特許第5766833号(P5766833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766833
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】医療用針
(51)【国際特許分類】
   C22C 27/04 20060101AFI20150730BHJP
   A61B 17/06 20060101ALI20150730BHJP
   C22C 1/04 20060101ALN20150730BHJP
【FI】
   C22C27/04 101
   A61B17/06 310
   !C22C1/04 D
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-28428(P2014-28428)
(22)【出願日】2014年2月18日
(62)【分割の表示】特願2011-502600(P2011-502600)の分割
【原出願日】2009年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-169499(P2014-169499A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2014年2月18日
(31)【優先権主張番号】特願2009-48319(P2009-48319)
(32)【優先日】2009年3月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】303058328
【氏名又は名称】東芝マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江崎 元昭
【審査官】 蛭田 敦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0300552(US,A1)
【文献】 国際公開第2003/031668(WO,A1)
【文献】 特開2002−356732(JP,A)
【文献】 特開平07−204207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 27/04
A61B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レニウムを10〜30質量%含有し残部タングステンから成るレニウムタングステン線で構成される医療用針において、線径Dが0.10〜0.40mmであり、上記医療用針の引張強さT(N/mm)が下記(1)式:
6314.6×D−7869.3×D+4791.3≦T≦ 5047.4×D−7206.4×D+5129.2 ……(1)
で規定された範囲内にあり、レニウムタングステン線の結晶粒径が10〜50μmであることを特徴とする医療用針。
【請求項2】
請求項1記載の医療用針において、不純物としてのFe、Mo、Si、Mg、Al、Caの総含有量が200ppm以下であることを特徴とする医療用針。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の医療用針において、レニウムタングステン線から成る医療用針を、第1チャック部材および第2チャック部材で挟み込んで固定し、直線状態から曲率半径0.3mmの曲面部に沿って、略90度の屈曲角度で屈曲させる第1工程と、この屈曲した状態を前記の直線状態に戻す第2工程とを交互に繰り返し、上記第1工程および第2工程から成る1往復の折り曲げ回数を1回と数え、クラックが生じるまでの合計折り曲げ回数が8回以上であることを特徴とする医療用針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レニウムタングステン線から成る医療用針に係り、特に高強度であり、加工した場合においてもクラックや割れの発生が少なく、使い勝手が良好な医療用針を高い歩留りで製造することが可能な医療用針に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の縫合針として一般的にステンレス製針が用いられており、近年は患者への負担を軽減するために、より細い医療用針のニーズが高まってきている。しかしながら、針が細くなると、針の撓みや曲がりが起こり易く、短時間で作業性が低下してしまう問題があった。これを防ぐためには、ステンレス材より高い強度や剛性を有する素材が求められている。特にレニウムタングステン合金(Re−W合金)は、タングステンへのレニウムの固溶強化により、高い強度および剛性を備える材料である。具体的には、線径D(mm)が0.10〜0.40mmの範囲である場合の、レニウムタングステン合金線の引張強さをT(N/mm)と表示したときの、T(N/mm)の最大値は、線径D(mm)の関数で表される下記の(3)式で示す範囲であった。
