特許第5767661号(P5767661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5767661コネクタキャップの連結構造及びコネクタ付き電線
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767661
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】コネクタキャップの連結構造及びコネクタ付き電線
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   H01R13/52 302E
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-32254(P2013-32254)
(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-164817(P2014-164817A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2014年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】空本 尚士
(72)【発明者】
【氏名】後藤 安伸
(72)【発明者】
【氏名】山影 武司
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−247549(JP,A)
【文献】 特開2010−161049(JP,A)
【文献】 特開2001−110511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
束ねた複数の通電用電線の端部に取り付けられるコネクタと、
前記コネクタと係合可能であり、当該コネクタの開口面を覆うコネクタキャップと、
電線で構成され、前記通電用電線の少なくとも1本が内側に位置するように少なくとも1つのループ形状を有するように形成される連結用電線と、
前記連結用電線の端部に取り付けられており、前記コネクタキャップに形成された連結孔に挿入することで前記連結用電線を前記コネクタキャップに連結する連結用端子と、
を備え
前記連結用電線と前記コネクタキャップとがテープにより固定されることを特徴とするコネクタキャップの連結構造。
【請求項2】
束ねた複数の通電用電線の端部に取り付けられるコネクタと、
前記コネクタと係合可能であり、当該コネクタの開口面を覆うコネクタキャップと、
電線で構成され、前記通電用電線の少なくとも1本が内側に位置するように少なくとも1つのループ形状を有するように形成される連結用電線と、
前記連結用電線の端部に取り付けられており、前記コネクタキャップに形成された連結孔に挿入することで前記連結用電線を前記コネクタキャップに連結する連結用端子と、
を備え、
前記連結用電線は、当該連結用電線を捻ることで複数のループ形状を有するように構成されていることを特徴とするコネクタキャップの連結構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコネクタキャップの連結構造であって、
複数の前記通電用電線は、前記コネクタの近傍の部分においてテープが巻き付けられることで束ねられていることを特徴とするコネクタキャップの連結構造。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のコネクタキャップの連結構造であって、
前記通電用電線は、ツイスト電線であることを特徴とするコネクタキャップの連結構造。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載のコネクタキャップの連結構造であって、
前記連結用電線は、前記コネクタキャップを前記コネクタに係合させたときに、前記通電用電線を短絡させる短絡用電線であることを特徴とするコネクタキャップの連結構造。
【請求項6】
請求項1から4までの何れか一項に記載のコネクタキャップの連結構造であって、
前記連結用電線の端部同士を合わせて1つの前記連結用端子が取り付けられていることを特徴とするコネクタキャップの連結構造。
【請求項7】
請求項1から4までの何れか一項に記載のコネクタキャップの連結構造であって、
前記連結用電線の両端部に前記連結用端子が1つずつ取り付けられていることを特徴とするコネクタキャップの連結構造。
【請求項8】
請求項1からまでの何れか一項に記載のコネクタキャップの連結構造を有することを特徴とするコネクタ付き電線。
【請求項9】
請求項1に記載のコネクタキャップの連結構造であって、
前記連結用電線は、当該連結用電線を捻ることで複数のループ形状を有するように構成されていることを特徴とするコネクタキャップの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、コネクタキャップの紛失を防止するためにコネクタキャップをコネクタ等に連結する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤハーネスは、複数の電線及びコネクタを束ねて所定の形状としたものである。ワイヤハーネスは、例えば自動車の車体に配索され、当該自動車が備える各種電気機器への電力供給、電気機器間の制御信号の通信などに利用される。
