(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767245
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】水分子に対する拡散障壁としての成型構成物
(51)【国際特許分類】
H01L 33/52 20100101AFI20150730BHJP
C09K 11/00 20060101ALI20150730BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20150730BHJP
C09K 11/80 20060101ALI20150730BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20150730BHJP
C09K 11/59 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
H01L33/00 420
C09K11/00 C
C09K11/08 J
C09K11/80CQD
H01L33/00 410
C09K11/59
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-546375(P2012-546375)
(86)(22)【出願日】2010年12月1日
(65)【公表番号】特表2013-516747(P2013-516747A)
(43)【公表日】2013年5月13日
(86)【国際出願番号】EP2010007271
(87)【国際公開番号】WO2011079900
(87)【国際公開日】20110707
【審査請求日】2013年11月29日
(31)【優先権主張番号】09016115.9
(32)【優先日】2009年12月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ペトリー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンクラー,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】フォスグレーネ,ティム
【審査官】
村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−176334(JP,A)
【文献】
特開2009−120437(JP,A)
【文献】
特表平11−500584(JP,A)
【文献】
特開2004−273798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機蛍光体粒子ならびにフレーク形態ガラスおよび/またはフレーク形態シリカ粒子ならびにUVまたは青色光発光ダイオードを含み、前記フレーク形態ガラスおよび/またはフレーク形態シリカ粒子が、5〜20μmの直径および0.1〜5μmの厚みを有する、少なくとも1種の透明なシリコーンまたはエポキシ樹脂をベースとした成型構成物。
【請求項2】
フレーク形態ガラスおよび/またはフレーク形態シリカ粒子および蛍光体粒子が、成型構成物中で均一に分布されることを特徴とする、請求項1に記載の成型構成物。
【請求項3】
5〜20μmの直径および0.1〜5μmの厚みを有するフレーク形態ガラスおよび/またはフレーク形態シリカ粒子が分散した水分子拡散障壁層が、無機蛍光体粒子を含む、UVまたは青色光発光ダイオードの蛍光体被覆に直接配置されていることを特徴とする、少なくとも1種の透明なシリコーンまたはエポキシ樹脂をベースとした成型構成物。
【請求項4】
蛍光体粒子の平均粒径d50が、<20μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成型構成物。
【請求項5】
無機蛍光体粒子が、以下の群:
