(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記比較部による比較の結果、前記読み出し部により読み出された前記測定結果の情報と前記指標測定部の測定の結果とが一致していない場合、または、その違いが予め定められた閾値を超えた場合、警告を出す警告部を備える請求項11に記載の貼り合わせシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、一実施形態である貼り合せシステムを模式的に示す平面図である。当該貼り合せシステムは、貼り合せ装置100と、上基板ホルダ124と、下基板ホルダ125とを備える。貼り合せ装置100は、筐体102と、常温部104と、高温部106と、基板カセット112、114、116とを含む。常温部104および高温部106は、共通の筐体102の内部に設けられる。
【0012】
基板カセット112、114、116は、筐体102の外部に、筐体102に対して脱着自在に装着される。基板カセット112、114、116は、貼り合せ装置100において接合される第1基板122および第2基板123を収容する。基板カセット112、114、116により、複数の第1基板122および第2基板123が一括して貼り合せ装置100に装填される。また、貼り合せ装置100において接合された第1基板122および第2基板123が一括して回収される。
【0013】
常温部104は、筐体102の内側にそれぞれ配された、プリアライナ126、ステージ装置140、基板ホルダラック128および基板取り外し部130と、一対のロボットアーム132、134とを備える。筐体102の内部は、貼り合せ装置100が設置された環境の室温と略同じ温度が維持されるように温度管理される。常温部104は、大気中で第1基板122および第2基板123を搬送する。
【0014】
プリアライナ126は、高精度であるが故にステージ装置140の狭い調整範囲に第1基板122及び第2基板123の位置が収まるように、個々の第1基板122及び第2基板123の位置を仮合わせする。この場合に、プリアライナ126は第1基板122及び第2基板123の外形を観察することにより第1基板122及び第2基板123の位置決めを行う。これにより、ステージ装置140が第1基板122および第2基板123の位置を確実に位置決めすることができる。
【0015】
基板ホルダラック128は、複数の上基板ホルダ124および複数の下基板ホルダ125を収容して待機させる。貼り合せ装置100において、多くの場合、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125は、それぞれ、第1基板122および第2基板123を静電吸着により保持して、搬送する。
【0016】
ステージ装置140は、貼り合せの対象である第1基板122と第2基板123における接合すべき電極同士の位置を合わせて、重ね合わせる。ステージ装置140を包囲して断熱壁145およびシャッタ146が設けられる。断熱壁145およびシャッタ146に包囲された空間は空調機等に連通して温度管理され、ステージ装置140における位置合わせ精度を維持する。
【0017】
ステージ装置140は、上ステージ141と、下ステージ142と、制御部148とを有する。上ステージ141は、ステージ装置140の天板の下面に固定される。上ステージ141の下面が真空吸着により上基板ホルダ124を保持する。
【0018】
下ステージ142は、上ステージ141に対向して、ステージ装置140の底板の上に、XYZ方向に移動可能に配置される。下ステージ142は、傾斜機能を有する。下ステージ142の上面が真空吸着により下基板ホルダ125を保持する。
【0019】
制御部148は、下ステージ142の移動を制御する。制御部148は、下ステージ142を移動させて、上ステージ141に保持された第1基板122に対して、第2基板123の位置を合わせる。制御部148は、下ステージ142を上昇させて、第1基板122と第2基板123を重ね合せることができる。その後、上基板ホルダ124と下基板ホルダ125に挟まれた第1基板122と第2基板123は、位置止め機構により仮止めされる。上基板ホルダ124と下基板ホルダ125及びそれらに挟まれた第1基板122と第2基板123の組合せを「ホルダ対」と記載することがある。
【0020】
