略するか又は違った位置決めの方法をすることができる要素であるので点線を使用して示すが、これらの要素は、代替的に、実線に示すことができることが認められるであろう。図9A図9Cで実線で描かれた様々な要素は省略するか又は位置決めし直すことができることが認められるであろう。
【0096】
図9Aに示すように、パッケージ式発光装置100は、共通の基板又はサブマウント102上に取り付けられた4つのLEDダイ104を含む。サブマウント102及びLED104は、例えば、図8A図8Dに関して上述したサブマウント及びLEDのいずれかとすることができる。一部の実施形態では、LED104は、例えば、各々、約380nm〜約475nmの範囲に主波長を有する放射線を放出する紫外線LED、紫色LED、又は青色LEDとすることができる。他の実施形態では、LED104の少なくとも1つは、約380nm〜約475nmの範囲に主波長を有する放射線を放出する紫外線LED、紫色LED、又は青色LEDとすることができる。一方、LED104の少なくとも1つの他のものは、550nmを超える主波長を有する放射線を放出するLEDとすることができる。例えば、一部の実施形態では、LED104は、青色範囲に主波長を有する放射線を放出する1つ又はそれよりも多くのLEDと、赤色範囲に主波長を有する放射線を放出する少なくとも1つ又はそれよりも多くのLED104とを含むことができる。
【0097】
一部の実施形態では、LED104の各々は、本発明の実施形態(図示せず)によって受容発光媒体で被覆することができる。上述のように、この受容発光媒体は、LEDがLED及び燐光体からの光の組合せを放出するように、LED光の少なくとも一部を吸収して光の異なる波長を放出する複数の燐光体(又は他の発光材料)を含むことができる。一部の実施形態では、受容発光媒体は、その中で混合される(一緒に及び/又は別々の層で)緑色燐光体の粒子、黄色燐光体の粒子、及び赤色燐光体の粒子を含む。受容発光媒体は、本発明の開示に説明した受容発光媒体のいずれかを含むことができることは理解されるであろう。
【0098】
受容発光媒体は、例えば、先に参照した米国特許出願出願番号第11/656,759号明細書、米国特許出願出願番号第11/899,790号明細書、又は米国特許出願出願番号第1/473,089号明細書に説明された被覆方法を使用してLED104がそこから成長したウェーハを被覆することにより、又は以下に説明するウェーハレベル又はダイレベルでLEDの上へ受容発光媒体を被覆するか又は他の方法で適用される例示的な方法のいずれかを含むあらゆる適切な方法でLED104に適用することができる。以下に説明するように、受容発光媒体は、代替的に、パッケージ式発光装置100のレンズ110の上へ堆積させ及び/又は内蔵することができ、又はレンズ110とLED104の間に設けることができる。レンズ110のようなレンズ上に又はその隣に受容発光媒体を設ける例示的な技術を以下に説明する。
【0099】
パッケージ式発光装置100内の各LED104は、発光装置30に関して上述した電流拡散構造体36、並びにワイヤ結合に向けて上面でアクセス可能である1つ又はそれよりも多くの接点108のような上面上の導電電流拡散構造体106を含むことができる。環境的及び機械的保護を行うために、4つのLED104にわたって光学要素又はレンズ110をサブマウント102の上面40上に形成する。レンズ110は、図8A図8Dの発光装置30に関して上述したレンズ70のいずれかを含むあらゆる適切なレンズとすることができる。一部の実施形態では、受容発光媒体は、LED110上に堆積され、及び/又はLED110内に含めることができ、又はレンズ110は、LEDチップ104の各々の上へ直接に発光媒体を設ける代わりに及び/又はそれに加えてLED104の上の所定の位置に発光媒体を保持するのに使用することができる。
【0100】
図9A図9Cは、各LED104の上部側に取り付けられた2つのワイヤ結合を示すが、使用するワイヤ結合を増加又は低減することができることは認められるであろう。図示の実施形態では、2つのワイヤ結合が各LED104に取り付けられ、各LED104は、LEDのn型層との2つの接点、LEDのp型層との2つの接点、又はLEDのn型層との1つの接点及びp型層との1つの接点を含むことができる。付加的な接点を各LED104の底部側に設けることができる。例えば、図9A図9Cの発光装置100内のLED104の特定の1つに取り付けられた2つのワイヤ結合がLED104のn型層上の接触パッドに取り付けられたワイヤ結合を含む場合に、発光装置104のp側層との外部接点をもたらすために1つ又はそれよりも多くの付加的な接点(例えば、接触パッドとすることができる)をLED104の底部側に設けることができる。
【0101】
直列、並列、又はその組合せでLED104を電気的に接続するのに使用することができる付加的なワイヤ結合又は他の接触構造体を設けることができることも認められるであろう。2つのこのようなワイヤ結合109を図9A図9Bに示している。
【0102】
サブマウント102の上面は、LED104上に取り付けることができる取付パッド112を含むことができるパターン化された導電特徴を有することができる。例えば、図8A図8Bの発光装置30及び/又は取付パッド112との電気接続部に関して上述したような公知のワイヤ結合及び接点方法を用いてLED104の各々との電気接点を製造ことができる。取付パッド112を含むパターン化された導電特徴は、反射上面を有することができる。本発明の実施形態による受容発光媒体は、一部の実施形態ではこれらのパターン化された導電特徴上へ被覆するか又はそうでなければ堆積させることができ、それによってこれらの反射面に衝突するLED104によって放出された光を更にダウンコンバートするように働くことができる。
【0103】
パッケージ式発光装置100(図9D)の底部側は、パッケージ式発光装置30(一部の場合により大型ではあるが)の底部側と実質的に同一とすることができ、従って、更なるその説明を本明細書では割愛する。サブマウント102の裏面上に形成された第1及び第2の表面のマウントパッド(図示せず)との外部的な電気的接触を行うことにより、電気信号をパッケージ式発光装置100に印加することができる。この電気信号は、電気信号を図8A図8DのLED34に供給するという上述の同じ方法でLED104の各々に印加することができる。
【0104】
図10A図10Dは、本発明の実施形態による複数のLEDチップと1つ又はそれよりも多くの受容発光媒体とを含むパッケージ式発光装置120を示している。図10Aは、パッケージ式発光装置120の斜視図である。図10Bは、パッケージ式発光装置120の平面図である。図10C及び図10Dは、パッケージ式発光装置120の側面図及び下面図である。
【0105】
図から明らかなように、図10A図10Dのパッケージ式発光装置120は、図9A図9Dのパッケージ式発光装置100と非常に類似である。2台の装置100、120間の主な相違点は、装置100が2つの上部側接点を有し、従って、各LEDチップ104とサブマウント102の間の2つの上部側ワイヤ結合109を有するLED104を使用し、一方、装置120は、単一の上部側接点を有し、従って、各LEDチップ124とサブマウント122の間の単一の上部側ワイヤ結合を有するLED124を使用するということである。本発明の実施形態(図示せず)により、パッケージ式発光装置120内のLED124の各々は、具体的には、その中で混合される(一緒に及び/又は別々の層で)緑色燐光体の粒子、黄色燐光体の粒子、及び赤色燐光体の粒子を含む受容発光媒体を含む受容発光媒体に関連して作動させることができる。受容発光媒体は、LED124の上面上に堆積し、パッケージ式発光装置120のレンズ130上に堆積し及び/又はその内に含められ、及び/又はレンズ130とLED124の間に設けることができる。
【0106】
