特許第5766869号(P5766869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766869
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20150730BHJP
【FI】
   H02M7/48 A
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-501928(P2014-501928)
(86)(22)【出願日】2012年3月2日
(86)【国際出願番号】JP2012055374
(87)【国際公開番号】WO2013128631
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2014年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】伊瀬 敏史
(72)【発明者】
【氏名】角井 伸翼
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−272141(JP,A)
【文献】 特開平10−285953(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/125630(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/036912(WO,A1)
【文献】 角井伸翼、中路博勇、三浦友史、伊瀬敏史、細川靖彦,補助回路に能動素子を用いないソフトスイッチングインバータ,電気学会全国大会講演論文集,日本,社団法人電気学会,2011年 3月,2011巻4号,113-114頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極(TP)および第2電極(TN)を有する直流電源(Vdc)から供給された直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、
前記交流電力を出力する交流端子(TOUT)と、
前記第1電極(TP)と前記第2電極(TN)との間に直列接続される第1の直流分割コンデンサ(C1)および第2の直流分割コンデンサ(C2)と、
前記直流電源(Vdc)の前記第1電極に結合される第1端と、前記負荷に結合される第2端とを有する第1の主スイッチ(G1)と、
前記第1の主スイッチ(G1)と導通方向が逆になるように、前記第1の主スイッチ(G1)と並列接続される第1の主ダイオード(D1)と、
前記第1の主スイッチ(G1)の第2端に結合される第1端と、前記直流電源(Vdc)の前記第2電極に結合される第2端とを有し、前記第1の主スイッチ(G1)と導通方向が同じになるように設けられる第2の主スイッチ(G2)と、
前記第2の主スイッチ(G2)と導通方向が逆になるように、前記第2の主スイッチ(G2)と並列接続される第2の主ダイオード(D2)と、
第1のスナバコンデンサ(Cs1)および第2のスナバコンデンサ(Cs2)と、
前記第1のスナバコンデンサ(Cs1)と前記第2のスナバコンデンサ(Cs2)との間に直列接続される第1のスナバダイオード(D12)および第2のスナバダイオード(D22)と、
前記第1のスナバコンデンサ(Cs1)に印加される電圧が所定値以上になった場合または前記第2のスナバコンデンサ(Cs2)に印加される電圧が所定値以上になった場合、前記直流電源(Vdc)から前記第1のスナバコンデンサ(Cs1)または前記第2のスナバコンデンサ(Cs2)へ流れようとする充電電流を他の電流経路へ流すための保護回路(51)と、
前記第1の主スイッチ(G1)および前記第2の主スイッチ(G2)をオン制御およびオフ制御する制御回路(11)とを備え、
前記第1のスナバコンデンサ(Cs1)は、前記第1の主ダイオード(D1)のアノードと前記第1のスナバダイオード(D12)のカソードとの間に設けられ、
前記第2のスナバコンデンサ(Cs2)は、前記第2の主ダイオード(D2)のカソードと前記第2のスナバダイオード(D22)のアノードとの間に設けられ、
前記保護回路(51)は、
変圧器(Tr)と、
前記第1の主スイッチ(G1)および前記第2の主スイッチ(G2)と導通方向が逆になるように、前記第1の主スイッチ(G1)および前記第2の主スイッチ(G2)と並列接続され、かつ前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる第1のクランプダイオード(Df1)および第2のクランプダイオード(Df2)とを含み、
前記変圧器(Tr)は、
直列接続される第1の1次巻線(Ls1)および第2の1次巻線(Ls2)と、
前記第1および第2の1次巻線(Ls1,Ls2)にそれぞれ対応し設けられる第1の2次巻線(Lf1)および第2の2次巻線(Lf2)とを有し、
前記第1の1次巻線(Ls1)および前記第2の1次巻線(Ls2)の接続ノードは、前記交流端子に接続され、
前記第1のクランプダイオード(Df1)および前記第1の2次巻線(Lf1)が直列接続される第1のユニットと、前記第2のクランプダイオード(Df2)および前記第2の2次巻線(Lf2)を直列接続される第2のユニットとの結合ノード(N3)は、前記第1の直流分割コンデンサ(C1)と前記第2の直流分割コンデンサ(C2)との接続ノードに接続される、電力変換装置。