(Y,Gd,Lu,Sc,Sm,Tb)3(Al,Ga)5O12:Ce(Prの有無にかかわらず)、(Ca,Sr,Ba)2SiO4:Eu、YSiO2N:Ce、Y2Si3O3N4:Ce、Gd2Si3O3N4:Ce、(Y,Gd,Tb,Lu)3Al5−xSixO12−xNx:Ce、BaMgAl10O17:Eu、SrAl2O4:Eu、Sr4Al14O25:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si2N2O2:Eu、SrSiAl2O3N2:Eu、(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu、CaAlSiN3:Eu、亜鉛アルカリ土類金属オルトケイ酸塩、銅アルカリ土類金属オルトケイ酸塩、鉄アルカリ土類金属オルトケイ酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩、第III族窒化物、酸化物であって、各場合において個別であるかまたはそれらの1種または2種以上の、例えばCe、Eu、Mn、Crおよび/またはBiなどの活性化イオンとの混合物である、
から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の成型構成物。
【請求項6】
無機蛍光体粒子が、オルトケイ酸塩であることを特徴とする、請求項5に記載の成型構成物。
【請求項7】
請求項1、2および4〜6のいずれか一項に記載の成型構成物の調製方法であって:
a)粉末フレーク形態ガラスおよび/またはフレーク形態シリカ粒子との無機蛍光体粒子の均一な混合、
b)蛍光体およびフレーク形態ガラスおよび/またはフレーク形態シリカ粒子の混合物の透明なシリコーンまたはエポキシ樹脂での分散、
c)蛍光体およびフレーク形態ガラスおよび/またはフレーク形態シリカ粒子を含む、シリコーンまたはエポキシ樹脂での発光ダイオードの被覆、
d)被覆の硬化、
のプロセスステップにより特徴付けられる、前記方法。
【請求項8】
請求項3〜6のいずれか一項に記載の成型構成物の調製方法であって:
a)無機蛍光体粒子の透明なシリコーンまたはエポキシ樹脂での分散、
b)発光ダイオードの蛍光体粒子およびシリコーンまたはエポキシ樹脂の混合物での被覆
c)被覆の硬化、
d)シリコーンまたはエポキシ樹脂中でのフレーク形態ガラスまたはフレーク形態シリカ粒子の分散、
e)硬化した蛍光体被覆を被覆することによる拡散障壁層の製造、
f)拡散障壁層の硬化、
のプロセスステップにより特徴付けられる、前記方法。
【請求項9】
フレーク形態ガラスおよび/またはフレーク形態シリカ粒子が、有機ケイ素化合物で表面被覆されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明なエポキシまたはシリコーン樹脂をベースとする、特に、好ましくは白色光を発光する、エレクトロルミネセント構成要素における使用のための成型構成物(casting composition)に、およびこのタイプの成型構成物の調製方法に関する。本発明における成型構成物は、ガラスまたはシリカフレークの使用により、水分子に対する拡散障壁としての役割を果たす。
【背景技術】
【0002】
市販の白色pc−LEDは、青色スペクトル領域において発光するチップ、および1個または2個以上の蛍光体が配置されたシリコーンまたはエポキシ樹脂からなる被覆からなる。
蛍光体は、しばしばケイ酸塩系、硫化物系、窒化物系または酸窒化物系材料をベースとする。これらの材料は、極めて微量(extremely small traces)の水分の存在で分解する特性を有する。
【0003】
オルトケイ酸塩系蛍光体の場合には、これは、特に、高濃度のバリウムを含む緑色蛍光体に適用される。空気中に存在する水分は、シリコーンまたはエポキシ樹脂マトリックスを通して蛍光体粒子へ拡散する。これが、蛍光体の分解により、その輝度を徐々に減少させ、低下させることをもたらす。これは、白色pc−LEDの性能における降下と関連する:第一にLEDのカラーポイントが変化する。
【0004】
さらに、チップのLED中に存在するリフレクタおよび電気的接続が、硫化物系または(酸)窒化物系蛍光体の加水分解生成物により腐食して破壊される。
LEDの不可欠な交換により生じるコストは、不十分で短い寿命を有する、白熱電球、ハロゲンランプおよび蛍光ランプの白色LEDによる迅速な代替を妨げる。
【0005】
