【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人情報通信研究機構、「高度通信・放送研究開発委託研究/革新的光通信インフラの研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
植村仁、竹永勝宏、小里貞二郎、松尾昌一郎、齊藤晋聖、小柴正則,溶融延伸型マルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイス,2013年電子情報通信学会総合大会講演論文集,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2013年 3月 5日,通信2,pp. 342
【文献】
増本浩平、植松卓威、齊藤晋聖、小柴正則、竹永勝宏、松尾昌一郎,融着延伸マルチコアファイバカプラのMFDに関する検討,2013年電子情報通信学会総合大会講演論文集,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2013年 3月 5日,通信2,pp. 480
【文献】
Hitoshi Uemura, Katsushiro Take naga, Teijiro Ori, Shoichiro Matsuo, Kunimasa Saitoh, and Masanori Koshiba,Fused Taper Type Fan-in/Fan-out Device for Multicore EDF,OptoElectronics and Communications Conference held jointly with 2013 International Conference on Photonics in Switching (OECC/PS), 2013 18th,2013年 6月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年の伝送容量の急激な増大、および光ファイバ1本あたりの伝送容量限界に対応するため、マルチコアファイバの研究が行われている。
マルチコアファイバの実用化のためには、マルチコアファイバの各コアと外部光ファイバとを接続するための入出力デバイスとして、ファンイン/ファンアウトデバイスが必要となる。
【0003】
図11は、ファンイン/ファンアウトデバイスの一例を用いた入出力装置を示すもので、ここに示す入出力装置は、マルチコアファイバ1と、マルチコアファイバ1の両端部にそれぞれ接続されたファンイン/ファンアウトデバイス20、20と、デバイス20、20に接続された外部光ファイバ3、3とを備えている。
【0004】
デバイス20は、複数のシングルコアファイバ22と、これらを保持する保持部8とを有する。
シングルコアファイバ22は、太径部24と、太径部24から延出する延伸部27とを有する。
延伸部27は、太径部24から縮径しつつ延出する縮径部25と、縮径部25から延出する細径部26とを有する。縮径部25では、延出方向にコア径は小さくなる。
延伸部27は、シングルコアファイバ22の一部を加熱し、溶融延伸することで形成することができる。
【0005】
太径部24は、接続点C1において外部光ファイバ3に接続されている。細径部26は、接続点C2においてマルチコアファイバ1の各コアに接続されている。
デバイス20は、外部光ファイバ3から、シングルコアファイバ22を介して、光をマルチコアファイバ1のコアに入射させるか、または、マルチコアファイバ1のコアから、シングルコアファイバ22を介して、光を外部光ファイバ3に入射させることができる。
【0006】
シングルコアファイバ22は、コア径が小さくなると光の閉じ込めが弱くなり、モードフィールド径は大きくなる。そのため、マルチコアファイバ1とデバイス20との接続点でモードフィールド径の不整合が生じ、接続損失が増加しやすい。
【0007】
この課題に対する解決策として、コアを2重構造とすることが提案されている(非特許文献1を参照)。
2重構造のコアを用いたデバイスを、
図11に加えて、
図12〜
図13(b)を参照して説明する。
図12は、デバイス20のシングルコアファイバ22の構造を示す模式図である。
図13(a)は、延伸されていないシングルコアファイバの屈折率分布と光の電磁界分布を模式的に示す図であり、
図13(b)は、延伸されたシングルコアファイバの屈折率分布と光の電磁界分布を模式的に示す図である。