T<6314.6×D−7869.3×D+4516.3 …… (3)
【0003】
一方、例えば特開平7−204207号公報(特許文献1)には、レニウム(Re)を30質量%以下の割合で含有するタングステン合金で作成された外科用の医療用針が開示されている。この外科用の医療用針によれば、高い引張弾性モジュラスと高い引張降伏強度とが得られると報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−204207号公報
【特許文献2】国際公開第2003/031668号公報
【特許文献3】特開2002−356732号公報
【0005】
しかしながら、上記先行技術文献に開示された医療用針を構成していた従来のレニウムタングステン線は、前記(3)式で示される引張強さの範囲で最大値を採るものであり、(3)式での計算値を超える引張強さを有するレニウムタングステン線は得られておらず、十分な性能は得られていなかった。また、特許文献1に開示された医療用針は、レニウムタングステン線の製造時にクラックが発生したり、レニウムタングステン線から湾曲形状の縫合針などに成形するためにプレス加工や曲げ加工を実施する際に、クラックや割れが発生したりして、製品の製造歩留りが大幅に低下するという問題があった。なお、上記クラックの発生や、折り曲げ部分の割れを防止する方法としては、製造途中でアニール処理する方法が一般的に考えられるが、特許文献1に記載された医療用針にアニール処理を実施しても、医療用針の強度が却って低下して十分な強度が得られないという致命的な問題があった。
【0006】
発明の開示
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の引張強さを1.2〜1.4倍に向上させ、医療用針の使い勝手を向上させるとともに、プレス加工や曲げ加工の際に、クラックが発生しにくく、折り曲げ部分に割れが発生しにくいレニウムタングステン線から成る医療用針を提供することを目的とする。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る医療用針は、レニウムを10〜30質量%含有し残部タングステンから成るレニウムタングステン線で構成される医療用針において、線径Dが0.10〜0.40mmであり、上記医療用針の引張強さT(N/mm)が下記(1)式:
6314.6×D−7869.3×D+4791.3≦T≦ 5047.4×D−7206.4×D+5129.2 ……(1)
で規定された範囲内にあり、レニウムタングステン線の結晶粒径が10〜50μmであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る医療用針の製造方法は、平均粒径D50が25μm以下かつ平均粒径D90が60μm以下であるタングステン粉末70〜90質量%と、平均粒径D50が45μm以下のレニウム粉末10〜30質量%とを混合する工程と、得られた原料混合体を成形する成形工程と、この成形体を焼結する焼結工程と、得られた焼結体を圧延する圧延工程と、圧延した焼結体を転打加工する転打工程と、転打した焼結体を再結晶化させる再結晶化工程と、再結晶化した焼結体をさらに転打加工する転打加工工程と、転打した焼結体を伸線加工して線材とする伸線加工工程と、線材表面を電解研磨する電解研磨工程とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る医療用針およびその製造方法によれば、線材の引張強さを従来の1.2〜1.4倍に向上させることが可能であり、この線材を加工して医療用針を形成した場合には、医療用針の使い勝手を向上させることが出来ると共に、線材のプレス加工や曲げ加工の際に、クラックや割れが発生しにくいレニウムタングステン線が得られ、その線材を用いることにより使い勝手が良好な医療用針を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例および比較例に係るレニウムタングステン線で構成された医療用針の線径と引張強さとの関係を示すグラフである。
図2】本発明に係る実施例および比較例に係る医療用針を評価するためのベンディング試験方法および試験装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の実施形態に係るレニウムタングステン線から成る医療用針は、10〜30重量%のレニウムと残部タングステンとから成り、線径Dが0.10〜0.40mmであり、その引張強さT(N/mm)が、線径D(mm)との関係式である下記(1)式で規定された範囲内にあることを特徴とする。
6314.6×D−7869.3×D+4516.3≦T
≦5047.4×D−7206.4×D+5129.2 ……(1)