基板取り外し部130は、高温部106から搬出された上基板ホルダ124および下基板ホルダ125に挟まれて貼り合わされた第1基板122および第2基板123を取り出す。貼り合わされた第1基板122および第2基板123を「積層基板」と記載することがある。上基板ホルダ124および下基板ホルダ125から取り出された積層基板は、ロボットアーム134、132および下ステージ142により基板カセット112、114、116のうちのひとつに戻されて収容される。積層基板を取り出された上基板ホルダ124および下基板ホルダ125は、基板ホルダラック128に戻されて待機する。基板取り外し部130は、基板ホルダラック128の上方に配される。
【0021】
なお、貼り合せ装置100に装填される第1基板122および第2基板123は、単体のシリコンウエハ、化合物半導体ウェハ、ガラス基板等の他、それらに素子、回路、端子等が形成されたものであってよい。また、装填された第1基板122および第2基板123が、既に複数のウェハを積層して形成された積層基板である場合もある。
【0022】
一対のロボットアーム132、134のうち、基板カセット112、114、116に近い側に配置されたロボットアーム132は、基板カセット112、114、116、プリアライナ126およびステージ装置140の間で第1基板122および第2基板123を搬送する。一方、基板カセット112、114、116から遠い側に配置されたロボットアーム134は、ステージ装置140、基板ホルダラック128、基板取り外し部130およびエアロック220の間で、第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125を搬送する。
【0023】
上ステージ141に第1基板122を保持させる場合に、ロボットアーム134は、まず基板ホルダラック128から一枚の上基板ホルダ124を取り出して下ステージ142に載置する。下ステージ142は、基板カセット112、114、116に近い側に移動する。ロボットアーム132は、プリアライナ126からプリアライメントされた第1基板122を取り出して、下ステージ142の上の上基板ホルダ124に載置して、静電吸着させる。
【0024】
下ステージ142は、再び基板カセット112、114、116から遠い側に移動する。ロボットアーム134は、下ステージ142から第1基板122を静電吸着した上基板ホルダ124を受け取り、裏返して上ステージ141に近づける。上ステージ141は、真空吸着によりその上基板ホルダ124を保持する。
【0025】
ロボットアーム134は、下ステージ142に下基板ホルダ125を載置する。ロボットアーム132は、その上に第2基板123を載置して保持させる。これにより、下ステージ142に保持された第2基板123における回路等が形成された面は、上ステージ141に保持された第1基板122における回路等が形成された面に、対向するように配置される。
【0026】
高温部106は、断熱壁108、エアロック220、ロボットアーム230、複数の加圧室240および冷却室250を有する。断熱壁108は、高温部106を包囲して、高温部106の外部への熱輻射を遮断する。これにより、高温部106の熱が常温部104に及ぼす影響を抑制する。高温部106は、その内部が一定の真空状態に維持される。これにより、高温部106に搬入された基板の汚染及び酸化を抑えることができる。
【0027】
ロボットアーム230は、加圧室240、冷却室250とエアロック220との間で第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125を搬送する。
【0028】
エアロック220は、常温部104と高温部106とを連結する。エアロック220は、常温部104側と高温部106側とに、交互に開閉するシャッタ222、224を有する。
【0029】
第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125から構成されるホルダ対が常温部104から高温部106に搬入される場合、まず、常温部104側のシャッタ222が開かれ、ロボットアーム134がホルダ対をエアロック220に搬入する。次に、常温部104側のシャッタ222が閉じられ、エアロック220内部が真空に引かれる。エアロック220内部の真空度が、高温部106側の真空度になったら、高温部106側のシャッタ224が開かれる。
【0030】