【0003】
また、ワイヤハーネスが備えるコネクタには、メンテナンス時のみに使用するコネクタや電気機器を追加したときに使用するコネクタ等が含まれている。これらのコネクタには、粉塵や水により端子が劣化するのを防止するために、特許文献1に示すようにコネクタキャップが取り付けられることがある。
【0004】
また、コネクタキャップは、コネクタの使用時に紛失することが考えられるため、コネクタキャップと他の部品(コネクタ等)を紐状の部材で連結する構成が採用されることがある。特許文献2は、医療器具用のコネクタについて、紐状の紛失防止用留め具でコネクタキャップとコネクタ近傍のケーブルとを連結する技術を開示する。
【0005】
また、コネクタは用途等に応じて様々な形状となっているため、当該コネクタと係合可能なコネクタキャップは専用品となってしまうことが多く、製造コストが高くなることがあった。この点、特許文献3は、例えば相手側のコネクタを余分に製造し、この相手側のコネクタを用いてコネクタキャップとする技術を開示する。これにより、コネクタキャップ用の金型を作成する手間を省略でき、コストを低減させることができる。更に、特許文献3では、コネクタキャップを連結する部材として電線(以下、連結用電線)を用いる技術についても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−335329号公報
【特許文献2】特開平11−332874号公報
【特許文献3】特開平10−247549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献3では、連結用電線により、コネクタキャップと、コネクタに取り付けられた電線(通電用電線)と、が連結されている。連結用電線と通電用電線とはテープを巻き付けることで固定されている。
【0008】
ここで、連結用電線の長さは、短いほど他の部品と引っ掛かりにくくなるが、過度に短くなるとコネクタキャップの着脱ができなくなる。従って、作業者は、これらの事情を考慮しつつ、連結用電線にテープを巻き付ける必要がある。従って、連結用電線にテープを巻き付ける処理は作業者にとって手間であった。
【0009】
また、コネクタキャップの着脱のための長さを確保することにより、連結用電線がコネクタの外部に膨らみ易く(特許文献3の図3等を参照)、連結用電線が他の部品と引っ掛かってしまう可能性があった。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、コネクタキャップの紛失を防止するための連結用電線を容易に取付可能なコネクタキャップの連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のコネクタキャップの連結構造が提供される。即ち、このコネクタキャップの連結構造は、コネクタと、コネクタキャップと、連結用電線と、連結用端子と、を備える。前記コネクタは、束ねた複数の通電用電線の端部に取り付けられる。前記コネクタキャップは、前記コネクタと係合可能であり、当該コネクタの開口面を覆う。前記連結用電線は、電線で構成され、前記通電用電線の少なくとも1本が内側に位置するように少なくとも1つのループ形状を有するように形成される。前記連結用端子は、前記連結用電線の端部に取り付けられており、前記コネクタキャップに形成された連結孔に挿入することで前記連結用電線を前記コネクタキャップに連結する。また、前記連結用電線と前記コネクタキャップとがテープにより固定される。
【0013】
これにより、連結用電線のループ形状の内側に通電用電線を位置させることで、通電用電線と連結用電線をテープ等で固定する手間を省略しつつ、コネクタキャップの紛失を防止できる。従って、作業効率を向上させることができる。また、連結用電線とコネクタキャップとがテープにより固定されることで、連結用電線が他の部品に引っ掛かることをより確実に防止できる。また、コネクタキャップの連結用電線に負荷が集中することを防止できる。従って連結用電線の損傷や断線も防止できる。
【0014】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成のコネクタキャップの連結構造が提供される。即ち、このコネクタキャップの連結構造は、コネクタと、コネクタキャップと、連結用電線と、連結用端子と、を備える。前記コネクタは、束ねた複数の通電用電線の端部に取り付けられる。前記コネクタキャップは、前記コネクタと係合可能であり、当該コネクタの開口面を覆う。前記連結用電線は、電線で構成され、前記通電用電線の少なくとも1本が内側に位置するように少なくとも1つのループ形状を有するように形成される。前記連結用端子は、前記連結用電線の端部に取り付けられており、前記コネクタキャップに形成された連結孔に挿入することで前記連結用電線を前記コネクタキャップに連結する。また、前記連結用電線は、当該連結用電線を捻ることで複数のループ形状を有するように構成されている。