EP 862794には、エポキシ樹脂からなり、無機蛍光体色素を含む波長変換成型構成物が開示されている。集塊形成を減少させるために、蛍光体色素にはシリコーン被覆が提供され得る。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の対象は、1つまたは2つ以上の上述の欠点を有しない成型構成物を提供することである。
【0007】
驚くべきことに、拡散する微量の水が原因となる、シリコーンまたはエポキシ樹脂マトリックスを含む成型構成物内での蛍光体の分解を、フレーク形態無機粒子をマトリックス中へ導入することにより防ぐことができることが今般見出された。ガラスまたはシリカからなるフレーク形態粒子は、水分子に対する効果的な拡散障壁として振る舞う。さらに、フレーク形態粒子を、シリコーンまたはエポキシ樹脂中で分散させることができ、単独の拡散障壁層として、LEDの蛍光体被覆に直接適用することができる(
図1Aまたは1B)。
【0008】
よって、本発明は、無機蛍光体粒子
ならびにガラスおよび/またはシリカ粒子
(好ましくはフレークの形態
)ならびにUVまたは青色光発光ダイオードを含む、少なくとも1種の透明なシリコーンまたはエポキシ樹脂をベースとした成型構成
物に関する。
好ましい態様において、ガラスまたはシリカ粒子および蛍光体粒子を、成型構成物中で均一に分布させる(
図1A参照)。
【0009】
さらに好ましい態様において、フレーク形態ガラスまたはシリカ粒子を成型構成物中で分散させ、平行な平面に配向させ(align)、単独の拡散障壁層として蛍光体粒子だけを含む、追加の成型構成物上に直接配置する(
図1B参照)。
【0010】
ガラスおよびシリカ粒子は、好ましくは、5〜20μmの直径および0.1〜5μmの厚みを有する。
蛍光体粒子の平均粒径d
50は、好ましくは、<20μmである。
【0011】
フレーク形態ガラスおよびシリカ粒子の効果は、水分子の拡散経路が、シリコーンまたはエポキシ樹脂マトリックスを含む成型構成物中でブロックされるという事実に基づく。これは、特定のドメインにおける面が平行な粒子の配向によりおよび垂直方向におけるフレークのオフセット配置により起こる(
図2参照)。
【0012】
ガラスまたはシリカ粒子が、ほぼ、n=1.4〜1.5の範囲内であるシリコーンまたはエポキシ樹脂マトリックスの屈折率を有するという事実のため、白色LEDの光学特性は、悪影響を受けない。フレーク形態粒子のわずかな散乱特性(粒子エッジ(particle edge)の効果)により、輝度および色温度の均一性が、白色LEDの角度範囲を超えて改善される。
【0013】
エポキシまたはシリコーン樹脂中でのフレーク形態ガラスおよび/またはシリカ粒子の分散性を改善するために、粒子を表面被覆してもよい。フレーク形態粒子を、次いで、湿式化学法によりまたは蒸着によりシリコーン/シランで被覆する。これらの有機ケイ素化合物を、フレーク形態粒子の表面OH基と反応させる。粒子、オリゴマー/ポリマー鎖および樹脂へのカップリング(物理的および/または化学的)の所望の疎水性を、ケイ素化合物の有機鎖の改変により制御する。
【0014】
蛍光体粒子は、好ましくは、少なくとも以下の蛍光体材料からなり:
(Y,Gd,Lu,Sc,Sm,Tb)
3(Al,Ga)
5O
12:Ce(Prの有無にかかわらず)、(Ca,Sr,Ba)
2SiO
4:Eu、YSiO
2N:Ce、Y
2Si
3O
3N
4:Ce、Gd
2Si
3O
3N
4:Ce、(Y,Gd,Tb,Lu)
3Al
5−xSi
xO
12−xN
x:Ce、BaMgAl
10O
17:Eu、SrAl
2O
4:Eu、Sr
4Al
14O
25:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si
2N
2O
2:Eu、SrSiAl
2O
3N
2:Eu、(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Eu、CaAlSiN
