(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、ここでは画像取得装置として走査電子顕微鏡装置を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。
【0023】
〈発明の概要〉
本発明の第1の概要は、画像情報を取得する画像取得装置(走査電子顕微鏡装置2)と、該画像取得装置が取得した画像情報の画像処理を行う画像処理部(画像処理部3)とを有する画像処理システム(画像処理システム1)である。
【0024】
画像処理部は、スキャン制御部(スキャン制御部13)、処理切り替え制御部(処理切り替え制御部10)、演算回路(画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
n)、およびリコンフィグ制御部(リコンフィグ制御部14)とを有する。
【0025】
スキャン制御部は、画像取得装置が行うスキャン種別を示すスキャン種別信号から、スキャン種別に対応する処理内容を決定して出力する。処理切り替え制御部は、スキャン制御部から出力された処理内容に対応する演算処理を行う回路構成を決定し、回路構成をコンフィグレーションするコンフィグ制御信号を出力する。
【0026】
演算回路は、回路構成が書き換え(コンフィグレーション)可能な回路である。リコンフィグ制御部は、処理切り替え制御部から出力されたコンフィグ制御信号に基づいて、演算回路のコンフィグレーションを行う。
【0027】
演算回路は、リコンフィグ制御部によってコンフィグレーションされた回路により、画像取得装置が取得した画像情報を演算処理する。
【0028】
本発明の第2の概要は、画像情報を取得する画像取得装置と、該画像取得装置が取得した画像情報の画像処理を行う画像処理部(画像処理部3)とを有する画像処理システム(画像処理システム1)である。
【0029】
画像処理部は、画像取得装置が行うスキャン種別を示すスキャン種別信号から、スキャン種別に対応する処理内容を決定し、処理内容に対応する演算処理を行う回路構成をコンフィグレーションするコンフィグ制御信号を出力する処理切り替え制御部(処理切り替え制御部10)と、回路構成が書き換え可能な演算回路(画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
n)と、処理切り替え制御部から出力されたコンフィグ制御信号に基づいて、演算回路のコンフィグレーションを行うリコンフィグ制御部(リコンフィグ制御部14)とを有する。
【0030】
そして、演算回路は、リコンフィグ制御部によってコンフィグレーションされた回路により、画像取得装置が取得した画像情報を演算処理する。
【0031】
以下、上記した概要に基づいて、実施の形態を詳細に説明する。
【0032】
〈画像処理システムの構成例〉
以下の実施形態では、走査電子顕微鏡装置を例にして、本発明の画像処理システム、および方法を説明する。
【0033】
図1は、本実施の形態による画像処理システム1の一例を示す説明図である。本実施の形態において、画像処理システム1は、
図1に示すように、走査電子顕微鏡装置2、画像処理部3、およびパーソナルコンピュータ4を有している。パーソナルコンピュータ4には、表示部であるディスプレイ4aが接続されている。
【0034】
走査電子顕微鏡装置2は、走査電子顕微鏡(SEM)5、画像生成部6
1〜6
n、電子ビーム制御部7からなる。走査電子顕微鏡5は、電子銃5a、走査コイル(図示せず)、および二次電子検出部(図示せず)などから構成される。
【0035】
電子銃5aは、電子ビームを出射する。走査コイルは、電子銃5aから出射された電子ビームの照射位置を制御する。二次電子検出部は、電子ビームの照射により試料SAMPから出射される二次電子を検出する。
【0036】
画像生成部6
1〜6
nは、二次電子検出部が検出した二次電子を電子ビーム制御部7による電子ビームの走査制御に同期して取り込み、電子ビームが走査(照射)された領域について、試料SAMPのSEM画像を生成する。
【0037】
電子ビーム制御部7は、画像処理部3から出力される走査電子顕微鏡5の走査(スキャン)を行うための情報であるスキャン座標、およびスキャン制御信号に基づいて、電子ビームの走査を行う。
【0038】
画像処理部3から出力されるスキャン座標、およびスキャン制御信号は、例えば、デジタル信号であり、電子ビーム制御部7は、該デジタル信号をアナログ信号に変換し、電子ビームの走査制御を行う。
【0039】
画像処理部3は、A/D(Analog/Digital)変換器8
1〜8
n、スキャン・画像取り込み部9、ならびに処理切り替え制御部10から構成されている。スキャン・画像取り込み部9は、入力される画像情報をパーソナルコンピュータ4へ転送するためのインタフェース、およびリアルタイム処理を行う。