受容発光媒体は、LED124又はレンズ130に適用されるか、又は例えばパッケージ式発光装置100に関して上述した方法及び/又は以下に説明する様々な付加的な方法の各々を含むあらゆる適切な方法でその間に取り付けることができる。
【0107】
図11A図11Dは、本発明の実施形態による複数のLEDチップと1つ又はそれよりも多くの受容発光媒体とを含むパッケージ式発光装置140を示している。図11Aは、パッケージ式発光装置140の斜視図である。図11Bは、パッケージ式発光装置140の平面図である。図11Cは、パッケージ式発光装置140の側面図である。
【0108】
図11A図11Dのパッケージ式発光装置120は、図9A図9Dのパッケージ式発光装置100と類似のものであり、主な相違点は、パッケージ式発光装置は、パッケージ式発光装置100内に含まれた4個のLED104に対して合計12個のLED144を含むということである。パッケージ式発光装置140内のLED144の各々は、本発明の実施形態により、具体的には、その中で混合される(一緒に及び/又は別々の層で)緑色燐光体の粒子、黄色燐光体の粒子、及び赤色燐光体の粒子を含む受容発光媒体を含む受容発光媒体に関連して作動させることができる。受容発光媒体は、LED144の上面上に堆積し、パッケージ式発光装置140のレンズ130上に堆積し及び/又はその内に含められ、及び/又はレンズ150とLED144の間に設けることができる。受容発光媒体は、LED144又はレンズ150に適用されるか、又は例えば本明細書に説明する受容発光媒体を堆積する方法のいずれかを用いてその間に取り付けることができる。パッケージ式発光装置140は、異なる数のLED及び適切なワイヤ結合及び接点を有することを除きパッケージ式発光装置100と本質的に同一とすることができ、従って、パッケージ式発光装置140に対して更に説明することを割愛する。
【0109】
図8A図11Cは、本発明の実施形態による受容発光媒体を含むことができるいくつかの例示的なパッケージ式発光装置を示すが、これらの受容発光媒体は、一般的にあらゆる適切なパッケージ式発光装置と共に使用することができることが認められるであろう。更に別の例として、付加的な例示的パッケージ式LEDが、2009年4月28日出願の米国特許仮出願第61/173,550号明細書に開示されており、この特許の開示内容全体は、あたかも本明細書で全体が定められるように引用により本明細書に組み込まれている。本発明の実施形態による受容発光媒体は、この特許米国特許仮出願明細書に開示するパッケージ式LEDのいずれかに対して使用することができる。
【0110】
上述のように、一部の実施形態では、例えば、ウェーハを個々のLEDチップに分離/特異化する前に、本発明の実施形態による受容発光媒体を半導体のウェーハの表面上へ直接に被覆することができる。受容発光媒体を適用する1つのこのような工程をここで図12A図12Eに関して説明する。図12A図12Eの実施例では、受容発光媒体を複数のLEDチップ210上に被覆する。この実施形態では、各LEDチップ210は、上部接点224及び底部接点222を有する垂直に構造化された装置である。
【0111】
図12Aを参照すると、複数のLEDチップ210(2つのみを図示)が、製造工程のウェーハレベルに示されている(すなわち、ウェーハを個々のLEDチップに分離/特異化する前)。LEDチップ210の各々は、基板220上に形成された半導体LEDを含む。LEDチップ210の各々は、第1及び第2の接点222、224を有する。第1の接点222は、基板220の底部上にあり、第2の接点224は、LEDチップ210の上部上にある。この特定の実施形態では、上部接点224は、p型接点であり、基板220の底部上の接点222は、n型接点である。他の実施形態では、接点222、224と違った配置の方法を取ることができることが認められるであろう。例えば、一部の実施形態では、接点222及び接点224は、LEDチップ210の上面上に形成することができる。
【0112】
図12Bに示すように、LEDチップ210に発光媒体を被覆した後にp型接点224と電気的接触を行うために利用する上部接点224上に導電接点ペデスタル228を形成する。ペデスタル228は、多くの異なる導電材料で形成することができ、電気メッキ、マスク堆積(電子ビーム、スパッタリング)、無電解メッキ、又はスタッドバンピングのような多くの異なる公知の物理的又は化学材料堆積工程を用いて形成することができる。ペデスタル228の高さは、発光媒体の望ましい厚みに基づいて変わる可能性があり、後の段階において堆積される発光媒体コーティングの上面に適合するか又はそれを超えて延びるのに十分な高さであるべきである。
【0113】
図12Cに示すように、LEDチップ210、接点222、及びペデスタル228の各々を覆う受容発光媒体コーティング232によりウェーハが覆い隠される。発光媒体コーティング232は、結合剤及び複数の燐光体を含むことができる。燐光体は、例えば、本発明の実施形態により、上述の燐光体の組合せを含むことができる。結合剤に使用する材料は、例えば、シリコーン、エポキシ、ガラス、無機ガラス、スピンオンガラス、誘電体、BCB、ポリイミド、ポリマーのような硬化後に堅牢であり、かつ可視波長スペクトルで実質的に透明である材料とすることができる。発光媒体コーティング232は、スピンコーティング、分注、電泳塗装、静電塗装、印刷、ジェット印刷、又はスクリーン印刷のような異なる工程を用いて適用することができる。更に別の適切なコーティング技術は、2010年3月3日出願の米国特許出願出願番号第12/717,048号明細書に開示されており、この特許の内容は、引用により本明細書に組み込まれている。発光媒体コーティング232は、次に、適切な硬化方法(例えば、熱、紫外線(UV)、赤外線(IR)又は空気乾燥)を用いて硬化させることができる。
【0114】
燐光体粒子のサイズ、燐光体適用の百分率、結合剤材料の型、燐光体の種類と放出光の波長の間の適合の効率、及び発光媒体コーティング232の厚みを含むがこれらに限定されない異なるファクタにより、最終LEDチップ210内の発光媒体コーティング232により吸収されるLED光の量が決まる。本発明により、多くの異なる燐光体を受容発光媒体コーティング232に使用することができる。上述のように、一部の実施形態では、受容発光媒体コーティング232は、緑色燐光体、黄色燐光体、及び赤色燐光体を含むことができる。緑色燐光体は、シアン色範囲の中に又は更にその範囲全体にわたって及ぶ場合があるFWHM帯域幅を有する場合がある。緑色燐光体は、例えば、LuAG:Ceを含むことができる。緑色範囲で又はその近くで発光する他の燐光体には、Sr65BO20:Eu、MSi222:Eu2+、及び(Zn,Cd)S:Cu:Alを有する硫化亜鉛:Ag、又は他の組合せがあるがこれらに限定されない。例えば、黄色燐光体は、YAG:Ceを含むことができる。他の適切な黄色燐光体は、Tb3-xREx12:Ce(TAG)を含み、ここで、RE=Y、Gd、La、Lu、及びSr2-x-yBaxCaySi04:Euである。赤色燐光体は、例えば、(Ca1-xSrx)SiAlN3:Eu2+を含むことができる。ある一定の実施形態に使用することができる他の赤色又は橙色燐光体は、Lu23:Eu3+、(Sr2-xLax)(Ce1-xEux)O4、Sr2Ce1-xEux4;Sr2-xEuxCeO4、SrTiO3:Pr3+,Ga3+、CaAlSiN3:Eu2+、及び/又はSr2Si58:Eu2+を含む。多くの他の燐光体を単独で又は組み合わせて使用して望ましい結合スペクトル出力をもたらすことができることは理解されるであろう。
【0115】
