(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持体上に、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪レジスト組成物≫
本発明のレジスト組成物は、露光により酸が発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」という。)を含有する。
かかるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部では酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため該レジスト膜を現像すると、当該レジスト組成物がポジ型の場合は露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、当該レジスト組成物がネガ型の場合は未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、未露光部が溶解除去されるネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、本発明のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
【0017】
本発明のレジスト組成物は露光により酸を発生する酸発生能を有するものであり、基材成分が露光により酸を発生してもよく、基材成分とは別に配合された添加剤成分が露光により酸を発生してもよい。
具体的には、本発明のレジスト組成物は、
(1)露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、「(B)成分」という。)を含有するものであってもよく;
(2)(A)成分が露光により酸を発生する成分であってもよく;
(3)(A)成分が露光により酸を発生する成分であり、且つ、さらに(B)成分を含有するものであってもよい。
すなわち、上記(2)及び(3)の場合、(A)成分は、「露光により酸を発生し、且つ酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分」となる。(A)成分が露光により酸を発生し、且つ酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である場合、後述する(A1)成分が、露光により酸を発生し、且つ酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分(A1’)(以下、「(A1’)成分」ということがある。)であることが好ましい。
【0018】
<(A)成分>
(A)成分における「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、「樹脂」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分としては、樹脂を用いてもよく、低分子化合物を用いてもよく、これらを併用してもよい。
(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大するものであってもよく、酸の作用により現像液に対する溶解性が減少するものであってもよい。
また、本発明において(A)成分は、露光により酸を発生するものであってもよい。
【0019】
本発明のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する「アルカリ現像プロセス用ネガ型レジスト組成物」である場合、(または溶剤現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する「溶剤現像プロセス用ポジ型レジスト組成物」である場合、(A)成分としては、好ましくは、アルカリ現像液に可溶性の基材成分(A−2)(以下「(A−2)成分」という。)が用いられ、さらに、架橋剤成分が配合される。かかるレジスト組成物は、露光により酸が発生すると、当該酸が作用して該(A−2)成分と架橋剤成分との間で架橋が起こり、結果、アルカリ現像液に対する溶解性が減少(有機系現像液に対する溶解性が増大)する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性(有機系現像液に対して可溶性)へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性(有機系現像液に対して難溶性)のまま変化しないため、アルカリ現像液で現像することによりネガ型レジストパターンが形成できる。また、このとき現像液として有機系現像液を用いると、ポジ型のレジストパターンが形成できる。
(A−2)成分としては、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下「アルカリ可溶性樹脂」という。)が用いられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば特開2000−206694号公報に開示されている、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステル(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル)から選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂;米国特許6949325号公報に開示されている、スルホンアミド基を有するα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂またはポリシクロオレフィン樹脂;米国特許6949325号公報、特開2005−336452号公報、特開2006−317803号公報に開示されている、フッ素化アルコールを含有し、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂;特開2006−259582号公報に開示されている、フッ素化アルコールを有するポリシクロオレフィン樹脂等が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。
なお、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸のうち、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
架橋剤成分としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤、メラミン系架橋剤などを用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。架橋剤成分の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
【0020】
本発明のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型パターンを形成し、溶剤現像プロセスにおいてネガ型パターンを形成するレジスト組成物である場合、(A)成分としては、酸の作用により極性が増大する基材成分(A−1)(以下「(A−1)成分」という。)が用いられる。(A−1)成分を用いることにより、露光前後で基材成分の極性が変化するため、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても良好な現像コントラストを得ることができる。
アルカリ現像プロセスを適用する場合、該(A−1)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりポジ型パターンが形成できる。
一方、溶剤現像プロセスを適用する場合は、該(A−1)成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により酸が発生すると、該酸の作用により極性が高くなり有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ネガ型パターンが形成できる。
本発明において、(A)成分は、(A−1)成分であることが好ましい。
【0021】
[樹脂成分(A1)]
(A)成分は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0−1)を有する樹脂成分(A1)(以下、(A1)成分)を含有する。
【0022】
【化4】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Z
0は芳香
族炭化水素基を含有する2価の連結基であり、A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、aは0〜2の整数であり、R
1はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R”は水素原子又はアルキル基である。]
【0023】
(A1)成分は、上記構成単位(a0−1)に加えて、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有することが特に好ましい。
また、(A1)成分が露光により酸を発生し、且つ酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分(A1’)である場合、該(A1’)成分は、露光により酸を発生する部位(酸発生部位)を、側鎖中に含んでもよく、主鎖末端に含んでもよい。なかでも(A1’)成分としては、酸を発生する部位を側鎖中に含むことが好ましく、(A1)成分が構成単位(a0−1)、(a1)等に加えて、露光により酸を発生する構成単位(a0−2)を有することが特に好ましい。
【0024】
(構成単位(a0−1))
構成単位(a0−1)は、上記式(a0−1)で表される構成単位である。構成単位(a0−1)は、−SO
2−含有環式基を含むことにより、当該構成単位(a0−1)を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の基板への密着性を高めることが可能となる。加えて、感度、解像性、露光余裕度(ELマージン)、LWR(ラインワイズラフネス)、LER(ラインエッジラフネス)、マスク再現性等のリソグラフィー特性も向上させることができる。
【0025】
式(a0−1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基としては、前記「Rにおける炭素数1〜5のアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
なかでも、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
【0026】
式(a0−1)中、Z
0の芳香族炭化水素基を含有する2価の連結基としては、特に限定されるものではなく、芳香族炭化水素基のみからなるものであってもよく、芳香族炭化水素基と、2価の連結基とからなるものであってもよい。2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
【0027】
(芳香族炭化水素基)
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
前記Z
0における芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香族炭化水素環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
なかでも、Z
0における芳香族炭化水素基としては、ベンゼン又はナフタレンから水素原子を2つ除いた基が好ましい。
【0028】
(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)
炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の基または原子)で置換されていることを意味する。
Z
0における該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。Z
0における2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基としては、上記同様のものが挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
前記Z
0における2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0029】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH
2−]、エチレン基[−(CH
2)
2−]、トリメチレン基[−(CH
2)
3−]、テトラメチレン基[−(CH
2)
4−]、ペンタメチレン基[−(CH
2)
5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−C(CH
2CH
3)
2−CH
2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0030】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0031】
前記Z
0の「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−、−NH−C(=O)−、=N−、一般式−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基[式中、Y
21およびY
22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
R
1が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。
式−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−中、Y
21およびY
22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記でR
1における「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Y
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−で表される基としては、式−Y
21−C(=O)−O−Y
22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH
2)
a’−C(=O)−O−(CH
2)
b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合またはエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基がより好ましい。
【0032】
上記のなかでも、Z
0の2価の連結基としては、芳香環のみからなるもの、又は芳香環と、ヘテロ原子を含む2価の連結基とを含むものが好ましく;芳香環のみからなるもの、又は、芳香環と、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−CH(R
2)−C(=O)−O−又は−O−CH(R
2)−C(=O)−O−とを含むものがさらに好ましい。R
2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基であり、炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様である。
【0033】
式(a0−1)中、A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH
2−、−CH
2−O−CH
2−、−S−CH
2−、−CH
2−S−CH
2−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基又は−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基又は−O−がより好ましく、メチレン基又は−O−がさらに好ましく、−O−が最も好ましい。
【0034】
式(a0−1)中、aは0〜2のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
aが2である場合、複数のR
1はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
式(a0−1)中、R
1はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”(R”は水素原子又はアルキル基である。)、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基である。
R
1におけるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
R
1におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
R
1におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R
1におけるハロゲン化アルキル基としては、R
1におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
R
1における−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であることが好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
R
1におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
【0035】
以下に、式(a0−1)中の環式基の具体例を示す。下記式中の結合手は、式(a0−1)中のZ
0に結合するものとする。なお、下記式中の「Ac」はアセチル基を示す。
【0038】
式(a0−1)中の環式基としては、式(3−1−1)又は(3−1−18)で表される基が特に好ましい。
構成単位(a0−1)としては、特に、下記一般式(a0−10)または(a0−11)で表される構成単位が好ましく、式(a0−10)で表される構成単位がより好ましい。
【0039】
【化7】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Z
1は単結合又は2価の連結基であり、R
arは芳香族炭化水素基であり、Yは−C(=O)−O−、−C(=O)−O−CH(R
2)−C(=O)−O−又は−O−CH(R
2)−C(=O)−O−であり、R
2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基である。A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、aは0〜2の整数であり、R
1はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R”は水素原子又はアルキル基である。]
【0040】
式(a0−10)〜(a0−11)中、R
1、a、A’は前記同様である。
式(a0−10)〜(a0−11)中、Z
1は単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基が挙げられる。置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基は、上記Z
0の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様である。
なかでもZ
1としては、単結合又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、単結合、又は、ヘテロ原子として酸素原子を含む2価の連結基が好ましく、単結合、−C(=O)−O−、又は−C(=O)−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよいが、置換されていないことが好ましい。)が特に好ましい。
【0041】
式(a0−10)〜(a0−11)中、R
arは芳香族炭化水素基であって、置換基を有していてもよい芳香環であることが好ましく、置換基を有していていもよいベンゼン又はナフタレンから水素原子を2つ以上除いた基が特に好ましい。
【0042】
式(a0−10)中、Yは−C(=O)−O−、−C(=O)−O−CH(R
2)−C(=O)−O−又は−O−CH(R
2)−C(=O)−O−である。R
2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基であって、炭素数1〜5のアルキル基としては上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様である。なかでもYとしては、−C(=O)−O−又は−C(=O)−O−CH(R
2)−C(=O)−O−が好ましい。
以下に、構成単位(a0−1)の具体例を示す。
【0043】
【化8】
[式中、R及びA’はそれぞれ前記のものと同じ意味であり、Q
0は−O−又は−NH−である。]
【0044】
以下に、上記一般式(a0−10−1)〜(a0−10−4)、(a0−11−1)、(a0−11−2)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0048】
(A1)成分が含有する構成単位(a0−1)は、1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中の構成単位(a0−1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、1〜80モル%であることが好ましく、10〜70モル%以下であることがより好ましく、15〜65モル%であることがさらに好ましく、20〜60モル%であることが特に好ましい。
構成単位(a0−1)の割合を上限値以下とすることにより、有機溶剤(後述の(S)成分等)への溶解性が高まる。一方、下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、LWR、ELマージン等のリソグラフィー特性がより向上する。
【0049】
(構成単位(a0−2))
構成単位(a0−2)は、露光により酸を発生する構成単位であって、(A1)成分が(A1’)成分である場合に含有される。
構成単位(a0−2)としては、露光により酸を発生する構造を有するものであれば特に限定されるものではないが、露光により酸を発生するオニウム塩構造を有することが好ましい。ここでオニウム塩構造としては、化学増幅型レジスト組成物において一般に用いられるオニウム塩系酸発生剤の機能部位と同様の構造のものが挙げられる。なお、発生する酸の強度は特に限定されるものではなく、一般的にレジスト組成物の酸発生剤で発生する酸として用いられるような強酸であってもよく、それ以外の弱酸であってもよい。
構成単位(a0−2)として具体的には、下記一般式(a0−21)又は(a0−22)で表される基を有する構成単位が挙げられる。
【0050】
【化12】
[式中、Q
1及びQ
2はそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基である。R
3、R
4及びR
5はそれぞれ独立に有機基であり、R
4とR
5とは相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。V
−は対アニオンである。A
−はアニオンを含む有機基である。M
m+はm価の有機カチオンであり、mは1〜3の整数である。]
【0051】
・式(a0−21)で表される基を有する構成単位
式(a0−21)中、Q
1は単結合又は2価の連結基である。
Q
1の2価の連結基としては、前記式(a0−1)中のZ
0における2価の連結基と同様のものが挙げられる。なかでも、本発明におけるQ
1としては、単結合、又はエステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、アルキレン基若しくはこれらの組合せであることが好ましい。
【0052】
式(a0−21)中、R
3、R
4及びR
5はそれぞれ独立に有機基であり、R
4とR
5とは相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
それぞれ独立に有機基である。
R
3〜R
5の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
【0053】
R
3の有機基として具体的には、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基等が挙げられる。これらの中でも、置換基を有していてもよいアルキレン基が好ましい。
R
3における置換基を有していてもよいアルキレン基としては、たとえば、無置換のアルキレン基、該無置換のアルキレン基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アルキレン基等が挙げられる。