続いて、ロボットアーム230が、エアロック220からホルダ対を搬出して、加圧室240のいずれかに装入する。加圧室240は、ホルダ対を加熱および加圧して、第1基板122と第2基板123を貼り合せる。その後、ロボットアーム230が、加圧室240からホルダ対を搬出して、冷却室250に装入して冷却する。加圧室240は、ホルダ対を加圧するだけで、第1基板122と第2基板123を貼り合せてもよい。
【0031】
高温部106から常温部104にホルダ対を搬出する場合は、常温部104から高温部106に搬入する場合の一連の動作を逆順で実行する。これらの一連の動作により、高温部106の内部雰囲気を常温部104側に漏らすことなく、ホルダ対を高温部106に搬入または搬出できる。
【0032】
貼り合せ装置100内の多くの領域において、上基板ホルダ124が第1基板122を保持した状態で、又は下基板ホルダ125が第2基板123を保持した状態で、ロボットアーム134、230および下ステージ142により搬送される。第1基板122を保持した上基板ホルダ124又は第2基板123を保持した下基板ホルダ125が搬送される場合、ロボットアーム134、230は、真空吸着又は静電吸着により上基板ホルダ124又は下基板ホルダ125を吸着して保持する。
【0033】
図2は、ステージ装置140の構造を概略的に示す。ステージ装置140は、本体310の内側に配された上ステージ141と、下ステージ142と、制御部148のほか、第1顕微鏡344と、第2顕微鏡342と、バーコードリーダー372と、比較部380とを備える。
【0034】
本体310は、互いに平行で水平な天板312および底板316と、天板312および底板316を結合する複数の支柱314とを備える。天板312、支柱314および底板316は、それぞれ高剛性な材料により形成され、内部機構の動作に係る反力が作用した場合も変形を生じない。なお、貼り合せ装置100に組み込まれた場合は、支柱314相互の間は断熱壁145により封止される。
【0035】
下ステージ142は、底板316の上に載置され、底板に対して固定されたガイドレール352に案内されつつX方向に移動するXステージ354と、Xステージ354の上でY方向に移動するYステージ356と、Yステージ356の上に載置された昇降部360とを有する。制御部148の制御により、下ステージ142に搭載された部材は、XY平面上の任意の方向に移動でき、Z方向にも移動できる。
【0036】
昇降部360は、シリンダ362と、ピストン364と、吸着プレート368とを有する。ピストン364は、制御部148の制御により、シリンダ362内をZ方向に昇降する。ピストン364の上に吸着プレート368が設けられ、下基板ホルダ125が保持される。更に、下基板ホルダ125上に第2基板123が保持される。
【0037】
昇降部360の駆動形式として、VCM(ボイスコイルモータ)による駆動であってもよい。下ステージ142は、粗動微動分離駆動機構を有してもよい。下ステージ142は、X、Y、Z軸を回転軸として回転する機能を有する。
【0038】
第1顕微鏡344は、下ステージ142に配置され、下ステージ142と共に上ステージ141に対して移動できる。第1顕微鏡344は、オートフォーカスセンサーを有する。第1顕微鏡344は、上ステージ141に保持された上基板ホルダ124に設けられた指標M、又は上基板ホルダ124に保持された第1基板122の表面に設けられた指標を観察して、その位置、距離、形状等を計測する。第1顕微鏡344により計測される位置、距離、形状等のデータは、制御部148又は比較部380に送信される。第1顕微鏡344は、指標測定部の一例である。
【0039】
第2顕微鏡342は、天板312の下面に、上ステージ141に対して既知の間隔をおいて固定される。第2顕微鏡342は、オートフォーカスセンサーを有する。第2顕微鏡342は、下ステージ142に保持された下基板ホルダ125に設けられた指標M、又は下基板ホルダ125に保持された第2基板123の表面に設けられた指標を観察して、その位置、距離、形状等を計測する。
【0040】
第2顕微鏡342により計測される位置、距離、形状等のデータは、制御部148又は比較部380に送信される。制御部148は、受信したデータに基づいて、下ステージ142を制御する。第2顕微鏡342は、指標測定部の一例である。
【0041】