【0008】
図11および
図12示すように、デバイス20は、2重構造のコア22aと、その周囲を覆うクラッド22bとを有するシングルコアファイバ22を備えている。コア22aは、高屈折率の中央部22a1と、その周囲を覆う低屈折率の外周部22a2とからなる。
【0009】
図13(a)に示すように、延伸されていないシングルコアファイバ22では、中央部22a1の径が大きいため、中央部22a1に強く局在するモードが存在する。
一方、
図13(b)に示すように、延伸されたシングルコアファイバ22では、中央部22a1が細径化するため中央部22a1を伝播するモードは存在しないが、中央部22a1に収まらない光も外周部22a2内に存在するモードとして伝播する。このため、この構造のデバイスは、延伸後のモードフィールド径の変化を小さくする設計がしやすい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は 本発明のマルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイス(以下、単にデバイスということがある)の一実施形態を用いた入出力装置を示すものである。
ここに示す入出力装置は、マルチコアファイバ1と、マルチコアファイバ1の両端部1cにそれぞれ接続されたデバイス10、10と、デバイス10、10に接続された外部光ファイバ3、3とを備えている。
デバイス10は、マルチコアファイバ1と外部光ファイバ3、3とを中継接続している。外部光ファイバ3は、デバイス10の外部接続先である。
【0016】
図1および
図2に示すように、デバイス10は、複数のシングルコアファイバ2と、これらを束ねた状態で保持する保持部8とを有する。
図3に示すように、シングルコアファイバ2は、コア2aとコア2aの周囲を覆うクラッド2bとを有する。クラッド2bはコア2aに比べて屈折率が低い。
【0017】
図1および
図2に示すように、シングルコアファイバ2は、一端側部分である太径部4と、太径部4から長さ方向に延出する他端側部分である延伸部7とを有する。
太径部4は、延伸されていない部分であって、その外径は長さ方向に一定である。
太径部4の端部4aは、それぞれ外部光ファイバ3の端部3aに、接続点C1にて接続される。太径部4は、外部光ファイバ3と融着接続してもよい。図示例では、7本のシングルコアファイバ2の太径部4は、それぞれ7本の外部光ファイバ3に接続されている。
【0018】
延伸部7は、太径部4から長さ方向に縮径しつつ延出する縮径部5と、縮径部5から延出する細径部6とを有する。
縮径部5では、延出方向にコア径は徐々に小さくなる。
縮径部5におけるシングルコアファイバ2の最小外径と最大外径との比率(最小外径/最大外径)は、例えば1/1.5〜1/2.5としてよい。縮径部5の最大外径は太径部4の外径と同じとしてよい。
【0019】
細径部6は、縮径部5の延出方向の端部5aから、さらに同方向に延出して形成された一定径の部分である。
細径部6の延出方向の端部6aは、接続点C2において、マルチコアファイバ1のコア1a(
図4参照)に接続される。細径部6は、マルチコアファイバ1と融着接続してもよい。
図示例では、7本のシングルコアファイバ2の細径部6は、それぞれマルチコアファイバ1の7つのコア1aに接続されている。細径部6の外径は縮径部5の最小外径と同じとしてよい。
【0020】
なお、図示例のデバイス10のシングルコアファイバ2は、太径部4と延伸部7とを有し、延伸部7は縮径部5と細径部6とを有する構造であるが、本発明のデバイスは、太径部4と細径部6のうち一方または両方を省いた構造も可能である。細径部6がない場合には、延伸部7は縮径部5のみからなる。
【0021】
延伸部7は、溶融延伸によって形成されるため、「延伸側部分」(または単に「延伸側」)と呼ぶことがある。太径部4については「非延伸側部分」(または単に「非延伸側」)と呼ぶことがある。
【0022】
図2に示すように、保持部8は、複数のシングルコアファイバ2を略束ねた状態で保持するものであって、ガラスなどからなる。
保持部8は、シングルコアファイバ2の長さ方向の一部または全部に設けられている。保持部8は、太径部8aと、太径部8aから延出する延伸部8dとを有する。延伸部8dは、太径部8aから長さ方向に縮径しつつ延出する縮径部8bと、縮径部8bから延出する細径部8cとを有する。