無置換のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。解像性に優れる点から、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、シクロペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
【0054】
置換アルキレン基が有する置換基としては、ハロゲン原子、オキソ基(=O)、シアノ基、アルキル基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
7”、−O−C(=O)−R
8”、−O−R
9”、アリール基等が挙げられる。R
7”、R
8”、R
9”はそれぞれ独立に、水素原子または炭化水素基である。
これらのうち、置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0055】
前記置換アルキレン基における置換基としてのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれかであってもよい。その炭素数は1〜30が好ましい。
それらのうち、直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
環状のアルキル基としては、多環式が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
【0056】
前記置換アルキレン基における置換基としてのアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−C(R
47)(R
48)−O−R
49
[式中、R
47、R
48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R
49はアルキル基である。]
で表される基が挙げられる。
R
47、R
48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R
47、R
48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
R
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R
49における直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
【0057】
前記置換アルキレン基における置換基としてのアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−R
50−C(=O)−O−R
56
[式中、R
50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R
56は第3級アルキル基である。]
で表される基が挙げられる。
R
50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
R
56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−(2−プロピル)−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
さらに、前記一般式:−O−R
50−C(=O)−O−R
56におけるR
56を、R
56’で置き換えた基も挙げられる。R
56’は、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基である。
R
56’におけるアルキル基は、前記R
49のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R
56’におけるフッ素化アルキル基は、前記R
49のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
R
56’における、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基としては、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたもの等が挙げられる。
R
56’について、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R
56’について、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基として具体的には、後述する式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
R
56’について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子がオキソ基(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
R
56’について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子がオキソ基(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
【0058】
−C(=O)−O−R
7”におけるR
7”は、水素原子または炭化水素基である。
R
7”における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基のいずれであってもよい。
【0059】
R
7”における飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基の炭素数は1〜25が好ましく、1〜15がより好ましく、4〜10がさらに好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、前記R
56の説明で挙げた第3級アルキル基が挙げられる。また、第3級アルキル基以外の分岐鎖状の飽和炭化水素基として、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
R
7”における環状の飽和炭化水素基の炭素数は、3〜20が好ましい。環状の飽和炭化水素基は、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該環状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。具体的には、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基等のラクトン含有単環式基や、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基等のラクトン含有多環式基等が挙げられる。
後者の例における置換基としては、上述した直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有してもよい置換基として挙げたものと同様のもの、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
R
7”における飽和炭化水素基は、直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基と、環状の飽和炭化水素基との組み合わせであってもよい。
直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基と環状の飽和炭化水素基との組合せとしては、直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基に置換基として環状の飽和炭化水素基が結合した基(例えば1−(1−アダマンチル)メチル基)、環状の飽和炭化水素基に置換基として直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基が結合した基等が挙げられる。
【0060】
R
7”における脂肪族不飽和炭化水素基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。直鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。これら直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0061】
R
7”における芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する1価の炭化水素基であり、置換基を有していてもよい。
芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基や、ヘテロアリールアルキル基);等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子を置換するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としてたとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0062】
R
7”としては、上記のなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、水素原子、飽和炭化水素基または脂肪族不飽和炭化水素基が好ましく、水素原子、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、または炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基がより好ましい。
【0063】
−O−C(=O)−R
8”におけるR
8”は、水素原子または炭化水素基である。
R
8”としては、前記R
7”と同様のものが挙げられる。それらのなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、水素原子、飽和炭化水素基または脂肪族不飽和炭化水素基が好ましく、水素原子、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、または炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基がより好ましい。
【0064】
−O−R
9”におけるR
9”は、水素原子または炭化水素基である。
R
9”としては、前記R
7”と同様のものが挙げられる。それらのなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、水素原子、飽和炭化水素基または脂肪族不飽和炭化水素基が好ましく、水素原子、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、または炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基がより好ましい。
前記置換基としての−O−R
9”としては、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
【0065】
前記置換アルキレン基における置換基としてのアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記置換基としてのアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては、たとえば前記R
7”における芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0066】
式(a0−21)中、R
3における置換基を有していてもよいアリーレン基としては、炭素数6〜20の無置換のアリーレン基;該無置換のアリーレン基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アリーレン基等が挙げられる。
無置換のアリーレン基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリーレン基が好ましい。具体的には、たとえばフェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。
置換アリーレン基における置換基としては、前記置換アルキレン基における置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。具体的には、前記置換アルキレン基における置換基として挙げたもののうち、ハロゲン原子、オキソ基(=O)、シアノ基、アルキル基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
7”、−O−C(=O)−R
8”、−O−R
9”(ただしR
7”、R
8”、R
9”がそれぞれ独立に、水素原子、飽和炭化水素基または脂肪族不飽和炭化水素基であるもの)等が挙げられる。
【0067】
式(a0−21)中、R
4、R
5の有機基としては、特に限定されるものではないが、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基等が挙げられる。
【0068】
R
4、R
5における置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基;該無置換のアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アリール基等が挙げられる。
無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
置換アリール基における置換基としては、前記置換アリーレン基が有していてもよい置換基として挙げた置換基と同様のものが挙げられる。
【0069】
R
4、R
5におけるアルキル基としては、たとえば、無置換のアルキル基、該無置換のアルキル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アルキル基等が挙げられる。
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。解像性に優れる点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
置換アルキル基における置換基としては、R
3における置換アルキレン基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0070】
R
4、R
5におけるアルケニル基としては、たとえば、無置換のアルケニル基、該無置換のアルケニル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アルケニル基等が挙げられる。
無置換のアルケニル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、炭素数は2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
置換アルケニル基における置換基としては、R
3における置換アルキレン基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0071】
式(a0−1)中、R
4とR
5は相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよい。該環は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。また、該環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。たとえば環を形成するR
4、R
5のうちの一方または両方が環式基(環状のアルキル基またはアリール基)である場合、それらが結合すると、多環式の環(縮合環)が形成される。
形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
該環は、環骨格を構成する原子として、R
4及びR
5が結合した硫黄原子以外の他のヘテロ原子を有していてもよい。該ヘテロ原子としては、たとえば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等が挙げられる。
形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
【0072】
式(a0−21)中、V
−は対アニオンである。
V
−の対アニオンとしては、特に限定されるものではなく、たとえばオニウム塩系酸発生剤のアニオン部として従来知られているものを適宜用いることができる。
V
−としては、たとえば、一般式「R
4”SO
3−(R
4”は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。)」で表されるアニオンが挙げられる。
【0073】
前記一般式「R
4”SO
3−」において、R
4”は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。
【0074】
前記R
4”としての直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記R
4”としての環状のアルキル基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
R
4”がアルキル基の場合の「R
4”SO
3−」としては、例えば、メタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート、d−カンファー−10−スルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0075】
前記R
4”としてのハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたものであり、該アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、又はイソペンチル基であることがさらに好ましい。そして、水素原子が置換されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、アルキル基(ハロゲン化前のアルキル基)の水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが好ましく、水素原子の全てがハロゲン原子で置換されていることがより好ましい。
ここで、該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましい。フッ素化アルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるため好ましい。
このような好ましいフッ素化アルキル基として、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が挙げられる。
【0076】
前記R
4”としてのアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R
4”としてのアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
【0077】
前記R
4”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基における水素原子の一部又は全部が置換基(水素原子以外の他の原子又は基)で置換されていてもよいことを意味する。
R
4”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0078】
前記置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X
3−Q
’−[式中、Q
’は酸素原子を含む2価の連結基であり、X
3は置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R
4”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0079】
X
3−Q
’−で表される基において、Q
’は酸素原子を含む2価の連結基である。
Q
’は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO
2−)が連結されていてもよい。
該組み合わせとしては、たとえば、−R
91−O−、−R
92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R
93−O−C(=O)−、−SO
2−O−R
94−O−C(=O)−、−R
95−SO
2−O−R
94−O−C(=O)−(式中、R
91〜R
95はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R
91〜R
95におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH
2−];−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−]等が挙げられる。
Q
’としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R
91−O−、−R
92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R
93−O−C(=O)−が好ましい。
【0080】
X
3−Q
’−で表される基において、X
3の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。
該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0081】
X
3における脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
X
3において、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
X
3における「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0082】
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
【0083】
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
【0084】
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
【0085】
【化13】
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R
94’−または−S−R
95’−であり、R
94’およびR
95’はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
【0086】
式中、Q”、R
94’およびR
95’におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R
91〜R
95におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記X
3の脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0087】
本発明において、X
3は、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
【0088】
上記の中でも、前記R
4”としては、ハロゲン化アルキル基、または置換基としてX
3−Q
’−を有することが好ましい。
置換基としてX
3−Q
’−を有する場合、R
4”としては、X
3−Q
’−Y
3−[式中、Q
’およびX
3は前記と同じであり、Y
3は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X
3−Q
’−Y
3−で表される基において、Y
3のアルキレン基としては、前記Q
’で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y
3として、具体的には、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
2CF
3)−、−C(CF
3)
2−、−CF
2CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
3)CF(CF
3)−、−C(CF
3)
2CF
2−、−CF(CF
2CF
3)CF
2−、−CF(CF
2CF
2CF
3)−、−C(CF
3)(CF
2CF
3)−;−CHF−、−CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2−、−CH(CF
3)CH
2−、−CH(CF
2CF
3)−、−C(CH
3)(CF
3)−、−CH
2CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2CF
2−、−CH(CF
