【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、第1の手法(以下では「マスク波面最適化」MWOで表す)において、上述の効果を補償するために、上述の2つの部類の投影露光装置に対して波面操作の可能性を与えるか、又は既存の波面操作の可能性を使用することを提案する。これらの操作は、マスクの構造に関するアプリオリな情報、特に、マスクの構造方向、ピッチ、及び構造幅を考慮するこをと意図するものである。この場合、波面の操作は、補正目的に実施される他の波面操作に加えて実施されるものを意味すると理解される。
【0026】
一般的に投影露光装置には、装置の機能がその寿命にわたって維持されることを保証する操作可能性が備えられる。これは、例えば、対物系の光学要素への照明光の印加が、これらの光学要素の加熱及び劣化を招き、従って、これらの光学要素の光学特性の変化を招くことによる。一般的に光学特性のこの変化は、対物系の結像性能の劣化、従って、投影露光装置の劣化を招く。それによって特にプロセスウィンドウが縮小する。
【0027】
従って、対物系の光学要素のうちの一部には、投影光学系の他の光学要素に対するこれらの光学要素の相対位置か、又はこれらの光学要素の形状、屈折光学要素の場合はこれらの光学要素の屈折率かのいずれかを広域的又は局所的に変更することができる操作可能性が備えられる。
【0028】
一例として、EP 678768A2又はEP 1670041A1では、レンズが、その元の効果から逸脱する光学効果を提供するようにレンズの形状が変更されるか、又は熱の印加によってこのレンズの屈折率が変更される。WO 2008037496A2は、トルクを導入することにより、より高いラジアル次数を満たすレンズの形状変更を提供することが同様に可能であることを示している。ミラーの場合には、このミラーの照明光から外れた側に対する力の作用により、ミラーのほぼ任意の形状変更を提供することができる(例えば、US 20030234918A1参照)。US 20090257032A1及びWO 2009026970A1は、光学要素内で電流が印加される導体線路を用いて、光学要素、特に、石英ガラスから構成される平面板の温度、従って、屈折率、及び形状を局所的にもたらすマニピュレータを提供している。
【0029】
EP 851304A2は、予め定められた互いに対する空間的なゼロ位置では光学効果を呈さないが、互いに対する平行相対移動の場合に、予め計算された光学効果を提供する非球面化された平面板の対、いわゆるアルバレス板を提供している。更に、US 20030063268A1、及びUS 6191898B1は、光学要素が、マニピュレータによって光軸の方向又は光軸に対して直角に変位し、それによって投影光学系に属する追加の光学要素に対するこの相対移動による光学効果が確立されるようにする投影光学系内での光学要素の操作を開示している。最後に、WO 2007062794A1は、投影光学系が光軸を含む投影光学系の光学要素の操作を開示している。この場合、光学要素は、光軸方向の変位、光軸に対して垂直な2つの変位、及び光軸に対応しない軸の回りの2つの回転移動という5つの空間自由度で移動される。
【0030】
上述のマニピュレータのうちの1つが影響を及ぼす光学要素が、対物系の瞳平面に置かれる場合には、像視野の各視野点の波面に対するこのマニピュレータの効果は同一である。そうではない場合、すなわち、この光学要素が、対物系の瞳平面に置かれない場合には、波面に対するこの効果は、一般的に視野依存のものであり、すなわち、マニピュレータによって生じる波面変化は、着目している視野点に依存する。従って、そのような場合には、このマニピュレータを視野依存方式で作用するマニピュレータと記す。特に、対物系の瞳平面に配置されない光学要素に対して作用する上述のマニピュレータのうちの1つを使用すると、対物系の波面収差の視野依存性を補正することができる。
【0031】
本発明は、波面の操作に加えて、第2の手法(以下では「光源マスク波面最適化」SMWOで表す)において設定、すなわち、マスクを照明する照明光の特性を操作することを提案する。これらの操作もまた、マスクの構造に関するアプリオリな情報、特に、マスクの構造方向、ピッチ、及び構造幅を考慮することを意図するものである。この場合、設定操作は、照明系によって既に実施されている可能性がある照明光の設定に加えての変更として具現化されるものを意味すると理解される。