太径部8aは、シングルコアファイバ2の太径部4の一部に形成することができる。縮径部8b、細径部8cは、それぞれシングルコアファイバ2の縮径部5、細径部6に相当する位置に形成される。
【0023】
図5(a)は、延伸されていないシングルコアファイバの屈折率分布と光の電磁界分布を模式的に示す図であり、
図5(b)は、延伸されたシングルコアファイバの屈折率分布と光の電磁界分布を模式的に示す図である。なお、屈折率分布は、光ファイバの光軸に対して垂直な面における屈折率分布であることが好ましい。
【0024】
図5(a)および
図5(b)に示すように、シングルコアファイバ2には、単峰型の屈折率分布を有するものが使用される。これらの図では、横軸はシングルコアファイバ2の径方向の距離であり、縦軸は屈折率である。
コア2aに相当する中央領域における屈折率は、クラッド2bの屈折率より高く、単一のピークP1を形成する。図示例ではコア2aの屈折率はコア2aの全域にわたり一定値であるため、ピークP1は矩形(または略矩形)である。
なお、単峰型の屈折率分布とは、屈折率が単一のピークを有する分布をいう。
【0025】
単峰型の屈折率分布を有するシングルコアファイバ2では、2重構造のコアを有するデバイス20のシングルコアファイバ22(
図12参照)とは異なり、コア2a内に存在するモードは変化しないので、モードの移動に起因するモードフィールド径の変化が起こらず、近接する他のシングルコアファイバ2との間の電磁界の重なりが小さい。このため、クロストークを低減できる。
【0026】
単峰型の屈折率分布を有するシングルコアファイバ2には、延伸後のモードフィールド径が拡大しやすいという問題があるが、本願発明者の検討により、単峰型の屈折率分布を有するシングルコアファイバ2を用いる場合でも、クラッド2bに対するコア2aの比屈折率差Δを大きくすれば、延伸部7におけるモードフィールド径の広がりを抑制できることが明らかになった。
【0027】
図6は、延伸によるコア径の変化率(延伸後のコア径/延伸前のコア径)と、モードフィールド径の変化率(MFD変化率)との関係を示す図である。
この図に示すように、クラッド2bに対するコア2aの比屈折率差Δが0.9の場合には、比屈折率差Δが0.35の場合に比べて、コア径が変化した時のモードフィールド径の変化率が小さくなる。
このことから、比屈折率差Δを大きくすれば、延伸部7のモードフィールド径の広がりを抑制できることがわかる。
すなわち、比屈折率差Δを大きくすることによって、延伸部7の端部6aのモードフィールド径とマルチコアファイバ1のモードフィールド径との差を小さくでき、デバイス10とマルチコアファイバ1との間の接続損失を低減できる。また、モードフィールド径を小さくできるため、近接する他のコアとの電磁界の重なりを小さくでき、クロストークを低減できる。
【0028】
クラッド2bに対するコア2aの比屈折率差Δは、0.8%以上(好ましくは0.9%以上)とされる。
比屈折率差Δをこの範囲とすることによって、クロストーク特性が良好であり、かつ延伸部7でのモードフィールド径の拡大を抑制できるデバイス10が得られる。
【0029】
クラッド2bに対するコア2aの比屈折率差Δは、大きくし過ぎると、非延伸側(太径部4の端部4a)のモードフィールド径が小さくなり外部光ファイバ3との接続損失が増大する、カットオフ波長が長波長側にシフトするため波長1550nmでマルチモードが励起される、などの問題が生じるおそれがある。
このため、コア2aの比屈折率差Δは、所定の値以下とすることが好ましい。この比屈折率差Δは、例えば1.1%以下(好ましくは1.0以下)とすることができる。
比屈折率差Δをこの範囲とすることによって、非延伸側での接続損失を抑制できるため、延伸側で接続損失が生じたとしても、全体としては接続損失を低減できる。また、カットオフ波長を1550nm以下とすることができる。
【0030】
デバイス10の延伸側(延伸部7の端部6a)のモードフィールド径は、接続相手であるマルチコアファイバ1の端部1cのモードフィールド径と同じとする必要はなく、デバイス10の延伸側の接続損失と非延伸側の接続損失との合計(合計接続損失)を小さくすることを指標として適宜設計することができる。
上述のように、クラッド2bに対するコア2aの比屈折率差Δは、大きくなれば、延伸側でモードフィールド径の広がりを抑制できる半面、非延伸側での接続損失が大きくなる。