【0040】
このスキャン・画像取り込み部9は、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
n、画像転送部12、スキャン制御部13、リコンフィグ制御部14、および特徴量格納部15から構成されている。処理切り替え制御部10は、プロセッサ16、およびコンフィグデータメモリ17から構成されている。
【0041】
A/D変換器8
1〜8
nは、画像生成部6
1〜6
nから出力されるアナログ信号の画像データをデジタル信号に変換して出力する。画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nは、A/D変換器8
1〜8
nが変換したデジタル信号の画像データにおける各種の画像演算、または特徴量算出を行う。
【0042】
画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nは、例えば、プログラミングなどによって書き換え(コンフィグレーション)が可能な回路であるFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウエアによって構成されている。
【0043】
回路を構築する回路情報は、後述するコンフィグデータメモリ17に格納されており、該回路情報に基づいて、リコンフィグ制御部14が画像演算を行う画像演算回路や特徴量を算出する特徴量算出回路などの回路を構築する。
【0044】
ここで、画像演算とは、例えば、画質向上を目的とした画素またはフレーム毎の積算を行う積算処理やフィルタ処理(例えば、画像のノイズ除去など)などであり、特徴量算出とは、例えば、画像の明るさやコントラストを調整するためのヒストグラム取得処理、および画像の焦点(フォーカス)の評価値を算出する演算処理などである。
【0045】
画像転送部12は、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nによる画像演算の結果をパーソナルコンピュータ4に転送する。スキャン制御部13は、パーソナルコンピュータ4から出力される制御信号に基づいて、走査電子顕微鏡5の走査(スキャン)を行うスキャン座標、およびスキャン制御信号を生成し、電子ビーム制御部7に出力する。
【0046】
リコンフィグ制御部14は、プロセッサ16から出力されるコンフィグ制御信号に基づいて、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nをコンフィグレーション(回路の書き換え)する。特徴量格納部15は、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nが算出した特徴量算出の結果を格納する。特徴量格納部15に格納された特徴量算出の結果は、パーソナルコンピュータに読み出される。
【0047】
プロセッサ16は、スキャン制御部13から出力されるフレーム信号、およびスキャン制御部13から出力される後述するスキャン情報に基づいて、コンフィグデータメモリ17から回路情報を検索し、その検索結果をコンフィグ制御信号としてリコンフィグ制御部14に出力する。
【0048】
スキャン制御部13は、パーソナルコンピュータ4と接続されており、該スキャン制御部13は、パーソナルコンピュータ4からスキャンの種別を示すスキャン種別を取得し、取得したスキャン種別に基づいて、後述する処理対応テーブルTB(
図4)を検索する。
【0049】
そして、スキャン制御部13は、取得したスキャン種別に基づいて処理対応テーブルTBを検索し、該スキャン種別に対応する処理の内容を示す処理内容、およびその処理内容によって処理された処理結果の出力先を決定する。
【0050】
検索結果である処理内容は、スキャン情報としてプロセッサ16に出力され、処理結果の出力先は、リコンフィグ制御部14に出力される。
【0051】
処理対応テーブルTBは、例えば、スキャン制御部13が有するメモリ(図示せず)などに格納されており、スキャン種別、およびスキャン種別に対応する処理内容、および画像データの出力先などの情報からなる。コンフィグデータメモリ17は、スキャン種別毎に処理を行うすべての回路情報が格納されている。
【0052】
〈走査電子顕微鏡装置の動作例〉
ここで、走査電子顕微鏡装置2について説明する。
【0053】
走査電子顕微鏡装置2は、半導体デバイスやエレクトロニクス、先端ナノテクノロジー材料、生物、製薬などの試料観察を行う装置であり、複数の走査ラインに沿って所定の加速電圧によって電子ビームを照射して、試料上の観察対象領域を走査(スキャン)し、出射される二次電子を検出して観察対象領域の画像情報を取得する。