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CF
3)CH
2−、−CH(CF
3)CH(CF
3)−、−C(CF
3)
2CH
2−;−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−等が挙げられる。
【0089】
Y
3としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2−、−CF
2CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
3)CF(CF
3)−、−C(CF
3)
2CF
2−、−CF(CF
2CF
3)CF
2−;−CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2−;−CH
2CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2CF
2−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、又はCH
2CF
2CF
2−が好ましく、−CF
2−、−CF
2CF
2−又は−CF
2CF
2CF
2−がより好ましく、−CF
2−が特に好ましい。
【0090】
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
【0091】
R
4”がX
3−Q
’−Y
3−で表される基であるR
4”−SO
3−の具体例としては、たとえば下記式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
【0093】
【化15】
[式中、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、R
7は置換基であり、n1〜n6はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
【0094】
R
7の置換基としては、前記X
3の説明で、脂肪族環式基の環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部を置換してもよい置換基として挙げたものや、芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換してもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
7に付された符号(r1〜r2、w1〜w6)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR
7はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0095】
また、式(a0−21)中のV
−としては、たとえば下記一般式(b−3)で表されるアニオン、下記一般式(b−4)で表されるアニオンも挙げられる。
【0096】
【化16】
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0097】
式(b−3)において、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜6であり、より好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
式(b−4)において、Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜7、最も好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数又はY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基又はY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基又はアルキル基のフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
【0098】
式(a0−21)におけるV
−としては、一般式「R
4”SO
3−」で表されるアニオン(特に、R
4”がX
3−Q
’−Y
3−で表される基である上記式(b1)〜(b9)で表されるアニオン)が好ましい。
【0099】
以下に、式(a0−21)で表される基の具体例を示す。式中、V
−は前記同様である。
【0101】
前記式(a0−21)で表される基を有する構成単位(以下、「構成単位(a0−21)」という。)としては、下記式(a0−21’)で表される構成単位が好ましい。
【0102】
【化18】
[式中、R、Q
1、R
3〜R
5、V
−は前記同様である。]
【0103】
・式(a0−22)で表される基を有する構成単位
前記式(a0−22)中、Q
2は単結合又は2価の連結基である。Q
2の2価の連結基としては、前記式(a0−1)中のZ
0における2価の連結基と同様のものが挙げられる。なかでも、本発明におけるQ
2としては、単結合、又は、直鎖状・分岐鎖状のアルキレン基、エステル結合[−C(=O)−O−]若しくはこれらの組み合わせであることが好ましい。
【0104】
式(a0−22)中、A
−はアニオンを含む有機基である。
A
−としては、露光により発生して酸アニオンとなる部位を含むものであれば特に限定されるものではないが、スルホン酸アニオン、カルボアニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンを発生しうる基が好ましい。
なかでも、A
−としては、下記式(a0−22−an1)〜(a0−22−an4)で表される基が好ましい。
【0105】
【化19】
[W
0は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。Z
3は−C(=O)−O−、−SO
2−又は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z
4及びZ
5はそれぞれ独立に−C(=O)−又は−SO
2−である。R
62及びR
63はそれぞれ独立にフッ素原子を有していてもよい炭化水素基である。Z
6は−C(=O)−、−SO
2−、−C(=O)−O−又は単結合であり、Z
7は−C(=O)−又は−SO
2−である。R
61はフッ素原子を有していてもよい炭化水素基である。R
64はフッ素原子を有していてもよい炭化水素基である。]
【0106】
式(a0−2−an1)中、W
0は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。
W
0の置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、前記式(a0−1)中のZ
0における2価の連結基で説明した脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでも、下記式(a0−22−an1−1)で表される基が好ましい。
【0107】
【化20】
[式中、R
f1及びR
f2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、フッ素原子、又はフッ素化アルキル基であり、R
f1、R
f2のうち少なくとも1つはフッ素原子又はフッ素化アルキル基であり、p0は1〜8の整数である。]
【0108】
R
f1及びR
f2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フッ素原子、又はフッ素化アルキル基であり、R
f1、R
f2のうち少なくとも1つはフッ素原子又はフッ素化アルキル基である。
R
f1、R
f2のアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
R
f1、R
f2のフッ素化アルキル基としては、上記R
f1、R
f2のアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が好ましい。
R
f1、R
f2としては、フッ素原子又はフッ素化アルキル基であることが好ましい。
式(a0−22−an1−1)中、p0は1〜8の整数であり、1〜4の整数であることが好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。
また、W
0の置換基を有していてもよい炭化水素基として、上記式(a0−2−an1−1)以外の好適な例としては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基又は芳香族炭化水素基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、カンファー、ベンゼン等から2個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい)であることがより好ましい。
【0109】
式(a0−22−an2)中、Z
3は−C(=O)−O−、−SO
2−又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。Z
3の置換基を有していていもよい炭化水素基としては、前記式(I−1)中のL
01における2価の連結基の説明で挙げた「置換基を有していていもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。なかでもZ
3としては−SO
2−であることが好ましい。
式(a0−22−an2)中、Z
4及びZ
5は、それぞれ独立に、−C(=O)−又は−SO
2−であり、少なくとも一方が−SO
2−であることが好ましく、両方が−SO
2−であることがより好ましい。
R
62及びR
63は、それぞれ独立に、フッ素原子を有していてもよい炭化水素基であり、後述するR
61におけるフッ素原子を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0110】
式(a0−22−an3)中、Z
6は−C(=O)−、−SO
2−、−C(=O)−O−又は単結合である。Z
6が単結合の場合、式中のN
−が、Z
7と結合した側とは逆側(即ち、式中の左端)で直接−C(=O)−と結合しないことが好ましい。
【0111】
式(a0−22−an3)中、Z
7は、−C(=O)−又は−SO
2−であり、−SO
2−であることが好ましい。
R
61は、フッ素原子を有していてもよい炭化水素基である。R
61における炭化水素基としては、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
R
61におけるアルキル基は、炭素数1〜8であるものが好ましく、炭素数1〜6であるものがより好ましく、炭素数1〜4であるものがさらに好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が好ましいものとして挙げられる。
R
61における1価の脂環式炭化水素基は、炭素数3〜20であるものが好ましく、炭素数3〜12であるものがより好ましく、多環式でもよく、単環式でもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
R
61におけるアリール基は、炭素数6〜18であるものが好ましく、炭素数6〜10であるものがより好ましく、具体的にはフェニル基が特に好ましい。
R
61におけるアラルキル基は、炭素数1〜8のアルキレン基と上記「R
61におけるアリール基」とが結合したものが好ましい例として挙げられる。炭素数1〜6のアルキレン基と上記「R
61におけるアリール基」とが結合したアラルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基と上記「R
61におけるアリール基」とが結合したアラルキル基が特に好ましい。
R
61における炭化水素基は、当該炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていることが好ましく、当該炭化水素基の水素原子の30〜100%がフッ素原子で置換されていることがより好ましい。なかでも、上述したアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であることが特に好ましい。
【0112】
式(a0−22−an4)中、R
64は、フッ素原子を有していてもよい炭化水素基である。R
64における炭化水素基としては、アルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、アリール基から1個以上の水素原子を除いた基、アラルキル基から1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
R
64における炭化水素基として、具体的には、上記R
61における炭化水素基(アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、アラルキル基など)についての説明の中で例示したものから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
R
64における炭化水素基は、当該炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていることが好ましく、当該炭化水素基の水素原子の30〜100%がフッ素原子で置換されていることがより好ましい。
【0113】
例えば、A
−が式(a0−22−an1)で表される基のうちフッ素原子を有するもの(特に式(a0−22−an1−1)で表される基)である場合や、(a0−22−an2)で表される基や、Z
6及びZ
7が−SO
2−である式(a0−22−an3)で表される基を有する場合、露光によって構成単位(a0−2)から、フッ素化アルキルスルホン酸アニオン、カルボアニオン、スルホニルイミドアニオン等の比較的強い酸を発生させることができる。
一方、A
−が式(a0−22−an1)で表される基のうちフッ素原子を有さない場合や、式(a0−22−an4)で表される基や、Z
6及びZ
7が−C(=O)−である式(a0−22−an3)で表される基を有する場合、露光によって構成単位(a0−2)からアルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、カルボニルイミドアニオン等の比較的弱い酸を発生させることができる。
【0114】
上記の様に構成単位(a0−2)から所望の酸強度を有する酸を発生させることができるため、レジスト組成物における構成単位(a0−2)から発生した酸の機能を適宜決定することができ、所望の機能にあわせてA
−を選択することもできる。
例えば、通常レジスト組成物において用いられる酸発生剤と同様の役割を構成単位(a0−2)が担う場合は、強酸を発生するA
−を選択することが好ましい。
また、例えば、通常レジスト組成物において用いられるクエンチャー(酸発生剤から発生する強酸と塩交換して強酸をトラップするクエンチャー)と同様の機能を構成単位(a0−2)が担う場合は、弱酸を発生するA
−を選択することが好ましい。
なお、ここで強酸、弱酸とは、後述する構成単位(a1)に含まれるような酸の作用により分解する酸分解性基の活性化エネルギーとの関係性や、共に用いられる酸発生剤の酸強度との関係性において決定されるものである。そのため、上述した“比較的弱い酸”が、必ずクエンチャーとして用いることができるものではない。
【0115】
式(a0−22)中、M
m+は対カチオンであり、mは1〜3の整数である。
M
m+の対カチオンとしては、有機カチオンが好ましい。有機カチオンとしては特に限定されず、例えば、従来、レジスト組成物のクエンチャーに用いられる光分解性塩基や、レジスト組成物のオニウム系酸発生剤等のカチオン部として知られている有機カチオンを用いることができる。このような有機カチオンとしては、例えば、下記一般式(c−1)や(c−2)で表されるカチオンを好適に用いることができる。
【0116】
【化21】
[式中、R
1”〜R
3”,R
5”〜R
6”は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し;式(c−1)におけるR
1”〜R
3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。]
【0117】
前記式(c−1)中、R
1”〜R
3”は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基またはアルケニル基を表す。なお、式(c−1)におけるR
1”〜R
3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R
1”〜R
3”のうち、少なくとも1つはアリール基を表すことが好ましい。R
1”〜R
3”のうち、2以上がアリール基であることがより好ましく、R
1”〜R
3”のすべてが、アリール基であることが最も好ましい。
【0118】
R
1”〜R
3”のアリール基、アルキル基、アルケニル基は、上記R
4〜R
5のアリール基、アルキル基、アルケニル基と同様である。
式(c−1)で表されるカチオン部の好ましいものとしては、下記式(c−1−1)〜(c−1−32)で表されるカチオンが挙げられる。
【0122】
前記式(c−1−19)、(c−1−20)中、R
50は、酸解離性溶解抑制基を含む基であり、後述する式(p1)、(p1−1)若しくは(p2)で表される基、又は、−R
91−C(=O)−O−の酸素原子に、後述する式(1−1)〜(1−9)若しくは(2−1)〜(2−6)が結合した基であることが好ましい。ここで、R
91は、単結合又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基としては、炭素数1〜5であることが好ましい。
【0123】
前記式(c−1−21)中、Wは、2価の連結基であり、前記式(a0−1)中のZ
0の2価の連結基と同様のものが挙げられ、なかでも、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の環状の脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、直鎖状のアルキレン基であることがさらに好ましい。
【0124】
前記式(c−1−22)中、R
fはフッ素化アルキル基であり、無置換のアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基である。該無置換のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
【0125】
前記式(c−1−23)中、Qは2価の連結基であり、R
51はカルボニル基、エステル結合、又はスルホニル基を有する有機基である。
Qの2価の連結基としては、前記式(a0−1)中のR
2の2価の連結基と同様のものが挙げられ、アルキレン基、エステル結合を含む2価の連結基であることが好ましく、なかでも、アルキレン基、−R
77−C(=O)−O−R
78−[R
77、R
78はそれぞれ独立にアルキレン基である。]であることがより好ましい。
R
51はカルボニル基、エステル結合、又はスルホニル基を有する有機基であって、有機基としては、芳香族炭化水素基であっても脂肪族炭化水素基であってもよい。芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基としては、後述するX
3と同様のものが挙げられる。なかでも、R
51のカルボニル基、エステル結合、又はスルホニル基を有する有機基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、その中でも嵩高い脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、環状の飽和炭化水素基であることがさらに好ましい。R
51の好ましいものとしては、前記(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)で表される基、前記X
3と同様の基、単環式基又は多環式基に結合した水素原子が酸素原子(=O)で置換された基等が挙げられる。
【0126】
前記式(c−1−24)、(c−1−25)中、R
52は、酸解離性基ではない炭素数4〜10のアルキル基である。R
52としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
【0127】
前記式(c−1−26)中、R
53は塩基解離性部位を有する2価の基であり、R
54は2価の連結基であり、R
55は酸解離性基を有する基である。
ここで、R
53の塩基解離性部位とは、アルカリ現像液(具体的には、23℃において、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)の作用により解離する部位のことを指す。該塩基解離性部位が解離することにより、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。アルカリ現像液としては、一般的にリソグラフィー分野において用いられているものであってよい。塩基解離性部位は、23℃で、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液の作用により解離することが好ましい。
また、R
53は、塩基解離性部位だけで構成された基であってもよく、塩基解離性部位と、塩基で解離しない基または原子とが結合して構成された基であってもよい。
R
53が有する塩基解離性部位としては、エステル結合(−C(=O)−O−)が最も好ましい。
R
53が有する、塩基で解離しない基または原子としては、たとえば、前記式(a0−1)中のZ
0の2価の連結基と同様のものや、これら連結基の組み合わせ(ただし、塩基で解離するものを除く)が挙げられる。ここで「連結基の組み合わせ」とは、連結基同士が結合して構成された2価の基のことを指す。なかでも、アルキレン基と、ヘテロ原子を含む2価の連結基との組み合わせが好ましい。ただし、ヘテロ原子は、塩基解離性部位のうち塩基の作用で結合が切断される原子には隣接しないことが好ましい。
前記アルキレン基は、前記式(a0−1)中のZ
0の説明中の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基と同様である。
また、前記ヘテロ原子は、酸素原子であることが特に好ましい。
上記の中でも、R
53は、塩基解離性部位と、塩基で解離しない基または原子とが結合して構成された基であることが好ましい。
【0128】
R
54は2価の連結基であり、前記式(a0−1)中のZ
0の2価の連結基と同様のものが挙げられる。なかでもアルキレン基または2価の脂肪族環式基が好ましく、アルキレン基が特に好ましい。
R
55は酸解離性基を有する基である。
ここで、酸解離性基とは、酸の作用により解離しうる有機基であり、このようなものであれば特に限定されないが、例えば、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものが挙げられる。具体的には、後述する構成単位(a1)において挙げる酸解離性溶解抑制基と同様であり、環状または鎖状の第3級アルキルエステル型酸解離性基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基などが挙げられ、これらの中でも、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。
また、酸解離性基を有する基は、酸解離性基そのものであってもよく、酸解離性基と、酸で解離しない基または原子(酸解離性基が解離した後も酸発生剤に結合したままの基または原子)とが結合して構成された基であってもよい。ここで、酸で解離しない基または原子としては、前記式(a0−1)中のZ
0の2価の連結基と同様のものが挙げられる。
【0129】
前記式(c−1−27)中、W
2は単結合または2価の連結基であり、tは0又は1であり、R
62は酸によって解離しない基(以下「酸非解離性基」という。)である。
W
2の2価の連結基としては、前記式(a0−1)中のZ
0の2価の連結基と同様のものが挙げられる。なかでもW
2としては、単結合であることが好ましい。
tは、0であることが好ましい。
R
62の酸非解離性基としては、酸の作用により解離しない基であれば特に限定されないが、酸によって解離しない、置換基を有していてもよい炭化水素基であることが好ましく、置換基を有していてもよい環式炭化水素基であることがより好ましく、アダマンタンから1個の水素原子を除いた基であることがさらに好ましい。
【0130】
前記式(c−1−28)〜(c−1−30)中、uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
前記式(c−1−28)中、R
6aは置換基を有していてもよいアルキレン基であり、R
6bは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基である。
前記式(c−1−29)中、R
7aは置換基を有していてもよいアルキレン基であり、R
7bは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基である。
前記式(c−1−30)中、R