【0032】
投影露光装置の照明系は、環状設定(例えば、DE 102005034991A1参照)、二重極設定又は四重極設定、又はUS 20070165202A1、又は自由形状照明(例えば、WO 2009100856A1又は「Yasushi Mizuno他著「光源マスクの最適化のための照明光学系(Illumination Optics for Source−Mask Optimization)」、SPIE会報7640、754011(2010年)」参照)を可能にする操作可能性を備えることができる。
【0033】
本発明は、波面及び設定の操作に加えて、第3の手法(以下では「光源マスク偏光波面最適化」SMPWOで表す)において、更に照明光の偏光を操作することを提案する。これらの操作もまた、マスクの構造に関するアプリオリな情報、特に、マスクの構造方向、ピッチ、及び構造幅を考慮することを意図するものである。この場合、偏光操作は、照明によって与えられる可能性がある照明光の偏光に加えて実施されるものを意味すると理解される。
【0034】
投影露光装置の照明系は、照明光の偏光に影響を及ぼす操作可能性を備えることができる(例えば、DE 102009016A1又はWO 2009034109A2参照)。
【0035】
以下に続く本発明の構成は、本発明を限定するものと見なすべきではない。特に、これらの構成は、上述の2つの部類のいずれにも対応しない投影露光装置に適用することができる。この場合、精密マスク効果は、上記に詳細に解説した2つの部類の投影露光装置におけるものよりも有意ではないが、それでも同じく存在はする。更に、本発明は、上述の2つの部類の中間に位置する偏光照明を用いたEUV系にも適用される。
【0036】
以下に続く本発明の構成はMWOであり、これらの構成は、簡略化の目的で番号を振り、表記した考案(formulation)であることを理解すべきである。
【0037】
第1の考案。
−照明光でマスクを照明し、異なる照明設定を生成するための照明系と、
−対物系の物体平面に置かれたマスクを対物系の像平面に置かれたウェーハ上に結像するための対物系と、
を含み、
−対物系が、異なるマニピュレータ偏位を有するマニピュレータを含み、マニピュレータを用いて対物系の結像の波面を操作することができる、
マイクロリソグラフィのための投影露光装置を異なる構造方向に異なるピッチ及び/又は異なる構造幅を有する構造を有するマスクに適応させる方法であって、
−マスクの異なる構造方向にマスクの複数の異なるピッチ及び/又は構造幅を定義する段階と、
−照明系内で照明設定又は自由形状照明を設定する段階と、
−定義されたピッチ及び/又は定義された構造幅によって生じる波面収差を低減するマニピュレータ偏位のうちの1つを決定する段階と、
−マニピュレータを決定されたマニピュレータ偏位に偏位させる段階と、
を特徴とする方法。
【0038】
第1の考案による方法を使用することにより、対物系のマニピュレータは、例えば、対物系の光学要素の位置公差、面公差、又は材料公差により、又は対物系の光学要素の加熱によって生じ、従って、照明されるマスク上の構造とは基本的に独立した波面収差を補正するだけではないように偏位される。マニピュレータの偏位における重ね合わせ原理により、少なくともこの1つのマニピュレータについて、その偏位の一部は、精密マスク効果を補償するのに使用される。それによって投影露光装置は、マスク形式又はマスクの部類と整合される。ピッチ及び/又は構造幅の定義は、リソグラフィ工程に対して特に重要なものとして分類される構造に基づいて行われる。これらの構造は、特に小さい焦点深度DOFを有する構造若しくは集積回路の機能に対して特に重要な幾何学形状を有する構造とすることができ、又はこれらの2つの基準の組合せは、ピッチ及び/又は構造幅を定義するのに使用される。
【0039】
第2の考案。
−照明光でマスクを照明し、異なる照明設定を生成するための照明系と、