【請求項2】
前記電力変換装置は、
前記第1の主スイッチ(G1)と導通方向が逆になるように、前記第1のスナバコンデンサ(Cs1)と直列接続され、かつ前記第1のスナバコンデンサ(Cs1)と前記第1の主スイッチ(G1)の第1端との間に結合される第1の補助ダイオード(D11)および補助リアクトル(La1)と、
前記第2の主スイッチ(G2)と導通方向が逆になるように、前記第2のスナバコンデンサ(Cs2)と直列接続され、かつ前記第2のスナバコンデンサ(Cs2)と前記第2の主スイッチ(G2)の第2端との間に結合される第2の補助ダイオード(D21)および第2の補助リアクトル(La2)とをさらに備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御回路(11)は、前記第1の主スイッチ(G1)をオフ制御してから所定時間経過時に前記第2の主スイッチ(G2)をオン制御し、前記第2の主スイッチ(G2)をオン制御してから所定時間経過時に前記第2の主スイッチ(G2)をオフ制御し、前記第2の主スイッチ(G2)をオフ制御してから所定時間経過時に前記第1の主スイッチ(G1)をオン制御する、請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関し、特に、ソフトスイッチングを行なう電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
系統連系などに用いられる大容量インバータは,スイッチング損失が大きく動作周波数を高くできないという問題があり,これに対してソフトスイッチングの適用が有効である。
【0003】
これまでに種々のソフトスイッチングインバータ回路が提案されてきた。たとえば、非特許文献1(角井伸翼、中路博勇、三浦友史、伊瀬敏史、細川靖彦、「補助回路に能動素子を用いないソフトスイッチングインバータ」、電気学会全国大会、2011、Vo.14、p.1l3−114)に開示されたソフトスイッチングインバータ回路は,補助回路に能動素子を用いず、一般的なPWM(Pulse Width Modulation)制御が可能であり、パッシブクランプ回路により主素子の最大電圧を抑える特長がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】角井伸翼、中路博勇、三浦友史、伊瀬敏史、細川靖彦、「補助回路に能動素子を用いないソフトスイッチングインバータ」、電気学会全国大会、2011、Vo.14、p.1l3−114
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし,非特許文献1に開示されたソフトスイッチングインバータは、負荷端の大きな事故電流を想定して設計する場合に、変圧器の漏れインダクタンスと配線の寄生インピーダンスの影響で補助回路のスナバコンデンサの容量が大きくなってしまう問題がある。
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、主素子やスナバコンデンサの電圧ストレスを低減することが可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に係わる電力変換装置は、第1電極および第2電極を有する直流電源から供給された直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、交流電力を出力する交流端子と、第1電極と第2電極との間に直列接続される第1の直流分割コンデンサおよび第2の直流分割コンデンサと、直流電源の第1電極に結合される第1端と、負荷に結合される第2端とを有する第1の主スイッチと、第1の主スイッチと導通方向が逆になるように、第1の主スイッチと並列接続される第1の主ダイオードと、第1の主スイッチの第2端に結合される第1端と、直流電源の第2電極に結合される第2端とを有し、第1の主スイッチと導通方向が同じになるように設けられる第2の主スイッチと、第2の主スイッチと導通方向が逆になるように、第2の主スイッチと並列接続される第2の主ダイオードと、第1のスナバコンデンサおよび第2のスナバコンデンサと、第1のスナバコンデンサと第2のスナバコンデンサとの間に直列接続される第1のスナバダイオードおよび第2のスナバダイオードと、第1のスナバコンデンサに印加される電圧が所定値以上になった場合または第2のスナバコンデンサに印加される電圧が所定値以上になった場合、直流電源から第1のスナバコンデンサまたは第2のスナバコンデンサへ流れようとする充電電流を他の電流経路へ流すための保護回路と、第1の主スイッチおよび第2の主スイッチをオン制御およびオフ制御する制御回路とを備え、第1のスナバコンデンサは、第1の主ダイオードのアノードと第1のスナバダイオードのカソードとの間に設けられ、第2のスナバコンデンサは、第2の主ダイオードのカソードと第2のスナバダイオードのアノードとの間に設けられ、保護回路は、変圧器と、第1の主スイッチおよび第2の主スイッチと導通方向が逆になるように、第1の主スイッチおよび第2の主スイッチと並列接続され、かつ第1電極と第2電極との間に設けられる第1のクランプダイオードおよび第2のクランプダイオードとを含み、制御回路11は、電力変換装置から負荷へ電流が流れる正期間において、第1の主スイッチをオン制御からオフ制御へ切替えると、所定時間経過後に第2の主スイッチをオフ制御からオン制御に切替え、さらに