ここで、線径Dは0.10mm≦D≦0.40mmである。
具体的には、線径Dが0.10mmのとき、引張強さTは3792.5〜4459.0(N/mm)であり、線径Dが0.40mmのときは、引張強さTは2378.9〜3054.2(N/mm)となる。すなわち、本実施形態に係るレニウムタングステン線から成る医療用針の線径Dおよび引張強さTの値は、図1に示す領域Aの範囲内に存在する。
【0012】
本発明の実施形態によるレニウムタングステン線(Re−W線材)から成る医療用針において、レニウム含有量は10〜30質量%と規定されるが、24〜27質量%であることがより好ましい。また、Re−W線材は原料や工程に起因した不純物を含有していてもよい。レニウムの含有量が前記の範囲内であると、塑性加工や伸線加工の際、クラックや断線の発生を抑制することが可能となる。レニウム含有量が10質量%未満であると、線材を扁平状に塑性加工する際に、伸線加工の際に形成された線材のファイバー組織に沿ってクラックが発生しやすくなる。また、レニウムの含有量が30質量%を超えると、その組織において、レニウムが過多となる部分に硬いσ相が発生し、伸線加工の際のクラックや断線の原因となる。
【0013】
また、本発明の実施形態に係るレニウムタングステン線から成る医療用針の引張強度T(N/mm)がその線径Dにおいて、6314.6×D−7869.3×D+4516.3で示される値未満の場合には構造強度が不足するため、医療用針等の要求特性を満たすことができない。一方、引張強度Tが5047.4×D−7206.4×D+5129.2を超える場合は、線材の硬さが過度になるため、伸線加工工程における変形抵抗が大きくなり、加工中の断線や表面欠陥の発生や、線径のばらつきが発生し易くなる。また伸線ダイスの磨耗の増大や伸線ダイスの割れなど、製造設備に対する負荷も過大となり、安定した品質を確保することが困難となるため、好ましくない。
【0014】
本発明の実施形態によるレニウムタングステン線から成る医療用針は、不純物としてのFe、Mo、Si、Mg、Al、Caの合計量が200ppm以下、好ましくは100ppm以下であり、さらに好ましくは70ppm以下である。不可避不純物であるこれらの元素は、原料または製造工程の影響により含有されるが、その含有量が前記の範囲内にあることにより、レニウムタングステン線の折り曲げ性が良好となり、曲げ加工やプレス加工が容易になる。
【0015】
本発明に係るレニウムタングステン線から成る医療用針の製造方法は、平均粒径D50が25μm以下かつ平均粒径D90が60μm以下であるタングステン粉末70〜90質量%と、平均粒径D50が45μm以下のレニウム粉末10〜30質量%とを混合する混合工程と、得られた原料混合体を成形する成形工程と、この成形体を焼結する焼結工程と、得られた焼結体を圧延する圧延工程と、圧延した焼結体を転打加工する転打工程と、転打した焼結体を再結晶化させる再結晶化工程と、再結晶化した焼結体をさらに転打加工する転打工程と、転打した焼結体を伸線加工して線材とする伸線工程と、線材表面を電解研磨する電解研磨工程とを具備することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の実施形態によるレニウムタングステン線から成る医療用針の製造工程は、例えば所定粒径を有するタングステン粉末とレニウム粉末とを原料として混合する混合工程と、得られた原料混合体を成形する成形工程と、この成形体を仮焼する仮焼結工程と、この仮焼結体を本焼結する本焼結工程と、得られた焼結体を転打加工する第1の転打工程と、転打した焼結体を熱処理するアニール工程と、熱処理後の焼結体を圧延する圧延工程と、圧延した焼結体を転打加工する第2の転打工程と、転打した焼結体を再結晶化させる再結晶化工程と、再結晶化した焼結体をさらに転打加工する第3の転打工程と、転打した焼結体を伸線加工して線材とする伸線工程と、線材表面を電解研磨する電解研磨工程とを具備する。
【0017】
本発明の実施形態のレニウムタングステン線から成る医療用針を形成するための原料粉の混合工程では、平均粒径D50が25μm以下かつ平均粒径D90が60μm以下であるタングステン粉末70〜90質量%と、平均粒径D50が45μm以下のレニウム粉末10〜30質量%とを混合することを特徴としている。
【0018】
タングステン粉末の平均粒径D50が25μm以下かつD90が60μm以下に規定することにより、タングステン粉末とレニウム粉末との均一な混合が十分に進行し、レニウムタングステン線中のレニウム濃度のばらつきを小さくすることが可能となる。タングステン粉末の平均粒径D50は、さらに好ましくは10μm〜20μmの範囲である。また、平均粒径D90は、50μm以下であることがさらに好ましい。タングステン粉末の平均粒径D50が25μmを超える場合、またはD90が60μmを超える場合、レニウムとの分散状態が不均一となり、拡散状態が悪化するため、均一な強度を有する線材が得られない。