−対物系の物体平面に置かれたマスクを対物系の像平面に置かれたウェーハ上に結像するための対物系と、
を含み、
−対物系が、異なるマニピュレータ偏位を有するマニピュレータを含み、マニピュレータを用いて対物系の結像の波面を操作することができる、
マイクロリソグラフィのための投影露光装置を作動させる方法であって、
−異なる構造方向に異なるピッチ及び/又は異なる構造幅を有する構造を有するマスクを準備する段階と、
−マスクの異なる構造方向にマスクの複数の異なるピッチ及び/又は構造幅を定義する段階と、
−照明系内で照明設定又は自由形状照明を設定する段階と、
−定義されたピッチ及び/又は定義された構造幅によって生じる波面収差を低減するマニピュレータ偏位のうちの1つを決定する段階と、
−マニピュレータを決定されたマニピュレータ偏位に偏位させる段階と、
を特徴とする方法。
【0040】
第2の考案による方法を使用することにより、現在照明されるべきマスクとアプリオリに整合されていない投影露光装置は、第1の考案の場合と同様に現在照明されるべきマスクと整合される。
【0041】
第3の考案。
−照明光でマスクを照明し、異なる照明設定を生成するための照明系と、
−対物系の物体平面に置かれたマスクを対物系の像平面に置かれたウェーハ上に結像するための対物系と、
を含み、
−対物系が、異なるマニピュレータ偏位を有するマニピュレータを含み、マニピュレータを用いて対物系の結像の波面を操作することができる、
マイクロリソグラフィのための投影露光装置を異なる構造方向に異なるピッチ及び/又は異なる構造幅を有する構造を有するマスクに適応させる方法であって、
−マスクを準備する段階と、
−照明系内で照明設定又は自由形状照明を設定する段階と、
−マスクによって生じた波面収差を決定する段階と、
−決定された波面収差を低減するマニピュレータ偏位のうちの1つを決定する段階と、
−マニピュレータを決定されたマニピュレータ偏位に偏位させる段階と、
を特徴とする方法。
【0042】
第3の考案による方法は、このマニピュレータによって補償するように意図する波面収差を有する個々又は少数の重要なピッチ及び/又は構造幅を決定する段階を含まない。代替的に、マスクによって生じる波面収差全体が、このマニピュレータによって低減される。この場合、マスクによって生じる波面収差の特定は、理想的な対物系による仮定上の理想的な結像の下でのマスクの完全なシミュレーションによって実施される。この目的のために、そのようなシミュレーションを計算するのに使用することができる例えばBrionからのTachyon(登録商標)プラットフォームを使用することができる。
【0043】
第4の考案。
第1の考案又は第2の考案による方法であって、
−マスクの構造方向のうちの第1のものが定義され、
−第1の構造方向の異なるピッチのうちの2つの異なるピッチP1及びP2又は異なる構造幅のうちの2つの異なる構造幅S1及びS2が定義され、
−異なるピッチP1及びP2又は異なる構造幅S1及びS2の波面収差が決定され、
−ピッチP1又は構造幅S1の波面収差を低減する第1のマニピュレータ偏位M1が決定され、
−ピッチP1の波面収差とピッチP2の波面収差又は構造幅S1の波面収差と構造幅S2の波面収差とがそれぞれ異なる場合に、ピッチP2又は構造幅S2の波面収差を低減する第2のマニピュレータ偏位M2が決定され、P2に対するピッチP1の相対重み付けα∈[0,1]、又は構造幅S1とS2との相対重み付けα∈[0,1]が定義され、マニピュレータは、値αM1+(1−α)M2だけ偏位され、
−ピッチP1の波面収差とピッチP2の波面収差又は構造幅S1の波面収差と構造幅S2の波面収差とがそれぞれ異ならない場合には、マニピュレータは、値M1だけ偏位される、
ことを特徴とする方法。
【0044】
第4の考案による方法を使用することにより、ピッチ又は構造幅に依存して波面の補正が行われる。重み付けαを使用することにより、最終的に製造される集積回路の機能に対して重要なピッチ又は重要な構造幅の波面を可能な限り良好に補正することができる。波面の構造非依存補正と比較して、最終的にこの補正は、集積回路の製造においてより少ない不合格品しかもたらさない。
【0045】
第5の考案。
第1の考案又は第2の考案による方法であって、