【0054】
画像情報の取得は、走査電子顕微鏡装置2にて処理が行われる単位にて行う。例えば、半導体集積回路装置のウエハを観察する場合、一度にウエハ全体の画像を取得することができないため、640×480などの画像サイズに分割して画像を取得する。
【0055】
分割された画像サイズを1つの単位とし、この範囲、即ち対象領域で電子ビームを走査(スキャン)させて画像を取得する。分割された単位の基準点へは、SEM5内部に設けられた試料SAMPを搭載するステージSTを動かすことで行われる。
【0056】
画像サイズは、対象となる試料、例えば、半導体集積回路装置の微細化やナノテクノロジーの進歩に伴い、640×480から5120×3840のサイズへと拡大している。
【0057】
〈走査電子顕微鏡装置の走査動作例〉
以下、分割された単位である、1つの画像サイズ内で行われる走査(スキャン)について説明する。
【0058】
まず、スキャン制御部13は、走査電子顕微鏡5の走査(スキャン)を行うため、パーソナルコンピュータ4から出力される制御信号に基づいて、スキャン座標、およびスキャン制御信号をそれぞれ生成する。
【0059】
生成されたスキャン座標、およびスキャン制御信号は、電子ビーム制御部7においてデジタル信号からアナログ信号に変換され、該電子ビーム制御部7の制御に基づいて電子ビームの走査を行う。
【0060】
例えば画像サイズが、640×480の場合における通常のスキャンでは、X座標、およびY座標を0とし、X座標を0から639まで順番に生成する。次にY座標を1とし、同様にX座標を0から639まで順番に生成する。これを繰り返してY座標が479になるまで座標を生成する。このようにX座標、およびY座標を0から順番に行うスキャンをラスタスキャンという。
【0061】
一方、画像取得を行う際には、画像がぼやけるのを防止するために、試料SAMP表面上に正確に焦点を合わせたり、正確な測定や検査を行うために画像の明るさやコントラストなどを調整する必要がある。
【0062】
これら調整には、観察対象に電子ビームを走査して得られた画像を用いて、焦点の評価値や明るさ、コントラストなどの特徴量を算出して調整を行う。このとき、取得する画像サイズと同等のスキャンを行って特徴量を算出してもよいが、特徴量を算出する時間を短縮するため、取得する画像サイズより小さいサイズのスキャンを行って特徴量を算出する。そのために、スキャン制御部13では、画像取得用スキャンと特徴量算出用スキャンなど複数のスキャン種別を有している。
【0063】
〈画像処理システムのスキャン制御、および画像取得の動作〉
次に、本実施の形態による画像処理システム1のスキャン制御、および画像取得について説明する。
【0064】
まず、スキャン制御部13は、パーソナルコンピュータ4から出力される制御信号に基づいて、走査電子顕微鏡5の走査(スキャン)を行うためのスキャン座標、およびスキャン制御信号を生成する。生成されたスキャン座標、およびスキャン制御信号は、電子ビーム制御部7によってデジタル信号からアナログ信号へ変換され、電子ビームの走査が行われる。
【0065】
ここで、スキャン制御部13から出力されたスキャン制御信号は、画像データの有効範囲を示すフレーム信号として処理切り替え制御部10のプロセッサ16に入力される。また、スキャン制御部13は、パーソナルコンピュータ4から取得したスキャン種別に基づいて、処理対応テーブルTBを検索し、スキャン種別に対応する処理内容、およびその処理内容によって処理された処理結果の出力先を取りだし、取り出した処理内容をスキャン情報としてプロセッサ16に出力し、処理結果の出力先をリコンフィグ制御部14に出力する。
【0066】
前述したように、特徴量を算出する特徴量算出用スキャン、あるいは画像のノイズを除去や画像合成による高画質化などを行う画像取り込み用スキャンなどは、複数のスキャン種別があり、スキャン種別は、どの種別のスキャンを行うかを示す信号である。フレーム信号は、取得画像の有効データ期間、あるいは無効データ期間を示す信号である。
【0067】
プロセッサ16は、スキャン情報からコンフィグデータメモリ17に格納された回路情報を検索し、入力されたスキャン情報に合致する回路情報を取り出して、リコンフィグ制御部14に出力する。
【0068】
リコンフィグ制御部14は、プロセッサ16から受け取った回路情報に基づいて、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nをコンフィグレーション(回路の書き換え)する。このコンフィグレーションの処理は、フレーム信号が、取得画像の無効データ期間を示す信号となった際に実行される。
【0069】