【0019】
一方、レニウム粉末の平均粒径D50を45μm以下とすることにより、レニウムタングステン線の延性が高くなる。そのため、レニウムタングステン線から医療用針などの二次加工製品を作製するためにプレス加工や曲げ加工を行った場合においても、レニウムタングステン線に発生するクラックや折れを効果的に低減することが可能となる。レニウム粉末の平均粒径D50は好ましくは10〜20μmである。なお、レニウム粉末の平均粒径D50が45μmを超えると、レニウムタングステン線の延性が低下し、二次加工製品を製造するためのプレス加工や曲げ加工を実施したときに、レニウムタングステン線にクラックや折れが発生するおそれがある。
【0020】
ここで、タングステン粉末はレニウム以外の不純物の含有量が200ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは100ppm以下である。上記不純物の含有量が200ppmを越えた場合には、レニウムタングステン線の延性が低下する。そのため、レニウムタングステン線から二次加工製品を製造するためのプレス加工や曲げ加工を実施する際に、レニウムタングステン線にクラックや折れが発生するおそれが高くなる。
【0021】
タングステン粉末中の不純物濃度として、鉄(Fe)が50ppm未満であり、モリブデン(Mo)が30ppm未満であり、酸素(O)が0.2重量%未満であり、カリウム(K)が5ppm以下であると、レニウムタングステン線の延性が高くなる。そのため、レニウムタングステン線から二次加工製品を製造するためのプレス加工や曲げ加工を実施する際に、レニウムタングステン線に発生するクラックや折れを低減させることが可能となる。
【0022】
また、上記のような所定平均粒径のタングステン粉末とレニウム粉末との原料混合体を成形する工程においては、混合工程で調製された原料混合体に、金型プレス成形機などを用いて加圧力を作用させて棒状等の成形体を得る。この成形工程においては、成形体の相対密度が45〜50%の範囲となるように加圧圧密操作を実施することが好ましい。
【0023】
次に成形工程で得られた成形体に対して、後工程である本焼結工程での取り扱いを容易にするために、事前に仮焼結処理を実施してもよい。仮焼結工程は、例えば温度が1300〜1400℃である連続水素炉内において、成形体を送り速度4.5〜5.0cm/minの条件(加熱時間20分〜1時間)で挿通加熱する操作を行う。
【0024】
仮焼結体に対しては、次に例えば通電焼結などによって、本焼結体を得るための本焼結工程を実施する。本焼結工程は、例えば水素気流中のベルジャー内で仮焼結体の通電焼結を行う。通電焼結における焼結条件は、焼結温度は2800〜3100℃の範囲であり、焼結時間は60〜90分間であることが好ましい。この場合、焼結電流は3700〜4000Aとする。焼結電流が3700A未満の場合、焼結温度が低くなるため、レニウムが拡散せず、均一な固溶状態が得られないため、好ましくない。
【0025】
上記本焼結工程の完了後における本焼結体の相対密度は95%以上であることが好ましく、より好ましくは98%以上である。たとえばレニウム含有量が26質量%の場合は、密度が19.1〜19.6g/cm(相対密度で96.86〜99.39%に相当する)であることが好ましい。本焼結体の相対密度が上記範囲内である場合、後工程である転打加工(スウェージング)での割れ、欠け、折れなどを低減することが可能となる。
【0026】
本焼結工程で得られたレニウムタングステンインゴットに対し、第1の転打加工を行い、棒材などのレニウムタングステン材を得る。第1の転打加工は、温度が1300〜1500℃の加熱下で実施することが好ましい。
【0027】
次に転打加工工程で得られたレニウムタングステン材に対して、アニール工程を行う。アニール工程は、例えば、水素雰囲気中で温度が1500〜1600℃であり、処理時間が1〜5分である処理条件での通電アニールによって実施することができる。この通電処理時の電流は、例えば2700〜3100Aである。
【0028】
アニール工程で得られたレニウムタングステン材に対して、次に圧延工程を実施する。圧延工程は、温度1350〜1550℃の加熱下で実施することが好ましい。圧延工程を実施したレニウムタングステン材に対して、次に第2の転打工程を実施する。第2転打工程は、温度1300〜1500℃の範囲の加熱下で実施することが好ましい。
【0029】
次に第2の転打工程を経たレニウムタングステン材に対しては、次に所定の加熱処理を実施して再結晶化処理を実施する。再結晶化処理は、例えば、高周波加熱装置を用いて高周波加熱することにより実施することができる。処理温度は、2300〜2600℃で実施することが可能であり、好ましくは、2400〜2500℃の範囲である。