3:Eu、亜鉛アルカリ土類金属オルトケイ酸塩、銅アルカリ土類金属オルトケイ酸塩、鉄アルカリ土類金属オルトケイ酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩、第III族窒化物、酸化物であって、各場合において個別であるかまたはそれらの1種または2種以上の、例えばCe、Eu、Mn、Crおよび/またはBiなどの活性化イオンとの混合物である。
【0015】
白色発光オプトエレクトロニクス構成要素の製造に特に好ましい無機蛍光体粒子は、オルトケイ酸塩である。
蛍光体粒子の製造用の出発材料は、ベース材料(例えば、イットリウム、アルミニウム、ガドリニウムなどの塩溶液)および少なくとも1種のドーパント(例えば、セリウムなど)からなる。
【0016】
好適な出発材料は、例えば、金属、半金属、遷移金属および/または希土類のニトラート、ハライド、カーボナート、ヒドロゲンカルボナート、ホスファート、カルボキシラート、アルコラート、アセタート、オキサラート、スルファート、有機金属化合物、水酸化物および/または酸化物などの無機および/または有機物質であり、これらは無機および/または有機液体に溶解および/または懸濁する。好ましいのは、対応する元素を必須の化学量論比で含む、混合された硝酸塩溶液、塩化物または水酸化物溶液の使用である。
【0017】
本発明に従う目的は、さらに、無機蛍光体粒子
ならびにガラスおよび/またはシリカ粒子
ならびにUVまたは青色発光ダイオードを含む、少なくとも1種の透明なシリコーンまたはエポキシ樹脂をベースとした成型構成
物の調製方法により達成され:
【0018】
a)粉末ガラスおよび/またはシリカ粒子との無機蛍光体粒子の均一な混合、
b)蛍光体およびガラスまたはシリカ粒子の混合物の透明なシリコーンまたはエポキシ樹脂での分散、
c)蛍光体およびガラスおよび/またはシリカ粒子を含む、シリコーンまたはエポキシ樹脂での青色発光ダイオードの被覆、
d)被覆の硬化、
のプロセスステップにより特徴付けられる。
被覆の硬化を、120〜180℃の間の温度で、好ましくは150℃で行う。
【0019】
ガラスおよびシリカ粒子の製造を、対応するアルカリ金属塩からのベルトプロセスを介した慣用のプロセスで行う(例えば、シリカについては、カリウムまたはナトリウム水ガラス溶液)。製造プロセスは、EP 763573、EP 608388およびDE 19618564に詳細に記載されている。
【0020】
本発明は、さらに、無機蛍光体粒子
ならびにガラスおよび/またはシリカ粒子
ならびにUVまたは青色発光ダイオードを含む、少なくとも1種の透明なシリコーンまたはエポキシ樹脂をベースとした成型構成
物の調製方法に関し:
【0021】
a)無機蛍光体粒子の透明なシリコーンまたはエポキシ樹脂での分散、
b)発光ダイオードの蛍光体粒子およびシリコーンまたはエポキシ樹脂の混合物での被覆
c)被覆の硬化、
【0022】
d)シリコーンまたはエポキシ樹脂中でのガラスおよび/またはシリカ粒子の分散、
e)硬化した蛍光体被覆を被覆することによる拡散障壁層の製造、
f)拡散障壁層の硬化、
のプロセスステップにより特徴付けられる。
【0023】
フレーク形態ガラスまたはシリカ粒子を、有機ケイ素化合物(例えば、シリコーンまたはシランなど)で湿式化学法によりまたは蒸着により表面被覆することが、さらに好ましい。既に述べたように、エポキシまたはシリコーン樹脂へのカップリングをこの被覆により改善する。
【0024】
光散乱粒子、いわゆるディフューザー(例えば、CaF
2など)を、さらに成型構成物に添加してもよい。これは、有利には、半導体構成要素の色感(color impression)および発光特性をさらに最適化することを可能にする。
【0025】
さらに、成型構成物はまた、接着促進剤、疎水化剤、加工助剤および/またはチキソロトピック剤を含んでもよい。使用され得るチキソロトピック剤は、例えば発熱性ケイ酸である。チキソロトピック剤は、蛍光体粒子の沈殿を防止するために、エポキシ樹脂を濃くする役割を果たす。好適な加工助剤は、例えばグリコールエーテルである。
【0026】
用いられ得る接着促進剤は、蛍光体粒子および樹脂間の接着を改善する、例えば官能性アルコキシシランである。
用いられ得る疎水化剤は、蛍光体粒子表面の改変する役割を果たす、例えばシリコーンワックスである。
【0027】