ここで、リコンフィグ制御部14を制御するプロセッサ16は、画像処理部3が有するFPGA内部のCPUにて構成するようにしてもよいし、あるいは該FPGA外のプロセッサによって構成するようにしてもよい。
【0070】
このように、スキャン制御部13からのスキャン情報により、スキャン種別に対応する処理内容に応じて画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nの回路構成を切り替えることが可能となる。
【0071】
スキャン・画像取り込み部9では、A/D変換器8
1〜8
nによりデジタル信号に変換された画像データが入力され、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nの回路構成に応じた計算が行われる。
【0072】
画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nが、画像演算を行う画像演算回路としてコンフィグレーションされている場合には、前述したように画質向上を目的とした画素またはフレーム毎の積算を行う積算処理やフィルタ処理などの演算が行われる。
【0073】
また、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nが、特徴量を算出する特徴量算出回路としてコンフィグレーションされている場合には、画像の明るさやコントラストを調整するためのヒストグラム取得処理などの演算を行う。
【0074】
画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nによる画像演算の結果は、画像転送部12によりパーソナルコンピュータ4に転送される。画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nによる特徴量算出の結果は、特徴量格納部15に格納される。
【0075】
特徴量算出、あるいは画像演算を行う画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nをFPGAによって構築することにより、画像演算回路と特徴量算出回路とを別々に設ける必要がなくなる。また、スキャン種別に応じて回路情報をコンフィグレーションすることが可能であり、回路規模を低減することができる。
【0076】
続いて、スキャン・画像取り込み部9、および処理切り替え制御部10による画像処理の切り替え動作について説明する。
【0077】
〈スキャン種別毎の画像処理例〉
図2は、スキャン種別毎に画像処理を切り替える動作概要を示したタイミングチャートである。
【0078】
この
図2においては、上方から下方にかけて、スキャンクロック、スキャン種別、フレーム信号、A/D変換器8
1〜8
nから出力される画像データ、および画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nによる処理におけるタイミングをそれぞれ示している。
【0079】
画像処理は、スキャンクロックに同期して動作が行われる。スキャン種別は、例えば、スキャンa、スキャンb、およびスキャンcなどの種別であるとする。スキャンaは、例えば、明るさの調整を行う特徴量を算出するためのスキャンであり、スキャンbは、例えば、コントラストの調整を行う特徴量を算出するためのスキャンであり、スキャンcは、フィルタ処理によって画像のノイズを除去する演算を行うためのスキャンである。
【0080】
ここで、明るさの調整を行う特徴量を算出する処理を特徴量算出(1)とし、コントラストの調整を行う特徴量を算出する処理を特徴量算出(2)とし、画像のノイズを除去する画像演算を行う処理を画像取り込み(1)とする。
【0081】
図2では、スキャン種別が、スキャンa、スキャンb、続いてスキャンcと順次移行する例を示している。例えば、スキャンaにおいて、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nは、明るさの調整を行う特徴量を算出する特徴量算出回路としてコンフィグレーションされ、スキャンaによって得られたスキャン結果に基づいて、特徴量算出(1)の算出を行う。
【0082】
スキャンbの場合、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nは、コントラストの調整を行う特徴量を算出する特徴量算出回路としてコンフィグレーションされ、スキャンbによって得られたスキャン結果に基づいて、特徴量算出(2)の算出を行う。
【0083】
ここで、スキャンaが終了した際、スキャンbに移行するまでの間、スキャン制御部13から出力されるフレーム信号は、画像データの無効期間を示す信号となる。この画像データの無効期間を示すフレーム信号の期間が、ブランキング期間と呼ばれる無効データ期間である。