【0030】
再結晶化処理は、レニウムタングステン材の長さ方向に対して垂直に切断した断面における結晶粒径が10〜100μmの範囲となるまで実施する。結晶粒径の大きさは、好ましくは、10〜50μm、さらに好ましくは、20〜50μmである。レニウムタングステン材の結晶粒径が前記の範囲であると、レニウムタングステン材の引張強さを適正に維持することが可能になると共に、組織にマイクロクラックが生じにくく、製品でのプレス加工や曲げ加工の際にレニウムタングステン線が折れたり、クラックを発生したりすることを抑制できる。一方、結晶粒径が10μm未満であると、再結晶化処理の後に線材に対して実施する伸線加工が困難になるため、好ましくない。
【0031】
本願におけるレニウムタングステン線の再結晶化処理後の結晶粒径を好ましい範囲とするために、再結晶化処理を行う際の線径が4〜8mmであることが好ましく、より好ましくは5〜7mmである。再結晶化処理を線径が4mm未満で実施した場合、結晶が有する残留応力が大きいため、結晶粒径が粗大化してしまい、線材の強度が低下するため好ましくない。一方、径が8mmを超えて太い線の段階で実施した場合、本発明で目的とする0.10〜0.40mmの線径にするための加工を多く実施しなくてはならないため、製造効率上好ましくない。
【0032】
前記の再結晶化処理されたレニウムタングステン材に対して、次に第3の転打工程を実施し、その後伸線加工工程を実施する。この第3の転打工程と伸線加工とを含む加工工程における総減面率Rd(%)は下記(2)式で表される範囲であることが好ましい。
Rd≧(−0.04×D+2×10−13×D+1)×100 ……(2)
但し、Dは関係式:0.10mm≦D≦0.40mmを満足し、Rdは総減面率(%)であり、Dは線材の直径(mm)である。
例えばDが0.10mmのとき、総減面率Rdは99.96%以上であることが好ましく、一方Dが0.40mmのとき、総減面率Rdは99.36%以上であることが好ましい。この第3の転打工程は、温度1300〜1500℃の加熱下で行い、1パス当りの減面率が12〜18%となるように実施することが好ましい。
【0033】
さらに、前記第3の転打工程を実施したレニウムタングステン材に対して、次に伸線加工を実施する。伸線工程は、レニウムタングステン材の断面積が、伸線加工を開始する際の断面積に対して、総減面率で95%以上になるまで実施することが好ましい。さらにこの総減面率は、好ましくは97%以上である。
ここで減面率とは、工程前後における素材の断面積の減少率を示す。例えば、伸線加工工程前の断面積が100で、伸線加工後の断面積が25の場合、減面率は75%となる。総減面率とは、全ての伸線加工を通しての伸線加工前後における断面積の減少率を示す。
【0034】
伸線加工工程では、総減面率の度合いに応じて、加工1パスあたりの減面率を調整する。転打工程における総減面率が、0%以上86%未満の段階では、加工1パスあたりの減面率が28〜37%、転打工程後に実施する伸線工程での総減面率が86%以上97%未満の段階では、加工1パスあたりの減面率が20〜30%、さらに総減面率が97%以上の段階では、加工1パスあたりの減面率が17〜25%になるように減面率を調整する。伸線工程は、温度800℃〜1100℃の範囲の加熱下で実施することが好ましい。
【0035】
伸線工程後、ストレーナ加工等を行ったレニウムタングステン線に対し、次に表面に付着した伸線用潤滑剤や、表面に生成された酸化物層を除去するため、電解研磨加工を実施する。電解研磨加工は、例えば濃度7〜15質量%の水酸化ナトリウム水溶液中で電気化学的に金属線材表面を研磨することにより実施される。
【0036】
本発明の実施形態によるレニウムタングステン線から成る医療用針は、引張強さを従来の1.2〜1.4倍に向上させることができ、かつプレス加工や曲げ加工の際に発生するクラックや割れなどが大幅に低減されているため、湾曲形状への加工を高い歩留りで実施することが可能となり、医療用針など、曲がった形状に加工される二次加工製品に好適に使用することが可能となる。
【0037】
上記のように製造されたレニウムタングステン線から成る医療用針の折り曲げ性については、図2に示すようなベンディング試験装置20を使用して評価することができる。このベンディング試験装置20は、レニウムタングステン線11を挟み込み固定する1対の第1チャック部材21および第2チャック部材22を備えて構成される。
具体的な評価方法は、下記の通りである。すなわち、線径Dが0.10〜0.40mmであるレニウムタングステン線11を、第1チャック部材21および第2チャック部材22で挟み込んで固定し、直線状態から曲率半径0.3mmの曲面部23に沿って、略90度の屈曲角度で屈曲させる第1工程S1と、この屈曲した状態を前記の直線状態に戻す第2工程S2とを交互に繰り返し、第1工程および第2工程から成る1往復の折り曲げ回数を1回と数え、クラックが生じるまでの合計折り曲げ回数をカウントすることにより実施する。