制御部148は、上ステージ141及び下ステージ142における第1顕微鏡344及び第2顕微鏡342の位置を記憶しているので、第1顕微鏡344及び第2顕微鏡342により送信されるデータに基づいて、上基板ホルダ124を介して上ステージ141に保持された第1基板122と、下基板ホルダ125を介して下ステージ142に保持された第2基板123との相対位置を算出できる。制御部148は、算出した結果に基づいて、下ステージ142を精密に制御して、第1基板122と第2基板123の位置合せをして、重ね合せることができる。
【0042】
バーコードリーダー372は、上基板ホルダ124が下ステージ142に載置された場合に、上基板ホルダ124に設けられたバーコードを読み取り、そのバーコードに記憶された上基板ホルダ124における指標Mの情報、および、その指標Mを測定して得られるべき結果の情報を読み出す。バーコードリーダー372により読み出された情報は、制御部148及び比較部380に送信される。制御部148は、当該上基板ホルダ124が上ステージ141に保持された後、その情報に基づいて第1顕微鏡344を制御して、上基板ホルダ124における指標Mを測定する。バーコードリーダー372は、読み出し部の一例である。
【0043】
バーコードリーダー372は、下基板ホルダ125に設けられたバーコード370を読み取り、バーコード370に記憶された下基板ホルダ125における指標Mの情報、および、その指標Mを測定して得られるべき結果の情報を読み出す。バーコードリーダー372により読み出された情報は、制御部148及び比較部380に送信される。制御部148は、その情報に基づいて第2顕微鏡342を制御して、下基板ホルダ125における指標Mを測定する。
【0044】
比較部380は、バーコードリーダー372により読み出された下基板ホルダ125又は上基板ホルダ124における指標Mを測定して得られるべき結果の情報と、第2顕微鏡342又は第1顕微鏡344の実際の測定結果とを比較して、比較結果を制御部148に出力する。バーコードリーダー372により読み出された得られるべき測定結果の情報と、第2顕微鏡342又は第1顕微鏡344の実際の測定結果とが一致しない場合、又はその違いが予め定められた閾値を超えた場合、制御部148は、警報を出すかステージ装置140を停止させる。比較部380は、制御部148の内部に設けられてもよい。
【0045】
図3は、下基板ホルダ125を上方から見た斜視図である。
図4は、同じ下基板ホルダ125を下方から見た斜視図である。
図5は、下基板ホルダ125の断面を概略的に示す。
【0046】
下基板ホルダ125は、本体部422と、バーコード370と、吸着子424、溝426と、切り欠き428と、電極440と、マーク450を有する。下基板ホルダ125の外形は、第2基板123よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。
【0047】
本体部422は、セラミックス等により形成されてよい。本体部422は、第2基板123を保持する基板保持面を有する。当該基板保持面が高い平坦性を有して、第2基板123を静電吸着する。
図3は、基板保持面に第2基板123を保持した状態の下基板ホルダ125を示す。マーク450は、本体部422の上面であって、基板保持面の外周に設けられる。
【0048】
バーコード370は、下基板ホルダ125の指標Mの情報、および、当該指標Mを測定して得られるべき結果の情報を記憶する。バーコード370は、情報記憶部の一例である。バーコード370に記憶された情報は、バーコードリーダー372により読み出すことができる。本実施形態において、バーコード370は、下基板ホルダ125の側面に形成されているが、基板保持面を有する下基板ホルダ125の上面に形成されてもよい。ここで指標Mの情報とは、測定されるべき指標Mが何であるかということを示す情報である。指標Mの情報の一例は、「切り欠き428の切り込み長さ」、「マーク450の形状」等である。また当該指標Mを測定して得られるべき結果の情報とは、当該指標Mを測定して得られるべき測定値である。例えば、指標Mの情報が「切り欠き428の切り込み長さ」である場合に、当該指標Mを測定して得られるべき結果の情報は「3mm」等である。他の例として、指標Mの情報が「マーク450の形状」である場合に、当該指標Mを測定して得られるべき結果の情報は「十字」等である。
【0049】
吸着子424は、磁性体材料により形成され、第2基板123を保持する表面において、保持した第2基板123よりも外側に複数配される。吸着子424は、第2基板123を保持する平面と略同じ平面内に、吸着子424の上面が位置するように、本体部422に形成された陥没領域に配されてよい。
【0050】