第2の主スイッチをオン制御からオフ制御に切替えると、所定時間経過後に第1の主スイッチをオフ制御からオン制御へ切替える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、主素子およびスナバコンデンサに印加される最大電圧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101が電力変換を行なう際の電流の流れを時系列的に示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101が電力変換を行なう際の電流の流れを時系列的に示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101が電力変換を行なう際のスイッチ制御手順を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101が電力変換を行なう際の電流の流れを時系列的に示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101が電力変換を行なう際の電流の流れを時系列的に示す図である。
図7】参考例のソフトスイッチングインバータ101Xの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
[実施の形態]
<ソフトスイッチングインバータの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101の構成を示す図である。
【0012】
図1を参照して、ソフトスイッチングインバータ(電力変換装置)101は、電源端子TP,TNと、交流出力端子TOUTと、主スイッチG1,G2と、主ダイオードD1,D2と、スナバコンデンサCs1,Cs2と、補助ダイオードD11,D21と、スナバダイオードD12,D22と、補助リアクトルLa1,La2と、制御回路11と、保護回路51とを備える。保護回路51は、変圧器(トランス)Trと、クランプダイオードDf1,Df2とを含む。変圧器Trは、1次巻線Ls1,Ls2と、2次巻線Lf1,Lf2とを含む。このソフトスイッチングインバータ101の電源端子TPには直流電源Vdcの正電極端子が接続され、電源端子TNには直流電源Vdcの負電極端子が接続される。なお、ソフトスイッチングインバータ101は、直流電源Vdcを備える構成であってもよい。
【0013】
主スイッチG1,G2は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
【0014】
直流電源Vdcは、電源端子TPに接続された正電極と、電源端子TNに接続された負電極とを有する。電源端子TP,TN間には、直流分割コンデンサC1およびC2が直列接続されており、コンデンサC1およびC2の接続ノードをノードN3とする。
【0015】
主スイッチG1は、直流電源Vdcの正電極に結合されたコレクタと、交流出力端子TOUTを介して負荷に結合されたエミッタとを有する。すなわち、主スイッチG1は、電源端子TPに接続されたコレクタと、変圧器Trの1次巻線Ls1の第1端に接続されたエミッタとを有する。
【0016】
主ダイオードD1は、主スイッチG1と導通方向が逆になるように、主スイッチG1と並列接続されている。すなわち、主ダイオードD1は、主スイッチG1のコレクタに接続されたカソードと、主スイッチG1のエミッタに接続されたアノードとを有する。
【0017】
スナバコンデンサCs1は、主スイッチG1のエミッタとノードN1との間に接続される。補助ダイオードD11は、主スイッチG1と導通方向が逆になるように、主スイッチG1および主ダイオードD1と並列接続され、かつスナバコンデンサCs1と直列接続されている。すなわち、補助ダイオードD11は、ノードN1に接続されたアノードと、補助リアクトルLa1の第1端に接続されたカソードとを有する。スナバダイオードD12は、ノードN3に接続されたアノードと、ノードN1に接続されたカソードとを有する。
【0018】
補助ダイオードD11および補助リアクトルLa1は、電源端子TPとノードN1との間に接続され、かつ互いに直列接続されている。
【0019】
補助リアクトルLa1は、補助ダイオードD11のカソードに接続された第1端と、電源端子TPに接続された第2端とを有する。
【0020】
主スイッチG2は、主スイッチG1のエミッタに結合されたコレクタと、直流電源Vdcの負電極に結合されたエミッタとを有し、主スイッチG1と導通方向が同じになるように設けられている。すなわち、主スイッチG2は、変圧器Trの1次巻線Ls2の第2端に接続されたコレクタと、電源端子TNに接続されたエミッタとを有する。
【0021】
主ダイオードD2は、主スイッチG2と導通方向が逆になるように、主スイッチG2と並列接続されている。すなわち、主ダイオードD2は、主スイッチG2のコレクタに接続されたカソードと、主スイッチG2のエミッタに接続されたアノードとを有する。
【0022】
スナバコンデンサCs2は、主スイッチG2のコレクタとノードN2との間に接続される。補助ダイオードD21は、主スイッチG2と導通方向が逆になるように、主スイッチG2および主ダイオードD2と並列接続され、かつスナバコンデンサCs2と直列接続されている。すなわち、補助ダイオードD21は、ノードN2に接続されたカソードと、補助リアクトルLa2の第2端に接続されたアノードとを有する。