【0038】
上記のような工程を経て調製したレニウムタングステン線を、ストレーナ加工、切断、機械研磨により先端加工を施すことにより、医療用針を製造することができる。また、前記工程に加えて、プレス加工、溶融加工を行う場合もある。
【0039】
本発明の実施形態に係るレニウムタングステン線を切断し、加工することにより医療用針に用いることができる。本発明によるレニウムタングステン線から成る医療用針は、引張強度が強く、折り曲げ性が良好なため、医療用針に好適に用いられる。医療用針の断面形状は、円形をはじめ、楕円形、三角形、台形、長方形、六角形など用途に応じた形状に加工される。また、先端形状は細くなるように加工されても良いし、丸い形状、切断エッジにより鋭利な部分を形成した形状など用途に応じて選択される。針の形状も、直線形状や湾曲形状など、用途に応じた形状が選択されるが、湾曲形状が好適に採用される。具体的には、針の部分(先端部)が円周長さ(全長)に対して、例えば1/4〜3/4程度の長さを有している。また、針の先端の反対側に縫合糸を掛止する手段を備えて構成されていてもよい。
【0040】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されて解釈されるものではない。
【0041】
(実施例1)
平均粒径D50が20μm、D90が50μmであるタングステン粉末74重量部と、平均粒径D50が20μmのレニウム粉末26重量部とをボールミルで混合して、原料混合粉末を調製した。タングステン粉末の不純物濃度は、Feが50ppm未満であり、Moが20ppm未満であり、Oが0.1重量%未満であり、Kが5ppm以下であった。
【0042】
この原料混合粉末を、金型プレス成形機を用いて、成形密度が9.3g/cm(相対密度47.16%)である成形体を成形した。
次に得られた成形体を、連続水素炉を使用して、処理温度が1350℃であり、送り速度が4.5〜5.0cm/minである条件で、仮焼結処理を実施した。さらに、水素気流中ベルジャー内において、焼結電流3950A、焼結時間75分の条件で通電焼結を行い、密度が19.1g/cm(相対密度96.86%)のレニウムタングステンインゴットを得た。
【0043】
このレニウムタングステンインゴットに対し、温度1400℃で転打加工(スウェージング)を行い、直径12.0mmの棒材に加工した後、水素雰囲気中で電流が2900Aであり、通電時間が2分間の条件で通電アニール処理を行った。さらに、温度1400℃で圧延加工を行った後に、温度1400℃で転打加工を繰り返して、直径が6.0mmのレニウムタングステン棒材を得た。
【0044】
このレニウムタングステン棒材に対して、高周波加熱装置によって、温度2400℃に加熱することによって再結晶化処理を行い、結晶粒径が20〜50μmの範囲内にあるレニウムタングステン棒材を得た。
この再結晶化処理後のレニウムタングステン棒材に対し、次に温度1400℃で1パス当りの減面率が12〜18%である転打加工を実施して、直径が2.2mmであるレニウムタングステン棒材を得た。
【0045】
このレニウムタングステン棒材に対し、総減面率が98.7%になるまで温度800〜900℃で伸線加工を複数回実施し、直径が0.22mmであるレニウムタングステン線を得た。なお上記伸線加工は、伸線加工の開始時に対して、総減面率が0%以上86%未満の段階では、伸線加工の1パス当りの減面率が28〜37%になるように調整し、総減面率が86%以上97%未満の段階では、伸線加工の1パス当りの減面率が20〜30%になるように調整し、さらには総減面率が97%以上の段階では、伸線加工の1パス当りの減面率が17〜25%になるように減面率を調整した。
【0046】
次に、得られたレニウムタングステン線に対して、ストレーナ加工を行った後に、濃度7〜15%水酸化ナトリウム水溶液中で線材表面に電解研磨処理を行い、表面に付着した伸線用潤滑剤と表面に生成した酸化物層とを除去することにより、直径が0.2mmであるレニウムタングステン線を得た。
【0047】
上記電解研磨処理後のレニウムタングステン線は、引張強さが3510N/mmであった。従来材より約1.28倍の引張強さであった。この実施例1に係るレニウムタングステン線の引張強さは、図1に示す線径Dと引張強さTとの関係を示すグラフにおいて実施例を示す領域Aに属するものである。
さらに上記電解研磨処理後のレニウムタングステン線について、図2に示すベンディング試験を行ったところ、クラックが発生するまでの折り曲げ回数は平均15.4回、最小13回、最大19回であり、良好な折り曲げ性(耐久性)を示した。