【0084】
このブランキング期間に、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nは、リコンフィグ制御部14によって特徴量算出(2)の算出を行う特徴量算出回路としてコンフィグレーションされる。
【0085】
そして、スキャン制御部13から出力されるフレーム信号が画像データの有効範囲を示す信号となり、スキャンbが行われる。スキャンbが終了すると、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nは、スキャンbによって得られたスキャン結果に基づいて、特徴量算出(2)の算出を行う。
【0086】
スキャンbが終了し、次のスキャンであるスキャンcに移行するまでの間、スキャン制御部13から出力されるフレーム信号は、画像データの無効期間を示す信号となり、ブランキング期間となる。
【0087】
このブランキング期間において、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nは、リコンフィグ制御部14によって画像取り込み(1)の画像演算を行う画像演算回路としてコンフィグレーションされることになる。
【0088】
スキャン制御部13から出力されるフレーム信号が画像データの有効期間を示す信号となり、スキャンcが行われと、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nは、スキャンcによって得られたスキャン結果に基づいて、画像取り込み(1)の演算を行う。
【0089】
このように、ブランキング期間の始めから画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nの回路の切り替え処理(コンフィグレーション)を行うことにより、次のスキャンの前(例えば、スキャンaからスキャンbへの切り替わりやスキャンbからスキャンcへの切り替わり)には、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nの回路切り替え処理を終了させることができる。これにより、試料SAMPの観察に影響することなく切り替えを行うことが可能である。
【0090】
〈スキャン種別毎の回路切り替え処理例〉
図3は、
図2のタイミングチャートにおけるスキャン種別毎の回路切り替え処理の一例を示した説明図である。
【0091】
また、
図3は、A/D変換器8
1、画像演算・特徴量算出回路11
1、画像転送部12、および特徴量格納部15に注目した図となっており、スキャン・画像取り込み部9の画像演算・特徴量算出回路11
2〜11
n、スキャン制御部13、ならびにリコンフィグ制御部14については省略している。
【0092】
図3(a)は、
図2のタイミングチャートにおけるスキャンaの場合の画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nのスキャン種別毎の回路切り替え処理の一例を示した説明図である。
【0093】
まず、リコンフィグ制御部14は、スキャンaによる特徴量算出(1)を算出する特徴量算出回路をコンフィグレーションする。特徴量算出(1)を算出する特徴量算出回路がコンフィグレーションされた後、スキャンaが実行される。
【0094】
走査電子顕微鏡5(
図1)にてスキャンされ、画像生成部6
1(
図1)にて生成された試料SAMP(
図1)のSEM画像は、A/D変換器8
1にてデジタルデータに変換された後、画像演算・特徴量算出回路11
1に入力される。
【0095】
画像演算・特徴量算出回路11
1では、特徴量算出(1)の算出を行う特徴量算出回路20がコンフィグレーションされており、この特徴量算出回路20は、A/D変換器8
1から出力されたデジタルデータから、特徴量を算出する。
【0096】
そして、特徴量算出回路20が算出した特徴量は、特徴量格納部15に格納される。特徴量格納部15に格納された特徴量は、パーソナルコンピュータ4によって読み出される。
【0097】
これらのデータの流れは、
図3(a)の太線にて示した経路となる。また、
図3(a)において、実線にて示した特徴量算出回路20は、リコンフィグ制御部14によってコンフィグレーションされた回路を示している。
【0098】
また、
図3(a)の点線にて示した特徴量算出回路20a、および画像演算回路21は、リコンフィグ制御部14によってコンフィグレーションされる回路であるが、特徴量算出(1)の算出には不要な回路であるので、コンフィグレーションさていないことを示している。
【0099】
図3(b)は、