このため、延伸側のモードフィールド径(延伸部7の端部6aのモードフィールド径)を、あえてマルチコアファイバ1のモードフィールド径より大きくすることによって、前述の合計接続損失を小さくすることができる。
また、デバイス10の延伸部7のモードフィールド径がマルチコアファイバ1のモードフィールド径より大きくなると、デバイス10とマルチコアファイバ1との間の位置ずれが生じても、接続損失の増加が起こりにくいという利点もある。
【0031】
延伸部7の端部6aのモードフィールド径は、10μm以下であることが好ましい。モードフィールド径をこの範囲とすることによって、接続相手であるマルチコアファイバ1のモードフィールド径との差を小さくし、接続損失を抑制できる。
【0032】
光ファイバのモードフィールド径は、コア径に応じて変化する。
図7は、シングルコアファイバ2のクラッドに対するコアの比屈折率差Δを0.9%としたときの、コアの半径とモードフィールド径との関係を示す図である。図中、MCFは、接続相手となるマルチコアファイバ1の端部のモードフィールド径である。
この図に示すように、コア半径を小さくしていくと、モードフィールド径はいったん徐々に小さくなり、コア半径をさらに小さくすると、逆に急激に大きくなる。
【0033】
非延伸側(太径部4の端部4a)のコア2aの半径(延伸前のコア2aの半径)は、例えば2.7〜3.2μmとすることができる。コア2aの半径をこの範囲とすることによって、モードフィールド径を適切な範囲とすることができるため、マルチコアファイバ1の端部1cとのモードフィールド径の差を小さくできる。
よって、前述の合計接続損失を小さくすることができる。また、カットオフ波長を1550nm以下とすることができる。
【0034】
図4に示すように、マルチコアファイバ1は、複数のコア1aとコア1aの周囲を覆う共通のクラッド1bとを有する。図示例のマルチコアファイバ1では、コア1aは7つあり、そのうち1つは中央に配置され、残りの6つは中央のコア1aを中心として同心円状に配置されている。
外部光ファイバ3は、シングルモード光ファイバが好ましい。
【0035】
デバイス10は、外部光ファイバ3から、シングルコアファイバ2を介して、光をマルチコアファイバ1のコア1aに入射させるか、または、マルチコアファイバ1のコア1aから、シングルコアファイバ2を介して、光を外部光ファイバ3に入射させることができる。光はシングルモードで伝播することが好ましい。
【0036】
次に、デバイス10を製造する方法の一例を説明する。
図10に示すように、複数の一定径のシングルコアファイバ2Aと、これを保持する円筒状の保持部8Aとからなる光ファイバユニット10Aを用意する。シングルコアファイバ2Aは、保持部8Aに軸方向に挿通している。保持部8Aはガラスなどからなる。
光ファイバユニット10Aの一端側部分11を残して他の部分12を加熱し溶融させ、この溶融部分12を、シングルコアファイバ2Aの長さ方向に延伸させる。
これによって、一端側部分11は太径部4となり、溶融部分12は延伸部7となり、
図2等に示すデバイス10を得る。
【0037】
デバイス10では、シングルコアファイバ2のクラッド2bに対するコア2aの比屈折率差が大きいため、シングルコアファイバ2の屈折率分布が単峰型であるにもかかわらず、延伸部7でのモードフィールド径の拡大を抑制でき、マルチコアファイバ1との間の接続損失を低減できる。
また、前記屈折率分布が単峰型であるため、コア2a内に存在するモードは変化しないので、モードの移動に起因するモードフィールド径の変化が起こらず、近接する他のシングルコアファイバ22との間の電磁界の重なりが小さい。このため、クロストークを低減できる。
さらに、上記の特性のシングルコアファイバ2を用いることで、延伸部7におけるモードフィールド径がマルチコアファイバ1のモードフィールド径より大きくなるため、延伸側(延伸部7の端部6a)で接続損失が生じることがあるが、非延伸側(太径部4の端部4a)での接続損失を抑制できることから、全体としては接続損失を低減できる。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
図1に示すデバイス10を有する入出力装置を作製した。
マルチコアファイバ1とデバイス10との間の接続損失を小さくするには、延伸側におけるモードフィールド径を、マルチコアファイバ1のモードフィールド径と同じとするようにシングルコアファイバ2の溶融延伸を行うことが、一般的には有効である。