8は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基である。
【0131】
R
6a、R
7aにおけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1または2が特に好ましい。
該アルキレン基が有していてもよい置換基としては、前記式(a0−21)中のR
3の説明で、置換アルキレン基における置換基として挙げたものと同様のもの(ハロゲン原子、オキソ基(=O)、シアノ基、アルキル基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
7”、−O−C(=O)−R
8”、−O−R
9”、アリール基等)が挙げられる。
式中、R
6b、R
7b、R
8における置換基を有していてもよいアルキル基としては、前記一般式(a0−21)中のR
4、R
5の説明で挙げた置換アルキル基と同様のものが挙げられる。
R
6b、R
7b、R
8におけるフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基としては、前記一般式(a0−21)中のR
4、R
5の説明で挙げた置換アリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0132】
前記式(c−1−31)中、Y
10は、酸の作用により解離し得る酸解離性基を表し;R
56およびR
57はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R
56とR
57とは互いに結合して環を形成してもよく;Y
11およびY
12はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表し、Y
11とY
12とは互いに結合して環を形成してもよい。
Y
10としては、−C(R
56)(R
57)−C(=O)−O−と第3級アルキルエステルを形成する基が挙げられる。
ここでいう「第3級アルキルエステル」とは、−C(R
56)(R
57)−C(=O)−O−の末端の酸素原子に、Y
10の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、当該酸素原子と当該第3級炭素原子との間で結合が切断される。
Y
10としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性基、脂肪族環式基を含有する酸解離性基が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性基としては、たとえば、−C(R
71)(R
72)(R
73)で表される基が挙げられる。式中、R
71〜R
73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R
71)(R
72)(R
73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
【0133】
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基又は多環式基が挙げられ、多環式基であることが好ましい。
かかる「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。Y
10が炭素数5以上の環状の炭化水素基であって酸の作用により解離し得る酸解離性基であることにより、解像性、LWR、露光余裕度(ELマージン)、レジストパターン形状などのリソグラフィー特性が良好なものとなるため、特に好ましい。
【0134】
R
56およびR
57は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
R
56およびR
57のアルキル基又はアリール基は、それぞれ、前記R
1”〜R
3”のアルキル基又はアリール基と同様のものが挙げられる。また、R
56とR
57とは、前記R
1”〜R
3”と同様に、互いに結合して環を形成してもよい
上記の中でも、R
56およびR
57は、いずれも水素原子であることが特に好ましい。
【0135】
Y
11およびY
12は、それぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表す。
Y
11およびY
12におけるアルキル基又はアリール基は、それぞれ、前記R
1”〜R
3”におけるアルキル基又はアリール基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、Y
11およびY
12は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが特に好ましい。また、Y
11とY
12とは、前記R
1”〜R
3”と同様に、互いに結合して環を形成してもよい。
【0136】
前記式(c−1−32)中、R
58は、脂肪族環式基であり;R
59は、単結合または置換基を有していてもよいアルキレン基であり;R
60は、置換基を有していてもよいアリーレン基であり;R
61は、置換基を有していてもよい炭素数4または5のアルキレン基である。
R
58の脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよいが、多環式基であることが好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
R
59の置換基を有していてもよいアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、なかでも、単結合、または炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
R
60のアリーレン基としては、炭素数6〜20が好ましく、6〜14がより好ましく、炭素数6〜10がさらに好ましい。このようなアリーレン基としては、たとえば、フェニレン基、ビフェニレン基、フルオレニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基が挙げられ、安価に合成可能なことから、フェニレン基、ナフチレン基が好ましい。
【0137】
前記式(c−1−33)中、R
01はアリーレン基またはアルキレン基であり、R
02、R
03はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基であり、R
02、R
03は相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく、R
01〜R
03のうち少なくとも1つは、アリーレン基またはアリール基であり、W
1はn”価の連結基であり、n”は2または3である。
R
01のアリーレン基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリーレン基であって、該アリーレン基は、その水素原子の一部または全部が、置換されていてもよいものが挙げられ、R
01のアルキレン基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキレン基等が挙げられる。
R
02、R
03のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部が、置換されていてもよいものが挙げられ、R
02、R
03のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。
W
1の2価の連結基としては、上記Y
22の2価の連結基と同様のものが挙げられ、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わさった基が好ましい。
W
1の3価の連結基としては、アリーレン基に3個のカルボニル基が組み合わさった基が好ましい。
【0138】
前記式(c−2)中、R
5”〜R
6”は、それぞれ独立にアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表す。R
5”〜R
6”のうち、少なくとも1つはアリール基を表すことが好ましく、R
5”〜R
6”のすべてが、アリール基であることがより好ましい。
R
5”〜R
6”のアリール基、アルキル基、アルケニル基としては、R
1”〜R
3”のアリール基、アルキル基、アルケニル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R
5”〜R
6”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
【0139】
また、M
m+の有機カチオンとしては、下記一般式(c−3)で表される有機カチオンも挙げられる。
【0140】
【化25】
[式中、R
44〜R
46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n
4’〜n
5’はそれぞれ独立して0〜3の整数であり、n
6’は0〜2の整数である。]
【0141】
R
44〜R
46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R
44〜R
46に付された符号n
4’〜n
6’が2以上の整数である場合、複数のR
44〜R
46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n
4’は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n
5’は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n
6’は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
なかでも、前記式(c−1)〜(c−3)で表されるカチオンが好ましく、前記式(c−1−1)〜(c−1−32)で表されるカチオンがより好ましい。
【0142】
式(a0−22)で表される基を有する構成単位(以下、「構成単位(a0−22)」という。)としては、下記式(a0−22−11)〜(a0−22−14)、(a0−22−21)〜(a0−22−25)、(a0−22−31)〜(a0−22−32)、(a0−22−41)〜(a0−22−44)で表される基からなる群より選択される構成単位が好ましい。
下記式(a0−22−11)〜(a0−22−14)の中でも、下記式(a0−22−11−1)〜(a0−22−13−1)で表される基からなる群より選択される構成単位が好ましい。
【0143】
【化26】
[式中、R、Q
21〜Q
23、W
0、R
q1、R
n、(M
m+)
1/mは前記と同様である。R
arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基であって、式(a0−10)中のR
arと同様である。]
【0144】
【化27】
[式中、R、R
f1、R
f2、p0、(M
m+)
1/mは前記同様であり、Q
21はそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基である。Q
22は2価の連結基である。Q
23は−O−、−CH
2−O−、又は−C(=O)−O−を含有する基である。R
q1はフッ素原子又はフッ素化アルキル基である。R
nは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。]
【0145】
【化28】
[式中、R、Q
21〜Q
23、Z
3〜Z
5、R
62〜R
63、R
n、R
q1、(M
m+)
1/mは前記同様である。n60は0〜3の整数である。]
【0146】
【化29】
[式中、R、Z
6〜Z
7、R
n、(M
m+)
1/mは前記と同様であり、Q
24、Q
25はそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基である。]
【0147】
【化30】
[式中、R、R
n、(M
m+)
1/mは前記と同様であり、Q
26〜Q
28はそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基である。n30は0〜3の整数である。]
【0148】
式(a0−22−11)〜(a0−22−14)中、R、W
0、R
q1、R
n、R
ar(M
m+)
1/mは前記と同様である。
Q
21は、単結合又は2価の連結基である。Q
21における2価の連結基としては、式(a0−1)中のZ
0における2価の連結基と同様のものが挙げられる。なかでも、Q
21としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく;直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基とヘテロ原子を含む2価の連結基との組合せ、環状の脂肪族炭化水素基とヘテロ原子を含む2価の連結基との組合せ、芳香族炭化水素基とヘテロ原子を含む2価の連結基との組合せがより好ましく;直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基とエステル結合[−C(=O)−O−]との組合せ、2価の脂環式炭化水素基とエステル結合[−C(=O)−O−]との組合せが特に好ましく;直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、又は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基とエステル結合[−C(=O)−O−]との組合せが最も好ましい。
【0149】
式(a0−22−12)中、Q
22は2価の連結基であり、前記式(a0−1)中のZ
0における2価の連結基と同様のものが挙げられ、なかでも、Wで挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基、または2価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状のアルキレン基が特に好ましく、メチレン基又はエチレン基が最も好ましい。
式(a0−22−12)中、R
nは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。炭素数1〜5のアルキル基としては、前記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。なかでもR
nとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0150】
式(a0−22−13)中、Q
23は−O−、−CH
2−O−、又は−C(=O)−O−を含有する基である。
Q
23として具体的には、−O−、−CH
2−O−、又は−C(=O)−O−からなる基;−O−、−CH
2−O−又は−C(=O)−O−と、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基とからなる基等が挙げられる。
かかる置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、前記式(a0−1)中のZ
0における2価の連結基で挙げた置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。なかでも、Q
1における「2価の炭化水素基」としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。
Q
23としては、−C(=O)−O−と置換基を有していてもよい2価の炭化水素基とからなる基が好ましく、−C(=O)−O−と脂肪族炭化水素基とからなる基がより好ましく、−C(=O)−O−と直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基とからなる基がさらに好ましい。
Q
23の好適なものとして具体的には、特に、下記一般式(Q
23−1)で表される基が挙げられる。
【0151】
【化31】
[式(Q
23−1)中、R
q2及びR
q3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はフッ素化アルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよい。]
【0152】
前記式(Q
23−1)中、R
q2、R
q3におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
環状のアルキル基の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。具体的には、モノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンからそれぞれ1個以上の水素原子を除いた基などが例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンからそれぞれ1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。なかでも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
【0153】
R
q2、R
q3におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている基である。
当該フッ素化アルキル基において、フッ素原子で置換されていない状態のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、上記「R
q2、R
q3におけるアルキル基」と同様のものが挙げられる。
【0154】
R
q2及びR
q3は、互いに結合して環を形成していてもよく、R
q2とR
q3とこれらが結合している炭素原子とが構成する環としては、前記環状のアルキル基におけるモノシクロアルカン又はポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いたものが例示でき、4〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることがより好ましい。
【0155】
上記の中でも、R
q2、R
q3は、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
【0156】
式(a0−22−13)中、R
q1は、フッ素原子又はフッ素化アルキル基である。
R
q1におけるフッ素化アルキル基において、フッ素原子で置換されていない状態のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましく、炭素数が1〜2であることが特に好ましい。
環状のアルキル基の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがより好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましい。具体的には、モノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンからそれぞれ1個以上の水素原子を除いた基などが例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカン;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンからそれぞれ1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
フッ素化アルキル基においては、当該フッ素化アルキル基に含まれるフッ素原子と水素原子との合計数に対するフッ素原子の数の割合(フッ素化率(%))が、30〜100%であることが好ましく、50〜100%であることがより好ましい。該フッ素化率が高いほど、レジスト膜の疎水性が高まる。
上記の中でも、R
q1はフッ素原子であることが好ましい。
【0157】
式(a0−22−11−1)〜(a0−22−13−1)中、R、Q
21〜Q
23、R
f1、R
f2、p0、(M
m+)
1/mは前記と同様である。
【0158】
式(a0−22−21)〜(a0−22−25)中、R、Q
21〜Q
23、Z
3〜Z
5、R
62〜R
63、R
n、R
q1、(M
m+)
1/mは前記と同様である。
式(a0−2−24)中、n60は0〜3の整数であって、0又は1であることが好ましい。
【0159】
式(a0−22−31)〜(a0−22−32)中、R、Z
6〜Z
7、R
n、(M
m+)
1/mは前記と同様であり、Q
24、Q
25はそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基である。
Q
24、Q
25の2価の連結基としては、前記式(I−1)中のL
01における2価の連結基と同様のものが挙げられる。なお、上述したように、Z
1が単結合である場合、Q
24、Q
25のZ
1と結合する末端は−C(=O)−でないことが好ましい。Q
24、Q
25の2価の連結基としては、特に、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基がより好ましい。
【0160】
式(a0−22−41)〜(a0−22−44)中、R、R
n、(M
m+)
1/mは前記と同様であり、Q
26〜Q
28はそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基である。Q
26〜Q
28は、前記Q
24、Q
25と同様である。
式(a0−22−44)中、n30は0〜3の整数であって、0又は1であることが好ましい。
【0161】
以下に、構成単位(a0−22)の具体例を示す。以下の各式中、R
αは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、(M
m+)
1/mは前記と同様である。
【0169】
(A)成分が(A’)成分である場合、該(A’)成分は構成単位(a0−2)を1種のみ有していてもよく、2種以上組み合わせて有していてもよい。
(A’)成分中、構成単位(a0−2)の割合は、当該重合体を構成する全構成単位に対して1〜50モル%であることが好ましく、1〜45モル%がより好ましく、3〜40モル%がさらに好ましく、5〜35モル%が特に好ましい。1モル%以上とすることにより、感度、解像性等のリソグラフィー特性の向上効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。また、レジスト溶剤(後述する(S)成分)に対する充分な溶解性が確保できる。
【0170】
(構成単位(a1))
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、露光により発生する酸(構成単位(a0−2)から発生する酸、後述する(B)成分から発生する酸等)の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SO
3H)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基を酸解離性基で保護した基(たとえばOH含有極性基の水素原子を酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
「酸解離性基」は、露光により発生する酸の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基である。酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、他方、現像液が有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)の場合には溶解性が減少する。
【0171】
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基、アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状又は環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状又は環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基が形成される。
前記鎖状又は環状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」という。
【0172】
第3級アルキルエステル型酸解離性基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性基、脂肪族環式基を含有する酸解離性基が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性基としては、たとえば、−C(R
71)(R
72)(R
73)で表される基が挙げられる。式中、R
71〜R
73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R
71)(R
72)(R
73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
【0173】