図2のタイミングチャートにおけるスキャンcの場合の画像演算・特徴量算出回路11
1のスキャン種別毎の回路切り替え処理の一例を示した説明図である。
【0100】
まず、リコンフィグ制御部14は、スキャンbが終了し、フレーム信号がブランキング期間を示す信号(無効データ期間)に遷移すると、スキャンcによる画像取り込み(1)の画像演算を行う画像演算回路21をコンフィグレーションする。
【0101】
その後、フレーム信号が取得画像の有効データ期間であることを示す信号となると、スキャンcが実行される。走査電子顕微鏡5(
図1)にてスキャンされた信号は、画像生成部6
1(
図1)にてSEM画像に生成された後、A/D変換器8
1にてデジタルデータに変換される。
【0102】
画像演算・特徴量算出回路11
1では、前述したように画像演算(1)の演算を行う画像演算回路21がコンフィグレーションされており、該画像演算回路21によってA/D変換器8
1からのデジタルデータが演算処理される。演算処理された画像データは、パーソナルコンピュータ4に出力される。
【0103】
これらのデータの流れは、
図3(b)の太線にて示した経路となる。また、
図3(b)において、実線にて示した画像演算回路21は、リコンフィグ制御部14によってコンフィグレーションされた回路を示している。
【0104】
図3(b)の点線にて示した特徴量算出回路20,20aは、リコンフィグ制御部14によってコンフィグレーションされる回路であるが、スキャンcによる画像取り込み(1)の画像演算には不要な回路であるので、コンフィグレーションさていないことを示している。
【0105】
以上のように、スキャン種別毎に必要な回路情報のみコンフィグレーションすることで、回路規模を低減することが可能となるとともに、低価格化を実現することが可能である。
【0106】
〈処理対応テーブルTBの構成例〉
図4は、スキャン制御部13が有する処理対応テーブルTBの一例を示す説明図である。
【0107】
処理対応テーブルTBは、図示するように、スキャン種別、そのスキャン種別に対応する処理、および処理後の画像データの出力先の情報を有している。パーソナルコンピュータ4から、例えば、スキャン種別としてスキャンaを行う信号が出力された場合、処理対応テーブルTBから、スキャンaに対応する処理は、特徴量算出(1)の処理が行われ、処理後の画像データは、特徴量格納部15に出力されることを示している。
【0108】
スキャン制御部13は、スキャン種別に基づいて、処理内容、および出力先を処理対応テーブルTBから検索し、検索結果である処理内容をスキャン情報としてプロセッサ16に出力するとともに、処理結果の出力先の情報をリコンフィグ制御部14に出力する。
【0109】
プロセッサ16は、スキャン情報に基づいてコンフィグデータメモリ17を検索し、処理内容に対応する回路情報を取得し、コンフィグ制御信号として出力する。リコンフィグ制御部14では、入力されたコンフィグ制御信号、および処理結果の出力先の情報に基づいて、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nの回路構成をそれぞれコンフィグレーションする。
【0110】
ここでは、処理対応テーブルTBをスキャン制御部13のメモリに格納する構成としたが、例えば、プロセッサ16が有する内部メモリ(図示せず)などに処理対応テーブルTBを格納するようにしてもよい。
【0111】
処理対応テーブルTBをプロセッサ16が有する内部メモリに格納した場合、スキャン制御部13からは、スキャン情報としてスキャン種別が出力される。プロセッサ16は、入力されたスキャン種別に基づいて、該プロセッサ16に格納されている処理対応テーブルTBを検索し、スキャン情報として入力されたスキャン種別に対応する処理内容、およびその処理内容によって処理された処理結果の出力先を決定する。
【0112】
続いて、プロセッサ16は、決定した処理内容に基づいて、コンフィグデータメモリ17を検索し、該処理内容に見合った回路情報を取りだし、その回路情報、および出力先の情報をコンフィグ制御信号としてリコンフィグ制御部14に出力し、それらの情報に基づいて、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nがコンフィグレーションされる。
【0113】
〈スキャン種別毎の回路切り替えの処理例〉
図5は、
図1の画像処理システム1におけるスキャン種別毎の回路切り替え処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図5では、あるスキャン種別のスキャンが終了し、次のスキャン種別によるスキャンが開始されるまでの処理を示している。
【0114】