本発明のUVまたは青色発光ダイオードは、発光性窒化インジウムアルミニウムガリウムを含む光源であり、とりわけ式In
iGa
jAl
kNであって、式中、0≦i、0≦j、0≦kおよびi+j+k=1で表されるものである。
このタイプの光源の可能な形態は、当業者には既知である。これらは、種々の構造の発光LEDチップであってもよい。
【0028】
以下の例は、本発明を説明することを意図する。しかしながら、それらは、いかなる意味においても限定されるものとみなされるべきではない。調製において使用され得る全ての化合物または構成要素は、既知であり、商業的に入手可能であるかまたは既知の手法により合成することが可能である。例において示す温度は、常に℃である。言うまでもないが、記載においておよび例において、構成物における構成要素の添加量は、常に合計100%まで添加される。所定のパーセントデータは、常にその文脈におけるものとみなされなければならない。しかしながら、それらは通常の場合常に表示された全量または部分量の重量に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明を、多くの例示的態様を参照して以下により詳細に説明し、ここで:
【0030】
【
図1】
図1は、シリコーンまたはエポキシ樹脂中でのガラスまたはシリカフレークの均一な分布を示す。1:シリコーン/エポキシ樹脂、2:ガラスまたはシリカフレーク、3:LEDチップ、4:蛍光体粒子;B)単独の拡散障壁層;5:フレーク形態粒子のみを含む、シリコーン/エポキシ樹脂マトリックスからなる拡散障壁層;6:中へ拡散する水。
【0031】
【
図2】
図2は、1:ガラスまたはシリカ粒子である。フレーク形態粒子は、平行に配向し、垂直方向に重なり合い、効果的に水の拡散を防止する。
【0032】
【
図3】
図3は、1:単独の水拡散障壁層を有する50個のLEDの光束の測定平均値である。 2:水拡散障壁を有する50個のLEDの光束の測定平均値である。緑色オルトケイ酸塩蛍光体が、ここでフレーク形態粒子と混合されている。 3:水拡散障壁を有しない50個のLEDの光束の測定平均値である。
【0033】
例
例1:フレーク形態ガラスまたはシリカ粒子の官能基での被覆
1.A)
エポキシポリマーのシラン化
【0034】
100gのシリカまたはガラス粒子を、1350mlの脱イオン水中で激しく撹拌しながら懸濁させる。懸濁液のpHを、pH=6.5まで5重量%のH
2SO
4を使用して調節し、懸濁液を75℃まで加熱する。4.0gのSilquest A 186[ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン]およびSilquest A 1310[ガンマ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン]の1:1混合物を、続いて、懸濁液中に60分間かけて穏やかに撹拌しながら計量添加する。
【0035】
添加が完了したところで、混合物を、続いて、表面へのシランのカップリングを完了させるために15分間撹拌する。pHを、5重量%のH
2SO
4を用いて6.5へ修正する。懸濁液を、続いてろ過し、ろ過ケーキを脱イオン水で塩がなくなるまで洗浄する。乾燥を、130℃で20時間行う。このようにして得られた粉末を、次いで、40μmふるいを用いてふるいにかける。
【0036】
1.B)
シリコーン樹脂カップリングのシラン化
100gのシリカまたはガラス粒子を、1350mlの脱イオン水中で激しく撹拌しながら懸濁させる。懸濁液のpHを、pH=6.5まで5重量%のH
2SO
4を使用して調節し、懸濁液を75℃まで加熱する。6.0gのSilquest A 1110[ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン]およびSilquest A 1524[ガンマ−ウレアプロピルトリメトキシシラン]の1:2混合物を、続いて、懸濁液中に75分間かけて穏やかに撹拌しながら計量添加する。
【0037】
添加が完了したところで、混合物を、続いて、表面へのシランのカップリングを完了させるために15分間撹拌する。pHを、5重量%のH
