特許第5767694号(P5767694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5767694-角度測定器のための構成ユニット 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767694
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】角度測定器のための構成ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   G01D5/245 110J
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-505380(P2013-505380)
(86)(22)【出願日】2011年8月29日
(65)【公表番号】特表2013-528282(P2013-528282A)
(43)【公表日】2013年7月8日
(86)【国際出願番号】EP2011054514
(87)【国際公開番号】WO2011131449
(87)【国際公開日】20111027
【審査請求日】2014年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100114487
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 幸作
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲル,アンドレアス
【審査官】 井上 昌宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−126707(JP,A)
【文献】 特開平07−301548(JP,A)
【文献】 特開昭56−117120(JP,A)
【文献】 実開平05−094711(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D5/00〜5/62
G01B5/00〜5/30
G01B7/00〜7/34
G01B21/00〜21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度測定器のための構成ユニットであって、
軸線(Z)を中心とした回転運動を測定するための目盛を備える角度計(1.1)が取り付けられた、リング状の第1部分(1)と、
前記軸線(Z)周りに回転する機械部材(4)に前記構成ユニットを固定するための第2部分(2)と、
前記第1部分(1)と前記第2部分(2)とを結合する第3部分(3,3′)と
を備え、
前記第3部分(3,3′)が第1ジョイントおよび第2ジョイント(3.11,3.21,3.31;3.11′;3.12,3.22,3.32)を備え、前記第1ジョイント(3.11,3.21,3.31;3.11′)が軸線方向に弾性的に形成されており、前記第2ジョイント(3.12,3.22,3.32)が半径方向に弾性的に形成されていることを特徴とする、構成ユニット。
【請求項2】
前記第2部分(2)が、前記機械部材(4)との結合を生成するために、周方向に離間された複数の部材(2.1,2.2,2.3)を備える、請求項1に記載の構成ユニット。
【請求項3】
前記第2部分(2)が、周方向に離間された少なくとも3つの前記部材(2.1,2.2,2.3)を備える、請求項2に記載の構成ユニット
【請求項4】
前記第1ジョイント(3.11,3.21,3.31)および/または前記第2ジョイント(3.12,3.22,3.32)が、減衰された厚みを有するジョイントとして形成されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の構成ユニット。
【請求項5】
前記第1ジョイント(3.11,3.21,3.31)が、前記軸線方向に関して減衰された厚みを有するジョイントとして形成されており、前記軸線方向に関して脆弱箇所を備える、請求項4に記載の構成ユニット。
【請求項6】
前記第2ジョイント(3.12,3.22,3.32)が、前記半径方向に関して減衰された厚みを有するジョイントとして形成されており、前記半径方向に関して脆弱箇所を備える、請求項4または5に記載の構成ユニット。
【請求項7】
前記第2部分および前記第3部分(2,3)が一体的なプラスチック構成部材を形成している、請求項1から6までのいずれか一項に記載の構成ユニット。
【請求項8】
前記第1部分(1)が、特にコードディスクの形態の測定基準器として形成されている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の構成ユニット。
【請求項9】
前記第3部分(3,3′)が、軸線(Z)に対して直交して配向された接合面を備え、該接合面に前記第1部分(1)が固定されている、請求項8に記載の構成ユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の角度測定器のための構成ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリエンコーダと呼ばれることも多い角度測定器は、回転可能に支承された機械部材、特にシャフトの回転運動を一回または複数回の回転について測定する役割を果たす。この場合、回転運度は増分的または絶対的に検出される。ラックアンドピニオンまたはねじ山付きスピンドルと結合した角度測定器によって線形運動を測定することもできる。このような角度測定器は整流信号を生成するための電気モータと結合して使用されることが多い。