【0023】
補助ダイオードD21および補助リアクトルLa2は、ノードN2と電源端子TNとの間に接続され、かつ互いに直列接続されている。
【0024】
補助リアクトルLa2は、補助ダイオードD21のアノードに接続された第2端と、電源端子TNに接続された第1端とを有する。
【0025】
スナバダイオードD12およびスナバダイオードD22は、ノードN1とノードN2との間に接続され、かつ互いに直列接続されている。
【0026】
補助ダイオードD11,D21の配置は、上記の場所に限らず、設けることができる。たとえば、補助ダイオードD11は、電源端子TPと補助リアクトルLa1の第2端との間に設けられてもよい。すなわち、補助ダイオードD11のアノードは補助リアクトルLa1の第2端に接続され、カソードは電源端子TPに接続される。
【0027】
また、補助ダイオードD21は、電源端子TNと補助リアクトルLa2の第1端との間に設けられてもよい。すなわち、補助ダイオードD21のアノードは電源端子TNに接続され、カソードは補助リアクトルLa2の第1端に接続される。
【0028】
保護回路51は、主スイッチG1のエミッタと主スイッチG2のコレクタとの間に接続されている。保護回路51において、1次巻線Ls1,Ls2は、主スイッチG1のエミッタと主スイッチG2のコレクタとの間に接続されている。
【0029】
すなわち、1次巻線Ls1は、主スイッチG1のエミッタおよびスナバコンデンサCs1の第1端に接続された第1端と、交流出力端子TOUTおよび1次巻線Ls2の第1端に接続された第2端とを有する。
【0030】
1次巻線Ls2は、交流出力端子TOUTおよび1次巻線Ls1の第2端に接続された第1端と、主スイッチG2のコレクタおよびスナバコンデンサCs2の第1端に接続された第2端とを有する。1次巻線Ls1,Ls2は、巻き方向が同じである。
【0031】
2次巻線Lf1は、ノードN3と直流電源Vdcの正電極との間に結合され、1次巻線Ls1と磁気結合されている。2次巻線Lf1およびクランプダイオードDf1は、ノードN3と電源端子TPとの間に接続され、互いに直列接続されている。
【0032】
すなわち、2次巻線Lf1は、クランプダイオードDf1のアノードに接続された第1端と、ノードN3に接続された第2端とを有する。2次巻線Lf1は、1次巻線Ls1と巻き方向が逆である。また、変圧器Trの1次巻線と2次巻線との巻数比は1:nであり、たとえばn>2である。
【0033】
2次巻線Lf2は、ノードN3と直流電源Vdcの負電極との間に結合され、1次巻線Ls2と磁気結合されている。2次巻線Lf2およびクランプダイオードDf2は、ノードN3と電源端子TNとの間に接続され、互いに直列接続されている。
【0034】
すなわち、2次巻線Lf2は、クランプダイオードDf2のアノードに接続された第1端と、電源端子TNに接続された第2端とを有する。2次巻線Lf2は、1次巻線Ls2と巻き方向が逆である。また、変圧器Trの1次巻線と2次巻線との巻数比は1:nであり、たとえばn>2である。
【0035】
クランプダイオードDf1は、直流電源Vdcの正電極と2次巻線Lf1の第1端との間に接続されている。すなわち、クランプダイオードDf1は、電源端子TPに接続されたカソードと、2次巻線Lf1の第1端に接続されたアノードとを有する。
【0036】
クランプダイオードDf2は、ノードN3と2次巻線Lf2の第1端との間に接続されている。すなわち、クランプダイオードDf2は、ノードN3に接続されたカソードと、2次巻線Lf2の第1端に接続されたアノードとを有する。
【0037】
クランプダイオードDf1,Df2の配置は、上記の場所に限らず、電流経路PT上に設けることができる。たとえば、クランプダイオードDf1は、ノードN3とLf1の第2端との間に設けられてもよい。すなわち、クランプダイオードDf1のアノードはノードN3に接続され、カソードは2次巻線Lf1の第2端に接続される。
【0038】
また、クランプダイオードDf2は、電源端子TNと2次巻線Lf2の第2端との間に設けられてもよい。すなわち、クランプダイオードDf2のアノードは電源端子TNに接続され、カソードは2次巻線Lf2の第2端に接続される。
【0039】
ソフトスイッチングインバータ101は、直流電源Vdcから供給される直流電力を主アームである主スイッチG1,G2によってスイッチングすることにより、直流電源Vdcから供給される直流電力を交流電力に変換し、交流出力端子TOUTを介して負荷に供給する。
【0040】
スナバコンデンサCs1は、主スイッチG1がオフした時に主スイッチG1に電圧が印加されないようにするために設けられる。スナバコンデンサCs2は、主スイッチG2がオフした時に主スイッチG2に電圧が印加されないようにするために設けられる。
【0041】
制御回路11は、主スイッチG1,G2をそれぞれスイッチング制御する。
保護回路51は、直流電源Vdcの正電極と直流電源Vdcの負電極との間の電流経路PTを有する。保護回路51は、変圧器Trを用いることにより、主スイッチG1およびG2に印加される最大電圧を直流電源Vdcの出力電圧の1.5倍よりも小さい最大値VMに抑制する。
【0042】
次に、本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101が電力変換を行なう際の動作について図面を用いて説明する。まず、ソフトスイッチングインバータ101から負荷へ電流が流れる正期間の動作について説明する。