2SO
4を用いて6.5へ修正する。
懸濁液を、続いてろ過し、ろ過ケーキを脱イオン水で塩がなくなるまで洗浄する。乾燥を、140℃で20時間行う。このようにして得られた粉末を、次いで、40μmふるいを用いてふるいにかける。
【0038】
1.C)
シリコーン樹脂カップリングのためのビニルシランでのシラン化
100gのシリカまたはガラス粒子を、1350mlの脱イオン水中で激しく撹拌しながら懸濁させる。懸濁液のpHを、pH=6.5まで5重量%のH
2SO
4を使用して調節し、懸濁液を75℃まで加熱する。6.0gのSilquest A 174[ガンマ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン]およびSilquest A 151[ビニルトリエトキシシラン]の1:2混合物を、続いて、懸濁液中に90分間かけて穏やかに撹拌しながら計量添加する。
【0039】
添加が完了したところで、混合物を、続いて、表面へのシランのカップリングを完了させるために15分間撹拌する。pHを、5重量%のH
2SO
4を用いて6.5へ修正する。
懸濁液を、続いてろ過し、ろ過ケーキを脱イオン水で塩がなくなるまで洗浄する。乾燥を、140℃で20時間行う。このようにして得られた粉末を、次いで、40μmふるいを用いてふるいにかける。
【0040】
例2:LEDの製造
A)蛍光体のフレーク形態粒子との混合物
以下の混合物をSpeedmixer(登録商標)(速度3000rpm、継続時間:5分間、室温)中で調製する:
2種の樹脂構成要素JCR 6122 aおよびbの各50mlを、4重量%の緑色オルトケイ酸塩蛍光体の1種および2%の未被覆のガラスまたはシリカ粒子あるいは例1A、BまたはCに従って適合されたフレーク形態粒子と混合する。
【0041】
フレーク形態粒子は、5〜20μmの平均直径および0.1μm〜5μmの厚さ分布を有する。2種の樹脂混合物を合わせ、撹拌し、脱気する。10mlを、次いでジェットディスペンサー(jet dispenser)またはスクリュー計量バルブディスペンサー(screw metering valve dispenser)の貯蔵容器中に導入する。ボンディングされたCOB(チップオンボード)の未加工の(crude)LEDパッケージを、分注バルブの下に置く。樹脂混合物のグロブ・トップ(glob top)を、次いで、ディスペンサーを使用して未加工のLEDパッケージのチップ上に滴加して置く。これらの被覆されたLEDを、乾燥キャビネット中で150℃で1時間調整し、その間に樹脂(成型構成物)が硬化する。
【0042】
B)単独の拡散障壁層
以下の混合物をSpeedmixer(登録商標)(速度3000rpm、継続時間:5分間、室温)中で調製する:
2種の樹脂構成要素JCR 6122 aおよびbの各50mlを、4重量%の緑色オルトケイ酸塩蛍光体と混合する。2種の樹脂混合物を合わせ、撹拌し、脱気する。10mlを、次いでジェットディスペンサーまたはスクリュー計量バルブディスペンサーの貯蔵容器中に導入する。
【0043】
ボンディングされたCOB(チップオンボード)の未加工のLEDパッケージを、分注バルブの下に置く。樹脂混合物のグロブ・トップを、次いで、ディスペンサーを使用して未加工のLEDパッケージのチップ上に滴加して置く。これらの被覆されたLEDを、乾燥キャビネット中で150℃で1時間調整し、その間に樹脂(成型構成物)が硬化する。
【0044】
2種の樹脂構成要素JCR 6122 aおよびbの各50mlを、再び4重量%の未被覆のガラスまたはシリカ粒子あるいは例1A、BまたはCに従って適合されたフレーク形態ガラスおよび/またはシリカ粒子と混合する。2種の樹脂混合物を合わせ、撹拌し、脱気する。10mlを、次いでジェットディスペンサーまたはスクリュー計量バルブディスペンサーの貯蔵容器中に導入する。被覆されたLEDパッケージを、分注バルブの下に置く。樹脂混合物およびフレーク形態粒子からなる拡散障壁層を、次いで、ディスペンサーを使用して被覆されたLEDに適用する。これらの被覆されたLEDを、次いで乾燥キャビネット中で150℃で1時間調整し、その間に拡散障壁層の樹脂が硬化する。