【0003】
一般に、角度測定器のためのこのような構成ユニットは、角度計を有する測定基準器を備える。機械部材、例えば回動可能なシャフトに構成ユニットを組み付けた後に、構成部分が回転運動を行う場合に測定基準器に関して偏心誤差、および揺れ誤差を突き止めることができる。このような事実は、当該機械部材(特にシャフト)が寸法許容差を有していることに起因する。最終的にはこのような寸法許容差は測定誤差をもたらす。そこで求められる測定精度に対応して、回転運動もしくは回転位置を決定すべき機械部材のために必要な測定許容差が角度測定器の製造者によって規定される。
【0004】
欧州特許出願公開第1014044号明細書により、角度測定器のためのセルフセンタリング式構成ユニットが既知である。この角度測定器は、締付けリングによって機械部材に対して押し付けられるハブシャフトを備える。
【0005】
このような装置は、機械部材の寸法差が大きい場合には無視できない測定誤差が生じるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1014044号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底にある課題は、冒頭で述べた形式の角度測定器のための構成ユニットにおいて、高い測定精度を可能にし、さらに許容差が比較的大きい場合にも信頼性良く使用できる構成ユニットを形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を有する角度測定器のための構成ユニットを形成することにより解決される。
【0009】
これによれば、角度測定器のための構成ユニットは、第1部分、例えば測定基準器を備え、測定基準器は、軸線Zを中心とした構成ユニットの回転運動を別の機械部材に対して相対的に測定するための角度計を有する。さらに構成ユニットは、機械部材に構成ユニットを固定するための第2部分、例えば組付けユニット、および、第1部分と第2部分とを結合する第3部分を備え、これにより、第2部分と第3部分との間の摩擦接続が可能となる。さらに第3部分は第1ジョイントおよび第2ジョイントを備え、第1ジョイントは軸線方向に弾性的に形成されており、第2ジョイントは半径方向に弾性的に形成されている。
【0010】
構成ユニットは、有利には、さらに第1ジョイントが半径方向に堅固に形成されており、第2ジョイントが軸線方向に堅固に形成されているように構成されている。
【0011】
回転運動の測定は、例えば、現在の回転位置または回転速度の決定を含む。
【0012】
有利には、第2部分は機械部材、例えば機械シャフトとの結合、特にクランプ結合を生成するために、周方向に離間された複数の部材を備える。結合を生成するためのこれらの部材は半径方向に弾性的に可動である。本発明の別の構成では、第2部分は、周方向に離間された少なくとも3つの部材を備える。結合を生成するための部材は、例えば、クランプジョーであってもよく、クランプジョーの内側に向いた表面は、機械部材でクランプするための接触面として適している。
【0013】
有利には、第1ジョイントおよび/または第2ジョイントは中実ジョイントとして形成されている。中実ジョイントとは、以下では曲げ弾性が減衰された箇所によって規定することのできる、構成ユニットの一体的領域として理解することができる。中実ジョイントに隣接したゾーンは、剛性体とみなすことができる。減衰された曲げ弾性は、局部的な横断面減衰によって生成することができる。この場合、第1ジョイントの横断面は、第1ジョイントが軸線方向に関して脆弱箇所を備えるように軸線方向にのみ減衰されていてもよい。代替的または補足的に、第2ジョイントの横断面は半径方向にのみ減衰されていてもよい。この場合、対応して第2ジョイントは半径方向に関して脆弱箇所を備える。このような中実ジョイントは、遊びがなく、摩耗することがなく、潤滑なしに作動し、したがって、剥離粒子または潤滑剤の使用による角度計の汚染を除外することができる。
【0014】
有利には、構成ユニットの少なくとも第3部分が一体的なプラスチック構成部分として形成されているが、本発明の別の構成では、第2部分および第3部分が一体的なプラスチック構成部分を形成していてもよい。
【0015】
これに対して第1部分は、角度計を取り付ける、特にコードディスクの形態の測定基準器として形成されていてもよい。また、角度計は、角度測定器によって増分的および/または絶対的な角度位置を出力可能に形成されていてもよい。測定基準器は、ディスクまたはリング状、代替的には円筒状であってもよく、後者の場合、角度計は円筒状の測定基準器の周面に配置されていてもよい。
【0016】
第3部分は、軸線に対して直行して配向された接合面を備えていてもよい。この接合面には、構成ユニットの第1部分もしくは測定基準器が固定されている。
【0017】
本発明による構成ユニットは、第2部分および第3部分ならびに角度計を有する測定基準器を備えるハブとして理解することもできる。この場合、測定基準器は、第3部分に回動不能に固定されている。有利には、測定基準器は、有利にはプラスチック部材として形成された構成ユニットの第1部分および第2部分とは別の材料、例えばガラスから形成されている。
【0018】
本発明の別の有利な構成が従属請求項に記載されている。
【0019】