10〜100ナノメートル(nm)サイズの粒子〜20〜30μmサイズの粒子の1つ又はそれよりも多くを含むがこれらに限定されない異なるサイズの燐光体粒子を使用することができる。一般的に、大き目のサイズの粒子よりも小さ目のサイズの粒子の方が色を散乱して良く混ぜてより均一な光が得られる。一般的に、粒子が大きいほど、小さい粒子と比較されると光の変換に効率的であるが、放出する光が均一ではない。一部の実施形態では、緑色、黄色、及び赤色の燐光体の燐光体粒子は、サイズは約1ミクロン〜約30ミクロンの範囲である場合があり、粒子の約半分は、約4ミクロン〜約20ミクロンの間である。一部の実施形態では、緑色、黄色、及び赤色の燐光体の粒子の少なくとも半分は、2ミクロンと20ミクロンの間の範囲のサイズ(直径)を有することができる。端面コーティング232が、有効に光を散乱させて混合するための小さ目のサイズと、効率的に光を変換するための大き目のサイズの望ましい組合せを有することができるように、適用する前に、異なるサイズの燐光体を必要に応じて受容発光媒体232コーティング内に含めることができる。
【0116】
コーティング232は、結合剤内の燐光体材料の異なる濃度又は充填量を有することができ、一般的な濃度は、30〜70重量%の範囲である。一実施形態では、燐光体濃度は、ほぼ65重量%であり、結合剤を通して一般的に均一に分散させることができる。他の実施形態では、コーティング232は、異なる濃度又は種類の燐光体の複数の層を含むことができ、複数の層は、異なる結合剤材料を含むことができ、層の1つ又はそれよりも多くは、燐光体なしで設けることができる。例えば、透明シリコーンの第1のコートを堆積させ、次に、燐光体を含む層を堆積することができる。別の例として、コーティングは、例えば、直接にLEDチップ210上に被覆する緑色範囲にピーク波長を有する第1の燐光体を有する第1の層と、第1の層のすぐ上に被覆する黄色の色範囲でピーク波長を有する第2の燐光体を有する第2の層と、第2の燐光体のすぐ上に被覆する赤色範囲のピーク波長による第3の燐光体を有する第3の層とを含む3つの層コーティングを含むことができる。同じ層内に複数の燐光体を含む多層を含む多くの他の層状構造が可能である。中間層又は要素を層間に及び/又はコーティングと下にあるLEDチップ210の間に設けることができる。
【0117】
受容発光媒体コーティング232でのLEDチップ210の初期コーティング後に、ペデスタル228を露出させるために更に別の処理が必要である。図12Dをここで参照すると、コーティング232の上面を通じてペデスタル228を露出させるためにコーティング232は薄肉化又は平坦化される。薄肉化工程では、ペデスタル228を露出させ、コーティング232を平坦化し、かつコーティング232の最終厚みの制御を可能にするものである。望ましい色点/範囲に到達し、依然としてペデスタル228を露出させるように、ウェーハにわたるLED210の作動特性及び選択した燐光体(又は蛍光性)材料の特性に基づいて、コーティング232の端部厚みを計算することができる。コーティング232の厚みは、ウェーハにわたって均一又は不均一とすることができる。
【0118】
図12Eに示すように、コーティング232を適用した後に、ダイスカット、スクライビング及び破断、又はエッチングのような公知の方法を用いて個々のLEDチップ210をウェーハから特異化することができる。特異化工程では、LEDチップ210の各々を分離し、各々は、コーティング232と実質的に同じ厚み、従って、実質的に同量の燐光体、従って、実質的に同じ発光特性を有する。LEDチップ210の特異化の後に、コーティング232の層は、LED210の側面上に残り、LED210の側面から放出される光は、コーティング232及び燐光体粒子も通過する。従って、それによって側面放出光の少なくとも一部の変換が行われ、それによって異なる視野角でより一貫した発光特性を有するLEDチップ210をもたらすことができる。
【0119】
特異化の後に、LEDチップ210は、燐光体を追加する更に別の処理を必要とせずにパッケージ内に又はサブマウント又はプリント回路基板(PCB)に取り付けることができる。一実施形態では、パッケージ/サブマウント/PCBは、従来のパッケージリードを有することができ、ペデスタル228は、リードに電気的に接続される。従来の封入により、次に、LEDチップ210及び電気接続部を取り囲むことができる。
【0120】
本発明の更に別の実施形態により、発光装置が硬化剤に露出される間に受容発光媒体を発光装置に適用することができる。硬化剤は、例えば、熱、放射線、発光装置上に又はその中に存在する材料又は受容発光媒体の硬化の速度を上げる他の薬剤とすることができる。
【0121】
受容発光媒体の適用中に硬化剤として熱を印加する発光装置上へ受容発光媒体を適用する作業を示す流れ図である図13をここで参照する。発光装置は、例えば、特異化の前に、特異化したLEDチップ又はLEDウェーハを含むことができる。図13の流れ図に示すように、1つ又はそれよりも多くの加熱装置により発光装置を加熱する(ブロック250)。加熱装置は、例えば、電気抵抗性加熱構成要素、誘導加熱構成要素、及び/又は燃焼関連の加熱構成要素を含むことができる。一部の例示的な実施形態では、発光装置を加熱し、次に、加熱作業後に処理することができ、一方、他の例示的な実施形態では、加熱装置は、後述する作業を通して熱を供給するように構成することができる。一部の実施形態では、発光装置を約90°摂氏〜摂氏約155度の範囲の温度まで加熱することができる。
【0122】
受容発光媒体は、加熱した発光装置に適用される(ブロック252)。一部の実施形態では、受容発光媒体は、加圧ガスの流動を使用して霧化することができる発光溶液の形態で適用することができる。一般的に、発光溶液は、液体混合物を含むが、「溶液」という用語は、このような混合物が均質であるか否かに関わらずかつ材料の形態と無関係に、材料のあらゆる混合物を対象とするように本明細書で広義に使用される。霧化発光溶液は、加圧ガスの流動を使用して加熱した発光装置上へ噴霧するか、又は他の方法で付着させることができる。一例として、霧化発光溶液は、加圧空気式噴霧システムを使用して、加熱した発光装置上へ噴霧することができる。霧化発光溶液は、異なる及び/又は複数の角度、方向、及び/又は向きで適用することができることが認められるであろう。
【0123】
一部の実施形態では、発光溶液は、揮発性液体溶剤及び結合剤材料を含む溶液中に懸濁される燐光体粒子のような波長変換粒子を含む。このような実施形態では、揮発性液体溶剤は、発光装置上で波長変換粒子の共形層が得られるように、加熱した発光装置内の熱エネルギを通じて少なくとも部分的に蒸発させることができる。一部の実施形態では、発光溶液は、代替的に又は追加的に、不揮発性の液体を含むことができる。このような実施形態では、不揮発性液体は、加熱した発光装置内の熱エネルギを通じて硬化させることができる。
【0124】
一部の実施形態では、発光装置は、1つ又はそれよりも多くのワイヤ結合パッドが上にある上面と、1つ又はそれよりも多くのワイヤ結合パッドが上にある底面とを有することができる特異化した発光装置とすることができる。
【0125】
それぞれのワイヤは、発光装置を加熱する前にかつ発光装置上へ発光溶液を噴霧する前にこれらのワイヤ結合パッドに接合することができる。他の実施形態では、発光装置は、発光溶液を受け取る半導体のウェーハを含むことができ、このウェーハは、次に、受容発光媒体層をその上に形成した後に複数の個々の発光装置に特異化することができる。
【0126】
一部の実施形態では、複数の層を発光装置に適用して受容発光媒体を形成することができる。これらの層は、同じである場合もあれば、同じではない場合もある。例えば、第1の層は、第1の組の少なくとも1つの発光材料を含むことができ、第2の層は、第2の組の少なくとも1つの発光材料を含むことができ、第1及び第2の組は、異なるものである。加熱した発光装置上に堆積されると各層が急速に硬化することができるので、その後の層をその直後に適用することができる。しかし、一部の実施形態では、発光装置を層間に自然乾燥させ、次に、その後に適用する層に向けて再び加熱することができる。
【0127】