−マスクの構造方向のうちの第1のものが定義され、
−マスクの構造方向のうちの第1のものとは異なる第2のものが定義され、
−マスクの第1、及び第2の構造方向に存在するピッチ又は構造幅が定義され、
−第1の構造方向、及び第2の構造方向におけるピッチ又は構造幅の波面収差が決定され、
−第1の構造方向のピッチ又は構造幅の波面収差を低減する第1のマニピュレータ偏位M1が決定され、
−第1の構造方向におけるピッチ又は構造幅の波面収差と第2の構造方向におけるピッチ又は構造幅の波面収差とが異なる場合に、第2の構造方向のピッチ又は構造幅の波面収差を低減する第2のマニピュレータ偏位M2が決定され、構造方向の相対重み付けα∈[0,1]が定義され、マニピュレータは、値αM1+(1−α)M2だけ偏位され、
−第1の構造方向におけるピッチ又は構造幅の波面収差と第2の構造方向におけるピッチ又は構造幅の波面収差とが異ならない場合に、マニピュレータは、値M1だけ偏位される、
ことを特徴とする方法。
【0046】
第5の考案による方法を使用することにより、構造方向に依存して波面の補正が行われる。重み付けを使用することにより、最終的に製造される集積回路の機能に対して重要な構造方向に波面を可能な限り良好に補正することができる。波面の構造方向非依存補正と比較すると、この補正は、集積回路の製造においてより少ない不合格品しかもたらさない。
【0047】
第6の考案。
第1の考案又は第2の考案による方法であって、
−マニピュレータが、対物系の瞳平面に配置され、
−マニピュレータが、δ∈[0,0.5]において瞳直径のδ倍まで空間分解方式で波面の位相に影響を及ぼすことができ、
−ピッチの第1のもの又は構造幅の第1のものが決定され、
−第1のピッチ又は第1の構造幅のn次の回折次数が決定され、
−ピッチの第2のもの又は構造幅の第2のものが決定され、
−第2のピッチ又は第2の構造幅のm次の回折次数が決定され、
−それにより、第1のピッチ又は第1の構造幅のn次の回折次数及び第2のピッチ又は第2の構造幅のm次の回折次数が、瞳直径の少なくともδ倍だけ互いから離間し、
−第1のピッチ又は第1の構造幅の波面収差及び第2のピッチ又は第2の構造幅の波面収差が決定され、
−第1のピッチ又は第1の構造幅のn次の回折次数の場所における第1のピッチ又は第1の構造幅の波面収差の位相誤差を低減し、瞳の他の場所において波面の位相を不変量に留める第1のマニピュレータ偏位M1が決定され、
−第2のピッチ又は第2の構造幅のm次の回折次数の場所における第2のピッチ又は第2の構造幅の波面収差の位相誤差を低減し、瞳の他の場所において波面の位相を不変量に留める第2のマニピュレータ偏位M2が決定されることと、
−マニピュレータの値M1+M2分の偏位と、
を特徴とする方法。
【0048】
この場合、マニピュレータを用いた波面の位相の瞳直径のδ倍までの空間分解能は、以下のことを意味すると理解されるように意図したものであり、すなわち、瞳直径が1である場合に、各場合に少なくとも距離δを有する瞳の2つの点における位相に対して、マニピュレータにより、これらの2つの点のうちの第1のものにおいてこれらの2つの点のうちの第2のものとは独立して影響を及ぼすことができることを意味するように意図したものである。瞳直径が1に等しくない場合には、相応に瞳直径に対するスケーリングが行われる。言い換えれば、マニピュレータは、波面の位相に対して局所的に作用し、他の場所における位相を不変量に留める。そのようなマニピュレータは、例えば、US 20090257032A1及びWO 2009026970A1に開示されている。この場合、不変性は、必ず100%の不変性を意味すると理解すべきではない。瞳のいずれかの望ましい場所において値φだけ波面の位相に影響を及ぼすことができ、この場合に瞳のいずれかの他の点において0.1・φを上回って、又は更に0.05・φを上回っては位相に影響を及ぼさない場合があるマニピュレータも、上述の意味の範囲で空間分解すると理解されるように意図したものである。そのようなマニピュレータは、例えば、WO 2008037496A2及びUS 20030234918A1に開示されている。
【0049】