本発明の特徴および利点が図面に基づいた以下の2つの実施例の説明で明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】角度測定器の構成ユニットを示す図である。
図2】A−A線に沿った構成ユニットの縦断面図である。
図3】第2実施例による角度測定器の構成ユニットを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および図2には、本発明による角度測定器の構成ユニットの例示的な実施形態が示されており、図2には、A−A線に沿った断面図が示されている。これによれば、構成ユニットは、ガラスからなるリング状の測定基準器1を備え、測定基準器1には角度計1.1が取り付けられている。角度計1.1は、例えば、半径方向に配向された目盛を備える増分区分として、または絶対コードとして形成されていてもよい。構成ユニットを下方から示す図1には、角度計1.1は示されていない。軸線Zを中心とした回転運動を測定するために、適宜な検出装置によって検出装置に対して相対的な構成ユニットの回転位置を検出することができる。このような角度測定器はロータリエンコーダと呼ばれることも多い。
【0022】
構成ユニットの第2部分は組付けユニット2として形成されており、周方向に一様に離間された3つの部材2.1,2.2,2.3を備える。クランプジョーとして形成されたこれらの部材2.1,2.2,2.3は、幾何学的に見て中空シリンダの部分であり、これらの部分は周方向にそれぞれ120°だけずらして配置されている。対応して、これらの部分は、半径方向内側に共通の円形もしくは円筒状の外形を備え、構成ユニットと、機械部材4、例えば、回転運動もしくは回転位置が測定されるべきモータシャフトとのクランプ結合を形成する役割を果たす。機械部材4は、図1および図2では破線で示されている。
【0023】
構成ユニットはさらに第3部分3を備え、第3部分3は、測定基準器1と組付けユニット2との間に配置されており、したがって、第1部分と第2部分とを機械的に結合している。測定基準器1を固定するために、第3部分3はリング状領域3.4を備える。このリング状領域3.4は、軸線Zに対して直行方向に配向された接合面を備える。接合面には測定基準器1が第3部分3で接着により、軸線Zに対してわずかな許容差のみをもって堅固に結合されている。
【0024】
さらに、第3部分3は、同様に周方向にずらして配置した3つの部材3.1,3.2,3.3を備える。これらの各部材3.1,3.2,3.3はそれぞれ1つの第1および第2ジョイント3.11,3.21,3.31;3.12,3.22,3.32を備える。図示の実施例では、第1ジョイント3.11,3.21,3.31および第2ジョイント3.12,3.22,3.32はいずれも中実ジョイントとして形成されており、第1ジョイント3.11,3.21,3.31は軸線方向に関して、第2ジョイント3.12,3.22,3.32は半径方向に関して脆弱箇所を備える。したがって、それぞれ第1ジョイント3.11,3.21,3.31は軸線方向に、第2ジョイント3.12,3.22,3.32は半径方向に弾性的に形成されている。中実ジョイントの使用により、組付けユニット2および第3部分3は射出成形法によって作製された一体的なプラスチック構成部材を形成している。
【0025】
組付けユニット2の3つの部材2.1,2.2,2.3の間隔、もしくはこれらがなす内径は、機械部材4の外径よりもわずかに小さくなるように寸法決めされている。組付けに際し、構成ユニットは機械部材4に押し込まれ、構成ユニットが弾性変形した状態で組付けユニット2の部材2.1,2.2,2.3が半径方向外方に押しのけられ、これにより、構成ユニットは機械部材4でクランプされた状態となる。場合によっては組付けユニット2と機械部材4との間に接着結合が生じるように、組付けユニット2の部材2.1,2.2,2.3および機械部材4に接着剤を塗布することもできる。
【0026】
機械部材4の外径に関して許容差をできるだけ大きく選択することができるように、第2ジョイント3.12,3.22,3.32が設けられており、これらの第2ジョイントは、半径方向の弾性により、種々異なる機械部材4の直径差を比較的寛容に補正することができる。対応して、構成ユニットはセルフセンタリング特性を有する。
【0027】
第1ジョイント3.11,3.21,3.11により、組付けユニット2の部材2.1,2.2,2.3の内面、すなわち、クランプジョーが、機械部材4の外面に対して平行に整列され、測定基準器1、ひいては角度計1.1が軸線Zに対して直行する平面に位置することが確保される。
【0028】
したがって、本発明による構成ユニットをセルフセンタリング特性によって正確に組み付けることができ、これにより、比較的おおまかな許容差規定においても偏心誤差および揺れ誤差が広範囲に取り除かれる。その結果、当該角度測定器の測定精度の向上がもたらされる。
【0029】
図3には、図2に類似した断面図が示されており、第2実施例にしたがった適宜な構成ユニットを示す。第1実施例との本質的な違いは、構成ユニットは、第3部分3′の部材3.1′が、ボールジョイントとして形成された第1ジョイント3.11′を備える形で構成されていることである。図3には第3部分3′の部材3.1′のみが示されているが、第2実施例にしたがった構成ユニットの第3部分3′は、同様に周方向にずらされた全部で3つの部材、したがって全部で6つのジョイントを備える。
図1
図2
図3