しかし、デバイス10の非延伸側、延伸側の両方で、波長1550nmでシングルモード動作させるには、カットオフ波長に制限がある。そのため、モードフィールド径は自由には設定できない。
光ファイバのカットオフ波長λcは、コア半径r、コアの比屈折率差Δ、コアの屈折率nとすると、次の式(1)で求められる。
【0039】
【数1】
【0040】
図8は、シングルコアファイバ2のコア半径rと、コアの比屈折率差Δと、モードフィールド径(計算値)との関係を示す図である。
図中、「カットオフ波長」とは、式(1)で求められたカットオフ波長1550nmを示す。矢印で示すように、「カットオフ波長」の線(太い実線)より左下の領域は、カットオフ波長1550nm以下の領域である。
なお、延伸側におけるカットオフ波長は、式(1)においてコア半径rが小さくなるのと同様であり、非延伸側に比べて短くなる。
【0041】
入出力装置全体としての接続損失は、マルチコアファイバ1とデバイス10との間の接続損失(延伸側の接続損失)と、デバイス10と外部光ファイバ3との間の接続損失(非延伸側の接続損失)との合計に依存する。デバイス10の延伸側と非延伸側の接続損失の合計を合計接続損失という。
例として、コア半径rが3μmであるときの、クラッドに対するコアの比屈折率差Δと、合計接続損失との関係を
図9に示す。
【0042】
この図より、コア2aの比屈折率差Δが比較的小さい範囲では、比屈折率差Δの増加とともに延伸側での接続損失が小さくなって合計接続損失は小さくなるが、比屈折率差Δが比較的大きい範囲では、比屈折率差Δの増加とともに、非延伸側での接続損失が大きくなって合計接続損失が増大することがわかる。
この例では、コアの比屈折率差Δを0.9%としたときに合計接続損失が最小化できることがわかる。
【0043】
これらの結果に基づいて、コアの比屈折率差Δを0.9%とし、コア半径rを3.15μmとしたシングルコアファイバ2を作製し、このシングルコアファイバ2を用いてデバイス10を作製した。
マルチコアファイバ1のコア1aの数は7であり、デバイス10のシングルコアファイバ2の数も7である。
シングルコアファイバ2の最小外径と最大外径との比率(最小外径/最大外径)は、1/1.9とした。
外部光ファイバ3(シングルモードファイバ)、シングルコアファイバ2の非延伸側(太径部4の端部4a)、シングルコアファイバ2の延伸側(延伸部7の端部6a)、およびマルチコアファイバ1について、モードフィールド径(波長1550nm)の計算値を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1の結果を基にして、接続損失を計算したところ、デバイス10と外部光ファイバ3との間(
図1の接続点C1)で0.8dB、マルチコアファイバ1とデバイス10との間(
図1の接続点C2)で0.2dBの損失(モードフィールド径の不整合による損失)が発生すると予想された。
この結果より、このデバイス10では、延伸側におけるモードフィールド径がマルチコアファイバ1のモードフィールド径より大きいため、延伸側(接続点C2)で接続損失が生じるが、非延伸側(接続点C1)での接続損失を抑制できることにより、全体としては接続損失を低くできたことがわかる。
【0046】
デバイス10をマルチコアファイバ1の両端部にそれぞれ融着接続し、クロストークと挿入損失を評価した。結果を表2に示す。
表2には、各結果について、7つのシングルコアファイバ2のうち最も悪かった値を示した。
【0047】
【表2】
【0048】
(比較例1)
図11および
図12に示すデバイス20を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果を表2に併せて示す。
【0049】
表2より、実施例1では、比較例1に比べて、挿入損失を悪化させることなく、クロストークを低減できたことがわかる。
【0050】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、
図1に示す入出力装置では、デバイス10は、マルチコアファイバ1の両端部1c、1cにそれぞれ設けられているが、デバイス10は、マルチコアファイバ1の一方の端部1cにのみ設けられていてもよい。
また、
図1に示す入出力装置では、デバイス10の非延伸側は外部光ファイバ3に接続されるが、デバイス10の非延伸側の接続相手は、光ファイバに限らず、光部品、光機器等であってもよい。