第6の考案による方法は、異なるピッチ又は異なる構造幅の回折次数を対物系の瞳平面内で空間的に分離させることができることを利用する。一般的に固定的に選択された回折次数mは、1組の瞳の場所によって与えられる。従来照明σ=0では、この組は、1つの点の組であり、より高いσでは、より大きい半径を有する円が存在する。この場合、第1の回折次数と第2の回折次数の間の距離は、第1の回折次数からの第1の点と第2の回折次数からの第2の点の間の最短距離によって定義される。個々の回折次数の位置及び距離は、σ設定と構造幅とピッチと対物系とに依存し、従って、投影露光装置が始動される前に決定することができる。例えば、二重極照明又は四重極照明のような非従来設定では、回折次数が分離されるか否かということは、極に対する構造方向の相対的な向き、及びその長さに依存する。輪帯照明の場合には、一般的に第6の考案は使用されず、これは、この場合の回折次数が通例はもはや分離されないことによる。従って、この瞳平面又はいずれかの他の瞳平面に、それぞれのピッチ又は構造幅によって生じた波面の位相収差をそれぞれ固定的に選択された回折次数の領域内で互いから分離して補正することができるマニピュレータを設けることができる。これは、マニピュレータが、この目的に対して十分な空間分解能を伴って瞳の波面の補正を実施することができるということを仮定している。例えば、高い集積密度を必要とするフラッシュメモリの製造におけるリソグラフィ工程では、厳密に対物系の分解能限界の近くに置かれたピッチ又は構造幅が最も重要であるので、低次、特に、2次から4次の回折次数の収差のない干渉は極めて重要なものである。これは、第6の考案による方法によって保証される。
【0050】
第4の考案から第6の考案までの考案のうちの1つによる方法は、異なる構造方向の異なるピッチ又は構造幅を波面収差に関して調べて重み付けを実施することによって組合せ方式に実施することができる。一般的な手法では、方法は、対で異なるm個のピッチ、対で異なるn個の構造幅、l個の異なる構造方向から構成される有限の組に対して実施される。この場合、下式が定義される時に合計でl(m+n)個の波面収差及びa
1,...,a
l(m+n)の重みが決定される。
構造方向は、精密マスク効果に対して純粋に幾何学的にしか影響を及ぼさず、H及びV以外の構造方向の効果は、H及びVのものから解析的に導出することができるので、一般的にl=2で十分である。
【0051】
第7の考案。
−照明光でマスクを照明し、異なる照明系又は自由形状照明を可能にするための照明系と、
−対物系の物体平面に置かれたマスクを対物系の像平面に置かれたウェーハ上に結像するための対物系と、
を含み、
−対物系が、異なるマニピュレータ偏位を有するマニピュレータを含み、マニピュレータを用いて対物系の結像の波面を操作することができ、
−投影露光装置は、マニピュレータを制御するためのコントローラを含み、
−コントローラは、マニピュレータ偏位を1組の異なるピッチ及び/又は構造幅に割り当てる割り当てテーブルを格納するためのメモリを含む、
ことを特徴とするマイクロリソグラフィのための投影露光装置。
【0052】
第7の考案による投影露光装置は、第1の考案による方法に従って1つのマスク又はある部類のマスクのいずれかに適応させることができ、又は第2の考案による方法に従って作動させることができる。第1の考案による適合又は第2の考案による作動は、マスクの構造及びピッチに関する情報しか必要としないので、偏位させるべきマニピュレータ偏位も同様にこれらにしか依存しない。従って、マニピュレータ偏位に対するピッチ及び構造幅の割り当てをコントローラのメモリに格納される割り当てテーブル(同義語=ルックアップテーブル)の形態で格納することができる。
【0053】
以下に続く本発明の構成はSMWOであり、更にこれらの構成には、簡略化の目的で順次番号を振っていることを理解すべきである。
【0054】
第8の考案。
異なる構造方向に異なるピッチ及び/又は異なる構造幅を有する構造を有するマスクにマイクロリソグラフィのための投影露光装置を適応させるか又は投影露光装置を作動させる、第1の考案、第2の考案、第4の考案、又は第5の考案のいずれかによる方法であって、