【0015】
これにより、連結用電線のループ形状の内側に通電用電線を位置させることで、通電用電線と連結用電線をテープ等で固定する手間を省略しつつ、コネクタキャップの紛失を防止できる。従って、作業効率を向上させることができる。また、連結用電線を捻って複数のループ形状を形成することで、連結用電線のループ形状を小さくすることができるので、他の部品への引っ掛かりをより確実に防止できる。
【0016】
前記のコネクタキャップの連結構造においては、複数の前記通電用電線は、前記コネクタの近傍の部分においてテープが巻き付けられることで束ねられていることが好ましい。
【0017】
これにより、連結用電線に外力が掛かった場合であっても、ループ形状の内側の通電用電線だけに負荷が集中することを防止できる。従って、通電用電線の損傷や断線を防止できる。
【0018】
前記のコネクタキャップの連結構造においては、前記通電用電線は、ツイスト電線であることが好ましい。
【0019】
これにより、テープを巻き付けることなく、ループ形状の内側の通電用電線だけに負荷が集中することを防止できる。
【0020】
前記のコネクタキャップの連結構造においては、前記連結用電線は、前記コネクタキャップを前記コネクタに係合させたときに、前記通電用電線を短絡させる短絡用電線であることが好ましい。
【0021】
これにより、連結用電線に、コネクタキャップの紛失を防止する機能と、通電用電線を短絡させる機能と、を発揮させることができる。従って、部品点数を削減して作業コスト及び部品コストを低減できる。
【0022】
前記のコネクタキャップの連結構造においては、前記連結用電線の端部同士を合わせて1つの前記連結用端子が取り付けられていることが好ましい。
【0023】
これにより、コネクタキャップ側に連結用端子と係合する連結孔が1つしかない場合であっても本願の効果を発揮させることができる。また、連結孔に連結用端子を挿し込む回数が1回で良いので、作業効率を向上させることができる。
【0024】
前記のコネクタキャップの連結構造においては、前記連結用電線の両端部に前記連結用端子が1つずつ取り付けられていることが好ましい。
【0025】
これにより、端部同士を合わせて圧着することができない端子であってもループ形状を作成できる。
【0028】
本発明の第3の観点によれば、前記のコネクタキャップの連結構造を有するコネクタ付き電線が提供される。
【0029】
これにより、簡単な工程でコネクタキャップを保持可能なコネクタ付き電線が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】コネクタ付き電線の製造方法の前半部を説明する図。
図2】コネクタ付き電線の製造方法の後半部を説明する図。
図3】第1変形例におけるコネクタ付き電線の製造方法の前半部を説明する図。
図4】第2変形例におけるコネクタ付き電線の製造方法の前半部を説明する図。
図5】通電用電線の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は、コネクタ付き電線1の製造方法を説明する図である。
【0032】
コネクタ付き電線1は、例えば自動車のワイヤハーネス等の一部を構成している。コネクタ付き電線1は、着脱可能なコネクタキャップ20を備えている。コネクタ付き電線1は、使用されないときは、粉塵や水による端子の劣化を防止するためにコネクタキャップ20が取り付けられている。
【0033】
初めに、コネクタ付き電線1を構成する部品について簡単に説明し、その後にコネクタ付き電線1の製造方法について説明する。
【0034】
コネクタ付き電線1は、図1及び図2に示すように、コネクタ10と、コネクタキャップ20と、を備えている。コネクタ10は、図略の相手側のコネクタに接続可能に構成されている。コネクタ10の一側の面には、連結孔11が形成されている。
【0035】
また、コネクタ10には、複数本(図では2本)の通電用電線12が挿入される。具体的には、通電用電線12の先端には、当該通電用電線12の導体部と電気的に接続された通電用端子13が取り付けられており、この通電用端子13を連結孔11に挿入することで、通電用電線12が固定される。
【0036】
また、コネクタ10に通電用電線12を固定した状態で、コネクタ10と相手側のコネクタとが接続すると、通電用端子13と、相手側のコネクタの端子とが電気的に接続される。これにより、各種電気機器へ電力を供給したり、電気機器間へ制御信号を送信したりすることができる。また、上記の電力の供給や制御信号の送信が不要な場合、コネクタ10にはコネクタキャップ20が係合される。
【0037】
コネクタキャップ20は、コネクタ10に取付可能に構成されている。本実施形態のコネクタキャップ20は、相手側のコネクタを流用しているが、それに代えてコネクタ10の形状に合うような専用品を作成しても良い。なお、コネクタキャップ20を専用品とすると、新たな金型の作成が必要になるため、コストの観点からは相手側のコネクタを流用することが好ましい。コネクタキャップ20の一側の面には、連結孔21が形成されている。