【0043】
<正期間の動作>
図2および図3は、本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101が電力変換を行なう際の電流の流れを時系列的に示す図である。図4は、本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101が電力変換を行なう際のスイッチ制御手順を示す図である。ここでは、直流電源Vdcの出力電圧をVdcとする。
【0044】
すなわち、図4に示すようなデットタイムTDを設定した制御信号によって駆動する。このとき負荷電流が正のとき、スイッチS1からS2への転流では、図2に示された電流経路をとり、スイッチS2からS1への転流では、図3に示された電流経路をとる。
【0045】
図2および図3において、スナバコンデンサCs1およびCs2の横に付された「+,−」は、スナバコンデンサの電荷の極性を示す。
【0046】
図4の横軸は時間を示しており、この横軸に沿って並ぶ数字は、図2および図3に示す各モードを示している。
【0047】
図2図4を参照して、まず、主スイッチG1をオン制御し、主スイッチG2をオフ制御し、主スイッチG1を通して直流電源Vdcから負荷へ電流が流れている状態(モード1)から説明する。このモード1では、負荷へ流れる電流は定常状態である。また、スナバコンデンサCs1の初期電圧は、直流分割コンデンサC1と同じ電圧値(−Vdc/2)を有する。一方、スナバコンデンサCs2の初期電圧の電圧値は(1/2+1/n)Vdcを有する。
【0048】
この状態において、時刻t1にスイッチS1がターンオフする。すなわち、主スイッチG1をオフ制御する。そうすると、直流電源Vdcからの電流がスナバコンデンサCs1へ転流する。これにより、スナバコンデンサCs1が負荷電流によって充電される(モード2)。
【0049】
次に、直流分割コンデンサC2の電圧Vc2と、スナバコンデンサCs1およびCs2の電圧Vcs1,Vcs2の合計の電圧とが等しくなると、ダイオードD21が導通し、スナバコンデンサCs2の放電が開始される(モード3)。
【0050】
さらに、スイッチS1の両端電圧が後に説明する式(1)で示される閾値に達すると、クランプダイオードDf1およびDf2が同じタイミングで導通し、経路PTに電流が流れ、スナバコンデンサCs1の充電が完了する(モード4)。
【0051】
そして、デットタイムTD経過後、時刻t2に主スイッチG2をオン制御する(ターンオン)。すると、共振経路が変化し、スナバコンデンサCs2の放電が継続する(モード5)。
【0052】
モード3に開始された、スナバコンデンサCs2の放電動作は、スナバコンデンサCs2の両端電圧(Vcs2)が−Vdc/2に達すると完了し、スナバダイオードD22が導通して、補助リアクトルLa2のエネルギーは直流分割コンデンサC2へ回生する(モード6)。
【0053】
そして、補助リアクトルLa2および変圧器の2次巻線の電流がゼロになるとスイッチS1から主ダイオードD2への転流が終了する(モード7)。
【0054】
上述したモード7の動作以降、そして、主スイッチG2をオン制御からオフ制御へ切替えるとき(時刻t2〜時刻t3の間)まで、主スイッチG2と並列接続され、主スイッチG2の電流の流れの向きに逆になるように設けられた主ダイオードD2を、負荷電流は流れる(モード8)。スナバコンデンサCs1は、(1/2+1/n)×Vdcの電圧を有し、一方、スナバコンデンサCs2は、−Vdc/2の電圧を有する。
【0055】
この状態において、時刻t3にスイッチS2がターンオフする。すなわち主スイッチG2をオフ制御する。その後デットタイムTD経過後、時刻t4にスイッチS1がターンオンすると、充電されていたスナバコンデンサCs1が放電動作を開始する。また、スイッチS2(主ダイオードD2)に流れる電流は、線形的に減少していく(モード9)。
【0056】
そして、モード9で示したように負荷電流が流れていた主ダイオードD2の電流が減少し、ゼロになると、スナバダイオードD22が導通して、スナバコンデンサCs2の充電が開始される(モード10)。
【0057】
モード9に開始されたスナバコンデンサCs1の放電動作は、スナバコンデンサCs1の両端電圧(Vcs1)が−Vdc/2に達すると完了し、スナバダイオードD12が導通して、補助リアクトルLa1のエネルギーは直流分割コンデンサC1へ回生する(モード11)。
【0058】
さらに、モード4と同様に、スイッチS2の両端電圧が後に説明する式(1)で示される閾値に達すると、クランプダイオードDf2およびDf1が同じタイミングで導通し、経路PTに電流が流れ、スナバコンデンサCs2の充電が完了する(モード12)。
【0059】
そして、補助リアクトルLa1および変圧器の2次巻線の電流がゼロになると主ダイオードD2からスイッチS1への転流が終了する(モード13)。
【0060】
このモード13は、モード1と同じ状態に戻る。すなわち、モード1〜モード13の一連の流れで、実施の形態のソフトスイッチングインバータ101はスイッチからダイオードへの転流を行ない、さらにダイオードからスイッチへの転流を行なう。
【0061】
<負期間の動作>