【0048】
次に、本発明に係る医療用針の特性を評価するため、本実施例で作製したレニウムタングステン線を用いて、直線形状の針を、ストレーナ加工、切断、機械研磨による先端加工を経て作製した。ストレーナ加工は回転式のストレーナ加工機を使用し、円弦法で100mmあたりの弦の高さを10mm以内とした。切断は砥石切断機を使用して、長さ50mmとなるように切断した。機械研磨は、回転砥石にピンの先端部を45°となるように押し付け、先端部の開き角度が45°になるようにテーパー状に加工した。
【0049】
次に上記のように製作した針の上部10mmを装置にクランプし、豚肉に1本あたり30mmの深さまで50回突き刺し、50回突き刺した後の針の曲がり量を測定した。この針の曲がり量は、40mm長の直線に対する針の最大変位量として測定した。
上記突き刺し試験を各10本の針について実施した結果、先端から40mmまでの針の曲がり量が平均で1.8mmであった。
【0050】
(実施例2)
レニウム粉末の混合比率を10重量部とした以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、図1で示す領域A内にある、従来材より高い引張強さを有し、クラックが低減されたことが確認できた。
【0051】
(実施例3)
レニウム粉末の混合比率を30重量部とした以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さを有し、クラックが低減されたことが確認できた。
【0052】
(実施例4)
実施例1の製造工程において、レニウム粉末に平均粒径D50が50μmである粉末を用いる以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。本実施例により製造されたレニウムタングステン線は、引張強さは良好であったが、局部的に断線が発生し、加工性に問題があった。
【0053】
(実施例5)
タングステン粉末の総不純物量が500ppm以上であるタングステン粉末を使用して、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。本実施例により製造されたレニウムタングステン線は、引張強さは良好な範囲(図1のA領域)に入ったものの、値にばらつきが生じた。
【0054】
(実施例6)
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を7.0mmとして、線径0.1mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
【0055】
(実施例7)
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を5.1mmとして、線径0.1mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
【0056】
(実施例8)
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を7.0mmとして、線径0.4mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
【0057】
(実施例9)
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を5.1mmとして、線径0.4mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
【0058】
(実施例10)
実施例1の製造工程において、高周波アニールを温度2300℃で実施する以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
【0059】
(実施例11)
実施例1の製造工程において、高周波アニールを2600℃で実施する以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
【0060】
(比較例1)
実施例1の製造工程において、レニウム粉末の混合比率を過少に3重量部とした以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
この比較例1に係るレニウムタングステン線の引張強さは、3070N/mmであり、図1に示す線径Dと引張強さTとの関係を示すグラフにおいて従来例を示す領域Bに属するものである。
【0061】
(比較例2)
実施例1の製造工程において、レニウム粉末の混合比率を過大に35重量部とした以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
この比較例2に係るレニウムタングステン線では、異常組織が形成されたために断線が生じ、その後の加工が不可能であった。