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基又は多環式基であることを示す。
「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
脂肪族環式基としては、炭素数が3〜30であるものが好ましく、5〜30であるものがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。当該脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。また、これらの脂環式炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されたものであってもよい。
【0174】
脂肪族環式基を含有する酸解離性基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合して第3級炭素原子が形成されている基(以下「環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基」ということがある);
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基などが挙げられる。
前記(i)の基において、脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に結合する置換基としては、たとえば置換基を有していていもよいアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、たとえば後述する式(1−1)〜(1−9)中のR
14と同様のものが挙げられる。
前記(i)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
前記(ii)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
【0175】
【化39】
[式中、R
14は置換基を有していていもよいアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
【0176】
【化40】
[式中、R
15およびR
16は、それぞれ独立してアルキル基である。]
【0177】
式(1−1)〜(1−9)中、R
14のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
【0178】
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
【0179】
該環状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、5〜8がより好ましい。具体的にはモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。具体的には、アルキル基を構成する水素原子の一部または全部がアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、カルボキシ基等で置換されていてもよく、アルキル基を構成する炭素原子の一部又は全部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されていてもよい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
【0180】
式(2−1)〜(2−6)中、R
15〜R
16のアルキル基としては、前記R
14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
【0181】
「アセタール型酸解離性基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性基と、当該アセタール型酸解離性基が結合した酸素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基が形成される。
アセタール型酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
【0182】
【化41】
[式中、R
1’,R
2’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
【0183】
式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
式(p1)中、R
1’、R
2’はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R
1’、R
2’の炭素数1〜5のアルキル基としては、前記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明においてR
1’、R
2’としては、少なくとも1つが水素原子であることが好ましく、水素原子とメチル基との組み合わせ、又は水素原子同士の組み合わせであることが好ましい。すなわち、酸解離性基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
【0184】
【化42】
[式中、R
1’、n、Yは上記と同じである。]
【0185】
Yの炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが例示できる。
【0186】
アセタール型酸解離性基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
【0187】
【化43】
[式中、R
17、R
18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり;R
19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R
17およびR
19がそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であって、R
17とR
19とが結合して環を形成していてもよい。]
【0188】
R
17、R
18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特にR
17、R
18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
R
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、エチル基が最も好ましい。
R
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R
17及びR
19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R
19とR
17とが結合していてもよい。
この場合、R
17と、R
19と、R
19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR
17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0189】
本発明のレジスト組成物において、構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a11);ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位(a12)、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位(a13)等が挙げられる。
【0190】
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH
2=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ヒドロキシ基で置換した基が挙げられる。
α置換アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0191】
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
以下、構成単位(a11)、構成単位(a12)、構成単位(a13)について説明する。
【0192】
(構成単位(a11))
構成単位(a11)として、具体的には、下記の一般式(a11−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a11−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
【0193】
【化44】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;X
1は酸解離性基であり;Y
2は2価の連結基であり;X
2は酸解離性基である。]
【0194】
一般式(a11−0−1)において、Rは前記式(a0−1)中のRと同様である。
X
1は、酸解離性基であれば特に限定されることはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。
一般式(a11−0−2)において、Rは上記と同様である。
X
2は、式(a11−0−1)中のX
1と同様である。
【0195】
Y
2の2価の連結基としては、特に限定されないが、上記式(a0−1)中のZ
0の2価の連結基で挙げた置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基が好適なものとして挙げられる。
なかでも、Y
2の2価の連結基としては、特に、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
【0196】
構成単位(a11)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
【0197】
【化45】
[式中、R、R
1’、R
2’、n、YおよびY
2はそれぞれ前記と同じであり、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性基を表す。]’
【0198】
式中、X’は、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基と同様のものが挙げられる。
R
1’、R
2’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR
1’、R
2’、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y
2としては、上述の一般式(a11−0−2)におけるY
2と同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0207】
本発明においては、構成単位(a11)として、下記一般式(a11−0−11)〜(a11−0−15)で表される構成単位、および下記一般式(a11−0−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。
なかでも、下記一般式(a11−0−11)〜(a11−0−15)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することがより好ましく、下記一般式(a11−0−11)〜(a11−0−13)及び(a11−0−15)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有することがさらに好ましい。
【0208】
【化54】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R
21はアルキル基であり;R
22は、当該R
22が結合した炭素原子と共に脂肪族単環式基を形成する基であり;R
23は分岐鎖状のアルキル基であり;R
24は、当該R
24が結合した炭素原子と共に脂肪族多環式基を形成する基であり;R
25は炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。R
15およびR
16は、それぞれ独立してアルキル基である。Y
2は2価の連結基であり、X
2は酸解離性基である。]
【0209】
各式中、R、Y
2、X
2についての説明は前記と同じである。
式(a11−0−11)中、R
21のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基、エチル基若しくはイソプロピル基、又は環状のアルキル基(好ましくは多環式基)が好ましい。
R
22が、当該R
22が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族単環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、単環式基であるものと同様のものが挙げられる。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該モノシクロアルカンは、3〜11員環であることが好ましく、3〜8員環であることがより好ましく、4〜6員環がさらに好ましく、5または6員環が特に好ましい。
該モノシクロアルカンは、環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
また、該モノシクロアルカンは、置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基を有していてもよい。
かかる脂肪族単環式基を構成するR
22としては、たとえば、炭素原子間にエーテル基(−O−)が介在してもよい直鎖状のアルキレン基が挙げられる。
【0210】
式(a11−0−11)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−16)〜(a1−1−23)、(a1−1−27)、(a1−1−31)、(a1−1−37)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)、(a1−1−27)、(a1−1−31)、(a1−1−32)、(a1−1−33)、(a1−1−37)で表される構成単位を包括する下記(a11−1−02)で表される構成単位が好ましい。また、下記(a11−1−02’)で表される構成単位も好ましい。
各式中、hは、1〜4の整数であり、1または2が好ましい。
【0211】
【化55】
[式中、R、R
21はそれぞれ前記と同じであり、hは1〜4の整数である。]
【0212】
式(a11−0−12)中、R
23の分岐鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基で挙げた分岐鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、イソプロピル基が最も好ましい。
R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものが挙げられる。
式(a11−0−12)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−26)、(a1−1−28)〜(a1−1−30)で表される構成単位が挙げられる。
式(a11−0−12)で表される構成単位としては、R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−26)で表される構成単位が好ましい。
【0213】
式(a11−0−13)中、RおよびR
24はそれぞれ前記と同様である。
R
25の直鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基で挙げた直鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
式(a11−0−13)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−1)〜(a1−1−2)、(a1−1−7)〜(a1−1−15)で表される構成単位が挙げられる。
式(a11−0−13)で表される構成単位としては、R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−1)または(a1−1−2)で表される構成単位が好ましい。また、R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が「テトラシクロドデカンから1個以上の水素原子を除いた基」であるものも好ましく、前記式(a1−1−8)、(a1−1−9)又は(a1−1−30)で表される構成単位も好ましい。
【0214】
式(a11−0−14)中、RおよびR
22はそれぞれ前記と同様である。R
15およびR
16は、それぞれ前記一般式(2−1)〜(2−6)におけるR
15およびR
16と同様である。
式(a11−0−14)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−35)、(a1−1−36)で表される構成単位が挙げられる。
【0215】
式(a11−0−15)中、RおよびR
24はそれぞれ前記と同様である。R
15およびR
16は、それぞれ前記一般式(2−1)〜(2−6)におけるR
15およびR
16と同様である。
式(a11−0−15)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−4)〜(a1−1−6)、(a1−1−34)で表される構成単位が挙げられる。
【0216】
式(a11−0−2)で表される構成単位としては、前記式(a1−3)または(a1−4)で表される構成単位が挙げられ、特に式(a1−3)で表される構成単位が好ましい。
式(a11−0−2)で表される構成単位としては、特に、式中のY
2が前記−Y
21−O−Y
22−または−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−で表される基であるものが好ましい。
かかる構成単位として、好ましいものとしては、下記一般式(a1−3−01)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−02)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−03)で表される構成単位などが挙げられる。
【0217】
【化56】
[式中、Rは前記と同じであり、R
13は水素原子またはメチル基であり、R
14はアルキル基であり、eは1〜10の整数であり、n’は0〜3の整数である。]
【0218】
【化57】
[式中、Rは前記と同じであり、Y
2’およびY
2”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、X’は酸解離性基であり、wは0〜3の整数である。]
【0219】
式(a1−3−01)〜(a1−3−02)中、R
13は、水素原子が好ましい。
R
14は、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14と同様である。
eは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
式(a1−3−01)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−02)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位等が挙げられる。
【0220】
式(a1−3−03)中、Y
2’、Y
2”における2価の連結基としては、前記一般式(a1−3)におけるY
2と同様のものが挙げられる。
Y
2’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
Y
2”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に置換基が結合して第3級炭素原子が形成されている基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
wは0〜3の整数であり、wは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が好ましく、中でも、式(a1−3−03−1)で表される構成単位が好ましい。
【0221】
【化58】
[式中、RおよびR
14はそれぞれ前記と同じであり、a’は1〜10の整数であり、b’は1〜10の整数であり、tは0〜3の整数である。]
【0222】
式(a1−3−03−1)〜(a1−3−03−2)中、a’は前記と同じであり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が特に好ましい。
b’は前記と同じであり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
tは1〜3の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−29)〜(a1−3−32)で表される構成単位が挙げられる。
【0223】
(構成単位(a12)、構成単位(a13))
本明細書において、構成単位(a12)は、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位である。
また、構成単位(a13)は、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位である。
構成単位(a12)、構成単位(a13)において、酸分解性基を含む置換基としては、上記構成単位(a11)において説明した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基が好ましいものとして挙げられる。
【0224】
構成単位(a12)、構成単位(a13)のなかで好適なものとしては、下記の一般式(a12−1)〜(a12−4)、一般式(a13−1)のいずれかで表される構成単位等が例示できる。
【0225】
【化59】
[式(a12−1)〜(a12−4)、(a13−1)中、Rは上記同様であり;R
88はハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;qは0〜4の整数であり;R
1’は上記同様であり;nは0〜3の整数であり;Wは脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基又は炭素数1〜5のアルキル基であり;rは1〜3であり;R
41、R
42、R
43はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり;X
1は酸解離性基である。]
【0226】
前記式(a12−1)〜(a12−4)、(a13−1)中、「−O−CHR
1’−O−(CH
2)
n−W」、「−O−C(O)−O−C(R
41)(R
42)(R
43)」、「−O−C(O)−O−X
1」、「−O−(CH
2)
r−C(O)−O−X
1」、および「−C(O)−O−X
1」のフェニル基との結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、本発明の効果が良好であることから、p−位が最も好ましい。
【0227】
R
88はハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
R
88のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R
88の炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基としては、Rの炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
R
88の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。
qが2の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
ただし、1≦p+q≦5である。
【0228】
qは0〜4の整数であり、0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
nは0〜3の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
Wにおける脂肪族環式基は1価の脂肪族環式基である。脂肪族環式基は、たとえば、従来のArFレジストにおいて多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、炭素数5〜7の脂肪族単環式基、炭素数10〜16の脂肪族多環式基が挙げられる。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされず、該環構造中に酸素原子等を有していても良い。
炭素数5〜7の脂肪族単環式基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が例示でき、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