−マニピュレータ偏位に加えて、照明設定の変化又は自由形状照明の変化が決定され、照明設定の変化又は自由形状照明の変化及びこのマニピュレータ偏位を用いたマニピュレータの偏位により、異なるピッチ及び/又は異なる構造幅によって生じる波面収差が、少なくとも考案1による方法におけるものと同じ程度まで低減される、
ことを特徴とする方法。
【0055】
第8の考案による方法を使用することにより、異なるピッチ及び/又は異なる構造幅によって生じる波面収差がマニピュレータを用いて低減されるばかりではなく、設定が、波面を補正するための自由度として付加的に使用される。その結果、少なくともそれ程悪くはなく、多くの場合に良好な波面補正を提供する。一例として、二重極設定の場合には、この補正は、極の幅を狭くすることによって、瞳内の回折次数のより良好な分離が提供されるということに基づいて達成することができる。この場合、第5の考案による方法は、ピッチのアプリオリにより大きい組からのピッチに対して実施することができる。
【0056】
9.第7の考案によるマイクロリソグラフィのための投影露光装置であって、
−照明設定又は自由形状照明を変更することができる照明系のマニピュレータと、
−第2のマニピュレータが、コントローラによって制御可能であることと、
−コントローラが、照明設定又は自由形状照明を1組の異なるピッチ及び/又は構造幅に割り当てる割り当てテーブルを格納するためのメモリを含むことと、
を特徴とする投影露光装置。
【0057】
第9の考案による投影露光装置は、第8の考案による方法に従って1つのマスク又はある部類のマスクのいずれかに適応させることができ、又は作動させることができる。第8の考案による適応化又は作動は、マスクの構造及びピッチに関する情報しか必要としないので、偏位させるべきマニピュレータ偏位及び設定される設定又は自由形状照明の変化も同様にこれらにしか依存しない。従って、マニピュレータ偏位及び設定又は自由形状照明に対するピッチ及び構造幅の割り当ては、コントローラのメモリに格納される割り当てテーブル(同義語=ルックアップテーブル)の形態で格納することができる。
【0058】
以下に続く本発明の構成はSMPWOであり、更にこれらの構成には、簡略化の目的で順次番号を振っていることを理解すべきである。
【0059】
第10の考案。
異なる構造方向に異なるピッチ及び/又は異なる構造幅を有する構造を有するマスクにマイクロリソグラフィのための投影露光装置を適応させるか又は投影露光装置を作動させる、第1の考案又は第2の考案のいずれか、又は第4の考案から第6の考案のいずれか、又は第8の考案による方法であって、
−マニピュレータ偏位及び照明設定の変化又は自由形状照明の変化に加えて、照明光の偏光の変化が決定され、照明設定の変化又は自由形状照明の変化及びこのマニピュレータ偏位を用いたマニピュレータの偏位、並びに照明光の偏光の変化により、異なるピッチ及び/又は異なる構造幅によって生じる波面収差が、少なくとも考案8による方法におけるものと同じ程度まで低減される、
ことを特徴とする方法。
【0060】
第10の考案による方法を使用することにより、異なるピッチ及び/又は異なる構造幅によって生じる波面収差がマニピュレータを用いて低減されるだけではなく、照明光の偏光が、波面を補正するための自由度として付加的に使用される。その結果、少なくともそれ程悪くはなく、多くの場合に良好な波面補正を提供する。
【0061】
第11の考案。
上述の考案のうちのいずれかによる方法であって、
−対物系が、波面収差の視野依存性を補正する更に別のマニピュレータを含む、
ことを特徴とする方法。
【0062】
第12の考案。
上述の考案のうちのいずれかによるマイクロリソグラフィのための投影露光装置であって、
−対物系が、対物系の瞳平面に位置しない更に別のマニピュレータを含み、
−更に別のマニピュレータは、コントローラによって制御することができ、
−コントローラは、更に別のマニピュレータに対する偏位を1組の異なるピッチ及び/又は構造幅に割り当てる割り当てテーブルを格納するためのメモリを含む、
ことを特徴とする投影露光装置。
【0063】
本発明を以下に続く例示的な実施形態に基づいてこれらの実施形態の添付図面を用いて説明する。