図14A図14Lは、発光装置上で受容発光媒体を形成するために本発明の更に別の実施形態による発光装置に発光溶液354を適用する作業を示している。図14A及び図14C図14Lに関して説明する実施形態では、発光溶液354を基板360上に取り付けられた特異化した発光装置370(図14A及び図14C図4Lの実施例では、LEDチップ370であると図示)に適用する。基板360は、発光装置370のエピタキシャル層を成長させた成長基板及び/又はエピタキシャル層が移送された担体基板を含むことができる。発光溶液354は、本明細書で後に説明するように、レンズ394及び/又はLEDチップ370の反射器カップ362に同じく及び/又は代替的に適用することができる。発光溶液354は、例えば、裸(すなわち、装着なし)LEDダイに及び/又はLEDウェーハ(図14Bを参照されたい)に類似の方法で適用することができる。
【0128】
図14Aに示すように、加熱装置337は、LEDチップ370に熱を供給することができる。一部の実施形態では、ノズル350は、加熱したLEDチップ370上へ発光溶液354を噴霧して、その上に受容発光媒体380を設けるように構成される。受容発光媒体380は、共形層とすることができる。
【0129】
図14Bに示すように、発光装置370は、代替的に、加熱装置337により加熱されるLEDチップのウェーハ370’を含むことができ、発光溶液354は、チップ370’のウェーハの露出面に適用してその上の共形受容発光媒体380を設けることができる。図14Bの実施形態では、個々のLEDチップを設けるために発光溶液354を適用した後にウェーハ370’を特異化することができる。例えば、ウェーハのような広い領域を噴霧する際には、ノズル350の速度及び高さを調節してこのような区域上に均一な有効範囲をもたらすことができる。一部の実施形態では、共形層の均一性が得られるように発光溶液354の適用の前にノズル350の加速を利用することができる。一部の実施形態では、発光溶液354を同じ作業において複数のウェーハに適用して、更に、均一性を改善し、及び/又は加速の部分中に発光溶液の無駄を低減することができる。更に、工程温度を変えることにより、望ましい有効範囲をもたらすように適用後の流動度を制御することができる。
【0130】
図14Cに示すように、LEDチップ370を基板360上に取り付けることができる。LEDチップ370は、結合パッド及び/又はサブマウント(図示せず)のような中間構造体を通じて基板360上に取り付けることができる。一部の実施形態では、LEDチップ370は、基板360の上に設けられている反射器カップ362により定められた光キャビティ364内に取り付けることができる。反射器カップ362は、光キャビティ364から離れる方向にLEDチップ370によって放出された光を反射するように構成されたLEDチップ370に対向する傾斜反射面366を含む。反射器カップ362は、更に、レンズ94(図14Dを参照されたい)を受け止めかつ保持する溝を定める上方に延びる側壁362Aを含む。
【0131】
反射器カップ362は、任意的である。例えば、LEDチップ370は、LEDチップ370周りの反射器なしに基板360、プリント回路基板、又は他の支持部材上に取り付けることができる。更に、反射器カップ362及び基板360は、単一構造体として互いに統合することができる。基板360は、リードフレームを含むことができ、パッケージの本体は、光キャビティ364を定めるためにLEDチップ370を取り囲むリードフレーム上に形成することができる。同様に、LEDチップ370は、図8A図11Cを参照して上述した例示的なパッケージのいずれかの内部に取り付けることができる。従って、LEDチップ370は、多くの異なる方法で取り付けることができ、本発明は、特定のパッケージ構成に限定されないことが認められるであろう。
【0132】
図14Cを依然として参照すると、LEDチップ370は、ワイヤ結合パッド372を含むことができ、ワイヤ結合接続部374は、ワイヤ結合パッド372から基板360上の対応する接触パッド(図示せず)まで又は他の位置に形成することができる。しかし、LEDチップ370は、チップの同じ側に陽極及び陰極接点を有する水平LEDチップとすることができ、かつ一部の実施形態では、接合ワイヤ接続をLEDチップに行う必要がないように基板360上にフリップチップで取り付けることができることが認められるであろう。
【0133】
図14Cに示すように、発光溶液354は、スプレーノズル350に液体供給ライン336を通じて供給することができる。一部の実施形態では、発光溶液354は、液体溶剤、結合剤、及び燐光体材料を含むことができる。加熱装置337は、熱339を印加してLEDチップ370、基板360、反射器カップ362、及びワイヤ結合パッド372の温度を上げることができる。供給ライン336内の発光溶液354をLEDチップ370上へ噴霧すると、受容発光媒体380として作用する霧化結合剤、溶剤、及び燐光体材料の薄層が更に形成される。加熱したLEDチップ370及び基板360からの熱エネルギは、適用した結合剤、溶剤、及び燐光体を急速に硬化させることができる(本明細書では「スナップ硬化」とも呼ぶ)。適用した結合剤、溶剤、及び燐光体をスナップ硬化させることにより、実質的に均一で共形受容発光媒体380をLEDチップ370及び基板360上に設けることができる。結合剤材料は、シリコーン及び/又はエポキシのような材料を含むことができる。一部の実施形態では、液体溶剤は、アルコールのような揮発性液体溶剤を含むことができる。供給ライン336は、発光溶液354の堆積前にパージすることができる。
【0134】
揮発性溶剤液体は、加熱した基板360及びLEDチップ370の熱エネルギにより蒸発させることができ、結合剤材料内に燐光体粒子(及び一部の場合に発光溶液354内にあることができる拡散剤粒子のような他の要素)が残り、共形受容発光媒体380が得られる。しかし、一部の場合には、シリコーン及び/又はエポキシ樹脂のような不揮発性液体を燐光体/拡散剤粒子に向けて担体液体として使用することができ、その場合に、不揮発性液体は、LEDチップ370上に共形受容発光媒体380が得られるように、加熱した基板360及びLEDチップ370の熱エネルギにより硬化させることができる。
【0135】
図14Dを参照すると、LEDチップ370を結合剤及び燐光体材料の共形層380で噴霧被覆した後に、シリコーン及び/又はエポキシのような封入材料392を分注して光キャビティ364を少なくとも部分的に満たすことができ、かつLEDチップ370の上にガラス又はシリコーンレンズのようなレンズ394を位置決めすることができる。封入材料392を硬化させることにより、構造体にレンズ394が固定され、反射器カップ362の壁部分362Aにより、レンズは、封入材料392が加熱/冷却のサイクルで膨張収縮する時に移動することができる。
【0136】
図14Eに示すように、更に別の実施形態により、供給ライン336内の発光溶液354をLEDチップ370及び例えば反射器カップ362のような周囲の構造体上へ噴霧して、その上に受容発光媒体380を形成することができる。図14Fに示すように、更に他の実施形態では、受容発光媒体380をレンズ394の外面及び/又は内面上に形成することができ、レンズ394を加熱して、レンズに印加した時に受容発光媒体380を硬化させる。図14Gに示すように、更に別の実施形態では、受容発光媒体380を例えばレンズ394又は他の透過及び/又は反射光学要素のような2次元構造体に適用することができる。他の実施形態では、上述の技術の複数のものを用いることができる。一例として、図14Hに示すように、第1の受容発光媒体380Aを加熱したレンズ394に適用することができ、第2の受容発光媒体380Bを加熱したLEDチップ370に適用することができる。
【0137】