炭素数10〜16の脂肪族多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデシル基が工業上好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
Wの芳香族環式炭化水素基としては、炭素数10〜16の芳香族多環式基が挙げられる。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、1−ピレニル基等が挙げられ、2−ナフチル基が工業上特に好ましい。
Wの炭素数1〜5のアルキル基としては、上記ヒドロキシスチレンのα位に結合していてよい炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
【0229】
R
41〜R
43は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、具体例としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基で例示したものと同様である。
X
1の酸解離性基は、上記式(a11−0−1)中のX
1の酸解離性基と同様である。
rは、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
【0230】
上記構成単位(a12)、構成単位(a13)のなかでも、構成単位(a12)が好ましく、一般式(a12−1)で表される構成単位、一般式(a12−4)で表される構成単位がより好ましい。
構成単位(a12)の好適な具体例を以下に挙げる。
【0232】
構成単位(a12)としては、化学式(a12−1−1)〜(a12−1−12)から選択される少なくとも1種が好ましく、化学式(a12−1−1)、(a12−1−2)、(a12−1−5)〜(a12−1−12)が最も好ましい。
【0233】
(A1)成分が含有する構成単位(a1)は、1種であってもよく2種以上であってもよい。
上記のなかでも、構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a11)であることが好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、10〜70モル%が好ましく、15〜66モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましく、35〜50モル%が特に好ましい。
構成単位(a1)の割合を下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
【0234】
(その他の構成単位)
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の構成単位(a0−1)、(a0−2)、(a1)以外のその他の構成単位を有してもよい。
かかるその他の構成単位は、上述の構成単位に分類されない構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
かかるその他の構成単位としては、
ラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)、
極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a3)(但し、前記の構成単位(a0−1)、(a0−2)、(a1)及び(a2)に該当するものを除く。)、
酸非解離性の脂肪族多環式基を含む構成単位(a4)等が挙げられる。
【0235】
・構成単位(a2)
(A1)成分は、構成単位(a0−1)及び構成単位(a1)に加えて、又は構成単位(a0−1)、(a0−2)及び構成単位(a1)に加えて、ラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)をさらに有していてもよい。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めうえで有効なものである。また、アルカリ現像液等の水を含有する現像液との親和性が向上する点で、アルカリ現像プロセスにおいて有効である。
なお、前記構成単位(a0−1)、(a0−2)または(a1)がその構造中にラクトン含有環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a2)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a0−1)、(a0−2)または(a1)に該当し、構成単位(a2)には該当しないものとする。
【0236】
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2)におけるラクトン環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
【0237】
構成単位(a2)としては、ラクトン含有環式基を有するものであれば他の部分の構造は特に限定されないが、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基を含む構成単位が好ましい。
【0238】
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−0)で表される構成単位が挙げられる。
【0239】
【化61】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R
28はラクトン含有環式基であり、R
29は単結合または2価の連結基である。]
【0240】
式(a2−0)中、Rは前記と同様である。
R
28は、前記で挙げたラクトン含有環式基と同様である。
R
29は、単結合、2価の連結基のいずれであってもよい。本発明の効果に優れることから、2価の連結基であることが好ましい。
R
29における2価の連結基としては、特に限定されず、たとえば、前記式(a0−1)中のZ
0における2価の連結基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、アルキレン基、またはエステル結合(−C(=O)−O−)を含むものが好ましい。
【0241】
【化62】
[式中、RおよびR
28はそれぞれ前記と同様であり、R
30は2価の連結基である。]
【0242】
R
30としては、特に限定されず、たとえば、前記(a0−1)中のZ
0における2価の連結基と同様のものが挙げられる。
R
30の2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子として酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。
直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基またはエチレン基が好ましく、メチレン基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキレン基としては、アルキルメチレン基またはアルキルエチレン基が好ましく、−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−または−C(CH
3)
2CH
2−が特に好ましい。
酸素原子を含む2価の連結基としては、エーテル結合またはエステル結合を含む2価の連結基が好ましく、前述した、−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−がより好ましい。Y
21およびY
22は、それぞれ前記同様である。
【0243】
構成単位(a2)としてより具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−6)で表される構成単位が挙げられる。
【0244】
【化63】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R
29は単結合または2価の連結基であり、s”は0〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1である。]
【0245】
一般式(a2−1)〜(a2−6)におけるRは、前記同様である。
R’のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、式(a0−1)中のR
1で挙げたものと同様である。
A”としては、式(a0−1)中のA’と同様のものが挙げられる。A”は、炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基またはジメチルメチレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
R
29は、前記一般式(a2−0)中のR
29と同様である。
式(a2−1)中、s”は1〜2であることが好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−6)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0252】
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−6)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)及び(a2−6)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、前記一般式(a2−1)、(a2−3)または(a2−6)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましい。
なかでも、前記式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−2−12)、(a2−2−14)、(a2−3−1)、(a2−3−5)、(a2−6−1)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0253】
また、構成単位(a2)としては、下記式(a2−7)〜(a2−8)で表される構成単位も好ましい。
【0254】
【化70】
[式中、R、R
29は前記同様である。]
【0255】
(A1)成分が構成単位(a2)を含有する場合、(A1)成分中の構成単位(a2)は1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を含有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、DOF、CDU等の種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
【0256】
・構成単位(a3)
構成単位(a3)は、極性基を含む構成単位(a3)である。(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、露光後の(A1)成分の極性がさらに向上する。極性の向上は、特にアルカリ現像プロセスの場合に、解像性等の向上に寄与する。
極性基としては、−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2、−CONH
2、等が挙げられる。−COOHを含むものとしては、(α置換)アクリル酸の構成単位も含む。
構成単位(a3)は、水素原子の一部が極性基で置換された炭化水素基を含む構成単位であることが好ましい。当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。なかでも、当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基あることがより好ましい。
当該炭化水素基における脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)が挙げられる。
該脂肪族環式基(単環式基、多環式基)としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該脂肪族環式基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基等が挙げられる。
【0257】
当該炭化水素基における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基であり、炭素数が5〜30であることがより好ましく、6〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香族炭化水素基が有する芳香環としては前記同様であって、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から2個以上の水素原子を除いた基(アリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0258】
構成単位(a3)としては、下記一般式(a3−1)で表される構成単位が好ましい。
【0259】
【化71】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。P
0は−C(=O)−O−、−C(=O)−NR
0−(R
0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)又は単結合である。W
0は−COOH、または置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する炭化水素基、又は、−CONHCO−R
a3(R
a3は炭化水素基)であり、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。]
【0260】
前記式(a3−1)中、Rのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rのハロゲン化アルキル基は、前記のRのアルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
前記式(a3−1)中、P
0は、−C(=O)−O−、−C(=O)−NR
0−(R
0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)又は単結合である。R
0のアルキル基としては、Rのアルキル基と同様である。
【0261】
前記式(a3−1)中、W
0は、置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する炭化水素基又は、−CONHCO−R
a3(R
a3は炭化水素基)であり、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。
「置換基を有する炭化水素基」とは、炭化水素基に結合した水素原子の少なくとも一部が置換基で置換されていることを意味する。
W
0又はR
a3における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
W
0又はR
a3における脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)が好適に挙げられ、これらの説明は上記と同様である。
W
0又はR
a3における芳香族炭化水素基は、少なくとも1つ芳香環を有する炭化水素基であり、この説明は上記と同様である。
【0262】
ただし、W
0は、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。この「任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい」とは、炭化水素基、又は置換基を有する炭化水素基をそれぞれ構成する炭素原子(置換基部分の炭素原子を含む。)の一部が、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよいこと、又は炭化水素基に結合した水素原子が酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよいこと、を意味する。
以下に、一例として任意の位置に酸素原子(O)を有するW
0について例示する。
【0263】
【化72】
[式中、W
00は炭化水素基であり、R
mは炭素数1〜5のアルキレン基である。]
【0264】
前記式中、W
00は炭化水素基であり、前記式(a3−1)中のW
0と同様のものが挙げられる。W
00は、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは脂肪族環式基(単環式基、多環式基)である。
R
mは、直鎖状、分岐鎖状であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基であることがより好ましい。
【0265】
構成単位(a3)のなかで好適なものとして、より具体的には、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位、下記一般式(a3−11)〜(a3−13)のいずれかで表される構成単位等が挙げられる。(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位としては、前記式(a3−1)中のP
0が単結合であり、W
0が−COOHである構成単位が挙げられる。
【0266】
【化73】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。W
01は置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する芳香族炭化水素基である。P
02及びP
03はそれぞれ−C(=O)−O−、−C(=O)−NR
0−(R
0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)又は単結合である。W
02は置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する環状の炭化水素基、又は、−CONHCO−R
a32(R
a32は環状の炭化水素基)であり、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。W
03は置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する鎖状の炭化水素基、又は、−CONHCO−R
a33(R
a33は鎖状の炭化水素基)である。]
【0267】
[一般式(a3−11)で表される構成単位]
前記式(a3−11)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
W
01における芳香族炭化水素基は、前記式(a3−1)中のW
0における芳香族炭化水素基の説明と同様である。
以下に、一般式(a3−11)で表される構成単位の好適な具体例を示す。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0269】
[一般式(a3−12)で表される構成単位]
前記式(a3−12)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
P
02は、−C(=O)−O−、−C(=O)−NR
0−(R
0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)又は単結合であり、−C(=O)−O−又は単結合であることが好ましい。R
0のアルキル基としては、Rのアルキル基と同様である。
W
02またはR
a32における環状の炭化水素基は、前記式(a3−1)中のW
0についての説明の中で例示した脂肪族環式基(単環式基、多環式基)、芳香族炭化水素基とそれぞれ同様のものが挙げられる。
W
02またはR
a32は、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよく、この説明は前記式(a3−1)中のW
0の説明と同様である。
以下に、一般式(a3−12)で表される構成単位の好適な具体例を示す。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0272】
[一般式(a3−13)で表される構成単位]
前記式(a3−13)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
P
03は、−C(=O)−O−、−C(=O)−NR
0−(R
0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)又は単結合であり、−C(=O)−O−又は単結合であることが好ましい。R
0のアルキル基としては、Rのアルキル基と同様である。
W
03またはR
a33における鎖状の炭化水素基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがより好ましく、炭素数1〜3であることがさらに好ましい。
W
03またはR
a33における鎖状の炭化水素基は、−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2以外の置換基(a)をさらに有していてもよい。この置換基(a)としては、炭素数1〜5のアルキル基、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基等が挙げられる。置換基(a)における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
また、W
03における直鎖状の炭化水素基は、一例として下記一般式(a3−13−a)で表される構成単位のように、複数の置換基(a)を有してもよく、複数の置換基(a)同士が相互に結合して環が形成されてもよい。
【0273】
【化77】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。R
a1及びR
a2はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)、フッ素原子、又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。但し、R
a1とR
a2とが相互に結合して環を形成してもよい。q
0は1〜4の整数である。]
【0274】
前記式(a3−13−a)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
R
a1及びR
a2における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)は、前記置換基(a)における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)と同様である。
また、R
a1とR
a2とは、相互に結合して環を形成してもよい。この場合、R
a1と、R
a2と、R
a1とR
a2とが共に結合した炭素原子とにより環式基が形成される。該環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよく、具体的には、前記置換基(a)における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)についての説明の中で例示したモノシクロアルカン又はポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
q
0は1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0275】
以下に、一般式(a3−13)で表される構成単位の好適な具体例を示す。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0277】
(A1)成分が構成単位(a3)を含有する場合、(A1)成分中の構成単位(a3)は1種であっても2種以上であってもよい。
(A1)成分が構成単位(a3)を含有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対して0〜85モル%であることが好ましく、0〜80モル%がより好ましい。構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果(解像性、リソグラフィー特性、パターン形状の向上効果)が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
【0278】
・構成単位(a4)
構成単位(a4)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸非解離性の脂肪族多環式基を含む構成単位である。
構成単位(a4)において、該多環式基は、たとえば、前記の構成単位(a1)の場合に例示した多環式基と同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特に、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)で表される構造のものを例示することができる。
【0279】
【化79】
(式中、Rは前記のものと同じ意味である。)
【0280】