モード1〜モード13は、負荷電流が負荷へ流れ込む場合の動作、すなわち正期間の動作を説明したが、負荷電流がソフトスイッチングインバータ101に流れ込む場合の負期間の動作についても同様のため簡単に説明する。図5および図6は、本発明の実施の形態に係るソフトスイッチングインバータ101が電力変換を行なう際の電流の流れを時系列的に示す図である。
【0062】
図4の横軸は時間を示しており、この横軸に沿って並ぶ「負期間」の各数字は、図5および図6に示す各ステップを示している。
【0063】
図4図6を参照して、まず、主スイッチG2をオン制御し、主スイッチG1をオフ制御し、主スイッチG2を通して負荷から直流電源Vdcへ電流が流れている状態(モード21)から説明する。このモード21では、負荷へ流れる電流は定常状態である。
【0064】
この状態において、時刻t3にスイッチS2がターンオフする。すなわち、主スイッチG2をオフ制御する。そうすると、負荷からの電流がスナバコンデンサCs2へ転流する。これにより、スナバコンデンサCs2が負荷電流によって充電される(モード22)。
【0065】
次に、直流分割コンデンサC1の電圧Vc1と、スナバコンデンサCs1およびCs2の電圧Vcs1,Vcs2の合計の電圧とが等しくなると、ダイオードD11が導通し、スナバコンデンサCs1の放電が開始される(モード23)。
【0066】
さらに、スイッチS1の両端電圧が閾値電圧に達すると、クランプダイオードDf1およびDf2が同じタイミングで導通し、経路PTに電流が流れ、スナバコンデンサCs2の充電が完了する(モード24)。
【0067】
そして、デットタイムTD経過後、時刻t4に主スイッチG1をオン制御する(ターンオン)。すると、共振経路が変化し、スナバコンデンサCs1の放電が継続する(モード25)。
【0068】
モード23に開始された、スナバコンデンサCs1の放電動作は、スナバコンデンサCs1の両端電圧(Vcs1)が−Vdc/2に達すると完了し、スナバダイオードD12が導通して、補助リアクトルLa1のエネルギーは直流分割コンデンサC1へ回生する(モード26)。
【0069】
そして、補助リアクトルLa1および変圧器の2次巻線の電流がゼロになるとスイッチS2から主ダイオードD1への転流が終了する(モード27)。
【0070】
上述したモード27の動作以降、そして、主スイッチG1をオン制御からオフ制御へ切替えるとき(時刻t1)まで、主スイッチG1と並列接続され、主スイッチG1の電流の流れの向きに逆になるように設けられた主ダイオードD1を、負荷電流は流れる(モード28)。スナバコンデンサCs2は、(1/2+1/n)×Vdcの電圧を有し、一方、スナバコンデンサCs1は、−Vdc/2の電圧を有する。
【0071】
この状態において、時刻t1にスイッチS1がターンオフする。すなわち主スイッチG1をオフ制御する。その後デットタイムTD経過後、時刻t2にスイッチS2がターンオンすると、充電されていたスナバコンデンサCs2が放電動作を開始する。また、スイッチS1(主ダイオードD1)に流れる電流は、線形的に減少していく(モード29)。
【0072】
そして、モード29で示したように負荷電流が流れていた主ダイオードD1の電流が減少し、ゼロになると、スナバダイオードD12が導通して、スナバコンデンサCs1の充電が開始される(モード30)。
【0073】
モード29に開始されたスナバコンデンサCs2の放電動作は、スナバコンデンサCs2の両端電圧(Vcs2)が−Vdc/2に達すると完了し、スナバダイオードD22が導通して、補助リアクトルLa2のエネルギーは直流分割コンデンサC2へ回生する(モード31)。
【0074】
さらに、モード24と同様に、スイッチS1の両端電圧が閾値電圧に達すると、クランプダイオードDf1およびDf2が同じタイミングで導通し、経路PTに電流が流れ、スナバコンデンサCs1の充電が完了する(モード32)。
【0075】
そして、補助リアクトルLa2および変圧器の2次巻線の電流がゼロになると主ダイオードD1からスイッチS2への転流が終了する(モード33)。
【0076】
このモード33は、モード21と同じ状態に戻る。すなわち、モード21〜モード33の一連の流れで、実施の形態のソフトスイッチングインバータ101はスイッチからダイオードへの転流を行ない、さらにダイオードからスイッチへの転流を行なう。
【0077】
<実施の形態のソフトスイッチングインバータ101と参考例のソフトスイッチングインバータ101Xとの比較>
まず、図7は、参考例のソフトスイッチングインバータ101Xの構成を示す図である。図1図7を参照して、実施の形態のソフトスイッチングインバータ101と比較して、参考例のソフトスイッチングインバータ101Xを簡単に説明する。ソフトスイッチングインバータ101Xは、ソフトスイッチングインバータ101の保護回路51に代え、保護回路51Xを含む。保護回路51Xは、変圧器TrXと、クランプダイオードDfとを含む。また、変圧器TrXは、1次巻線Ls1,Ls2と、2次巻線Lfとを含む。
【0078】
言い換えると、ソフトスイッチングインバータ101は、ソフトスイッチングインバータ101Xと比較して、クランプダイオードDfを2つに分割し、クランプダイオードDf1,Df2とし、同様に変圧器Trの2次巻線Lfを2つに分割し、2次巻線Lf1,Lf2とする。この2次巻線Lf1,Lf2間の接続ノードと直流電源の直流分割コンデンサC1,C2間の接続ノードとが接続されている。