更に別の実施形態では、図14Iに示すように、本発明の実施形態による受容発光媒体を複数のLEDチップ370A〜Dを含む発光装置上に形成することができる。一部のこのような実施形態では、LEDチップ370A〜Dは、電気的終端のためのワイヤ結合を持たず、代替的に、例えば、接触パッド(図示せず)により下にある基板360に電気的に接続されたフリップチップを含むことができる。LEDチップ370A〜Dは、1つ又はそれよりも多くの異なる主波長及び/又はその組合せで光を放出するように構成することができる。図141に示す実施形態では、受容発光媒体380が、レンズ394の外側に設けられる。図14J図14K、及び図14Lは、受容発光媒体380を上に含むレンズ394の内側に複数の非ワイヤ結合式LEDチップ370Aが設けられる付加的な例示的実施形態を示している。更に別の実施形態では、受容発光媒体380は、レンズ394に加えて又はその代わりに複数のLEDチップ370A〜Dの1つ又はそれよりも多くに適用することができる。一部の実施形態では、LEDチップ370Aは、ワイヤ結合することができる。
【0138】
受容発光媒体380は、LEDチップ370A〜Dとの組み付け前、中、及び/又は後にレンズ394に適用することができることが認められるであろう。例えば、一部の実施形態では、複数のレンズのアレイを加熱することができ、次に、発光溶液354をアレイに適用する。更に他の実施形態では、発光溶液354をマイクロモールド内で噴霧するか、又は他の方法で堆積させて受容発光媒体380を形成することができ、次に、受容発光媒体380をモールドから除去して発光装置(例えば、LEDチップ370)上に設けることができる。
【0139】
本明細書に説明する様々な実施形態では、受容発光媒体380を複数の層として構成することができることも認められるであろう。このような実施形態では、受容発光媒体380の様々な層は、その中に同じ及び/又は異なる発光材料(及び/又は他の材料)を有することができる。例えば、図15Aは、更に、第1の層381及び第2の層380Bを含む多層受容発光媒体380を有するサブマウント又は基板360に取り付けられたLEDチップ370を示している。付加的な層及び/又は中間層を設けることができる。受容発光媒体380の異なる層380A及び380Bは、同じか又は異なる材料を含むことができる。一例として、第1の層380Aは第1の燐光体を含むことができ、第2の層380Bは、第1の燐光体、異なる第2の燐光体、及び/又は他の要素(例えば、拡散剤粒子)を含むことができる。一部の実施形態では、異なるサイズを有する燐光体粒子が、異なる層内にあることが可能である。
【0140】
一部の実施形態では、3つの層380A、380B、380Cを設けることができる。第1の層380Aは、第1のピーク波長(例えば、黄色範囲のピーク波長)を中心とする波長に入射光を変換するように構成された燐光体粒子を含むことができ、第2の層380Bは、第1のピーク波長(例えば、緑色範囲のピーク波長)と異なる色範囲である第2のピーク波長を中心とする波長に入射光を変換するように構成された燐光体粒子を含むことができ、第3の層380Cは、第1及び第2のピーク波長(例えば、赤色範囲のピーク波長)と異なる色範囲である第3のピーク波長を中心とする波長に入射光を変換するように構成された燐光体粒子を含むことができる。従って、パッケージ式LEDチップ370により出力された光は、LEDチップ370によって放出された1次光及び層380A、380B、及び380C内に含まれた異なる燐光体又は他の発光材料によって放出される2次光の混合物とすることができる。このような光は、一種類の燐光体のみを使用して生成した光と比較すると、改善した演色特性を有することができる。
【0141】
図15Bに示すように、受容発光媒体380を例えば斜面のような非平面表面を含むLEDチップ370に適用することができる。加熱したLEDチップ370及び基板360から熱エネルギにより、適用した結合剤、溶剤、及び燐光体をスナップ硬化させて、LEDチップ370及び基板360の上で実質的に均一かつ共形の受容発光媒体380を得ることができる。
【0142】
図16は、発光装置に本発明の実施形態による受容発光媒体の1つを適用する方法の流れ図である。図16に示すように、これらの方法により、発光装置を加熱する(ブロック402)。例えば、燐光体粒子のような液体溶剤、結合剤材料、及び光学材料を含む発光溶液は、次に、例えば、本発明の実施形態による噴霧堆積システムを使用して、加熱した発光装置に適用することができる(ブロック404)。次に、結合剤材料を硬化させて共形層380Aを形成するために発光装置に光学材料を付着させることができるように、溶剤が不安定か又は不揮発性か否かに基づいて、加熱した発光装置内の熱エネルギにより発光溶液内の液体溶剤を急速に蒸発及び/又は硬化させることができる(ブロック406)。一部の実施形態では、発光装置は、次に、更に別の調整に向けて後で取り出せるように例えば室温で保管することができる。
【0143】
次に、例えば、放出部分の陽極及び陰極端子にわたって電圧を印加することによって発光装置に通電することができ、出力電力、色点、及び/又は相関色温度のような得られる装置の1つ又はそれよりも多くの光学特性を測定することができる(ブロック408)。例えば、発光装置により出力された光を光センサ335により測定することができ、結果をコントローラ320に供給することができる(図17を参照されたい)。次に、例えば、確立した種分け要件を満たすという点において、発光装置(特異化したLED、LEDウェーハなどとすることができる)の光学特性が満足できるものか否かに関して判断することができる(ブロック410)。発光装置の光学特性が許容不能な場合には、ブロック412で、装置(ブロック416)を廃棄すべきか又は装置を再加工すべきかを判断する。しかし、光学特性が満足できる場合には、製造工程は、次の製造段階に進む。
【0144】
装置を再加工することができると判断した場合に、構造体の色点/CCTを補正するのに必要とされる付加的な燐光体の量及び種類を判断することによって発光装置に対応する光出力を調整することができる(ブロック414)。第2の共形層380Bを適用することができる(ブロック404)。一部の実施形態では、発光装置がまだ加熱されている間に試験を行うことができる。第2の共形層380Bの適用中に発光装置を加熱することができる。第2の共形層380Bは、第1の共形層380Aに使用する燐光体と同じ及び/又は異なる種類を含むことができる。ブロック404−414の作業を複数回反復して望ましい光学特性をもたらすことができる。しかし、適用した燐光体が多過ぎた場合に、発光特性は、光学要素から光の再吸収及び/又は過剰な吸収のために悪化する可能性があり、その時点で、発光装置は、ブロック410で試験で不合格になる可能性がある。
【0145】
図17は、本発明の実施形態による受容発光媒体380を形成するために発光溶液354で発光装置310を被覆するのに使用することができる加圧堆積システム300を示す概略図である。発光装置310は、例えば、LEDウェーハ、装着型LEDダイ、及び/又は非装着型(すなわち、露出型)LEDダイとすることができる。一部の実施形態では、発光装置310は、LED構造体を含むことができ、LED構造体は、取りわけ、光透過構造体、反射構造体、及び/又は支持構造体のような他の構造体を含む場合もあれば、含まない場合もある。
【0146】