【0062】
(比較例3)
平均粒径D50が30μmでD90が50μmであるタングステン粉末74重量部と、平均粒径D50が20μmのレニウム粉末26重量部とをボールミルで混合して、混合粉末を調整した。タングステン粉末の不純物濃度は、Fe:50ppm未満、Mo:20ppm未満、O:0.1重量%未満、K:5ppm以下であった。
この混合粉末を、金型プレス成形機を用いて、成形密度が9.3g/cmの成形体を成形した。
【0063】
得られた成形体を、連続水素炉を使用して、処理温度1350℃、送り速度4.5〜5.0cm/minの条件で、仮焼結処理を実施した。さらに、水素気流中ベルジャー内において、焼結電流3650A、焼結時間50分の条件で通電焼結を行い、密度が19.1g/cmのレニウムタングステンインゴットを得た。
このレニウムタングステンインゴットに対し、1400℃で転打加工(スウェージング)を行い、直径12.0mmの棒材に加工した後、水素雰囲気中で2900A、2分間の条件で通電アニールを行った。さらに、1400℃で圧延加工を行った後、1400℃で転打加工を繰り返して、直径4.0mmのレニウムタングステン棒材を得た。
【0064】
このレニウムタングステン棒材に対して、高周波加熱装置によって、2600℃に加熱し、再結晶化処理を行い、結晶粒径が40〜80μmの範囲内にあるレニウムタングステン棒材を得た。
【0065】
この再結晶化処理後のレニウムタングステン棒材に対し、実施例1と同様の加工工程を実施し、直径0.2mmのレニウムタングステン線を得た。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。引張強さは2740N/mmであり、この値は図1に示す線径Dと引張強さTとの関係を示すグラフにおいて従来例を示す領域Bに属するものである。
このレニウムタングステン線を、図2に示すベンディング試験に供し、クラックが発生するまでの折り曲げ回数を測定したところ、平均10.4回、最小7回、最大13回であった。また、針形状での曲がりテスト(突き刺しテスト)では、曲がり量の平均値は5.7mmであった。評価結果を表1に示す。
【0066】
(比較例4)
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を4.0mmとすること以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.1mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0067】
(比較例5)
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を4.0mmとした点以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.4mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0068】
(比較例6)
実施例1の製造工程において、高周波アニールを2700℃で実施する以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0069】
(比較例7)
実施例1の製造工程と同様の製造工程を経て、最終の線径が0.05mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0070】
(比較例8)
実施例1の製造工程と同様の製造工程を経て、最終の線径が0.45mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0071】
以上説明した実施例1〜11に係るレニウムタングステン線の各線径Dに対する引張強さTは、図1に示すグラフの領域Aに存在することが確認できた。一方、比較例1、3〜5,8に係るレニウムタングステン線の各線径Dに対する引張強さTは、図1に示すグラフの従来例を示す領域Bに存在することも確認できた。
【0072】
上記各実施例および比較例に係るレニウムタングステン線の製造条件および特性をまとめて下記表1に示す。
【表1】
【0073】
以上の結果より、原料粉末の粒径分布の適切化を図り、結晶粒径を適切な範囲とする製造工程を採用することにより、従来材より高い引張強度を有するレニウムタングステン線が得られることが判明した。また、このレニウムタングステン線は折り曲げによる割れを大幅に低減することが可能となり、医療用の針に好適に用いられることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、細い線径であっても高い引張強さと折り曲げによる割れを発生しにくい線材を提供するもので、特に医療用針に好適に利用することができる。
図1
図2