【0079】
ここで、本実施の形態のソフトスイッチングインバータ101の理解を容易にするために、ソフトスイッチングインバータ101およびソフトスイッチングインバータ101Xの構成する主スイッチ、クランプダイオード、スナバコンデンサに印加される最大電圧について検討する。
【0080】
ソフトスイッチングインバータ101の構成するスイッチS1,S2およびクランプダイオードDf1,Df2に印加される最大電圧は、式(1)および式(2)で表せる。nはLs1(Ls2)とLf1(Lf2)との巻数比を示し、これらの式(1)、式(2)で表した最大電圧の関係は、トレードオフの関係にある。
【0081】
【数1】
【0082】
【数2】
【0083】
一方、ソフトスイッチングインバータ101XのスイッチS1,S2およびクランプダイオードDfに印加される最大電圧は、式(3)および式(4)で表せる。nxは変圧器TrXの巻数比を示し、これらの最大電圧の関係は、同様にトレードオフの関係にある。
【0084】
【数3】
【0085】
【数4】
【0086】
さらに、ソフトスイッチングインバータ101の構成するスナバコンデンサCs1,Cs2に印加される最大電圧は、式(5)で表せる。
【0087】
【数5】
【0088】
一方、ソフトスイッチングインバータ101Xの構成するスナバコンデンサCs1,Cs2に印加される最大電圧は、式(6)で表せる。
【0089】
【数6】
【0090】
ここで、ソフトスイッチングインバータ101のクランプダイオード一つ当たりの最大電圧がソフトスイッチングインバータ101Xのクランプダイオードの最大電圧と等しくする場合に、変圧器Tr,TrXのそれぞれの巻数比n,nxとの関係は、式(7)で表せる。
【0091】
【数7】
【0092】
式(1)、式(3)、式(7)を用いて、ソフトスイッチングインバータ101およびソフトスイッチングインバータ101Xのそれぞれの主素子に印加される最大電圧関係が式(8)で表せる。
【0093】
【数8】
【0094】
式(8)が示すように、主素子に印加される最大電圧は、ソフトスイッチングインバータ101Xよりソフトスイッチングインバータ101の方が低減される。
【0095】
さらに、式(5)、式(6)、式(7)を用いて、ソフトスイッチングインバータ101およびソフトスイッチングインバータ101Xのそれぞれのスナバコンデンサに印加される最大電圧関係が式(9)で表せる。
【0096】
【数9】
【0097】
式(9)が示すように、スナバコンデンサに印加される最大電圧は、ソフトスイッチングインバータ101Xよりソフトスイッチングインバータ101の方が低減される。
【0098】
具体的に説明すると、たとえば、Vdc=200V,クランプダイオードの最大電圧VDf.max.new=VDf.max.old=600Vとすると、ソフトスイッチングインバータ101およびソフトスイッチングインバータ101Xの巻数比はそれぞれn=5,nx=4となり、また、主素子の最大電圧はVs.max.new=240,Vs.max.old=300となり、スナバコンデンサの最大電圧はVs.max.new=140,Vs.max.old=200となる。従って、主素子およびクランプコンデンサの最大電圧は約80%、約70%まで低減されている。
【0099】
このように実施の形態のソフトスイッチングインバータ101の構成をとることにより、主素子、スナバコンデンサの最大電圧を低減でき、装置の小型化、コスト削減を行なうことができる。
【0100】
最後に、図等を用いて、実施の形態を総括する。
図1に示すように、実施の形態のソフトスイッチングインバータ101は、電源端子TPおよび電源端子TNを有する直流電源Vdcから供給された直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、交流電力を出力する交流端子(TOUT)と、電源端子TPと電源端子TNとの間に直列接続される直流分割コンデンサC1および直流分割コンデンサC2と、直流電源Vdcの電源端子に結合される第1端と、負荷に結合される第2端とを有する主スイッチG1と、主スイッチG1と導通方向が逆になるように、主スイッチG1と並列接続される主ダイオードD1と、主スイッチG1の第2端に結合される第1端と、直流電源Vdcの電源端子に結合される第2端とを有し、主スイッチG1と導通方向が同じになるように設けられる主スイッチG2と、主スイッチG2と導通方向が逆になるように、主スイッチG2と並列接続される主ダイオードD2と、スナバコンデンサCs1およびスナバコンデンサCs2と、スナバコンデンサCs1とスナバコンデンサCs2との間に直列接続されるスナバダイオードD12およびスナバダイオードD22と、スナバコンデンサCs1に印加される電圧が所定値以上になった場合またはスナバコンデンサCs2に印加される電圧が所定値以上になった場合、直流電源VdcからスナバコンデンサCs1またはスナバコンデンサCs2へ流れようとする充電電流を他の電流経路へ流すための保護回路51と、主スイッチG1および主スイッチG2をオン制御およびオフ制御する制御回路11とを備え、スナバコンデンサCs1は、主ダイオードD1のアノードとスナバダイオードD12のカソードとの間に設けられ、スナバコンデンサCs2は、主ダイオードD2のカソードとスナバダイオードD22のアノードとの間に設けられ、保護回路51は、変圧器Trと、主スイッチG1および主スイッチG2と導通方向が逆になるように、主スイッチG1および主スイッチG2と並列接続され、かつ電源端子と電源端子との間に設けられるクランプダイオードDf1およびクランプダイオードDf2とを含み、制御回路11は、電力変換装置から負荷へ電流が流れる正期間において、主スイッチG1をオン制御からオフ制御へ切替えると、所定時間(TD)経過後に主スイッチG2をオフ制御からオン制御に切替え、さらに主スイッチG2をオン制御からオフ制御に切替えると、所定時間(TD)経過後に主スイッチG1をオフ制御からオン制御へ切替える。