【0038】
また、コネクタキャップ20には、連結用電線22が挿入される。具体的には、連結用電線22の両端には、連結用端子23が取り付けられており、この連結用端子23を連結孔21に挿入することで、ループ形状を形成しつつ連結用電線22が固定される。
【0039】
連結用電線22は、コネクタ10を使用するときに、コネクタキャップ20を紛失することがないように、コネクタキャップ20と他の部品と連結させるものである。本実施形態では、図2(b)に示すように、連結用電線22は、コネクタキャップ20と通電用電線12とを連結している。
【0040】
次に、コネクタ付き電線1の製造方法について説明する。なお、以下で示す製造方法は一例であり、異なる工程を追加したり、工程の順序を変更したりしても良い。
【0041】
作業者は、初めに通電用電線12をコネクタ10の連結孔11に挿入して固定する(図1(a)の(1))。その後、作業者は、連結用電線22をループ状にし、当該ループ形状の内側に少なくとも1本の通電用電線12を通しつつ、連結用電線22の両端の連結用端子23を、コネクタキャップ20の連結孔21にそれぞれ挿入して固定する(図1(a)の(2))。
【0042】
なお、上記に代えて、連結用電線22の両端の連結用端子23をコネクタキャップ20に挿入して固定した後に、形成されたループ形状の内側に少なくとも1つの通電用電線12を通してコネクタ10に固定することもできる。
【0043】
次に、作業者は、コネクタキャップ20とコネクタ10とを係合する(図1(a)の(3))。図1(b)には、コネクタキャップ20とコネクタ10とを係合した後の状態が描かれている。
【0044】
次に、作業者は、連結用電線22を束ねてコネクタキャップ20の周面に固定用テープ24を巻き付けて固定する(図2(a)を参照)。これにより、連結用電線22の動きを規制し、コネクタキャップ20が他の部品に引っ掛かることを防止できる。
【0045】
次に、作業者は、通電用電線12を束ねて結束用テープ14で固定する。結束用テープ14で固定する位置は、連結用電線22が通っている箇所よりも、コネクタ10側であることが好ましい。これにより、連結用電線22に引っ張り力が掛かった場合であっても、ループ形状の内側に配置された通電用電線12の根元だけでなく、他の部分にも分散して引っ張り力が伝わる。従って、通電用電線12の損傷や断線を防止できる。
【0046】
また、本実施形態では、結束用テープ14で連結用電線22を固定しない。仮に、結束用テープ14で連結用電線22を固定すると、連結用電線22の上端及び下端が固定されることとなり、その間の部分がコネクタの外側に広がってしまう。この場合、連結用電線22が他の部品と引っ掛かり易くなる。この点、上記のように連結用電線22の一端をフリーにしておくと、連結用電線22が外側(図2の左側)に広がらずに、例えば通電用電線12に沿って図2の下側に位置させることができる。従って、連結用電線22が他の部品と引っ掛かりにくくなる。
【0047】
以上でコネクタ付き電線1の製造が完了する。なお、図2(c)には、コネクタキャップ20を外したときの様子が描かれている。コネクタキャップ20は通電用電線12に連結されているので、コネクタキャップ20を外した場合であってもコネクタキャップ20の紛失を防止できる。
【0048】
次に、上記実施形態の第1変形例について説明する。図3は、第1変形例におけるコネクタ付き電線1の製造方法の前半部を説明する図である。なお、コネクタ付き電線1の製造方法の後半部は上記実施形態と同様なので図を省略する。
【0049】
上記実施形態では、連結用電線22の両端にそれぞれ連結用端子23が取り付けられているが、第1変形例では、連結用電線22の両端に1つの連結用端子23が取り付けられている。言い換えれば、上記実施形態では、連結用電線22の両端をコネクタキャップ20に固定することでループを形成しているが、第1変形例では、連結用電線22の両端を連結用端子23に固定することで、ループを形成している。なお、端子の取付け方法は任意だが、例えば連結用電線22の両端を重ねて圧着する方法を採用することができる。
【0050】
第1変形例の構成により、連結用端子23を挿入する回数を減らすことができる。そのため、作業者の手間を軽減できる。また、コネクタ10に形成された連結孔11が少ない(例えば1つ)場合であっても本願の構成を実施できる。
【0051】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。図4は、第2変形例におけるコネクタ付き電線の製造方法の前半部を説明する図である。なお、コネクタ付き電線1の製造方法の後半部は上記実施形態と同様なので図を省略する。
【0052】
上記実施形態では、連結用電線22が大きな1つのループ形状を構成しているので、コネクタ10とコネクタキャップ20とを係合した後においても、当該ループ形状が残っている。このループ形状には、若干ではあるが他の部品が引っ掛かるおそれがある。
【0053】