まず、先のスキャンが終了すると(ステップS101)、パーソナルコンピュータ4から先のスキャン終了が終了したことを示す信号がスキャン制御部13に入力される。スキャン制御部13は、スキャンが終了したことを示す信号を受けて、無効データ期間を示すフレーム信号を出力し、これにより、ブランキング期間となる。
【0115】
ブランキング期間となると、パーソナルコンピュータ4から出力されている次にスキャンを行うスキャン種別に基づいて、処理対応テーブルTBを検索し、該スキャン種別に対応する処理内容、および出力先の情報を取得する(ステップS102)。
【0116】
続いて、スキャン制御部13は、取得した処理内容をスキャン情報としてプロセッサ16に出力し、出力先の情報をリコンフィグ制御部14に出力する。プロセッサ16は、入力されたスキャン情報の処理内容に基づいて、コンフィグデータメモリ17を検索し、コンフィグレーションする回路情報を該コンフィグデータメモリ17から取り出す(ステップS103)。
【0117】
プロセッサ16は、コンフィグデータメモリ17から取り出したコンフィグレーションする回路情報をコンフィグ制御信号としてリコンフィグ制御部14に出力する。リコンフィグ制御部14は、入力されたコンフィグ制御信号、および出力先の情報に基づいて、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nをコンフィグレーションする(ステップS104)。
【0118】
リコンフィグ制御部14による画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nの回路情報のコンフィグレーション後(ステップS105)、パーソナルコンピュータ4から次のスキャンを開始する信号がスキャン制御部13に入力されると、該スキャン制御部13は、取得画像の有効データ期間であることを示すフレーム信号を出力してブランキング期間が終了し、次のスキャン種別によるスキャンが開始される(ステップS106)。
【0119】
このように、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nのコンフィグレーションは、ブランキング期間中に行われるので、タイムラグなどが生じることなく、次のスキャンを実行することができる。
【0120】
〈試料観察までの処理例〉
図6は、
図1の画像処理システム1による画像取得処理の一例を示すフローチャートである。
【0121】
画像取得による試料SAMPの観察を行う際には、まず、明るさやコントラスト調整を行うための特徴量を算出する(ステップS201)。続いて、焦点(フォーカス)の評価値を算出する(ステップS202)。
【0122】
そして、ステップS201、およびステップS202の処理において算出した特徴量を用いて、明るさ、コントラスト、および終点の調整などを行い(ステップS203)、画像取り込みによる試料観察を行う(ステップS204)。
【0123】
このように、スキャン・画像取り込み部9、および処理切り替え制御部10による処理は、
図6に示した特徴量の算出から画像取り込みまでを行う処理に適用され、スキャン種別に応じて画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nをコンフィグレーションして使用する。
【0124】
〈GUIの表示例〉
図7は、
図1の画像処理システム1に設けられたパーソナルコンピュータ4のディスプレイ4aに表示されるGUI(グラフィックユーザインタフェース)の表示例を示した説明図である。
【0125】
ディスプレイ4aには、
図7に示すように、上方の左から右にかけて、スキャン種別を指定するボタンB1〜B4が表示されている。ボタンB1は、スキャン種別がスキャンaであり、ボタンB2は、スキャン種別がスキャンbである。ボタンB3は、スキャン種別がスキャンcであり、ボタンB4は、スキャン種別がスキャンcである。
【0126】
スキャンaは、例えば、明るさの調整を行う特徴量を算出するためのスキャンであり、スキャンbは、例えば、コントラストの調整を行う特徴量を算出するためのスキャンである。
【0127】
また、スキャンcは、例えば、フィルタ処理によって画像のノイズを除去する演算を行うためのスキャンであり、スキャンdは、例えば、2つの画像を合成して平均化し、合成画像を生成する演算を行うためのスキャンである。
【0128】
作業者は、ディスプレイ4aに表示されているボタンB1〜B4をマウスなどによってクリックして選択する。例えば、ボタンB2が選択された場合には、パーソナルコンピュータ4から、スキャンbが選択されたことを示す信号がスキャン制御部13に伝達される。
【0129】