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4)を1〜30モル%含有させることが好ましく、10〜20モル%含有させることがより好ましい。
【0281】
本発明のレジスト組成物において、(A)成分は、上述した構成単位(a0−1)を有する樹脂成分(A1)を含有するものである。
かかる(A1)成分としては、構成単位(a0−1)と構成単位(a1)とを有する高分子化合物が好ましい。また本発明のレジスト組成物が後述する(B)成分を含有しない場合、(A1)成分は(A1’)成分であることが好ましく、構成単位(a0−1)と構成単位(a0−2)と構成単位(a1)とを有する高分子化合物が好ましい。
【0282】
(A1)成分として具体的には、構成単位(a0−1)、構成単位(a1)及び構成単位(a2)からなる高分子化合物;構成単位(a0−1)、構成単位(a1)及び構成単位(a3)からなる高分子化合物;構成単位(a0−1)、構成単位(a1)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)からなる高分子化合物;構成単位(a0−1)、構成単位(a0−2)、構成単位(a1)及び構成単位(a2)からなる高分子化合物;構成単位(a0−1)、構成単位(a0−2)、構成単位(a1)及び構成単位(a3)からなる高分子化合物;構成単位(a0−1)、構成単位(a0−2)、構成単位(a1)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)からなる高分子化合物等が例示できる。
【0283】
(A)成分中、(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。該(A1)成分の割合が25質量%以上であると、本発明の効果がより向上する。
【0284】
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0285】
(A)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH
2−CH
2−CH
2−C(CF
3)
2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF
3)
2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いても、公知の方法により合成したものを用いてもよい。構成単位(a0−1)を誘導するモノマーの製造方法は、第四の態様において後述する。
【0286】
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A1)成分以外の基材成分(以下この基材成分を「(A2)成分」という。)を含有してもよい。
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性基と、親水性基とを有する低分子化合物を用いてもよい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部または全部が上記酸解離性基で置換されたものが挙げられる。
該低分子化合物としては、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
該低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜6核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。特には、トリフェニルメタン骨格を2〜6個有するフェノール化合物が、解像性、ラインエッジラフネス(LWR)に優れることから好ましい。該酸解離性基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
【0287】
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
【0288】
<任意成分>
[(B)成分]
本発明のレジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有してもよい。なかでも本発明の(A)成分や(A1)成分が露光により酸を発生する成分でない場合、本発明のレジスト組成物は(B)成分を含有する。
本発明のレジスト組成物において、(B)成分は、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(b−1)又は(b−2)で表される化合物を用いることができる。
【0289】
【化80】
[式中、R
1”〜R
3”,R
5”〜R
6”はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。式(b−1)におけるR
1”〜R
3”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R
4”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。]
【0290】
式(b−1)中のR
1”〜R
3”、式(b−2)中のR
5”〜R
6”は、それぞれ、前記構成単位(a0−2)の説明で挙げた式(c−1)中のR
1”〜R
3”、式(c−2)中のR
5”〜R
6”と同じである。
式(b−1)〜(b−2)中のR
4”SO
3−は、構成単位(a0−2)において挙げた一般式(a0−21)中のV
−の説明で挙げたR
4”SO
3−と同じである。
【0291】
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射(露光)によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
【0292】
【化81】
(式(B−1)中、R
31、R
32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
【0293】
R
31、R
32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
R
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R
32のアルキル基、アリール基としては、前記R
31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
R
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0294】
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
【0295】
【化82】
[式(B−2)中、R
33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R
34はアリール基である。R
35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
【0296】
【化83】
[式(B−3)中、R
36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R
37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R
38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
【0297】
前記一般式(B−2)において、R
33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
R
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
【0298】
前記一般式(B−3)において、R
36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R
33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
R
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R
34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
【0299】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
【0301】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
【0302】
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物が(B)成分を含有する場合、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。(B)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0303】
[(D)成分]
本発明のレジスト組成物は、任意の成分として、塩基性化合物(D)(以下、(D)成分という。)を含有してもよい。本発明において、(D)成分は、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(A)成分、(B)成分等から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものである。なお、本発明において「塩基性化合物」とは、前記(A)成分または(B)成分に対して相対的に塩基性となる化合物をいう。
本発明における(D)成分は、カチオン部と、アニオン部とからなる塩基性化合物(D1)(以下、「(D1)成分」という。)であってもよく、該(D1)成分に該当しない塩基性化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)であってもよい。
【0304】
((D1)成分)
(D1)成分としては、下記一般式(d1−1)で表される化合物(d1−1))(以下、「(d1−1)成分」という。)、下記一般式(d1−2)で表される化合物(d1−2)(以下、「(d1−2)成分」という。)、及び下記一般式(d1−3)で表される化合物(d1−3)(以下、「(d1−3)成分」という。)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0305】
【化85】
[式中、R
4は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z
2cは置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(ただし、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R
5は有機基であり、Y
5は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基またはアリーレン基であり、Rf
3はフッ素原子を含む炭化水素基であり、M
+はそれぞれ独立にスルホニウム又はヨードニウムカチオンである。]
【0306】
・(d1−1)成分
・アニオン部
式(d1−1)中、R
4は置換基を有していてもよい炭化水素基である。
R
4の置換基を有していてもよい炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、前記構成単位(a0)の説明中、一般式「R
4”SO
3−」においてR
4”が有していてもよい置換基として挙げた式:X
3−Q
’−中のX
3と同様のものが挙げられる。
なかでもR
4の置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基やナフチル基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
【0307】
また、R
4の置換基を有していてもよい炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、又は、フッ素化アルキル基であることも好ましい。
R
4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。
【0308】
R
4のフッ素化アルキル基は、鎖状であっても環状であってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された基や、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基等の分岐鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された基が挙げられる。
また、R
4のフッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、たとえば酸素原子、炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
なかでも、R
4のフッ素化アルキル基としては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であることが好ましい。
【0309】
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
【0311】
・カチオン部
式(d1−1)中、M
+は、有機カチオンである。
M
+の有機カチオンとしては特に限定されるものではないが、例えば、前記式(c−1)又は(c−2)で表される化合物のカチオン部と同様のものが挙げられる。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0312】
・(d1−2)成分
・アニオン部
式(d1−2)中、Z
2cは置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。
Z
2cの置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、前記式(d1−1)中のR
4と同様のものが挙げられる。
なかでもZ
2cの置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい)であることがより好ましい。
Z
2cの炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、(B)成分中のXと同様のものが挙げられる。ただし、Z
2cにおいて、SO
3−におけるS原子に隣接する炭素は、フッ素置換されていないものとする。SO
3−とフッ素原子とが隣接しないことにより、当該(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分のクエンチング能が向上する。
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
【0314】
・カチオン部
式(d1−2)中、M
+は、前記式(d1−1)中のM
+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0315】
・(d1−3)成分
・アニオン部
式(d1−3)中、R
5は有機基である。
R
5の有機基は特に限定されるものではないが、アルキル基、アルコキシ基、−O−C(=O)−C(R
C2)=CH
2(R
C2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である)、または−O−C(=O)−R
C3(R
C3は炭化水素基である)である。
R
5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。R
2のアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
R
5のアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
【0316】
R
5が−O−C(=O)−C(R
C2)=CH
2である場合、R
C2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
R
C2における炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
R
C2におけるハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
R
C2としては、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
【0317】
R
5が−O−C(=O)−R
C3である場合、R
C3は炭化水素基である。
R
C3の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族炭化水素基であってもよい。R
C3の炭化水素基として具体的には、前記式(d1−1)中のR
4と同様のものが挙げられる。
なかでも、R
C3の炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。R
C3が脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することによりリソグラフィー特性が良好となる。また、R
C3が芳香族基である場合、EUV等を露光光源とするリソグラフィーにおいて、該レジスト組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
【0318】
なかでも、R
5としては、−O−C(=O)−C(R
C2’)=CH
2(R
C2’は水素原子又はメチル基である。)、又は、−O−C(=O)−R
C3’(R
C3’は脂肪族環式基である。)であることが好ましい。
【0319】
式(d1−3)中、Y
5は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基である。
Y
5の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基としては、上記式(a1−0−2)中のY
22の2価の連結基のうち、「直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基」、「環状の脂肪族炭化水素基」、「芳香族炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
なかでも、Y
5としては、アルキレン基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
【0320】
式(d1−3)中、Rf
3はフッ素原子を含む炭化水素基である。
Rf
3のフッ素原子を含む炭化水素基は、フッ素化アルキル基であることが好ましく、上記R
4のフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
以下に(d1−3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
【0323】
・カチオン部
式(d1−3)中、M
+は、前記式(d1−1)中のM
+と同様である。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0324】
(D1)成分は、上記(d1−1)〜(d1−3)成分のいずれか1種のみを含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。なかでも、(d1−2)成分を含有することが特に好ましい。
(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜8.0質量部であることがより好ましく、1.0〜8.0質量部であることがさらに好ましく、2.5〜5.5質量部であることが特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
【0325】
((d1−1)〜(d1−3)成分の製造方法)
(d1−1)成分、(d1−2)成分の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法により製造することができる。
(d1−3)成分の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、前記式(d1−3)中のR
5が、Y
5と結合する末端に酸素原子を有する基である場合、下記一般式(i−1)で表される化合物(i−1)と、下記一般式(i−2)で表される化合物(i−2)とを反応させることにより、下記一般式(i−3)で表される化合物(i−3)を得、化合物(i−3)と、所望のカチオンM
+を有するZ
−M
+(i−4)とを反応させることにより、一般式(d1−3)で表される化合物(d1−3)が製造される。
【0326】
【化90】
[式中、R
5、Y
5、Rf
3、M
+は、それぞれ、前記一般式(d1−3)中のR
5、Y
5、Rf
3、M
+と同じである。R
5aはR
5から末端の酸素原子を除いた基であり、Z
−は対アニオンである。]
【0327】
まず、化合物(i−1)と化合物(i−2)とを反応させ、化合物(i−3)を得る。
式(i−1)中、R
5aは前記R
5から末端の酸素原子を除いた基である。式(i−2)中、Y
5、Rf
3は前記同様である。
化合物(i−1)、化合物(i−2)としては、それぞれ、市販のものを用いてもよく、合成してもよい。
化合物(i−1)と化合物(i−2)とを反応させ、化合物(i−3)を得る方法としては、特に限定されないが、たとえば、適当な酸触媒の存在下で、化合物(i−2)と化合物(i−1)とを有機溶媒中で反応させた後に、反応混合物を洗浄、回収することにより、実施できる。
【0328】
上記反応における酸触媒は、特に限定されるものではなく、例えばトルエンスルホン酸等が挙げられ、その使用量は化合物(i−2)1モルに対して0.05〜5モル程度が好ましい。
上記反応における有機溶媒としては、原料である化合物(i−1)及び化合物(i−2)を溶解できるものであればよく、具体的には、トルエン等が挙げられ、その使用量は、化合物(i−1)に対して、0.5〜100質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
上記反応における化合物(i−2)の使用量は、通常、化合物(i−1)1モルに対して0.5〜5モル程度が好ましく、0.8〜4モル程度がより好ましい。
【0329】
上記反応における反応時間は、化合物(i−1)と化合物(i−2)との反応性や、反応温度等によっても異なるが、通常、1〜80時間が好ましく、3〜60時間がより好ましい。
上記反応における反応温度は、20℃〜200℃が好ましく、20℃〜150℃程度がより好ましい。
【0330】
次いで、得られた化合物(i−3)と、化合物(i−4)とを反応させ、化合物(d1−3)を得る。
式(i−4)中、M
+は前記同様であり、Z
−は対アニオンである。
化合物(i−3)と化合物(i−4)とを反応させ、化合物(d1−3)を得る方法としては、特に限定されないが、たとえば、適当なアルカリ金属水酸化物の存在下で、化合物(i−3)を適当な有機溶媒及び水に溶解し、化合物(i−4)を添加して攪拌により反応させることにより実施できる。
【0331】
上記反応におけるアルカリ金属水酸化物は、特に限定されるものではなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、その使用量は化合物(i−3)1モルに対して0.3〜3モル程度が好ましい。
上記反応における有機溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル等の溶媒が挙げられ、その使用量は、化合物(i−3)に対して、0.5〜100質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
上記反応における化合物(i−4)の使用量は、通常、化合物(i−3)1モルに対して0.5〜5モル程度が好ましく、0.8〜4モル程度がより好ましい。
【0332】
上記反応における反応時間は、化合物(i−3)と化合物(i−4)との反応性や、反応温度等によっても異なるが、通常、1〜80時間が好ましく、3〜60時間がより好ましい。
上記反応における反応温度は、20℃〜200℃が好ましく、20℃〜150℃程度がより好ましい。
反応終了後、反応液中の化合物(d1−3)を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、またはこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0333】
上記のようにして得られる化合物(d1−3)の構造は、
1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、
13C−NMRスペクトル法、
19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
【0334】
((D2)成分)