図1の貼り合せ装置100では、ステージ装置140において、それぞれが第1基板122を保持した上基板ホルダ124と第2基板123を保持した下基板ホルダ125とを位置合わせして、当接させ、加圧室240において当接させた第1基板122と第2基板123を接合させる。このため、ステージ装置140から加圧室240に搬送される間は、接合されていない第1基板122と第2基板123の相対位置を維持することが求められる。このような要求に対して、下基板ホルダ125の吸着子424を上基板ホルダ124に設けられる永久磁石に吸着させることにより、第1基板122と第2基板123が下基板ホルダ125および上基板ホルダ124から挟みつけられて、相対位置を保持できる。
【0051】
電極440は、第2基板123を本体部422の基板保持面に静電吸着させる。電極440は、本体部422の内部に設けられる。電極440は、裏面側端子432と、裏面側端子434とを有する。
【0052】
図5は、電極440と各端子との接続関係を示す図面であり、各端子の位置関係を限定する図面ではない。
図5は、双極方式の電極440を示す。即ち、電極440は、二つの部分から構成され、それぞれプラス電源とマイナス電源に接続され、下基板ホルダ125と第2基板123との間に電位差を生じさせて、第2基板123を下基板ホルダ125に吸着する。また、静電吸着は単極方式であってもよい。
【0053】
裏面側端子432および裏面側端子434は、本体部422における第2基板123を載置する側の面の裏面に露出する。裏面側端子432は、下ステージ142の電力供給部と接続して、下ステージ142から電極440へ電力を供給する。裏面側端子434は、下基板ホルダ125が搬送用ロボットアームにより搬送されるときに、ロボットアームの電力供給部と接続して、ロボットアームから電極440へ電力を供給する。
【0054】
溝426は、ロボットアーム134およびロボットアーム230における上基板ホルダ124に電力を供給する電力供給部を回避する目的で設けられる。切り欠き428は、下基板ホルダ125を下ステージ142に設置したときに、下ステージ142から上基板ホルダ124に電力を供給する電力供給部を回避する目的で設けられる。
【0055】
図6は、貼り合せシステムにより情報を読み出し、結果を比較する過程を説明する概略図である。下基板ホルダ125は下ステージ142に載置される。下ステージ142は、バーコードリーダー372により下基板ホルダ125に設けられたバーコード370を読み出すことのできる位置まで下基板ホルダ125を移動する。
【0056】
バーコードリーダー372は、バーコード370を読み取り、バーコード370に記憶された下基板ホルダ125における指標Mの情報aを読み出して、それを制御部148に送信する。制御部148は、その情報aに基づいて制御信号bを第2顕微鏡342に出して、当該測定方法により下基板ホルダ125における指標Mを測定する。
【0057】
バーコードリーダー372は、更に上記測定方法により得られるべき結果の情報cをバーコード370から読み出して、それを比較部380に送信する。一方、第2顕微鏡342は、制御部148からの制御信号bに基づいて指標Mを測定して、その測定結果dを比較部380に送信する。
【0058】
比較部380は、第2顕微鏡342の実際の測定結果dと、バーコードリーダー372により読み出された下基板ホルダ125における指標Mを測定して得られるべき結果cとを比較して、比較結果(c−d)を制御部148に出力する。制御部148は、バーコードリーダー372により読み出された得られるべき測定結果の情報cと、第2顕微鏡342の実際の測定結果dとが一致しない場合、又はその違いが予め定められた閾値を超えた場合、警報を出すか下ステージ142を停止させる。
【0059】
図7は、下基板ホルダ125を概略的に示す平面図である。
図7は、指標Mが本体部422の外観形状である場合の例を示す。指標Mは、例えば、切り欠き428であってよく、溝426であってもよく、マーク450であってもよい。指標Mの情報は、例えば、第2顕微鏡342により切り欠き428、溝426又はマーク450の形状寸法又は位置である。指標Mは、第2顕微鏡342により二つの切り欠き428の間隔L、本体部422の厚さ等でもよい。切り欠き428、溝426及びマーク450は、第2顕微鏡342により、互いに異なる複数の結果のいずれか一つが測定されるべく設けられてよい。「互いに異なる複数の結果」の例として、設計値自体が基板ホルダごとに異なっていてもよいが、同じ設計値に対する公差を予め計測して、当該公差を測定されるべき結果としてもよい。