システム300は、発光装置310上へ発光溶液354を噴霧するのに使用することができる。しかし、他の実施形態では、取りわけ、流し込み、浸し塗り、圧延作業、及び/又は刷毛塗りのような他の適用技術を用いて発光溶液354を適用することができることが認められるであろう。加熱装置337は、発光装置310に熱(熱エネルギ)339を印加して、その上の発光溶液354を噴霧する前に発光装置310の温度を上げる。図17に示すように、供給ライン336は、スプレーノズル350に発光溶液354を供給し、スプレーノズル350は、発光装置310上へ発光溶液354を噴霧する。高圧のガス供給ライン344を通じてスプレーノズル350に供給された加圧ガスは、発光溶液354を霧化し、それを発光装置310の方向に向ける。「霧化」という用語は、液体を微粒子及び/又は細かい噴霧にすることを指すために一般的な意味において本明細書で使用する。加熱した発光装置310上に堆積される霧化発光溶液354は、急速に硬化して発光装置310上で共形受容発光媒体380を形成することができる。加熱した発光装置310に適用される発光溶液354の硬化時間は、非加熱装置に適用される発光溶液354よりも実質的に短い場合がある。従って、受容発光媒体380内の燐光体又は他の発光材料の沈殿、分離、及び/又は成層を低減することができる。従って、層結合の改善及び層厚の均一化をもたらすことができる。
【0147】
一部の実施形態では、供給ライン336内の液体は、有機材料及び/又は有機無機混成材料を含む結合剤を含むことができる。結合剤材料は、例えば、液体シリコーン及び/又は液体エポキシとすることができ、揮発性又は不揮発性の溶剤材料は、例えば、アルコール、水、アセトン、メタノール、エタノール、ケトン、イソプロピル、炭化水素溶剤、ヘキサン、エチレングリコール、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、及びその組合せとすることができる。一部の実施形態では、結合剤は、約1.25よりも大きい屈折率を有することができる。一部の実施形態では、結合剤材料の屈折率は、約1.5を超える場合がある。可視スペクトルにわたって高い光透過率を有することが望ましいであろう。一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも約440nm〜約470nmの波長範囲において約90%又はそれよりも大きいものを含む光透過率を有することができる。一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも約440nm〜約470nmの波長範囲において約95%又はそれよりも大きいものを含む光透過率を有することができる。一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも約440nm〜約470nmの波長範囲において約98%又はそれよりも大きいものを含む光透過率を有することができる。一部の実施形態では、結合剤は、緑、黄色、及び/又は赤色のような可視スペクトル内の他の波長に対して少なくとも約90%又はそれよりも大きく、約95%又はそれよりも大きく、及び/又は約98%又はそれよりも大きい光透過率を有することができる。一般的に、揮発性溶剤は、堆積した直後に乾燥又は蒸発させることができる。揮発性又は不揮発性の溶剤材料は、その中に、取りわけ、二酸化チタンのような発光材料(例えば、燐光体)の粒子及び/又は光散乱材料の粒子のようなLED構造体上へ堆積すべき粒子を含むことができる。供給ライン336内の液体は、複数の流体リザーバ330A〜Dのうちの1つから供給することができ、これらは、それぞれの入力ライン332A〜Dを通じて供給ライン336に取り付けられる。入力ライン332A〜Dを通る液体の流れは、それぞれ、電子制御式質量流量コントローラ334Aにより制御することができる。
【0148】
図17に示すように、リザーバ330A〜Dは、アルコール、水のような揮発性液体溶剤を含む溶剤リザーバ330A及び液体シリコーン及び/又は液体エポキシのような液体結合剤材料を含む結合剤リザーバ330Bを含むことができる。一部の実施形態では、溶剤リザーバ330A及び結合剤リザーバ330Bは、「純粋な」液体、すなわち、燐光体、拡散剤、又はその中の他の粒子を含まない液体を含むことができる。リザーバ330A〜Dは、燐光体粒子の濃度が懸濁される液体溶剤を含む燐光体リザーバ330Cを含むことができる。一部の実施形態では、燐光体リザーバ330Cは、燐光体粒子が発光装置310上へ適用される濃度を超える濃度の燐光体粒子を含むことができる。
【0149】
一部の実施形態では、リザーバ330A〜Dは、拡散剤粒子の濃度が懸濁される液体溶剤を含む拡散剤リザーバ330Dを含むことができる。一部の実施形態では、拡散剤リザーバ330Dは、拡散剤粒子が光学要素310上へ適用される濃度を超える濃度の拡散剤粒子を含むことができる。
【0150】
リザーバ330A〜Dの1つ又はそれよりも多くは、リザーバ330A〜Dからの流動を供給ライン363内への正圧により取得することができるように加圧することができる。特に、溶剤リザーバ330A及び結合剤リザーバ330Bを加圧することができる。一部の実施形態では、燐光体リザーバ330C及び/又は拡散剤リザーバ330Dは加圧することができず、従って、燐光体リザーバ330C及び/又は拡散剤リザーバ330Dから流動を供給ライン336を通る流動により引き起こされた負圧によって供給ライン336内に導入することができる。一部の実施形態では、液体供給ライン336内の圧力は、高い必要はなく、その理由は、光学要素310上へ液体を噴霧する力は、高圧ガスライン344によって供給することができるからである。
【0151】
供給ライン336を通る液体の流れは、電子的に制御可能な弁340により制御することができる。弁340が開いている時に、供給ライン336内の液体が、スプレーノズル350に供給される。
【0152】
図18は、より詳細にスプレーノズル350を示している。図17及び図18を参照すると、ガス加圧器342によって発生された加圧ガス(例えば、加圧空気)を加圧ガス供給ライン344を通じてスプレーノズル350に供給することができる。加圧ガスは、液体の出口ポート351の近くにあるスプレーノズル350のガス出口ポート352を通じて誘導される。液体の出口ポート351を通る液体の流れは、例えば、格納式ピン353の位置を制御することによって調節することができる。ピン353が引っ込められた時に、液体の出口ポート351が開かれる。ガス出口ポート352から出る加圧ガスの流動により、液体の出口ポート351に対して負の圧力勾配が生成され、それによって霧化液体の出口ポート351から分注された液体が霧化される。霧化発光溶液354は、次に、ガス出口ポート352からの気体流により発光装置310上へ噴霧される。
【0153】
図17に更に示すように、質量流量コントローラ334A〜D、電子的に制御可能なフローバルブ340、及びガス加圧器342の作動は、電子機器制御ライン322、324、326を通じてコントローラ320により制御することができる。コントローラ320は、従来のプログラマブルコントローラとすることができ、及び/又はシステム300又は一般的なマイクロプロセッサ又はコントローラ(例えば、コンピュータ)のそれぞれの要素の作動を制御するように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。
【0154】
図17を依然として参照すると、質量流量コントローラ(MFC)334A〜D及び弁340の作業を制御することにより、コントローラ320は、供給ライン336を通じてスプレーノズル350に供給される液体の組成を制御することができる。特に、コントローラ320は、MFC330B及び弁340がオンにされるが、MFC330A、330C及び330Dをオフにさせ、それによってスプレーノズル350に結合剤液体を供給することができる。同様に、コントローラ320は、MFC330A及び弁340がオンにされるが、MFC330B、330C及び330Dをオフにさせ、それによってスプレーノズル350に溶剤液体のみを供給することができる。溶剤リザーバ330Aから溶剤材料が流動中の状態で、コントローラ320は、MFC334C及び/又は334Dに供給ライン336内の流動に液体軸受燐光体粒子(燐光体リザーバ330Cの場合)及び/又は拡散剤粒子(拡散剤リザーバ330Dの場合)を放出させることができる。従って、コントローラ320は、スプレーノズル350により発光装置310上に噴霧される材料の組成を正確に制御することができる。