スキャン制御部13は、入力された信号に基づいて、スキャン情報を生成してプロセッサ16に出力する。プロセッサ16は、コンフィグデータメモリ17から回路情報を検索し、コンフィグ制御信号としてリコンフィグ制御部14に出力する。
【0130】
そして、リコンフィグ制御部14は、スキャンbによる特徴量を算出する特徴量算出回路となるように画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nをコンフィグレーションする。
【0131】
〈回路リソースの比較例〉
図8は、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nにおける回路リソースの概要の一例を示す説明図である。
【0132】
この
図8では、縦軸を回路リソース比として回路リソースをスキャン制御部(
図1ではスキャン制御部13に相当)、画像入力部(
図1では、A/D変換器8
1〜8
nに相当)、画像演算回路(
図1では、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nに相当)、特徴量算出回路(
図1では、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nに相当)に分類している。
【0133】
また、
図8の左側の棒グラフG1は、スキャン種別に応じたすべての特徴量算出回路、および画像演算回路などが予め設けられた場合の回路リソースを示しており、この場合の回路リソースを100%としている。
【0134】
棒グラフG1の場合、スキャン種別に対応するすべての特徴量算出回路、および画像演算回路が搭載されているため、回路規模が増大するだけではなく、画像処理システムの高価格化が問題となる。
【0135】
一方、
図1の画像処理システム1では、スキャン種別に応じて、特徴量算出回路、および画像演算回路を切り替える(コンフィグレーション)構成であるため、の規模を低減するとともに、低価格化を実現することができる。
【0136】
また、回路規模の低減は、画像取得用のスキャンと特徴量算出用スキャン毎に切り替えることの他に、画像データが入力されるチャネル数(A/D変換器8
1〜8
n)の低減にも寄与することができ、回路リソースをより低減することができる。
【0137】
また、チャネル数を低減できるので、さらなる多チャンネルに対応させることができ、低コストで、画像処理システム1を多様な分野に使用させることが可能となる。
【0138】
図8では、スキャンa時の回路リソースを示す棒グラフG2、スキャンb時の回路リソースを示す棒グラフG3、スキャンc時の回路リソースを示す棒グラフG4、およびスキャンd時の回路リソースを示す棒グラフG5の4種類のスキャン種別毎の回路リソース比を示している。
【0139】
例えば、スキャンa,およびスキャンbでは、特徴量算出を行うスキャンであり、この場合、特徴量算出回路の回路リソースが大きな割合を占めて、画像演算回路の回路リソースが低減している。
【0140】
また、スキャンc、ならびにスキャンdは、例えば、画像取得を行うスキャンであり、この場合には、特徴量算出回路の回路リソースが低減し、画像演算回路の回路リソースが大きくなっている。
【0141】
図8では、スキャンcにおける回路規模が最も多くなっており、このスキャンcの回路リソースを示す棒グラフG3では、スキャン種別に対応するすべての特徴量算出回路、および画像演算回路を搭載する回路リソースを示す棒グラフG1に対して、約40%程度の回路リソースの低減を行うことができる。
【0142】
それにより、本実施の形態によれば、スキャン種別に応じて、画像演算・特徴量算出回路11
1〜11
nを切り替えることができるので、特徴量算出回路や画像演算回路などの回路数を低減することができ、画像処理システム1の低価格化を実現することができる。
【0143】
また、回路数が低減することに伴い、画像データが入力されるチャネル数を低減させることができので、さらなる多チャンネルに対応させることができる。
【0144】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0145】
また、ここでは画像取得装置として走査電子顕微鏡装置を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。
【0146】
例えば、電子ビームを照射して観察対象領域の画像情報を取得する装置として、半導体の欠陥を検出する半導体検査装置や、半導体集積回路の歩留り等のプロセス管理を行う測長SEM装置においても本発明は実施可能である。また、電子ビーム以外の例えばレーザや光を照射して試料上の観察対象領域の画像情報を取得する装置においても本発明は実施可能である。