【0060】
バーコード370には、上記複数の結果のうちの一つが、下基板ホルダ125のIDに対応付けて記憶される。具体例として、バーコード370には、指標Mの情報として、当該指標Mが「第2顕微鏡342により二つの切り欠き428の間隔L」であること、及び、その測定により得られるべきLの値が、下基板ホルダ125のIDに対応付けて記憶される。
【0061】
第2顕微鏡342により測定したLの値がバーコードリーダー372によりバーコード370から読み出した測定により得られるべきLの値と一致しない場合、下基板ホルダ125の劣化等により下基板ホルダ本体部422が変形したおそれ、又は、そもそも当該貼り合せシステムでの使用が予定されていない基板ホルダであるおそれがある。そのような下基板ホルダ125を継続して使用することは、貼り合せ装置100の故障をもたらすおそれがあるので、制御部148が警報を出すか下ステージ142を停止させることにより、事故を未然に防ぐことができる。
【0062】
上述の実施形態において、情報記憶部としてバーコードが例示されたが、情報記憶部は、QRコード等であってもよい。情報記憶部は、指標Mの情報、および、その指標Mを測定して得られるべき結果の情報等を記憶できるメモリ等であってよい。その場合、読み出し部は、バーコードリーダー372の代わりに、そのようなメモリを読み出すことができるメモリ読み取り装置であってよい。
【0063】
上述の実施形態において、測定する指標として、下基板ホルダ125の形状等が例示されたが、指標は、本体部422の物理量であってよい。例えば、本体部422のインピーダンス、電気抵抗等の電気的又は磁気的パラメータであってよい。そのパラメータが何であるかを示す情報及び当該パラメータを測定して得られるべき計測結果が、上記情報記憶部に記憶されてよい。
【0064】
指標は、電極440の電気
的な特性であってよい。例えば、電極440が固有のインピーダンスであってよく、二つ電極440の間のリーク電流であってよい。その計測は裏面側端子432又は裏面側端子434により行ってよい。また、指標は、バーコード370のプレートが取り付けられた位置であってよい。指標は、上基板ホルダ124に設けられる磁石の磁力であってよい。
【0065】
これらの指標の情報及び得られるべき計測結果が、下基板ホルダ125に設けられた上記情報記憶部に記憶されるので、下基板ホルダ125を用いる何れの装置においても記憶された情報を読み出して、当該指標を計測して下基板ホルダ125を点検して、使用が予定されている基板ホルダか否かが分かる。なお、新しい基板ホルダが投入された場合に、使用されるべき基板ホルダのリストを更新しなくても、基板ホルダ自身からの情報で、使用されるべき基板ホルダか否かが分かる。例えば、上述の実施形態において、ステージ装置140に設けられた第1顕微鏡344及び第2顕微鏡342を用いて指標を測定する例を挙げられたが、基板ホルダラック128、エアロック220、加圧室240又は冷却室250に下基板ホルダ125の情報記憶部に記憶された情報を読み出す読み出し部、指標測定部及び比較部を設けて、下基板ホルダ125の指標を測定してもよい。言うまでもなく、上基板ホルダ124に指標及び情報記憶部を設けて、上述の方法により、上基板ホルダ124の指標を測定してもよい。
【0066】
図8は、積層半導体装置を製造する製造方法の概略を示す。
図8に示すように、積層半導体装置は、当該積層半導体装置の機能・性能設計を行うステップS110、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップS120、積層半導体装置の基材である基板を製造するステップS130、マスクのパターンを用いたリソグラフィを含む基板処理ステップS140、上記の貼り合せ装置を用いた基板貼り合せ工程等を含むデバイス組み立てステップS150、検査ステップS160等を経て製造される。なお、デバイス組み立てステップS150は、基板貼り合せ工程に続いて、ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む。
【0067】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0068】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。