【0101】
また、実施の形態を別の局面から見ると、ソフトスイッチングインバータ101は、電源端子TPおよび電源端子TNを有する直流電源Vdcから供給された直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、交流電力を出力する交流端子(TOUT)と、電源端子TPと電源端子TNとの間に直列接続される直流分割コンデンサC1および直流分割コンデンサC2と、直流電源Vdcの電源端子に結合される第1端と、負荷に結合される第2端とを有する主スイッチG1と、主スイッチG1と導通方向が逆になるように、主スイッチG1と並列接続される主ダイオードD1と、主スイッチG1の第2端に結合される第1端と、直流電源Vdcの電源端子に結合される第2端とを有し、主スイッチG1と導通方向が同じになるように設けられる主スイッチG2と、主スイッチG2と導通方向が逆になるように、主スイッチG2と並列接続される主ダイオードD2と、スナバコンデンサCs1およびスナバコンデンサCs2と、スナバコンデンサCs1とスナバコンデンサCs2との間に直列接続されるスナバダイオードD12およびスナバダイオードD22と、スナバコンデンサCs1に印加される電圧が所定値以上になった場合またはスナバコンデンサCs2に印加される電圧が所定値以上になった場合、直流電源VdcからスナバコンデンサCs1またはスナバコンデンサCs2へ流れようとする充電電流を他の電流経路へ流すための保護回路51と、主スイッチG1および主スイッチG2をオン制御およびオフ制御する制御回路11とを備え、スナバコンデンサCs1は、主ダイオードD1のアノードとスナバダイオードD12のカソードとの間に設けられ、スナバコンデンサCs2は、主ダイオードD2のカソードとスナバダイオードD22のアノードとの間に設けられ、保護回路51は、変圧器Trと、主スイッチG1および主スイッチG2と導通方向が逆になるように、主スイッチG1および主スイッチG2と並列接続され、かつ電源端子と電源端子との間に設けられるクランプダイオードDf1およびクランプダイオードDf2とを含み、変圧器Trは、直列接続される1次巻線Ls1および1次巻線Ls2と、1次巻線Ls1,Ls2にそれぞれ対応し設けられる2次巻線Lf1および2次巻線Lf2とを有し、1次巻線Ls1および1次巻線Ls2の接続ノードは、交流端子に接続され、クランプダイオードDf1および2次巻線Lf1が直列接続される第1のユニットと、クランプダイオードDf2および2次巻線Lf2を直列接続される第2のユニットとの結合ノードN3は、直流分割コンデンサC1と直流分割コンデンサC2との接続ノードに接続される。
【0102】
さらに好ましくは、電力変換装置は、主スイッチG1と導通方向が逆になるように、スナバコンデンサCs1と直列接続され、かつスナバコンデンサCs1と主スイッチG1の第1端との間に結合される補助ダイオードD11および補助リアクトルLa1と、主スイッチG2と導通方向が逆になるように、スナバコンデンサCs2と直列接続され、かつスナバコンデンサCs2と主スイッチG2の第2端との間に結合される補助ダイオードD21および補助リアクトルLa2とをさらに備える。
【0103】
好ましくは、変圧器Trは、直列接続される1次巻線Ls1および1次巻線Ls2と、1次巻線Ls1,Ls2にそれぞれ対応し設けられる2次巻線Lf1および2次巻線Lf2とを含み、2次巻線Lf1と2次巻線Lf2との結合ノードは、直流分割コンデンサC1と直流分割コンデンサC2との接続ノードに接続される。
【0104】
好ましくは、2次巻線Lf1と2次巻線Lf2との結合ノードは、スナバダイオードD12とスナバダイオードD22との接続ノードに接続される。
【0105】
さらに好ましくは、制御回路11は、主スイッチG1をオフ制御してから所定時間経過時に主スイッチG2をオン制御し、主スイッチG2をオン制御してから所定時間経過時に主スイッチG2をオフ制御し、主スイッチG2をオフ制御してから所定時間経過時に主スイッチG1をオン制御する。
【0106】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
101 ソフトスイッチングインバータ、11 制御回路、51 保護回路、C1,C2 直流分割コンデンサ、Cs1,Cs2 スナバコンデンサ、D1,D2 主ダイオード、D11,D21 補助ダイオード、D12,D22 スナバダイオード、Df,Df1,Df2 クランプダイオード、G1,G2 主スイッチ、La1,La2 補助リアクトル、Lf,Lf1,Lf2 2次巻線、Ls1,Ls2 1次巻線、S1,S2 スイッチ、TD デットタイム、TN,TP 電源端子、TOUT 交流出力端子、Tr,TrX 変圧器、n,nx 巻数比。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7