【0155】
図17は、単一の燐光体リザーバ330C及び単一の拡散剤リザーバ330Dを示すが、より多くのリザーバをコントローラ320により電子制御することができるそれぞれのMFC及び/又は供給弁を通る供給ラインに配置及び装着することができることが認められるであろう。例えば、別々の燐光体リザーバを製品要件に基づいて赤色燐光体、緑色燐光体、黄色燐光体、青色燐光体などに向けて設けることができる。一部の実施形態では、燐光体の1つよりも多い色をそれぞれ別々の領域内で発光装置310に適用し及び/又は混合して単層を形成することができる。更に、1つよりも多い種類の拡散剤粒子を異なる拡散剤リザーバを使用して選択的に供給することができる。例えば、発光装置310の1つの部分上に第1の組成及び/又は直径を有する拡散剤粒子、及び発光装置310の別の部分上に異なる組成及び/又は直径を有する拡散剤粒子を適用することが望ましい場合がある。LED構造体の個別の区域内で1つよりも多い燐光体(例えば、異なる色)を適用することが望ましい場合がある。単層、領域、及び/又はLED構造体(図15Aと類似、異なる色の燐光体が単層内にあることを除く)の区域内で異なる色の燐光体を混合することも望ましい場合がある。このような場合に、別々のリザーバ又は複数の燐光体を含む単一のリザーバから同時に適用される少なくとも2つの異なる燐光体があるであろう。
【0156】
図示のように、加熱装置337は、発光装置310に熱339を印加して、その上の発光溶液354を噴霧する前に発光装置310の温度を上げる。一部の実施形態では、加熱装置337は、電子機器制御ライン329を通じてコントローラ320により電子制御することができる。一部の実施形態では、加熱装置337は、噴霧作業中に発光装置310に熱339を印加することができる。一部の実施形態では、加熱装置337を使用して噴霧作業前に発光装置310を加熱することができ、及び/又はコントローラ320とは独立して操作することができる。
【0157】
一部の実施形態では、加熱装置337は、熱339が発光装置310に伝達される熱伝導加熱面を含む。一部の実施形態では、加熱装置337は、例えば、熱風及び/又はガスのような熱伝達媒体を使用して発光装置310に熱339を伝達することができる。加熱装置の実施形態は、電気抵抗性熱生成要素及び/又は導電性熱生成要素及び/又は燃焼関連の熱生成要素を含むことができる。
【0158】
一部の実施形態では、発光装置310を摂氏70度を超える温度まで加熱する。一部の実施形態では、発光装置310を摂氏90度を超える温度まで加熱する。一部の実施形態では、発光装置310を摂氏120度を超える温度まで加熱する。一部の実施形態では、発光装置を約70°摂氏〜摂氏約155度の範囲の温度まで加熱する。一部の実施形態では、発光装置を約90°摂氏〜摂氏約155度の範囲の温度まで加熱する。一部の実施形態では、発光装置を約90°摂氏〜摂氏約120度の範囲の温度まで加熱する。一部の実施形態では、発光装置を約90°摂氏〜摂氏約155度の範囲の温度まで加熱する。霧化発光溶液354を発光装置310上に堆積させた時に、加熱した発光装置310内の熱エネルギは、霧化発光溶液354の溶剤部分を急速に硬化及び/又は蒸発させることができる。溶剤を急速に硬化及び/又は蒸発させることにより、硬化前の発光材料の沈殿及び/又は再分布を低減することができる。この点に関して、適用した層内の発光材料のより均一な濃度を維持することができ、従って、発光装置310上で実質的に共形の層が得られる。
【0159】
図17に示すようなシステム300をいくつかの部分に分割することができることが更に認められるであろう。例えば、システム300は、第1の方向から及び/又は発光装置310に対する第1の角度で霧化発光溶液354を噴霧適用することを専用とする第1の供給ライン336及びノズル350と、第2の方向から及び/又は発光装置310に対する第2の角度で霧化発光溶液354を噴霧適用することを専用とする第2の供給ライン336とを有するように修正することができる。一部の実施形態では、第1及び第2の供給ライン336及びノズル350は、同じ霧化発光溶液354を供給するように構成される。一部の実施形態では、第1及び第2の供給ライン336及びノズル350は、異なる霧化発光溶液354を供給するように構成される。従って、リザーバ、供給ライン、及びスプレーノズルの多くの異なる組合せが様々な実施形態により考えられる。
【0160】
混合器341を設けて、リザーバ330Aのうちの様々な異なるリザーバ330Aからの供給ライン336成分を混合することができる。一部の実施形態では、混合器341は、供給ライン336内の材料を供給ライン336を通る流動により混合させる静的混合要素を含むことができる。他の実施形態では、供給ライン336材料を攪拌して粒子を懸濁状態に及び/又は材料を通して実質的に均一に分布した状態に保つ能動混合要素を設けることができる。図示していないが、圧力レギュレータを構成要素のうちの様々な構成要素に対して設けることができる。例えば、リザーバ330A及びノズル350は、取りわけ、供給圧力及び/又は送出圧力の制御を行う圧力レギュレータを含むことができる。更に、一部の実施形態は、リザーバ330A〜D内の静的及び/又は能動混合要素を含むことができる。例えば、燐光体リザーバ330C及び拡散剤リザーバ330Dは、混合要素を使用して粒子を懸濁状態に維持することができる。
【0161】
図17に更に示すように、発光装置310によって放出された光337を感知するように構成された光センサ335を設けることができる。例えば、光センサ335は、発光装置310によって放出された色点及び/又は光の強度を検出することができる。検出された光信号を通信ライン328を通じてコントローラ330に供給することができ、かつ本明細書でより詳細に説明するように、堆積システム300の作動におけるフィードバック信号として使用することができる。
【0162】
本発明の一部の実施形態による発光装置を発光溶液で被覆するバッチ堆積システム500を示す概略図である図19をここで参照する。図18及び図19に示すように、ガス加圧器342によって発生された加圧ガス(例えば、加圧空気)を加圧ガス供給ライン344を通じてスプレーノズル350に供給することができる。加圧ガスは、液体の出口ポート351の近くにあるスプレーノズル350のガス出口ポート352を通して誘導される。液体の出口ポート351を通る液体の流れは、例えば、格納式ピン353の位置を制御することによって調節することができる。
【0163】
発光溶液354を含む注入器357を設けることができる。発光溶液354は、例えば、1つ又はそれよりも多くの種類の燐光体粒子、1つ又はそれよりも多くの種類の拡散剤粒子、結合剤、及び/又は1つ又はそれよりも多くの溶剤を含むことができる。例えば、適用作業の直前にカートリッジを使用して注入器357に発光溶液354を注入し、その中の成分の沈殿及び/又は成層を低減することができる。一部の実施形態では、注入器357をノズル350に直接に及び/又は密接に結合させて発光溶液354での懸濁粒子の沈殿を低減することができる。一部の実施形態では、横方向流体経路は、横方向流体経路が発光溶液354において発光材料の沈殿及び/又は成層をもたらす場合があるので、低減及び/又は回避することができる。一部の実施形態では、沈殿を低減するために、能動及び/又は静的混合要素に注入器357を設け、及び/又はそれを注入器357内に設ける。
【0164】
流体加圧器356を設けて注入器357内の流体圧力を供給及び/又は制御することができる。一部の実施形態では、流体圧力は、ガス加圧器342によって供給されたガス圧よりも実質的に低いとすることができる。
【0165】