この点、第2変形例は、連結用電線22をコネクタキャップ20に固定する前に当該連結用電線22を捻ってツイスト電線を作成する。言い換えれば、第2変形例の連結用電線22は、複数の小さなループ形状を有する。従って、ループ形状に他の部品が引っ掛かる可能性を一層低減できる。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態では、コネクタ10と、コネクタキャップ20と、連結用電線22と、連結用端子23と、を備える。前記コネクタ10は、束ねた複数の通電用電線12の端部に取り付けられる。前記コネクタキャップ20は、前記コネクタ10と係合可能であり、当該コネクタ10の開口面を覆う。前記連結用電線22は、電線で構成され、前記通電用電線12の少なくとも1本が内側に位置するように少なくとも1つのループ形状を有するように形成される。前記連結用端子23は、前記連結用電線22の端部に取り付けられており、前記コネクタキャップ20に形成された連結孔21に挿入することで前記連結用電線22を前記コネクタキャップに連結する。
【0055】
これにより、連結用電線22のループ形状の内側に通電用電線12を位置させることで、通電用電線12と連結用電線22をテープ等で固定する手間を省略しつつ、コネクタキャップ20の紛失を防止できる。従って、作業効率を向上させることができる。また、連結用電線22の一端をフリーにすることができるので、連結用電線22がコネクタ10の外部に膨らむことを防止できる。
【0056】
また、本実施形態又は変形例では、複数の前記通電用電線12は、前記コネクタ10の近傍の部分において結束用テープ14が巻き付けられることで束ねられている。
【0057】
これにより、連結用電線22に外力が掛かった場合であっても、ループ形状の内側の通電用電線12だけに負荷が集中することを防止できる。従って、通電用電線12の損傷や断線を防止できる。
【0058】
また、本実施形態又は変形例では、前記連結用電線22と前記コネクタキャップ20とが固定用テープ24により固定される。
【0059】
これにより、連結用電線22が他の部品に引っ掛かることをより確実に防止できる。また、コネクタキャップ20の連結用電線22に負荷が集中することを防止できる。従って連結用電線22の損傷や断線も防止できる。
【0060】
また、本実施形態又は変形例では、前記連結用電線22の端部同士を合わせて1つの前記連結用端子23が取り付けられている。
【0061】
これにより、コネクタキャップ20側に連結用端子23と係合する連結孔21が1つしかない場合であっても本願の効果を発揮させることができる。また、連結孔21に連結用端子23を挿し込む回数が1回で良いので、作業効率を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態又は変形例では、前記連結用電線22の両端部に前記連結用端子23が1つずつ取り付けられている。
【0063】
これにより、端部同士を合わせて圧着することができない端子であってもループ形状を作成できる。
【0064】
また、本実施形態又は変形例では、前記連結用電線22は、当該連結用電線22を捻ることで複数のループ形状を有するように構成されている。
【0065】
これにより、連結用電線22のループ形状を小さくすることができるので、他の部品への引っ掛かりをより確実に防止できる。
【0066】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0067】
コネクタ10、コネクタキャップ20の形状は任意であり、適宜変更することができる。例えば、コネクタ10とコネクタキャップ20の係合方法や接続可能な電線の数は任意である。また、コネクタ10は、オスコネクタであっても良いし、メスコネクタであっても良い。
【0068】
通電用電線12及び連結用電線22の種類も任意であり、適宜変更することができる。例えば通電用電線12の例としては、上記実施形態で説明したように平行に配置されていても良いし(図5(a)を参照)、任意の位置で結束されていても良いし(図5(b)を参照)、ツイスト電線であっても良い(図5(c)を参照)。なお、ツイスト電線を用いた場合、コネクタ10側の端部の通電用電線12が既に結束されているので、結束用テープ14を巻き付けることなく、通電用電線12の損傷及び断線を防止できる。
【0069】
連結用電線22のループ形状の内側に配置する通電用電線12の本数は任意であり、適宜変更することができる。なお、負荷の分担という観点からは、ループ形状の内側に複数の通電用電線12を配置することが好ましい。
【0070】
本願のコネクタ付き電線1は、自動車用のワイヤハーネスに限られず、コネクタキャップが必要なあらゆる分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 コネクタ付き電線
10 コネクタ
11 連結孔
12 通電用電線
13 通電用端子
14 結束用テープ
20 コネクタキャップ
21 連結孔
22 連結用電線
23 連結用端子
24 固定用テープ
図1
図2
図3
図4
図5