(D2)成分としては、前記(A)成分または(B)成分に対して相対的に塩基性となる化合物であり、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(A)成分や(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであり、且つ(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。たとえば脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミンが挙げられ、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNH
3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)、環式アミン、その他の脂肪族アミン等が挙げられる。
【0335】
前記アルキルアミンが有するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は2〜20であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
該アルキル基が環状である場合(シクロアルキル基である場合)、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であってもよく、多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記アルキルアルコールアミンが有するヒドロキシアルキル基におけるアルキル基としては、前記アルキルアミンが有するアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0336】
前記アルキルアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;が挙げられる。
前記アルキルアルコールアミンの具体例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
【0337】
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0338】
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられる。
【0339】
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
【0340】
(D2)成分はいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
【0341】
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、0.3〜12質量部であることがより好ましく、0.5〜12質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、ラフネス等のリソグラフィー特性がより向上する。また、より良好なレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
【0342】
[(E)成分]
本発明のレジスト組成物は、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有してもよい。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸、ホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
【0343】
本発明のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0344】
[(S)成分]
本発明のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0345】
上記本発明のレジスト組成物は、ラフネス、露光余裕度等のリソグラフィー特性に優れたものとなる。
一般的な光リソグラフィー用フォトレジスト組成物では、露光光源から照射された入射電子により、酸発生能を有する成分(例えば本発明のレジスト組成物における(A1’)成分や(B)成分)が酸を発生する。しかしながら、EBあるいはEUVリソグラフィーにおいては照射された入射電子あるいは光子の多くは、レジスト組成物に占める割合が高い基材成分に衝突するため、実際は、基材成分中の原子が有する電子に入射電子がエネルギーを与え、該エネルギーを受け取った電子が2次電子として飛び出し、該2次電子により、酸発生能を有する成分が分解し、酸を発生する。
本発明のレジスト組成物では、構成単位(a0−1)が、EBあるいはEUV光を効果的に吸収する芳香環を有することにより、2次電子の発生効率が向上し、EUV、EBリソグラフィーにおいても良好な感度を得ることができ、リソグラフィー特性に優れると考えられる。
【0346】
さらに、本発明の構成単位(a0−1)は、極性基である−SO
2−を含む環式基を有することにより、形成されるレジスト膜の基板密着性が高まる。加えて、本発明のレジスト組成物が(B)成分を含有する場合であれば、該構成単位(a0−1)は該(B)成分との相互作用が大きいため、(B)成分のレジスト膜内分布が均一化されやすく、リソグラフィー特性が向上すると考えられる。
【0347】
≪レジストパターン形成方法≫
本発明の第二の態様のレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下のようにして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に前記本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。
現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)用いて行う。
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、レジストパターンを得ることができる。
【0348】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
【0349】
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F
2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性が高い。
【0350】
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C
3HCl
2F
5、C
4F
9OCH
3、C
4F
9OC
2H
5、C
5H
3F
7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
【0351】
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤のなかから適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
現像処理は、公知の現像方法におり実施でき、該方法としてはたとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0352】
溶剤現像プロセスで現像処理後のリンス処理に用いるリンス液が含有する有機溶剤としては、たとえば前記有機系現像液が含有する有機溶剤として挙げた有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用できる。通常、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を使用する。これらのなかでも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該方法としては、たとえば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【0353】
≪高分子化合物≫
本発明の第三の態様の高分子化合物は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0−1)を有する。本発明の高分子化合物についての説明は、前記本発明のレジスト組成物の(A1)成分についての説明と同じである。
【0354】
【化91】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Z
0は芳香
族炭化水素基を含有する2価の連結基であり、A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、aは0〜2の整数であり、R
1はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R”は水素原子又はアルキル基である。]
【0355】
≪化合物≫
本発明の第四の態様の化合物は、下記一般式(I−0)で表されるものである。
【0356】
【化92】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Z
0は芳香
族炭化水素基を含有する2価の連結基であり、A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、aは0〜2の整数であり、R
1はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、R”は水素原子又はアルキル基である。]
【0357】
式(I−0)中、R、Z
0、A’、R
1、aは、それぞれ式(a0−1)中のR、Z
0、A’、R
1、aと同じである。
【0358】
本発明の化合物の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用して製造することができる。例えば、化合物(I−0)が式(I−0)中のZ
0の末端に水酸基(−OH)を有する場合であれば、化合物(I−0)は、たとえば以下の方法により製造することが好ましい。
【0359】
下記一般式(X−1)で表される化合物(X−1)と、下記一般式(X−2)で表される化合物(X−2)とを反応させることにより化合物(I−0)を製造できる。
【0360】
【化93】
[式中、R、Z
0、R
1、A’はそれぞれ上記一般式(a0−1)中のR、Z
0、R
1、A’と同様である。Z
01はZ
0から末端の水酸基を除いた基である。]
【0361】
化合物(X−1)と化合物(X−2)とは、たとえば、これらの化合物を、縮合剤や塩基の存在下で、有機溶媒中で反応させた後、反応混合物を洗浄して回収する方法などが挙げられる。
上記反応における縮合剤は、例えばジイソプロピルカルボジイミド等のカルボジイミド基を含む化合物が挙げられ、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。縮合剤の使用量は、化合物(X−2)1モルに対して0.01〜10モル程度が好ましい。
上記反応における塩基は、炭酸カリウム、トリエチルアミン等の脂肪族アミン、ピリジン等の芳香族系アミンやこれらアミンの塩等が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。塩基の使用量は、通常、化合物(X−2)1モルに対して0.01〜10モル程度が好ましい。
上記反応における有機溶媒としては、ジクロロメタン等の塩素化炭化水素溶媒などが好ましい。有機溶媒の使用量は、化合物(X−2)に対して、0.5〜100質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
反応温度は、−20〜70℃程度が好ましく、0〜60℃程度がより好ましい。反応時間は、化合物(X−1)と化合物(X−2)との反応性や反応温度等によっても異なるが、通常、1〜20時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。
上記反応における化合物(X−1)の使用量は、通常、化合物(X−2)1モルに対して、1〜2モル程度が好ましい。
【0362】
反応終了後、反応液中の化合物(I−0)の単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のようにして製造される本発明の(A1)成分の構造は、
1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、
13C−NMRスペクトル法、
19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
【0363】
本発明の化合物は、従来知られていない新規なものである。
また、本発明の化合物は、上記本発明の第三の態様の高分子化合物を構成する構成単位(a0−1)を提供するモノマーである。
【実施例】
【0364】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本実施例では、化学式中に(1)と表示される化合物を「化合物(1)」と記載し、他の式で表される化合物についても同様に記載する。
なお、NMRによる分析において、
1H−NMRの内部標準および
13C−NMRの内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
19F−NMRの内部標準はヘキサフルオロベンゼンである(但し、ヘキサフルオロベンゼンのピークを−160ppmとした)。
【0365】
[モノマー合成例1:化合物(1)の合成]
窒素雰囲気下、ビニル安息香酸(22.2g),ジクロロメタン(222g)を添加し5℃に冷却した。そこへ4−N,N−ジメチルアミノピリジン(3.7g)を添加し同温度で10分攪拌した後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(43.1g)をゆっくりと加え30分間攪拌した。
その溶液へ化合物(A)(19.0g)のジクロロメタン溶液を滴下し5℃にて15時間反応を行った後、希塩酸洗、水洗を繰り返し、溶剤を減圧下で留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィにて精製することによって化合物(1)を16.3g得た。
得られた化合物はNMR測定を行い、以下の結果より構造を同定した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=8.04(2H),7.46(2H),6.90(1H),5.74(1H),5.29(2H),4.87(1H),3.96(1H),3.36(1H),3.05(2H),2.54(1H),1.77(1H),1.75(1H).
【0366】
【化94】
【0367】
[モノマー合成例2:化合物(2)の合成]
化合物(A)を化合物(B)に変更した以外は上記モノマー合成例1と同様にして化合物(2)を合成した。
得られた化合物はNMR測定を行い、以下の結果より構造を同定した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=8.01(2H),7.48(2H),6.93(1H),5.75(1H),5.62(1H),5.28(1H),4.81−5.11(3H),4.15(1H),2.91(1H),2.52(1H).
【0368】
【化95】
【0369】
[モノマー合成例3:化合物(3)の合成]
使用した原料を変更した以外は上記モノマー合成例1と同様にして化合物(3)を合成した。
得られた化合物はNMR測定を行い、以下の結果より構造を同定した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=8.15(2H),7.25(2H),6.32(1H),5.72(1H),5.27(1H),4.87(1H),3.96(1H),3.36(2H),3.05(1H),2.54(1H),2.02(4H),1.76(1H).
【0370】
【化96】
【0371】
[モノマー合成例4:化合物(4)の合成]
反応容器に化合物(C)(2.9g),アセトン(43.6g)を仕込み完全に溶解させた。そこへヨウ化ナトリウム(1.98g)を添加し、引き続き炭酸ナトリウム(5.30g)を加えた溶液へ4−安息香酸メタクリレート(2.06g)のアセトン溶液を滴下した。その後、還流条件下にて24時間反応を行った後、反応液を室温まで冷却してから系内の無機塩を濾過により除去した。濾液を回収し、減圧下で溶媒留去した後ジクロロメタン(21.8g)を添加し、中性になるまで水洗を繰り返し、溶剤を減圧下で留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィにて精製することによって化合物(4)を2.35g得た。
得られた化合物はNMR測定を行い、以下の結果より構造を同定した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=8.15(2H),7.25(2H),6.32(1H),5.72(1H),5.27(1H),4.87(1H),3.96(1H),3.36(2H),3.05(1H),2.54(1H),2.02(4H),1.76(1H).
【0372】
【化97】
【0373】
[モノマー合成例5:化合物(5)の合成]
使用した原料を変更した以外は上記モノマー合成例4と同様にして化合物(5)を合成した。
得られた化合物はNMR測定を行い、以下の結果より構造を同定した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=8.06(2H),7.44(2H),6.90(1H),5.74(1H),5.47(1H),5.21(2H),4.73−4.95(3H),4.09(1H),2.78(1H),2.40(1H),1.50(3H).
【0374】
【化98】
【0375】
[モノマー合成例6:化合物(6)の合成]
使用した原料を変更した以外は上記モノマー合成例1と同様にして化合物(6)を合成した。
得られた化合物はNMR測定を行い、以下の結果より構造を同定した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=7.90(2H),7.73(2H),6.03(1H),5.89(1H),5.63(1H),5.50(1H),4.81−5.07(3H),4.15(1H),2.91(1H),2.47(1H),2.04(3H).
【0376】
【化99】
【0377】
[モノマー合成例7:化合物(7)の合成]
使用した原料を変更した以外は上記モノマー合成例4と同様にして化合物(7)を合成した。
得られた化合物はNMR測定を行い、以下の結果より構造を同定した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=7.80(2H),7.54(1H),7.46(1H),7.24(1H),7.19(1H),6.79(1H),5.52(1H),5.03(1H),4.91(1H),4.70(1H),4.45(2H),3.96(1H),3.45(2H),2.92(1H),2.48(1H),2.05(1H),1.71(1H).
【0378】
【化100】
【0379】
[ポリマー合成例1:高分子化合物(1)の合成]
温度計、還流管、攪拌機、N2導入管を繋いだフラスコに、窒素雰囲気下で、ガンマブチロラクトン(GBL)13.2g入れ、攪拌しながら内温を85℃に上げた。5.06g(15.8mmol)の化合物(1)、4.6g(19.5mmol)の化合物(8)、1.9g(8.2mmol)の化合物(20)を、79.6gのガンマブチロラクトン(GBL)に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてV−601を0.72g(3.13mmol)を添加し溶解させた。この混合溶液を一定速度で4時間かけてフラスコ中に滴下し、その後1時間加熱攪拌し、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を大量のメタノール/水混合溶液に滴下して重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、メタノール/水混合溶液にて洗浄した後、減圧乾燥を経て目的物である高分子化合物(1)を8.1g得た。
この高分子化合物についてGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は6,900であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.73であった。
また、13C−NMRにより求められた共重合体の組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=40/40/20であった。
【0380】
【化101】
【0381】
[ポリマー合成例2〜45:高分子化合物2〜45の合成]
高分子化合物2〜45は、各高分子化合物を構成する構成単位を誘導する上記化合物(1)〜(5)及び下記化合物(8)〜(26)を用い、上記ポリマー合成例1と同様にして合成した。
得られた高分子化合物について、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)及び分子量分散度(Mw/Mn)をそれぞれ表1〜4に示した。
【0382】
【化102】
【0383】
【化103】
【0384】
【表1】
【0385】
【表2】
【0386】
【表3】
【0387】
【表4】
【0388】
<レジスト組成物の調製>
[実施例1〜27、比較例1〜24]
表5〜8に示す各成分を混合して溶解することによりレジスト組成物を調製した。
【0389】
【表5】
【0390】
【表6】
【0391】
【表7】
【0392】
【表8】
【0393】
表5〜8中、(A)成分〜(S)成分の[ ]内の数値は配合量(質量部)である。また、各略号はそれぞれ以下のものを示す。
(A)−1〜(A)−45:前記高分子化合物(1)〜高分子化合物(45)。
(B)−1:下記化学式(B)−1で表される酸発生剤。
(B)−2:下記化学式(B)−2で表される酸発生剤。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(D)−2:下記化学式(D)−2で表される塩基性化合物。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S2)−2:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
【0394】
【化104】
【0395】
[レジストパターンの形成][感度]
各例のポジ型レジスト組成物を、90℃にて36秒間のヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、表9〜10に示す温度にて60秒間のベーク処理(PAB)を行ってレジスト膜(膜厚60nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて描画を行った。その後、表9〜10に示す温度にて60秒間のベーク処理(PEB)を行い、さらに23℃にてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業(株)製)を用いて60秒間の現像を行った後、純水にて15秒間リンスして、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても前記レジスト膜に、スペース幅100nm、ピッチ200nmの1:1スペーススペースアンドライン(SL)パターンが形成された。このときの最適露光量Eop(μC/cm
2)、つまり感度を求めた。結果を表9〜10に示す。
【0396】
[ラインワイズラフネス(LWR)評価]
前記最適露光量Eopにおいて形成されたスペース幅100nmの1:1SLパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧300V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により、スペース幅を、スペースの長手方向に400箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を求め、400箇所の3sについて平均化した値を、LWRを示す尺度として算出した。その結果を表9〜10に示す。
この3sの値が小さいほど、その線幅のラフネスが小さく、より均一幅のSLパターンが得られたことを意味する。
【0397】
[露光余裕度(ELマージン)評価]
上記Eopで、SLパターンのスペースがターゲット寸法(スペース幅100nm)の±5%(95nm〜105nm)の範囲内で形成される際の露光量を求め、次式によりELマージン(単位:%)を求めた。その結果を表9〜10に示す。
ELマージン(%)=(|E1−E2|/EOP)×100
E1:スペース幅95nmのS/Lパターンが形成された際の露光量(μC/cm
2)
E2:スペース幅105nmのS/Lパターンが形成された際の露光量(μC/cm
2)
なお、ELマージンは、その値が大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さいことを示す。
【0398】
【表9】
【0399】
【表10】
【0400】
上記結果から、本発明に係る実施例1〜27のレジスト組成物は、比較例1〜24のレジスト組成物に比べて、ラフネス、露光余裕度等のリソグラフィー特性に優れることが確認できた。