図19に更に示すように、ガス加圧器342、流体加圧器356、及び加熱装置337の作動は、電子制御ライン324、326、及び329を通じてコントローラ320により制御することができる。コントローラ320は、従来のプログラマブルコントローラとすることができ、及び/又はシステム500又は一般的なマイクロプロセッサ又はコントローラ(例えば、コンピュータ)のそれぞれの要素の作動を制御するように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。流体加圧器356及びガス加圧器342の作動を制御することにより、コントローラ320は、スプレーノズル350に供給される液体の流動を制御することができる。
【0166】
図19は、単一の注入器357及びノズル350を示すが、より多くの注入器357及びノズル350を準備してガス加圧器342及び流体加圧器356に装着することができることが認められるであろう。一部の実施形態では、付加的なガス加圧器342及び流体加圧器356をコントローラ320により電子制御することができる。
【0167】
図示のように、加熱装置337は、発光装置310に熱339を印加して発光溶液354が発光装置310上へ噴霧される前にその温度を上げる。一部の実施形態では、加熱装置337は、電子機器制御ライン329を通じてコントローラ320により電子制御することができる。一部の実施形態では、加熱装置337は、噴霧作業中に発光装置310に熱339を印加することができる。一部の実施形態では、加熱装置337を使用して噴霧作業前に発光装置310を加熱することができ、及び/又はコントローラ320とは独立して操作することができる。
【0168】
一部の実施形態では、加熱装置337は、熱339が発光装置310に伝達される熱伝導加熱面を含む。一部の実施形態では、加熱装置337は、例えば、熱風及び/又はガスのような熱伝達媒体を使用して発光装置310に熱339を伝達することができる。加熱装置337の実施形態は、電気抵抗性熱生成要素及び/又は導電性熱生成要素及び/又は燃焼関連の熱生成要素を含むことができる。
【0169】
図19に示すようなシステム500をいくつかの部分に分割することができ、従って、例えば、別々の注入器357を設け、及び/又は別々のスプレーノズル350を設けることが更に認められるであろう。従って、注入器357、ノズル350、流体加圧器356、及び/又はガス加圧器342の多くの異なる組合せが様々な実施形態により考えられる。
【0170】
図20A図20Cは、一部の実施形態によるLEDウェーハのようなウェーハのコーティングに関連の作業を示している。図21を参照すると、発光ダイオード構造体を形成する複数の薄いエピタキシャル層を含むLEDウェーハ610が準備される。エピタキシャル層は、成長基板及び/又は担体基板によって支持することができる。LEDウェーハ610のエピタキシャル領域は、例えば、メーサ及び/又はインプラント隔離により複数の個別の装置領域に分割することができる。一部の実施形態では、ダイスカットストリート(すなわち、ダイスカットソーを使用してウェーハをダイスカットすべき線形領域)及び/又はスクライビング線が、LEDウェーハ610内に既に形成されている場合がある。複数の電気接点612をLEDウェーハ610上に形成する。特に、LEDウェーハ610内の各個別の装置は、受容発光媒体を適用すべきウェーハの側の少なくとも1つの電気接点612を含むことができる。
【0171】
犠牲的パターン614を電気接点612上に形成する。犠牲的パターン614は、可溶性ポリマー及び/又はガラスのような材料を含むことができ、従来の写真平板技術を使用して材料を適用かつパターン化することができる。犠牲的パターン614を下にある電気接点612に整列させることができる。代替的に、犠牲的パターン614は、電気接点612の部分のみを覆うことができ、電気接点612のいくつかの部分は露出される。一部の実施形態では、犠牲的パターン614は、電気接点612よりも広いとすることができ、従って、LEDウェーハ610の電気接点の近くの表面610Aの部分も犠牲的パターンで覆われる。これらの構成の各々を図20Aに示している。
【0172】
図20A及び図20Bを依然として参照すると、加熱装置337を使用してLEDウェーハ610を加熱し、例えば、本発明の実施形態による加圧堆積システムを使用して受容発光媒体380の1つ又はそれよりも多くの共形層をLEDウェーハ610の表面610Aに適用する。受容発光媒体380をLEDウェーハ610の表面610A上へ及び犠牲的パターン614上に被覆する。一部の実施形態では、受容発光媒体380をLEDウェーハ610の反対側の電気接点612の上部上に被覆することができる。
【0173】
LEDウェーハ610を噴霧被覆した後に、犠牲的パターン614は、例えば、犠牲的パターン材料特定の液体溶剤に露出することによって除去することができ、従って、LEDウェーハ610の表面上の露出した電気接点612及び受容発光媒体380を含む図20Cに示すようなLEDウェーハ610になる。具体的には図示していないが、一部の実施形態では、LEDウェーハを噴霧被覆した後に除去することができるフィルム及び/又はテープを使用して犠牲的パターン614を形成することができる。
【0174】
本発明の更に別の実施形態により、受容発光媒体380を個々の特異化した発光装置310上へ被覆することができる。例えば、1つのこのような例示的方法により、発光装置を半田接合又は導電エポキシによって反射カップ上に取り付けることができ、例えば、燐光体が中で懸濁されるシリコーンのような封入材料を受容発光媒体として使用することができる。この受容発光媒体を使用して、例えば、反射カップを部分的に又は完全に満たすことができる。
【0175】
本発明の実施形態による受容発光媒体380を適用し、それ以外に発光装置を製造する例示的方法を上述したが、多くの他の製造方法が利用可能であることが認められるであろう。内容全体が引用により本明細書に組み込まれている例えば2007年9月7日出願の米国特許出願出願番号第11/899,790号明細書は、固体発光装置上へ受容発光媒体を被覆する様々な付加的な方法を開示している。
【0176】
本発明は、垂直な形状を有するLEDに関して説明したが、それは、例えば、LEDチップの同じ側の両方の接点を有する横方向のLEDなどの他の幾何学形状を有するLEDに適用することができることは理解される。
【0177】
以上の説明及び図面に関連して多くの異なる実施形態を本明細書で開示した。文字通りにこれらの実施形態のあらゆる組合せ及び下位の組合せを説明して例示すれば過度に反復的かつ曖昧になることは理解されるであろう。従って、本明細書は、図面を含む本明細書に説明する実施形態の全ての組合せ及び下位の組合せ、及びその製作及び使用方法及び工程の完全な説明を形成するように解釈するものとし、かつあらゆるこのような組合せ又は下位の組合せに対する特許請求の範囲を支持するものとする。
【0178】
本発明の実施形態を主としてLEDを含む固体発光装置に関して上述したが、本発明の更に別の実施形態により、上述の発光媒体を含むレーザダイオード及び/又は他の固体照明装置を提供することができることが認められるであろう。従って、本発明の実施形態は、LEDに限定されず、レーザダイオードのような他の固体照明装置を含むことができることが認められるであろう。
【0179】
図面及び本明細書において本発明の実施形態を開示し、特定の用語を使用したが、それらは、一般的かつ説明的な意味においてのみ使用し、限定を目的としたものではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に示されている。
【符号の説明】
【0180】
X 色度座標
Y 色度座標
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H
図14I
図14J
図14K
図14L
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C